A.第1実施形態:
A1.スパークプラグの構成:
図1は、第1実施形態のスパークプラグ100の断面図である。図示されたラインCLは、スパークプラグ100の中心軸を示している。図示された断面は、中心軸CLを含む断面である。以下、中心軸CLのことを「軸線CL」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。中心軸CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸CLを中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLと平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向D1と呼び、上方向を後端方向D2とも呼ぶ。先端方向D1は、後述する端子金具40から電極20、31aに向かう方向である。また、図1における先端方向D1側をスパークプラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向D2側をスパークプラグ100の後端側と呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁体10(「絶縁碍子10」とも呼ぶ)と、中心電極20と、キャップ部材30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、導電性の第2シール部80と、先端側パッキン8と、タルク9と、第1後端側パッキン6と、第2後端側パッキン7と、を備えている。キャップ部材30は、接地電極31aを有している。
絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12(「軸孔12」とも呼ぶ)を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能)。絶縁体10は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、先端側胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、後端側胴部18と、を有している。
鍔部19は、絶縁体10の最大外径部分である。鍔部19よりも先端側の第1縮外径部15の外径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、先端側胴部17)には、後端側から先端側に向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。鍔部19よりも後端側の第2縮外径部11の外径は、先端側から後端側に向かって、徐々に小さくなる。
絶縁体10の貫通孔12の先端側には、中心電極20が挿入されている。中心電極20は、中心軸CLに沿って延びる棒状の部材である。中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケルを主成分として含む合金であるインコネル(「INCONEL」は、登録商標)を用いて形成されている。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
また、中心電極20の外観形状に着目すると、中心電極20は、先端方向D1側の端を形成する脚部25と、脚部25の後端側に設けられた鍔部24と、鍔部24の後端側に設けられた頭部23と、を有している。頭部23と鍔部24とは、貫通孔12内に配置され、鍔部24の先端方向D1側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。脚部25の先端側の部分は、絶縁体10の先端側で、貫通孔12の外に露出している。
絶縁体10の貫通孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40の表面には、防食のための金属層が形成され得る。例えば、Ni層がメッキで形成される。端子金具40は、鍔部42と、鍔部42より後端側の部分を形成するキャップ装着部41と、鍔部42より先端側の部分を形成する脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の後端側で、貫通孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の貫通孔12に挿入されている。
絶縁体10の貫通孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、主成分であるガラス粒子(例えば、B2O3−SiO2系のガラス)と、ガラス以外のセラミック粒子(例えば、TiO2)と、導電性材料(例えば、Mg等の金属や炭素粒子)と、を含む組成物で形成されている。
貫通孔12内において、抵抗体70と中心電極20との間は、第1シール部60が配置されている。抵抗体70と端子金具40との間には、第2シール部80が配置されている。この結果、中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続される。シール部60、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(Cu、Feなど)と、を含んでいる。シール部60、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の抵抗値を安定させることができる。
主体金具50は、中心軸CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能)。主体金具50の表面には、防食のための金属層が形成され得る。例えば、Ni層がメッキで形成される。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50の先端(先端方向D1側の端)は、中心電極20の先端よりも、先端方向D1側に位置している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端(本実施形態では、後端側胴部18の後端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。座部54の先端側には、胴部55が設けられている。胴部55の外径は、座部54の外径よりも、小さい。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガスエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも先端方向D1側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。先端側パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
座部54の後端側には、座部54よりも肉厚が薄い変形部58が設けられている。変形部58は、径方向の外側(中心軸CLから離れる方向)に向かって中央部が突出するように、変形している。変形部58の後端側には、工具係合部51が設けられている。工具係合部51の形状は、スパークプラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、工具係合部51よりも肉厚が薄い加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端(すなわち、後端方向D2側の端)を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の後端側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および後端側胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第1後端側パッキン6が配置され、この空間SP内の先端側には、第2後端側パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらの後端側パッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つの後端側パッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
スパークプラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が先端方向D1側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。先端側パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
また、主体金具50の先端部(本実施例では、胴部55の先端側の部分)には、中心軸CLを中心とする略円板状のキャップ部材30が固定されている。キャップ部材30は、主体金具50の先端を覆っている。キャップ部材30は、後端方向D2側に突出する略円筒状の接地電極31aを有している。接地電極31aの内周側には、後端方向D2側から先端方向D1に向かって、中心電極20(本実施形態では、脚部25)が挿入されている。中心電極20の外周面(すなわち、側面)と、接地電極31aの内周面と、の間には、放電間隙g(単に「間隙g」とも呼ぶ)が形成されている。
図2(A)は、放電間隙gの近傍におけるスパークプラグ100の概略図である。図2(B)は、スパークプラグ100を、後端方向D2を向いて見た概略図である。図2(C)は、図2(B)のBa−Ba断面から中心軸CL側を向いて見たキャップ部材30の概略構成を示している。図2(A)には、中心軸CLが示されている。中心軸CLの左側には、主体金具50とキャップ部材30との断面(中心軸CLを含む平面による断面)と、絶縁体10と中心電極20との外観と、が示されている。中心軸CLの右側には、主体金具50の一部と中心電極20との外観と、キャップ部材30の一部の断面と、が示されている。
図2(A)に示すように、間隙gは、主体金具50(ここでは、胴部55)とキャップ部材30とによって形成される空間90s内に配置されている(以下「副燃焼室90s」と呼ぶ)。具体的には、この副燃焼室90sは、主体金具50(本実施形態では、胴部55)の内周面55siと、キャップ部材30の内面30s2(後端方向D2側の表面)と、絶縁体10(本実施形態では、脚部13)の表面10s1と、によって形成されている。以下、スパークプラグ100の要素のうちの副燃焼室90sを形成する部分55、30、13の全体を「副燃焼室形成部90」とも呼ぶ。
図2(A)〜図2(C)に示すように、キャップ部材30は、第1部材31と第2部材32とを有している。第1部材31は、筒状の接地電極31aと、主体金具50の先端部に固定される固定部としての円板部31bと、を有している。本実施形態では、第1部材31は、連続な単一の部材である。図2(A)に示すように、接地電極31aは、径方向に延びる複数の貫通孔31ahを有している。複数の貫通孔31ahは、中心電極20の先端面20s1よりも先端方向D1側に配置されており、接地電極31aの内周側と外周側と連通する。
円板部31bは、接地電極31aの先端方向D1側に配置された、中心軸CLを中心とする環状の部材である。円板部31bの外径は、主体金具50の胴部55の先端部の外径と、おおよそ同じである。円板部31bの中心軸CLに近い部分には、接地電極31aの先端方向D1側の端が接続されている。円板部31bの縁部分は、主体金具50(ここでは、胴部55)の先端に接続されている。円板部31bの中心には、接地電極31aの内周側と、円板部31bの先端方向D1側と、連通する貫通孔31bhが形成されている。貫通孔31bhの後端方向D2側の部分では、貫通孔31bhの内径は、接地電極31aの内径と同じである。貫通孔31bhの先端方向D1側の部分では、貫通孔31bhの内径は、接地電極31aの内径よりも大きい。このように貫通孔31bhの全体に亘って、内径は、接地電極31aの内径以上である。この理由については、後述する。
図2(B)に示すように、円板部31bは、さらに、接地電極31aよりも外周側に配置された貫通孔H1〜H4を有している。これらの貫通孔H1〜H4は、円板部31bの後端方向D2側および先端方向D1側と連通している。図2(C)は、1つの貫通孔H1の中心を通り、中心軸CLと平行な断面を示している。図示するように、貫通孔H1は、中心軸CLに対して斜めに傾斜している。具体的には、貫通孔H1の後端方向D2側から先端方向D1側へ延びる方向は、中心軸CLから遠ざかる方向を向いている。他の貫通孔H2〜H4についても、同様である。なお、貫通孔H1〜H4は、中心軸CLを中心に、等方的に配置されている。
図2(A)に示すように、第2部材32は、円板部31bの貫通孔31bhと同じ形状を有する部材である。第2部材32は、貫通孔31bh内に嵌め込まれた状態で、第1部材31に固定されている。また、第2部材32は、接地電極31aの内周側と第2部材32の先端方向D1側と連通する貫通孔H5を有している。この貫通孔H5の内径は、円板部31bの貫通孔31bhの内径よりも小さい。このように、第2部材32は、貫通孔31bhの一部分を塞ぐように、円板部31bに固定される。また、上記の貫通孔H1〜H4の内径も、円板部31bの貫通孔31bhよりも小さい。
スパークプラグ100が内燃機関に装着された状態では、少なくともキャップ部材30の先端方向D1側の面は、内燃機関の燃焼室に曝される(図示省略)。内燃機関の動作時には、燃焼室から、貫通孔H1〜H5を通じて、スパークプラグ100の副燃焼室90sに、燃料と酸素とを含む混合気が流入する。混合気は、貫通孔H5や、間隙gや、接地電極31aの貫通孔31ahを通じて、接地電極31aの内周側にも流入し得る。この状態で、スパークプラグ100に電圧が印加され、間隙gで放電が行われる。この放電によって副燃焼室90s内の混合気が着火され、混合気が燃焼し、そして、副燃焼室90s内の圧力が上昇する。この結果、火炎が、貫通孔H1〜H5を通じて、副燃焼室90sから燃焼室へ噴出する。噴出した火炎により、燃焼室内の混合気が着火され、そして、内燃機関が動作する。
なお、本実施形態では、貫通孔H1〜H5のそれぞれの方向は、互いに異なっている。従って、貫通孔H1〜H5からは、互いに異なる方向に、火炎が噴出する。この結果、内燃機関の燃焼室内での混合気の燃焼を、適切に実現できる。
また、貫通孔H1〜H5の内径は、いずれも、円板部31bの貫通孔31bhの内径よりも小さい。従って、貫通孔31bhが塞がれずにそのまま残る場合と比べて、副燃焼室90s内で混合気が燃焼した場合の副燃焼室90s内の圧力を高くすることができる。それ故、貫通孔H1〜H5から噴出する火炎の勢いを増すことができるので、内燃機関の燃焼室内において、火炎の届く範囲を、スパークプラグ100から遠い位置まで拡張できる。この結果、内燃機関の燃焼室内での混合気の燃焼を、適切に実現できる。
A2.製造方法:
図3、図4は、スパークプラグ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。図4は、図3の続きを示している。図中では、各ステップを示す矩形の中に、そのステップで形成される組立体(すなわち、製造途中の段階で得られる部品)の概略図が示されている。組立体の概略図は、図2(A)と同様の形式で示されている。
最初のステップS100では、絶縁体10(図1)の貫通孔12内に、中心電極20と第1シール部60と抵抗体70と第2シール部80と端子金具40とが設けられる。そして、絶縁体10に、主体金具50が固定される。貫通孔12内の部材60、70、80の形成方法としては、公知の種々の方法を採用可能である。例えば、貫通孔12内の縮内径部16によって支持される位置(図1)に、中心電極20を配置する。次に、第1シール部60の材料粉末と、抵抗体70の材料粉末と、第2シール部80の材料粉末とを、この順番に、貫通孔12内に充填する。そして、絶縁体10を、各材料粉末に含まれるガラス成分の軟化点よりも高い所定温度まで加熱し、所定温度に加熱した状態で、貫通孔12の後端方向D2側の開口から、端子金具40を貫通孔12に圧入する。この結果、各材料粉末が圧縮および焼結されて、第1シール部60と、抵抗体70と、第2シール部80とのそれぞれが形成される。絶縁体10と主体金具50との固定方法(すなわち、組み付け方法)としては、図1で説明した方法が採用される。
次のステップS110では、第1部材31が、主体金具50の先端に配置される。この際、接地電極31aの内周側に、中心電極20の先端が挿入される。本実施形態では、主体金具50の胴部55の先端面55s1に、第1部材31の円板部31bの後端方向D2側の面30s2(内面30s2)の縁部分が接触する。なお、この段階では、中心電極20と接地電極31aとが接触し得る。
次のステップS120では、円筒状のスペーサ200が、円板部31bの貫通孔31bhを通じて、円板部31bの先端方向D1側から、接地電極31aの内周面と中心電極20の外周面との間に配置される。スペーサ200の内径は、中心電極20の外径とおおよそ同じであり、スペーサ200の外径は、接地電極31aの内径とおおよそ同じである。また、上述したように、円板部31bの貫通孔31bhの内径は、貫通孔31bhの全体に亘って、接地電極31aの内径以上である。従って、貫通孔31bhを通じて、容易に、スペーサ200を、中心電極20と接地電極31aとの間に挿入できる。
また、スペーサ200の径方向の肉厚は、全周に亘って、間隙gの適切な距離(中心電極20の側面に垂直な方向の距離)と同じである。従って、スペーサ200を、中心電極20の外周面と接地電極31aの内周面との間に配置することによって、間隙gの適切な距離を、全周に亘って、実現可能である。
また、主体金具50の表面のうちの第1部材31と接触する部分は、主体金具50の先端面55s1のみである。従って、第1部材31は、主体金具50の先端面55s1と接触した状態で、中心軸CLと垂直な方向に自由に移動可能である。このステップS120では、スペーサ200を中心電極20と接地電極31aとの間に挿入できるように、第1部材31の中心軸CLと垂直な方向の位置が調整される。なお、スペーサ200の材料としては、樹脂や金属板等の種々の材料を、採用可能である。
図4の次のステップS130では、主体金具50に第1部材31が固定される。本実施形態では、主体金具50の先端面55s1と、第1部材31(ここでは、円板部31b)の内面30s2とが接触する部分の外周側の部分W1が、全周に亘って、レーザ溶接によって溶接される。なお、このステップS130は、中心電極20の外周面と接地電極31aの内周面との間にスペーサ200が配置された状態で、行われる。従って、適切な間隙gを実現しつつ、第1部材31を主体金具50に固定できる。
次のステップS140では、貫通孔31bhを通じて、スペーサ200が取り外される。次のステップS150では、円板部31bの貫通孔31bhに第2部材32が嵌め込まれ、そして、第2部材32が第1部材31に固定される。本実施形態では、第1部材31と第2部材32とが接触する部分の先端方向D1側の部分W2が、全周に亘って、レーザ溶接によって、溶接される。以上により、スパークプラグ100が完成する。
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、間隙gを形成するためのスペーサ200が、中心電極20の外周面(すなわち、側面)と接地電極31aとの間に配置された状態で、第1部材31と中心電極20との相対位置(ひいては、キャップ部材30と中心電極20との相対位置)が固定される(図3:S120、図4:S130)。従って、適切な間隙gを実現できる。また、キャップ部材30と中心電極20との相対位置を固定する工程は、第1部材31を主体金具50に溶接する工程を含む(図4:S130)。ここで、主体金具50には、絶縁体10を介して、中心電極20が固定されている。従って、主体金具50に対する第1部材31の位置ズレ、ひいては、中心電極20に対する接地電極31aの位置ズレが抑制されるので、適切な間隙gを実現できる。
また、図2で説明したように、キャップ部材30は、第1部材31と、第1部材31に固定される第2部材32と、を有している。第1部材31は、接地電極31aと、中心軸CLに沿って貫通する貫通孔31bhと、主体金具50の先端面55s1に固定される円板部31bと、を有している。そして、キャップ部材30と中心電極20との相対位置を固定する工程は、スペーサ200が中心電極20の側面と接地電極31aとの間に配置された状態で第1部材31を主体金具50に固定する工程と(図4:S130)、スペーサ200を、第1部材31の貫通孔31bhを通じて、中心電極20の側面と接地電極31aとの間から取り外す工程と(図4:S140)、スペーサ200を取り外した後に、第2部材32を第1部材31に固定する工程と(図4:S150)、を含んでいる。従って、適切な間隙gを実現しつつ、キャップ部材30の構成の自由度を向上できる。例えば、本実施形態では、スペーサ200の取り外しに利用される貫通孔31bhに、第2部材32が嵌め込まれ、貫通孔31bhよりも径が小さい貫通孔H5が設けられる。従って、スペーサ200の取り外しを容易に行うことができる。さらに、火炎の噴出に適した貫通孔H1〜H5を有するスパークプラグ100を、容易に実現できる。
なお、本実施形態では、スペーサ200の取り外しに利用される貫通孔31bhは、中心電極20と同軸上に配置されているので、スペーサ200の取り外しが容易である。ただし、スペーサ200の取り外しに利用される貫通孔が、中心電極20の中心軸(ここでは、中心軸CL)から離れた位置に配置されていてもよい。一般には、スペーサ200の取り外しに利用される貫通孔は、間隙gと連通していればよい。こうすれば、間隙gから、貫通孔を通じて、スペーサ200を取り外すことができる。
B.第2実施形態:
B1.スパークプラグの構成:
図5は、第2実施形態のスパークプラグ100zの概略図である。図1、図2に示す第1実施形態のスパークプラグ100との差異は、主体金具50zの胴部55zの先端部分の構成が、第1実施形態の主体金具50の胴部55の先端部分の構成と異なっている点と、キャップ部材30zの構成が、第1実施形態のキャップ部材30の構成と異なっている点と、だけである。スパークプラグ100zの他の構成は、第1実施形態のスパークプラグ100の構成と、同じである。以下、第2実施形態のスパークプラグ100zの要素のうち、第1実施形態のスパークプラグ100の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
図5(A)〜図5(C)は、それぞれ、図2(A)〜図2(C)と同じ形式の概略図を示している。図5(A)に示すように、キャップ部材30zは、接地電極31aと円板部33とを有する連続な単一の部材である。円板部33の形状は、図2(A)の円板部31bと第2部材32とによって形成される円板形状の外径を小さくして得られる形状と、同じである。なお、円板部33の外径Daは、主体金具50zの胴部55zのうちの副燃焼室90sを形成する部分の内周面55siの内径Dbよりも、大きい。また、接地電極31aは、図2(A)の接地電極31aと同じである。
図5(A)に示すように、主体金具50zの胴部55zの構成は、図2(A)の胴部55の先端側に大内径部55zLを追加して得られる構成と、同じである。大内径部55zLは、中心軸CLを中心とする略円筒状の部分である。大内径部55zLの先端方向D1の厚さは、キャップ部材30の円板部33の厚さと略同じである。大内径部55zLの内径は、円板部33の外径Daと、略同じである。大内径部55zLの内周側に、キャップ部材30zの円板部33が、嵌め込まれている。そして、円板部33は、大内径部55zLに、溶接されている。このように、円板部33は、主体金具50の先端部に固定される固定部に対応する。主体金具50zの他の部分の構成は、図1、図2の主体金具50の構成と、同じである。
図5(A)に示すように、第2実施形態のスパークプラグ100zは、第1実施形態のスパークプラグ100と同じ副燃焼室90sを形成する。副燃焼室90sは、主体金具50z(本実施形態では、胴部55z)の内周面55siと、キャップ部材30zの内面30s2(円板部33の後端方向D2側の面)と、絶縁体10(本実施形態では、脚部13)の表面10s1と、によって形成されている。以下、これらの部分55z、30z、13の全体を「副燃焼室形成部90z」とも呼ぶ。また、図5(A)に示すように、副燃焼室90s内における中心電極20と接地電極31aとのそれぞれの配置は、図2(A)の実施形態における配置と同じである。そして、図5(B)、図5(C)に示すように、キャップ部材30zには、第1実施形態と同じ貫通孔H1〜H5が、形成されている。以上により、第2実施形態のスパークプラグ100zは、第1実施形態のスパークプラグ100と同様に、内燃機関の燃焼室内での混合気の燃焼を、適切に実現できる。
B2.製造方法:
B2−1.第1製造方法:
図6は、スパークプラグ100zの製造方法の一例を示すフローチャートである。図中では、各ステップを示す矩形の中に、そのステップで形成される組立体(製造途中の段階で得られる部品)の概略図が示されている。組立体の概略図は、図5(A)と同様の形式で示されている。
最初のステップS200では、絶縁体10(図1)の貫通孔12内に、中心電極20と第1シール部60と抵抗体70と第2シール部80と端子金具40とが設けられる。そして、中心電極20の先端部の表面(特に、間隙gを形成すべき外周面)が、ワックス300でコートされる。ワックス300としては、例えば、常温で固体であるワックス(例えば、パラフィンワックス)を採用可能である。この場合、加熱によってワックス300を軟化させた状態で、中心電極20の表面にワックス300を塗布すればよい。また、ワックス300の量は、中心電極20の表面上のワックス300の径方向の厚さ(すなわち、中心電極20の側面と垂直な方向の厚さ)が、間隙gの適切な距離とおおよそ同じとなるように、調整される。なお、貫通孔12内の部材60、70、80の形成方法は、第1実施形態の形成方法と、同じである。
次のステップS210では、絶縁体10に、主体金具50が固定される。固定方法は、図3のステップS100の方法と同じである。なお、ステップS210の後に、ステップS200を行っても良い。
次のステップS220では、主体金具50zにキャップ部材30zが固定される。具体的には、キャップ部材30zの円板部33が、主体金具50zの大内径部55zLの内周側に嵌め込まれる。この際、接地電極31aの内周側に、中心電極20の先端が挿入される。そして、大内径部55zLの内周面と円板部33の外周面とが接触する部分の先端方向D1側の部分W3が、全周に亘って、レーザ溶接によって溶接される。なお、このステップ220では、中心電極20の外周面と接地電極31aの内周面との間にワックス300が配置された状態で、行われる。従って、適切な間隙gを実現しつつ、キャップ部材30zを主体金具50に固定できる。
次のステップS230では、ワックス300が除去される。本実施形態では、副燃焼室90sを湯で煮沸することによって、ワックス300が洗い流される。湯による加熱によって、ワックス300は、融解する。融解したワックス300は、湯とともに、副燃焼室90sの外に排出される。以上のように、ワックス300が除去されることによって、スパークプラグ100zが完成する。
以上のように、図6の製造方法によれば、間隙gを形成するためのワックス300が、中心電極20の外周面と接地電極31aとの間に配置された状態で、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置が固定される(図6:S220)。従って、適切な間隙gを実現できる。また、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置を固定する工程は、キャップ部材30zを主体金具50に溶接する工程を含む(図6:S220)。ここで、主体金具50zには、絶縁体10を介して、中心電極20が固定されている。従って、主体金具50zに対するキャップ部材30zの位置ズレ、ひいては、中心電極20に対する接地電極31aの位置ズレが抑制されるので、適切な間隙gを実現できる。
また、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置を固定する工程(図6:S220)の後に、ワックス300の加熱によって、ワックス300が除去される(S230)。従って、適切な間隙gを実現しつつ、間隙gにワックス300が残ることを抑制できる。
B2−2.第2製造方法:
図7は、スパークプラグ100zの製造方法の別の例を示すフローチャートである。図中では、各ステップを示す矩形の中に、そのステップで形成される組立体(製造途中の段階で得られる部品)の概略図が示されている。組立体の概略図は、図5(A)と同様の形式で示されている。
ステップS300は、図6のステップS200と同じである。中心電極20の先端部の表面が、ワックス300でコートされる。ステップS310は、ステップS300と独立に行われる工程であり、キャップ部材30zを主体金具50zに固定する工程である。具体的には、主体金具50の大内径部55zLの内周側にキャップ部材30zが嵌め込まれ、そして、レーザ溶接によって、キャップ部材30zが主体金具50に固定される。以下、主体金具50zと、主体金具50zに固定されたキャップ部材30zと、で構成される部材を、「組立金属部材530」と呼ぶ。なお、このステップS310では、主体金具50zは、未だ、絶縁体10に固定されていない。なお、組立金属部材530が形成された後であって、次のステップS320の前に、組立金属部材530の表面に、防食のための金属層が形成されてもよい。例えば、Ni層がメッキで形成されてもよい。
ステップS300、S310が行われた後、ステップS320で、組立金属部材530(すなわち、主体金具50z)が、絶縁体10に、固定される。固定方法は、図3のステップS100の方法と、同じである。この際、接地電極31aの内周側に、中心電極20の先端が挿入される。このステップS320は、中心電極20の外周面と接地電極31aの内周面との間にワックス300が配置された状態で、行われる。従って、適切な間隙gを実現しつつ、主体金具50zを絶縁体10に固定できる。
次のステップS330は、図6のステップS230と、同じである。以上のように、ワックス300が除去されることによって、スパークプラグ100zが完成する。
以上のように、図7の製造方法によれば、間隙gを形成するためのワックス300が、中心電極20の外周面と接地電極31aとの間に配置された状態で、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置が固定される(図6:S320)。従って、適切な間隙gを実現できる。また、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置を固定する工程よりも前に、主体金具50zとキャップ部材30zとが互いに固定された組立金属部材530が用意される(S310)。そして、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置を固定する工程は、その組立金属部材530(キャップ部材30z付きの主体金具50z)と、中心電極20が固定された絶縁体10と、を組み付ける工程(S320)を含んでいる。従って、主体金具50zに対するキャップ部材30zの位置ズレ、ひいては、中心電極20に対する接地電極31aの位置ズレが抑制されるので、適切な間隙gを実現できる。
また、キャップ部材30zと中心電極20との相対位置を固定する工程(図7:S320)の後に、ワックス300の加熱によって、ワックス300が除去される(S330)。従って、適切な間隙gを実現しつつ、間隙gにワックス300が残ることを抑制できる。
C.キャップ部材の別の実施形態:
図8は、キャップ部材の別の実施形態を示す概略図である。図8(A)〜図8(C)は、図1、図2のキャップ部材30の代わりに利用可能なキャップ部材30w、30x、30yを、それぞれ示している。図8(A)〜図8(C)は、それぞれ、中心軸CLを含む断面を示している。図中では、図2(A)のキャップ部材30の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
図8(A)に示すキャップ部材30wは、第1部材31と第2部材32wとを有している。第1部材31は、図2の実施形態の第1部材31と同じである。第2部材32wの形状は、図2の第2部材32から後端方向D2側の部分(外径が接地電極31aの内径と略同じである部分)を省略して得られる形状と、同じである。すなわち、第2部材32wの形状は、平らな略円板形状である。第2部材32wは、図2の第2部材32と同様に、円板部31bの貫通孔31bhに嵌め込まれた状態で、円板部31bに溶接される。このように、第2部材32wは、貫通孔31bhの一部分を塞ぐように円板部31bに固定され、そして、貫通孔31bhよりも径が小さい貫通孔H5wを形成する。
図8(B)に示すキャップ部材30xは、第1部材31xと第2部材32xとを有している。第1部材31xは、接地電極31aと、円板部31cと、を有している。円板部31cは、図8(A)の円板部31bから、先端方向D1側の部分(内径が、接地電極31aの内径よりも大きい部分)を省略して得られる形状と、同じである。すなわち、円板部31cの形状は、接地電極31aの内径と同じ内径の貫通孔31chを有する、平らな略円板形状である。図4のステップS140では、スペーサ200は、貫通孔31chを通じて、取り外される。また、図示を省略するが、円板部31cは、図2(B)の貫通孔H1〜H4に対応する4つの貫通孔を有している(「後端側孔」と呼ぶ)。なお、図8(B)の例では、第1部材31xは、連続な単一の部材である。
第2部材32xの形状は、図8(A)の第2部材32wの外径を、第1部材31xの円板部31cの外径まで拡張して得られる形状と、おおよそ同じである。第2部材32xは、円板部31cの先端方向D1側の面上に配置される。そして、円板部31cと第2部材32xとが接触する部分の外周側の部分W4が、全周に亘って、レーザ溶接によって溶接される。このように、第2部材32xは、円板部31cの貫通孔31chの一部分を塞ぐように円板部31cに固定され、そして、貫通孔31chよりも径が小さい貫通孔H5wを形成する。なお、図示を省略するが、第2部材32xは、図2(B)の貫通孔H1〜H4に対応する4つの貫通孔を有している(「先端側孔」と呼ぶ)。そして、第1部材31xに対する第2部材32xの配置は、円板部31cの図示しない後端側孔と、第2部材32xの図示しない先端側孔とが、連通するように、決定される。
図8(C)に示すキャップ部材30yは、第1部材31xと第2部材32wとを有している。第1部材31xは、図8(B)の第1部材31xと、同じである。第2部材32wは、図8(A)の第2部材32wと、同じである。第2部材32wは、第1部材31xの円板部31cの先端方向D1側の面上に配置される。そして、円板部31cと第2部材32wとが接触する部分の外周側の部分W5が、全周に亘って、レーザ溶接によって溶接される。このように、第2部材32wは、円板部31cの貫通孔31chの一部分を塞ぐように円板部31cに固定され、そして、貫通孔31chよりも径が小さい貫通孔H5wを形成する。
なお、図8(A)〜図8(C)のキャップ部材30w、30x、30yの円板部31b、31cは、図2(A)の円板部31bと同様に、主体金具50の胴部55の先端に固定される。このように、円板部31b、31cは、主体金具50に固定される固定部に対応する。
D.変形例:
(1)キャップ部材の構成としては、上記各実施形態の構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、図2、図8に示す第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chは、スペーサ200の取り外しに利用される。従って、貫通孔31bh、31chの内径は、スペーサ200の外径、すなわち、接地電極31aの内径以上であることが好ましい。また、第2部材32、32w、32xの貫通孔H5、H5wの内径は、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chの内径よりも、小さいことが好ましい。こうすれば、副燃焼室90s内で混合気が燃焼した場合の副燃焼室90s内の圧力を高くすることができるので、内燃機関の燃焼室内において、火炎の届く範囲を、スパークプラグから遠い位置まで拡張できる。なお、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chの内径が、接地電極31aの内径未満であってもよい。この場合、スペーサ200を変形させて取り外せばよい。
(2)キャップ部材に設けられる貫通孔(副燃焼室90sと外部とを連通する孔)は、接地電極31aの内周側と外周側との一方のみに設けられてもよい。例えば、図2、図5、図8の実施形態において、貫通孔H1〜H4(図8では図示せず)が省略されてもよい。この代わりに、貫通孔H5、H5wが省略されてもよい。また、キャップ部材に設けられる貫通孔の総数は、5個に限らず、4個以下でもよく、6個以上でもよい。
(3)図2、図8の実施形態において、第2部材32、32w、32xの貫通孔H5、H5wを省略してもよい。この場合も、スパークプラグの製造時には、第1部材31、31xに第2部材32、32w、32xを固定する前に、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chを通じて、間隙形成部材(例えば、スペーサ200)を取り外すことができる。また、第2部材32、32w、32xは、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chを塞ぐように、第1部材31、31xに固定されることが好ましい。一般には、キャップ部材の第1部材に貫通孔が設けられる場合、キャップ部材の第2部材は、第1部材の貫通孔の少なくとも一部分を塞ぐように、すなわち、貫通孔が小さくなるように、第1部材に固定されることが好ましい。こうすれば、副燃焼室内で混合気が燃焼した場合の副燃焼室内の圧力を高くすることができるので、内燃機関の燃焼室内において、火炎の届く範囲を、スパークプラグから遠い位置まで拡張できる。但し、第2部材が、第1部材上の貫通孔から離れた位置に固定されてもよい。この場合も、第1部材と第2部材とを用いることによって、キャップ部材の構成の自由度を向上できる。
(4)図3、図4の手順に従って製造されるスパークプラグのキャップ部材の構成として、図5の実施形態のように主体金具の内周側に嵌め込まれる構成を採用してもよい。また、図6または図7の手順に従って製造されるスパークプラグのキャップ部材の構成として、図2の実施形態のように主体金具の先端面に固定される構成を採用してもよい。
(5)接地電極の構成としては、上記各実施形態の接地電極31aのような略円筒状の構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、キャップ部材の後端方向D2側の面30s2(図2、図5)から、中心電極20の外周面と対向する位置まで、延びる棒を、接地電極として採用してもよい。また、接地電極は、キャップ部材の他の部分とは別体の部材であってもよい。例えば、図2(A)の実施形態において、接地電極31aが、円板部31bに、溶接によって固定されていてもよい。
(6)中心電極のうち間隙gを形成する部分に、貴金属チップを設けても良い。また、接地電極のうち間隙gを形成する部分に、貴金属チップを設けても良い。貴金属チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。
(7)スパークプラグの製造方法としては、図3、図4、図6、図7で説明した方法に限らず、種々の方法を採用可能である。例えば、図6、図7の製造方法において、ワックス300の除去方法としては、煮沸に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、ワックス300を溶解可能な溶媒(例えば、トルエン(C6H5CH3))を用いて、ワックス300を洗い流してもよい。また、加熱(例えば、煮沸)による除去と、溶媒を用いた溶解による除去と、の両方を行っても良い。ここで、加熱、溶解の順番を採用してもよく、溶解、加熱の順番を採用してもよい。また、加熱と溶解との少なくとも一方を、複数回行ってもよい。
また、図1、図2、図8で説明したスパークプラグを、図7と同様の以下の方法に従って製造してもよい。すなわち、主体金具50に、キャップ部材30、30w、30x、30yの第1部材31、31xを固定する。第1部材31、31xの固定とは独立に、絶縁体10の貫通孔12内に、中心電極20と第1シール部60と抵抗体70と第2シール部80と端子金具40と設ける。これらの工程の後に、絶縁体10と主体金具50とを仮組みし、中心電極20の外周面と接地電極31aとの間に、スペーサ200を配置する。そして、中心電極20の外周面と接地電極31aとの間にスペーサ200が配置された状態で、絶縁体10に主体金具50を固定する。これにより、中心電極20と接地電極31aとの間の相対位置が固定される。その後、スペーサ200を、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chを通じて取り外す。そして、第2部材32、32w、32xを、第1部材31、31xの貫通孔31bh、31chの一部分を塞ぐように、第1部材31、31xに固定する。
一般には、スパークプラグの製造方法としては、中心電極20の側面と接地電極31aとの間に間隙形成部材(例えば、図3、図4のスペーサ200や、図6のワックス300)が配置された状態で、中心電極20と接地電極31aとの間の相対位置を固定する種々の方法を採用可能である。このような方法を採用すれば、間隙形成部材の径方向の厚さを薄くすることによって、中心電極20の側面(すなわち、外周面)に垂直な方向の距離が小さい間隙gを、容易に実現できる。例えば、間隙gの距離として、0.3mm以下の距離を採用してもよい。こうすれば、放電に要する電圧を下げることができる。また、内燃機関の圧縮率が高い場合であっても、放電に要する電圧が高くなることを抑制できる。例えば、ガスエンジンの圧縮率は、ガソリンエンジンと比べて、高い場合が多い。このようなガスエンジンにスパークプラグを適用する場合に、放電に要する電圧が高くなることを抑制できる。なお、間隙gの距離の下限としては、スパークプラグの寸法の精度に従って実現可能な任意の距離を採用可能である。例えば、0.05mmを採用してもよい。
(8)スパークプラグの構成としては、図1、図2、図5、図8に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、抵抗体70が省略されてもよい。また、中心電極20の頭部23が省略されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。