(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機を前記図1ないし図8に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージシステム1は、着座した被施療者の身体を支えつつ施療を実行する椅子状の本体部20、及びこの本体部20の外部でマッサージ動作に係る各種操作入力を受付ける操作部30からなるマッサージ機10と、このマッサージ機10に対し施療内容に係るデータの更新及び操作を行える携帯通信端末90とを備える構成である。
このうち、前記マッサージ機10は、操作部30の他に、床面上に載置されて椅子全体を安定的に支持する基台部11と、この基台部11の上方で被施療者の臀部を支える座部12と、この座部12の後側で被施療者の背中を支える背もたれ部13と、座部12の左右両側で被施療者の肘や前腕部を支える肘掛部14と、座部12の前側で被施療者の脚を支える脚支持部15と、搭載されている複数の施療機構によるマッサージ動作を操作入力や記録情報等の内容に基づいて制御する制御部40とを備える構成である。
前記マッサージ機10の本体部20は、基台部11と、座部12と、背もたれ部13と、肘掛部14と、脚支持部15と、制御部40とからなり、このうち、基台部11は、マッサージ機設置面としての床面に載置され、椅子各部をなす前記座部12、背もたれ部13、肘掛部14、及び脚支持部15を一体に取付けられてこれらを支持するものである。
前記座部12は、基台部11に対し座面の傾斜角度を調整可能として取付けられ、座面にて被施療者の臀部や太腿部を支えつつ内蔵の施療機構でマッサージを実行するものである。この座部12の施療機構としては、空気の給排で動作する臀部用エアセル71、及び太腿用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で動作させるエアポンプ70が座部12下側のスペースに配設される。
前記背もたれ部13は、人の背中形状に合せた表面形状とされて前記基台部11及び座部12に対し傾斜角度を調整可能として配設され、その内部に、マッサージを実行する施療機構を備える構成である。
背もたれ部13内部には、揉み、叩き等の刺激を被施療者に与える施療子としての左右一対の揉み玉51とこれを動作させる駆動機構部60が一体となったメカユニット50と、このメカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能に支持しつつ、背もたれ部の各部を内部から支える枠状の背もたれ部フレーム13aと、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する背中用エアセル73及び腰用エアセル74とがそれぞれ配設される構成である。このうちメカユニット50、背中用エアセル73、及び腰用エアセル74が、それぞれマッサージを実行する施療機構をなす。
なお、この背もたれ部13の左右両側部には、被施療者に面する内面側にエアセル等の施療機構を設けた一対の側壁部を突出配設して、被施療者の上腕部等に対して側方からマッサージを行えるようにすることもできる。
前記背もたれ部フレーム13aは、メカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能とし、且つ他方向への動きは拘束して支持する左右一対のガイドフレーム13b間に、複数の横フレームを横方向に掛渡して一体に連結して、略梯子状のフレーム構造とされるものである。
前記肘掛部14は、座部12の両側に配設され、背もたれ部13がリクライニング角度を変化させたり、座部12が傾動した場合でも、被施療者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部14にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、被施療者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてかまわない。
前記脚支持部15は、座部12の前側に位置し、座部12前端付近を中心として傾動可能に配設されるものである。この脚支持部15にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する脚用エアセルや、上下に移動しつつ脚を押圧するローラ等の施療機構を配設するようにしてかまわない。
前記操作部30は、マッサージ機10の本体部20による被施療者の選択可能な施療内容や、マッサージ機10に係る各種情報を画面上に画像として表示する表示手段としての表示部31と、この表示部31の表示に基づいての操作を含む被施療者からのマッサージ機10に対する各種操作入力を受付ける入力手段としての多数のスイッチ32と、マッサージ機10の施療内容に係るデータを格納する記憶手段33と、スイッチ32で受付けた操作に対応する施療内容での施療実行を指示する信号を本体部20の制御部40に送出する操作制御手段34と、携帯通信端末90の送信したデータを受信すると共に携帯通信端末90へデータを送信する通信接続手段35とを備え、本体部20とは別体とされ、本体部20側部のスタンド36に着脱自在に設置されて、本体部20の外部に配設される構成である。
この操作部30は、本体部20の制御部40と信号線により有線接続されており、前記操作制御手段34が、スイッチ32で施療の実行等に係る操作入力を受けると操作指示の信号を制御部40に送信する一方、制御部40から送られたマッサージ機本体部20の作動状態を示す信号を受取り、本体部20の状態を表す表示を表示部31に行わせることとなる。なお、操作部30の表示部31やスイッチ32の位置を被施療者にとって最適位置とするために、スタンド36の位置は調整可能となっている。
前記表示部31は、所定の大きさの表示画面を有し、操作制御手段34の表示に係る制御に基づいて、選択可能な複数の施療内容を示して被施療者の操作入力を促す表示に加え、被施療者の身体各部位置検出や、座部12や背もたれ部13の角度等の調整、施療の実行や停止など、本体部20の作動状態を表す表示を実行するものである。
前記スイッチ32は、操作部30をスタンドに設置した状態でも表面に露出して操作可能となる配置として操作部30に配設される構成である。多数のスイッチ32の中には、マッサージ機10の作動中に被施療者にとって危険な状況が生じた際に、マッサージ機10を速やかに停止させるための緊急停止スイッチ32aがある。この緊急停止スイッチ32aは操作入力の有無を常に操作制御手段34で検知される、すなわち、常時操作可能とされており、携帯通信端末90でマッサージ機10の操作を行っている場合も、緊急停止スイッチ32aの操作でマッサージ機10を停止させることができる。
なお、入力手段としては、表示部31とは独立した多数のスイッチ32の他に、表示部31に表示された所定のスイッチ領域を触れることでスイッチ操作を行えるようにした、いわゆるタッチパネル式のスイッチを採用することもできる。
前記記憶手段33は、施療内容に係るデータ、詳細には、揉み玉51による「揉み」、「叩き」、「指圧」などの基本のマッサージに関するデータ、各エアセルによるエアセルマッサージに関するデータ、及び、基本のマッサージ及び/又はエアセルマッサージを複数組合わせた自動コースのデータを格納するものである。
この記憶手段33のデータを、操作制御手段34が参照して、表示部31に実行可能な施療内容の選択肢として表示すると共に、スイッチ32の操作入力に基づき、操作制御手段34が記憶手段33のデータの中から、入力に対応する、すなわち選択された各基本のマッサージや、自動コースのデータを読出し、これらの実行を指示する信号を本体部20の制御部40に出力することでマッサージを実行可能としている。
また、記憶手段33は、通信接続手段35で受信された携帯通信端末90からの新たな施療内容に係るデータ、例えば、複数の基本マッサージを組合わせて生成された既存のものと異なる新規の自動コースのデータを、操作制御手段34により記録されることとなる。携帯通信端末90の送信する新たな施療内容に係るデータは、ネットワークを通じてサーバから携帯通信端末90にダウンロードしたものの他、例えば、被施療者が携帯通信端末90での入力編集により複数の基本マッサージを適宜組み合わせて作成した、新規の自動コースのようなデータであってもよい。
なお、記憶手段33としては、書換え可能なフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いるが、操作制御手段34の操作制御用の情報を書換え可能に格納する記憶部に空き領域がある場合、これを記憶手段として用いて自動コース等の施療内容に係るデータを格納するようにすることもできる。
前記操作制御手段34は、被施療者によるスイッチ32の操作で入力された施療実行等の指示に対応して本体部20が作動するための信号を本体部20の制御部40に送り、且つ本体部20の状態を示す信号を制御部40から受取って、本体部20の状態を表す表示を表示部31に行わせる、基本的な操作制御に加えて、記憶手段33に格納されるデータの更新制御や、携帯通信端末90から送信されたデータを通信接続手段35で受信し、データの内容に応じた処理を引続き行えるようにすると共に、所定のデータを通信接続手段35により携帯通信端末90へ向け送信する通信制御を行うものである。
携帯通信端末90でマッサージ機データ更新用のプログラムを実行し、施療内容に係るデータがマッサージ機10の操作部30に向けて送信されている場合、送信された施療内容に係るデータを通信接続手段35で受信すると、操作制御手段34は、受信したデータと記憶手段33に既に格納されているデータとの新旧を比較し、格納されているデータより通信接続手段35で受信したデータが新しい場合には、記憶手段33のデータを通信接続手段35で受信したデータに置換えて更新する。また、操作制御手段34は、表示部31での施療内容を表す表示に関し、記憶手段33の更新されたデータに基づく表示を表示部31に実行させる。さらに、操作制御手段34は、記憶手段33の更新されたデータを、被施療者の操作を受けて、更新データに対応する施療内容での施療実行を指示する信号が送出される際、又はより以前の時点で、本体部20の制御部40に送信する。これにより、制御部40のデータも更新されて、新たな施療内容での施療実行を指示する信号に対応して本体部20の各駆動機構を作動させ、施療を実行することができる。
また、携帯通信端末90でマッサージ機操作用のプログラムを実行し、被施療者の施療実行の指示操作入力を携帯通信端末90の入力デバイスで受付けて、この受付けた入力に対応する施療内容での施療実行指示に係るデータがマッサージ機10の操作部30に向けて送信されている場合、送信された施療実行指示に係るデータを通信接続手段35で受信すると、操作制御手段34は、受信した施療実行指示に係るデータに対応する施療内容での施療実行を指示する信号を本体部20の制御部40に送出することとなる。これにより、制御部40が本体部20各機構を作動させて、携帯通信端末90で実行を指示された施療内容の施療を本体部20で被施療者に対し行うことができる。
そして、スイッチ32の直接操作や携帯通信端末90からの操作に基づいて、施療の実行等、本体部20が作動する場合、操作制御手段34は、本体部20から施療実行や施療停止などといった本体部20の状態を示す信号を受取り、本体部20の状態を表す表示を表示部31に行わせると共に、本体部20の状態を示すデータを通信接続手段35で携帯通信端末90に向け送信し、携帯通信端末90の表示デバイスでも本体部20の状態を表示できるようにする。
この操作制御手段34は、緊急停止スイッチ32aからの停止指示には常に対応するようになっており、緊急停止スイッチ32aで被施療者の操作入力を受付けると、操作制御手段34は作動停止を指示する信号を本体部20の制御部40に送出し、信号を受けた制御部40が本体部20の作動を速やかに停止させる仕組みとなっている。
さらに、操作制御手段34は、マッサージ機10が通電されて起動すると、スイッチ32による入力を受付けてマッサージ機10の操作に係る制御を実行可能となると共に、表示部31による所定の表示を実行させることとなるが、この他、表示部31の表示制御において、所定の状況で表示部31による表示を行わない、省電力のための非表示モードを備えるようにすることもできる。例えば、電源投入後は、操作制御手段34が表示部31での表示を行わせるものの、被施療者による携帯通信端末90の操作でマッサージ機操作用のプログラムが実行され、専ら携帯通信端末90でマッサージ機10の操作がなされる状況を検知した場合には、被施療者が表示部31を確認する必要性に乏しいと判断して、非表示モードに移行することとなる。具体的には、操作用プログラムの実行が開始され、通信接続手段35と携帯通信端末90との通信接続が確立されたら、表示部31で携帯通信端末90から操作が行える旨をしばらく表示した後、表示部31の表示を停止させたり、操作用プログラム実行後、携帯通信端末90で何らかの操作がされ、携帯通信端末90から操作に伴う信号やデータが操作部30側に送信された時点で、表示部31の表示を停止させる例が挙げられる。
この場合、携帯通信端末90からの操作に基づき実行された施療が終了し、さらに被施療者により携帯通信端末90のマッサージ機操作用のプログラムの実行も終了させられた場合には、通信の停止を検知するのに伴い、操作制御手段34は非表示モードを停止して表示部31を表示状態に復帰させ、マッサージ機を操作部30で適切に操作できる状態を確保する。また、施療中や施療終了後の、携帯通信端末90との通信が確立されている状況で、被施療者により操作部30のスイッチ32を操作された場合には、被施療者が表示部31を確認する必要性が生じたと判断して、前記同様、非表示モードを停止して表示部31を表示状態に復帰させることとなる。
なお、表示部31をタッチパネル式として入力手段としても用いる場合、操作制御手段34が非表示モードに移行した場合は操作入力を受付けないようにし、表示部31が表示状態となってスイッチ部分が適切に表示され、被施療者が操作を確実に行える状況でのみ、被施療者の操作を受付けて、安全性を確保するのが好ましい。
前記通信接続手段35は、操作部30の内部又は表面の一部に配設され、操作制御手段34による制御に基づき、携帯通信端末90から送信された施療内容に係るデータや施療の実行に係るデータを受信する一方、本体部20の状態に係るデータを携帯通信端末90の表示デバイス91での状態表示のために携帯通信端末90に向け送信するものである。携帯通信端末90との通信は、ケーブルを介した直接接続による通信、あるいは、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等による無線通信として行われる。
前記制御部40は、あらかじめ被施療者の身体各部位置検出を実行して得られた検出結果に基づいて、施療機構やマッサージ機の他の各可動部分を被施療者に対応した状態に調整すると共に、施療機構や他の各可動部分に対し、携帯通信端末90又は操作部30の操作や、あらかじめ記録設定された施療内容、また前記検出結果の情報に基づいて、適切な施療の実行のための制御を行うものである。
この制御部40は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部40として動作させる仕組みである。この制御部40をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
この制御部40をなすコンピュータのユニットは、座部12直下等の本体部20内部の所定のスペースに配設され、操作部30と通信可能な状態とされると共に、メカユニット50の各種モータや、座部12や背もたれ部13、脚支持部15を傾動させる各アクチュエータ、エアポンプ70とそれぞれ電気的に接続され、被施療者の身体各部位置検出の際にはあらかじめ設定された位置検出用プログラムに基づく制御信号出力により、また、マッサージ実行の際には設定されたマッサージのデータに基づく制御信号出力により、これらの駆動機構の作動を制御する。
加えて、制御部40は、メカユニット50や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット50の状態や、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15の傾斜等の状態を把握しつつ、モータやアクチュエータ等の駆動機構の作動制御を行うこととなる。
制御部40は、マッサージ実行の際、操作部30や携帯通信端末90で被施療者により選択指示された自動コースや基本のマッサージについて、操作制御手段34から指示信号を受取り、信号に基づいて被施療者に選択された自動コースや基本マッサージのデータを制御部40のメモリ等から読み出し、データに基づく制御信号を出力してメカユニット50及び/又はエアポンプ70を作動させ、メカユニット50の揉み玉51によるメカマッサージ及び/又はエアセルマッサージを実行する。
この他、制御部40は、公知のマッサージ機と同様に、マッサージに先立つ被施療者の身体各部位置検出として、メカユニット50を制御し、メカユニット50を背もたれ部13における初期位置からガイドフレーム20に沿って移動させ、揉み玉51を被施療者に沿って動かす過程で、背もたれ部13にもたれた被施療者側からの揉み玉51に対する圧力の変化や揉み玉51の傾き変化等を順次取得し、この情報に基づいて、被施療者の肩位置、背骨のライン、腰位置を検出することもできる。
前記携帯通信端末90は、表示デバイス91及び入力デバイス92を備え、携帯電話網及び/又はデータ通信網と接続して通信する機能を有する携帯電話やいわゆるスマートフォン、PDA(携帯情報端末)などの公知の装置であり、このうち、端末上でアプリケーションプログラムを実行可能であり、携帯電話網及び/又はデータ通信網への接続用の無線通信手段93とは別の、通信対象(操作部30)と直接無線通信又は有線接続で通信する通信接続手段94と、マッサージ機10の施療内容に係るデータを保持可能な記憶部95とを有するものである。
携帯通信端末90は、マッサージ機データ更新用のプログラムの実行により、マッサージ機10の施療内容に係るデータを、作成、編集、及び/又は外部のネットワーク100経由で所定のサーバ101からダウンロードする機能、並びに、作成、編集、及び/又はダウンロードされたデータを、マッサージ機10の操作部30へ送信する機能を有する。
加えて、携帯通信端末90は、マッサージ機操作用のプログラムの実行により、表示デバイス91で被施療者の選択可能なマッサージ機10での施療内容を表す所定の表示を行うと共に、この表示に基づく施療実行の指示操作入力を入力デバイス92で受付け、入力デバイス92で受付けた入力に対応する施療内容での施療実行指示に係るデータをマッサージ機10の操作部30に送信する各機能を有する。なお、表示デバイス91での施療内容を表す表示には、前記作成、編集、及び/又はダウンロードされたデータで示される施療内容を表す表示が含まれており、入力デバイス92で、前記作成、編集、及び/又はダウンロードされたデータで示される施療内容を選択して施療実行指示が可能である。
そして、携帯通信端末90からマッサージ機10の操作を行って、マッサージ機10が施療を実行している間も、マッサージ機操作用のプログラムによって、携帯通信端末90からは施療の強度や自動コース中のマッサージの実行可否等の調整に係る操作を行うことができ、操作に基づく調整指示に係るデータが携帯通信端末90から操作部30に送信される。操作部30では、データを受信して、操作制御手段34が調整指示に対応する信号を制御部40に出力する形で、マッサージの調整が行われる。
こうしてマッサージ機操作用のプログラムが実行される中、被施療者が携帯通信端末90からマッサージ機10の操作を行ったり、操作部30のスイッチ32操作を行って、こうした操作に応じた施療をマッサージ機10が実行している場合、携帯通信端末90では、操作部30の表示部31と同様、被施療者の選択した施療内容の他に、施療の実行状況など作動中の本体部20の状態を表示デバイス91に表示して、被施療者が操作し選択した内容や本体部20の状態を確認可能としている(図6参照)。これについては、操作部30において、本体部20からその状態を示すデータを受取った操作制御手段34が、通信接続手段35からデータを携帯通信端末90に送信し、そのデータを携帯通信端末90で受信して表示に用いるようにしていることによるものである。ただし、携帯通信端末90の表示デバイス91への表示内容は、操作部30の表示部31と同じ内容に限られるものではなく、操作部30の表示部31に表示される以外の情報を表示するようにしてもよく、携帯通信端末90からマッサージ機10や他の状況をより適切に把握できることとなる。
この携帯通信端末90は、タッチパネル式の表示デバイス91を有して、表示デバイスが入力デバイス92を兼ねる構成である。携帯通信端末90では、マッサージ機操作用のプログラムの実行により、表示デバイス91における表示領域の一部に、緊急停止操作用のスイッチ92aとなる画像、例えば、操作部30の緊急停止スイッチ32aに近い赤い押しボタン状スイッチの画像、の表示を常に行っており(図5、図6参照)、この表示に対する被施療者からの停止指示の操作入力を受付けた場合には、マッサージ機10の停止指示に係るデータを、マッサージ機10の操作部30に送信することとなる。
一方、操作部30では、この携帯通信端末90から送信された停止指示に係るデータを通信接続手段35で受信すると、操作部30の緊急停止スイッチ32aで停止指示の操作入力を受付けた場合と同様に、操作制御手段34から作動停止を指示する信号を本体部20の制御部40に送出し、本体部20の作動を停止する仕組みである。こうして携帯通信端末90においても、操作部30同様、容易な操作で安全を確保できるようにしている。なお、表示デバイス91における緊急停止操作用のスイッチ92aとなる画像については、被施療者が確実に操作を行えるように、携帯通信端末90が、その端末自体の省電力機能により、何の操作も受けない状況が所定時間継続した際に表示デバイス91を減光、消灯状態とするような場合でも、マッサージ機操作用のプログラムに基づいて、スイッチ92aを視認できる表示状態、例えば、表示デバイス91の全領域又はスイッチ92aのある一部領域を、スイッチ92aの画像が識別できる必要最小限の明るさとして表示を行う状態、が確保される仕組みである。
また、携帯通信端末90は、マッサージ機操作用のプログラムが実行されていると、操作入力に応じた施療実行指示に係るデータの送信とは別途に、通信接続手段35との間での通信確立状態の指標となるデータを、所定時間間隔で定期的に通信接続手段35に送信する。そして、操作部30の操作制御手段34は、送信された前記通信確立状態の指標データを、通信接続手段35で継続的に受信することで、携帯通信端末90と通信確立状態にあると判断する。
しかし、操作部30の操作制御手段34が、前記通信確立状態の指標データの通信接続手段35による受信ができない状態を検知した場合、すなわち、例えば携帯通信端末90の不具合による突然の通信停止や、通信距離増大や障害物による通信障害などの原因で、携帯通信端末90との通信が確立できない状態にあることを検知すると、表示部31で表示を行っていない場合には表示を再開した上で、本体部20で実行状態の施療についての操作を含むマッサージ機の操作について、以降の操作は操作部30で行える旨を表示部31に表示することとなる(図7参照)。そして、操作制御手段34は、被施療者からの操作部30のスイッチ32への操作入力で施療強度の調整や施療実行停止などの指示を受付けた場合、本体部20で実行状態の施療に係る指示として認識する。こうして、携帯通信端末90で操作が行えない状況でも、実行状態の施療について操作部30でスムーズ且つ確実に操作を行える状態とすることで、安全を確保できる仕組みである。
この他、携帯通信端末90は、マッサージ機操作用のプログラムが実行されて操作部30との間で通信が確立している状況で、端末自体の診断機能により、操作用プログラムの実行停止を余儀なくされるハードウェア状態変化が事前に予期される場合、具体的には、プログラムの実行停止に至るレベルの、バッテリー消耗や内部の過熱による動作異常等が近く生じることを検知した場合、プログラムの実行停止に伴う操作入力の受付不能状態を予告するデータを操作部30の通信接続手段35に向けて送信する。操作部30の操作制御手段34が、この携帯通信端末90からのデータ送信で、携帯通信端末90での操作入力の受付不能状態が近いことを検知すると、表示部31で表示を行っていない場合には表示を再開した上で、本体部20で実行状態の施療についての操作を含むマッサージ機の操作について、以降の操作は操作部30で行える旨を表示部31に表示することとなる(図7参照)。そして、操作制御手段34は、被施療者からの操作部30のスイッチ32への操作入力で施療強度の調整や施療実行停止などの指示を受付けた場合、本体部20で実行状態の施療に係る指示として認識して、実行状態の施療について携帯通信端末90と同様にスムーズ且つ安全に操作を行える状態を維持する。
同様に、マッサージ機操作用のプログラムが実行されて操作部30との間で通信が確立している状況で、操作用プログラムの実行が中断又はバックグラウンド実行状態に移行するような割込みをもたらす事象が開始した場合、具体的には、電話網からの着呼やデータ通信網からのメール着信に係る通信が開始した場合、携帯通信端末90での操作入力が速やかに行えなくなることから、携帯通信端末90は、プログラムの実行中断等に伴う操作入力の受付不能状態を示すデータを操作部30の通信接続手段35に向けて送信する。この場合も、操作部30の操作制御手段34が、携帯通信端末90からのデータ送信で、携帯通信端末90が操作入力の受付不能状態にあることを検知して、前記同様、表示部31で表示を行っていない場合には表示を再開した上で、本体部20で実行状態の施療についての操作を含むマッサージ機の操作について、以降の操作は操作部30で行える旨を表示部31に表示する(図7参照)。
なお、携帯通信端末90は、端末ごとに識別可能な固有の情報を有するため、操作部30の記憶手段33に、あらかじめマッサージ機10を利用する被施療者の履歴情報とその被施療者の携帯通信端末90の識別情報を対応付けて記録し、操作制御手段34において、通信が確立した携帯通信端末90の情報とあらかじめ記録されている情報とを比較照合して被施療者を識別し、機能提供にあたり登録された被施療者の履歴情報を参照するようにすることもでき、より被施療者に適した機能を提供できる。
次に、本実施形態に係るマッサージシステムのマッサージ機データ更新処理について説明する。前提として、マッサージ機10の主電源スイッチが入とされて、マッサージ機10が電源投入状態となり、操作部30が通信接続手段35を介して通信可能な状態となっているものとする。
また、被施療者は、あらかじめ携帯通信端末90を用いて、外部のネットワーク100から更新対象となるデータをダウンロードしたり、携帯通信端末90の記憶部95に既に格納されている施療内容に係るデータを参考にして新たなデータを作成したり、既存のデータを編集して新たなデータとして、携帯通信端末90に更新対象となる最新のデータが格納されているものとする。なお、更新処理の際、被施療者がマッサージ機10に着座しているか否かは問わない。
被施療者が携帯通信端末90を操作してマッサージ機データ更新用のプログラムを起動させ実行すると、携帯通信端末90が更新対象となる施療内容に係るデータの識別情報や改版履歴情報を含む所定の信号を送信する。操作部30の通信接続手段35が、この携帯通信端末90からの信号を受信すると、この信号を操作制御手段34が解析して、データ更新のための通信を行おうとしているものと識別して、携帯通信端末90と通信接続手段35との通信を許可して通信接続を確立する。
通信接続手段35が接続を確立すると、その旨を通知する信号が通信接続手段35から携帯通信端末90に送信され、この信号を携帯通信端末90で受信すると、携帯通信端末90の表示デバイス91に、被施療者に更新作業を開始するか否かを問い合せて選択操作を求める表示を行わせる(図4参照)。なお、ある携帯通信端末90との無線通信が確立されたら、その後は更新に係る処理が終了するまで、操作部30側では他の携帯通信端末からの送信があっても受付けず、操作部30と通信を行う携帯通信端末90を一台に限定して混線を防止するようにしている。
操作制御手段34は、携帯通信端末90の更新対象のデータと、記憶手段33にある既存のデータの各改版履歴情報を比較し、更新対象のデータがより新しいものである場合や、更新対象のデータと識別情報が一致する、すなわち更新対象のデータに対応する旧版としての既存のデータが記憶手段33に存在しない場合は、携帯通信端末90からのデータ受入れを許可し、更新対象のデータ送信を待つ状態となる。一方、記憶手段33にある既存のデータの方が更新対象のデータより新しいものである場合、操作制御手段34は携帯通信端末90に対し、操作部30側からのデータ送信の実行を通知する。
被施療者が入力デバイス92により携帯通信端末90に更新作業開始の操作を行うと、携帯通信端末90からのデータ受入れが許可されている場合には、携帯通信端末90から更新対象のデータが送信され、通信接続手段35で受信されたデータは記憶手段33に順次保存される。
携帯通信端末90での更新対象のデータの送信が全て終了し、全てのデータが記憶手段33に保存されると、操作制御手段34はデータの転送が完了した旨を表示部31に表示すると共に、通信接続手段35を介して保存完了の信号を携帯通信端末90に送信する。携帯通信端末90では、保存完了の信号を受取ると、送信完了の旨を表示デバイス91に表示し、データ更新用のプログラムを終了させる。
操作制御手段34は、記憶手段33に保存された携帯通信端末90からのデータを、新たに施療内容に係るデータとして以前のデータと置換えて更新登録するか、既存データのものとは異なる新規の選択可能な施療内容、例えば新規の自動コース、として登録する。そして、表示部31に登録された旨を表示し、一連の処理を終える。
操作部30側では、更新対象のデータをいったん全て記憶手段33に保存してから、操作で選択可能な施療内容に係るデータとして取扱うようにすることで、新たな施療内容に係る機能を実行する際に、新たな施療内容に係るデータを携帯通信端末90から逐次ダウンロードして、このダウンロードされたデータを参照しながら新機能を実行する場合と比較して、実行の際の携帯通信端末90におけるバッテリー消耗や電話着呼等による通信中断の影響を受けることが無く、新機能を中断させることなく実行することができる。
他方、記憶手段33にある既存のデータの方が更新対象のデータより新しく、携帯通信端末90に対し操作部30側からデータ送信の実行を通知された場合、被施療者が入力デバイス92により携帯通信端末90に更新作業開始の操作を行うと、携帯通信端末90から更新作業の実行命令の信号が操作部30側へ送信されると共に、携帯通信端末90は更新作業状態に移行して更新対象となる既存データの送信を待つ状態となる。
操作部30の通信接続手段35が更新作業の実行命令の信号を受取ると、操作制御手段34が更新対象となる既存データを記憶手段33から読出し、通信接続手段35からデータを送信する。携帯通信端末90では、送信されたデータが受信され、この受信されたデータは携帯通信端末90の記憶部95に順次保存される。
通信接続手段35でのデータ送信が全て終了し、全てのデータが携帯通信端末90の記憶部95に保存されると、携帯通信端末90はデータの転送が完了した旨を表示デバイス91に表示し、保存完了の信号を送信すると共に、記憶部95に保存されたデータを最新のデータとして以前のデータと置換えて更新登録し、データ更新用のプログラムを終了させる。また、操作制御手段34では、通信接続手段35で携帯通信端末90からの保存完了の信号を受取ると、送信完了の旨を表示部31に表示して、一連の処理を終える。
なお、携帯通信端末90でマッサージ機データ更新用のプログラムを実行させた際に、操作部30の操作制御手段34において携帯通信端末90の端末ごとの識別情報を記憶手段33に格納された登録情報と比較照合する認証を実行し、あらかじめ登録された被施療者の携帯通信端末でなければ、携帯通信端末90によるデータ更新を受付けないようにすることもできる。
続いて、本実施形態に係るマッサージシステムのマッサージ機操作処理について説明する。前提として、マッサージ機10の操作部30におけるデータの更新に係る処理が終了しており、マッサージ機10に対して被施療者が正しい姿勢で着座し、マッサージ開始前の準備動作が制御部40により実行されて、被施療者による自動コース等の施療内容指示の入力を待つだけの状態にあるものとする。
操作制御手段34は、最初に、操作部30の表示部31に、被施療者に対し操作部30のスイッチ32を用いた、基本のマッサージや自動コースといった施療内容の選択指示の入力操作を促す案内と、携帯通信端末90を使用する場合は、携帯通信端末90でマッサージ機操作用のプログラムを起動させた状態とするように促す案内を表示する(図3参照)。合わせて、操作制御手段34は操作部30のスイッチ32からの操作入力を待つと共に、通信接続手段35で携帯通信端末90から送信される信号やデータを待受ける状態となる。
なお、記憶手段33の施療内容に係るデータが更新されている場合、表示部31での施療内容を表す表示には、新たな施療内容を表す表示を含むこととなり、スイッチ32で、新たな施療内容を選択して施療実行を指示可能である。
表示部31の表示を見た被施療者が携帯通信端末90を操作してマッサージ機操作用のプログラムを起動させ実行すると、携帯通信端末90は、操作部30との通信確立状態の指標となる信号の送信を開始する。通信接続手段35が携帯通信端末90からの信号を捉えると、操作制御手段34は操作のための通信を行おうとしているものと識別して、携帯通信端末90と通信接続手段35との通信を許可して通信接続を確立する。
通信接続が確立されると、通信接続手段35から携帯通信端末90に対し端末で操作可能である旨を通知する信号を送信する。この信号が携帯通信端末90で受信されると、携帯通信端末90の表示デバイス91に接続が確立された旨が表示された後、表示デバイス91において施療内容の選択指示の入力操作を促す案内表示と共に、入力デバイスとしての操作用のスイッチの画像を表示する(図5参照)。
この表示デバイス91での施療内容を表す表示には、携帯通信端末90で作成、編集された施療内容、及び/又はダウンロードされたデータで示される施療内容が含まれ、これらの施療内容を入力デバイス92で選択して施療実行指示可能となっている。
また、操作部30側では、操作制御手段34が、被施療者に対し施療内容の選択指示の入力操作を促す案内と共に、操作部30又は携帯通信端末90のいずれかに対しマッサージ選択の入力操作を行うように案内する表示を表示部31に行わせると共に、継続して、スイッチ32からの操作入力を待つと共に、通信接続手段35で携帯通信端末90から送信される信号やデータを待受ける状態を維持する。こうして、操作部30と携帯通信端末90の両方で被施療者の操作入力待ちの状態となる。
携帯通信端末90の表示デバイス91に表示されたスイッチに対し操作がなされると、携帯通信端末90の表示デバイス91に、選択された基本のマッサージや自動コース等の施療内容で施療が行われる旨が確認のため表示される。続いて、携帯通信端末90から操作入力に対応する施療内容での施療実行指示のデータが送信される。この送信されたデータを通信接続手段35が受信すると、操作制御手段34が、記憶手段33を参照して、受信した施療実行指示に係るデータに対応する自動コース等の施療内容を取得し、この施療内容での施療実行を指示する信号を本体部20の制御部40に送信する。こうして、本体部20では制御部40の作動制御により、携帯通信端末90で実行を指示した施療内容の施療を、被施療者に対し実行することとなる。
施療が行われる間は、施療の実行状況など作動中の本体部20の状態を示す信号を制御部40から受取る操作制御手段34が、本体部20の状態を表す表示を必要に応じ表示部31に行わせると共に、本体部20の状態を示すデータを生成し、このデータを通信接続手段35から携帯通信端末90に送信しており、これを受信した携帯通信端末90が本体部20の状態を表示デバイス91に表示して(図6参照)、被施療者による確認を可能としている。
施療内容として含まれる各マッサージが全て終了すると、操作制御手段34が制御部40から本体部20の施療終了状態を示す信号を受取り、指示された施療の終了を示す表示を必要に応じ表示部31に行わせると共に、施療終了のデータを通信接続手段35から携帯通信端末90に送信する。携帯通信端末90は施療終了のデータを受信すると、先に実行を指示された施療内容の施療が終了した旨を表示デバイス91に表示して、あらためて入力デバイス92への入力待ちの状態に戻る。
このマッサージ機操作用のプログラムが携帯通信端末90で実行されている状態で、携帯通信端末90での操作入力がなされず、代りに操作部30のスイッチ32に対し操作入力がなされた場合、操作制御手段34は操作部30の表示部31に、選択された施療内容で施療が行われる旨を確認のため表示する。そして、操作制御手段34は、記憶手段33を参照して、スイッチ32の操作で入力された施療実行等の指示に対応する自動コース等の施療内容を取得し、この施療内容での施療実行を指示する信号を本体部20の制御部40に送信する。本体部20では、制御部40の作動制御により、操作部31で指示した施療内容の施療を実行する。そして、操作制御手段34は本体部20の状態を示す信号を制御部40から受取って、本体部20の状態を表す表示を表示部31に行わせる一方、携帯通信端末90から操作入力を行った場合と同様、本体部20の状態を示すデータを通信接続手段35から携帯通信端末90に送信し、携帯通信端末90の表示デバイス91でも本体部20の状態を確認できるようにする。
この場合、施療内容として含まれる各マッサージが全て終了すると、操作制御手段34が制御部40から本体部20の施療終了状態を示す信号を受取り、指示された施療の終了を示す表示を表示部31に行わせると共に、施療終了のデータを通信接続手段35から携帯通信端末90に送信する。携帯通信端末90は施療終了のデータを受信すると、実行されていた施療が終了した旨を表示デバイス91に表示する。
携帯通信端末90や操作部31から実行を指示された施療内容の施療が終了した後、最終的に被施療者が操作用のプログラムの終了を操作指示すると、携帯通信端末90はこのプログラムの終了を通知するデータを操作部30の通信接続手段35に向けて送信した上で、プログラムを終了させる。これにより、携帯通信端末90におけるマッサージ機操作に係る一連の処理が完了となる。
そして、プログラムの終了を通知するデータを操作部30の通信接続手段35で受信すると、操作部30の操作制御手段34が、当初の状態と同じく、表示部31に、被施療者に対し操作部30のスイッチ32を用いた施療内容の選択指示の入力操作を促す案内と、携帯通信端末90を使用する場合は、携帯通信端末90でマッサージ機操作用のプログラムを起動させた状態とするように促す案内を表示することとなる。
一方、携帯通信端末90への操作で操作用プログラムが実行されるより前に、操作部30のスイッチ32が操作された場合、操作制御手段34は操作部30の表示部31に、選択された施療内容で施療が行われる旨を確認のため表示する。そして、操作制御手段34は、記憶手段33を参照して、スイッチ32の操作で入力された施療実行等の指示に対応する自動コース等の施療内容を取得し、この施療内容での施療実行を指示する信号を本体部20の制御部40に送信する。こうして、本体部20では制御部40の作動制御により、操作部31で実行を指示した施療内容の施療を、被施療者に対し実行する。さらに、操作制御手段34は本体部20の状態を示す信号を制御部40から受取って、本体部20の状態を表す表示を表示部31に行わせる。
施療内容として含まれる各マッサージが全て終了すると、操作制御手段34が制御部40から本体部20の施療終了状態を示す信号を受取り、指示された施療の終了を示す表示を表示部31に行わせることで、操作部30で実行を指示した施療に係る一連の処理が完了となる。
なお、携帯通信端末90でマッサージ機操作用のプログラムが実行され、携帯通信端末90や操作部31から実行を指示された施療内容の施療がマッサージ機10で行われている状態で、操作部30の操作制御手段34が、通信確立状態の指標データの通信接続手段35による受信ができない状態を検知したり、携帯通信端末90が、ハードウェア状態変化に起因するプログラム実行停止や割込みによるプログラムの実行中断等に伴う操作入力の受付不能状態を示すデータを操作部30へ送信するなどの、それ以降の携帯通信端末90による操作が難しい状況に陥った場合には、操作制御手段34が、本体部20で実行状態の施療についての操作を含むマッサージ機の操作について、以降の操作は操作部30で行える旨を表示部31に表示する(図7参照)など、操作主体を携帯通信端末90から操作部30へ移行させることとなる。
しかしながら、実行中の施療そのものに対しては、携帯通信端末90による操作の可否は特に影響を与えないことにより、携帯通信端末90による操作が難しい状況となっても、施療はそのまま継続して実行される。
ただし、携帯通信端末90での操作が難しくなる状況のうち、電話網からの着呼、すなわち携帯通信端末90に電話がかかってきた場合には、携帯通信端末90による通話の際に、施療位置が肩など被施療者の頭部に近いと通話の妨げになるおそれがあることから、操作部30の操作制御手段34が、表示部31で実行状態の施療について実行を停止するか否か問い合せる表示を行う(図8参照)と共に、スイッチ32から施療の実行停止を選択操作可能とするのが好ましい。また、施療の停止は避けつつ、施療の強度を弱めるなど、通話に支障が生じないように調整を行ってもよい。
このように、本実施形態に係るマッサージ機は、マッサージ機10の本体部20とは別体とされた操作部30に、操作に対応する施療実行指示の信号を送出する操作制御手段34を設けると共に、携帯通信端末90からの施療内容に係るデータを受信する通信接続手段35、及びデータを格納する記憶手段33を設けて、通信接続手段35で受信したデータが最新のものである場合には操作制御手段34が記憶手段33の格納データを更新し、且つこの更新した施療内容に係るデータを本体部20に送信して、更新されたデータの施療内容に対応する施療の実行が指示された際にはその施療を本体部20で実行可能とすることから、通信接続手段35で受取った新しいデータへの更新に伴い、自動コースをはじめとする施療内容設定の改良、追加など、機能の向上が図れ、新たな施療内容も含めて、被施療者に対し効果の高い施療を実行できる。また、携帯通信端末90からのデータを受信するだけで、被施療者の操作部30に対する複雑な操作なしに施療内容を更新でき、所望のデータの送信で被施療者の好みの施療状態を容易に得ることができる。
さらに、本体部20の外に位置する操作部30をデータの受信に対応するものとすることで、マッサージ機としての外殻部分やフレームを有してデータの送受に難のある構造を採る本体部20を、改造や改良で特別にデータの受信に対応させる必要が無く、データの受信にあたり本体部20の構造を複雑化せずに済み、機能追加で適切な施療の実行を可能にしつつ、コスト増加を必要最小限に抑えられる。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージシステムにおいて、携帯通信端末90でマッサージ機操作用のプログラムが実行され、携帯通信端末90から実行を操作指示された施療内容の施療がマッサージ機10で行われている状態で、何らかの原因によりそれ以降の携帯通信端末90による操作が難しい状況に陥った場合でも、実行中の施療についてはそのまま継続して行うものとしているが、これに限らず、第2の実施形態として、携帯通信端末90において別の優先すべきイベントの発生により携帯通信端末90でのマッサージ機10の操作が難しくなった場合、例えば、携帯通信端末90に電話がかかってきた場合には、被施療者の携帯通信端末90への対応を考慮して、マッサージ機10で実行中の施療をいったん停止するように、状況を検知した操作制御手段34が本体部20の制御部40に施療停止を指示する信号を送信する構成とすることもできる。
この場合、操作制御手段34が、停止した施療についての再開操作を含むマッサージ機の操作について、操作部30で行える旨を表示部31に表示するなど、操作主体を携帯通信端末90から操作部30へ移行させる。ただし、携帯通信端末90での通話が終わるなど、携帯通信端末90における優先イベントの終了に伴って、携帯通信端末90でマッサージ機10の操作が問題なく行える状態が回復し、なおかつそれまでに操作部30側で操作がなされていない場合には、携帯通信端末90の表示デバイス91に停止した施療を再開するか否か問い合せる表示を行うと共に、施療の実行を選択操作可能なスイッチの表示を行う(図9参照)など、操作主体を操作部30から携帯通信端末90に戻すことで、被施療者に対し施療の再開に係る操作をわかりやすく容易に行えるものとすることができる。
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージシステムにおいて、携帯通信端末90は被施療者に携帯され、操作の際は被施療者が手で持つなどして、マッサージ機10の操作部30とは異なる被施療者の都合のよい位置で取扱われるものであるが、この他、第3の実施形態として、図10、図11に示すように、操作部30に携帯通信端末90を着脱可能に支持する端末支持部39を設け、この端末支持部39に必要に応じ携帯通信端末90を支持させた状態で、被施療者の携帯通信端末90への操作を行えるようにする構成とすることもできる。
この場合、携帯通信端末90は、その表示デバイス91が視認でき且つ入力デバイスとして操作可能な状態で端末支持部39に支持されることとなる。こうして携帯通信端末90を端末支持部39に支持させて操作部30近傍に位置させる場合でも、操作部30の緊急停止スイッチ32aは、携帯通信端末90とは重ならず、どのような状況でも確実に操作できる箇所に配設されており(図10参照)、被施療者が緊急停止スイッチ32aを速やかに操作してマッサージ機10を停止させられる仕組みである。
なお、携帯通信端末90を端末支持部39に支持させた状態では、携帯通信端末90と操作部30のどちらも操作できることから、携帯通信端末90側で操作部30の端末支持部39に支持された状態を識別可能とし、端末支持部39に支持されると、携帯通信端末90が表示デバイスに91における入力デバイスとしての各スイッチの画像への機能割当てを、操作部30側の直ちに操作可能なスイッチ32との重複を避けるように設定して、操作部30と携帯通信端末90の操作機能を分担するようにしてもよく、少ない手順で所望の機能の操作指示が行える。
また、携帯通信端末90を端末支持部39に支持させた状態で携帯通信端末90に給電可能として、携帯通信端末90の充電が行えるようにしたり、携帯通信端末90を端末支持部39に支持させると同時に端末側端子との接続が図れるコネクタを設け、支持状態で携帯通信端末90と操作部30とを直接有線接続する構成とすることもできる。
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージシステムにおいて、携帯通信端末90は、プログラムの実行により、マッサージ機のデータ更新に係る機能と共に、マッサージ機の操作に係る機能を有し、マッサージ機10の操作として、施療内容の選択や施療実行指示、作動の緊急停止、施療の強度等の調整を端末側から行える構成としているが、これに限らず、第4の実施形態として、スマートフォン等の携帯通信端末90の稼動可能時間がバッテリーによる電力供給の点で制約を受けることや、マッサージ機10の操作については操作部30でも行えることを考慮して、マッサージ機操作用のプログラムの実行に伴い可能となる携帯通信端末90からのマッサージ機10の操作を必要最小限の項目に絞る、例えば、作動状態のマッサージ機10の緊急停止のみ携帯通信端末90から操作可能としたり、この緊急停止に加えて、わずかに施療内容の選択とその実行を携帯通信端末90から操作可能な構成とすることもできる。
この場合、携帯通信端末90による操作項目を必要最小限として、大半の操作を被施療者が携帯通信端末90から行えないようにしていること、特に、マッサージ機10での施療実行中は、携帯通信端末90では緊急停止以外の操作を受付けず、施療実行中における施療強度の調整などの操作は、操作部30から行うことを余儀なくされることから、おのずと操作部30による操作が被施療者にとって通常のものとなって、携帯通信端末90からの操作機会を減らすことができ、マッサージ機使用中の携帯通信端末90におけるバッテリーの消耗を抑えて、携帯通信端末90の稼動時間を延せることとなる。
この他、前記第1の実施形態での例のように、携帯通信端末90でマッサージ機10の様々な操作が可能な場合も含めて、マッサージ機10での施療実行中は携帯通信端末90では緊急停止以外の操作を受付けないような表示状態として、前記同様に携帯通信端末90からの操作機会を減らし、携帯通信端末90におけるバッテリーの消耗を抑える構成とすることもできる。具体的には、携帯通信端末90において、携帯通信端末90自体の省電力機能で、又はこれとは別にマッサージ機操作用のプログラムに基づいて、表示デバイス91における緊急停止操作用のスイッチ92aを除く表示領域について、これをスイッチ等の画像が識別できない程度まで減光するか、消灯又は暗転して、表示に基づく操作が行えない状態とすることとなる。また、別の例として、携帯通信端末90からの操作で施療が開始して所定時間経過後、マッサージ機操作用のプログラムに基づいて、表示デバイス91での表示を、緊急停止操作用のスイッチ92aとマッサージ機10の本体部20の状態を示す内容のみとし(図9参照)、他の操作に係るスイッチの画像を一切表示しないようにしてもよい。
こうした場合、マッサージ機の操作そのものは問題なく行えるよう、マッサージ機10の操作部30における操作制御手段34が、表示部31で、マッサージ機10で施療が行われている間は携帯通信端末90での操作を受付けない状態を示すと共に、マッサージ機の操作は操作部30で行える旨を表示部31に表示して(図7参照)、携帯通信端末90ではなく操作部30に対する操作を促すことが望ましい。
なお、前記各実施形態で、携帯通信端末90は、プログラムの実行により、マッサージ機のデータ更新に係る機能と共に、マッサージ機の操作に係る機能を有して、携帯通信端末90からマッサージ機10の操作を行えるようにしているが、これに限られるものではなく、携帯通信端末90はマッサージ機データ更新用のプログラムの実行によるマッサージ機のデータ更新に係る機能のみ有して、データ更新の対象となったマッサージ機10の操作については携帯通信端末90からは行えないようにしてもよく、マッサージ機に係る携帯通信端末の使用はデータ更新の場合のみとすることで、携帯通信端末90におけるバッテリーの消耗を確実に抑えられ、携帯通信端末90の稼動時間への影響を必要最小限にしつつ、データ更新によりマッサージ機の効果的な運用が図れることとなる。