以下に、本願発明を作業車両としてのトラクタに適用した実施形態を図面(図1〜図13)に基づいて説明する。図1はトラクタの左側面図、図2はトラクタの平面図、図3は動力伝達系の概略を示すブロック図、図4はコントローラの機能ブロック図、図5はキャビンの平面図、図6はキャビンの左側面図、図7はアームレストの平面図、図8はアームレストの左側面図、図9はアームレストの右側面図である。なお、図2では便宜上キャビンの図示を省略している。
まず始めに、図1及び図2を参照しながら、トラクタの概要について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
ボンネット6に覆われるエンジンルーム内において、エンジン5の排気側が、連続再生式の排気ガス浄化装置50(ディーゼルパティキュレートフィルタ)と連結している。排気ガス浄化装置50は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒と、捕集した粒子状物質(以下、PMという)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタとを有する。即ち、排気ガス浄化装置50は、筒状の浄化ケーシングの内部に、ディーゼル酸化触媒とスートフィルタとを排気ガスの移動方向に直列に並べた構成を有し、エンジン5の排気ガス中のPMの除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成されている。機体フレーム16の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17が搭載されている。後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18を介して、ミッションケース17に取り付けられている。左右の後車輪4の上方は、機体フレーム16に固定されたフェンダ19にて覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、作業部としてのロータリ耕耘機15を昇降動させるための油圧式昇降機構20が着脱可能に取り付けられている。ロータリ耕耘機15は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結されている。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機15にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後ろ向きに突設されている。
図3に示すように、エンジン5の後側面に後ろ向き突設されたエンジン出力軸24には、フライホイル25が直結するように取り付けられる。このフライホイル25とメインクラッチ140を介して連結されて後ろ向きに延びる主動軸26が、ミッションケース17に前向きに突設された主変速入力軸27と、両端に自在軸継手を備えた伸縮式の動力伝達軸28を介して連結されている。一方、図1に示すように、前車軸ケース13から後ろ向きに突出した前車輪伝達軸(図示せず)と、ミッションケース17の前側面から前向きに突出した前車輪出力軸(図示せず)とは、前車輪駆動軸85を介して連結されている。
また、ミッションケース17内には、油圧無段変速機29、前後進切換機構30、走行副変速ギヤ機構31、及び差動ギヤ機構58が配置されている。エンジン5の回転動力は、動力伝達軸28を介して、ミッションケース17の主変速入力軸27に伝達され、次いで、油圧式無段変速機29と走行副変速ギヤ機構30とにて適宜変速される。この変速動力が差動ギヤ機構58を介して左右の後車輪4に伝達される。また、前述の変速動力は、前車輪駆動軸85を介して前車軸ケース13に伝達されることで、左右の前車輪3にも伝達される。
油圧式無段変速機29は、主変速入力軸27に主変速出力軸36を同心状に配置したインライン方式のものであり、可変容量形の油圧ポンプ部150と、該油圧ポンプ部150から吐出される高圧の作動油にて作動する定容量形の変速用油圧モータ部151とを備えている。油圧ポンプ部150には、主変速入力軸27の軸線に対して傾斜角を変更可能してその作動油供給量を調節するポンプ斜板159が設けられている。ポンプ斜板159には、主変速入力軸27の軸線に対するポンプ斜板159の傾斜角を変更調節する主変速油圧シリンダを関連させている。この主変速油圧シリンダ(図示せず)の駆動にてポンプ斜板159の傾斜角を変更することによって、油圧ポンプ部150から油圧モータ部151に供給される作動油量が変更調節され、油圧式無段変速機29の主変速動作が行われる。
すなわち、主変速レバー290(詳細は後述する)の操作量に比例して作動する比例制御弁123(図4参照)からの作動油にて切換弁(図示せず)が作動すると、不図示の主変速油圧シリンダが駆動し、これに伴い主変速入力軸27の軸線に対するポンプ斜板159の傾斜角が変更される。実施形態のポンプ斜板159は、傾斜略零(零を含むその前後)の中立角度を挟んで一方(正)の最大傾斜角度と他方(負)の最大傾斜角度との間の範囲で角度調節可能であり、且つ、走行機体2の車速が最低のときにいずれか一方に傾斜した角度(この場合は負で且つ最大付近の傾斜角度)になるように設定されている。
ポンプ斜板159の傾斜角が略零(中立角度)のときは、油圧ポンプ部150にて油圧モータ部151が駆動されず、主変速入力軸27と略同一回転速度にて主変速出力軸237が回転する。主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板159を一方向(正の傾斜角)側に傾斜させたときは、油圧ポンプ部150が油圧モータ部151を増速作動させ、主変速入力軸27より速い回転速度で主変速出力軸36が回転する。その結果、主変速入力軸27の回転速度に油圧モータ部151の回転速度が加算されて、主変速出力軸36に伝達される。このため、主変速入力軸27の回転速度より高い回転速度の範囲で、ポンプ斜板159の傾斜角(正の傾斜角)に比例して、主変速出力軸36からの変速動力(車速)が変更される。ポンプ斜板159が正で且つ最大付近の傾斜角度のときに、走行機体2は最高車速になる。
主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板159を他方向(負の傾斜角)側に傾斜させたときは、油圧ポンプ部150が油圧モータ部151を減速(逆転)作動させ、主変速入力軸27より低い回転速度で主変速出力軸36が回転する。その結果、主変速入力軸27の回転速度から油圧モータ部151の回転速度が減算されて、主変速出力軸36に伝達される。このため、主変速入力軸27の回転速度より低い回転速度の範囲で、ポンプ斜板159の傾斜角(負の傾斜角)に比例して、主変速出力軸36からの変速動力が変更される。ポンプ斜板159が負で且つ最大付近の傾斜角度のときに、走行機体2は最低車速になる。
前後進切換機構30は、油圧式無段変速機29の主変速出力軸36からの回転動力を受ける。前後進切換機構30は、走行機体2の前後進切換のための前進ギヤ(図示せず)及び後進ギヤ(図示せず)を備え、前進用及び後進用油圧クラッチ(図示せず)により前進ギヤ及び後進ギヤを択一的に選択して回転させることで、副変速機構31に動力伝達させる。このとき、前後進切換レバー252をいずれにも倒し操作していない中立状態では、不図示の前進用及び後進用油圧クラッチはいずれも動力遮断状態になる。主変速出力軸36から前後車輪3,4に向かう回転動力が略零(メインクラッチ140切りと同じ状態)になるように構成されている。
また、前後進切換レバー252(図1及び図2参照)の前進側倒し操作により、前進用クラッチ電磁弁46(図4参照)が駆動して前進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる。これにより、主変速出力軸36による回転動力が、前後進切換機構30における不図示の前進ギヤを介して、副変速機構31に動力伝達される。一方、前後進切換レバー252の後進側倒し操作により、後進用クラッチ電磁弁48(図4参照)が駆動して後進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる。これにより、主変速出力軸36による回転動力が、前後進切換機構30における不図示の後進ギヤを介して、副変速機構31に動力伝達される。
副変速機構31は、前後進切換機構30からの回転動力を受けるとともに、前後進切換機構30を経由した回転動力を変速して出力する。副変速機構31は、副変速用の低速ギヤ(図示せず)及び高速ギヤ(図示せず)を備え、低速クラッチ(図示せず)及び高速クラッチ(図示せず)により低速ギヤ及び高速ギヤを択一的に選択して回転させることで、前後進切換機構30からの回転動力を変速して、後段の各機構に動力伝達する。
副変速レバー258(図1及び図2参照)の低速側倒し操作により、高速クラッチ電磁弁136(図4参照)の切換動作に応じて、副変速油圧シリンダ(図示せず)のピストンロッドの位置を低速側に変位させる。従って、不図示の副変速油圧シリンダのピストンロッド先端と連結している副変速シフタ(図示せず)が、不図示の低速クラッチを動力接続状態にすることとなり、前後進切換機構30からの回転動力を低速に変速して、差動ギヤ機構58に伝達する。
一方、副変速レバー258の高速側倒し操作により、高速クラッチ電磁弁136(図4参照)の切換動作に応じて、不図示の副変速油圧シリンダのピストンロッドの位置を高速側に変位させる。従って、不図示の副変速シフタ(図示せず)が、不図示の高速クラッチを動力接続状態にすることとなり、前後進切換機構30からの回転動力を高速に変速して、差動ギヤ機構58に伝達する。
差動ギヤ機構58は、副変速機構31からの回転動力を受けるとともに、副変速機構31で変速された変速動力を左右の後車輪4に伝達する。このとき、差動ギヤ機構58は、差動ギヤ(図示せず)により、副変速機構31で変速された変速動力を、左右方向に延びる差動出力軸62それぞれに振り分けて伝達させる(差動動作)。そして、差動出力軸62は、ファイナルギヤ63等を介して後車軸64に連結されており、後車軸64の先端部に後車輪4が取り付けられている。また、差動出力軸62にはブレーキ作動機構65a,65bが関連付けて設けられており、ステアリングコラム245の右側にあるブレーキペダル251(図2参照)の踏み込み操作にて、ブレーキ作動機構65a,65bが制動動作するように構成されている。
更に、操縦ハンドル9(図1及び図2参照)の操舵角が所定角度以上になると、旋回内側の後車輪4に対応したオートブレーキ電磁弁67a(67b)の駆動にてブレーキシリンダ(図示せず)が作動して、旋回内側の後車輪4に対するブレーキ作動機構65a(65b)が自動的に制動動作するように構成されている。このため、Uターン等の小回り旋回走行が実行可能になっている。また、差動ギヤ機構58は、上記差動動作を停止(左右の差動出力軸62を常時等速で駆動)させるためのデフロック機構(図示せず)を備えている。この場合、出入自在に設けられたロックピンをデフロックペダル257(図2参照)の踏み込み操作にて差動ギヤに係合させることにより、差動ギヤが固定されて差動機能が停止し、左右の差動出力軸62が等速にて回転駆動するように構成されている。
また、上記構成のミッションケース17は、その内部に、PTO軸23の駆動速度を切り換えるPTO変速ギヤ機構(図示せず)と、主変速入力軸27及びPTO変速ギヤ機構間の動力伝達を継断可能とするPTOクラッチ(図示せず)とを備える。このPTO変速ギヤ機構及びPTOクラッチの動作により、エンジン5からの動力がPTO軸23に伝達されることとなる。
この場合、後述するPTOクラッチスイッチ225を入り操作すると、PTOクラッチ油圧電磁弁104(図4参照)の駆動により、不図示のPTOクラッチを動力接続状態にする。その結果、主変速入力軸27を通じて伝達されるエンジン5からの回転動力が、不図示のPTOギヤ機構からPTO軸23に向けて出力される。このとき、PTO変速レバー256を変速操作すると、不図示のPTO変速ギヤ機構内の複数のギヤを択一的に回転動作することで、1速〜4速及び逆転の各PTO変速出力がPTO軸23に伝達される。
次に、図4を参照しながら、トラクタ1の各種制御(変速制御、自動水平制御、及び耕耘深さ自動制御等)を実行するための構成について説明する。図4に示す如く、トラクタ1は、エンジン5の駆動を制御するエンジンコントローラ311と、ステアリングコラム(操縦コラム)245搭載のメーターパネル246の表示動作を制御するメーターコントローラ312と、走行機体2の速度制御等を行う本機コントローラ313と、ロータリ耕耘機15の状態制御等を行う作業機コントローラ314とを備えている。
上記コントローラ311〜314はそれぞれ、各種演算処理や制御を実行するCPUの他、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、時間計測用のタイマ、及び入出力インターフェイス等を備えており、CAN通信バス315を介して相互に通信可能に接続されている。エンジンコントローラ311及びメーターコントローラ312は、電源印加用キースイッチ201を介してバッテリー202に接続されている。キースイッチ201は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵にて回転操作可能なロータリ式スイッチであり、操縦座席8の前方に位置するステアリングコラム245に取り付けられている。
エンジンコントローラ311の入力側には、エンジン5のコモンレール内の燃料圧力を検出するレール圧センサ321、エンジン5の回転速度(クランク軸のカムシャフト位置)を検出するエンジン回転センサ322、エンジン5の冷却水温度を検出する冷却水温センサ323、エンジン5のコモンレール内の燃料温度を検出する燃料温度センサ324、排気ガス浄化装置50内におけるスートフィルタ前後(上下流)の排気ガスの差圧を検出する差圧センサ325、並びに、排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ326を接続している。
これにより、エンジンコントローラ311がエンジン5の燃料ポンプ327及び燃料噴射バルブ328を制御する。即ち、燃料タンク(図示せず)の燃料は燃料ポンプ327によってコモンレール(図示せず)に圧送され、高圧の燃料としてコモンレールに蓄えられる。そして、各燃料噴射バルブ328をそれぞれ開閉制御(電子制御)することで、不図示のコモンレール内の高圧の燃料が、噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールされた上で、各インジェクタ(図示せず)からエンジン5の各気筒に噴射される。このため、エンジン5から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できると共に、エンジン5の騒音振動を低減できる。
メーターコントローラ312の入力側には、操縦ハンドル9の回動量(操舵角度)を検出する操舵ポテンショ210、液晶パネル330の表示を切り換える表示切換スイッチ231、及び、排気ガス浄化装置50再生動作を許可する入力部材としての再生スイッチ329を接続している。また、メーターコントローラ312の出力側には、メーターパネル246における液晶パネル330、排気ガス浄化装置50再生動作等に関連して鳴動する警報ブザー331、及び、排気ガス浄化装置50再生動作に関連して明滅する警報ランプとしての再生ランプ332を接続している。
本機コントローラ313の入力側には、前後進切換レバー252の操作位置を検出する前後進ポテンショ211、主変速出力軸36の出力回転数を検出する主変速出力軸回転センサ212、前後車輪3,4の回転速度(走行速度)を検出する車速センサ213、ブレーキペダル251の踏み込みの有無を検出するブレーキペダルスイッチ220、オートブレーキ電磁弁67a,67bを切換操作するオートブレーキスイッチ221、主変速レバー290の操作位置を検出する主変速ポテンショ222、回転数/車速設定ダイヤル226、回転数/車速選択スイッチ227、及びモード切換スイッチ232を接続している。
本機コントローラ313の出力側には、前進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる前進用クラッチ電磁弁46、後進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる後進用クラッチ電磁弁48、副変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる高速クラッチ電磁弁136、主変速レバー290の傾動操作量に比例して主変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる比例制御弁123と、及び、左右のブレーキ作動機構65a,65bそれぞれを作動させるオートブレーキ電磁弁67a,67bを接続している。
作業機コントローラ314の入力側には、走行機体2の左右傾斜角度を検出する振子式のローリングセンサ214、走行機体2に対するロータリ耕耘機15の相対的な左右傾斜角度を検出するポテンショメータ型の作業部ポジションセンサ215、油圧式昇降機構20と左右ロワーリンク21とをつなぐリフトアーム(図示せず)の回動角度を検出するポテンショメータ型のリフト角センサ216、ロータリ耕耘機15の耕耘深さ変動に伴って上下回動する耕耘リヤカバー195(図1及び図2参照)の上下回動角度を検出するポテンショメータ型のリヤカバーセンサ217、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節する作業部ポジションダイヤル300の操作位置を検出するポジションダイヤルセンサ223、耕深設定ダイヤル224、PTOクラッチスイッチ225、傾斜手動スイッチ228、自動昇降スイッチ229、昇降微調節スイッチ230、傾斜設定ダイヤル233、最上昇位置設定ダイヤル234、及び下降速度設定ダイヤル235を接続している。
作業機コントローラ314の出力側には、不図示のPTOクラッチ100を作動するPTOクラッチ油圧電磁弁104、及び、油圧式昇降機構20の単動式油圧シリンダ(図示せず)に作動油を供給するための制御電磁弁121を接続している。
図5及び図6を参照しながら、操縦座席8とその周辺の構造について説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方には、エンジン5の後部側を囲うステアリングコラム245が配置されている。平面視略丸型の操縦ハンドル9が、ステアリングコラム245の上面から突出させたハンドル軸の上端に取り付けられている。従って、操縦ハンドル9における略環状のステアリングホイル247は、水平に対して後方斜め下向きに傾斜した姿勢になっている。
ステアリングコラム245の右側には、エンジン5の出力回転数を設定保持するスロットルレバー250と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル251とが配置されている。ステアリングコラム245の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー252と、動力継断用のメインクラッチ140を切り作動させるためのクラッチペダル253とが配置されている。ステアリングコラム245の背面側には、左右ブレーキペダル251を踏み込み位置に保持するための駐車ブレーキレバー254が配置されている。
キャビン7内の床板248のうちステアリングコラム245の右側には、スロットルレバー250にて設定されたエンジン回転数を最低回転数として、これ以上の範囲にてエンジン回転数を加減速させるためのアクセルペダル255が配置されている。操縦座席8の下方には、後述するPTO軸23の駆動速度を切り換え操作するためのPTO変速レバー256と、左右の後車輪4を等速で回転駆動させる操作を実行するためのデフロックペダル257とが配置されている。操縦座席8の左側には、走行副変速ギヤ機構30(図3参照)の出力範囲を低速と高速とに切り換えるための副変速レバー258が配置される。
操縦座席8の右側には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト259が設けられている。アームレスト259は、操縦座席8とは別体に構成されるとともに、走行系操作手段である主変速レバー290と、作業系操作手段である作業部ポジションダイヤル(昇降ダイヤル)300とを具備する。主変速レバー290は、主変速操作体としての前後傾動操作可能に設けられている。そして、本実施形態においては、主変速レバー290を前傾操作したとき、走行機体2の車速が増加する一方、主変速レバー290を後傾操作したとき、走行機体2の車速が低下する。作業部ポジションダイヤル300は、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節するためのダイヤル式のものである。
アームレスト259の下端後部は、例えば、操縦座席8が載置されるシートフレーム(図示せず)等に立設されたブラケット(図示せず)に対して起伏(上下)回動可能に枢着されて、跳ね上げ回動可能になっている。アームレスト259は、起伏回動による回動姿勢を複数段階(実施形態では4段階)に調節可能に構成されている。なお、アームレスト259は、操縦座席8の前後スライドとは別個独立して、走行機体2の進行方向(前後方向)に沿って位置調節可能(前後スライド可能)に構成されるものとしても構わない。
上述の起伏回動可能な構成を採用すると、操縦座席8に着座するオペレータの体格や作業姿勢に応じてアームレスト259の回動姿勢を段階的に調節できるので、オペレータの腕を的確に支持したり膝に当たらないように設定したりできる。また、アームレスト259を前後スライド位置調節可能な構成とした場合、操縦座席8の前後スライド位置調節機能やアームレスト259の起伏回動可能な構成と相俟って、長時間作業によるオペレータの疲労低減に効果的である。
更に、アームレスト259の右側には、各種操作手段が設けられる操作台260が、フェンダ19上方で固定されている。そして、操作台260の上面には、耕深設定ダイヤル224、PTOクラッチスイッチ225、及び、傾斜手動スイッチ228が、配置されている。耕深設定ダイヤル224は、ロータリ耕耘機15の目標耕耘深さを予め設定するためのダイヤル式のものである。PTOクラッチスイッチ225は、PTOクラッチ100を入り切り操作して、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を継断操作するためのものである。傾斜手動スイッチ228は、ロータリ耕耘機15の左右傾斜角度を手動にて変更調節するためのものである。
PTOクラッチスイッチ225は、スイッチを一度押下しながら平面視で時計回りに回すと押下された位置でロックして、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を接続状態にし、更にもう一度押下すると元の位置に復帰して、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を遮断状態にするというプッシュスイッチである。傾斜手動スイッチ228は、左右方向に傾動させる自己復帰型(モーメンタリー型)のレバースイッチであって、傾斜手動スイッチ228を操作している間だけ、ロータリ耕耘機15の左右傾斜角度が変更する。
図7〜図9を参照しながら、第1の実施形態となるアームレスト259の詳細構造について説明する。アームレスト259は、前後に長い基部(アームレスト後方部分)281と、基部281から前向きに延びた延出部(アームレスト前方部分)282とを備えている。延出部282は、操縦座席8と平行に並ぶように延設された基部281に対して、操縦座席8と離れる方向(実施形態では右方向)に屈曲させて配置され、アームレスト259全体としては平面視略く字状の形態になっている。
アームレスト259は、図7及び図8に示すように、延出部282前端の操縦座席8側に、上面から下向きに凹んだ前方切欠部283を有し、当該前方切欠部283における上面より主変速レバー290が突設されている。また、図7及び図9に示すように、延出部282の右側面(フェンダ19側の側面)には、その前側(操縦ハンドル9側)に、後述する回転数/車速設定ダイヤル(設定ダイヤル)226が、回動可能に軸支されている。そして、延出部282の上面には、主変速レバー290と回転数/車速設定ダイヤル226との間となる位置(前方切欠部283の右側位置)に、後述する回転数/車速選択スイッチ(選択スイッチ)227が配置される。
これにより、オペレータが、その腕や肘をアームレスト259の基部281に載せて、延出部282前方の主変速レバー290又は作業部ポジションダイヤル300を操作したとしても、主変速レバー290よりもフェンダ19側に配置された設定ダイヤル226及び選択スイッチ227に対して不用意に接触するおそれを低減できる。従って、設定ダイヤル226及び選択スイッチ227の誤操作を格段に低減又は防止できる。
回転数/車速設定ダイヤル226は、エンジン5の最高回転速度又は走行機体2の最高走行速度を予め設定するためのものである。回転数/車速選択スイッチ227は、回転数/車速設定ダイヤル226で設定する値をエンジン5の最高回転速度又は走行機体2の最高走行速度のいずれであるか指定するためのものであり、位置保持型(オルタネート型)スイッチ(本実施形態の例では、位置保持型のロッカースイッチ)で構成される。これにより、回転数/車速選択スイッチ227により回転速度が指定されると、回転数/車速設定ダイヤル226により、エンジン5の最高回転速度が設定されることとなる。一方、回転数/車速選択スイッチ227により走行速度が指定されると、回転数/車速設定ダイヤル226により、走行機体2の最高走行速度が設定されることとなる。
アームレスト259の基部281は、図7及び図8に示すように、後方の操縦座席8側にスイッチボックス286が埋め込まれている。スイッチボックス286の上面は、操縦座席8逆側に向かって開く上面蓋287を備える。即ち、上面蓋287は、その回転軸の軸方向が基部281の長手方向(前後方向)となるように、操縦座席8の逆側となる辺縁で軸支されてている。従って、上面蓋287を開いたとき、スイッチボックス286の内側が操縦座席8側から開放されることとなるため、操縦座席8に着座しているオペレータからの操作が容易である。また、通常は、上面蓋287を閉じた状態として、上面蓋287の上面がアームレスト259の基部281の上面高さとし、オペレータがその腕や肘を上面蓋287上に載せることになる。
スイッチボックス286は、その長手方向が基部281の長手方向と沿うように配置されている。このスイッチボックス286は、上面蓋287下面と対抗する内側上面に、傾斜設定ダイヤル233、最上昇位置設定ダイヤル234、下降速度設定ダイヤル235を有する。即ち、上面蓋287を開いたとき、スイッチボックス286の内側上面において、各設定ダイヤル233〜235それぞれが一列に配列される。傾斜設定ダイヤル233は、走行機体2に対するロータリ耕耘機15の相対的な目標左右傾斜角度を予め設定するためのものである。最上昇位置設定ダイヤル234は、ロータリ耕耘機15の最上昇位置を設定するためのものである。下降速度設定ダイヤル235は、ロータリ耕耘機15は、ロータリ耕耘機15の下降時における衝撃低減のためにロータリ耕耘機15の下降時の速度を設定するためのものである。
また、図8に示すように、主変速レバー290は、オペレータにより把持されるグリップ(把持部)292を上端側に取り付けられたレバー軸291を有する。このレバー軸291の下端側が、前方切欠部283下側となる延出部282内部で枢支されることで、主変速レバー290は、前後傾動可能に構成されている。即ち、主変速レバー290は、実質上鉛直な姿勢から前向き姿勢までの間で前後傾動操作可能になっている。そして、前方切欠部283の除いた延出部282前端面は、図8及び図9に示すように、主変速レバー290の回動軌跡に沿うような略1/4円形状の曲面となる前方湾曲面285で構成される。従って、主変速レバー290の傾き姿勢に関わらず、グリップ292が、延出部282の前方湾曲面285から突出した状態となる。これにより、グリップ292を把持するオペレータの手が、アームレスト259の延出部282と接触することがないため、オペレータは、主変速レバー290の操作を円滑に行える。
主変速レバー290を前側(操縦ハンドル9側)に傾動させたとき、主変速ポテンショ222が主変速レバー290検出する主変速レバー290の操作位置にあわせて、ポンプ斜板159(図5参照)を正の傾斜角側に傾斜させ、走行機体2の走行速度を加速させる。一方、主変速レバー290を後側(操縦座席8側)に傾動させたとき、主変速ポテンショ222が主変速レバー290検出する主変速レバー290の操作位置にあわせて、ポンプ斜板159(図5参照)を負の傾斜角側に傾斜させ、走行機体2の走行速度を減速させる。
オペレータは、上面蓋287上(アームレスト259上)に腕を載せた状態で、主変速レバー290を操作することができる。従って、主変速レバー290が極めて操作し易く、トラクタ1における走行操作性の向上に高い効果を発揮できる。このとき、上述の段差部284の位置は、上面蓋287上(アームレスト259上)に腕を載せた状態で、手首付近等が平面視でほとんど重ならないような位置である。従って、アームレスト259上の腕等が設定ダイヤル226及び選択スイッチ227に不用意に当たることがなく(邪魔にならず)、設定ダイヤル226及び選択スイッチ227の誤操作を少なくできる。
主変速レバー290のグリップ292は、図7〜図9に示すように、その上面が緩やかな上向き凸湾曲状の曲面で形成される握り部293を有している。グリップ292の握り部293は、その上面の操縦座席8側を最上端とするように傾斜させて、オペレータが右手で握りやすい構造とされている。この握り部293は、レバー軸291との接続部分に向かって(下側に向かって)、正面視で左右幅が狭くなるように構成されている。即ち、握り部293は、その下側に縊れを有している。また、グリップ292は、握り部293の下側に、レバー軸291と接続するレバー接続部294を備える。レバー接続部294の左右幅は、握り部293下側の左右幅と同等とされる。
グリップ292は、レバー接続部294の前面に自動昇降スイッチ229を配置し、レバー接続部294の操縦座席8側の側面(左側面)に昇降微調節スイッチ230を配置している。また、グリップ292は、握り部293において、操縦座席8側(左側)の縊れ面に表示切換スイッチ231を配置し、操縦座席8の逆側(右側)の縊れ面にモード切換スイッチ232を配置している。自動昇降スイッチ229は、ロータリ耕耘機15を所定高さまで強制的に昇降操作するためのものである。昇降微調節スイッチ230は、ロータリ耕耘機15の高さ位置を微調節操作するためのものである。表示切換スイッチ231は、液晶パネル330の表示内容を切り換えるためのものである。モード切換スイッチ232は、旋回時及び後進時の走行速度を変更・調節するためのものである。
自動昇降スイッチ229は、上下方向に傾動させる自己復帰型(モーメンタリー型)のレバースイッチである。自動昇降スイッチ229を上側に傾動させたとき、ロータリ耕耘機15が最上昇位置設定ダイヤル234で設定された最上昇位置まで上昇する一方、自動昇降スイッチ229を下側に傾動させたとき、ロータリ耕耘機15が作業部ポジションダイヤル300で設定された位置まで下降する。昇降微調節スイッチ230は、自己復帰型(モーメンタリー型)のロッカースイッチで構成されており、昇降微調節スイッチ230を操作している間だけ、ロータリ耕耘機15が昇降する。
このように、主変速レバー290が、自動昇降スイッチ229、昇降微調整スイッチ230、表示切換スイッチ231、及びモード切換スイッチ232を具備することにより、オペレータは、主変速レバー290に対する右手操作だけで、走行状況にあわせた制御を簡単に行える。即ち、主変速レバー290の傾動操作をしながら、自動昇降スイッチ229及び昇降微調整スイッチ230を操作することで、ロータリ耕耘機15の高さ位置を調整できる。また、オペレータは、液晶パネル330の表示内容を切り換えたい場合であっても、主変速レバー290から手を離すことなく、表示切換スイッチ231の操作をすればよい。更に、主変速レバー290のモード切換スイッチ232を操作するだけで、トラクタ1を旋回又は後進させる場合に、予め最適に設定した走行速度に簡単に調整できる。
図7及び図9に示すように、アームレスト259の延出部282における右側面(フェンダ19側の側面)には、回転数/車速設定ダイヤル(設定ダイヤル)226の後方に、略円状の窪み部(側面切欠部)288に作業部ポジションダイヤル(昇降ダイヤル)300が嵌挿されている。即ち、アームレスト259の右側面において、回転数/車速設定ダイヤル226を業部ポジションダイヤル300の前方に配置する。そして、アームレスト259の上面には、主変速レバー290と回転数/車速設定ダイヤル226との間となる位置に、回転数/車速選択スイッチ227を配置する。
窪み部288は、延出部282右側面を窪ませた円状凹部288aを有し、作業部ポジションダイヤル300は、この円状凹部288aに対して回動可能に嵌挿される。また、窪み部288は、円状凹部288aの上側一部を延出部282上面まで窪ませた凹部288bを有し、この凹部288b前後の段差部分が、作業部ポジションダイヤル300の回転を規制する回転規制部289a,289bとなる。
一方、作業部ポジションダイヤル300は、窪み部288の円状凹部288aの中心で軸支されるように嵌挿されており、その外周面301のうちの延出部282上面側に、外側(上側)に突起させた摘み部(操作用突起)302を備える。即ち、摘み部302が、窪み部288上側の凹部288bに嵌るように構成されており、オペレータは、アームレスト259の上側から、作業部ポジションダイヤル300の摘み部302を確認できる。
また、摘み部302は、作業部ポジションダイヤル300の最上位位置であっても、摘み部302上端が延出部282上面よりも低い位置となる。摘み部302が回転規制部289aと当接することで、前方(図9における時計回り)への作業部ポジションダイヤル300の回転が規制される一方、摘み部302が回転規制部289bと当接することで、後方(図9における反時計回り)への作業部ポジションダイヤル300の回転が規制される。従って、主変速レバー290の操作時において、誤って作業部ポジションダイヤル300に触れることを防止できるだけでなく、作業部ポジションダイヤル300の操作時には、回転領域を所定幅で規制できる。
この作業部ポジションダイヤル300は、窪み部288に嵌挿されたとき、延出部282右側面よりも外側(フェンダ19側)に突出している。これにより、オペレータは、アームレスト259の上側から摘み部302を指などで前後させて、作業部ポジションダイヤル300を回転操作できるだけでなく、アームレスト259の右側(フェンダ19側)から外周面を把持しても、作業部ポジションダイヤル300を回転操作できる。従って、オペレータは、上面蓋287上(アームレスト259上)に腕を載せた状態で、作業部ポジションダイヤル300を容易に操作できる。
この作業部ポジションダイヤル300を前方(図9における時計回り)に回転操作すると、制御電磁弁121が切り換え作動して、不図示の単動式油圧シリンダを短縮駆動させ、リフトアーム193(図1参照)を下向き回動させる。その結果、ロワーリンク21を介してロータリ耕耘機15が下降動することになる。逆に、作業部ポジションダイヤル300を後方(図9における反時計回り)に傾動操作すると、制御電磁弁121が切り換え作動して、不図示の単動式油圧シリンダを伸長駆動させ、リフトアーム193を上向き回動させる。その結果、その結果、ロワーリンク21を介してロータリ耕耘機15が上昇動することになる。
実施形態では、アームレスト259の前方部分である延出部282の前端の上面から側面にかけて、主変速レバー290、設定ダイヤル226、及び選択スイッチ227を配置し、延出部282の側面後方に作業部ポジションダイヤル300を配置している。従って、オペレータは、トラクタ1の運転中であっても、走行系操作手段及び作業系操作手段の識別が容易であり、誤操作防止に効果がある。また、走行系操作手段である、主変速レバー290、設定ダイヤル226、及び選択スイッチ227がまとめて配置されているので、その操作性(取り扱い性)に優れている。
また、アームレスト259上にある手を、肘を支点にして左右方向に動かせば、主変速レバー290や作業部ポジションダイヤル300に簡単に手が届く。従って、アームレスト259上にある手だけで、主変速レバー290を操作したり作業部ポジションダイヤル300を操作したりできるという利点がある。そして、アームレスト259に腕を載せたときに、手首を下向きに折り曲げたりしない自然な手の姿勢で、延出部282上の主変速レバー290や作業部ポジションダイヤル300を操作できる。このため、主変速レバー290や作業部ポジションダイヤル300の操作性が格段に向上すると共に、手の安定支持にも寄与する。
図10〜図12を参照しながら、第2の実施形態となるアームレスト259の詳細構造について説明する。アームレスト259は、第1の実施形態と同様、前後に長い基部(アームレスト後方部分)281と、基部281から前向きに延びた延出部(アームレスト前方部分)282とを備え、アームレスト259全体としては平面視略く字状の形態になっている。アームレスト259は、図10及び図11に示すように、延出部282前端の操縦座席8側に前方切欠部283を有し、当該前方切欠部283に主変速レバー290が突設されている。延出部282は、前方切欠部283の後方(基部281との接続側)の操縦座席8側に、上面から下向きに凹んだ段差部284を有し、当該段差部284における上面に、回転数/車速設定ダイヤル226及び回転数/車速選択スイッチ227が配置される。
なお、段差部284の上面の高さ位置は、前方切欠部283の上面よりも高く位置で、且つ、基部281の上面よりも低い位置となる。これにより、オペレータが、その腕や肘をアームレスト259の基部281に載せて、延出部282前方の主変速レバー290を操作したとしても、段差部284の設定ダイヤル226及び選択スイッチ227に対して不用意に接触するおそれを低減できる。従って、設定ダイヤル226及び選択スイッチ227の誤操作を格段に低減又は防止できる。
即ち、オペレータは、上面蓋287上(アームレスト259上)に腕を載せた状態で、主変速レバー290を操作できるので、主変速レバー290が極めて操作し易く、トラクタ1における走行操作性の向上に高い効果を発揮できる。このとき、上述の段差部284の位置は、上面蓋287上(アームレスト259上)に腕を載せた状態で、手首付近等が平面視でほとんど重ならないような位置である。従って、アームレスト259上の腕等が設定ダイヤル226及び選択スイッチ227に不用意に当たることがなく(邪魔にならず)、設定ダイヤル226及び選択スイッチ227の誤操作を少なくできる。
図10及び図12に示すように、第1の実施形態と同様、アームレスト259の延出部282における右側面(フェンダ19側の側面)には、凹部288a,288bで構成される窪み部(側面切欠部)288に、摘み部(操作用突起)302を備える作業部ポジションダイヤル(昇降ダイヤル)300が嵌挿されている。また、凹部288b前後の段差部分が、作業部ポジションダイヤル300の回転を規制する回転規制部289a,289bとなる。従って、主変速レバー290の操作時において、誤って作業部ポジションダイヤル300に触れることを防止できるだけでなく、作業部ポジションダイヤル300の操作時には、回転領域を所定幅で規制できる。
第2の実施形態では、アームレスト259の前方部分である延出部282の上面に、主変速レバー290、設定ダイヤル226、及び選択スイッチ227を配置し、延出部282の側面に作業部ポジションダイヤル300を配置している。そして、延出部282の左側(運転座席8側)に、主変速レバー290、設定ダイヤル226、及び選択スイッチ227を配置し、延出部282の右側(フェンダ19側)に作業部ポジションダイヤル300を配置している。従って、オペレータは、トラクタ1の運転中であっても、走行系操作手段及び作業系操作手段の識別が容易であり、誤操作防止に効果がある。また、走行系操作手段である、主変速レバー290、設定ダイヤル226、及び選択スイッチ227がまとめて配置されているので、その操作性(取り扱い性)に優れている。
また、第1の実施形態と同様、アームレスト259上にある手を、肘を支点にして左右方向に動かせば、主変速レバー290や作業部ポジションダイヤル300に簡単に手が届く。そして、アームレスト259に腕を載せたときに、手首を下向きに折り曲げたりしない自然な手の姿勢で、延出部282上の主変速レバー290や作業部ポジションダイヤル300を操作できる。
本願発明は、上述の第1及び第2の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明はトラクタに限らず、田植機やコンバイン等の農作業機や、ホイルローダ等の特殊作業用車両にも適用可能である。
また、アームレスト259は、操縦座席8の右側にかかわらず、操縦座席8の左側に設けるものとしても構わない。また、上記のように各種操作手段が設けられたアームレスト259が、操縦座席8の左右一側方に設けた場合、操縦座席8の他側方に、操作手段のないアームレストを設けてもよい。更に、走行機体2に搭載されるエンジン5はディーゼル式エンジンに限らず、ガソリン式エンジンであってもよい。
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。