〔遊技機の基本構成〕
本発明の一実施形態に係る遊技機について各図を参照して説明する。
以下、遊技機の基本的な構成について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「表(前)」、及び「裏(後)」は、特に断らない限り、遊技機1を遊技者側から見た場合における各方向を示すものとする。
図1は、本実施形態の遊技機1の全体を示す模式図である。図2は、遊技機1に配される遊技盤70を示す模式図である。
図1に示す遊技機1は、所謂パチンコ機である。この遊技機1には、遊技盤70が機内部に配置されている。遊技盤70上には、遊技球Pを射出する打球装置20がそのハンドル部分を前面に露出させて設けられている。ここで遊技盤70上とは遊技盤70の盤面上をいう。遊技機1は、遊技者が打球装置20のハンドルを操作することで遊技球Pを遊技盤70上に射出する。そして、遊技盤70上には、入賞口76等のポケットが配されており、遊技盤70上を転動流下する遊技球Pがこの入賞口76等に入球した場合に、所定数の遊技球Pを払い出す。遊技機1は、上皿30や下皿40を備えており、遊技球Pは、この上皿30や下皿40に払い出されて貯留される。
このような遊技機1は、機体の外郭をなす縦長方形状の外枠10を備えている。外枠10は、遊技ホールの島設備に取り付け固定される。外枠10の下部は、合成樹脂製の腰板ユニット11で構成されている。外枠10の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットするために縦長方形状の中枠12が開閉可能に取り付けられている。外枠10には、一方の側縁部にヒンジ機構13が設けられており、中枠12は、ヒンジ機構13に枢支されることで開閉可能となっている。
中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤70を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と上皿30とが、横開き状態で開閉可能に組み付けられている。この前枠14と上皿30も外枠10に設けられたヒンジ機構13で枢支されることで開閉可能となっている。中枠12の前面側において上皿30の下方には、下皿40や打球装置20のハンドルが装着されている。
上皿30には、その左方側に機内部から払出される遊技球Pの上皿払出口31が設けられている。入賞等により払い出された遊技球Pは、上皿払出口31から上皿30に排出される。そして、上皿30に貯留されている遊技球Pは、機内へ取り込まれて、打球装置20によって遊技盤70に向けて発射される。上皿30の前面には、上皿球抜きボタン32が設けられている。上皿30と下皿40とは、図示しない球抜き通路で繋がっている。球抜き通路は、上皿球抜きボタン32の押下操作によって開通し、上皿30に貯留されている遊技球Pを下皿40に向けて流下させる。
遊技機1は、入賞、図柄変動、大当り状態、リーチ状態などの各種遊技の状態に応じた各種の演出を行う。遊技機1の前面側には、各種音声を出力して音声演出を行うスピーカ50が配置されている。スピーカ50は、前枠14や中枠12の裏面に装着されており、装着部位に対応する遊技機1の表面には図示しない放音孔が複数形成されている。各スピーカ50は、効果音等の各種音声を出力し、音声出力に基づく遊技演出を行う。また、前枠14のほぼ全周を囲むように装飾ランプ75が配置されている。各装飾ランプ75は、LEDランプ等の発光体を備え、遊技の状態に応じて点灯または消灯して、発光装飾に基づく遊技演出を行う。
図2に示すように、遊技盤70の前面には、外レール71と内レール72が敷設されている。外レール71と内レール72は、パチンコ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域74を遊技盤70上に区画形成する。内レール72は、外レール71の内側に敷設されている。外レール71と内レール72とは、遊技盤70の左下方から左上方に向かって延設されており、打球装置20から射出された遊技球Pを遊技領域74に誘導する円弧状の誘導路73を形成している。
遊技盤70の遊技領域74には、複数の入賞口76が配されている。これらの各入賞口76は、遊技盤70から前方向に直立し、上方に開口を有するポケット形状を有する。ポケット内部には、遊技球Pを検知するセンサが配されている。遊技機1は、入賞口76に遊技球Pが入球すると、センサがこの入球を検知したことを契機として所定球数の遊技球Pが上皿30に払い出される。遊技盤70の遊技領域74の最下部には、いずれの入賞口76にも入球せずにアウト球となった遊技球Pが入球するアウト球口77が配設されている。このアウト球口77は、アウト球を回収して内部へ送出し、機外排出を行うために設けられている。
遊技盤70の遊技領域74には、中央に開口を有した大型の枠体であるセンター役物100が装着されている。センター役物100には、遊技球が転動し得るステージが設けられている。
遊技領域74内であってセンター役物100の下方には、始動口79が設けられている。この始動口79は、遊技盤70から前方向に直立し、上方に開口を有するポケット形状を有する。ポケット内部には、遊技球Pを検知するセンサが配されている。遊技機1は、始動口79に遊技球Pが入球すると、センサがこの入球を検知したことを契機として図柄変動ゲームを開始する。
センター役物100の開口には、図柄表示部78が配置されている。図柄表示部78には、複数種類の図柄を変動させて複数列の図柄からなる図柄組み合わせを導出する図柄変動ゲームなどの表示演出の画像が表示される。
図柄変動ゲームにおいて図柄表示部78では、複数種類の飾り図柄(以下、「飾図」と示す)を複数列で変動させて各列に飾図が表示される。飾図は、図柄表示部78で行われる表示演出を多様化するために用いられる演出用の図柄である。
図柄表示部78には、図柄変動ゲームで導出される3列の図柄毎に対応して、各列の図柄を停止表示させる3つの図柄表示位置HP1,HP2,HP3が定められている。停止表示では、図柄表示部78の各図柄表示位置HP1〜HP3において図柄の種類を遊技者が識別可能な状態で図柄が表示させる。この停止表示には図柄が一時的に停止している一旦停止表示と、図柄が確定的に停止している確定停止表示とがある。
そして、図柄表示部78では、図柄変動ゲームが開始すると図柄が変動表示されるとともに、変動の停止によって各列の図柄表示位置HP1〜HP3に1つの図柄が一旦停止表示され、その後に図柄変動ゲームが終了すると各列の図柄表示位置HP1〜HP3に1つの図柄が確定停止表示される。変動表示では、図柄表示部78において図柄が予め定めた表示順序にしたがって変動しながら表示される。
図柄変動ゲームでは、各列に[1]〜[8]の8種類の数字が飾図として表示可能とされている。そして、図柄表示部78で図柄変動ゲームが開始すると、各列の図柄は、予め定められた表示順序で図柄表示部78の上方から下方にスクロールさせながら変動表示されるようになっている。
図柄表示部78には、当該図柄表示部78に定められる3つの図柄表示位置HP1〜HP3を結んでなる組み合わせ有効ラインLが形成されている。なお、図2では、説明の便宜上、各図柄表示位置HP1〜HP3、及び有効ラインLを図示しているが、実機においては、これらの図柄表示位置HP1〜HP3、及び有効ラインLが目視可能な状態で表示されている必要はない。有効ラインLに停止表示された3つの図柄からなる図柄組み合わせが、大当りか否かを遊技者に認識させるための有効な図柄組み合わせとなる。
図柄変動ゲームでは、有効ラインLに停止表示させる3列の飾図を同一の飾図として形成した図柄組み合わせを、内部抽選で大当りを決定した場合に図柄表示部78に確定停止表示させる飾図の大当り図柄としている。例えば、飾図による大当りの図柄組み合わせは、[111]や[777]などである。一方、有効ラインLに停止表示させる3列の飾図を同一の飾図とせずに形成した図柄組み合わせを、内部抽選ではずれを決定した場合に演出表示装置に確定停止表示させる飾図のはずれ図柄としている。3列の飾図が同一の飾図とならない場合には、3列の飾図の全てが異なる場合や、2列の飾図が同一で、かつ1列の飾図が異なる場合が含まれる。例えば、飾図のはずれ図柄組み合わせは、[123]、[115]、[767]や[889]などである。
始動口79の下方には、大入賞口80が配されている。大入賞口80は、開閉動作可能な開閉扉80aで閉じられている。開閉扉80aは、図柄変動ゲームで大当りが決定されると、予め定めた開放時間や開放回数で開動作し、遊技球Pの入球を許容する。そして、大入賞口80には、遊技球Pを検知するセンサが設けられており、遊技機1は、大入賞口80への入球を検知すると、所定球数の遊技球Pを払い出す。
センター役物100は、遊技機1の前後方向に所定の厚みを有しており、遊技盤70の前面から少なくとも遊技球Pの直径以上の厚み分突出して取り付けられている。センター役物100の枠体は、枠体上部100a及び枠体下部100bを有する。枠体上部100aは、図柄表示部78の上方において遊技領域74を左右に横断している。枠体下部100bは、図柄表示部78の下方において遊技領域74を左右に横断している。センター役物100のステージ122を転動する遊技球が勢い余って、裏ユニット(後述する)側に飛び出さないように仕切壁としての役割を担う仕切板120が設けられている。仕切板120は、図柄表示部78の表示を妨げないように透光性を有している。
遊技盤70は裏ユニット(図示省略)を有している。なお、裏ユニットを含めて遊技盤70という場合がある。
裏ユニットは遊技盤70の背面に配設されている。裏ユニットの背面に図柄表示部78が取り付けられている。裏ユニットには図柄表示部78に対応するように開口が設けられている。
裏ユニットは、それと遊技盤70との間にスペースが画成されるように略コ字状に形成されている。画成されたスペースには、図示省略した演出装置を設けるための設置スペースとして用いられる。ここで、演出装置の一例としては、可動体、それを駆動させる力を発生する駆動部、駆動部の力を可動体に伝える経路を含むものとする。遊技盤70は、遊技盤70を介して図柄表示部78及び可動体を視認することが可能なように、例えばアクリル樹脂材で形成され、その全体が透過性を有している。
このようなスペースはその周囲に様々な部品を設ける必要性から、前後方向、左右方向、及び上下方向に制限を受けるため、演出装置は、可能な限り小型であることが要望される。
〔演出装置の主構成〕
以上、遊技機1の基本的な構成について説明した。次に、演出装置200の主な構成について図7〜図11、図13、及び図18を参照して説明する。
図7は第1位置に移動した演出装置200を後から見たときの概念図、図8は第2位置に移動した演出装置を後から見たときの概念図、図13は、前ケース201及び後ケース202を外して第1位置にある演出装置を後から見たときの背面図、図18は、前ケース201及び後ケース202を外して第2位置にある演出装置を後から見たときの背面図である。ここで、図7及び図8は、図13及び図18に示す可動体210、220、230、第1の経路310、及び第2の経路320をそれぞれ簡略化あるいは抽象化した図である。
図7及び図8に示すように、演出装置200は、第1の可動体210、第2の可動体220及び第3の可動体230、駆動部250、本体260、前ケース201、後ケース202、第1の経路310、及び第2の経路320を有している。
第1の可動体210は、遊技盤70と裏ユニットとの間のスペースにその端部215が倒れた状態で格納される第1姿勢(図7に示す位置)と、その端部215が立ち上がってセンター役物100の開口の中央部に進出した第2姿勢(図8に示す位置)との間の姿勢に変更する。
同様に、第2の可動体220は、その端部225がスペースに倒れた状態で格納される第1姿勢(図7に示す位置)と、その端部225が立ち上がってセンター役物100の開口の中央部に進出した第2姿勢(図8に示す位置)との間の姿勢に変更する。
第3の可動体230は、第1の可動体210及び第2の可動体220の姿勢の変更により第1位置と第2位置との間を往復移動する。なお、第1位置または第2位置というときは、演出装置200の全体の位置を説明するときに用いる場合と、第3の可動体230の位置を説明するときに用いる場合とがある。
図9は第1位置にある演出装置を前から見たときの正面図、図10は第1位置にある演出装置200を後から見たときの背面図、図11は第1位置にある演出装置200を右側から見たときの右側面図である。
図9〜図11に示すように、駆動部250は、駆動源の一例としての電動モータMを有している。駆動部250の詳細については後述する。
本体260は、演出装置200の前面部を構成する化粧板である。
前ケース201は本体260に後から重ねるようにして固定されている。
後ケース202は複数のケース用部材により構成されている。複数のケース用部材は、前ケース201に後から重ねるようにしてそれぞれ固定されている。前ケース201と後ケース202との間には、第1の経路310、第2の経路320、及び駆動部250の一部を収納するための収容空間が形成されている。
本体260、前ケース201、及び後ケース202は、前後方向に重なるように配置されている。さらに、第1の経路310、第2の経路320及び駆動部250は、収容空間に収納されている。それにより、演出装置200を全体的に薄型にすることが可能となる。なお、駆動部250については、その一部が収容空間に配置されている。
次に、第1の経路310及び第2の経路320について図7、図8、図9、及び図14を参照して簡単に説明する。図14は第2位置にある演出装置を前から見たときの正面図である。
図7及び図8に示すように、第1の経路310は、駆動部250の動力を第1の可動体210の印加部211まで伝えるための経路である。なお、第1の可動体210は、駆動部250から第1の距離を介して配置され、駆動部250の動力が加えられる印加部211を有し、動力の印加により動作する。
第2の経路320は、駆動部250の動力を第2の可動体220の印加部221まで伝えるための経路である。なお、第2の可動体220は、駆動部250から第2の距離を介して配置され、駆動部250の動力が加えられる印加部221を有し、動力の印加により第1の可動体210の動作と左右対称的に動作する(図9及び図14参照)。ここで、左右対称的に動作するとは、遊技者が視覚を通して感じたときの第1可動体210及び第2可動体220の動作が互いに左右対称的であることをいい、完全に左右対称的である必要はない。
第1の可動体210及び第2の可動体220は、左右対称的な形態を有し、かつ、左右対称的な姿勢で配されており、駆動部250の印加により相互の姿勢を対称的に変更する(図9及び図14参照)。ここで、左右対称的な形態、及び、左右対称的な姿勢とは、遊技者が視覚を通して感じたときの左右対称的な形態、及び、左右対称的な姿勢をいい、完全な左右対称的な形態、及び左右対称的な姿勢である必要はない。
〔第1の経路〕
次に、第1の経路310の詳細について、図5〜図8を参照して説明する。
図7及び図8に示すように、第1の経路310は、第2の経路320よりも長く形成されている。第1の経路310は、長尺状に形成され、その一端部311aに駆動部250による動力を受けて長尺方向(図8で示す矢印方向)に進退する長尺部材311と、長尺部材311の他端部311b及び印加部211に接続され、長尺部材311とともに進退することで印加部211に動力を伝えるスライド部材312と、を有する。なお、本実施形態では、長尺方向と左右方向とが一致している。なお、スライド部材312を第1のスライド部材312という場合がある。
(長尺部材)
図7及び図8に示すように、長尺部材311は、その一端部311a側に第1のラック313を有している。なお、第1のラック313の詳細については後述する。
図5は、後ケース202を外して第1の経路310の一部であるスライド部材312を後方から見た図である。
図5、図7及び図8に示すように、長尺部材311の他端部311bは、スライド部材312に連結されている。長尺部材311の一例としては、長尺方向に延びる軸状部材を含む。その場合、駆動部250の動力を伝えるべき印加部211まで軸状部材を延設することが可能である。それにより、第1の経路310のそれ以外の構成を大幅に変更せずに済む。
(スライド部材)
図6は後ケース202を外さずにスライド部材312を図5に示すB−B線で破断したときの断面図である。
図5及び図6に示すように、スライド部材312は、略矩形の平板状に形成されている。スライド部材312の四隅には前方及び後方(板厚方向)にそれぞれ突出した前後一対の凸状部314が設けられている。さらに、スライド部材312には前方及び後方にそれぞれ突出した円環形状のボス部317(前後一対のボス部317)が設けられている。さらに、ボス部317の外側にはガイドリング208が嵌め込まれている。
(スライド部材のガイド手段)
次に、スライド部材312を左右方向にのみ案内するためのガイド手段について図5及び図6を参照して説明する。
図5及び図6に示すように、前ケース201と後ケース202によりガイド手段が構成されている。前ケース201には凸状ガイド部203が設けられている。凸状ガイド部203は、スライド部材312の前方に突出した凸状部314に対し前側から当接している。さらに、後ケース202には凸状ガイド部204が設けられている。凸状ガイド部204は、スライド部材312の後方に突出した凸状部314に対し後側から当接している。凸状ガイド部203、204は、前後一対の凸状部314に対し前後から当接することにより、スライド部材312の前後方向への移動を規制することが可能となる。
さらに、前ケース201及び後ケース202には、前後一対のボス部317に対応してガイド穴207がそれぞれ設けられている。ガイド穴207にはガイドリング208を介してスライド部材312のボス部317が嵌め込まれている。それにより、ガイド穴207は、スライド部材312の上下方向への移動を規制することが可能となる。
以上のガイド手段により、前後方向及び上下方向の移動を規制されるため、スライド部材312は左右方向にのみ移動可能となる。スライド部材312には、第1の可動体210の印加部211が軸部材216により相対回転可能に接続されている。それにより、スライド部材312に接続する第1の可動体210の印加部211は左右方向にのみ移動可能となる。
スライド部材312を左右方向に案内するためのガイド手段の機能を前ケース201及び後ケース202にもたせることにより、ガイド手段を専用に設ける必要がなく、製造コスト及び組立コストを抑えることができる。また、ガイド手段専用の設置スペースを設けずに済み、その分薄型にすることができる。
ここで、第1の経路310のスライド部材312と第1の可動体210の印加部211とを接続するための軸部材216について説明する。
第1の可動体210の印加部211は前ケース201の前面側に配置されている。スライド部材312は、前ケース201の後面側に配置されている。スライド部材312と第1の可動体210の印加部211とを軸部材216により接続するため、軸部材216を前ケース201に前後方向に通す貫通穴が必要となる。この貫通穴の一例として、前ケース201に設けられたガイド穴207が用いられている。ガイド穴207を前後方向に貫通する軸部材216により、スライド部材312と第1の可動体210の印加部211とが接続されている。
なお、軸部材216は、一または複数の部材により構成されていて、全体として可動体210の印加部211の回転中心となればよい。後述する第2の経路320のスライド部材322と第2の可動体220の印加部221とを接続するための軸部材226についても、軸部材216と同様の構成を有する。
(第1のラック)
次に、第1のラック313の詳細について図3及び図4を参照して説明する。
図3は後ケース202を外して第1の経路310の一部である第1のラック313及び第2の経路320のスライド部材322を後から見たときの図、図4は後ケース202を外さずに第1のラック313等を図3に示すA−A線で破断したときの断面図である。
図3及び図7に示すように、長尺部材311の一例として、第1のラック313と軸状部材とが別体で設けられている。第1のラック313は、長尺部材311の一端部311aに連結されている。なお、長尺部材311の他の例として、第1のラック313と軸状部材とが一体的に設けられたものであってもよい。
図3に示すように、第1のラック313は、略L字形の平板状に形成されている。第1のラック313の右側縁部及び左側縁部には前方及び後方(板厚方向)にそれぞれ突出した前後一対の凸状部318が設けられている。さらに、第1のラック313には右側縁部からさらに下方に突出した突片部315が設けられている。さらに、第1のラック313の前面部には左右方向を長手方向とした長溝であるガイド凹部316が設けられている。
(第1のラックのガイド手段)
次に、第1のラック313を左右方向にのみ案内するためのガイド手段について図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4に示すように、ガイド手段は、前ケース201及び後ケース202に設けられている。前ケース201には凸状ガイド部203が設けられている。凸状ガイド部203は、第1のラック313の前方に突出した凸状部318に前側から当接している。さらに、後ケース202には凸状ガイド部204が設けられている。凸状ガイド部204は、第1のラック313の後方に突出した凸状部318に後側から当接している。凸状ガイド部203、204は、前後一対の凸状部318に対し前後から当接することにより、第1のラック313の前後方向の移動を規制することが可能となる。
前ケース201にはフランジ状ガイド部205が設けられている。フランジ状ガイド部205は、第1のラック313の下方に突出した突片部315に対し下側から当接している。さらに、前ケース201にはガイド凸部209が設けられている。ガイド凸部209はガイド凹部316の壁部に対し下側から当接している。それにより、ガイド凸部209は第1のラック313の下方の移動を規制することが可能となる。なお、第1のラック313を後述するピニオン252と噛み合わせることにより、第1のラック313の上方の移動を規制することが可能となる。
第1のラック313は、ガイド手段により前後方向及び上下方向への移動を規制されるため、左右方向にのみ移動可能となる。
第1のラック313を左右方向に案内するためのガイド手段の機能を前ケース201及び後ケース202にもたせることにより、ガイド手段を専用に設ける必要がなく、製造コスト及び組立コストを抑えることが可能となる。また、ガイド手段専用の設置スペースを設けずに済み、その分薄型にすることが可能となる。
以上に説明した第1の経路310は、駆動部250から離れた第1の可動体210の印加部211まで駆動部250の動力を伝える必要があるために、長尺部材311、スライド部材312、及び第1のラック313を有し、それらを別体に構成したものである。
第2の経路320よりも長い第1の経路310において、長尺部材311及びスライド部材312の簡単な構成により、長い経路であっても、駆動部250の動力を第1の経路310の印加部211に伝えることができるので、駆動部250の位置に対してどのような位置に印加部211が配されていても、そのような印加部211の方に長尺部材250またはスライド部材312を延ばすことにより、駆動部250の動力を印加部211に伝えることが可能となり、駆動部250を新たに設ける必要がない。
〔第2の経路〕
次に、第2の経路320の詳細について図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、第2の経路320は、駆動部250の直上位置に配置された第2の可動体220の印加部221までの短い距離だけ駆動部250の動力を伝えればよいため、第1の経路310の長尺部材311に相当する部材を不要とし、さらに、第1の経路310のスライド部材312と第1のラック313とを一体的に構成したものである。
(スライド部材、第2のラック)
スライド部材322と第2のラック323とを一体的に構成したものを図3に示す。なお、スライド部材322を第2のスライド部材322という場合がある。スライド部材322は、略矩形の平板状に形成されている。スライド部材322の右側縁部及び左側縁部には前方及び後方(板厚方向)にそれぞれ突出した前後一対の凸状部324が設けられている。さらに、スライド部材322には上側縁部から上方に突出した突片部325が設けられている。突片部325は、演出装置200が第1の位置に位置しているときに、当該突片部325が凹状のセンサ(図示省略)内に入り込むことで原位置を検知するための原位置スイッチの一部を構成する。さらに、スライド部材322には、前面部に前方に突出するボス部326が形成されている。ボス部326の外側にはガイドリング208aが嵌め込まれている。
(スライド手段のガイド手段)
次に、スライド部材322を左右方向にのみ案内するガイド手段について図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4に示すように、前ケース201と後ケース202によりガイド手段が構成されている。前ケース201には凸状ガイド部203が設けられている。凸状ガイド部203は、スライド部材322の前方に突出した凸状部324に対し前側から当接している。さらに、後ケース202には凸状ガイド部204が設けられている。凸状ガイド部204は、スライド部材322の後方に突出した凸状部324に対し後側から当接している。凸状ガイド部203、204は、前後一対の凸状部324に対し前後から当接することにより、スライド部材322の前後方向への移動を規制することが可能となる。
前ケース201にはフランジ状ガイド部206が設けられている。フランジ状ガイド部206は、スライド部材322の下方に突出した突片部325に対し上側から当接している。それにより、フランジ状ガイド部206は、スライド部材322の上方の移動を規制することが可能となる。さらに、前ケース201にはガイド穴207aが設けられている。ガイド穴207aにはボス部327がガイドリング208aを介して嵌合している。それにより、ガイド穴207aは、スライド部材322の上下方向への移動を規制することが可能となる。なお、スライド部材322には第2のラック323が形成されている。第2のラック323を後述するピニオン252と噛み合わせることによっても、スライド部材322の下方の移動を規制することが可能となる。
ガイド手段により前後方向及び上下方向の移動を規制されるため、スライド部材322は、左右方向(長尺方向)にのみ移動可能となる。
第2の可動体220の印加部221は、スライド部材322に軸部材226により相対回転可能に接続されているため、スライド部材322に接続する左右方向(長尺方向)にのみ移動可能となる。
スライド部材322を左右方向に案内するためのガイド手段の機能を前ケース201及び後ケース202にもたせることにより、ガイド手段を専用に設ける必要がなく、製造コスト及び組立コストを抑えることが可能となる。また、ガイド手段専用の設置スペースを設けずに済み、その分薄型にすることが可能となる。
なお、第2の経路320のスライド部材322と第2の可動体220の印加部221とを接続するための軸部材226の構成は、前述する軸部材216の構成と同様である。
スライド部材322を左右方向に案内するためのガイド手段の機能を前ケース201及び後ケース202にもたせることにより、ガイド手段を専用に設ける必要がなく、製造コスト及び組立コストを抑えることが可能となる。また、ガイド手段専用の設置スペースを設けずに済み、その分薄型にすることが可能となる。
以上に、ガイド手段により左右方向(長尺方向)にのみ移動するように構成された第1の可動体210の印加部211及び第2の可動体220の印加部221ついて説明した。
長い経路の第1の経路310において、長尺部材311に第1のラック313を設け、短い経路の第2の経路320において、第2のスライド部材322に第2のラック323を設け、第1のラック313及び第2のラック323をピニオン252を挟んで対向するように配置したので、ピニオン252を正逆それぞれの方向に回転させることにより、第1可動体210の印加部211及び第2可動体220の印加部221を長尺方向に沿って相互に近接及び離間させることが可能となる。
〔第3の可動体〕
次に、第3の可動体230の詳細について図7、図8、図13、及び図15を参照して説明する。図15は第2位置にある演出装置200を後から見たときの背面図である。
図7及び図8に示すように、第1の可動体210と第2の可動体220とは第3の可動体230を介して接続されている。
図13及び図15に示すように、第3の可動体230の一端部は第1の可動体210の他端部215に軸支されている。第3の可動体230の他端部は第2の可動体220の他端部225に軸支されている。第3の可動体230の一端部及び他端部を軸支する位置は、左右対称的な位置に配置されている。
第1の可動体210の他端部215には、軸支された位置を中心とする円周方向に複数の歯を配置したセクタギア217が設けられている。第2の可動体220の他端部225には、軸支された位置を中心とする円周方向に複数の歯を配置したセクタギア227が設けられている。セクタギア217、227同士は、第1の可動体210及び第2の可動体210に対し左右対称的な動作をさせるように噛み合わされている。
第3の可動体230は、それを軸支する位置が左右対称的な位置に配置されているため、そして、第1の可動体210及び第2の可動体210が左右対称的な動作をするため、これら左右対称的な動作の中心線に沿って上下方向に一定の姿勢を保ちながら動作する。
〔駆動部〕
次に、駆動部250の詳細について図3、図4、図10、図11、図15、及び図16を参照して説明する。図16は、第2位置にある演出装置を右側から見たときの右側面図である。
図3及び図4に示すように、駆動部250は、駆動ギア251、ピニオン252、中継ギア253、及び回転軸254を有する。
図4、図10、図11、図15、図16に示すように、駆動部250は、動力源の一例である電動モータMを有している。電動モータMは、後ケース202に設けられている。
駆動ギア251は、電動モータMの駆動軸に固定されている。
回転軸254は、前ケース201の軸受け部209a及び後ケース202の軸受け部209aに支持されている。
ピニオン252及び中継ギア253は一体的に形成され、回転軸254を中心に一体的に回転するように設けられている。ピニオン252は、中継ギア253が駆動ギア251と噛み合うことにより、駆動部250の動力を受けて回転する。
ピニオン252を挟んで対向する位置には、第1の経路310の第1のラック313と第2の経路320の第2のラック323とが配置されている。
第1のラック313は、ピニオン252と噛み合うことにより、ピニオン252の回転力を長尺方向(左右方向)の力に変換する。変換された力は、第1の経路310を介して第1の可動体210に伝えられる。
第2のラック323は、ピニオン252と噛み合うことにより、ピニオン252の回転力を長尺方向(左右方向)の力に変換する。変換された力は、第2の経路320を介して第2の可動体220に伝えられる。
〔演出装置の動作〕
次に、演出装置200の動作について図7〜図18を参照して説明する。
図12は本体、前ケース及び後ケースを外して第1位置にある演出装置を前から見たときの正面図、図17は本体、前ケース及び後ケースを外して第2位置にある演出装置を前から見たときの正面図である。
(第1位置〜第2位置)
演出装置200が第1位置にあるとき(図7及び図9〜図13参照)、駆動部250によりピニオン252を時計回りに回転させると、第1のラック313が左方向に繰り込まれる。それにより、第1の経路310の長尺部材311及びスライド部材312が左方向に移動する。それにより、第1の可動体210の印加部211が左方向に移動する。
また、ピニオン252を時計回りに回転させると、第2のラック323が右方向に繰り込まれる。それにより、第2の経路320のスライド部材322が右方向に移動する。それにより、第2の可動体220の印加部221が右方向に移動する。
第1の可動体210の印加部211が左方向に移動する一方、第2の可動体220の印加部221が右方向に移動するので、第1の可動体210の印加部211及び第2の可動体220の印加部221が相互に接近する。それにより、第1の可動体210の他端部215及び第2の可動体220の他端部225が対称的に起き上がるようになる(第2姿勢)。それにより、第3の可動体230が上方の第2位置まで移動する。
このように演出装置200が第1位置から第2位置に移動するとき、第1の可動体210及び第2の可動体220の対称的な動作による演出を実現することが可能となる。さらに、第1の可動体210及び第2の可動体220が互いに対称的な形態に形成され、かつ、互いに対称的な姿勢で配され、駆動部250の動作により相互の姿勢を対称的に変更するので、二つの可動体の連繋動作による演出を実現することが可能となる。さらに、3つの可動体210、220、230が互いに連動するため、統一性のある演出を行うことが可能となる。
(第2位置〜第1位置)
演出装置200が第2位置にあるとき、駆動部250によりピニオン252を反時計回りに回転させると、第1のラック313が右方向に繰り込まれる。それにより、第1の経路310の長尺部材311及びスライド部材312が右方向に移動する。それにより、第1の可動体210の印加部211が右方向に移動する。
また、ピニオン252を反時計回りに回転させると、第2のラック323が左方向に繰り込まれる。それにより、第2の経路320のスライド部材322が左方向に移動する。それにより、第2の可動体220の印加部221が左方向に移動する。
第1の可動体210の印加部211が右方向に移動する一方、第2の可動体220の印加部221が左方向に移動するので、第1の可動体210の印加部211及び第2の可動体220の印加部221が相互に離間する。それにより、第3の可動体230は、第1の可動体210の他端部215及び第2の可動体220の他端部225が対称的に倒れるようになるため(第1姿勢)、下方の第1位置まで移動する。
このように演出装置200が第2位置から第1位置に移動するときも、第1位置から第2位置に移動するときと同様に、第1の可動体210及び第2の可動体220の対称的な動作による演出を実現することが可能となる。さらに、第1の可動体210及び第2の可動体220が互いに対称的な形態に形成され、かつ、互いに対称的な姿勢で配され、駆動部250の動作により相互の姿勢を対称的に変更するので、二つの可動体の連繋動作による演出を実現することが可能となる。さらに、二つの可動体210、220の他端部同士が連結されているため、互いに連動する二つの可動体210、220による演出が可能となる。さらに、3つの可動体210、220、230が互いに連動するため、統一性のある演出を行うことが可能となる。
〔演出装置の組立〕
次に、演出装置200の組立について図3〜図11を参照して説明する。
(前ケースの組み付け)
先ず、本体260に後から前ケース201を固定する。
(第1の経路の組み付け)
第1の経路310の組み付けにおいては、第1の経路310のスライド部材312のボス部317をガイドリング208を介して前ケース201のガイド穴207に嵌め合わせるように、スライド部材312を前ケース201の所定位置に置く。それにより、スライド部材312の上下方向に移動が規制される。
次に、第1の経路310の第1のラック313のガイド凹部316に前ケース201のガイド凸部209を嵌め込むとともに、第1のラック313の突片部315を前ケース201のフランジ状ガイド部206に当接又は近接するように、第1のラック313を前ケース201の所定位置に配置する。それにより、第1のラック313の下方向に移動が規制される。
次に、長尺部材311により、スライド部材312と第1のラック313とを連結する。
(第2経路の組み付け)
第2の経路320の組み付けにおいては、第2の経路320のボス部327をガイドリング208aを介してガイド穴207aに嵌め合わせるとともに、スライド部材322の突片部325をフランジ状ガイド部206に当接又は近接するように、スライド部材322を前ケース201の所定位置に配置する。それにより、スライド部材322の上下方向の移動が規制される。
(第1の可動体の組み付け)
次に、第1の可動体210の印加部211と第1の経路310のスライド部材312とを前ケース201のガイド穴207を通して軸部材216により接続する。なお、ガイド穴207に通じるスルーホールTHが図6に示されているが、このスルーホールTHと同様な穴がスライド部材312にも設けられている。
(第2の可動体の組み付け)
次に、第2の可動体220の印加部221と第2の経路320のスライド部材322とを前ケース201のガイド穴207aを通して軸部材226により接続する。なお、ガイド穴207aに通じるスルーホールTHが図4に示されているが、このスルーホールTHと同様な穴がスライド部材322にも設けられている。
(第3の可動体の組み付け)
次に、第3の可動体230を介して、第1の可動体210の他端部215と第2の可動体220の他端部225とを連結する。このとき、セクタギア217、227同士を噛み合わせるようにする。
(電動モータの組み付け)
予め、後ケース202に電動モータMを組み付けておく。さらに、電動モータMに駆動ギア251を固定しておく。
(ピニオンの組み付け)
ピニオン252の組み付けにおいては、前ケース201の軸受け部209aに回転軸254を嵌め込んで、さらに、その回転軸254にピニオン252を嵌め込む。このとき、ピニオン252を、第1の経路310の第1のラック313と噛み合わせるとともに、第2の経路320のスライド部材322の第2のラック323と噛み合わせる。
(後ケースの組み付け)
後ケース202の組み付けにおいては、後ケース202を前ケース201と組み合わせる。このとき、後ケース202に予め組み付けておいた電動モータMの駆動ギア251を中継ギア253と噛み合わせるようにする。
後ケース202を前ケース201と組み合わせることで、後ケース202の凸状ガイド部204が第1の経路310のスライド部材312の凸状部314に対し後から当接する。また、前ケース201の凸状ガイド部203がスライド部材312の凸状部314に対し前から当接する。それにより、スライド部材312の前後方向に移動が規制される。
さらに、後ケース202を前ケース201と組み合わせることで、後ケース202の凸状ガイド部204が第1の経路310の第1のラック313の凸状部318に対し後から当接する。また、前ケース201の凸状ガイド部203が第1のラック313の凸状部318に対し前から当接する。それにより、第1のラック313の前後方向に移動が規制される。
さらに、後ケース202を前ケース201と組み合わせることで、後ケース202の凸状ガイド部204が第2の経路320のスライド部材322の凸状部324に対し後から当接する。また、前ケース201の凸状ガイド部203がスライド部材322の凸状部324に対し前から当接する。それにより、スライド部材322の前後方向に移動が規制される。
以上により、前ケース201の各所定位置にスライド部材312、322、及び第1のラック313を置き、後ケース202を前ケース201と組み合わせることで、第1の経路310、第2の経路320及び駆動部250を簡単に組み付けることが可能となり、組み付け性が向上し、組立コストを低減することが可能となる。また、前ケース201と後ケース202との間の空間内に、第1の経路310、第2の経路320及び駆動部250を収容したことにより、演出装置200を薄型でコンパクトにすることが可能となる。
本実施形態では、盤面の真ん中に置かれないモータM1つでどのようにして左右対称のものを可動させるのかという状況下で工夫されたものである。この状況は次の理由により生じる。すなわち、パチンコ機は一般的に始動口が盤面の真ん中よりやや下方に位置していて、上始動口と電チューと呼ばれる下始動口とで構成されていて、また、その下方には大入賞口が設けられている。故に盤面の真ん中下方は、各入賞口に入賞した遊技球を排出するための経路を確保する必要があるため、真ん中付近にモータMを置くことができない。そうするとモータMは端に追いやられることとなる。そのような状況下でも、モータM1つで左右対称の可動体を可動させることが可能となる。
[変形例]
前記実施形態では、第2の経路320は第1の経路310に対して短く、第1の経路310の長尺部材311に相当する部材を用いずに構成した。さらに、第2の経路320は、スライド部材322に第2のラック323を設けることにより、第1の経路310のスライド部材312及び第1のラック313に相当する各部材を一体的に構成した。
前記実施形態では、始動口が盤面の真ん中よりやや下方(中央下部)に位置している一般的なパチンコ機に演出装置200を適用したもので、端に追いやられたモータMと第1の可動体210との間の距離が長いとき、両者を接続する第1の経路310も長くした。一方で、モータMと第2の可動体220との間の距離が短いとき、両者を接続する第2の経路320も短くした。このように、始動口など盤面に設けられる他の部品の配置に応じてモータMを設ける位置が変更されるとき、モータMの位置に応じて第1の経路310及び第2の経路320のそれぞれの長さを調整可能に構成すればよい。
このように構成したので、始動口が盤面の中央下部でなく端に位置している例外的なパチンコ機に演出装置200を適用したとき、空きとなった中央下部の位置にモータMを設けると、モータMと第1の可動体210との間の距離と、モータMと第2の可動体220との間の距離とがほぼ同じ長さとなるため、第1の経路310及び第2の経路320はほぼ同じ長さとなる。
第2の経路320が第1の経路310と同様に長い場合、第1の経路310と同様に、第1の経路310の長尺部材311に相当する部材を用いるとともに、スライド部材322と、第2のラック323とを別々に構成する必要がある。
次に、第2の経路320が第1の経路310と同様に長い場合の演出装置200の変形例について図19を参照して説明する。図19は、第2位置に移動した演出装置200を概念的に示す図である。
図19に示すように、第1の経路310は、長尺状に形成され、その一端部に駆動部250による動力を受けて長尺方向に進退する長尺部材311、及び長尺部材311の他端部311b及び印加部211に接続され、長尺部材311とともに進退することで印加部211に動力を伝えるスライド部材312を有する。
同様に、第2の経路320は、長尺状に形成され、その一端部に駆動部250による動力を受けて長尺方向に進退する長尺部材321、及び長尺部材321の他端部321b及び印加部221に接続され、長尺部材321とともに進退することで印加部221に動力を伝えるスライド部材322を有する。
変形例では、駆動部250は、動力により回転するピニオン252を有し、長尺部材311、321は、ピニオン252と噛み合うことにより、ピニオン252の回転力を長尺方向に沿う直線方向の力に変換するラック313、323を有する。
駆動部250から第2の可動体220の印加部221までの経路が、駆動部250から第1の可動体210の印加部211が同じように長いときであっても、長尺部材321またはスライド部材322を印加部211の方に延ばすことにより、さらに、ラック323をピニオン252と噛み合わせることにより、駆動部250の動力を印加部221に伝えることが可能となる。それにより、駆動部250を別々に設ける必要がなく、製造コスト及び組立コストを低減することができ、さらに、駆動部250を設置するための設置スペースを別々に設けずに済み、演出装置200をコンパクトにすることが可能となる。
同じように長い経路の第1の経路310及び第2の経路320において、長尺部材311、321にラック313、323をそれぞれ設け、各ラック313、323をピニオン252に噛み合わせたので、ピニオン252を回転させることにより、第1の経路310の長尺部材311及び第2の経路320の長尺部材321を長尺方向に沿って移動させることが可能となる。それにより、駆動部250の動力を第1の経路310のラック313、長尺部材311、及びスライド部材312、並びに第2の経路320のラック323、長尺部材321、及びスライド部材322を介して第1可動体210の印加部211及び第2可動体220の印加部221にそれぞれ伝えることが可能となる。
なお、前記実施形態では、遊技盤70と裏ユニットとの間のスペースに演出装置200を設け、この演出装置200による演出の一例として、下部の隙間を第1位置として、第3の可動体230を第1位置と第2位置(センター役物100の開口の中央部)との間を上下方向に往復移動させるものを示したが、これに限らない。センター役物100の開口の周縁部の各位置に演出装置200を設けてもよい。たとえば、センター役物100の開口の側縁部の位置に演出装置200を設け、開口の側縁部の位置を第1位置として、第3の可動体230を第1位置と第2位置との間を左右方向に往復移動させてもよい。このとき、第1の可動体210と第2の可動体220は、上下対称的な形態を有し、かつ、上下対称的な姿勢で配されており、駆動部250の印加により相互の姿勢を上下対称的に変更する。
また、実施形態において、第1の可動体210の他端部215と第2の可動体220の他端部225とを第3の可動体230を介して間接的に接続したが、他端部215、225同士を直接的に接続してもよい。
さらに、実施形態では、第1の経路310及び第2の経路320の二つの経路が互いに重複した経路を有しないものを示したが、これに限らず、二つの経路が互いに重複した経路を有してもよい。例えば、一方の経路において、長尺部材の始端が駆動部250に接続され、長尺部材の終端に一方の経路のスライド部材が接続される。他方の経路において、長尺部材の始端と終端との間の中間部に他方の経路のスライド部材が接続される。それにより、長尺部材の始端から中間部の経路が互いに重複した経路となる。この例では、一つの長尺部材が、第1の経路及び第2の経路の構成部品となる。
さらに、実施形態においては、第1の経路310の一例では、長尺部材311、スライド部材312、及び第1のラック313によりを構成したが、これに限らず、駆動部250により軸回りに回転するギアードケーブルと、その正回転及び逆回転によりギアードケーブルの軸方向に沿って往復移動するスライド部材とにより経路を構成してもよい。