以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において単に前側(前方)とは遊技機1正面側のことであり、単に後側(後方)とは遊技機1の背面側のことである。また、単に左側、右側、上側、下側とは、遊技機1を正面から見た場合の左側、右側、上側、下側のことであり、図1における左側、右側、上側、下側を指す。また、単に幅方向とは、遊技機1の幅方向のことであり、図1における左右方向を指し、単に平面方向とは遊技盤90の平面方向を指す。
(遊技機の全体構成)
まず、遊技機1の全体構成について簡単に説明する。図1に示されるように、遊技機1は、所定の奥行きを有する額縁形状の機枠80を備える。この機枠80には前面枠81が取り付けられている。前面枠81は、その左側縁が機枠80に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。また、前面枠81には、ガラス枠82が取り付けられている。ガラス枠82は、その左側縁が前面枠81に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。
ガラス枠82の中央の開口部にはガラス板またはプラスチック板等の透明な板が設けられており、遊技者はこの透明な板を通して前側から遊技盤90を視認できる。また、ガラス枠82の下部には、払い出された遊技球を発射装置に送るまで貯めておく上皿ユニット83が設けられている。上皿ユニット83には、貯留されている遊技球を下皿ユニット85に流下させる上皿スイッチや、貸し出し可能な貸し球を払い出す球貸しスイッチ等が設けられている。また、ガラス枠82の上部左右両側には、スピーカ84が設けられている。
前面枠81の下部には、払い出された遊技球が上皿ユニット83に入りきらない場合等に遊技球を貯めることができる下皿ユニット85や、遊技球を発射操作するためのタッチスイッチを備える発射ハンドル86等が設けられている。下皿ユニット85の左側には、表示装置92に表示される演出に応じて遊技者が操作を行う遊技スイッチ87が設けられている。
図2に示す遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠81に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤90には、発射装置から発射された遊技球をガイドする金属製の薄板からなる帯状のガイドレール11が略円弧形状となるように設けられており、このガイドレール11によって遊技領域の外郭の一部が形成されている。
遊技盤90の遊技領域には、表示装置92、始動入賞口931、大入賞口932、アウト口933などが設けられている。表示装置92は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置92の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置92の表示画面は、遊技盤90に形成された開口を通じて視認可能である。なお、図1および図2に示すように、可動演出装置2が所定の演出形態を構成した際には、表示装置92は可動演出装置2の役物に覆われた状態となる。
また、遊技盤90の遊技領域には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての図示しない遊技釘が複数設けられている。遊技領域を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
さらに、表示装置92の周辺には、遊技の装飾効果(演出効果)を高めるための可動演出装置2が設けられている。可動演出装置2は、表示装置92と連動して演出動作を行う。かかる可動演出装置2の構成の詳細については後述する。
なお、図示しないが、遊技機1の背面側には、枠用外部端子基板、表示制御基板、主制御基板、音声制御基板、ランプ制御基板、払出制御基板、発射制御基板、電源基板等の各種基板、カードインターフェース接続部、球寄せ、球タンク、タンクレール、払出装置、発射装置等の各種の遊技機構成部材が設けられている。なお、以下の説明では、主制御基板等の遊技機1の制御を行う構成を一括りに制御手段と称する。
このような遊技機1では、発射ハンドル86の操作により、発射装置から遊技領域に遊技球を発射し、遊技領域を流下する遊技球が、始動入賞口931や大入賞口932等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法等は、公知の遊技機の制御方法が適用できるため、説明は省略する。
(可動演出装置の構成)
以下、遊技機1が備える可動演出装置2の構成について図3〜図26を参照して説明する。可動演出装置2は、遊技機1の制御手段によって制御される遊技演出用の役物(可動部材)である、第一装飾体10および第二装飾体20を有する装飾部材5と、演出体30と、を備える。これらは、遊技盤90の後側に、表示装置92(表示画面)の周囲を囲むように設けられる装置枠体2a(図3参照)に取り付けられ、同一平面上に位置する(これら全てが交差する上下左右方向に広がるある一つの平面が存在する)。以下、各構成について詳細に説明する。
1)第一装飾体の構成・基本動作
装飾部材5が有する第一装飾体10の構成について説明する。第一装飾体10は、装置枠体2aの下部(表示装置92の表示画面の下側)に取り付けられた役物であり、後述する第二装飾体20とともに遊技状態に応じた装飾を行う部材である。第一装飾体10は、第一装飾体用駆動源14によって第一位置と第二位置の間を移動可能であり、第一要素部材11と、第二要素部材12と、第三要素部材13と、を備える。本実施形態では、各要素部材11,12,13は、遊技機1を上下方向に二分する中央線に関し左右対称に位置する二つの部材から構成される(以下、左側に位置する要素部材を左(第一〜第三)要素部材11L,12L,13L、右側に位置する要素部材を右(第一〜第三)要素部材11R,12R,13Rと区別することもある)。
各要素部材11,12,13は、円弧状に形成された環状部111,121,131と、環状部111,121,131の下方に形成される接続部112,912,132を有する。環状部111,121,131は遊技を演出する部分である。この環状部111,121,131の円弧の径が小さい方から順に(曲率が大きい方から順に)第一要素部材11、第二要素部材12、第三要素部材13となる。第一装飾体10における第一要素部材11、第二要素部材12、第三要素部材13の環状部111,121,131の曲率は、それぞれ、後述する第二装飾体20における第一要素部材11、第二要素部材22、第三要素部材23の曲率と略一致する。これら各要素部材11,12,13の環状部111,121,131がならんで遊技者に視認可能となる上方に位置(表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置)した状態が、「第一装飾体10が第二位置に位置した状態」である(図11に示した状態)。この第二位置において、各要素部材11,12,13の環状部111,121,131の円弧は同心円状に位置する。また、左要素部材11L,12L,13Lと右要素部材11R,12R,13Rの環状部111,121,131は、同じ径の円弧を描くように一体的な形状を構成する。
一方、「第一装飾体10が第一位置に位置した状態」とは、詳細を後述するように、各要素部材11,12,13の環状部111,121,131同士が離れる方向に移動し、表示領域に全ての要素部材11,12,13の環状部111,121,131が重なっていない状態である(図14に示した状態)。第一位置において、第一装飾体10は、装置枠体2aの下部の前側に位置する。
一方、接続部112,122,132は、環状部111,121,131よりも曲率が大きい円弧状の部分である。第一装飾体10が第二位置に位置する場合において、所定の大きさの円形空間(第一収納部S1)を構成する。この円形空間は、詳細を後述する演出体30が収容可能な大きさである。また、接続部112,122,132の先端(下端)は、略円形に形成されている。各要素部材11,12,13は、接続部112,122,132の略円形部分の中心で装置枠体2aに回転自在に支持されている。平面方向における各要素部材11,12,13の回転中心は同じであり、各接続部112,122,132の円形部分同士は、同一の支持軸16に回転自在に支持されている。この各要素部材11,12,13における接続部112,122,132の円形部分の外周における中央側の一部には、互いに噛合する歯車112a,122a,132aが形成されている。この歯車112a,122a,132aの噛合位置を変化させることによって、要素部材11,12,13が上記略円形部分の中心を回転中心として回転する。すなわち、歯車112a,122a,132aの噛合位置を変化させることによって、第一装飾体10が第一位置から第二位置まで移動する。また、第一左要素部材11L、第二左要素部材12L、第三左要素部材13Lには、下方に向かって突出する被押圧突起112b,122b,132bが形成されている。この各要素部材11,12,13に形成された被押圧突起112b,122b,132bは前後方向に重なるように(平面方向における位置が略同じとなるように)形成されている。この被押圧突起112b,122b,132bは、後述する連繋部材15に形成された押圧突起151b,152b,153bに係合する部分である。
このような構成の第一装飾体10(各要素部材11,12,13)は、装置枠体2aに固定された第一装飾体用駆動源14と次のように連繋されている。本実施形態では、第一装飾体用駆動源14はモータである。この第一装飾体用駆動源14の出力軸(回転軸)には、出力歯車141が固定されている。一方、装置枠体2aには、幅方向にスライド自在に固定された連繋部材15が設けられている。連繋部材15は、三枚の板状体が前後方向に重なるように組み合わされてなる部材であり、三つの板状体は、それぞれ、第一要素部材11、第二要素部材12、および第三要素部材13に係合する(以下、第一要素部材11に係合する板状体を第一板状体151、第二要素部材12に係合する板状体を第二板状体152、第三要素部材13に係合する板状体を第三板状体153と区別して称することもある)。このうち、少なくともいずれか一つの板状体(本実施形態では第三板状体153)には、ラック15a(歯竿)が形成されており、出力歯車141と噛合している。つまり、出力歯車141が回転することにより、三つの板状体が組み合わされてなる連繋部材15は幅方向にスライドする。
一方、各連繋部材15の板状体151,152,153には、幅方向に長い長孔である貫通孔151a,152a,153aが形成されている。この貫通孔151a,152a,153aには、各接続部112,122,132の円形部分同士を接続し、各要素部材11,12,13を回転自在に支持する支持軸16が挿通されている。そして、各左要素部材11L,12L,13Lの接続部112,122,132に形成された被押圧突起112b,122b,132bは、対応する板状体に形成された貫通孔151a,152a,153aの内側に位置する(被押圧突起112b,122b,132bと貫通孔151a,152a,153aが同一平面上に位置する)。
また、貫通孔151a,152a,153aの下壁の右側には、押圧突起151b,152b,153bが形成されている。この押圧突起151b,152b,153bの存在により、貫通孔151a,152a,153aには上下方向における大きさが相対的に大きい部分(相対的に幅広の部分)と相対的に小さい部分(相対的に幅狭の部分)が形成される。押圧突起151b,152b,153bは、板状体によって幅方向の長さが異なる。具体的には、第一板状体151に形成された押圧突起151bが一番長く、この第一板状体151に形成された押圧突起151bよりも第二板状体152に形成された押圧突起152bは短い。さらに、第二板状体152に形成された押圧突起152bよりも第三板状体153に形成された押圧突起153bは短い。これら三つの板状体は前後方向に重ねられているため、連繋部材15全体として前方から見ると、第一板状体151における押圧突起151bの左端が最も左寄りに位置し、第三板状体153における押圧突起153bの左端が最も右寄りに位置する構造となる。なお、各押圧突起151b,152b,153bの左端は、緩やかに傾斜した傾斜面となっている。
以上の構成を備える第一装飾体10は、次のように動作する。第一装飾体用駆動源14に固定された出力歯車141が、連繋部材15のラック15aにおける左端部近傍に噛合した状態であるとき、各左要素部材11L,12L,13Lの接続部112,122,132に形成された被押圧突起112b,122b,132bは、各板状体の貫通孔151a,152a,153aにおける相対的に幅広の部分に位置する。つまり、押圧突起151b,152b,153bが形成されていない部分に位置するため、被押圧突起112b,122b,132bは押圧突起151b,152b,153bに接触しない。したがって、各要素部材11,12,13に作用する部材は何も存在しないため、環状部111,121,131の自重によって環状部111,121,131が下方に位置する。具体的には、全ての要素部材11,12,13の環状部111,121,131が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置、すなわち、第一装飾体10(第一装飾体10を構成する全ての要素部材11,12,13)は第一位置に位置する(図14参照)。
この状態から、第一装飾体用駆動源14を駆動し出力歯車141を一方向に回転させると、連繋部材15が左方向にスライドする。すると、まず、左端が最も左寄りに位置する第一板状体151の押圧突起151bに、第一左要素部材11Lの接続部112に形成された被押圧突起112bが接触する。具体的には、被押圧突起112bが押圧突起151bによって押し上げられる方向に移動する。このように被押圧突起112bが押し上げられると、第一左要素部材11Lは、環状部111が右に移動する方向(時計回り)に回転する。このように第一左要素部材11Lが回転すると、第一左要素部材11Lの歯車112aに噛合する歯車112aを有する第一右要素部材11Rは、環状部111が左に移動する方向(反計回り)に回転する。このように、第一左要素部材11Lと第一右要素部材11Rは、各々の環状部111が互いに近づく方向に回転し、環状部111が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図13参照)。
さらに出力歯車141を一方向に回転させると、第二板状体152の押圧突起152bに、第二左要素部材12Lの接続部122に形成された被押圧突起122bが接触する。これにより、上記第一要素部材11と同様に、第二左要素部材12Lと第二右要素部材12Rは、各々の環状部121が互いに近づく方向に回転し、環状部121が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図12参照)。そして、さらに出力歯車141を一方向に回転させると、第三板状体153の押圧突起153bに、第三左要素部材13Lの接続部132に形成された被押圧突起132bが接触する。これにより、上記第一要素部材11、第二要素部材12と同様に、第三左要素部材13Lと第三右要素部材13Rは、各々の環状部131が互いに近づく方向に回転し、環状部131が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図11参照)。
このように、第一装飾体10が第一位置に位置する状態から、出力歯車141を一方向に回転させれば第一要素部材11、第二要素部材12、第三要素部材13、の順で、環状部111,121,131が表示装置92の表示画面の前面側に重なる第二位置まで移動する。具体的には、第一要素部材11が第二位置まで移動し終えてから押圧突起152bに被押圧突起122bが接触することで第二要素部材12の移動が開始され、第二要素部材12が第二位置まで移動し終えてから押圧突起153bに被押圧突起132bが接触することで三要素部材13の移動が開始される。第三要素部材13が第二位置まで移動し終えると、図11に示すような第一装飾体10全体が第二位置に位置した状態となる。このとき、左要素部材11L,12L,13Lと右要素部材11R,12R,13Rの接続部112,122,132同士の間には、所定の大きさの空間(第一収納部S1)が形成される。
一方、第一装飾体10を第二位置から第一位置に移動させる際には、第一装飾体用駆動源14を駆動し出力歯車141を他方向に回転させ、連繋部材15を右方向にスライドさせる。すると、まず、左端が最も右寄りに位置する第三板状体153の押圧突起153bに、第三左要素部材13Lの接続部132に形成された被押圧突起132bが接触した状態が解消される。具体的には、被押圧突起132bが押圧突起153bによって押し上げられた状態が解消される。このように被押圧突起132bが押し上げられた状態が解消されると、第三左要素部材13Lは、環状部131がその重さにより(重力の作用により)左に移動する方向(反時計回り)に回転する。このように第三左要素部材13Lが回転すると、第三左要素部材13Lの歯車132aに噛合する歯車132aを有する第三右要素部材13Rは、環状部131が右に移動する方向(時計回り)に回転する。このように、第三左要素部材13Lと第三右要素部材13Rは、各々の環状部131が互いに離れる方向に回転し、環状部131が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図12参照)。
さらに出力歯車141を一方向に回転させると、第二板状体152の押圧突起152bに、第二左要素部材12Lの接続部122に形成された被押圧突起122bが接触した状態が解消される。これにより、上記第三要素部材13と同様に、第二左要素部材12Lと第二右要素部材12Rは、各々の環状部121が互いに離れる方向に回転し、環状部121が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図13参照)。そして、さらに出力歯車141を一方向に回転させると、第一板状体151の押圧突起151bに、第一左要素部材11Lの接続部112に形成された被押圧突起112bが接触した状態が解消される。これにより、上記第三要素部材13、第二要素部材12と同様に、第一左要素部材11Lと第一右要素部材11Rは、各々の環状部111が互いに離れる方向に回転し、環状部111が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図14参照)。
このように、第一装飾体10が第二位置に位置する状態から、出力歯車141を他方向に回転させれば第三要素部材13、第二要素部材12、第一要素部材11、の順で、環状部111,121,131が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する。具体的には、第三要素部材13が第一位置まで移動し終えてから押圧突起152bと被押圧突起122bとの接触状態が解消されることで第二要素部材12の移動が開始され、第二要素部材12が第一位置まで移動し終えてから押圧突起151bと被押圧突起112bとの接触状態が解消されることで第一要素部材11の移動が開始される。第一要素部材11が第一位置まで移動し終えると、図14に示すような第一装飾体10全体が第一位置に位置した状態となる。
2)第二装飾体の構成・基本動作
装飾部材5が有する第二装飾体20の構成について説明する。第二装飾体20は、装置枠体2aの上部(表示装置92の表示画面の上側)に取り付けられた役物であり、第二装飾体用駆動源24によって第三位置と第四位置の間を移動可能である。この第二装飾体20は、第一要素部材21と、第二要素部材22と、第三要素部材23と、を備える。本実施形態では、各要素部材21,22,23は、遊技機1を上下方向に二分する中央線に関し左右対称に位置する二つの部材から構成される(以下、左側に位置する要素部材を左(第一〜第三)要素部材21L,22L,23L、右側に位置する要素部材を右(第一〜第三)要素部材21R,22R,23Rと区別することもある)。
各要素部材21,22,23は、円弧状に形成された環状部211,221,231と、環状部211,221,231の上方に形成される接続部212,222,232を有する。環状部211,221,231は、遊技を演出する部分である。この環状部211,221,231の円弧の径が小さい方から順に(曲率が大きい方から順に)第一要素部材21、第二要素部材22、第三要素部材23となる。全ての要素部材21,22,23の環状部211,221,231が遊技者に視認可能となる下方に位置(表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置)した状態が、「第二装飾体20が第四位置に位置した状態」である(図17に示した状態)。この第四位置において、各要素部材21,22,23の環状部211,221,231の円弧は同心円状に位置する。また、左要素部材21L,22L,23Lと右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231は、同じ径の円弧を描くように一体的な形状を構成する。
一方、「第二装飾体20が第三位置に位置した状態」とは、詳細を後述するように、各要素部材21,22,23の環状部211,221,231同士が離れる方向に移動し、表示装置92の表示画面の前面側に全ての要素部材21,22,23の環状部211,221,231が重なっていない状態である(図14に示した状態)。第三位置において、第二装飾体20は、その大部分が装置枠体2aの上部の後側に位置する。
一方、接続部212,222,232は、先端(上端)が略円形に形成された部分である。各要素部材21,22,23は、接続部212,222,232の略円形部分の中心で装置枠体2aに回転自在に支持されている。平面方向における各要素部材21,22,23の回転中心は同じであり、各接続部212,222,232の円形部分同士は、同一の支持軸26に回転自在に支持されている。この各要素部材21,22,23における接続部212,222,232の円形部分における中央側の一部には、互いに噛合する歯車212a,222a,232aが形成されている。この歯車212a,222a,232aの噛合位置を変化させることによって、要素部材21,22,23が上記略円形部分の中心を回転中心として回転する。すなわち、歯車212a,222a,232aの噛合位置を変化させることによって、第二装飾体20が第三位置から第四位置まで移動する。また、第一右要素部材21R、第二右要素部材22R、第三右要素部材23Rには、上方に向かって突出する被押圧突起212b,222b,232bが形成されている。この各要素部材21,22,23に形成された被押圧突起212b,222b,232bは前後方向に重なるように(平面方向における位置が略同じとなるように)形成されている。この被押圧突起212b,222b,232bは、後述する連繋部材25に形成された押圧突起251b,252b,253bに係合する部分である。
このような構成の第二装飾体20(各要素部材21,22,23)は、装置枠体2aに固定された第二装飾体用駆動源24と次のように連繋されている。本実施形態では、第二装飾体用駆動源24はモータである。この第二装飾体用駆動源24の出力軸(回転軸)には、出力歯車241が固定されている。一方、装置枠体2aには、幅方向にスライド自在に固定された連繋部材25が設けられている。連繋部材25は、三枚の板状体が前後方向に重なるように組み合わされてなる部材であり、三つの板状体は、それぞれ、第一要素部材21、第二要素部材22、および第三要素部材23に係合する(以下、第一要素部材21に係合する板状体を第一板状体251、第二要素部材22に係合する板状体を第二板状体252、第三要素部材23に係合する板状体を第三板状体253と区別して称することもある)。このうち、少なくともいずれか一つの板状体(本実施形態では第三板状体253)には、ラック25a(歯竿)が形成されており、出力歯車241と噛合している。つまり、出力歯車241が回転することにより、三つの板状体が組み合わされてなる連繋部材25は幅方向にスライドする。
一方、各連繋部材25の板状体には、幅方向に長い長孔である貫通孔251a,252a,253aが形成されている。この貫通孔251a,252a,253aには、各接続部212,222,232の円形部分同士を接続し、各要素部材21,22,23を回転自在に支持する支持軸26が挿通されている。そして、各右要素部材21R,22R,23Rの接続部212,222,232に形成された被押圧突起212b,222b,232bは、対応する板状体に形成された貫通孔251a,252a,253aの内側に位置する(被押圧突起212b,222b,232bと貫通孔251a,252a,253aが同一平面上に位置する)。
また、貫通孔251a,252a,253aの上壁の右側には、押圧突起251b,252b,253bが形成されている。この押圧突起251b,252b,253bの存在により、貫通孔251a,252a,253aには上下方向における大きさが相対的に大きい部分(相対的に幅広の部分)と相対的に小さい部分(相対的に幅狭の部分)が形成される。押圧突起251b,252b,253bは、板状体によって幅方向の長さが異なる。具体的には、第一板状体251に形成された押圧突起251bが一番短く、この第一板状体251に形成された押圧突起251bよりも第二板状体252に形成された押圧突起252bは長い。さらに、第二板状体252に形成された押圧突起252bよりも第三板状体253に形成された押圧突起253bは長い。これら三つの板状体は前後方向に重ねられているため、連繋部材25全体として前方から見ると、第一板状体251における押圧突起251bの左端が最も右寄りに位置し、第三板状体253における押圧突起253bの左端が最も左寄りに位置する構造となる。なお、各押圧突起251b,252b,253bの左端は、緩やかに傾斜した傾斜面となっている。
以上の構成を備える第二装飾体20は、次のように動作する。第二装飾体用駆動源24に固定された出力歯車241が、連繋部材25のラック25aにおける左端部近傍に噛合した状態であるとき、各右要素部材21R,22R,23Rの接続部212,222,232に形成された被押圧突起212b,222b,232bは、各板状体の貫通孔251a,252a,253aにおける相対的に幅広の部分に位置する。つまり、押圧突起251b,252b,253bが形成されていない部分に位置するため、被押圧突起212b,222b,232bは押圧突起251b,252b,253bに接触しない。したがって、各要素部材21,22,23に作用する部材は何も存在しないため、環状部211,221,231の自重によって環状部211,221,231が下方に位置する。具体的には、全ての要素部材21,22,23の環状部211,221,231が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置、すなわち、第二装飾体20(第二装飾体20を構成する全ての要素部材21,22,23)は第四位置に位置する(図17参照)。
この状態から、第二装飾体用駆動源24を駆動し出力歯車241を一方向に回転させると、連繋部材25が左方向にスライドする。すると、まず、左端が最も左寄りに位置する第三板状体253の押圧突起253bに、第三右要素部材23Rの接続部232に形成された被押圧突起232bが接触する。具体的には、被押圧突起232bが押圧突起253bによって押し下げられる方向に移動する。このように被押圧突起232bが押し下げられると、第三右要素部材23Rは、環状部231が右に移動する方向(反時計回り)に回転する。このように第三右要素部材23Rが回転すると、第三右要素部材23Rの歯車232aに噛合する歯車232aを有する第三左要素部材23Lは、環状部231が左に移動する方向(時計回り)に回転する。このように、第三左要素部材23Lと第三右要素部材23Rは、各々の環状部231が互いに離れる方向に回転し、環状部231が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図16参照)。
さらに出力歯車241を一方向に回転させると、第二板状体252の押圧突起252bに、第二右要素部材22Rの接続部222に形成された被押圧突起222bが接触する。これにより、上記第三要素部材23と同様に、第二左要素部材22Lと第二右要素部材22Rは、各々の環状部221が互いに離れる方向に回転し、環状部221が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図15参照)。そして、さらに出力歯車241を一方向に回転させると、第一板状体251の押圧突起251bに、第一右要素部材21Rの接続部212に形成された被押圧突起212bが接触する。これにより、上記第三要素部材23、第二要素部材22と同様に、第一左要素部材21Lと第一右要素部材21Rは、各々の環状部211が互いに離れる方向に回転し、環状部211が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない位置まで移動する(図14参照)。
このように、第二装飾体20が第四位置に位置する状態から、出力歯車241を一方向に回転させれば第三要素部材23、第二要素部材22、第一要素部材21、の順で、環状部211,221,231が表示装置92の表示画面の前面側に重ならない第三位置まで移動する。具体的には、第三要素部材23が第三位置まで移動し終えてから押圧突起252bに被押圧突起222bが接触することで第二要素部材22の移動が開始され、第二要素部材22が第三位置まで移動し終えてから押圧突起251bに被押圧突起212bが接触することで第一要素部材21の移動が開始される。第一要素部材21が第三位置まで移動し終えると、図14に示すような第二装飾体20全体が第三位置に位置した状態となる。
一方、第二装飾体20を第三位置から第四位置に移動させる際には、第二装飾体用駆動源24を駆動し出力歯車241を他方向に回転させ、連繋部材25を右方向にスライドさせる。すると、まず、左端が最も右寄りに位置する第一板状体251の押圧突起251bに、第一右要素部材21Rの接続部212に形成された被押圧突起212bが接触した状態が解消される。具体的には、被押圧突起212bが押圧突起251bによって押し下げられた状態が解消される。このように被押圧突起212bが押し下げられた状態が解消されると、第一右要素部材21Rは、環状部211がその重さにより(重力の作用により)左に移動する方向(時計回り)に回転する。このように第一右要素部材21Rが回転すると、第一右要素部材21Rの歯車212aに噛合する歯車212aを有する第一左要素部材21Lは、環状部211が右に移動する方向(反時計回り)に回転する。このように、第一左要素部材21Lと第一右要素部材21Rは、各々の環状部211が互いに近づく方向に回転し、環状部211が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図15参照)。
さらに出力歯車241を一方向に回転させると、第二板状体252の押圧突起252bに、第二右要素部材22Rの接続部222に形成された被押圧突起222bが接触した状態が解消される。これにより、上記第一要素部材21と同様に、第二左要素部材22Lと第二右要素部材22Rは、各々の環状部221が互いに近づく方向に回転し、環状部221が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図16参照)。そして、さらに出力歯車241を一方向に回転させると、第三板状体253の押圧突起253bに、第三右要素部材23Rの接続部232に形成された被押圧突起232bが接触した状態が解消される。これにより、上記第一要素部材21、第二要素部材22と同様に、第三左要素部材23Lと第三右要素部材23Rは、各々の環状部231が互いに近づく方向に回転し、環状部231が表示装置92の表示画面の前面側に重なる位置まで移動する(図17参照)。
このように、第二装飾体20が第三位置に位置する状態から、出力歯車241を他方向に回転させれば第一要素部材21、第二要素部材22、第三要素部材23、の順で、環状部211,221,231が表示装置92の表示画面の前面側に重なる第四位置)まで移動する。具体的には、第一要素部材21が第四位置まで移動し終えてから押圧突起252bと被押圧突起222bとの接触状態が解消されることで第二要素部材22の移動が開始され、第二要素部材22が第四位置まで移動し終えてから押圧突起253bと被押圧突起232bとの接触状態が解消されることで第三要素部材23の移動が開始される。第三要素部材23が第四位置まで移動し終えると、図17に示すような第二装飾体20全体が第四位置に位置した状態となる。
3)演出体の構成・基本動作
演出体30の構成について説明する。演出体30は、装置枠体2aの左部(表示装置92の表示画面の左側)において連結部材を介して演出体用駆動源に接続された独立して動作する役物であり、第一演出位置と第二演出位置の間を移動可能である。本実施形態における演出体30は、正面視円形(三次元的に見れば円柱状)の遊技を演出する部分である。この演出体30が表示装置92の表示画面の下側に位置した状態が、「演出体30が第一演出位置に位置した状態」である(図18(a)、図19に示した状態)。また、演出体30が表示装置92の表示画面の前面側略中央に重なって位置した状態が、「演出体30が第二演出位置に位置した状態」である(図18(b)、図20に示した状態)。なお、演出体30の前面には、図示されない駆動手段により回転する星状の演出要素31が設けられている。この演出体30の形状などは例示であり適宜変更可能である。
図18等に示すように、連結部材は、主軸32、従動軸33、連結アーム34、および補助アーム35を有する。主軸32および従動軸33の先端部に演出体30が固定されている。また、主軸32および従動軸33の基端部は、装置枠体2aの左部に回動自在に支持されている。同様に連結アーム34も、その基端部が装置枠体2aの左部に回動自在に支持されている。この連結アーム34の回動中心軸は、主軸32の回動中心軸と同一であり、連結アーム34と主軸32は一体的に回転する。連結アーム34の先端側には、連結アーム34の長手方向に延びる長孔が形成されている。この長孔には、補助アーム35の先端部が係合されている。この補助アーム35の基端部は図示されない演出体用駆動源に接続されている。演出体用駆動源は、出力軸(回転軸)が偏心位置(モータの中央軸線からずれた位置)に設けられた偏心モータである。
以上の構成を備える演出体30は、次のように動作する。図19に示す演出体30が第一演出位置に位置している状態から、演出体用駆動源の出力軸を一方向に回転させると、補助アーム35の先端部が左方向に移動するように回転する。すると、補助アーム35の先端部が係合している連結アーム34も基端部を中心として左方向(反時計回り)に回転する。連結アーム34が左方向に回転すると、それと一体的に回転する主軸32も左方向(反時計回り)に回転する。すなわち、主軸32の先端部が起き上がる方向に回転する。主軸32の先端部には演出体30が固定されているから、主軸32の左方向への回転によって演出体30は表示装置92の表示画面の前面側略中央に重なる位置まで移動する(図20参照)。なお、この主軸32の移動に伴って主軸32とともに演出体30に固定されている従動軸33も左方向(反時計回り)に回転する。このようにして、演出体30が表示装置92の表示画面の前面側略中央に重なる位置、すなわち第二演出位置に位置した状態となる。なお、演出体30が第二演出位置に位置した状態となったとき、従動軸33が図示されないフォトセンサの検出範囲に入り込む。これにより、演出体30が第二演出位置に位置したことが検出される。
図20に示す第二演出位置に位置した演出体30を第一演出位置に移動させる際には、演出体用駆動源を他方向に回転させる。これにより、補助アーム35の先端部が右方向に移動するように回転する。すると、補助アーム35の先端部が係合している連結アーム34も基端部を中心として右方向(時計回り)に回転する。連結アーム34が右方向に回転すると、それと一体的に回転する主軸32も右方向(時計回り)に回転する。連結アーム34の先端部には演出体30が固定されているから主軸32の右方向への回転によって演出体30は表示装置92の表示画面の下側に位置するまで移動する。なお、この主軸32の移動に伴って主軸32とともに演出体30に固定されている従動軸33も右方向(時計回り)に回転する。このようにして、演出体30が表示装置92の表示画面の下側に位置する状態、すなわち第一演出位置に位置した状態となる(図19参照)。
(第一装飾体および第二装飾体が有する各要素部材の対応した動作)
上記のように、本実施形態における装飾部材5を構成する第一装飾体10および第二装飾体20は、それぞれ、三つの要素部材21,22,23、11,12,13を有する(図4参照)。第一装飾体10の各要素部材は、第二装飾体20の一の要素部材と対応する。具体的には、第一装飾体10の第一要素部材11と第二装飾体20の第一要素部材21が対応し、第一装飾体10の第二要素部材12と第二装飾体20の第二要素部材22が対応し、第一装飾体10の第三要素部材13と第二装飾体20の第三要素部材23が対応する。すなわち、環状部の曲率が略一致するもの同士が対応した関係である。
第一装飾体10の各要素部材と、それに対応した第二装飾体20の一の要素部材は、一体的な形態を構成する。すなわち、第二位置に位置する第一装飾体10の第一要素部材11と第四位置に位置する第二装飾体20の第一要素部材21とは一つの円環形状の構造物(以下、単に小円SCと称することもある)を構成する。同様に、第二位置に位置する第一装飾体10の第二要素部材12と第四位置に位置する第二装飾体20の第二要素部材22とが一つの円環形状の構造物(以下、単に中円MCと称することもある)を構成し、第二位置に位置する第一装飾体10の第三要素部材13と第四位置に位置する第二装飾体20の第三要素部材23とが一つの円環形状の構造物(以下、単に大円LCと称することもある)を構成する。
各要素部材が動作する順は、上述した通りである。本実施形態では、第一装飾体10および第二装飾体20の両方において、遊技盤の中央(上記円環形状の構造物を構成する位置)に移動する場合には、第一要素部材11,21、第二要素部材12,22、第三要素部材13,23の順で、遊技盤の中央から離れる方向に移動する場合には、第三要素部材13,23、第二要素部材22,12、第一要素部材11,21の順で移動する。このような順で要素部材を動作させる連繋部材15(25)の板状体に形成された押圧突起151b,152b,153b(251b,252b,253b)の位置は、各要素部材が前の要素部材が移動し終えてから移動を開始するように設定されている。
このような構成を有するため、本実施形態にかかる遊技機1の制御手段は、小円SCのみを構成した形態(図21参照)、小円SCと中円MCを構成した形態(図22参照)、小円SCと中円MCと大円LCを構成した形態(図23参照)のいずれかを用いた演出を行うことが可能である。
このように、第二装飾体20と第一装飾体10は円環形状の構造物を構築する合体動作を行う。なお、第一装飾体10および第二装飾体20が有する要素部材の数(三つ)は例示である。第一装飾体10および第二装飾体20が有する要素部材が同数であれば、その数は適宜変更可能である。
(装飾部材(第一装飾体および第二装飾体)と演出体を組み合わせた(合体、並設させた)演出)
以下、上記構成を備える可動演出装置2の装飾部材5(第一装飾体10および第二装飾体29)と演出体30を組み合わせた演出(動作)について説明する。なお、可動演出装置2の演出は、第一装飾体10、第二装飾体20、および演出体30がそれぞれ単独で動作する演出を行うことが可能である(図11〜図20で示した通り。説明は省略する)。なお、以下の説明では、(第一装飾体10と第二装飾体20を一つの部材として考えた)装飾部材5全体と演出体30を組み合わせた演出を「演出形態」と称し、(装飾部材5を第一装飾体10と第二装飾体20に分けて考えた)第一装飾体10、第二装飾体20、および演出体30の少なくとも二以上を組み合わせた演出を「演出状態」と称する。なお、本実施形態では、組み合わせとは複数の部材(装飾部材5、演出体30等)が合体、並設などすることで一つの装飾形態を表せばよい。
1−1)装飾部材と演出体による第一演出形態
装飾部材5と演出体30とを組み合わせた第一演出形態について説明する。第一演出形態は、第一演出位置に位置する演出体30と装飾部材5との組み合わせで構成される演出形態である。第一演出形態における装飾部材5の位置は、どのような位置であってもよいが、好ましい位置としては第一装飾位置が挙げられる。装飾部材5が「第一装飾位置」に位置した状態とは、第一装飾体10が第二位置に位置し、第二装飾体20が第四位置に位置した状態である。この場合、第一装飾体10の左要素部材11L,12L,13Lの接続部112,122,132と右要素部材11R,12R,13Rの接続部112,122,132の間には、所定の大きさの円形空間(第一収納部S1)が形成されるため、この円形空間内に第一演出位置にある演出体30が位置する(収容される)。このように、第一演出位置に位置する演出体30と第一装飾位置に位置する装飾部材5によって、図24に示すような演出形態(第一演出形態の一つ)が構成される。
ここで、装飾部材5が第一装飾位置に位置している上記第一演出形態においては、演出体30は第一演出位置と第二演出位置の間を移動することができない。第二位置に位置する装飾体10の左要素部材11L,12L,13Lと右要素部材11R,12R,13Rによって、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動経路が遮られるからである。これに対し、装飾部材5が第二装飾位置に位置している状態(第一装飾体10が第一位置に位置し、第二装飾体20が第三位置に位置している状態)においては、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動経路が遮られた状態にないから、演出体30の第一演出位置と第二演出位置の間の移動が可能である。つまり、第一装飾位置に位置する装飾部材5は、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動を規制する移動規制部を構成する。
また、上記第一演出形態の一つである図24に示した形態では、第一装飾体10における左要素部材11L,12L,13Lの環状部111,121,131と右要素部材11R,12R,13Rの環状部111,121,131、および、第二装飾体20における左要素部材21L,22L,23Lの環状部211,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231によって所定の大きさの円形空間(第二収納部S2)が形成される。この第二収納部S2内には演出体30が位置していないため、第二収納部S2から装飾部材5の後側に位置する表示装置92の表示部(表示画面の一部)が視認可能である。つまり、かかる形態において、演出体30が位置していない第二収納部S2は、表示装置92の表示部が視認可能な視認窓Wとして機能する。
1−2)装飾部材と演出体による第二演出形態
装飾部材5と演出体30とを組み合わせた第二演出形態について説明する。第二演出形態は、第二演出位置に位置する演出体30と装飾部材5との組み合わせで構成される演出形態である。第二演出形態における装飾部材5の位置は、どのような位置であってもよいが、好ましい位置としては上記第一装飾位置が挙げられる。この場合、第一装飾体10における左要素部材11L,12L,13Lの環状部111,121,131と右要素部材11R,12R,13Rの環状部111,121,131、および、第二装飾体20における左要素部材21L,22L,23Lの環状部211,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231によって第二収納部S2が形成されるため、この円形空間内に第二演出位置にある演出体30が位置する(収容される)。このように、第二演出位置に位置する演出体30と第一装飾位置に位置する装飾部材5によって、図25に示すような演出形態(第二演出形態の一つ)が構成される。
ここで、上記第二演出形態においても、装飾部材5が第一装飾位置に位置しているから、演出体30は第一演出位置と第二演出位置の間を移動することができない。つまり、第一装飾位置に位置する装飾部材5は、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動を規制する移動規制部を構成する。演出体30を移動させる際には、装飾部材5を第二装飾位置に位置させればよい。
また、上記第二演出形態の一つである図25に示した形態では、第一装飾体10の左要素部材11L,12L,13Lの接続部112,122,132と右要素部材11R,12R,13Rの接続部112,122,132の間には、第一収納部S1が形成される。この第一収納部S1内には演出体30が位置していないため、第一収納部S1から装飾部材5の後側に位置する表示装置92の表示部(表示画面の一部)が視認可能である。つまり、かかる形態において、演出体30が位置していない第一収納部S2は、表示装置92の表示部が視認可能な視認窓Wとして機能する。
2−1)第一装飾体と演出体による第一演出状態
第一装飾体10と演出体30とを組み合わせた第一演出状態について説明する。第一装飾体10が第二位置に位置する場合、左要素部材11L,12L,13Lの接続部112,122,132と右要素部材11R,12R,13Rの接続部112,122,132の間には、所定の大きさの円形空間(第一収納部S1)が形成される。この円形空間内に第一演出位置にある演出体30が位置する(収容される)ことにより、図26に示す第一演出状態が構成される。このように、第一演出位置に位置する演出体30と第一装飾体10の組み合わせによって第一演出状態が構成される。
さらに、第一装飾体10と演出体30とによって構成することのできる別の演出状態として、第二位置にある第一装飾体10と第二演出位置にある演出体30とによって構成される図27に示す演出状態が例示できる。なお、このとき、演出体30が位置していない第一収納部S1は、表示装置92の表示部が視認可能な視認窓Wとして機能する。
また、このように第一演出状態を構成する第一装飾体10および演出体30には、次のような関係性がある。演出体30が第一演出位置および第二演出位置のいずれに位置する場合であっても、第一装飾体10は第一位置と第二位置の間を自由に移動することができる(演出体30に干渉しない)。一方、第一装飾体10が第二位置に位置する場合には、演出体30が第一演出位置および第二演出位置のいずれに位置する場合であっても、移動することはできない(第一装飾体10が演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動を規制する移動規制部を構成する)。これに対し、第一装飾体10が第一位置に位置する場合には、演出体30は第一演出位置と第二演出位置の間を自由に移動することができる(第一位置に位置する第一装飾体10に干渉しない)。
したがって、遊技機1の制御手段は、第一装飾体10と演出体30を次のように制御する。「1.第一装飾体10を第一位置から第二位置に移動させ、かつ、演出体30を第一演出位置から第二演出位置へと移動させようとする際」には、演出体30を第一演出位置から第二演出位置へと移動させてから、第一装飾体10を第一位置から第二位置に移動させる。最初に第一装飾体10を第二位置に移動させてしまうと演出体30が円形空間(第一収納部S1)に収納された状態となり、全く移動することができなくなってしまうからである。「2.第一装飾体10を第一位置から第二位置に移動させ、かつ、演出体30を第一演出位置に位置させたままとする」際には、そのまま第一装飾体10のみを第一位置から第二位置へ移動させればよい。「3.第一装飾体10を第二位置から第一位置に移動させ、かつ、演出体30を第二演出位置から第一演出位置に移動させようとする際」には、第一装飾体10を第二位置から第一位置に移動させてから、演出体30を第二演出位置から第一演出位置に移動させる。第二位置に位置する第一装飾体10によって表示装置92の表示画面の下側に円形空間が形成されているからである。「4.第一装飾体10を第二位置から第一位置に移動させ、かつ、演出体30を第二演出位置に位置させたままとする際」には、そのまま第一装飾体10のみを第二位置から第一位置へ移動させればよい。
なお、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動を規制する移動規制部として、第二装飾体20を用いることもできる。具体的には、第二装飾体20における左要素部材21L,22L,23Lの環状部211,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231の円弧の長さを大きくする(円弧を下方に延ばす)ことにより、第二装飾体20が第四位置に位置しているときには、演出体30の第一演出位置と第二演出位置との間の移動を第二装飾体20の環状部211,221,231、211,221,231により規制することができる。この場合に演出体30を移動させるときには、第二装飾体20を第三位置に位置させればよい。
2−2)第二装飾体と演出体による第二演出状態
第二装飾体20と演出体30とを組み合わせた第二演出状態について説明する。上述したように、第二装飾体20は第四位置において各要素部材21,22,23の環状部211,221,231が表示装置92の表示画面の前面側に重なるように位置する。このとき、左要素部材21L,22L,23Lの環状部221,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231は、下方が破断した円環形状の構造物を構築する。この円環形状の構造物の内側の空間(下方が開口した円形空間)には、第二演出位置に位置する演出体30が入り込むことが可能である。つまり、第四位置に位置する第二装飾体20および第二演出位置に位置する演出体30によって、図28に示す第二演出状態が構成される。
上記演出体30および第二装飾体20は、一方がどの位置に位置していても、他方が自由に移動することが可能である。詳しくは、演出体30は装置枠体2aで囲まれた領域の上下方向における略中央から下の領域で移動するのに対し、第二装飾体20は装置枠体2aで囲まれた領域の上下方向における略中央から上の領域で移動するから、両者は干渉せず、自由に移動することが可能である。ただし、上述したように、第二装飾体20における左要素部材21L,22L,23Lの環状部211,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231の円弧の長さを大きくする(円弧を下方に延ばす)ことにより、第二装飾体20を演出体30の移動を規制する移動規制部として機能させることも可能である。
2−3)第一装飾体と第二装飾体による第三演出状態
第一装飾体10と第二装飾体20を組み合わせた第三演出状態について説明する。上述したように、第一装飾体10は第二位置において各要素部材11,12,13の環状部111,121,131が表示装置92の表示画面の前面側に重なるように位置する。このとき、左要素部材11L,12L,13Lの環状部111,121,131と右要素部材11R,12R,13Rの環状部111,121,131は、上方が破断した円環形状の構造物を構築する。一方、第二装飾体20は第四位置において各要素部材21,22,23の環状部211,221,231が表示装置92の表示画面の前面側に重なるように位置し、左要素部材21L,22L,23Lの環状部211,221,231と右要素部材21R,22R,23Rの環状部211,221,231が下方が破断した円環形状の構造物を構築する。第一装飾体10が構築する円環形状の構造物の破断した部分には、第二装飾体20が構築する円環形状の構造物が位置する。つまり、第二位置に位置する第一装飾体10の環状部111,121,131と第四位置に位置する第二装飾体20の環状部211,221,231によって、図21から図23で示したような連続する(破断した部分の無い)円環形状の構造物が構成される。
上記第一装飾体10および第二装飾体20は、一方がどの位置に位置していても、他方が自由に移動することが可能である。詳しくは、第一装飾体10は装置枠体2aで囲まれた領域の上下方向における略中央から下の領域で移動するのに対し、第二装飾体20は装置枠体2aで囲まれた領域の上下方向における略中央から上の領域で移動するから、両者は干渉せず、自由に移動することが可能である。
この第一装飾体10と第二装飾体20によってこの円環形状の構造物を構成する際、演出体30は第一演出位置および第二演出位置のいずれに位置していてもよい。具体的には、第一装飾体10によって構成される上記第一収納部S1に第一演出位置にある演出体30が位置する場合、図24に示す演出状態(上記第一演出形態の一つ)が構成される。また、円環形状の構造物の内側に形成される円形空間(第二収納部S2)に第二演出位置にある演出体30が位置する場合、図25に示す演出状態(上記第二演出形態の一つ)が構成される。このように、第三演出状態は、第一装飾体10と第二装飾体20によって円環形状の構造物が構成される演出状態であるが、別の見方をすれば、第一装飾体10、第二装飾体20、および演出体30によって構成される演出状態(上記第一演出形態や第二演出形態に含まれる演出形態)とも捉えられる。
また、上記第三演出状態において、第一収納部S1や第二収納部S2に演出体30が位置していない場合、これら第一収納部S1および第二収納部S2から装飾部材5(第一装飾体10および第二装飾体20)の後側に位置する表示装置92の表示部(表示画面の一部)が視認可能である。つまり、演出体30が位置していない収納部は、表示装置の表示部が視認可能な視認窓Wとして機能する。
なお、上記第一演出形態と第二演出形態、および、第一演出状態から第三演出状態の説明において、第二装飾体20を第四位置に位置させると説明したケースでは、第二装飾体20の第一要素部材21のみを第四位置に位置させてもよいし、第一要素部材21と第二要素部材22を第四位置に位置させてもよいし、第一要素部材21から第三要素部材23の全てを第四位置に位置させてもよい。同様に、第一装飾体10を第二位置に位置させると説明したケースでは、第一装飾体10の第一要素部材11のみを第二位置に位置させてもよいし、第一要素部材11と第二要素部材12を第二位置に位置させてもよいし、第一要素部材11から第三要素部材13の全てを第二位置に位置させてもよい。
(本実施形態の主な作用効果)
以上説明した本発明にかかる遊技機1によれば、次のような作用効果が奏される。
本実施形態にかかる遊技機1において、第一装飾位置と第二装飾位置との間を移動可能である装飾部材5は、第一演出位置に位置する演出体30と第一演出形態を構成すると共に、第二演出位置に位置する演出体30と第二演出形態を構成する。つまり、独立して動作する演出体30が第一演出位置にあるか第二演出位置にあるかにより別の演出形態を構成することが可能であるから、幅広い演出効果を発現する遊技機1となる。
また、装飾部材5によって形成される第一収納部S1および第二収納部S2に演出体30が入り込んだ状態とすることができるため、限られた遊技領域を有効に活用して効果的な演出を行うことが可能となる。具体的には、装飾部材5と演出体30との合体動作による優れた演出効果が発現される。
また、第一装飾位置に位置している装飾部材5によって、第一演出位置と第二演出位置の間の演出体30の移動を規制する移動規制部が構成されるため(装飾部材5と演出体30の動作が規制されるため)、装飾部材5と演出体30が干渉することを防止しつつ、種々の演出を行うことが可能となる。
また、遊技者は、演出体30が位置していない収容部(視認窓W)から表示装置92の表示部の画像を視認することができる。この表示装置92の表示部における視認窓Wから視認できる部分に種々の画像を映し出すことにより、装飾部材5と表示装置92が一体となった種々の演出を行うことが可能となる。
一方、本実施形態にかかる遊技機1において、第一装飾体10は、第一演出位置に位置する演出体30と第一演出状態を構成し、第一装飾体10とともに合体動作を行う第二装飾体20は、第二演出位置に位置する演出体30と第二演出状態を構成する。つまり、独立して動作する演出体30が第一演出位置にあるか第二演出位置にあるかによって、合体動作を行う第一装飾体10および第二装飾体20との組み合わせによって異なる演出状態を構成することが可能であるから、幅広い演出効果を発現する遊技機1となる。
また、第一装飾体10は第一位置と第二位置の間を移動可能であり、第二位置に位置する第一装飾体10と第四位置に位置する第二装飾体20によって第三演出状態を構成することができるため、第一装飾体10と第二装飾体20によってより幅広い演出効果を発現することが可能となる。
また、第一装飾体10によって第一演出位置に位置する演出体30を収容することができる第一収納部S1、第一装飾体10および第二装飾体20によって第二演出位置に位置する演出体30を収容することができる第二収納部S2が構成される構造であるから、限られた遊技領域を有効に活用して効果的な演出を行うことが可能となる。具体的には、第一装飾体10および第二装飾体20の少なくともいずれか一方と、演出体30との合体動作による優れた演出効果が発現される。
また、遊技機1が備える制御手段により、第一装飾体10と演出体30の干渉を防止しつつ種々の演出を行うことが可能である。
また、第一装飾体10および第二装飾体20が、ともに、複数の要素部材(第一要素部材21,11〜第三要素部材23,13)から構成され、第二装飾体20の要素部材21,22,23と第一装飾体10の要素部材11,12,13が組み合わされて一体的な形態(円環形状の構造物)を構成する構造であるから、第二装飾体20と第一装飾体10によってなされる合体動作に様々な変化をもたらすことができる。換言すれば、複数種類の合体動作による演出を提供することが可能となる。
また、第一装飾体10または第二装飾体20を構成するある要素部材が第一位置または第三位置から第二位置または第四位置に移動し終えてから次の要素部材の第一位置または第三位置から第二位置または第四位置までの移動が行われるように構成されるため、一の要素部材のみで形態を構成したり、複数の要素部材で形態を構成したりすることが可能となり、幅広い演出を提供することが可能となる。
また、第一装飾体10および第二装飾体20を構成する複数の要素部材(第一要素部材11,21〜第三要素部材13,23)が、予め定められた移動順通りに移動し、同じ移動順の要素部材同士が一体的な形態を構成するから、ある一つの要素部材同士だけで一体的な形態を構成したり、複数の要素部材同士で一体的な形態を構成したりするなど、幅広い演出を提供することができる。
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以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施形態における、第一装飾体10、第二装飾体20、および演出体30の駆動方法は一例である。上記と同様の動作を行うことができる構成であれば、これら可動部材の駆動方法は適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、第一装飾体10と第二装飾体20の両方において、複数の要素部材が予め定められた動作順で動作することを説明したが、第一装飾体10および第二装飾体20のいずれか一方のみが予め定められた動作順で動作するようにしてもよい。
また、収納部S1,S2の大きさは、演出体30よりも大きければよく、収納部S1,S2に演出体30を収納した際に装飾部材5と演出体30が一体的に見えていれば、演出体30と装飾部材5との間に隙間が生じる構成であってもよいし、演出体30と装飾部材5が接触している構成であってもよい。さらに本実施形態では、装飾部材5および演出体30は少なくとも一部が同一平面上に位置する構成であればよく、全てが同一平面上に位置していなくともよい。