以下、図面を参照しつつ本発明の曲げ加工システム、及び当該曲げ加工システム並びに曲げ材料に使用可能な曲率計測装置の実施の形態について詳述する。ここで、本発明の曲げ加工システム、及び曲率計測装置は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正及び改良等を加え得るものである。
1.曲げ加工システム
本発明の一実施形態の曲げ加工システム1は、図1~図13に主として示すように、金属板2を曲げ加工する曲げ加工手段3と、曲率情報4を取得する曲率情報取得手段5と、曲げ加工手段3に含まれ、曲率計測部6の計測位置MPを変化させるロール位置回転手段7と、計測位置MPの移動量を計測し、曲率計測部6及び金属板2の間の相対的な移動変化にかかる移動量情報8を取得する移動量情報取得手段9と、曲率情報4及び移動量情報8に基づいて金属板2の曲げ形状にかかるプロファイル情報16を算出するプロファイル情報算出手段17とを主に具備して構成されている。
ここで、図1は本実施形態の曲げ加工システム1の概略構成、及び、曲率情報4及び移動量情報8に基づいて各処理を行うための機能的構成を示すブロック図であり、図2は金属板2の曲率情報4及び移動量情報8のオンラインでの取得の一例を示す説明図であり、図3は金属板2の曲率情報4及び移動量情報8のオフラインでの取得の一例を示す説明図である。
曲げ加工手段3は、例えば、図2に示すように、金属板2を所望の曲率に曲げ加工する曲げ加工装置12(所謂「ロールベンダー」)の一機能として構成されるものであり、曲率情報取得手段5は、曲率計測部6の一機能として構成され、ロール位置回転手段7は、金属板2を所定の位置で所定方向に規定の搬送速度で送り出し曲率を形成するものであり、曲率計測部6との間の相対的な位置を変化させるものであり曲げ加工装置12の一機能として構成され、移動量情報取得手段9は、曲率計測部6による曲率の計測位置MPの移動量を計測する移動量計測部13の一機能として構成されている。
図2は、材料の位置に追従する曲率計測部6を用い、当該曲率計測部6を金属板2を当接させ、かかる当接状態を維持しつつ、金属板2を所定の搬送方向X1及びその逆方向に相当する搬送方向X2(図2の矢印参照)に沿って繰り返し搬送し、曲げ加工される金属板2に対してインラインの状態で計測位置MPを変化させつつ曲率を計測する一例を示すものである。更に、具体的に説明すると、図2に示すように、下ロール30a,30b(詳細は後述する)の周りにそれぞれ形成されたレール38a,38bに沿って摺動可能に可動フレーム38c,38dが取設され、当該可動フレーム38c,38dに曲率計測部6が取設されている。ここで、曲率計測部6は、ワイヤ41の一方の端部と連結され、当該ワイヤ41の他方の端部はウエイト44a,44bと連結されている。これにより、下ロール30a,30bに曲率計測部6は旋回することが可能となり、ワイヤ41と連結されたウエイト44a,44bによるバランスウエイト力によって金属板2の板表面2aに曲率計測部6をフィットさせることができる。
ここで、本実施形態の曲げ加工システム1において、図1及び図2に示したように、曲率情報4を取得する曲率計測部6及び移動量情報8を取得する移動量計測部13をそれぞれ別体構成として示したが、これに限定されるものではなく、後述する本発明の一実施形態の曲率計測装置50のように、移動量情報8の取得機能を曲率計測装置50の一部に包含し、一体的に構成したものを使用するものであっても構わない。
一方、プロファイル情報算出手段17は、曲率計測部6によって取得された曲率情報4及び移動量計測部13によって取得された移動量情報8に基づいて、各種演算処理を実行し、金属板2の曲げ形状にかかるプロファイル情報16を算出するものである。そのため、プロファイル情報算出手段17は、種々の情報等の入力を受付け、並びに解析等の演算処理を実行可能なパーソナルコンピュータ等の情報通信機器端末によって構成されたシステム制御端末14の一機能として構成される。
更に、かかるシステム制御端末14には、作成されたプロファイル情報16に基づいて作成される円弧プロファイル18等(詳細は後述する)をディスプレイ上等に描画し、視覚情報として提示可能な表示機能等(図示しない)を含んでいる。更に、後述する曲げ加工システム1におけるその他の機能的構成については、上記システム制御端末14によって主な処理が実施される。
本実施形態の曲げ加工システム1は、その他機能的構成として、プロファイル情報16に含まれる計測位置MPの移動量及び当該計測位置MPにおける曲率の値に基づいて、複数の円弧が連なって形成される円弧プロファイル18を作成する円弧プロファイル作成手段19と、金属板2の自重による影響を補正して複数の円弧が連なって形成される自重補正円弧プロファイル31を作成する自重補正円弧プロファイル作成手段32と、円弧プロファイル18または自重補正円弧プロファイル31の円周上の任意の二点で区画された基準円弧21の円弧始点22a及び円弧終点22b、及び、基準円弧21の円周上の任意の円周上点23に基づいて基準中心点24を算出する基準中心点算出手段25と、算出された基準中心点24を円心とし、円弧始点22a、円弧終点22b、及び円周上点23を通過する基準円26を作成する基準円作成手段27と、作成された基準円26及び円弧プロファイル18または前記自重補正円弧プロファイル31を重ね合わせて対比する基準円対比手段28とを更に具備している。なお、本実施形態の曲げ加工システムにおいて、基準円26を作成するために円弧始点22a、円弧終点22b、及び円周上の任意の円周上点23に基づくものを示したが、円周上点23として、例えば、円弧始点22a及び円弧終点22bによって区画された基準円弧21の中点(円弧中点)を用いるものが好適である。すなわち、円弧始点22a及び円弧終点22bを特定することにより、任意の円周上点23の一つである円弧中点を容易に指定することができる。その結果、基準円26を円弧中点に基づいて好適に作成することができる。
また、本実施形態の曲げ加工システム1は、その他の機能的構成として、円弧プロファイル18または自重補正円弧プロファイル31の一部を所定の比率で分離するカットオフ手段33と、カットオフ手段33によって分離された分離プロファイル(図示しない)の円周方向の変化を拡大強調する拡大強調プロファイル15を作成し表示する拡大強調作成表示手段20と、金属板2の曲げ加工をガイドする加工ガイド情報提供手段34を具備している。
本実施形態の曲げ加工システム1について更に詳述すると、曲げ加工手段3は、平板状(または曲がり形状)の金属板2を所望の曲率となるように曲げ加工するものであり、例えば、図2に示すような複数のロール29,30a,30bを配して構成された曲げ加工装置12を用いて主に実施される。
曲げ加工装置12は、上ロール29及び当該上ロール29を挟んで前後(図2における紙面左右に相当)の位置で、かつ上ロール29の下方に配され、所定の間隔で互いに離隔した一対の下ロール30a,30bを有して主に構成されている。なお、一対の下ロール30a,30b以外にその他の下ロール(図示しない)を含むものであっても構わない。
図2に示すように、上ロール29及び一対の下ロール30a,30bの間で曲げ加工の対象となる金属板2を挟み込んだ状態で、所定のロール圧を加えながら、金属板2を前側から後ろ側(図2における紙面右側から左側)に向かう搬送方向X1に沿って所定の搬送速度で金属板2を送り出す。更に、金属板2を後ろ側から前側(図2における紙面左側から右側)に向かう搬送方向X2に沿って所定の搬送速度で金属板2を送り出す。かかる処理を繰り返し実施することにより、金属板2を所望の曲げ形状に曲げ加工することができる。なお、図2に示すような、曲げ加工装置12(ロールベンダー)自体の構成は、従来から周知のものであり、また、曲げ加工装置12を用いた金属板2の曲げ加工の方法についても周知のものであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
一方、曲率情報取得手段5は、金属板2の曲率を計測し、曲率情報4として取得するものであり、例えば、図2に示すような曲率計測部6を用いて計測を行うことができる。曲率計測部6は、曲げ加工される金属板2の板表面2aに当接する位置にフローティング機構によって配置される。
すなわち、図2に示されるように、上ロール29を中心として、左右対称の位置に一対の曲率計測部6がそれぞれ配されている。これにより、死角なく金属板2の全長に亘って曲率を計測することができる。なお、本発明の曲げ加工システムにおいて、図2に示すような一対の曲率計測部6を必ずしも使用する必要はなく、少なくとも一つの曲率計測部が曲げ加工後の金属板2に対して当接するように配置され、曲率が計測可能なものであれば構わない。
更に、曲率計測部6を設置する場所も特に限定されるものではなく、少なくとも曲げ加工後の金属板2の曲率を計測可能で、かつ金属板2の曲げ加工の工程を阻害しない位置であれば構わない。
曲げ加工システム1に使用される曲率計測部6の具体的構成について説明すると、例えば、図2に示すように、本体フレーム35と、一対の固定接触子36a,36bと、固定接触子36a,36b間に所定のピッチで取設された可動接触子37とを主に具備して構成されている。ここで、固定接触子36a,36bが本発明の曲率計測装置50(詳細は後述する)における固定プローブに相当し、可動接触子37が本発明の曲率計測装置における計測プローブに相当する。
曲率計測部6は、図2に示すように、本体フレーム35の計測ブロック部55が下ロール30a,30bの周囲に沿ってそれぞれ形成された曲線形状のレール38a,38bの形状に合わせて設置された可動フレーム38c,38dに取設され、当該レール38a,38b(可動フレーム38c,38d)に沿って下ロール30a,30b周りに摺動し(図2における下ロール30a,30b内の矢印参照)、回転可能に形成されている。レール38a,38bに沿って張設されたワイヤ41の一端と曲率計測部6が接続され、当該ワイヤ41の他端はそれぞれウエイト44a,44bと接続されている。当該ウエイト44a,44bの重みによって、曲率計測部6の計測ブロックに取設された固定接触子36a,36b及び可動接触子37を金属板2の板表面2aの一定の圧力で当接させることができる(=フローティング機構)。なお、固定接触子36a,36b等の金属板2の板表面2aを当接させるための力(=当接力)は、上記したウエイト44a,44b等を用いるものに限定されるものではなく、例えば、重心の移動によって当接力を生じさせたり、或いは、エアシリンダ等の駆動力を用いるものであっても構わない。
一対の固定接触子36a,36bは互いに離間した状態で本体フレーム35の一端に取設され、一対の固定接触子36a,36bの接触子の先端部(図示しない)を結ぶ基準線(図示しない)を等分する線上に沿って可動自在なように可動接触子37が設けられている。これにより、金属板2の湾曲度を可動接触子37の可動量(変位量)を検出することで曲率を計測することが可能なものである。なお、本実施形態の曲げ加工システム1に使用される曲率計測部6は、上記可動量に応じた電気信号を出力し、システム制御端末14に曲率情報4として送出することができる。
上記に示した曲率計測部6の構成は、従来から周知のものであり、その具体的な構成についての説明は省略する。また、本実施携帯の曲げ加工システム1に使用可能な曲率計測装置は、上記に示したもの限定されるものではなく、後述する本発明の一実施形態の曲率計測装置50を使用するものであっても構わない。
曲率計測装置50を使用することで、曲率情報4の取得に加え、移動量情報8を合わせて取得することができる。更に、図2に示した曲率計測部6のように、固定接触子36a,36b及び可動接触子37の頂点が金属板2に直に接する接触式のものに限定されるものではなく、レーザ等を照射する非接触距離計等を曲率計測装置に使用することもできる。
すなわち、曲げ加工システム1に使用される曲率計測部6は、金属板2の板表面2aにおける特定の点(計測位置MP)の曲率を安定して計測することができるものであればよく、更に、計測した結果に基づいて電気信号を出力し、これを曲率情報4として変換可能な機能を備えるものであっても構わない。
なお、出力された電気信号を曲率情報4として変換する機能は、上述した曲率計測部6自体に内蔵されているものであっても、或いは出力された電気信号の入力を受付け、各種機能的構成を含むシステム制御端末14を用いて曲率情報4に変換処理するものであっても構わない。
一方、ロール位置回転手段7は、上記曲率計測部6による金属板2の曲率の計測位置MP及び金属板2の曲げ形状を連続的或いは断続的に変化させるものである。例えば、図2に示すような曲げ加工装置12を用いた場合、一対の曲率計測部6は、上ロール29を中心として左右対称の位置に固定して設置されており、曲率計測部6の移動はほぼ規制されている。すなわち、金属板2の曲率の計測位置MPを変化させるためには、曲率計測部6と相対し、当接または略当接するように配置された金属板2自体が動く必要がある。
曲げ加工手段3を行う曲げ加工装置12には、上ロール29及び下ロール30a,30bの間に挟まれた金属板2を搬送方向X1及び搬送方向X2に沿って送り出す送り出し機構が本来の機能として設けられている。
そのため、固定された曲率計測部6の一対の固定接触子36a,36b及びその中間位置にある可動接触子37を金属板2の板表面2aに当接させた状態を維持しつつ、金属板2の搬送方向X1または搬送方向X2への搬送を実施することで、曲率の計測位置MPを容易に変化させることができる。
なお、計測位置MPを連続的に変化させるとは、金属板2が所定の搬送速度で搬送されている間、常に当該計測位置MPにおける曲率を計測するものであり、断続的とは所定の時間間隔(例えば、1秒間に1回等)を曲率を計測するものである。金属板2の搬送速度が一定であれば、等間隔で計測される曲率の計測位置MPにかかる移動量は一定となる。
ロール位置回転手段7により、金属板2の長手方向(搬送方向)に沿って計測位置MPが変化することとなり、曲率計測部6によって適切なタイミングで曲率の計測及び曲率情報4の取得が行われる。なお、図2に示すように、曲率計測部6を固定位置に配置し、金属板2を搬送し、計測位置MPを変化させることにより、金属板2の曲げ加工の工程中、すなわち、インラインの状態であっても逐次変化する曲率及び曲率情報4を取得することができる。
ここで、ロール位置回転手段7は、図2に示した例に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、曲げ加工装置12等によって既に曲げ加工済の金属板2を曲率計測用の計測用テーブル39にセットし、固定された金属板2の板表面2aに沿って、かつ金属板2の長手方向(摺動方向Y)に沿って曲率計測部6を摺動(或いは転動)させるものであっても構わない。
すなわち、図3の曲げ加工システム1aの場合、曲率計測部6自体が摺動或いは転動等の動きをすることで、曲率の計測位置MPが変化することになる。図3の場合、既に説明したように、金属板2の曲げ加工自体は完了しているため、オフラインの状態で金属板2の曲率情報4を取得することができる。すなわち、曲げ加工完了後の金属板2の曲率を確認することで加工精度のチェックを行うことができる。
加えて、曲げ加工システム1における移動量情報取得手段9は、上記のロール位置回転手段7によって変化した曲率計測部6の計測位置MPの移動量、換言すれば、曲率計測部6及び金属板2の間の相対的な位置関係の移動変化にかかる移動量を移動量情報8として取得するものである。
移動量計測部13は、例えば、従来から周知のエンコーダ等を備え、金属板2と当接し、当該金属板2の搬送に伴って回転するエンコーダの回転数(回転量)によって金属板2の搬送速度或いは搬送量を計測することができる。かかる金属板2の搬送量が図2における曲げ加工システム1の場合の移動量に相当する。
本実施形態の曲げ加工システム1に使用される移動量計測部13は、上記移動量に応じた電気信号を出力し、システム制御端末14に創出することで計測位置MPの相対的な移動量にかかる移動量情報8を提供することができるものである。これにより、曲率計測部6の計測位置MPの移動量を金属板2の曲げ加工の途中、すなわち、曲げ加工を停止することなくインラインの状態で取得することができる。
先に示した本発明の別例構成の曲げ加工システム1aの場合、図3に示すように、曲げ加工の完了後の金属板2の曲率情報4及び移動量情報8を取得する場合、計測用テーブル39に金属板2を固定してセットし、金属板2の板表面2aに沿って曲率計測部6を摺動させることで移動量情報8が取得される。
このとき、一端がウインチ40と接続されたワイヤ41が曲率の測定対象の金属板2の板表面2aに沿って張設されている。そして、ワイヤ41の張設方向に沿って曲率計測部6を摺動させることができる。また、ワイヤ41の他端はウエイト機能を有するリニアガイド上のターゲット43と接続されている。そして、ターゲット43の下方に配置された反射型変位計45から光線Lを当該ターゲット43に向けて照射し、ターゲット43に当たり反射した光線Lの反射角(図示しない)を読み取ることによって移動量を計測することができる。すなわち、ターゲット43及び反射型変位計45が本実施形態における移動量計測部13に相当する。その結果、曲率計測部6(計測位置MP)の相対的な移動にかかる移動量を計測することができ、移動量情報8として取得することが可能となる。すなわち、曲げ加工後の金属板2に対し、オフラインの状態で曲率情報4の取得とともに、移動量情報8の取得が可能となる。
一方、プロファイル情報算出手段17とは、取得された曲率情報4及び移動量情報8に基づいて金属板2の曲げ形状にかかるプロファイル情報16を算出するものである。すなわち、金属板2の曲率及び曲率計測部6による計測位置MPの移動量にかかる二つのパラメータに基づいて、曲率-移動量を関連付けたプロファイル情報16(曲げプロファイル)が作成される。
プロファイル情報16の具体例は後述するため、ここでは詳細な説明を省略する。プロファイル情報16により、従来は認識することが困難であった金属板2の長手方向における曲率の変化を視覚によって確認することができ、金属板2の曲げ加工の加工精度のチェック等を行うことができる。すなわち、曲げ加工の加工精度の確認のために必要なプロファイル情報16の作成が可能となる。
一方、加工ガイド情報提供手段34とは、作成されたプロファイル情報16に基づいて、金属板2の曲げ加工の加工条件の修正点などを指摘し、正しい曲げ加工が実施されるようにガイドするものである。
すなわち、作成されたプロファイル情報16によって曲率-移動量の変化やずれ等を、視覚を通じて容易に認識することができる。これにより、加工のずれが発生し始めたポイントを認識し、当該ポイントからロール圧や回転等の加工条件の修正を行うことができる。
更に、プロファイル情報算出手段17は、取得した曲率情報4及び移動量情報8に基づいて、互いに隣り合う計測位置MPの間の移動量、換言すると、最初に曲率を計測した第一計測位置(計測位置MP)から次に曲率の計測を行った第二計測位置(計測位置MP)までの間の移動距離と、第一計測位置(または第二計測位置)における曲率の値から円弧長さA及び半径rにかかるプロファイル情報16を算出するためのものである。ここで、半径rは、曲率の逆数(半径r=1/曲率)の値で求めることができる。
その後、円弧プロファイル作成手段19によって、複数のプロファイル情報16に基づいて作成された円弧プロファイル18が作成される(図4参照)。以下、図に基づいて円弧プロファイル18の作成の具体例を説明する。ここで、半径r、円弧長さAの値として、(r1,A1),(r2,A2),(r3,A3)・・・(rn-1,An-1),(rn、An)のプロファイル情報16が得られたものとする。そして、任意の位置に中心点C1を決定し、中心点C1から半径r1の長さの線分を作図する。更に、当該線分の終端E1(中心点C1の反対位置)から半径r1の仮想円(図示しない)における円弧長さA1の線分(E1-E2)を作図する。次に、円弧長さA1の線分の終端E2及び中心点C1を通り、終端E2を始点とする半径r2の長さの線分を作図する。そして、作成された線分の終端を中心点C2とする。その後、再び、中心点C2から半径r2の仮想円における円弧長さA2の線分(E2-E3)を作図し、同様に、円弧長さA2の線分の終端E3及び中心点C2を通り、終端E3を始点とする半径r3の長さの線分を作図する。かかる作図操作を繰り返すことにより、線分A3(E3-E4)等が作成される。これにより、任意の計測位置MPにおける半径rn及び円弧長さAnの値、及び、その一つ前の計測位置MPにおける半径rn-1及び円弧長さAn-1の値を含んだプロファイル情報16に基づいて円弧プロファイル18を作成することができる。その結果、各計測位置MPにおける円弧長さA及び半径rから金属板2の曲げ形状が円弧プロファイル18によって示される。なお、円弧プロファイル18は、プロファイル情報16の一部として構成される。ここで、図4の円弧プロファイル18は、模式的に示したものであり、実際の寸法を表しているものではない。更に、図4は半径rが漸増する例について示しているが、これに限定されるものではなく、当該半径rが漸減する、或いは漸増または漸減のいずれかが行われるものであっても構わない。
作成された円弧プロファイル18を確認することで、互いの隣合う計測位置MPの間で円弧長さA及び半径rの値が差やずれが大きく異なり、円周上で大きな段差や凹凸が認められることになる。その結果、所定の曲率で金属板2の曲げ加工が規則正しく行われていないと判断することができる。
一方、円弧プロファイル18によって示される円弧長さA及び半径rが均一の場合、作成される円弧プロファイル18の円周は凹凸のない滑らかなものとなる。これにより、金属板2の曲げ加工が良好に行われ、曲げ加工の品質が安定した金属板2であると判断することができる。すなわち、金属板2の曲げ加工の加工精度の確認を視覚を通じて容易に判断することができる。
なお、本実施形態の曲げ加工システム1は、取得された曲率情報4及び移動量情報8に基づいて、上記の通りに円弧プロファイル18をそのまま作成するケースに加え、曲げ加工の際の金属板2の自重の影響を考慮して補正を行う自重補正円弧プロファイル作成手段32を備えている。例えば、図5に示すように、上ロール29及び後側の下ロール30bの間を通過した金属板2は、金属板2の送り出しによって徐々に斜め上方向(図5における紙面斜め左上方向)に跳ね上げられた状態となる。
このとき、金属板の先端部42は、宙に浮いた状態となり、当該金属板の先端部42は何も支えられていない。換言すれば、上ロール29及び後側の下ロール30bの間を始点として、それより後に送り出された金属板2を支えている状態となる。ここで、金属板2自体は比較的重量物である。
そのため、曲げ加工装置12によって曲げ加工されたとしても、上記のように金属板の先端部42が宙に浮いた状態が継続されると、金属板2の自重によって曲げ加工された金属板2が元に戻ろうとする方向(復元方向Z)に復元力が作用する(図5の矢印参照)。その結果、実際の曲率と異なった曲率を計測する可能性が生じる。
そこで、自重による金属板2の戻り(復元)の可能性を考慮して、予め復元分を補正することで自重補正円弧プロファイル31が作成される。これにより、実際の曲げ加工をする際の金属板2の挙動が正確に把握され、復元分を考慮して曲げ加工を行うことができるため、当初設計の通りの形状を正確に再現した金属板2の曲げ加工を行うことが可能となる。
その後、作成された円弧プロファイル18または自重補正円弧プロファイル31に対し、円周上の任意の二点で区画された基準円弧21を指定し、当該基準円弧21の円弧始点22a及び円弧終点22bと更に基準円弧21の円周上点23(例えば、円弧中点)を特定する。基準円弧21の三点が特定されたことにより、当該三点から等距離にある基準中心点24を算出することができる(基準中心点算出手段25)。
そして、算出された基準中心点24を円心とし、かつ円弧始点22a、円弧終点22b、及び円周上点23の三点全てを通過する基準円26を作成する(基準円作成手段27)。なお、基準中心点24の算出及び基準円26の作成は、周知の数学的アプローチによって達成することができるため、ここでは詳細な説明は省略する(図6参照)。なお、図6は円弧プロファイル18を用いた基準円26の作成の一例を示している。
なお、基準円作成手段27による基準円26を作成する際に、円弧プロファイル18または自重補正円弧プロファイル31の一部を所定の比率(例えば、90%カットオフまたは95%カットオフ等)するカットオフ手段33を実施するものであっても構わない。カットオフ手段33によって分離された分離プロファイル(図示しない)の円周方向の変化を拡大強調(例えば、90%カットオフの場合=10倍、或いは、95%カットオフの場合=20倍)する拡大強調プロファイル15を拡大強調作成表示手段20によって作成及び表示することができる(図7参照)。なお、図7は90%カットオフ、10倍拡大の処理を行った拡大強調プロファイル15を示している。
ここで、カットオフ手段33及び拡大強調作成表示手段20について更に詳述する。始めに、ほぼ360度に亘って円筒状に曲げ加工され、両端部からそれぞれ15度は直線状であり、残余の330度は110度の周期で300±Rで曲率Rが変化するモデルを仮定する。ここで、図8に示すように、曲率Rを±1%した場合(=300±R±3mm)をそのまま出力してもプロファイルA(図8の実線参照)は、曲率Rの変化がそれほど大きくなく、曲率Rのずれをほとんど認識することができない。これに対し、90%カットオフし、10倍に拡大強調した場合(曲率Rから300を引き、その値を10倍し、その後に300を加える)、プロファイルB(図8の破線参照)は歪な形状となる。これにより、どの方向が大きいか或いは小さいかを判断することができる。
図9は、拡大強調のない場合で任意の3点を通る円弧の中心から上限(303mm)の基準円26a(図9の一点鎖線参照)、及び、下限(297mm)の基準円26b(図9の二点鎖線参照)を表示したものである。一方、図10は、拡大強調の場合であって、領域RAの範囲は下限側に偏っていることが示され、領域RBの範囲は上限側に偏っていることが示される。この場合、それぞれの基準円は上限側(330mm)及び下限側(270mm)のものが示されている。ここで、図9及び図10はそれぞれ算出された中心点からの基準円26a,26b等を示しているが、曲率Rを基準としてプロットした場合であっても、図11に示すように、基準円26a等との違いを明確にすることができる。
そして、上記によって算出された基準円26と円弧プロファイル18等とを重ね合わせ対比することにより(基準円対比手段28)、実際の金属板2の曲げ加工によって得られた曲げ形状を示す円弧プロファイル18と基準円26の円周との間の差異を比較することができる。なお、基準円対比手段28は、基準円26と円弧プロファイル18との対比に限定されるものではなく、上記に説明したように、拡大強調処理によって作成された拡大強調プロファイル15と重ね合わせ、対比を行うものであってもよい(例えば、図13参照)。ここで、図13は作成された基準円26と、95%カットオフ、20倍拡大の拡大強調プロファイル15との重ね合わせの例を示している。更に、基準円26及び拡大強調プロファイル15の間の差異をハッチングにより塗り潰したものを示している。
すなわち、円弧プロファイル18等と基準円26の円周がほぼ一致している場合には、金属板2の曲げ加工が良好な加工精度で加工されていると判断することができる。一方、円弧プロファイル18等と基準円26の円周との間に差異が生じている場合には、曲げ加工が当初設計の通りの加工精度で加工されていないと判断され、曲げ加工の加工条件を修正する必要がある。特に、拡大強調プロファイル15によって円周方向の変化が大きく強調されているため、基準円26の円周との差異をより明確に示すことができる。
更に、本実施形態の曲げ加工システム1において、曲げ加工手段3を実施する曲げ加工装置12の上ロール29及び下ロール30a,30bの配置及び曲げ加工の対象となる金属板2の形状に基づいて、加工対象の金属板2の自重による影響を予め算出することができる。すなわち、曲げ加工装置12のロール配置等から曲げ曲率への影響を定義することができる。
予め作成された基準円26と、曲率情報4及び移動量情報8に基づいて、金属板2の実際の曲げ加工の結果として作成された曲げ形状にかかる円弧プロファイル18等と対比することで、曲げ加工の加工条件の修正ポイント等を、視覚を通じて認識することができる(図13参照)。すなわち、加工ガイド情報提供手段34によって曲げ加工のガイドをすることができる。これにより、修正が必要な位置に戻って加工条件を修正することができ、金属板2の適正な修正が可能となるとともに、加工後の修正に要する時間を短縮することができ、作業の効率化及び製造コストの低下等の効果を有することができる。
本実施形態の曲げ加工システム1は、例えば、図2に示すような、金属板2の曲げ加工を行いながら、オンラインで曲率及び移動量を計測することができ、加工条件の修正をリアルタイムで実施することが可能となり、金属板2の曲げ加工の加工品質を良好にし、加工不良の発生を抑制することができるため、特に有用なものとなる。
上記に示した通り、本実施形態の曲げ加工システム1によれば、金属板2の曲げ加工のプロセスにおいて、曲率情報4及び移動量情報8を同一タイミングで取得し、曲率-移動量を関連付けた金属板2の曲げ形状にかかるプロファイル情報16を算出することができる。そして、算出されたプロファイル情報16に基づいて、円弧プロファイル18(または自重補正円弧プロファイル31)の作成、基準円26の作成、及び基準円26と円弧プロファイル18、自重補正円弧プロファイル31、または拡大強調プロファイル15との対比を行うことで、金属板2の曲げ加工の加工精度をチェックすることができる。
特に、基準となる基準円26や拡大強調プロファイル15との差を、視覚を通じて認識することができ(図12及び図13参照)、作業者の主観によらず、客観的なデータに基づいて加工条件の修正を指示または指摘することができる。更に、プロファイル情報16には移動量情報8が含まれているため、どのタイミングでずれが発生したか、或いは発生しやすいかを容易に把握することができるため、加工条件の修正のポイントを明確に特定することが可能となる。
更に、図2に示されるように、金属板2の曲げ加工の途中のインラインの状態で曲率情報4及び移動量情報8を取得することで、リアルタイムで加工条件の修正をすることができ、高い加工精度を維持しつつ効率的な金属板2の曲げ加工を行うことができる。
一方、図3に示されるように、曲げ加工完了後の金属板2であっても、金属板2の曲げ形状を確認し、次に実施される金属板2の曲げ加工の加工条件の修正にフィードバックすることができる。これにより、曲げ加工システム1,1aによって曲げ加工される金属板2の加工品質を安定したものとすることができる。
2.曲率計測装置
本発明の一実施形態の曲率計測装置50は、上述した本実施形態の曲げ加工システム1,1aに使用可能なものであり、例えば、図14及び図15に示すように、本体フレーム51と、金属板2(=被曲率計測体に相当)の曲率を計測する摺動機構及び揺動機構を備えた曲率計測部52と、金属板2に沿って移動可能な移動機構部53と、移動機構部53を利用して、曲率計測部52を金属板2に対して相対的に移動させた移動量、若しくは、金属板2を曲率計測部52に対して相対的に移動させた移動量を計測する移動量計測部54とを主に具備して構成されている。なお、説明を簡略化するために、本実施形態の曲げ加工システム1,1aの説明において使用した語句については、必要に応じて同一の符号を付し、詳細な説明を省略することもある。なお、本実施形態の曲率計測装置50は、移動機構部53を利用した移動量計測部54を備えるものであるものの、これに限定されるものではなく、移動機構部を利用することなく移動量を計測する機能を備えた移動量計測部として構成されるものであっても構わない。
更に具体的に説明すると、本実施形態の曲率計測装置50は、金属板2の特定の点(計測位置MP)における曲率を計測し、曲率情報4(図1等参照)を取得するための曲率計測機能と、曲率計測部52による計測位置MPの相対的な移動量を計測し、移動量情報8(図1等参照)を取得するための移動量計測機能の双方の機能を併せて構成されるものである。また、被曲率計測体は、上記のように金属板2に限定されるものではなく、所望の曲率の曲げ加工される金属以外の材質のものであっても構わない。
本体フレーム51は、曲率計測装置50の本体部分を構成するものであり、アルミ合金等の金属製材料によって外殻構成が主に構成されている。
曲率計測装置50の曲率計測部52は、上記本体フレーム51に対して、摺動自在、かつ、揺動自在に取設された計測ブロック部55、計測ブロック部55の両端部にそれぞれ取設された一対の固定プローブ56a,56bと、固定プローブ56a,56bのプローブ端57a,57bの間のプローブピッチPPの中間位置に取設された計測プローブ58を有するものである。
ここで、本実施形態の曲率計測装置50の曲率計測部52における固定プローブ56a,56bは、先に説明した曲げ加工システム1で使用される曲率計測部6の固定接触子36a,36bと略同一の構成であり、計測プローブ58は同様に曲率計測部6の可動接触子37と略同一の構成である。そのため、ここでは一部の詳細な説明は省略する。更に、曲率計測部6において説明したとおり、本実施形態の曲率計測部52をレーザ等を使用して曲率を計測する非接触式の距離計を用い、曲率計測部とするものであっても構わない。
曲率計測部52について更に説明すると、固定プローブ56a,56bの先端のプローブ端57a,57bは、略円筒状を呈して構成され、当該円筒の接線で金属板2と当接する。ここで、本体フレーム51の底面51aから突出した固定プローブ56a,56bの突出量、換言すると、一対の固定プローブ56a,56bの底面51aからの突出高さH1は、常に一定となるように設定されている。なお、固定プローブ56a,56bの形状は特に限定されるものではなく、上記の通り、突出高さH1が常に一定となるものであればよく、例えば、半球状を呈するものであっても構わない。
これに対し、計測プローブ58は、プローブ本体(図示しない)の内部に内包されたバネ等の力によって、相対する金属板2を押し出す方向に所定の押圧力が付与された状態でセットされている。そのため、金属板2の曲率に応じて計測プローブ58の突出高さH2は変化する。ここで、計測ブロック55は、上述した通り、本体フレーム51に対して、揺動及び摺動自在に構成されており、一方、計測プローブ58は、上記バネ等の力によって押し当て方向に対して移動する自由度を有している。かかる計測プローブ58は、計測ブロック55に固定されているため、当該計測ブロック55の動きに伴って計測プローブ58も揺動及び摺動することができる。
このときの計測プローブ58の可変量を計測し、一対の固定プローブ56a,56bのプローブ端57a,57bとの位置関係に基づいて曲率を求めることができる。そして、算出された曲率の値が曲率情報4として送出される。
曲率計測装置50の移動機構部53は、本体フレーム51の下部近傍にローラ軸59を介して回転自在に軸支された、複数の略円柱状の回転ローラ60を有して構成されている。これにより、回転ローラ60のローラ面61が金属板2の板表面2aに当接した状態で、金属板2の移動或いは曲率計測装置50の移動に応じて回転ローラ60が転動可能となり、回転ローラ60が回転することで、曲率計測装置50の金属板2に沿った滑らかな移動が可能となる。なお、複数の回転ローラ60の中の少なくとも一対の回転ローラ60は、上述した曲率計測部52の計測プローブ58を前後方向に挟んで取設されている。
ここで、本実施形態の曲率計測装置50における移動機構部53は、図14及び図15に示すように、前後方向(図14における紙面左右方向に相当)、及び、左右方向(図15における紙面左右方向に相当)にそれぞれ一組ずつの回転ローラ60が軸支され、合計で四本の回転ローラ60を備えて構成されている。
一方、移動量計測部54は、移動機構部53を構成する四本の回転ローラ60の少なくとも一部に移動量計測にかかる機能が搭載されている。例えば、前述したように、レール38a,38bに本実施形態の曲率計測装置50を取設し、レール38a,38bに沿って摺動自在としたフローティング機構を介して曲率計測装置50の回転ローラ60のローラ面61を金属板2の板表面2aと当接させることができる。
かかる当接を維持した状態で、金属板2の搬送或いは曲率計測装置50を摺動させることにより、板表面2aとの接触により本体フレーム51に軸支された回転ローラ60が滑らかに回転する。この回転する回転ローラ60の一部に、上述した周知のエンコーダ(図示しない)を設置することにより、回転ローラ60の回転に応じて、当該エンコーダも回転することになる。ここで、エンコーダの設置された回転ローラ60は上下及び左右方向にある程度の自由度を備えている。そのため、曲率計測装置50の摺動等による動きの外乱に対して追従する追従性が、上記回転ローラ60の自由度によって保証される。なお、回転ローラ60の自由度による追従性は、例えば、ゴム等を用いることにより当該機能を奏することができる。かかる追従性の機能は、必須の構成ではなく、当該機能がない場合でも移動量計測の機能は作用することができる。
これにより、エンコーダの回転量及び回転数等に基づいて曲率計測装置50の板表面2aにおける移動量または金属板2の搬送量が計測される。その結果、曲率計測装置50の曲率計測部52の計測プローブ58の計測位置MPの相対的な移動量を把握することができ、最終的に移動量情報8を取得することができる。
エンコーダを用いた移動量計測部54による移動量の計測については、既に周知のものであるためここでは詳細な説明は省略する。更に、移動機構部53の回転ローラ60に必ずしも移動量計測部54を搭載する必要はなく、移動機構部53と別体として構成されたエンコーダ等を備えた移動量計測部54を本体フレーム51に取設するものであっても構わない。この場合は、上記の追従性にかかる機構が必須の構成となる。
上記構成を備えた本実施形態の曲率計測装置50によれば、金属板2の曲率を計測する曲率計測機能と、計測位置MPの相対的な移動量を計測する移動量計測機能とを併せ持った曲率計測装置を構成することができる。これにより、本実施形態の曲げ加工システム1に本実施形態の曲率計測装置50を使用することで、曲率情報4及び移動量情報を正確かつ簡易に取得することが可能となる。すなわち、本実施形態の曲率計測装置50は、本発明の曲げ加工システムへの使用が特に好適である。
上記構成に加え、本実施形態の曲率計測装置50は、更なる構成を備えている。すなわち、金属板2と相対する本体フレーム51の底面51a付近に設けられ、本体フレーム51を金属板2に磁力で吸着させ、吸着状態を保持する磁力吸着部62を更に具備している。
曲率を計測する対象となる被曲率計測体は、主に鉄鋼等の金属材料で構成されている。そこで、本体フレーム51の底面51aの近傍に磁石等の磁性体で構成された磁力吸着部62を設けることにより、本体フレーム51は被曲率計測体(金属板2)に向かって引き寄せられる。金属板2の板表面2aに沿って曲率計測装置50を滑らせながら移動させる場合、金属板2の形状によっては金属板2の下方から曲率計測装置50をあてがい、金属板2に曲率計測装置50を強く押しつける必要があり、計測を行う作業者に無理な姿勢を強いることがある。
そのため、曲率計測装置50を押し付ける力が弱くなり、金属板2の板表面2aから曲率計測装置50が僅か離れてしまう可能性がある。このような場合、正確な曲率を計測することができず、更に金属板2との当接が弱くなることで回転ローラ60の回転量等も変化する可能性がある。その結果、曲率及び移動量の計測が不正確なものとなる。
そこで、上記磁力吸着部62を設けることにより、金属板2に対する当接状態を一定に保つことができ、曲率及び移動量の計測を安定した状態で行うことができる。その結果、計測結果から取得される曲率情報4及び移動量情報8が安定し、曲げ加工の加工精度を正しく判断することができる。なお、加工対象の金属板2の板表面2a等には、無数の鉄粉(図示しない)が存在していることが多い。そのため、上記磁力吸着部62と金属板2とを直に当接させると、板表面2a上の鉄粉等が磁力吸着部62に付着し、金属板2の加工後に当該鉄粉等を除去するのに手間がかかることがあった。そのため、磁力吸着部62を包含し、かつ磁力による吸着性を損なわないような非磁性体素材で形成された保護カバー(図示しない)を磁力吸着部62に取付けるものであっても構わない。これにより、金属板2の加工後に当該保護カバーを除去することで、鉄粉等を容易に除去することができる。
更に、本発明の別例構成の曲率計測装置50aは、図16及び図17に示すように、本体フレーム51の側部にアーム支持バネ66を介して取設されたクランプアーム63と、L字状に形成されたクランプアーム63の先端に設けられ、金属板2の一部と当接し、回転ローラ60の間で金属板2を挟持するクランプ部64とを備え、金属板2に曲率計測装置50aをクランプした状態を保持し、かつ回転自在に形成されたするクランプ機構部65を具備するものである。なお、クランプアーム63には、図17に示すように、複数の調整孔67が縦に並んで設けられている。更に、クランプアーム63の支点となる位置にクランプ幅を微調整するための微調整機構部68が設けられている。かかる微調整機構部68のアジャスト機構と、調整孔67の位置を合わせることで、被曲率計測体(金属板2)の厚さに応じて、クランプ部64のクランプ幅を任意の幅に調整することができる。更に、クランプ部64に直交するように、略円板状の竪ローラ69がクランプアーム63を挟んで一対設けられている。
これにより、上記した磁力吸着部62と同様に、金属板2に対する曲率計測装置50aの当接状態を安定させることができ、曲率及び移動量の計測を安定して行うことができ、これらに基づいて行われる加工精度の確認の信頼性を向上させることができる。なお、別例構成の曲率計測装置50aにおいて、先に示した曲率計測装置50と同一構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
クランプ機構部65を用いることにより、被曲率計測体が磁力に対して吸着する性質を有しなくてもよいため、適用範囲が更に広くなる。なお、本体フレーム51の底面51aに上記磁力吸着部62を設けるものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、移動機構部53として構成される回転ローラ60自体が磁性体(マグネット)で構成されているものであっても構わない。回転ローラ60がマグネットで構成されていることにより、前述の磁力吸着部62と同様の効果を奏することができる。
更に、本実施形態の曲率計測装置50及び別例構成の曲率計測装置50aにおいて、図14及び図15、並びに、図16及び図17に示したように、移動機構部53の回転ローラ60のローラ軸59の間のローラピッチRPに対し、曲率計測部52のプローブ端57a,57bの間のプローブピッチPPを広く設定したものを示している。これにより、特に、金属板2の曲率の測定範囲を広くすることができる。その結果、端部を有する曲げ材料(金属板2)の端から端までを測定することが特に好適に行われる。なお、移動機構部53を計測プローブ58を挟んで前後一対の二輪の回転ローラ60で形成した場合、プローブピッチPPに対し、ローラピッチRPを広く設定する必要がある。
上記説明した通り、本実施形態の曲率計測装置50及び別例構成の曲率計測装置50aによれば、曲率計測機能及び移動量計測機能を双方併せ持つことができ、曲げ加工装置12の周囲に設置する設置スペースの制限を解消することができ、かつ曲率情報4及び移動量情報8をまとめて取得することができる。