JP6044399B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグに関する。
従来、内燃機関の燃焼室内にて燃料を燃焼させるべく、当該燃料に着火するための火花放電を生じるスパークプラグが知られている。一般にスパークプラグは、放電部を有する柱状の中心電極と、中心電極を内周側に保持する筒状の絶縁碍子と、絶縁碍子を内周側に保持する筒状のハウジングと、ハウジングから伸長されて放電部と対向するように配置される接地電極とを備えている。かかるスパークプラグでは、外部からスパークプラグに電圧印加されるのに応じて、放電部と接地電極との間の火花放電ギャップに火花放電を生じさせることで、燃焼室内の燃料に着火する。
このようなスパークプラグとして特許文献1には、中心電極において放電部に達するまでの電圧損失を可能な限り少なくするために、導電材料からなる軸芯部と、軸芯部の酸化乃至は腐食を抑制する保護部とから、中心電極を構成したものが開示されている。
特開平5−144545号公報
さて、近年、内燃機関として燃費向上のため過給吸気エンジンの開発が進められており、点火時筒内圧力が従来エンジンより高くなる傾向にある。この場合スパークプラグでの放電電圧が従来より上昇しスパークプラグの中心電極への印加電圧が絶縁碍子の耐電圧値を越えることで、絶縁碍子において絶縁破壊を引き起こす現象が懸念される。そのため、スパークプラグには、絶縁破壊せずに高電圧に耐え得る耐電圧が求められている。
また、特許文献1に開示のスパークプラグにおいて中心電極に高電圧を印加すると、当該高電圧は、放電後に極端に下がるため、中心電極を流れる電流値の変動が大きくなる。かかる変動により、短時間のうちに電流値の振幅が大きく変動する高周波成分を多く含むようにして、電流が中心電極を流れることで、導体表面での電流密度を高くする表皮効果が生じる。このとき高周波成分を含む電流は、特許文献1に開示のスパークプラグでは、中心電極のうち軸芯部に直接、接する保護部の外周面に集中的に流れることとなるので、当該保護部外周面の電子が活性化する。その結果、絶縁碍子と接触している保護部の外周面が温度上昇することで、絶縁碍子に向けて電子が保護部側から衝突することになるので、絶縁碍子における電子の衝突電離が加速されて、スパークプラグの耐電圧を低下させるおそれがある。
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、スパークプラグの耐電圧を向上させることにある。
本発明は、放電部(150)を有する柱状の中心電極(100)と、中心電極を内周側に保持する筒状の絶縁碍子(300)と、導電材料からなり、絶縁碍子を内周側に保持する筒状のハウジング(400)と、ハウジングから伸長されて放電部と対向するように配置される接地電極(200)とを備え、放電部と接地電極との間の火花放電ギャップ(G)において火花放電する内燃機関用のスパークプラグ(1)であって、中心電極は、導電材料からなり、放電部の設けられる柱状の軸芯部(110)と、軸芯部の外周側において絶縁碍子により外周側から覆われる筒状の保護部(130)と、絶縁材料からなり、軸芯部と保護部との間に設けられる筒状の絶縁部(120)とを有し、絶縁部は、保護部よりも接地電極側に突出し、軸芯部は、絶縁部よりもさらに接地電極側に突出し、当該突出した先端に放電部を形成していることを特徴とする。
本発明において中心電極は、導電材料からなる柱状軸芯部と、それよりも外周側の筒状保護部との間に、絶縁材料からなる筒状絶縁部を有しているので、それら軸芯部と保護部とが絶縁部により電気的に絶縁され得る。これにより、外部から軸心部に高電圧を印加されて高周波成分を多く含む電流は、中心電極のうち保護部の外周面ではなく、軸芯部の外周面を流れるので、筒状絶縁碍子により外周側から覆われる保護部の外周面の温度上昇を抑制することができる。故に、絶縁碍子に向けて中心電極側から電子が衝突することに起因して、絶縁碍子内の電子の衝突電離が加速されて、スパークプラグの耐電圧が低下する現象を、抑制することができる。
それとともに本発明によると、絶縁碍子を内周側に保持するハウジングと、絶縁碍子内周側に保持される中心電極のうち軸芯部との間では、同中心電極のうち軸心部外周側の絶縁部が絶縁碍子に加えて設けられるので、電気抵抗が増大し得る。さらに、印加電圧が絶縁部と絶縁碍子とに分圧されて下がるので、それら絶縁部及び絶縁碍子の各々における電界強度が緩和される。したがって、こうした電気抵抗の増大及び電界強度の緩和によっても、絶縁碍子の絶縁破壊を抑制し得るのである。
以上説明した本発明の絶縁破壊の抑制作用によれば、スパークプラグの耐電圧を向上させることが可能となる。
なお、特許請求の範囲、及び課題を解決するための手段に記載した括弧内の符号は、本発明の一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
一実施形態におけるスパークプラグを示す全体断面図。 一実施形態における中心電極を示す断面図。 一実施形態におけるセラミックコーティング加工の説明図。 一実施形態におけるしぼり加工の説明図。 スパークプラグに生じる放電により高周波成分を含む電流が生じる際の電流と時間との関係を示す特性図。 電子が絶縁碍子に衝突する様子を示した説明図。 同じ抵抗値を有する抵抗に電圧を印加した際の、温度上昇によって電流値が変化する様子を示す特性図。 図1におけるVIIIを拡大して示す拡大断面図。 変形例1における中心電極を示す断面図。 変形例2における中心電極を示す断面図。
以下の実施形態においては、内燃機関の燃焼室側を先端とし、燃焼室側と反対側を基端としている。
図1に示されるように、本発明の一実施形態によるスパークプラグ1は、例えば自動車、二輪車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプなどに搭載される内燃機関に適用され、当該内燃機関の燃焼室内にて燃料を燃焼させるために火花放電を発生させる。スパークプラグ1は、ハウジング400、絶縁碍子300、接地電極200、中心電極100、グラスシール500、ターミナル600、及び抵抗体700などからなる。
ハウジング400は、炭素鋼といった金属などの導電材料からなり、円筒状を呈している。ハウジング400の外周には、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)などに形成される雌螺子部に螺合するように、雄螺子部410が形成されている。かかる雄螺子部410が雌螺子部に螺合することにより、スパークプラグ1は内燃機関に取り付けられる。
接地電極200は、ニッケル合金といった金属などの導電材料からなり、矩形横断面の帯状を呈してハウジング400の先端から燃焼室内に突出している。接地電極200は、曲折されて中心電極100の先端に設けられる放電部150と対向するように配置されている。接地電極200においてかかる放電部150と対向する位置には、放電部210が設けられている。
絶縁碍子300は、アルミナといったセラミックなどの絶縁材料からなり、円筒状を呈している。絶縁碍子300は、スパークプラグ1に印加される電圧が中心電極100に印加されるように、内燃機関の各要素と中心電極100とを絶縁する機能を持つ。絶縁碍子300は、ハウジング400の内周側に同軸上に嵌合保持され、ハウジング400よりも軸方向両側に突出している。また、絶縁碍子300の基端側においてハウジング400から突出した部位には、蛇腹状に形成された段部310が形成されている。段部310は、絶縁碍子300の軸方向の寸法を小さくしながらも絶縁距離を大きくすることにより、良好な絶縁効果を奏することができる。絶縁碍子300は、円筒孔状の内部空間を有しており、かかる内部空間において、中心電極100、グラスシール500及びターミナル600などを保持している。
ターミナル600は、鉄鋼材料といった金属などの導電材料からなり、外部から印加される電圧を中心電極100に伝える。ターミナル600は、絶縁碍子300に外周側から覆われた円柱状のステム部620と、絶縁碍子300から露出している端子部610とからなる。そして、端子部610は、例えば点火コイルなどの外部の昇圧装置と接続されて、かかる昇圧装置から印加された電圧をステム部620に伝える。
導電部材であるグラスシール500は、ガラスと銅といった金属などの焼結体からなり、絶縁碍子300の内部空間に保持されている。グラスシール500は、ステム部620と、中心電極100との間に配置されている。また、グラスシール500は、絶縁碍子300との間をシールするとともに、ステム部620と中心電極100とを接合している。グラスシール500は、かかる接合により、ステム部620と中心電極100とを電気的に接続する。さらに絶縁碍子300と溶着することで、絶縁碍子300の内部空間を密閉して当該内部空間の気密性を確保する。
抵抗部700は、円柱状を呈してグラスシール500に覆われるように設けられており、絶縁碍子300の内部空間に保持されている。抵抗部700は、ターミナル600と中心電極100との間において設けられることにより、中心電極100の直前において、スパークプラグ1の放電電流を低減することにより、電波ノイズを、低減する。
全体として円柱状の中心電極100は、絶縁碍子300により覆われることで、当該碍子300の内周側に保持されている。図2に示されるように中心電極100は、軸芯部110、絶縁部120及び保護部130を有している。
軸芯部110は、先端の放電部150から基端側へ向かって順に、中間部140及び芯本体部160を有している。芯本体部160は、銅合金といった金属などの導電材料からなり、実質的に円柱状に形成されている。芯本体部160は、絶縁碍子300の内周側に同軸上に配置される軸芯部110の大半部分を、構成している。芯本体部160は、グラスシール500の基端面と接触している。これにより芯本体部110には、グラスシール500から高電圧が印加される。
放電部150は、イリジウム、タングステン、白金といった貴金属やニッケルなどの導電材料からなり、芯本体部160よりも小径の円柱状を呈している。放電部150は、軸芯部110の先端において接地電極200の放電部210と対向するように設けられている。それら放電部150と放電部210との間には、所定の間隔の火花放電ギャップGが形成されている。放電部150には、高電圧が印加されることにより、放電部210との間で電位差が生じる。その結果、火花放電ギャップGの絶縁を破壊する電位差が放電部150,210間に生じると、当該ギャップGにおいて火花放電が生じることで、燃焼室内の燃料に着火する。
中間部140は、放電部150及び芯本体部160との接合性が良好な導電材料、例えばニッケル合金といった金属などからなり、軸芯部110において先端放電部150の基端側に隣接している。中間部140は、円柱状の柱部141及び円錐台状(テーパ状)の円錐台部142を、放電部150及び芯本体部160の間において同軸上に並んで有している。柱部141は、芯本体部160と実質同一径をもって軸方向にストレートに延伸し、芯本体部160の先端面に接合されている。円錐台部142は、柱部141との実質同一径から放電部150との実質同一径まで漸次縮小変化するように軸方向に延伸し、放電部150の基端面に接合されている。中間部140は、こうして放電部150及び芯本体部160と接合されることで、それら要素150,160とを電気的に接続して放電部150への電圧印加を可能にしている。
保護部130は、軸芯部110よりも導電性が低くかつ耐熱性、耐酸化性の良好な導電材料、例えばニッケル、コバルトといった金属などからなり、円筒状を呈している。保護部130は、軸芯部110の外周側において同軸円周上に配置され、絶縁碍子300により外周側から覆われている。これにより保護部130の外周面132は、絶縁碍子300に保持される中心電極110の外周面を構成している。保護部130は、燃焼室内において燃料が燃焼して生じる熱や、温度の上昇した燃焼室内の雰囲気などによって、軸芯部110が酸化乃至は腐食することを抑制する。
絶縁部120は、アルミナといったセラミックなどの絶縁材料からなり、円筒状を呈している。絶縁部120は、軸芯部110と保護部130との間において同軸円周上に設けられることで、軸芯部110の外周面112のうち特に本実施形態では、芯本体部160及び柱状部142の外周面を覆っている。これにより、軸方向において絶縁部120よりも接地電極200側には、軸芯部110のうち円錐台部142が先端の放電部150とともに突出している。すなわち、軸芯部110のうち絶縁部120よりも突出した先端に、放電部150が形成された形態となっている。
絶縁部120は、胴体部122の基端側に鍔部121を有している。鍔部121は、軸芯部110において先端の放電部150とは反対側の基端を覆う箇所に、設けられている。鍔部121は、胴体部122から外周側へフランジ状に突出することで、胴体部122よりも大径化されている。鍔部121が保護部130の基端面と軸方向に接触することで、絶縁部120のうち鍔部121を除いた胴体部122が、保護部130によって外周側から覆われている。それとともに、鍔部121がグラスシール500の基端面と軸方向に接触することで、保護部130が当該鍔部121によってグラスシール500から隔絶されている。さらに、軸方向において絶縁部120は、保護部130よりも接地電極200側に突出している。これにより、絶縁部120のうち少なくとも芯本体部160を覆う部分の全体を、保護部130がさらに覆う形態となっている。
(製造方法)
次に、本実施形態に用いられる中心電極100の製造方法について述べる。
絶縁部120は、軸芯部110となる金属の棒材に中間部140が溶接されてなる芯材11に対して、プラズマ溶射によるコーティング加工を行うことで、形成される。具体的には、まず、放電部150が接合される芯材11の円錐台部142を、マスキング材22で覆う。
次に、芯材11を回転させながら、芯材11の表面をショットブラストによって研磨する。その後、図3に示すように、芯材11を回転させながら、密着性を向上させるためのアンダーコートをした後に、溶解したアルミナなどの絶縁材料の粉末体23をプラズマガス21によって噴射するようにプラズマ溶射を行う。このプラズマ溶射は、まず、プラズマガス噴射装置20に電圧を印加してプラズマガス21を生成する。そして、プラズマガス噴射装置20の噴射口からプラズマガス21を噴射するとともに、噴射口の周りに形成されている粉末ポートから粉末体23をプラズマガス21に送ることで、粉末体23をプラズマガス21とともに芯材11に噴射する。プラズマガス21が、回転する芯材11に噴射されたプラズマガス21は、芯材11の外周面に絶縁層122を形成する。形成される絶縁層122の厚みが所望の厚みとなった際にプラズマ溶射を終了する。ここで、芯材11の端部において、絶縁層122の厚みを大きくとることにより、鍔部121となる大径部が形成される。
所望の厚みの絶縁層122が芯材11に形成された後には、マスキング材22を除去するとともに、絶縁層122の外周面を仕上げ研磨する。以上、プラズマ溶射によるコーティング加工により、芯材11の外周面に絶縁部120が形成された基材12が完成する。
保護部130は、基材12にしぼり加工を行うことにより、形成される。具体的には、まず、しぼり加工の準備工程として、基材12を、保護部130となる円筒材13に挿入する。ここで、円筒材13は、基材12の大径部を覆わないように挿入される。次に、図4に示されるように円筒材13で覆われた基材12を、図示しない直線駆動装置などによって型部材30の圧入孔31に圧入する。圧入孔31は、基材12と、基材12を覆う円筒材13との総直径よりも、小さい直径で形成されている。したがって、円筒材13で覆われた基材12を圧入孔31に圧入するしぼり加工を行うことにより、円筒材13が絞られて塑性変形し、基材12の外周に所望の厚みの保護部130が形成される。
これらの工程により、軸芯部110と保護部130との間に絶縁部120が設けられた中心電極100が完成する。
(原理)
次に、本実施形態によるスパークプラグ1の耐電圧の向上原理について述べる。
図5に示されるように、火花放電ギャップGにおいて生じる火花放電は、二種類に分けられる。具体的に、その一つは、最初の高電圧により火花放電ギャップG間で絶縁破壊が起きて、極めて短時間に大電流が流れる、所謂容量放電S1である。また、別の一つは、容量放電S1により火花放電ギャップG間の混合気がイオン化し、引き続き火花放電ギャップGにおいて電流が流れやすい状態となることで、容量放電S1の際の電圧よりも低い電圧により放電が行われる、所謂誘導放電S2である。この容量放電S1の後から誘導放電S2に移る間において、短時間の間に電流値は大きく変動する。故に、中心電極100を流れる電流は、短時間のうちに電流値の振幅が大きく変動する高周波成分を含むことになる。ここで、一般に電流が円柱状の導体を流れる際、直流電流の場合は、導体の円形断面において一様の電流密度となる。一方、交流電流の場合は、交流電流の周波数が増加するにつれて、導体内部よりも導体表面にて電流密度が大きくなる、表皮効果と呼ばれる現象が起きる。
そこで、従来技術の如く軸芯部110と保護部130とが直接接する比較例を想定してみると、高周波成分を含んだ電流の流れる中心電極100のうち保護部130の外周面132に、表皮効果が生じることになる。かかる表皮効果により、電流が保護部130の外周面132、即ち中心電極100の外周面に流れると、当該電極100全体としては、実質的に電流の流れる断面積が減少して、実質的な抵抗値が増大する。抵抗値の増大は、ジュール熱による局所的な発熱を招来するので、図6に示されるように熱エネルギーを得た電子40は、中心電極100の外周面である保護部130の外周面132と接触した絶縁碍子300に放出され、活発的に衝突するようになる。その結果、絶縁碍子300を構成する粒子(例えばセラミック粒子)に電子40が衝突して当該粒子から新たに電子が放出されるという衝突電離という現象が生じる。こうして絶縁碍子300内では、径方向における電子の衝突が繰り返されることで、電子がハウジング400にまで達すると、中心電極100とハウジング400との間における絶縁碍子300の絶縁破壊が生じることで、大電流が流れてしまうという懸念がある。
また、図7に示されるように電流は、電圧が上昇するにつれて、オームの法則の比例関係通りには流れなくなる。なぜなら、高電圧を印加した際に、電子が放出するエネルギーが減少するショットキー効果が生じて、電子が放出されやすくなり、電流が多く流れるからである。また、ショットキー効果は温度が低いAの場合よりも、温度が高いBの場合において生じ易い。したがって、上述の如き比較例の場合、温度が上昇するにつれて保護部130の外周面132には、絶縁碍子300を流れる微量の電流である漏れ電流以上に電流が流れることで、絶縁碍子300の絶縁破壊を生じ易くする懸念も、さらにある。
一方、これらの懸念事項に対して本実施形態の中心電極100では、図8に示すように、軸芯部110と、軸芯部110よりも外周側の保護部130との間に、絶縁部120が設けられているので、当該絶縁部120は、軸芯部110と保護部130とを絶縁して、保護部130に電流が流れるのを抑制する。これにより、電流は、放電部150とグラスシール500との間の最短経路である軸芯部110を流れやすくなり、上述の表皮効果は、中心電極100のうち保護部130の外周面132ではなく、軸芯部110の外周面112において生じることになる。故に、絶縁碍子300と接触している保護部130の外周面132では、表皮効果により電流が流れて温度が上昇するのを抑制することができる。これによれば、電子40が絶縁碍子300に対して活発に衝突する現象、並びに漏れ電流により生じる以上の電流が流れる現象の両方を発現し難くして、絶縁碍子300の絶縁破壊を抑制することができる。
以上に加えて本実施形態では、絶縁碍子300の絶縁破壊を抑制するために、軸芯部110とハウジング400との間において電界強度を緩和することを、考慮している。ここで、一般に電界強度は、軸芯部110及びハウジング400の各々での電荷密度や、それら要素110,400間の距離などにより決定される。しかし、本実施形態では、絶縁材料の誘電率を変化させることによる電界強度の緩和に着目することで、軸芯部110とハウジング400との間に、絶縁部120と絶縁碍子300との二つの絶縁材料を設けている。これにより、要素110,400間に印加される電圧は、絶縁部120と絶縁碍子300とに分圧されて下がるので、それら要素110,400間の各絶縁材料に生じる分極が緩和される。その結果、絶縁部120と絶縁碍子300との各々における電界強度が緩和されることで、要素110,400間の電子40に働く力が小さくなるので、電子40が電界からエネルギーを得て力を受けることにより絶縁破壊が生じるのを、抑制することができる。
しかも本実施形態では、軸芯部110とハウジング400との間の絶縁材料として、絶縁碍子300とともに絶縁部120が設けられることで、それら要素110,400間の電気抵抗が増大している。かかる電気抵抗の増大によって、絶縁碍子300の絶縁破壊の抑制機能が高められることとなる。
(効果)
以下、本実施形態の効果を説明する。
上述の本実施形態において中心電極100は、導電材料からなる柱状の軸芯部110と、それよりも外周側かつ導電材料からなる筒状の保護部130の間に、絶縁材料からなる筒状の絶縁部120を有しているので、それら要素110,130が絶縁部120により電気的に絶縁され得る。これにより、外部から高電圧を印加されて高周波成分を多く含む電流は、中心電極100のうち保護部130の外周面ではなく、軸芯部110の外周面を流れるので、筒状絶縁碍子300により外周側から覆われる保護部130の外周面の温度上昇を抑制することができる。故に、絶縁碍子300に向けて中心電極100側から電子40が衝突することに起因して、設定電圧値よりも低い電圧値で絶縁碍子300が絶縁破壊を引き起こす現象を、抑制することができる。
それとともに、絶縁碍子300を内周側に保持する筒状のハウジング400と、絶縁碍子300内周側に保持される中心電極100のうち軸芯部110との間では、同電極100のうち軸芯部110外周側の絶縁部120が絶縁碍子300に加えて設けられるので、電気抵抗が増大し得る。さらに、印加電圧が絶縁部120と絶縁碍子300とに分圧されて下がるので、それら要素120,300の各々における電界強度が緩和される。したがって、こうした電気抵抗の増大及び電界強度の緩和によっても、絶縁碍子300の絶縁破壊を抑制し得るのである。
以上説明した本実施形態の絶縁破壊の抑制作用によれば、スパークプラグ1の耐電圧を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、保護部130は、軸芯部110よりも導電性の低い導電材料からなる。これによれば、スパークプラグ1に印加された電圧により流れる電流は、保護部130よりも、軸芯部110を流れ易くなる。したがって、高電圧により生じた高周波成分を含む電流は、保護部130の外周面ではなく、軸芯部110の外周面を流れるので、外周面の温度上昇に起因する絶縁碍子300の絶縁破壊を抑制することができる。故に、スパークプラグ1の耐電圧向上に貢献可能となる。
また、絶縁部120及び保護部130が軸芯部110と同軸の円周上に設けられることで、それら要素120,130,110からなる中心電極100の外周側では、電界分布が周方向にて均一となる。これによれば、中心電極100を外周側から保持する絶縁碍子300では、電荷集中が局所的に集中することに起因して電界強度が上昇することで絶縁破壊が生じ易くなる事態を、抑制することができる。故に、スパークプラグ1の耐電圧向上に貢献可能となる。
さて、軸芯部110及び保護部130間の絶縁性向上により本実施形態では、それら要素110,130間に電位差が生じる。そのため、軸芯部110において放電部150まで電圧が印加されるときには、放電部150,210間の火花放電ギャップGで放電する代わりに、放電部150及び保護部130間で放電する事態が懸念される。しかし、本実施形態の絶縁部120は、軸芯部110にて先端放電部150の基端側に隣接する中間部140を外周側から覆うことにより、放電部150の近傍において軸芯部110を、当該絶縁部120外周側の保護部130に対して確実に絶縁し得る。それとともに、本実施形態の絶縁部120は、保護部130よりも接地電極200側に突出することで、絶縁部120よりもさらに接地電極200側に突出した軸心部110先端の放電部150を、当該保護部130に対して確実に絶縁し得る。これらによれば、軸芯部110から保護部130に放電して絶縁不良となる現象(横飛び)を、抑制することができるので、スパークプラグ1の信頼性を損なわずに耐電圧を向上させることが、可能となる。
加えて、軸心部110において先端の放電部130とは反対側の基端を覆う箇所では、絶縁部120において大径化した鍔部121が保護部130とグラスシール500とを隔絶するので、グラスシール500から中心電極100に伝えられる印加電圧が保護部130には伝わり難くなる。これにより、印加電圧によって生じる電流は、軸芯部110に流れ易くなる一方、保護部130には流れ難くなる。したがって、保護部130に電流が流れて絶縁碍子300が絶縁破壊する事態を、抑制することができるので、スパークプラグ1の耐電圧向上に貢献可能となる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することができる。
例えば図9に示すように、変形例1では、保護部130が絶縁部120よりも接地電極200側に突出していなくてもよい。また、図10に示すように、変形例2では、鍔部121を形成していなくともよい。さらに、変形例3では、絶縁部120は、同軸円周状に形成されていなくてもよい。
またさらに、変形例4では、芯材11に絶縁部120を形成する方法は、円筒状の絶縁材料に芯材11を嵌合挿入する方法であってもよい。あるいは、変形例5では、芯材11に絶縁部120を形成する方法は、熱収縮する円筒状の絶縁材料に芯材11を挿入し、さらに絶縁材料を加熱により収縮させて絶縁部120とする方法であってもよい。
加えて、変形例6では、絶縁部120は、中間部140において放電部150の接合されている部分以外の全てを、覆っていてもよい。
1 スパークプラグ、100 中心電極、110 軸芯部、112 芯外周面、120 絶縁部、121 鍔部、130 保護部、140 中間部、141 柱部、142 円錐台部、150 放電部、160 芯本体部、200 接地電極、210 放電部、300 絶縁碍子、400 ハウジング、500 グラスシール、600 ターミナル、700 抵抗体、G 火花放電ギャップ

Claims (5)

  1. 放電部(150)を有する柱状の中心電極(100)と、前記中心電極を内周側に保持する筒状の絶縁碍子(300)と、導電材料からなり、前記絶縁碍子を内周側に保持する筒状のハウジング(400)と、前記ハウジングから伸長されて、前記放電部と対向するように配置される接地電極(200)とを、備え、前記放電部と前記接地電極との間の火花放電ギャップ(G)において火花放電する内燃機関用のスパークプラグ(1)であって、
    前記中心電極は、導電材料からなり、前記放電部の設けられる柱状の軸芯部(110)と、導電材料からなり、前記軸芯部の外周側において前記絶縁碍子により外周側から覆われる筒状の保護部(130)と、絶縁材料からなり、前記軸芯部と前記保護部との間に設けられる筒状の絶縁部(120)とを、有し、
    前記絶縁部は、前記保護部よりも前記接地電極側に突出し、
    前記軸芯部は、前記絶縁部よりもさらに前記接地電極側に突出し、当該突出した先端に前記放電部を形成していることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 前記保護部は、前記軸芯部よりも導電性の低い導電材料からなることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  3. 前記絶縁部及び前記保護部は、前記軸芯部と同軸の円周上に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  4. 前記軸芯部は、先端の前記放電部に対して基端側に、前記放電部と隣接する中間部を有し、
    前記絶縁部は、前記中間部を外周側から覆うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  5. 導電材料からなり、前記スパークプラグに印加された電圧を前記中心電極に伝える伝達部材(500)を、備え、
    前記絶縁部は、前記軸芯部において先端の前記放電部とは反対側の基端を覆う箇所に、大径化した鍔部(121)を形成しており、
    前記保護部は、前記鍔部によって前記伝達部材と隔絶されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
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