JP2012115852A - 曲げ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各部位によって曲げ加工時に発生するスプリングバック量が異なる金属板を精度良く連続的に曲げ加工する。
【解決手段】金属板20において、幅方向の断面積が長手方向で一様な標準部26のスプリングバック係数と、標準部26とは幅方向の断面積が異なる異形部27のスプリングバック係数とを予め算出して制御手段24にデータ入力する。金属板20の曲げ加工に際し、上ロール10の位置を、各スプリングバック係数に基づいて算出した加圧位置まで移動するよう制御手段24で昇降駆動機構18を制御し、金属板20に付与する加圧力を調節しつつ、該金属板20の全長に亘って連続的に曲げ加工を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属板を複数のロールで曲げ加工して円筒体を形成する曲げ加工方法に関するものである。
1本の上ロールと、該上ロールの斜め下方の左右に夫々配設した2本の下ロールとの間で金属板を移動すると共に、上ロールおよび2本の下ロールで金属板を加圧して円筒状に曲げ加工するロールベンダーが広く知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献2のロールベンダーによる曲げ加工方法では、厚みが一様で、かつ幅方向の断面積が長手方向(上下のロール間での移動方向)で一様な金属板を対象として、目標とする半径(内径)に曲げるために設定された位置に上ロールおよび2つの下ロールを位置決めしたもとで、金属板の全体に曲げ加工を施している。
ここで、円筒状に形成する金属板としては、幅方向の断面積が長手方向で一様なものに限らず、穴が形成されていたり、幅寸法が部分的に異なるような、幅方向の断面積が長手方向で一様でなく部分的に異なる異形部を有する金属板を形成したいという要請がある。このような異形部を有する金属板においては、断面積の違いによって、各部位において曲げ加工時に発生するスプリングバック量が異なるものの、前記方法では異形部を有する金属板に曲げ加工を施すことを前提としておらず、異形部において目標とする半径に曲げることができず、別種の装置を用いて異形部での半径を補正する加工が必要になる難点がある。
そこで、特許文献3に開示されるように、穴付きの金属板を円筒状に形成するに際して、穴がある部分を正規の半径となるように曲げ加工した後、該穴がある部分を除いた穴がない部分を正規の半径となるように曲げ加工することで、別種の装置を用いることなく穴付きの金属板を円筒状に形成する方法が提案されている。
特開平5−80555号公報 特開2004−298911号公報 特許第3904529号公報
しかしながら、前記特許文献3の曲げ加工方法では、穴がある部分と穴がない部分とを分けて曲げ加工するため、工程数が増えて加工効率が低下する難点が指摘される。
すなわち本発明は、各部位によって曲げ加工時に発生するスプリングバック量が異なる金属板を連続的に曲げ加工して加工効率を向上し得る曲げ加工方法を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る曲げ加工方法は、
上ロールと、この上ロールの中心線を通る垂線を挟む両側に配設した2つの下ロールとを備え、該上下のロールを相対的に近接・離間移動可能な曲げ加工装置を用い、前記上ロールと下ロールとの間で金属板を挟んで加圧しつつ移動させて円筒状に曲げ加工する曲げ加工方法において、
スプリングバック係数が移動方向の前後で異なる部位を有する金属板を曲げ加工するに際し、
前記上下のロール間を前記金属板が移動する間に、曲げ加工後の曲げ半径が同じになるよう曲げ加工部位でのスプリングバック係数に応じて上下のロールを相対的に近接・離間移動して、該金属板を調整された圧力で連続的に加圧しつつ曲げ加工することを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、金属板の各部位における曲げ加工時に発生するスプリングバック量によって変化するスプリングバック係数に応じて上下のロールを近接・離間移動して金属板に加える加圧力を調節して該金属板を連続的に曲げ加工することで、スプリングバック係数が移動方向の前後で異なる金属板の加工効率を向上し得る。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2の発明に係る曲げ加工方法は、
上ロールと、この上ロールの中心線を通る垂線を挟む両側に配設した2つの下ロールとを備え、該上下のロールを相対的に近接・離間移動可能な曲げ加工装置を用い、前記上ロールと下ロールとの間で金属板を挟んで加圧しつつ移動させて円筒状に曲げ加工する曲げ加工方法において、
スプリングバック係数が移動方向で一定な標準部と、該標準部とはスプリングバック係数が異なる異形部とを有する金属板を曲げ加工するに際し、
前記上下のロール間を前記金属板が移動する間に、標準部の曲げ加工後の曲げ半径と、異形部の曲げ加工後の曲げ半径とが一致するよう曲げ加工部位でのスプリングバック係数に応じて上下のロールを相対的に近接・離間移動して、該金属板の標準部および異形部に亘って調整された圧力で連続的に加圧しつつ曲げ加工することを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、金属板の標準部および異形部とにおける曲げ加工時に発生するスプリングバック量によって変化するスプリングバック係数に応じて上下のロールを近接・離間移動して金属板に加える加圧力を調節して、標準部と異形部とを連続的に曲げ加工することで、異形部を有する金属板の加工効率を向上し得る。
請求項3に係る発明では、前記異形部内においてスプリングバック係数が移動方向で変化する場合は、スプリングバック係数の変化に応じて上下のロールにより金属板に付与する加圧力を段階的に調節するようにしたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、異形部の加工に際して加圧力を段階的に調節することで、精度のよい曲げ加工を達成し得る。
本発明に係る曲げ加工方法によれば、各部位によってスプリングバック係数が異なる金属板を、連続的に精度よく曲げ加工して効率的に円筒状に形成し得る。
実施例に係る曲げ加工方法を実施するロールベンダーの概略構成図である。 異形部を有する金属板を示す平面図である。 曲げ加工により得られた金属板のロールによる拘束状態での半径と、曲げ加工後のスプリングバックにより戻りを生じた状態での金属板の半径を示す説明図である。 実施例に係る曲げ加工方法の工程図である。 実施例に係る曲げ加工方法により金属板を加工する際の上ロールの位置の変化を示すタイミングチャートである。 長い異形部を有する別実施例の金属板を示すものであって、異形部に付与する加圧力を段階的に変化させる場合における各区分毎にスプリングバック係数を算出することを示す説明図である。 スプリングバック係数が変化する金属板の変更例を示す説明図である。
次に、本発明に係る曲げ加工方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
実施例に係る曲げ加工方法を実施する曲げ加工装置としてのロールベンダーは、図1に示す如く、1本の上ロール10と、該上ロール10の斜め下方の左右に夫々配設した2本の下ロール12,14と、両下ロール12,14の間に配設した計測ロール16とを備える。上ロール10は、昇降駆動機構18によって中心軸を通過する垂線に沿って昇降可能に構成される。また計測ロール16は、常に金属板20に接触して自由回転し、該計測ロール16に接続するパルス発生器等からなる回転計測手段22によって金属板20の送り量を検出し得るよう構成される。回転計測手段22の検出信号は、制御手段24に入力される。そして、ロールベンダーで実施される曲げ加工方法は、回転計測手段22で検出される金属板20の送り量に応じて、制御手段24により前記上ロール10を垂線に沿って昇降動することによって達成される。
実施例では、全体の板厚が一様で、かつ上下のロール10,12,14間での移動方向(以後、長手方向という)と交差する方向(以後、幅方向という)の断面積が長手方向で一様な標準部26と、幅方向の断面積が標準部26とは異なる異形部27とを有する金属板20が、前記ロールベンダーによる曲げ加工の対象とされる。より具体的には、異形部27を有する金属板20として、図2に示す如く、幅方向の中央において大径の第1穴32と小径の第2穴34とが長手方向に離間して形成されたものを例に挙げて説明する。なお、第1穴32が形成されている幅方向の領域(図2において幅方向に延在する一対の1点鎖線で第1穴32を挟んで囲われている領域)を第1異形部28と指称し、第2穴34が形成されている幅方向の領域(図2において幅方向に延在する一対の1点鎖線で第2穴34を挟んで囲われている領域)を第2異形部30と指称する。
前記金属板20において、標準部26における曲げ加工時に発生するスプリングバック量と、異形部28,30における曲げ加工時に発生するスプリングバック量とは、断面積の大きさやに応じて異なり、該スプリングバック量の変化に応じてスプリングバック係数も異なる。そして実施例では、該スプリングバック係数の違いに応じて、前記制御手段24により昇降駆動機構18を駆動制御して上ロール10を昇降動することで、上下のロール10,12,14により金属板20に付与する加圧力を調節しつつ、該金属板20を円筒状に形成するようになっている。
ここで、金属板のスプリングバック係数Kは、一定条件で金属板を曲げ加工したときに、上下のロールで挟持されている状態の金属板の半径(内径)をRA、曲げ加工後のスプリングバックにより、若干戻りを生じた状態での金属板の半径(内径)をRB、金属板の板厚をTとした場合に、以下の式1で算出される。なお、前記半径RAと半径RBとの差がスプリングバック量となる。
Figure 2012115852
実施例では、前記金属板20を、断面が略真円をなす円筒体となるよう曲げ加工する場合は、該金属板20を予めロールベンダーに通して試し曲げを行ない、前記式1を用いて前記標準部26でのスプリングバック係数K1、第1および第2異形部28,30での夫々のスプリングバック係数K2,K3を求める。
すなわち、図3に示す如く、一定条件で金属板20を曲げ加工したときに、上下のロール10,12,14で挟持されている状態(戻りが生じていない状態)の金属板20の半径(加工時半径)をR0、曲げ加工後のスプリングバックにより、若干戻りを生じた状態での標準部26の半径(スプリングバック後半径)をR1、第1異形部28での半径(スプリングバック後半径)をR2、第2異形部30での半径(スプリングバック後半径)をR3、金属板20の板厚をTとした場合に、以下の式2,式3,式4でスプリングバック係数K1,K2,K3が夫々算出される。なお、異形部28,30での半径R2,R3は、各穴32,34の中心が位置する基準部位で求められる。
Figure 2012115852
そして、算出されたスプリングバック係数K1,K2,K3を、前記制御手段24に制御データとして入力する。該制御手段24に入力されたスプリングバック係数K1,K2,K3の制御データは、金属板20の対応する部位26,28,30の位置データに関連付けられて、各部位において上ロール10を位置させる加圧位置(金属板20を目標とする半径に曲げ加工する際の上下のロール10,12,14の位置関係)が、各スプリングバック係数に基づいて算出される。なお、前記スプリングバック係数は、幅方向の断面積が大きい順に、K1>K3>K2の関係になっているものとする。
すなわち、第1異形部28については、スプリングバック後半径RBが標準部26のスプリングバック後半径R1と同一となるように、曲げ加工する際の加工時半径RAをRX2として、これらの値R1,RX2および算出されたスプリングバック係数K2を前記式1に代入することで、第1異形部28の加工時半径RX2が求められる。また第2異形部30についても同様に、スプリングバック後半径RBが標準部26のスプリングバック後半径R1と同一となるように、曲げ加工する際の加工時半径RAをRX3として、これらの値R1,RX3および算出されたスプリングバック係数K3を前記式1に代入することで、第2異形部30の加工時半径RX3が求められる。従って、金属板20を目標とするスプリングバック後半径R1に曲げ加工する場合の、標準部26、第1異形部28および第2異形部30の各部位での加工時半径R0,RX2,RX3から、上下のロール10,12,14の位置関係、すなわち上ロール10の位置が求められる。そして、標準部26を加工時半径R0となるように曲げ加工する場合の上ロール位置を基準として、第1異形部28を曲げ加工する場合は(R0−RX2)だけ上ロール10を下ロール12,14から離間するよう移動させ、第2異形部30を曲げ加工する場合は(R0−RX3)だけ上ロール10を下ロール12,14から離間するよう移動させることで、金属板20は全長に亘ってスプリングバック後半径がR1となるように加工される。なお、長手方向に所定長さを有する異形部28,30においては、長さ方向の中央を基準部位として、該異形部28,30の移動方向前端が上ロール10で真下に押圧される曲げ位置(上ロール10の垂線位置)に到来したタイミングで上ロール10の上昇を開始して基準部位で(R0−RX2)または(R0−RX3)だけ上昇し、その後は異形部28,30の移動方向後端が曲げ位置に到来するタイミングで上ロール10が標準部26を加工時半径R0で曲げ加工する場合の上ロール位置に戻るように下降するように上ロール10が移動制御される。
実施例では、平板状の金属板20を、2回の曲げ加工で円筒状に形成する場合で説明し、1回目の曲げ加工により金属板20に付与しようとする半径を第1加工時半径と指称し、2回目の曲げ加工で金属板20に付与しようとする半径(最終的に形成しようとする円筒体の半径に対してスプリングバックが生じる前の状態の半径)を第2加工時半径と指称する。
前記金属板20を、図4(a)に示す如く、長手方向の一端部近傍を左側の下ロール12の上面に位置させると共に、上ロール10を、金属板20に当接して送りを与えることが可能な基準位置に位置させる(図5参照)。これにより該金属板20は、基準位置に位置する上ロール10と、2つの下ロール12,14とによって軽くクランプされた状態となって次の工程を待機する。
図4(b)に示す如く、上ロール10と2つの下ロール12,14とを同時に正転駆動させると共に、該上ロール10を基準位置から標準部26におけるスプリングバック係数K1に基づいて算出された第1加圧位置まで下降させる(図5参照)。これにより金属板20が左側へ送られつつ前記上下のロール10,12,14の加圧下に曲げ加工が漸次進行し、一端部側の標準部26は第1加工時半径となるように曲げ加工される。そして、前記回転計測手段22で検出される送り量に基づいて、前記第1異形部28における移動方向前端が前記上ロール10で真下に押圧される曲げ位置に到来するタイミングに合わせて上ロール10を、第1異形部28のスプリングバック係数K2に基づいて算出された第2加圧位置に向けて上昇を開始し(図4(c))、第1異形部28の基準部位で第2加圧位置に至った上ロール10が、第1異形部28の移動方向後端が曲げ位置を通過するタイミングで第1加圧位置まで下降するように前記昇降駆動機構18を制御する(図5参照)。これにより、上下のロール10,12,14で第1異形部28に付与される加圧力は、標準部26に付与される加圧力に比べて弱くなり、該第1異形部28は第1加工時半径となるように曲げ加工される。また上ロール10が第1加圧位置まで戻ることで、上下のロール10,12,14の回転により引続き移動される第1異形部28と第2異形部30との間の標準部26は、上下のロール10,12,14によって第1加工時半径となるように曲げ加工される。
更に金属板20が送られ、前記回転計測手段22で検出される送り量に基づいて、前記第2異形部30における移動方向前端が前記曲げ位置に到来するタイミングに合わせて上ロール10を、第2異形部30のスプリングバック係数K3に基づいて算出された第3加圧位置に向けて上昇を開始し、第2異形部30の基準部位で第3加圧位置に至った上ロール10が、第2異形部30の移動方向後端が曲げ位置を通過するタイミングで第1加圧位置まで下降するように前記昇降駆動機構18を制御する(図5参照)。これにより、上下のロール10,12,14で第2異形部30に付与される加圧力は、標準部26に付与される加圧力に比べて弱くなり、該第2異形部30は第1加工時半径となるように曲げ加工される。また上ロール10が第1加圧位置まで戻ることで、上下のロール10,12,14の回転により引続き移動される他端部側の標準部26は、上下のロール10,12,14によって第1加工時半径となるように曲げ加工される。
金属板20の他端部まで1回目の曲げ加工が完了すると、前記上ロール10と2つの下ロール12,14との正転駆動を停止した後に逆転駆動すると共に、上ロール10を、標準部26のスプリングバック係数K1に基づいて算出された第4加圧位置まで下降させる(図4(d)参照)。これにより金属板20が右側へ送られつつ前記上ロール10の加圧下に曲げ加工が漸次進行し、他端部側の標準部26は第2加工時半径となるように曲げ加工される。そして、前記回転計測手段22で検出される送り量に基づいて、前記第2異形部30における移動方向前端が前記曲げ位置に到来するタイミングに合わせて上ロール10を、第2異形部30のスプリングバック係数K3に基づいて算出された第5加圧位置に向けて上昇を開始し、第2異形部30の基準部位で第5加圧位置に至った上ロール10が、第2異形部30の移動方向後端が曲げ位置を通過するタイミングで第4加圧位置まで下降するように前記昇降駆動機構18を制御する(図5参照)。これにより、上下のロール10,12,14で第2異形部30に付与される加圧力は、標準部26に付与される加圧力に比べて弱くなり、該第2異形部30は第2加工時半径となるように曲げ加工される。また上ロール10が第4加圧位置まで戻ることで、上下のロール10,12,14の回転により引続き移動される第1異形部28と第2異形部30との間の標準部26は、上下のロール10,12,14によって第2加工時半径となるように曲げ加工される。
更に金属板20が送られ、前記回転計測手段22で検出される送り量に基づいて、前記第1異形部28における移動方向前端が前記曲げ位置に到来するタイミングに合わせて上ロール10を、スプリングバック係数K2に基づいて算出された第6加圧位置に向けて上昇を開始し、第1異形部28の基準部位で第6加圧位置に至った上ロール10が、第1異形部28の移動方向後端が曲げ位置を通過するタイミングで第4加圧位置まで下降するように前記昇降駆動機構18を制御する(図5参照)。これにより、上下のロール10,12,14で第1異形部28に付与される加圧力は、標準部26に付与される加圧力に比べて弱くなり、該第1異形部28は第2加工時半径となるように曲げ加工される。また上ロール10が第4加圧位置まで戻ることで、上下のロール10,12,14の回転により引続き移動される一端部側の標準部26は、上下のロール10,12,14によって第2加圧時半径となるように曲げ加工される。そして、金属板20は、図4(e)に示す如く、長手方向の両端部が突合わされた真円に近い円筒状に形成される。
前述したように、金属板20の曲げ加工に際し、各部位でのスプリングバック係数の違いに応じて、連続加工中において上ロール10を昇降動して上下のロール10,12,14で金属板20に付与する加圧力を調節することで、標準部26および異形部28,30を、スプリングバック後の半径が同一となるように曲げ加工することができる。すなわち、金属板20を長手方向の全長に亘って調整された加圧力で連続的に曲げ加工することができ、加工効率が向上する。また、前記金属板20に接触する計測ロール16に接続する回転計測手段22により該金属板20の送り量を正確に検出し得るので、前記異形部28,30の正確な位置を検出して上ロール10を的確に移動して精度のよい曲げ加工を行ない得る。
(別実施例)
前記実施例では、曲げ加工が標準部26から各異形部28,30に移行する際に、所要長さを有する各異形部28,30において1つのスプリングバック係数に基づいて加圧力を1段階で変化させるようにしたが、異形部内において加圧力を複数回変化させるようにしてもよい。すなわち、図6に示すように、金属板20の幅寸法が、長い区間で漸次変化する形態の異形部27の場合は、該異形部27を更に細かく区分し、各区分毎でのスプリングバック係数Ka,Kb,Kc,Kdを算出する(なお、標準部26でのスプリングバック係数はK1とする)。そして、該異形部27の曲げ加工に際しては、幅寸法が最大の位置から最小の位置に向かうにつれて、対応するスプリングバック係数Ka,Kb,Kc,Kdに応じた加圧力を金属板20に付与するように上ロール10の位置調節を行なうようにする。なお、幅寸法が最小の位置から最大の位置に向かう場合は、スプリングバック係数Kd,Kc,Kb,Kaに応じた加圧力となるように上ロール10の位置が調節される。このように、異形部27において複数段で加圧力を調節することで、より精度のよい曲げ加工を行なうことができる。
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 実施例では、穴32,34が形成された金属板20を曲げ加工する対象としたが、金属板20の形状については、例えば図7(a)〜(c)に示す如く、長手方向の中間または端部の幅方向両側に凹部36が形成されていたり、長手方向の一端から他端まで幅寸法が漸次変化する形態であってもよく、また板厚が一様でないものであってもよい。すなわち、スプリングバック係数が異なる部位を有する金属板とは、断面積が異なるものに限らず、断面形状(厚みや幅寸法等)が異なることで、曲げ加工時におけるスプリングバック量が各部位で異なるものも含むものである。
なお、図7(c)に示すように、金属板20の幅寸法が長手方向の一端から他端まで漸次変化する形態においては、幅寸法の変化(すなわち断面積の変化)に応じてスプリングバック係数(スプリングバック量)も変化するので、金属板20を長手方向に複数で区分し、各区分毎に算出したスプリングバック係数Ke,Kf,Kg,Kh,Ki,Kj,Kkに応じて加圧力を漸次変化させるように上ロール10の位置を調節すればよい。なお、各区分で算出されるスプリングバック係数としては、該区分の中間位置でのスプリングバック係数を用いればよい。
(2) 実施例では、上ロール10を昇降動することで金属板20に付与する加圧力を変化させたが、下ロール12,14を昇降動することで加圧力を変化させる構成を採用し得る。また、金属板20の長手方向の端部(突合わせ端部)に追加的に加圧力を加えたり、下ロール12,14を左右方向にシフトして曲げ加工する処置を必要に応じて行なうようにしてもよい。
(3) 実施例では、金属板20の加工前に各部位のスプリングバック係数を算出するようにしたが、過去に行なった同種の金属板20を加工する場合等では、既に制御手段24に記憶されているデータを呼び出して上下のロール10,12,14を調節することは可能であり、常に試し曲げを行なう必要はない。
(4) 実施例では、金属板20に2回の曲げ加工を施すことで円筒状に形成したが、3回以上の複数回の曲げ加工を施して円筒状にしてもよい。
10 上ロール,12,14 下ロール,20 金属板,26 標準部,27 異形部

Claims (3)

  1. 上ロール(10)と、この上ロール(10)の中心線を通る垂線を挟む両側に配設した2つの下ロール(12,14)とを備え、該上下のロール(10,12,14)を相対的に近接・離間移動可能な曲げ加工装置を用い、前記上ロール(10)と下ロール(12,14)との間で金属板(20)を挟んで加圧しつつ移動させて円筒状に曲げ加工する曲げ加工方法において、
    スプリングバック係数が移動方向の前後で異なる部位を有する金属板(20)を曲げ加工するに際し、
    前記上下のロール(10,12,14)間を前記金属板(20)が移動する間に、曲げ加工後の曲げ半径が同じになるよう曲げ加工部位でのスプリングバック係数に応じて上下のロール(10,12,14)を相対的に近接・離間移動して、該金属板(20)を調整された圧力で連続的に加圧しつつ曲げ加工する
    ことを特徴とする曲げ加工方法。
  2. 上ロール(10)と、この上ロール(10)の中心線を通る垂線を挟む両側に配設した2つの下ロール(12,14)とを備え、該上下のロール(10,12,14)を相対的に近接・離間移動可能な曲げ加工装置を用い、前記上ロール(10)と下ロール(12,14)との間で金属板(20)を挟んで加圧しつつ移動させて円筒状に曲げ加工する曲げ加工方法において、
    スプリングバック係数が移動方向で一定な標準部(26)と、該標準部(26)とはスプリングバック係数が異なる異形部(27)とを有する金属板(20)を曲げ加工するに際し、
    前記上下のロール(10,12,14)間を前記金属板(20)が移動する間に、標準部(26)の曲げ加工後の曲げ半径と、異形部(27)の曲げ加工後の曲げ半径とが一致するよう曲げ加工部位(26,27)でのスプリングバック係数に応じて上下のロール(10,12,14)を相対的に近接・離間移動して、該金属板(20)の標準部(26)および異形部(27)に亘って調整された圧力で連続的に加圧しつつ曲げ加工する
    ことを特徴とする曲げ加工方法。
  3. 前記異形部(27)内においてスプリングバック係数が移動方向で変化する場合は、スプリングバック係数の変化に応じて上下のロール(10,12,14)により金属板(20)に付与する加圧力を段階的に調節するようにした請求項2記載の曲げ加工方法。
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