JP6041632B2 - 金属板の曲げ加工方法およびその装置 - Google Patents
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金属板の移動方向の前後に離間する2本の下ロールと、両下ロール間の上方に位置する上ロールとを備え、これら上ロールと2本の下ロールとの間を通過する金属板における両端部を除く中間部分を、3本のロールで加圧して曲げを付与する曲げ加工方法において、
前記2本の下ロールの軸心を結んだ線分の中央を通り、該線分に垂直な基準垂線に対して上ロールの中心軸を金属板の移動方向前側へ偏倚させた状態で、これら上ロールと2本の下ロールとの間に金属板を通過して曲げ加工を行ない、
前記上ロールに対して金属板の移動方向前側に位置する前側の下ロールとの接触点を通過した金属板の曲率を測定手段で測定し、該測定手段での測定値が予め設定された目標値となるように、上ロールと両下ロールとの相対的な位置を上下方向または金属板の移動方向前後に調節するようにし、
前記金属板の前記上ロールに対する接触点と、該金属板の前記前側の下ロールに対する接触点との間に臨む金属板の曲率を第2の測定手段で測定し、該第2の測定手段での測定値と、前記測定手段での測定値とに基づいて、前記上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節するようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、上下の各ロールに作用する負荷をバックアップロールで受けることで、該上下のロールとして小径のものを使用することが可能となり、金属板に対する上ロールの接触点と前側の下ロールの接触点との離間距離をより短かくして、上ロールと前側の下ロールとによる加圧下に曲げられた金属板に発生する塑性変形域の変化による曲率変動量をより小さくし得る。
請求項3に係る発明によれば、前回の曲げ加工により得たデータに基づいて上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節するので、より精度の高い曲げ加工を行なうことができる。
金属板の移動方向の前後に離間する2本の下ロールと、両下ロール間の上方に位置する上ロールとを備え、これら上ロールと2本の下ロールとの間を通過する金属板における両端部を除く中間部を、3本のロールで加圧して曲げを付与する曲げ加工装置において、
前記上ロールは、前記2本の下ロールの軸心を結んだ線分の中央を通り、該線分と垂直な基準垂線に対して該上ロールの中心軸が金属板の移動方向前側へ偏倚して配置され、
前記上ロールと両下ロールとは、上下方向または金属板の移動方向前後に相対的に移動自在に構成され、
前記上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節する調節手段と、
前記上ロールに対して金属板の移動方向前側に位置する前側の下ロールとの接触点を通過した金属板の曲率を測定する測定手段と、
前記測定手段での測定値に基づいて前記調節手段を制御して、前記上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節する制御装置とを備え、
前記金属板の前記上ロールに対する接触点と、該金属板の前記前側の下ロールに対する接触点との間に臨む金属板の曲率を測定する第2の測定手段を備え、前記制御装置は、第2の測定手段での測定値と、前記測定手段での測定値とに基づいて、前記調節手段を制御して上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節するよう構成したことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、上下の各ロールに作用する負荷をバックアップロールで受けるよう構成したので、該上下のロールとして小径のものを使用することが可能となり、金属板に対する上ロールの接触点と前側の下ロールの接触点との離間距離をより短かくして、上ロールと前側の下ロールとによる加圧下に曲げられた金属板に発生する塑性変形域の変化による曲率変動量をより小さくし得る。
請求項6に係る発明によれば、上ロールと前側の下ロールとをより近づけることができ、塑性変形域の変化による金属板の曲率変動量を小さくすることが可能となる。
前記支持部材を、前記測定手段が金属板に当接する測定位置と金属板から離間する退避位置とに移動する作動手段と備えたことを要旨とする。
請求項7に係る発明によれば、測定手段によって前側の下ロールから離れた金属板における下ロールの直近部位の曲率を測定し得るので、より精度のよい曲げ加工を実施し得る。
請求項8に係る発明によれば、測定手段によって前側の下ロールから離れた金属板における下ロールのより直近部位の曲率を測定し得るので、高精度の曲げ加工を実施し得る。
次に、前述のように構成された実施例1のロールベンダー10の作用につき、曲げ加工方法との関係で説明する。
図4は、上ロール12の中心軸Oが基準垂線S1より前下ロール14側に距離120mmだけ偏倚した発明例のロールベンダー10および上ロール12の中心軸Oが基準垂線S1より後下ロール16側に距離120mmだけ偏倚した比較例のロールベンダーを用い、各ロールベンダー10において下ロール14,16を軸心間距離が400mmとなるように配置した状態で、厚み(t)12mm、幅(b)500mm、長さ3000mmの一般構造用鋼(JIS SS400)からなる金属板18を曲げ加工した際の、該金属板18の曲率半径の変化を測定した結果を示すものである。また、発明例および比較例の何れのロールベンダー10においても、実施例1で説明した第1の測定手段30で測定された曲げ後曲率および第2の測定手段38で測定された曲げ時曲率に基づいて、曲率が目標値(1000mm)となるように上ロール12の圧下量を調節した。なお、上ロール12および下ロール14,16については、曲げ加工時に上ロール12に生ずる最大応力が、設計上の安全率を見込んだ設定値(15kgf/mm2)となる直径(ロール径)に設定したものを用いた。
図5は、上ロール12の中心軸Oが基準垂線S1に臨むように配置したロールベンダーにおいて、下ロール14,16の軸心間距離を200mmに設定した実験例1と、下ロール14,16の軸心間距離を400mmに設定した実験例2とにおいて、厚み(t)12mm、幅(b)500mm、長さ3000mmの一般構造用鋼(JIS SS400)からなる金属板18を曲げ加工した際の、該金属板18の曲率半径の変化を測定した結果を示すものである。また、両実験例において、第1の測定手段30で測定された曲げ後曲率および第2の測定手段38で測定された曲げ時曲率に基づいて、曲率が目標値(1000mm)となるように上ロール12の圧下量を調節した。なお、上ロール12および下ロール14,16については、曲げ加工時に上ロール12に生ずる最大応力が、設計上の安全率を見込んだ設定値(15kgf/mm2)となる直径(ロール径)に設定したものを用いた。
図6は、曲げ後曲率を測定する機構の第1別実施例を示すものであって、前記前下ロール14の外側に、半円弧状に形成された別支持部材(支持部材)44が非接触状態で配置されており、該別支持部材44は、前下ロール14の下方に位置する固定フレーム46に設けた円弧溝46aに、複数の別転動ローラ48を介して回転移動自在に支持されている。固定フレーム46の円弧溝46aは、前下ロール14の軸を中心とする円弧溝であって、該円弧溝46aに支持された別支持部材44は、円弧溝46aに沿って前下ロール14と同軸で前下ロール14の外側を回転移動するよう構成されている。
図7は、曲げ後曲率を測定する機構の第2別実施例を示すものであって、該第2別実施例では、第1の測定手段としてレーザー計測器等からなる非接触式計測器50が採用されている。この非接触式計測器50は、金属板18の移動方向に離間する3つのレーザー照射部を備えるものであって、各レーザ照射部から金属板18に照射したレーザーが反射する時間差(変位量)によって曲率を測定する公知の計測器が用いられる。
次に、各ロール12,14,16の特定ロール径Dを求める具体的な方法について、上ロール12の特定ロール径Dを求める場合を挙げて説明する。
1本の上ロール12および2本の下ロール14,16からなる3本ロール方式のロールベンダーにおいて、金属板18を曲げ加工する際に必要となる力P(kgf/mm2)は、下記の数1に示す式(1)で表わされる。
b:金属板18の幅
t:金属板18の厚み
δy:金属板18の降伏応力(kgf/mm2)
L:金属板18と両下ロール14,16との接触点F2,F3間のピッチ(図8のL1+L2)
c:2r/tで特定の値が定まる補正係数であるが、ここではc=1とした。
次に、前述のように構成された実施例2のロールベンダー54の作用につき、曲げ加工方法との関係で説明する。
次に、前記式(1),(7),(9)およびq=P/bの関係を用いて、バックアップロール42を用いないロールベンダーにおいて各ロール12,14,16の標準ロール径D0を600mmに設定した検証例1の場合と、バックアップロール42を用いるロールベンダー54において各ロール12,14,16の特定ロール径Dを200mm,270mm,300mm,400mmに設定した検証例2の場合とにおいて、曲げ加工する金属板18の厚みtを12mm〜70mmまで変化させた場合の曲率半径/厚みと最大応力との関係を図11に示す。なお、以下の条件は、各検証例において一定とした。
・上ロール12および両下ロール14,16の各支点間距離Aは4000mm
・上ロール12のロール径と両下ロール14,16のロール径は同じ
・下ロール14,16の軸間距離は、下ロール14,16のロール径の2倍
・金属板18の幅bは2000mm
・金属板18の降伏応力σyは26.5kgf/mm2(260N/mm2)
・金属板18を曲げ加工して得る円筒体の曲率半径(巻き半径)rは1000mm
また、3本のロール12,14,16の位置に関しては、上ロール12の中心軸Oが基準垂線S1に臨むように配置したものとした。更に、バックアップロール42は、両支点間の中央に配置したものとした。なお、式(1)におけるLについては、上記条件における上下のロール12,14,16のロール径、下ロール14,16の軸間距離、金属板18を曲げ加工して得る円筒体の曲率半径rおよび金属板18の厚みtから求められる。
本願は前述した実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例1,2では、両下ロールを夫々独立して水平方向に移動するよう構成したが、両下ロールを一定の軸心間距離に保持したもとで一体的に水平方向に移動する構成を採用し得る。
2.実施例1,2では、両下ロールを水平移動することで、上ロールを、中心軸が基準垂線より前下ロール側に偏倚する位置に臨ませるよう構成したが、上ロール自体を水平方向に移動し得るよう構成して、該上ロール自体を水平方向に移動して中心軸が基準垂線より前下ロール側に偏倚する位置に臨むようにしてもよい。
3.実施例1において、実施例2で採用する特定ロール径(標準ロール径より小径)の上ロールおよび下ロールを用いる構成を採用し得る。
4.実施例1,2では、測定手段によって測定した曲げ後曲率および曲げ時曲率に基づいて上ロールを上下方向に位置調節したが、上ロールの位置を固定として下ロールの水平方向の位置調節によって金属板と各ロールとの接触点F1,F2の位置を変えることで、曲率を調節するようにしてもよい。また、上ロールの上下位置の調節と、下ロールの水平方向の調節とを組み合わせて金属板に与える曲率を調節するようにしてもよい。すなわち、上ロールと両下ロールとの相対的な位置を調節することで、金属板に与える曲率を調節し得るようになっていればよい。
5.実施例1,2では、上ロールを上下方向に位置調節自在に構成すると共に、下ロールを金属板の移動方向の前後に位置調節自在に構成した場合で説明したが、上ロールを金属板の移動方向の前後に位置調節自在に構成すると共に、下ロールを上下方向に位置調節自在に構成してもよい。
6.実施例1,2では、1本の上ロールと2本の下ロールとから構成された3本ロール方式のロールベンダーを挙げたが、下ロールを3本以上備えたロールベンダーであってもよい。すなわち、下ロールを3本以上備えたロールベンダーであっても、金属板の特定箇所に曲げ加工する際に寄与するロールは3本であって、少なくとも1本の上ロールと2本の下ロールを備える構成であれば、本願発明を採用可能である。
7.実施例1,2では、第2の測定手段として接触式の測定手段を挙げたが、非接触の測定手段を採用可能である。
8.第1の測定手段および第2の測定手段を測定位置と退避位置との間を移動する作動手段は、実施例の流体圧シリンダに限定されるものでなく、モータとリンク機構とを組合わせた手段等、各種の手段を用いることができる。
9.曲げ後曲率を測定する機構の第2別実施例では、第1の測定手段として非接触式測定器を用いた場合で説明したが、一対の固定片と可動プローブを用いる接触式の測定手段を用いることができ、該測定手段の一部が周溝中を移動するように測定手段を配置すれば、前下ロールから離間した金属板における前下ロール14の直近部位の曲率を測定することができる。
10.実施例1,2では、金属板の曲げ時曲率と曲げ後曲率とを測定する2つの測定手段を備える場合で説明したが、少なくとも曲げ後曲率を測定する第1の測定手段を備える構成であればよい。
11.実施例2では、上ロールおよび下ロールにおける金属板と接触する範囲に対応する領域の全体に亘って連続的に接触するバックアップロールを採用した場合で説明したが、短尺な複数のバックアップロールを軸方向に離間して並べることで、上ロールおよび下ロールにおける金属板と接触する範囲に対応する領域において軸方向に不連続で接触する構成を採用し得る。
18 金属板,20 昇降駆動機構(調節手段),22 前変位駆動機構(調節手段)
24 後変位駆動機構(調節手段),28 支持部材,30 第1の測定手段(測定手段)
32 第1流体圧シリンダ(作動手段),38 第2の測定手段,40 制御装置
42 バックアップロール,50 非接触式測定器(第1の測定手段),52 周溝
K 線分,O 上ロールの中心軸,F1 金属板の上ロールとの接触点
F2 金属板の前下ロールとの接触点,S1 基準垂線
Claims (8)
- 金属板(18)の移動方向の前後に離間する2本の下ロール(14,16)と、両下ロール(14,16)間の上方に位置する上ロール(12)とを備え、これら上ロール(12)と2本の下ロール(14,16)との間を通過する金属板(18)における両端部を除く中間部分を、3本のロール(12,14,16)で加圧して曲げを付与する曲げ加工方法において、
前記2本の下ロール(14,16)の軸心を結んだ線分(K)の中央を通り、該線分(K)に垂直な基準垂線(S1)に対して上ロール(12)の中心軸(O)を金属板(18)の移動方向前側へ偏倚させた状態で、これら上ロール(12)と2本の下ロール(14,16)との間に金属板(18)を通過して曲げ加工を行ない、
前記上ロール(12)に対して金属板(18)の移動方向前側に位置する前側の下ロール(14)との接触点(F2)を通過した金属板(18)の曲率を測定手段(30,50)で測定し、該測定手段(30,50)での測定値が予め設定された目標値となるように、上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置を上下方向または金属板(18)の移動方向前後に調節するようにし、
前記金属板(18)の前記上ロール(12)に対する接触点(F 1 )と、該金属板(18)の前記前側の下ロール(14)に対する接触点(F 2 )との間に臨む金属板(18)の曲率を第2の測定手段(38)で測定し、該第2の測定手段(38)での測定値と、前記測定手段(30,50)での測定値とに基づいて、前記上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置を調節するようにした
ことを特徴とする金属板の曲げ加工方法。 - 前記上ロール(12)および下ロール(14,16)に作用する負荷をバックアップロール(42)で受ける状態で、これら上ロール(12)と2本の下ロール(14,16)との間に金属板(18)を通過して曲げ加工を行なうようにした請求項1記載の金属板の曲げ加工方法。
- 前記金属板(18)の曲げ加工に際して測定した曲率を、前記上ロール(12)と両下ロール(14,16)とによる圧下量と関連付けて制御装置(40)に記憶し、この記憶データに基づいて次回以降の金属板(18)の曲げ加工に際して上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置調節を行なうようにした請求項1または2に記載の金属板の曲げ加工方法。
- 金属板(18)の移動方向の前後に離間する2本の下ロール(14,16)と、両下ロール(14,16)間の上方に位置する上ロール(12)とを備え、これら上ロール(12)と2本の下ロール(14,16)との間を通過する金属板(18)における両端部を除く中間部を、3本のロール(12,14,16)で加圧して曲げを付与する曲げ加工装置において、
前記上ロール(12)は、前記2本の下ロール(14,16)の軸心を結んだ線分(K)の中央を通り、該線分(K)と垂直な基準垂線(S1)に対して該上ロール(12)の中心軸(O)が金属板(18)の移動方向前側へ偏倚して配置され、
前記上ロール(12)と両下ロール(14,16)とは、上下方向または金属板(18)の移動方向前後に相対的に移動自在に構成され、
前記上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置を調節する調節手段(20,22,24)と、
前記上ロール(12)に対して金属板(18)の移動方向前側に位置する前側の下ロール(14)との接触点(F2)を通過した金属板(18)の曲率を測定する測定手段(30,50)と、
前記測定手段(30,50)での測定値に基づいて前記調節手段(20,22,24)を制御して、前記上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置を調節する制御装置(40)とを備え、
前記金属板(18)の前記上ロール(12)に対する接触点(F 1 )と、該金属板(18)の前記前側の下ロール(14)に対する接触点(F 2 )との間に臨む金属板(18)の曲率を測定する第2の測定手段(38)を備え、前記制御装置(40)は、第2の測定手段(38)での測定値と、前記測定手段(30,50)での測定値とに基づいて、前記調節手段(20,22,24)を制御して上ロール(12)と両下ロール(14,16)との相対的な位置を調節するよう構成した
ことを特徴とする金属板の曲げ加工装置。 - 前記上ロール(12)および下ロール(14,16)に作用する負荷を受けるバックアップロール(42)を備えた請求項4記載の金属板の曲げ加工装置。
- 前記2本の下ロール(14,16)を相対的に近接・離間移動自在に構成した請求項4または5に記載の金属板の曲げ加工装置。
- 前記前側の下ロール(14)の中心軸と同軸で該前側の下ロール(14)の外周に沿って相対的に回転可能で、前記測定手段(30)が配設された支持部材(28)と、
前記支持部材(28)を、前記測定手段(30)が金属板(18)に当接する測定位置と金属板(18)から離間する退避位置とに移動する作動手段(32)と備えた請求項4〜6の何れか一項に記載の金属板の曲げ加工装置。 - 前記前側の下ロール(14)に周溝(52)が形成され、接触式または非接触式の前記測定手段(30,50)は、前記周溝(52)を介して金属板(18)の曲率を測定可能に構成した請求項4〜7の何れか一項に記載の金属板の曲げ加工装置。
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