以下、本発明をパチンコ遊技機に適用した一実施形態を、図1〜図24に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の遊技機10は、前面枠10Zを前面に備え、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、図2に示す遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。遊技盤11の後側には、図3に示す機構枠17が取り付けられ、その機構枠17には種々の装置が取り付けられている。
図1に示すように、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、操作ハンドル28が備えられている。そして、操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
図2に示すように、遊技盤11の前面からは、遊技領域R1を包囲するガイドレール12が突出している。ガイドレール12は、遊技盤11の外縁部を周回するように配置され、ガイドレール12の下端部には、下方に膨むように湾曲し、流下する遊技球を受け止めて遊技領域R1の中央へと案内可能な湾曲ガイド部12Gが備えられている。
遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成されており、その表示開口11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、その前面が遊技に関する演出を行う表示画面13Gとなっている。なお、詳細には、表示画面13Gは、機構枠17(図3参照)の開口部17Kと遊技盤11の表示開口11Hを通して遊技者に視認可能となっている。
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれて、表示開口11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が設けられている。また、表示装飾枠23の右下には、大入賞口15と複数のサイド入賞口21が設けられている。なお、複数のサイド入賞口21は、始動ゲート18の下方且つ大入賞口15の右側に配置されている。
表示装飾枠23の横方向中央の下方には、第1の始動入賞口14Aと第2の始動入賞口14Bとが上下2段に並べて配置され、それら始動入賞口14A,14Bの左側には、ガイドレール12の湾曲ガイド部12Gに沿って一般入賞口20が複数設けられている。
遊技領域R1には、各入賞口14A,14B,15,20,21とは別に、特典(賞球)を付与することなく遊技領域R1の外側に排出するためのアウト口16が設けられている。また、遊技領域R1には、遊技球の流下方向をランダムに変更するための障害釘が多数植設されている。なお、詳細には、本実施形態では、アウト口16として、遊技領域R1の下端部中央に配置された中央アウト口16Aと、左側一般入賞口20の左側に配置されたサイドアウト口16Bの2種類が設けられている。
次に、遊技領域R1の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ入球(入賞)すると、その遊技球は遊技盤11の裏側に取り込まれ、例えば、1個の入球につき10個の賞球が上皿26に払い出される。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄の当否判定が行われる。
第1の始動入賞口14Aは、ポケット構造をなして遊技球が1つずつ入球可能な大きさで上方に開口している。第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入球可能な大きさで前方に開口し、回動扉14Tによって開閉される。回動扉14Tは、通常は、閉状態となっていて、上述した普通図柄の当否判定が当りになると、開状態となる。第1と第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、例えば、1個の入球につき4個の賞球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄の当否判定が行われる。そして、特別図柄の当否判定が当りになると、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行し、大当り遊技が実行される。
大入賞口15は、横長矩形状をなし、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、遊技状態が大当り遊技状態となって大当り遊技が実行されると、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。
なお、各入賞口14A,14B,15,20,21及びアウト口16に取り込まれた遊技球は、球排出ダクト80(図3参照)を介して遊技機10の外部に排出され、図示しない球回収装置に回収される。
図3に示すように、本実施形態の遊技機10は、上述した入賞口14A,14B,15・・や表示装置13等のほかに、可動部材の動作により遊技に関する演出を行う2つの可動役物装置を機構枠17に固定して備えている。2つの可動役物装置のうち一方の第1可動役物装置110Sは、第1可動部材110(本発明の「可動部材」に相当する。)を図4に示す通常状態と図7に示す落下状態とに変化させる。第1可動部材110は、通常状態では表示画面13Gの上部前方に寄せて配置され、落下状態では表示画面13Gの全体を前側から覆うように配置される。また、2つの可動役物装置のうち他方の第2可動役物装置210Sは、遊技盤11の前面と平行な基準面に沿って第2可動部材210(本発明の「装飾部」に相当する。)を図9に示す退避位置と図10に示す演出位置との間で移動させる。退避位置の第2可動部材210は表示画面13Gの外側に配置され、演出位置の第2可動部材210は表示画面13Gの中央寄り部分の前方に配置される。以下、第1可動役物装置110S及び第2可動役物装置210Sについて詳説する。
図4に示すように、第1可動役物装置110Sは、上下方向に直線状に延びた1対の昇降ガイド132,132を間隔をあけて横並びにして備え、それら1対の昇降ガイド部材132,132の間に第1可動部材110を差し渡した構造になっている。なお、1対の昇降ガイド部材132,132は、表示画面13Gを左右方向に挟むように機構枠17(図3参照)の左右の辺部に固定され、遊技盤11及び表示装飾枠23(図2参照)の後側に隠れるように配置されている。
図4及び図5に示すように、1対の昇降ガイド部材132,132のうち一方の昇降ガイド部材132には、第1可動部材110を上下動させるための昇降機構130が備えられている。本実施形態の例では、昇降機構130は、ボール螺子機構によって構成されていて、昇降ガイド部材132内で上下方向に延在するボール螺子133と、ボール螺子133と螺合した図示しないボールナットと、ボール螺子133を回転駆動する昇降用モータ134と、を備えている。
なお、詳細には、図6に示すように、昇降ガイド部材132には、第1可動部材110が通常状態のときに、第1可動部材110の下方への移動を許容する落下許容位置と、第1可動部材110の下方への移動を禁止する落下禁止位置と、に配置される落下用ストッパ139が備えられていて、落下用ストッパ139が落下禁止位置に配置されているときには、上述のボールナットがボール螺子133の下端寄り位置に配置される。そして、落下用ストッパ139が落下許容位置に配置されることにより、第1可動部材110が自重により落下する。
図6及び図7に示すように、第1可動部材110は、前後方向にずれて配置された前側落下部材111と後側落下部材121とがシート状の網体141を介して連絡された構造になっていて、通常状態では、前側落下部材111と後側落下部材121とは、前後に重ねられた合体状態となっていて、表示画面13Gの上部前方に配置されている。なお、本実施形態では、前側落下部材111、後側落下部材121、網体141が、それぞれ本発明の「前側可動部」、「後側可動部」、「連絡部材」に相当する。
図6及び図8に示すように、前側落下部材111は、上方から見た形状が後側に開放したコの字状のフレーム部112と、フレーム部112の前面に固定された装飾プレート113と、を備え、フレーム部112のうち左右方向で対向する1対の支持対向壁112T,112T(図6及び図8には、一方の支持対向壁112Tのみが示されている。)が、昇降ガイド部材132,132に上下動可能に支持されている。1対の支持対向壁112T,112Tのうち一方の支持対向壁112Tには、昇降ガイド132に取り付けられた前側スライドレール135(図4参照)を上下動するスライダ136が固定されていて、そのスライダ136が、上述したボール螺子133(図5参照)と螺合する図示しないボールナットによって下方から受け止められている。
図6に示すように、後側落下部材121は、前後方向で対向した前面壁121A及び後面壁121B(本発明の「従動当接部」に相当する。)の上端部同士が天井壁121Cで連絡された構造になっていて、前面壁121Aと後面壁121Bの側部が1対の昇降ガイド部材132,132に上下動可能に支持されている。詳細には、前面壁121Aは後面壁121Bよりも横長に形成されていて、後面壁121Bは、前面壁121Aの横方向の一端部(図6では左側の端部)に重ねて配置されている。そして、後面壁121Bの横方向の一端部と前面壁121Aの横方向の他端部とがそれぞれ、昇降ガイド部材132,132に上下動可能に支持されている。
後側落下部材121は、昇降ガイド部材132に対し上下動自在に構成されていて、通常は、前側落下部材111により落下が防止されている。具体的には、図8に示すように、前側落下部材111の支持対向壁112Tの上端部には、後側落下部材121の前面壁121Aに下方から当接可能な当接部115が設けられていて、前側落下部材111の当接部115が後側落下部材121の前面壁121Aを下方から受け止めることで、後側落下部材121の落下が防止されている。
また、後側落下部材121は、前側落下部材111が下方へ移動したときに、昇降ガイド部材132に備えられた受止ストッパ137(図6参照)によって落下が防止される。具体的には、後側落下部材121の後壁121Bの側部は、昇降ガイド部材132に後側から重ねられ、昇降ガイド部材132の後面に形成された後側スライドレール138に支持されている。受止ストッパ137は、昇降ガイド部材132の後面から突出し、後側落下部材121の後壁121Bに下方から当接する。
このように、本実施形態では、後側落下部材121の可動ストロークは、前側落下部材111の可動ストロークよりも小さくなっている。ここで、前側落下部材111の可動ストロークの上端及び下端を「前側上端位置」及び「前側下端位置」と称し、後側落下部材121の可動ストロークの上端及び下端を「後側上端位置」及び「後側下端位置」と称することにすると、第1可動演出部材110は、前側落下部材111が前側上端位置に配置され且つ後側落下部材121が後側上端位置に配置されたときに通常状態(図4参照)となり、前側落下部材111が前側下端位置に配置され且つ後側落下部材121が後側下端位置に配置されたときに落下状態(図7参照)となる。
図7に示すように、網体141は、複数の糸142を格子状に張り巡らせて網地が構成された構造になっていて、四角形状の空洞部である網の目143を有している。また、網体141は、前側落下部材111の後面側で前側落下部材111に取り付けられた芯材150(図6参照)にロール状に巻き取られる。芯材150は、前側落下部材111における1対の支持対向壁112T,112Tの間に回転可能に支持されている。なお、図6では、網体141が省略して示されている。
網体141の巻き取り方向における芯材150と反対側の端部は、後側落下部材121に固定されている。そして、網体141は、前側落下部材111が下方へ移動して後側落下部材121から分離したときに、芯材150から繰り出されて、表示画面13Gの前方を覆うように広げられる(この状態が、本発明に係る「分離状態」に相当する)。ここで、本実施形態では、芯材150の内部に、芯材150を巻き取り方向へ回転付勢する回転付勢バネ(図示せず)が備えられていて、前側落下部材111が上方へ移動すると、芯材150が網体141を自動的に巻き取るようになっている。なお、本実施形態では、網体141は、天井壁121Cの上面に固定されて前面壁121Aを前側から覆っている。
次に、第1可動役物装置110Sの動作について説明する。第1可動役物装置110Sは、常には、第1可動部材110を通常状態に保持し、所定の落下演出条件が成立すると、後側落下部材121と前側落下部材111を落下させる。具体的には、落下演出条件が成立すると、落下用ストッパ139(図6参照)が落下許容位置へ移動し、後側落下部材121及び前側落下部材111が昇降ガイド132に沿って一体に下降する。このとき、後側落下部材121は、下降の途中で、昇降ガイド部材132に備えられた受止ストッパ137にて下方から受け止められて、後側下端位置に位置決めされる。後側落下部材121が後側下端位置に位置決めされると、前側落下部材111が後側落下部材121から分離して下降し、後側落下部材121と前側落下部材111との間の間隔が広がっていく。
前側落下部材111が後側落下部材121から分離して下降すると、芯材150に巻き取られていた網体141が芯材150から繰り出されて、後側落下部材121と前側落下部材111との間に広げられる。そして、前側落下部材111が前側下端位置に配置されると、第1可動演出部材110が落下状態(図7参照)となる。
第1可動演出部材110が落下状態となった後、所定の落下演出終了条件が成立すると、第1可動役物装置110Sは、昇降用モータ134を駆動して前側落下部材111を上昇させる。前側落下部材111は上昇の途中で後側落下部材121を押し上げて後側落下部材121と一体に移動し、前側落下部材111と後側落下部材121とが前側上端位置と後側上端位置とに配置されると、第1可動部材110が通常状態(図4参照)へと戻る。このとき、網体141は、回転付勢バネ158の付勢力によって芯材150に巻き取られる。第1可動部材110が通常状態になると、落下用ストッパ139が落下禁止位置に配置され、昇降用モータ134がボールナット(図示せず)をボール螺子133の下端寄り位置まで下降させる。第1可動役物装置110Sの動作に関する説明は以上である。
次に、第2可動役物装置210Sについて説明する。第2可動役物装置210Sは、機構枠17に固定された固定ベース211と、固定ベース211に回動可能に支持された基端アーム212と、基端アーム212に回動可能に支持された先端アーム213と、を備え、先端アーム213に上述の第2可動部材210が支持されている。
図10及び図19に示すように、固定ベース211は、L字状をなして機構枠17の上辺部と左辺部とに重ねて固定され、第1可動部材110が通常状態のときに、その第1可動部材110と昇降ガイド132の後側に隠れるように配置される。なお、第1可動部材110が落下状態になると、固定ベース211は前方から視認可能となる。このため、本実施形態では、固定ベース211の前面と機構枠17の上辺部の前面とには、同様の装飾が施されていて、固定ベース211が目立たないようになっている。
基端アーム212は、固定ベース211の下端部から側方へ片持ち梁状に張り出し、固定ベース211の下端部を前後方向に貫通する回転中心軸212Jを中心に回動する(図11(A)及び図11(B)参照)。具体的には、基端アーム212は、固定ベース211から下方に直線状に延びて昇降ガイド部材132の後側に重ねられた基端アーム初期位置(図9参照)と、固定ベース211の下端部から右斜め下方に延びて表示画面13Gの前方に露出した基端アーム作動位置(図10参照)と、の間を回動する。なお、基端アーム212を駆動するための駆動源(図示せず)は固定ベース211に備えられている。
先端アーム213は、基端アーム212の先端部から側方へ片持ち梁状に張り出し、基端アーム212の先端部を前後方向に貫通する回転中心軸213Jを中心に回動する(図11(A)及び図11(B)参照)。詳細には、先端アーム213は、基端アーム212が基端アーム初期位置付近に配置されているときにのみ回動する。
なお、先端アーム213の回動機構は以下のようになっている。即ち、先端アーム213の基端部には、図11(A)に示すように、基端アーム212の長手方向に沿って延びた棒状リンク214が回動可能に取り付けられていて、この棒状リンク214が固定ベース211に連結している。棒状リンク214は、基端アーム212に対して基端アーム212の回動半径方向に移動可能となっていて、通常は、基端アーム212の回動中心軸212Jの近傍に配置されている。そして、図11(B)に示すように、棒状リンク214は、基端アーム212が基端アーム初期位置から回動すると、固定ベース211に備えた棒状リンクガイド部214Gに案内されて回動中心軸212Jから離れる側に移動する。棒状リンク214が回動中心軸212Jから離れる側へ移動すると、その移動に伴って先端アーム213が基端アーム212に対して回動する。
第2可動部材210は、先端アーム213の先端部に回転可能に支持されている。具体的には、図9及び図11(A)に示すように、先端アーム213の先端部には、前方から見て円形状をなす円盤部213A(本発明の「ベース部」に相当する。)が設けられていて、第2可動部材210は、円盤部213Aに前側から重ねられて円盤部213Aの中心軸213C回りに回転する。
図12(A)及び図13(A)に示すように、第2可動部材210は、外形が縮小された収縮状態(図12(A)参照)と、外形が拡大された拡張状態(図13(A)参照)とに変化する。詳細には、第2可動部材210は、先端アーム213の円盤部213Aに重ねられるベース盤221と、ベース盤221の前方に配置された可動演出部222と、を備えている。ここで、ベース盤221の前面は遊技盤11の前面と平行になっていて、前方から見て可動演出部222の外形が縮小されたときに第2可動部材210は収縮状態となり、前方から見て可動演出部222の外形が拡大されたときに第2可動部材210は拡張状態となる(図12(B)及び図13(B)参照)。以下、第2可動部材210の拡縮について説明する。
図14及び図15には、第2可動部材210の主要部が模式的に示されている。図14に示されるように、第2可動部材210の可動演出部222には、ベース盤221の中央部に重ねられた中央進退部223と、中央進退部223の四方を取り囲むように配置された複数の拡縮変形部230と、が設けられている。
中央進退部223は、ベース盤221に対して前後方向(図14及び図15の上下方向)に移動して、図14に示す前進位置と、図15に示す後退位置とに配置される。具体的には、ベース盤221の中央部には、中央進退部223から後方に突出した後方シャフト223Sを直動可能に支持する直動支持筒224が形成されていて、後方シャフト223Sが駆動されて直動支持筒224の直動支持孔224A内を前進、後退することで、中央進退部223が前後方向に移動するようになっている。このように、本実施形態では、中央進退部223がベース盤221に形成された直動支持筒224(詳細には、直動支持孔224A)に直動可能に支持されているので、中央進退部223の移動の安定化が図られている。なお、図示はしないが、後方シャフト223Sの駆動源は先端アーム213に備えられている。
拡縮変形部230は、内側回動部材231と外側回動部材232とを回動可能に連結した構造になっている。内側回動部材231は、直動支持筒224の外側でベース盤221に回動可能に連結され、その連結部位から直動支持孔224Aの径方向外側に張り出している。そして、内側回動部材231は、中央進退部223からの動力を受けて回動中心軸231Jの回りを回動し、ベース盤221と略平行になった内側倒伏位置(図15参照)と、回動中心軸231Jから離れた側の端部がベース盤221から前方に持ち上げられた内側起立位置(図14参照)とに配置される。
ここで、中央進退部223から内側回動部材231への動力伝達は、内側回動部材231と中央進退部223の両方に回動可能に連結された中継部材235によって行われる。具体的には、中継部材235は、中央進退部223の外縁部から後側に突出した連結突部223Tに一端部が連結され、内側回動部材231の張出方向における先端部(即ち、回動中心軸231Jから離れた側の端部)に他端部が連結されている。そして、中央進退部223が前進位置に配置されると、中継部材235は、中央進退部223の後側に位置して内側回動部材231の張出方向の先端部を中央進退部223側に引き寄せ、内側回動部材231を起立させる(図14参照)。一方、中央進退部223が後端位置に配置されると、中継部材235は、中央進退部223から側方に突出し、内側回動部材231の張出方向の先端部を直動支持孔224Aの径方向外側に押して、内側回動部材231を倒伏させる(図15参照)。
図14に示すように、外側回動部材232は、内側回動部材231の張出方向における先端部(即ち、内側回動部材231における回動中心231Jから離れた側の端部)に回動可能に連結され、その連結部位から直動支持孔224の径方向外側に張り出している。なお、本実施形態では、内側回動部材231における外側回動部材232との連結部位は、上述の中継部材235との連結部位よりも先端側に配置されている。
図14及び図15に示すように、外側回動部材232は、内側回動部材231の回動に伴って回動中心軸232Jの回りを回動する。そして、内側回動部材231が内側倒伏位置に配置されたときに、外側回動部材232は、ベース盤221と略平行になった外側倒伏位置に配置され(図15参照)、内側回動部材231が内側起立位置に配置されたときに、外側回動部材232は、内側回動部材231との連結部位がベース盤221に対して前方に持ち上げられた外側起立位置に配置される(図14参照)。そして、内側回動部材231と外側回動部材232が内側倒伏位置と外側倒伏位置に配置されたときに、拡縮変形部230は、ベース盤221と略平行になって中央進退部223から側方に張り出す拡張姿勢となり、可動演出部222の外形が拡大される(図13(A)参照)。また、内側回動部材231と外側回動部材232が内側起立位置と外側起立位置に配置されたときに、拡縮変形部230は、張出方向(直動支持孔224の径方向)の中間部が前側へ突出するように山状に折れ曲がって中央進退部223側へ引き寄せられた収縮姿勢となり、可動演出部222の外形が縮小される(図12(A)参照)。
ここで、本実施形態では、外側回動部材232の張出方向の先端部は、直動ガイド225によって、ベース盤221に沿って直動支持孔224Aの径方向に案内されるようになっていて、これにより、外側回動部材232の回動の安定化が図られている。直動ガイド225は、ベース盤221に形成され、直動支持筒224から直動支持孔224の径方向外側に延びたガイド溝226(図16(A)参照)と、ガイド溝226に沿って直動するスライダ227と、を備えていて、このスライダ227に、外側回動部材232の先端部が回動可能に連結されている。
図16(A)及ぶ図16(B)には、直動ガイド225の詳細が示されている。図16(A)に示すように、ガイド溝226は、ベース盤221の外縁部を残すようにベース盤221の外縁寄り位置まで延びていて、ベース盤221の外縁部には、スライダ227がガイド溝226から外側へ脱落することを防止するためのストッパ部228が形成されている。また、図16(B)に示すように、ガイド溝226の前端開口縁からは、スライダ227の幅方向にガイド片226H,226Hが張り出し、それらガイド片226H,226Hがスライダ227の両側部に形成された係合凹部227A,227Aと凹凸係合している。
なお、本実施形態では、第2可動部材210が収縮状態になると、中央進退部223と複数の外側回動部材232とがベース盤221から前側に隆起したドーム体240を構成するし、複数の内側回動部材231と複数の中継部材235とがドーム体240の内側に収容される。ここで、中央進退部223と複数の外側回動部材232のうちドーム体240の外面を構成する部分には、同様の装飾(本実施形態では、サッカーボールの装飾)が施されていて、ドーム体240(中央進退部223と複数の外側回動部材232)が1つの部材で構成されているかのような印象を遊技者に付与可能となっている。
また、図14に示すように、中継部材235には、中央進退部223と同様の装飾が施された隙間装飾部235Aが備えられている。隙間装飾部235Aは、第2可動部材210が収縮状態のときには、直動支持孔224Aの径方向外側を向くように配置され(図14参照)、第2可動部材210が拡張状態のときには、前側を向いて中央進退部223と内側回動部材231との間の隙間を埋めるように配置される(図15参照)。そして、本実施形態では、中継部材235の隙間装飾部235Aによって、第2可動部材210が拡張状態となったときに中央進退部223と外側回動部材232との間に生じる隙間を目立たなくすることが可能になると共に、中央進退部223の外形が拡大したかのように見せることが可能となる。
第2可動部材210の拡縮に関する説明は以上である。このように、第2可動役物装置210Sは、第2可動部材210を、図9に示す退避位置と図10に示す演出位置との間で移動させると共に、第2可動部材210を先端アーム213に対して回転させ、さらに、第2可動部材210を、外形が拡大した拡張状態と外形が縮小した収縮状態とに変化させることが可能となっている。
ところで、本実施形態の遊技機10では、第1可動部材110と第2可動部材210の両方を駆動する複合役物演出を実行可能となっている。以下、図3及び図17〜図20を用いて複合役物演出の流れについて説明する。
複合役物演出では、まず、図3から図17への変化に示すように、第2可動部材210が退避位置から演出位置へ向かって移動する。このとき、第2可動部材210は収縮状態のまま移動する。ここで、図17には、機構枠17に固定された図示しない直動ガイドに沿って横方向に直動可能な帯状部材250が示されている。帯状部材250は、第2可動部材210の移動に伴って、常に、先端アーム213の後側に配置されるように移動し、第2可動部材210が後側、即ち、表示画面13G側へ移動することを規制する。
図17から図18への変化に示すように、第2可動部材210が退避位置と演出位置との間の第1中間位置に到達すると第2可動部材210は、収縮状態から拡張状態へと変化する。なお、図示はしないが、第2可動部材210は、拡張状態になると、先端アーム213に対して円盤部213Aの中心軸213C(図11(A)参照)を中心として回転する。これにより、拡張状態の第2可動部材210において、周方向で隣り合う拡縮変形部230,230同士の間の隙間を目立たなくすることが可能となる。
第2可動部材210が拡張状態になると、図18から図19への変化に示すように、第1可動部材110が通常状態から落下状態へと変化する。なお、第2可動部材210は、拡張状態のまま、第1可動部材110の前側落下部材111と網体141の後側を通って演出位置へと移動する(図22参照)。
ここで、図21〜図23に示すように、第2可動部材210を支持する先端アーム213の円盤部213には、後側に突出した後方突部215が設けられている。そして、第2可動部材210が第1中間位置と演出位置との間の第2中間位置へ到達すると、図23に示すように、後方突部215が、第1可動部材110における後側落下部材121の後面壁121Bに下方から当接する。なお、本実施形態では、上述したように、第2可動部材210は、帯状部材250によって後側への移動が規制されるので、円盤部213Aと後面壁121Bが前後にずれることが抑えられ、円盤部213Aと後面壁121Bとを当接させ易くなっている。
具体的には、後方突部215は、円盤部213Aの外縁部に設けられていると共に、後方へ向かうにつれて拡径するテーパ部を有している(図23参照)。また、後側落下部材121の後面壁121Bの下端面は、上方(即ち、演出位置側)へ向かうにつれて後側へ向かうように傾斜した後面壁傾斜面121Tとなっている。そして、後方突部215のテーパ部の側面であるテーパ面215Tと、後面壁傾斜面121Tとが、互いに当接する。この構成によれば、円盤部213A(後方突部215)と後面壁121Bとが当接したときに、テーパ面215Tと後面壁傾斜面121Tによって円盤部213Aを後側に移動させることが可能となるので、先端アーム213が移動するときに円盤部213Aと後面壁121Bの当接が外れることが抑制可能となる。なお、本実施形態では、テーパ面215T及び後面壁傾斜面121Tが、本発明の「傾斜当接面」に相当する。
図19から図20への変化に示すように、第2可動部材210が第2中間位置から演出位置へと移動すると、後方突部215が後側落下部材121を押し上げ(図24(A)から図24(B)への変化を参照)、第2可動部材210と後側落下部材121とが一体になって移動する。このとき、後側落下部材121が後側下端位置(図7及び図24(A)参照)から後側上端位置(図4及び図24(B)参照)まで移動する一方、前側落下部材111は前側下端位置(図7参照)に配置されたままとなり、網体141が前側落下部材111に対して上方に引っ張られる。
また、第2可動部材210が演出位置から退避位置へ移動するときは、第2中間位置より演出位置側では、重力で下方へ付勢された後側落下部材121が第2可動部材210と一体に移動する。第2中間位置より退避位置側では、第2可動部材210が後側落下部材121から分離して移動する。
なお、本実施形態では、所定の演出条件が成立すると、第2可動部材210が、演出位置と第2中間位置との間を往復動する演出が行われ、このとき後側落下部材121及び網体141も、第2可動部材210と一体になって後側上端位置と後側下端位置との間を往復動する(図24(A)の状態と図24(B)の状態との間を往復動する)ので、遊技者に驚きを与えることが可能となり、趣向性を向上させることが可能となっている。
第2可動部材210が演出位置に到達した後、所定の複合役物演出終了条件が成立すると、複合役物演出が終了する。複合役物演出が終了すると、第1可動役物装置110S及び第2可動役物装置210Sは、上述した動作と反対の動作を行い、第1可動部材110を通常状態にすると共に、第2可動部材210を退避位置に配置する。
なお、本実施形態では、図21に示すように、収縮状態における第2可動部材210と前側落下部材111とは、前後方向で一部重なるように配置されている。このため、第2可動部材210が収縮状態のときに第1可動部材110が落下状態へ変化すると、第2可動部材210と前側落下部材111とが衝突することになる。しかしながら、本実施形態の遊技機10では、第2可動部材210は、前側落下部材111に後側から重ねられるときには、拡張状態となっているので、前側落下部材111との衝突を避けることが可能となっている。別の見方をすれば、本実施形態の遊技機10では、第2可動部材210は、拡張状態のときに、前側落下部材111の後側に重ねられる構成となっているので、第2可動部材210と前側落下部材111との前後方向の嵩張りを抑えることが可能となり、限られたスペースに第2可動部材210及び第1可動部材110を配置することが可能となっている。
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。なお、本実施形態では、第2可動部材210及び先端アーム213が本発明の「主動部材」に相当し、退避位置が本発明の「第2主動位置」に、演出位置が本発明の「第1主動位置」にそれぞれ相当する。また、第1可動部材110が分離状態ときの後側落下部材121及び網体141が本発明の「従動部材」に相当し、後側上端位置、後側下端位置が、それぞれ本発明の「第1従動位置」、「第2従動位置」に相当する。また、第1可動部材110が分離状態のときの網体141が、本発明の「前側重なり部」に相当する。
次に、本実施形態の遊技機10の作用効果について説明する。本発明では、第2可動部材210が退避位置から演出位置へ移動する場合、退避位置と演出位置の間の第2中間位置で円盤部213Aと第1可動部材110の後面壁121Bとが当接し、第2中間位置より演出位置側で、第2可動部材210が第1可動部材110と一体に移動する。一方、第2可動部材210が演出位置から退避位置へ移動する場合、第2中間位置より演出位置側では、重力で付勢された第1可動部材110が第2可動部材210と一体に移動し、第2中間位置より退避位置側では、第2可動部材210が第1可動部材110から分離して移動する。このように、本発明によれば、第2可動部材210と第1可動部材110が一体となるだけでなく、それら2つの部材が一体となった状態で移動するので、2つの部材が一体となるだけの従来の遊技機と比較して、一体となる2つの部材の趣向性を向上させることが可能となる。しかも、本実施形態では、第1可動部材110に、第2中間位置に配置された第2可動部材210を前側から視認可能に覆う網体141が備えられていると共に、第1可動部材110と当接する円盤部213Aの全体が第2可動部材210にて前側から覆われているので、第2可動部材210と第1可動部材110が一体になって移動する様子を遊技者に視認容易としつつ、それら2つの部材の当接部分を目立ち難くすることが可能となる。
また、本実施形態によれば、円盤部213Aと第1可動部材110とが互いに当接する第2中間位置において、第2可動部材210が、円盤部213Aの前側で第1可動部材110と接触せずに回転可能なので、円盤部213Aと第1可動部材110の当接部分に影響を与えることなく、第2可動部材210の動作の趣向性を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、第2可動部材210が退避位置から演出位置へ移動すると、分離状態となった第1可動部材110の後側落下部材121と先端アーム213の円盤部213Aとが当接し、第2可動部材210と後側落下部材121とが一体になって移動する。このとき、前側落下部材111と後側落下部材121とを連絡する網体141が後側上端位置側へ引き伸ばされる。本発明の構成によれば、第2可動部材210の動きによって網体141及び後側落下部材121が前側落下部材111に対して後側上端位置側に引っ張られるような印象を遊技者に付与することが可能となり、第2可動部材210と第1可動部材110の動作について趣向性の向上を図ることが可能となる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、本発明の「従動部材」を付勢する付勢手段が、重力であったが、ばねやゴム等の弾性体であってもよいし、磁石であってもよい。 また、このように弾性体や磁石を従動部材の付勢手段として用いた場合、本発明の主動部材と従動部材の移動方向が、左右方向であってもよい。
(2)上記実施形態では、帯状部材250が移動する構成であったが、固定された構成であってもよい。また、上記実施形態では、本発明の「後方移動規制部材」が、帯状であったが、板状であってもよい。
(3)上記実施形態では、円盤部213Aに後方突部215が形成された構成であったが、図25に示すように、円盤部213Aに後方突部215が形成されていない構成であってもよい。この構成では、後側落下部材121の後面壁121Wは、円盤部213Aの外周面と当接する。