以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
以後の説明を容易にするために、図面において、紙面前後方向をX軸方向、紙面左右方向をY軸方向、紙面上下方向をZ軸方向とし、矢印X、−X、Y、−Y、Z、−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。さらに、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置Uは、操作部としてのユーザインターフェースUI、画像読み取り部としてのイメージ入力装置U1、給紙装置U2、画像形成装置本体U3、及び後処理装置U4を含んで構成されている。
ユーザインターフェースUIは、例えば画像形成装置Uの動作状況を示す表示部UI1、コピースタートキー(動作開始ボタン)、コピー枚数等の情報を入力するテンキー、画像形成装置本体U3から排出される記録シートSに、バインダー等に収納するための穿孔を設けるか否かの設定等を行う穿孔処理設定キー等の入力キーを含んで構成されている。
イメージ入力装置U1は、例えば自動原稿搬送装置および読み取り部本体としてのイメージスキャナ等を含んで構成されている。イメージ入力装置U1により読み取られた原稿の情報は、画像形成装置本体U3に入力される。
給紙装置U2は、例えば、記録シートSを収容する複数の給紙収容部TR1、TR2、及びTR3を含んで構成される。各給紙収容部TR1〜TR3から取り出された記録シートSは、搬送路としての給紙路SH1を通って、画像形成装置本体U3に搬送される。
画像形成装置本体U3は、例えば、給紙装置U2から搬送された記録シートSに画像を形成する画像形成部、現像剤補給装置としてのトナーディスペンサー装置U3a、媒体搬送路としてのシート搬送路SH2、シート排出路SH3、シート反転路SH4、及びシート循環路SH5等を含んで構成される。
また、画像形成装置本体U3は、例えば、制御部としてのコントローラC、およびコントローラCにより制御される書込回路としてのレーザ駆動回路Dおよび電源回路E等を有している。
コントローラCにより制御されるレーザ駆動回路Dは、イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラックの画像情報に応じた駆動信号を予め設定されたタイミングで、各色の潜像形成装置RSy、RSm、RSc、及びRSkに出力する。
可視像形成装置としてのK(ブラック)のトナー像形成装置UKには、例えば、像保持体としての感光体ドラムPkの周囲に、帯電器CCk、現像器Gk、清掃器としてのクリーナCLk等が配置されている。
そして、他のトナー像形成装置UY、UM、UCの感光体ドラムPy、Pm、Pcの周囲にも、例えば、それぞれ感光体ドラムPkの周囲と同様の帯電器CCy、CCm、CCc、現像器Gy、Gm、Gc、クリーナCLy、CLm、CLc等が配置されている。
感光体ドラムPy、Pm、Pc、Pkは、それぞれ帯電器CCy、CCm、CCc、CCkにより帯電された後、潜像形成装置RSy、RSm、RSc、RSkの出力する書込光としてのレーザビームLy、Lm、Lc、Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。
感光体ドラムPy、Pm、Pc、Pk表面の静電潜像は、現像器Gy、Gm、Gc、GkによりY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラックの色のトナー像に現像される。
感光体ドラムPy、Pm、Pc、Pkの表面上のトナー像は、1次転写器としての1次転写ローラT1y、T1m、T1c、T1kにより、中間転写体としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、すなわち、カラートナー像が形成される。そして、中間転写ベルトB上に形成されたカラートナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、入力された画像情報が単色の画像情報、例えば黒画像情報の場合は、K(ブラック)の感光体ドラムPkおよび現像器Gkが使用され、黒のトナー像が形成される。1次転写後、感光体ドラムPy、Pm、Pc、Pk表面の残留トナーは感光体ドラム用のクリーナCLy、CLm、CLc、CLkによりクリーニングされる。
中間転写ベルトBは、例えば駆動部材としてのベルト駆動ローラRd、架け渡し部材としてのテンションローラRt、蛇行補正部材としてのウォーキングローラRw、従動部材としての複数のアイドラローラRf、および2次対向部材としてのバックアップローラT2a等(以下、これらのローラ群をベルト支持ローラという)により、矢印Ya方向に回転移動するように支持されている。
そして、中間転写ベルトB、ベルト支持ローラ、1次転写ローラT1y、T1m、T1c、及びT1kにより、中間転写ユニットとしてのベルトモジュールBMが構成されている。
バックアップローラT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。この2次転写ユニットUtは、例えば、二次転写部材としての2次転写ローラT2b等を含んで構成されている。2次転写ローラT2bは、中間転写ベルトBを挟んでバックアップローラT2aに接離(離隔および接近)するように配置されており、2次転写ローラT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。
また、バックアップローラT2aには、接触給電部材としてのコンタクトローラT2cが接触しており、コンタクトローラT2cにはコントローラCにより制御される電源回路から予め設定されたタイミングで、現像剤のトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
本実施形態では、例えばバックアップローラT2a、2次転写ローラT2b、及びコンタクトローラT2c等を含んで2次転写器T2が構成されている。また、例えば、1次転写ローラT1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等を含んで、感光体ドラムPy〜Pk表面のトナー像を記録シートSに転写する転写装置が構成されている。また、例えば、トナー像形成装置UY〜UKおよび転写装置等を含んで、本実施形態の画像形成部が構成されている。
ベルトモジュールBMの下方には、例えば媒体搬送部材としての循環路搬送ロールRa、時期調整部材としてのレジロールRr等が配置されたシート搬送路SH2が配置されている。給紙装置U2の給紙路SH1から供給された記録シートSは、シート搬送路SH2のレジローラRrに搬送されて、中間転写ベルトB表面のトナー像が2次転写領域Q4に移動する時期に合わせて、案内部材としてのレジ側シートガイドSGr、転写前シートガイドSG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。なお、レジ側シートガイドSGrは、レジローラRrとともに、画像形成装置本体U3に支持されている。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に2次転写器T2により記録シートSに転写される。なお、カラー画像の場合は、中間転写ベルトBの表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録シートSに2次転写される。そして、2次転写後の中間転写ベルトBは、中間転写体用の清掃器としてのベルトクリーナCLBによりクリーニングされる。
トナー像が2次転写された記録シートSは、案内部材としての転写後シートガイドSG2、シート搬送ベルトBHを通って、定着装置Fに搬送される。定着装置Fは、例えば加熱定着部材の一例としての加熱ローラFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ローラFp等を含んで構成され、記録シートSは一対の定着ローラFh、Fpが接触する領域である定着領域Q5に搬送される。
そして、記録シートS上のトナー像は、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fの下流側には、切替部材としての切替ゲートG1が設けられている。この切替ゲートG1は、シート搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録シートSが両面印刷の指示の有無により、シート排出路SH3またはシート反転路SH4側のいずれかに経路へ選択的に搬送されるよう切り替える。シート排出路SH3に搬送された記録シートSは、循環路搬送ロールRa、本体排出部材としての排出ローラRh等により後処理装置U4に排出される。
シート反転路SH4には、シート循環路SH5が接続されており、その接続部には切替部材としてのマイラーゲートG2が設けられている。このマイラーゲートG2は、シート反転路SH4に搬送されてきた記録シートSをそのまま一旦通過させ、その後スイッチバックした記録シートSをシート循環路SH5側に案内する。シート循環路SH5に搬送された記録シートSは、シート搬送路SH2を通って2次転写領域Q4に再送される。
なお、本実施形態では一例として、符号SH1〜SH5で示された要素を含んでシート搬送路SHが構成される。また、一例として、符号SH、Ra、Rr、Rh、SG1、SG2、SGr、BH、G1、G2で示された要素を含んでシート搬送装置SUが構成される。
次に、後処理装置U4の構成について説明する。
後処理装置U4は、画像形成装置本体U3と接続する面に、画像形成装置本体U3により画像が形成された記録シートSを搬入する搬入ローラ26が設けられている。なお、搬入ローラ26は必須ではなく、画像形成装置本体U3の排出ローラRh等の搬送力で記録シートSを後処理装置に搬送してもよい。
この搬入ローラ26から搬入された記録シートSは、例えばユーザインターフェースUIを用いた利用者からの指示に応じて、記録シートSの予め定めた位置にバインダー等に収納するための穿孔を形成する穿孔形成装置28を通過後、共通搬送路に設けられた搬送ローラ27を経由して、切替ゲート2の切替により、上方に延びる上端排出路SH6、右方に延びる端綴じ用の端綴じ排出路SH7、下方に延びる中綴じ用の中綴じ排出路SH8のいずれかに搬送される。
ここで、共通搬送路とは、搬入ローラ26から切替ゲート2までの記録シートSの搬送路を指す。
上端排出路SH6に搬送された記録シートSは、上端搬送ローラ30を経由して上端排出部材としての上端排出ローラ3により、上端排出口P0から上端積載部としての上端排出部TH0に排出される。
端綴じ排出路SH7に搬送された記録シートSは、排出部材としての一対のコンパイル排出ローラ6に挟持されて、媒体収容部7に排出される。
媒体収容部7は、例えば、左方が下方に傾斜したコンパイル収容部8と、コンパイル収容部8の左端に形成された突き当て部としてのエンドウォール9とを含んで構成される。
コンパイル排出ローラ6から排出された記録シートSがコンパイル収容部8に収容されると、コンパイル収容部8の左右方向中央部の上面に設けられ、前後方向(記録シートSの搬送方向と直交する方向)に移動するタンパー10が、記録シートSの前後の側端に接触するよう移動し、記録シートSの前後方向の位置が予め定めた位置になるように調整する。
更に、コンパイル収容部8の左側上方に設けられたパドル11の回転に伴って記録シートSの左端(記録シートSの搬送方向から見ると上流側)がエンドウォール9側に突き立てられることで、記録シートSの束の端部が揃えられた状態でコンパイル収容部8に積載される。
エンドウォール9の左側には、コンパイル収容部8上に積載された記録シートSの束の一端を綴じるための端綴じ部材としてのステープラ12が設けられており、このステープラ12によってコンパイル収容部8に積載された記録シートSの束の一端が綴じられる。
その後、回転軸32を中心として回転するように支持されたクランプアーム33の先端部に設けられたクランプローラ31の位置が、端綴じ排出ローラ16に接触する位置となるようにクランプアーム33を下降させると共に、図示しないモータにより端綴じ排出ローラ16を駆動させ、コンパイル収容部8上の端綴じ処理が行われた記録シートSを、クランプローラ31と端綴じ排出ローラ16とにより挟持してスタッカ排出部41に排出する。
スタッカ排出部41の左端部は、昇降体としてのスライダ42が連結され、スライダ42は後処理装置U4に形成された案内部としてのガードレール43に沿って上下方向に移動するように支持されている。更に、スライダ42の左方には、上下一対の回転部材であるローラ46、47に架けられた昇降ベルト48が設けられており、昇降ベルト48にはスライダ42が固定されている。従って、ローラ46、47の回転により昇降ベルト48が正逆反転するのに伴い、スタッカ排出部41が上下方向に昇降することで、スタッカ排出部41に積載される記録シートSの枚数に応じてスタッカ排出部41の位置が調整される。
一方、中綴じ排出路SH8の経路上には一対の待機ローラ29が設けられ、記録シートSは待機ローラ29に挟持されて中綴じ装置NTSへ搬送される。中綴じ装置NTSは、記録シートSの束を整合して記録シートSの搬送方向中央部を綴じた後、中折りした状態で中綴じ排出部TH2に排出する。
中綴じ排出路SH8は、記録シートSを中綴じ装置NTSへ搬送するための経路としての役割の他に、後ほど説明するように、穿孔形成装置28により穿孔が形成された記録シートSを一時的に待機させる待機経路としての役割も有している。
搬送ローラ27の左方(記録シートSの搬送方向から見ると上流側)には搬入検知センサ4が設けられ、記録シートSの搬送方向の端部を検知する。また、コンパイル排出ローラ6の左方には排出検知センサ5が設けられ、搬入検知センサ4と同様に、記録シートSの搬送方向の端部を検知する。
なお、本実施形態に係る搬入検知センサ4及び排出検知センサ5は、非接触型センサ又は接触型センサの何れであってもよい。
以上、説明した後処理装置U4に係る動作は、制御部50からの指示によって制御される。
次に、図2を用いて、後処理装置U4の上端排出路SH6、端綴じ排出路SH7、及び中綴じ排出路SH8における記録シートSの搬送に関して説明する。
本実施形態に係る後処理装置U4は、例えば搬送モータM1、排出モータM2、及びソレノイドM3を含んで構成される。搬送モータM1は、例えば、搬送ローラ27及び上端排出路SH6に設けられた上端搬送ローラ30にギヤ等を介して接続され、搬送ローラ27及び上端搬送ローラ30を回転駆動する。一方、排出モータM2は、例えば、上端排出路SH6に設けられた上端排出ローラ3、端綴じ排出路SH7に設けられたコンパイル排出ローラ6、及び中綴じ排出路SH8に設けられた待機ローラ29にギヤ等を介して接続され、上端排出ローラ3、コンパイル排出ローラ6、及び待機ローラ29を回転駆動する。また、ソレノイドM3は、例えば、切替ゲート2にギヤ等を介して接続され、切替ゲート2を駆動する。
なお、搬送モータM1及び排出モータM2には、例えば、ステッピングモータ等に比べて静寂性に優れたDC(Direct Current)インナーロータを用いることが望ましいが、これに限られるものではない。
切替ゲート2は一端が搬送路に支持され、切替ゲート2の他端が切替ゲート2の一端を中心として上下方向に移動するように取り付けられている。
そして、ソレノイドM3により、切替ゲート2を上方に移動した場合、上端排出路SH6への搬入口が閉じられ、記録シートSは共通搬送路から端綴じ排出路SH7へと搬送される。一方、切替ゲート2を下方に移動した場合、端綴じ排出路SH7への搬入口が閉じられると共に、切替ゲート2が記録シートSを上端排出路SH6へ誘導するガイド部材として機能するため、記録シートSは共通搬送路から上端排出路SH6へと搬送される。
また、排出モータM2によりコンパイル排出ローラ6を記録シートSの搬送方向とは逆方向に駆動して、記録シートSを端綴じ排出路SH7から共通搬送路に向かって逆搬送する際に、切替ゲート2を上方に移動させると、共通搬送路への搬入口が開いた状態となるため、記録シートSは端綴じ排出路SH7から共通搬送路へと搬送される。一方、切替ゲート2を下方に移動させると、共通搬送路への搬入口が閉じられると共に、切替ゲート2が記録シートSを中綴じ排出路SH8へ誘導するガイド部材として機能するため、記録シートSは端綴じ排出路SH7から中綴じ排出路SH8へと搬送される。
次に、本実施形態に係る後処理装置U4の電気系の要部構成を表したブロック図を図3に示す。
後処理装置U4の制御部50は、例えばコンピュータ50として構成される。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)50A、ROM(Read Only Memory)50B、RAM(Random Access Memory)50C、不揮発性メモリ50D、及び入出力インターフェース(I/O)50Eがバス50Fを介して各々接続された構成であり、I/O50Eには搬送モータM1、排出モータM2、ソレノイドM3、搬入検知センサ4、排出検知センサ5、通信I/F(InterFace)27、穿孔形成装置28、端綴じ処理部55、及び中綴じ処理部56がそれぞれ接続されている。
通信I/F27は、例えば、画像形成装置本体U3のコントローラC等の他の装置と、相互にデータ通信を行うためのインターフェースである。
端綴じ処理部55は、例えば、タンパー10、パドル11、ステープラ12等を含んで構成され、コンパイル収容部8に積載された記録シートSの束の一端をステープラ12によって綴じるための一連の動作に関わる処理を実施する。
中綴じ処理部56は、例えば中綴じ装置NTS等を含んで構成され、記録シートSの束を整合して記録シートSの搬送方向中央部を綴じた後、中折りするための一連の動作に関わる処理を実施する。
また、搬送モータM1には、ギヤ等を介して、例えば搬送ローラ27及び上端搬送ローラ30等の記録シートSの搬送に関わる部材が接続されている。同様に排出モータM2には、ギヤ等を介して、例えば上端排出ローラ3、コンパイル排出ローラ6、及び待機ローラ29等の記録シートSの排出に関わる部材が接続されている。また、ソレノイドM3には、ギヤ等を介して、例えば切替ゲート2等の記録シートSの搬送方向を切替える部材が接続されている。
次に、画像形成装置本体U3から複数の記録シートSに穿孔を形成し、記録シートSの束の端を綴じる旨の指示(以下、連続穿孔指示という)を受けた場合の、従来の重ね合わせ制御について説明する。
連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御とは、穿孔が形成された記録シートSを1枚ずつコンパイル排出ローラ6から排出せずに、記録シートSの端部を揃え複数枚(以下の例では2枚)重ねた状態でコンパイル排出ローラ6から排出する搬送制御であり、単位時間あたりの穿孔形成処理枚数を増加させ、生産性を高めるために用いられる。
この場合、まず、切替ゲート2を上方に移動し、記録シートSの搬送方向上流側の端部(以下、後端という)が穿孔形成装置28を通過するまで、記録シートSを共通搬送路から端綴じ排出路SH7へ搬送させた後、搬送ローラ27及びコンパイル排出ローラ6を逆回転させ、記録シートSの搬送方向とは逆方向(以下、逆搬送方向という)に記録シートSを搬送する。
そして、記録シートSの逆搬送方向下流側(搬送方向上流側)の端部を、穿孔形成装置28の図示しないストッパに突き当て、記録シートSの搬送方向のずれを補正すると共に、穿孔形成装置28の図示しない穿孔ユニットを記録シートSの搬送方向と直交する方向(以下、記録シートSの幅方向という)に移動し、記録シートSの幅方向のずれを補正した後、図示しない穿孔ユニットに設けられた図示しない穿孔刃によって、記録シートSに穿孔を形成する。
その後、穿孔が形成された記録シートS(以下、穿孔済み記録シートという)を共通搬送路から端綴じ排出路SH7へ搬送し、記録シートSの後端が切替ゲート2を通過する位置まで搬送されると、切替ゲート2を下方に移動させると共に、コンパイル排出ローラ6及び待機ローラ29を逆回転させ、記録シートSを中綴じ排出路SH8へ搬送する。そして、記録シートSの逆搬送方向上流側(搬送方向下流側)の端部が中綴じ排出路SH8の予め定めた位置に達すると、切替ゲート2を上方に移動させると共に待機ローラ29を停止して、中綴じ排出路SH8に記録シートSを待機させる。以下、中綴じ排出路SH8に待機させた穿孔形成済みの記録シートSを、特に待機記録シートS1という。
そして、上記と同様の処理によって後続の記録シートSに穿孔を形成した後、当該記録シートSを端綴じ排出路SH7へ搬送する。
この際、搬送ローラ27及び待機ローラ29の回転速度及び回転開始タイミングを制御して、記録シートSの搬送方向下流側の端部(以下、先端という)がコンパイル排出ローラ6で挟持される前に、記録シートSと待機記録シートS1の先端の位置を揃え、記録シートS及び待機記録シートS1を重ね合わせる。その後、重ね合わされた記録シートS及び待機記録シートS1はコンパイル排出ローラ6によってコンパイル収容部8へ排出される。
以上説明したように、従来の連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御では、後続の記録シートSに穿孔形成装置28で穿孔を形成した後で、後続の記録シートS及び待機記録シートS1の先端の位置を揃えている。この場合、後続の記録シートSの先端又は待機記録シートS1の先端の何れか一方が、先にコンパイル排出ローラ6に挟持されてしまうと、後続の記録シートS及び待機記録シートS1の先端の位置を揃えることは困難になってしまう。
すなわち、従来の連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御では、コンパイル排出ローラ6よりも記録シートSの搬送方向上流側の位置で、後続の記録シートS及び待機記録シートS1の先端の位置を揃える必要があった。
従って、従来の連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御に用いられる記録シートSの搬送方向の長さ(以下、単に記録シートSの長さという)は、穿孔形成装置28とコンパイル排出ローラ6との記録シートSの搬送方向の距離(以下、搬送長という)により制限され、記録シートSの長さが搬送長より長い記録シートSの端部を揃え、2枚重ねてコンパイル排出ローラ6から排出することは困難であった。つまり、記録シートSの長さが搬送長より長い記録シートSに対する穿孔形成の生産性が低下することになる。
この場合、搬送長をより長くすれば、それに伴い、記録シートSの長さがより長い記録シートSまで連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御に対応することになる。
しかし、搬送長をより長くすれば、後処理装置U4の大型化につながるという別の問題が生じることになる。
そこで、以下では、後処理装置U4の大きさを大きくすることなく、連続穿孔指示を受け付けた場合に、記録シートSの長さが搬送長より長い記録シートSに対応した重ね合わせ制御を実施する後処理装置U4の作用について、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、CPU50Aにより実行される記録シートSの重ね合わせプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはROM50Bの予め定められた領域に予め記憶されており、例えば、通信I/F27を経由して、画像形成装置本体U3から連続穿孔指示を受信した場合等にCPU50Aにより実行される。
また、図5は、CPU50Aによる記録シートSの重ね合わせプログラムの実行に伴う、記録シートSの搬送状態を示した図である。
なお、記録シートSの重ね合わせプログラムは、ROM50Bに予めインストールされて提供される形態に限らず、CD−ROMやメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
まず、ステップS100では、既に説明した従来の連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御と同様の制御により、1枚目の穿孔済み記録シートを待機記録シートS1として中綴じ排出路SH8に待機させる。
ステップS105では、搬入検知センサ4が搬送される記録シートSの先端を検知したか否かを判定する。判定結果は、例えば搬入検知センサ4がRAM50Cの予め定めた領域を予め定めた値に更新する等により、CPU50Aに通知される。否定判定の場合には、搬入検知センサ4が記録シートSの先端を検知するまでステップS105の処理を繰り返す。肯定判定の場合には、ステップS110へ移行する。
図5(a)は、ステップS105での処理に対応した記録シートS及び待機記録シートS1の搬送状態を示した図である。この場合、記録シートSは矢印で示された搬送方向に搬送される一方、待機記録シートS1は搬送されずに中綴じ排出路SH8で待機している。
ステップS110では、まず、ステップS105で記録シートSの先端を検知してから、待機ローラ29を駆動させ、待機記録シートS1を予め定めた速度で搬送方向に搬送し始めるまでの時間である搬送開始時間を取得する。
この搬送開始時間は、コンパイル排出ローラ6の設置位置よりも記録シートSの搬送方向上流側の位置で、記録シートSの先端と待機記録シートS1の先端とが揃えられるように、待機記録シートS1を搬送し始めるまでの調整時間である。
搬送開始時間は、記録シートSの搬送速度に応じて、例えば不揮発性メモリ50Dの予め定めた領域に予め記憶されている搬送開始時間テーブルから取得する。搬送開始時間テーブルは、記録シートSの搬送速度に対する搬送開始時間が記載されたテーブルであり、後処理装置U4の実機による実験や後処理装置U4の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により定められたテーブルである。
一方、記録シートSの搬送速度は、例えば、CPU50Aが搬送モータM1に指示した回転速度等に応じて、例えば、不揮発性メモリ50Dの予め定めた領域に予め記憶されている搬送速度テーブルから取得する。
搬送速度テーブルは、搬送モータM1の回転速度に対する記録シートSの搬送速度が記載されたテーブルであり、搬送モータM1と搬送ローラ27とを接続するギヤ等のギヤ比や搬送ローラ27の直径等により算出され、予め定められたテーブルである。
CPU50Aは、例えば、搬送モータM1へ指示した回転速度に基づいて、搬送速度テーブルから記録シートSの搬送速度を取得し、取得した記録シートSの搬送速度に基づいて、搬送開始時間テーブルから搬送開始時間を取得する。
なお、搬送開始時間の取得方法が上記の例に限られないことは言うまでもない。例えば、記録シートSの搬送速度を速度センサ等を用いて、直接取得するようにしてもよい。
そして、CPU50Aは、取得した搬送開始時間の経過後に排出モータM2へ予め定めた回転速度で回転を開始するように回転指示を通知し、待機記録シートS1を予め定めた搬送速度でコンパイル排出ローラ6に向かって搬送させる。
この場合、図5(b)に示すように、コンパイル排出ローラ6の設置位置よりも記録シートSの搬送方向上流側の位置で、記録シートS及び待機記録シートS1の先端が揃えられる。
更に、記録シートS及び待機記録シートS1の先端が揃えられた後も、記録シートSの後端が穿孔形成装置28を通過するまで、記録シートS及び待機記録シートS1を搬送する。この場合、記録シートSの長さが搬送長よりも長い記録シートSを搬送している場合には、図5(c)に示すように、記録シートS及び待機記録シートS1の先端はコンパイル排出ローラ6より記録シートSの搬送方向下流側の位置まで搬送される。
次に、ステップS115では、例えば、搬入検知センサ4から記録シートSの後端を検知したとの通知を受ける等、記録シートSが予め定めた位置まで搬送されたものとみなせる場合に、搬送モータM1及び排出モータM2にこれまでの回転方向とは逆方向に回転するように指示を出し、記録シートS及び待機記録シートS1をそれぞれ逆搬送方向に搬送する。図5(d)は、この場合の記録シートS及び待機記録シートS1の搬送状態を示したものである。
なお、この際、コンパイル排出ローラ6、搬送ローラ27、及び待機ローラ29の回転速度が等しくなるように、搬送モータM1及び排出モータM2の回転数を制御する。ここで、コンパイル排出ローラ6、搬送ローラ27、及び待機ローラ29の回転速度が等しいとは、コンパイル排出ローラ6、搬送ローラ27、及び待機ローラ29の回転速度差が予め定めた許容範囲内に入る場合も含んでいる。
ステップS120では、既に説明した従来の連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御と同様の制御により、記録シートSの逆搬送方向下流側(搬送方向上流側)の端部を穿孔形成装置28の図示しないストッパに突き当てると共に、穿孔形成装置28の図示しない穿孔ユニットを記録シートSの幅方向に移動し、記録シートSの搬送方向及び幅方向のずれを補正した後、記録シートSに穿孔を形成する。
なお、記録シートSが穿孔形成装置28の図示しないストッパに突き当てられた際に、搬送モータM1及び排出モータM2へ回転を停止するよう停止指示を出し、記録シートS及び待機記録シートS1の搬送を中断する。
ステップS125では、搬送モータM1及び排出モータM2に回転指示を通知して、穿孔が形成された記録シートS及び待機記録シートS1を、ステップS115で指示した逆搬送方向とは逆方向、すなわち、穿孔形成装置28からコンパイル排出ローラ6へ向かう方向に搬送し、記録シートS及び待機記録シートS1をコンパイル排出ローラ6からコンパイル収容部8へ排出する。図5(e)は、この場合の記録シートS及び待機記録シートS1の搬送状態を示したものである。
なお、この際、コンパイル排出ローラ6、搬送ローラ27、及び待機ローラ29の回転速度及び回転開始タイミングが等しくなるように、搬送モータM1及び排出モータM2の回転数を制御する。
従って、既にステップS110で記録シートS及び待機記録シートS1の先端が揃えられていることから、再びステップS110で示した記録シートS及び待機記録シートS1の先端を揃える制御を実施しなくても、記録シートS及び待機記録シートS1の端部が揃えられた状態で重ね合わされてコンパイル収容部8に排出される。
このように、本実施形態に係る記録シートSの重ね合わせプログラムに基づいた重ね合わせ制御では、後続の記録シートSに穿孔を形成する前に、当該記録シートS及び待機記録シートS1の先端を揃えるため、記録シートSの長さが搬送長より長い記録シートSであっても、穿孔済みの記録シートS及び待機記録シートS1の端部を揃え、重ね合わせた状態でコンパイル収容部8へ排出される。
従って、搬送長をより短くして後処理装置U4を小型化する場合であっても、搬送長により、連続穿孔指示に基づく重ね合わせ制御の際に用いられる記録シートSの長さが制限されることがない。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本実施形態では、記録シートSの重ね合わせ制御をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該制御をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
この場合の形態例としては、例えば、制御部50が実行する処理に対応した機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、本実施形態の場合と比較して、処理の高速化が期待される。
また、本実施形態に係る後処理装置U4は、記録シートSの搬送速度に基づいて、待機記録シートS1を搬送し始めるタイミングを調整し、記録シートS及び待機記録シートS1の先端を揃えるようにしたが、記録シートS及び待機記録シートS1の先端を揃える方法はこれに限られない。
例えば、コンパイル排出ローラ6より記録シートSの搬送方向上流の端綴じ排出路SH7の経路上に、搬送される記録シートS及び待機記録シートS1を一時的に堰き止める突起部材を設け、記録シートS及び待機記録シートS1の先端が突起部材に突き当たり、各々のシートの端部が揃った場合に、突起部材を移動させ、記録シートS及び待機記録シートS1の搬送を再開するようにしてもよい。
更に、本実施形態に係る後処理装置U4では、穿孔済み記録シートを2枚重ねてコンパイル排出ローラ6から排出するものとして説明したが、穿孔済み記録シートを3枚以上重ねてコンパイル排出ローラ6から排出するようにしてもよい。
例えば、3枚重ねてコンパイル排出ローラ6から排出する場合、図4のフローチャートに従い、1枚目の記録シートSに対してステップS100の処理を行い、ステップS105で2枚の記録シートSの搬入を検知すれば、ステップS110〜ステップS120の処理をそのまま実施する。そして、3枚目の記録シートSに対して重ね合わせ制御を実施したか否かを判断する処理をステップS120とステップS125の間に追加し、否定判定の場合はステップS100へ、肯定判定の場合はステップS125へ移行させればよい。
この場合、中綴じ排出路SH8では、複数の待機記録シートS1が端部が揃えられた状態で重ね合われて待機することになる。