JP6038608B2 - ポリ乳酸樹脂組成物の射出成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕 ポリ乳酸樹脂、ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤、及び融点が20〜75℃の離型剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物を射出成形機に充填して金型内にて成形する射出成形体の製造方法であって、前記射出成形機のシリンダーの少なくとも1部分の設定温度が200℃以上であり、前記金型の表面温度が85℃以上であり、金型の表面粗さが1.0μm以下であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の射出成形体の製造方法。
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる成形体。
工程1では、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物を調製する。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂に加えて、ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤、及び融点が20〜75℃の離型剤を含有する。前記骨格を有する可塑剤はポリ乳酸樹脂との親和性が高いため、これらの成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物を200℃以上の高温に設定した射出成形機に充填した場合、ポリ乳酸樹脂が軟化するに伴い該離型剤が溶融物の表面に移行しやすくなる。その結果、シリンダーからの離型性が高まり、ひいては金型からの離型性も向上し、成形体の表面外観が優れるものになると推察される。なお、本明細書において、ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤とは、オキシアルキレン基を1個又は2個以上有する化合物を意味し、以降、これらをまとめて、単に、「ポリオキシアルキレン基を有する可塑剤」と記載する。従って、「ポリオキシアルキレン基を有する可塑剤」とは、特記しない限り、ポリオキシアルキレン基を有する可塑剤とオキシアルキレン基を有する可塑剤の両方を指すものとする。
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、三井化学社製、商品名:レイシアH−100、H−280、H−400、H−440等や、Nature Works社製、商品名:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D等)の他、乳酸やラクチドから公知の方法に従って合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。光学純度とは、ポリ乳酸樹脂中、L体又はD体の占めるモル%の割合のことである。なお、L−乳酸の重合体であるポリL−乳酸とD−乳酸の重合体であるポリD−乳酸を混合すると、ステレオコンプレックス結晶を形成し、ポリL−乳酸あるいはポリD−乳酸単独の結晶より高い融点となるため、本発明では成形体の表面外観を向上させる観点から、前記光学純度が好ましい。ポリ乳酸の光学純度は、WO2011/096299パンフレットの段落0143に記載の方法で求めることができる。
本発明では、ポリオキシアルキレン基を有する可塑剤を用いる。かかる構造を有する可塑剤を配合することにより、ポリ乳酸樹脂の可塑性を高めて結晶化を促進することで金型での冷却保持時間を短くすることが可能となり、かつ、離型剤の表面移行性を高めることにより、シリンダー及び金型からの離型性が向上して得られる成形体の表面外観が光沢性に優れるものとなる。
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜8のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2〜6のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
(1)炭素数が1〜8、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2〜6、好ましくは2〜3のアルキレン基を有する二価アルコール
(1)メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、
(2)コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体(酸無水物、メチルエステル体、エチルエステル体、以下同じ)からなる群より選ばれる1種又は2種以上、
(3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、
であることが好ましく、
(1)メタノール、
(2)コハク酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上、
(3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、
であることがより好ましい。
態様1:(2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程(工程1)と、得られたジカルボン酸エステルと(3)二価アルコールをエステル化反応させる工程(工程2)を含む方法
態様2:(1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを一括反応させる工程を含む方法
Fedorsの式: δ(SP値) =(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
〔単位:(cal/cm3)1/2〕
〔ここで、Δei:原子及び原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)、Δvi:モル体積(cm3/mol)である〕
本発明において、式(I)で表される化合物のSP値は、R1、R2、R3の炭素数、m、nの数によって、調整することができる。
本発明で用いられる離型剤は、成形体からのブリード抑制の観点から、融点が20℃以上、好ましくは25℃以上、より好ましくは28℃以上であり、効果的に成形体表面に離型剤を移行させ、離型後の金型汚れを抑制し、表面外観に優れる成形体を得る観点から、75℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは48℃以下である。よって、離型剤の融点としては、上記観点から、20〜75℃であり、25〜65℃が好ましく、28〜48℃がより好ましい。なお、本明細書において、離型剤の融点は、後述の実施例に記載の方法で測定することができ、前記した融点のことを好適な融点とも言う。
(1)脂肪族炭化水素
(2)脂肪酸
(3)多価アルコールの脂肪酸エステル
(4)パーフルオロアルキル基を有するエステル又はポリエステル
本発明において用いられる有機結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させ、変形なく成形体を取出すための金型内での冷却保持時間を短くする観点から、以下の(a)〜(d)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
(a)イソインドリノン骨格を有する化合物、ジケトピロロピロール骨格を有する化合物、ベンズイミダゾロン骨格を有する化合物、インジゴ骨格を有する化合物、フタロシアニン骨格を有する化合物、及びポルフィリン骨格を有する化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物〔有機結晶核剤(a)という〕
(b)カルボヒドラジド類、メラミン化合物、ウラシル類、及びN−置換尿素類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物〔有機結晶核剤(b)という〕
(c)芳香族スルホン酸ジアルキルの金属塩、リン酸エステルの金属塩、フェニルホスホン酸の金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、及びロジン酸アミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物〔有機結晶核剤(c)という〕
(d)分子中に水酸基とアミド基を有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物〔有機結晶核剤(d)という〕
有機結晶核剤(a)としては、イソインドリノン骨格を有する化合物、ジケトピロロピロール骨格を有する化合物、ベンズイミダゾロン骨格を有する化合物、インジゴ骨格を有する化合物、フタロシアニン骨格を有する化合物、及びポルフィリン骨格を有する化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物が挙げられる。
有機結晶核剤(b)としては、カルボヒドラジド類、メラミン化合物、ウラシル類、及びN−置換尿素類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物が挙げられる。
有機結晶核剤(c)としては、芳香族スルホン酸ジアルキルの金属塩、リン酸エステルの金属塩、フェニルホスホン酸の金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、及びロジン酸アミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物が挙げられる。
有機結晶核剤(d)としては、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機化合物が挙げられる。
工程2では、工程1で得られた溶融混練物を射出成形機に充填して、金型内に注入して成型する。
射出成形としては、公知の射出成形機を用いることができる。例えば、シリンダーとその内部に挿通されたスクリューを主な構成要素として有するもの〔J110AD−180H(日本製鋼所社製)等〕が挙げられる。本発明では、離型剤の均一性を高める観点から、予め溶融混練したものを射出成形機に充填する。
本発明で用いられる金型は、成形体の表面外観を向上させる観点から、金型内部の表面粗さが1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。本発明では、特定の離型剤と可塑剤を用いているため、上記のような鏡面の金型からも取り出しが容易である。また、下限は特にないが、好ましくは0.1μm以上であればよく、より好ましくは0.3μm以上である。なお、本明細書において、金型の表面粗さとは該金型を用いて部品を加工したときの加工面の表面の状態を示す指標であり、後述の実施例に記載のようにJIS B0601に記載の方法に従って測定することができる。また、金型の加工面の全ての領域において、上記の表面粗さを満たす必要は無く、加工面中、少なくとも、鏡面が求められる意匠面が上記表面粗さを満たせばよい。このような鏡面が求められる意匠面の面積は、成形体により異なるが、好ましくは1cm2以上、より好ましくは10cm2以上であり、好ましくは1×105cm2以下、より好ましくは1×104cm2以下である。
[1] ポリ乳酸樹脂、ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤、及び融点が20℃以上、好ましくは25℃以上、より好ましくは28℃以上であり、75℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは48℃以下であり、また、20〜75℃であり、好ましくは25〜65℃、より好ましくは28〜48℃の離型剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物を射出成形機に充填して金型内にて成形する射出成形体の製造方法であって、前記射出成形機のシリンダーの少なくとも1部分の設定温度が200℃以上であり、前記金型の表面温度が85℃以上であり、金型の表面粗さが1.0μm以下であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の射出成形体の製造方法。
[3] 多価アルコールが、水酸基を3個以上有する多価アルコールが好ましく、グリセリン、ソルビトール、及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、ペンタエリスリトールがさらに好ましい、前記[2]記載の製造方法。
[4] パーフルオロアルキル基を有するエステル又はポリエステルは、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロアルキル基含有マレイン酸又はフマル酸エステル、あるいはパーフルオロアルキル基含有アクリル酸、マレイン酸又はフマル酸を含有する酸成分とアルコール成分とを縮合して得られるポリエステルである、前記[2]記載の製造方法。
[5] 前記離型剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.03重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が更に好ましく、2重量部以下が好ましく、0.9重量部以下がより好ましく、0.4重量部以下がより好ましく、また0.01〜2重量部が好ましく、0.03〜0.9重量部がより好ましく、0.05〜0.4重量部がさらに好ましい、前記[1]〜[4]いずれか記載の製造方法。
[6] ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤の含有量(合計含有量)と前記離型剤の含有量との比(可塑剤/離型剤)が、好ましくは100/15以上、より好ましくは100/9以上、更に好ましくは100/4以上であり、好ましくは100/0.1以下、より好ましくは100/0.3以下、更に好ましくは100/0.5以下であり、また、100/0.1〜100/15が好ましく、100/0.3〜100/9がより好ましく、100/0.5〜100/4が更に好ましい、前記[1]〜[5]いずれか記載の製造方法。
[7] ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤が、分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物である、前記[1]〜[6]いずれか記載の製造方法。
[8] ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤が、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物とモノカルボン酸とのエステル、及び脂肪族ジ又はトリカルボン酸とポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルとのエステルからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、前記[1]〜[7]いずれか記載の製造方法。
[9] ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤が、下記式(I)で表されるエステルである、前記[1]〜[6]いずれか記載の製造方法。
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜8、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、R2は炭素数が2〜4、好ましくは炭素数2のアルキレン基、R3は炭素数が2〜6、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基であり、mは1〜6の数であり、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい、nは1〜12の数を示し、1〜6の数が好ましく、1〜4の数がより好ましい。但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
[10] 式(I)で表されるエステルが、Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が10.0〜12.0である、前記[9]記載の製造方法。
[11] 式(I)で表されるエステルが、下記(1)〜(3)を原料として用いて得られる、前記[9]又は[10]記載の製造方法。
(1)炭素数が1〜8、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2〜4、好ましくは炭素数2のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2〜6、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基を有する二価アルコール
[12] (1)炭素数が1〜8の一価アルコールがメタノール、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(2)炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸が、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体(酸無水物、メチルエステル体又はエチルエステル体)なる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(3)炭素数が2〜6のアルキレン基を有する二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、
(1)炭素数が1〜8の一価アルコールがメタノールであり、(2)炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸が、コハク酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、(3)炭素数が2〜6のアルキレン基を有する二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましい、前記[11]記載の製造方法。
[13] ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤の含有量(合計含有量)は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは5重量部、よりさらに好ましく6重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは25重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下、より更に好ましくは18重量部以下であり、0.1〜30重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、3〜25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部がさらに好ましく、6〜18重量部がよりさらに好ましい、前記[1]〜[12]いずれか記載の製造方法。
[14] ポリ乳酸樹脂組成物が更に有機結晶核剤を含有してなる、前記[1]〜[13]いずれか記載の製造方法。
[15] 有機結晶核剤が、ヒドロキシ脂肪酸ビスアミド、フェニルホスホン酸の金属塩、フタロシアニン骨格を有する化合物、及び芳香族スルホン酸ジアルキルの金属塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、及び/又はフェニルホスホン酸の金属塩がさらに好ましい、前記[14]記載の製造方法。
[16] 有機結晶核剤の含有量が、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましく、0.7〜3重量部がさらに好ましく、0.7〜2重量部がより更に好ましい、前記[14]又は[15]記載の製造方法。
[17] シリンダーの設定温度が、200℃以上であり、好ましくは200℃を超えて、より好ましくは205℃以上であり、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは214℃以下、より更に好ましくは209℃以下であり、また200〜230℃が好ましく、200℃を超えて230℃以下がより好ましく、200℃を超えて214℃以下がさらに好ましく、200℃を超えて209℃以下がさらに好ましく、205〜209℃がより更に好ましい、前記[1]〜[16]いずれか記載の製造方法。
[18] シリンダーのヒーターの個数は、好ましくは3〜10個であり、ヒーターが2個以上ある場合は、好ましくは少なくとも1個が、より好ましくは1〜(全ヒーター数−1)個が、更に好ましくは(全ヒーター数の半数)個(但し、ヒーターの数が奇数の場合は全ヒーターの数+1の半数個)〜(全ヒーター数−1)個が、シリンダーの設定温度に調整されている、前記[1]〜[17]いずれか記載の製造方法。
[19] 金型の表面粗さが、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、また好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.3〜0.9μmである、前記[1]〜[18]いずれか記載の製造方法。
[20] 金型の表面温度が、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下、また、85〜120℃が好ましく、90〜110℃がより好ましく、90〜100℃である、85〜120℃である、前記[1]〜[19]いずれか記載の製造方法。
[21] 金型の表面温度が、離型剤の融点より、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下高いことが好ましく、離型剤の融点より10〜65℃高いことが好ましく、20〜60℃高いことがより好ましい、前記[1]〜[19]いずれか記載の製造方法。
[22] ポリ乳酸樹脂の光学純度(L体又はD体の純度)が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である、前記[1]〜[21]いずれか記載の製造方法。
[23] 前記[1]〜[22]いずれか記載の製造方法により得られる、成形体。
酸価:滴定溶媒としてトルエン/エタノール=2/1(体積比)を用いる他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
水酸基価:アセチル化試薬として無水酢酸/ピリジン=1/4(体積比)を用い、添加量を3mLとする他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
ケン化価:水浴の温度を95℃に、加熱温度を1時間にする他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
分子量:本明細書において式(I)で表される化合物の分子量とは数平均分子量を意味し、酸価、水酸基価、及びケン化価から次式により算出する。
平均分子量 M=(M1+M2−M3×2)×n+M1−(M3−17.01)×2+(M3−17.01)×p+(M2−17.01)×q+1.01×(2−p−q)
q=水酸基価×M÷56110
2−p−q=酸価×M÷56110
平均重合度 n=ケン化価×M÷(2×56110)−1
末端アルキルエステル化率:分子末端のアルキルエステル化率(末端アルキルエステル化率)は以下の式より算出することができ、分子末端のアルキルエステル化率は数値が大きいほうが、遊離のカルボキシル基や水酸基が少なく、分子末端が十分にアルキルエステル化されていることを示す。
末端アルキルエステル化率(%)=(p÷2)×100
ただし、M1:原料として用いるジカルボン酸と原料として用いる一価アルコールとの
ジエステルの分子量
M2:原料として用いる二価アルコールの分子量
M3:原料として用いる一価アルコールの分子量
p:一分子中の末端アルキルエステル基の数
q:一分子中の末端水酸基の数
エーテル基価:以下の式より、式(I)で表される化合物1g中のエーテル基のミリモル(mmol)数であるエーテル基価を算出する。
エーテル基価(mmol/g)=(m−1)×n×1000÷M
ただし、m:オキシアルキレン基の平均の繰り返し数(m−1は二価アルコール一分子中のエーテル基の数を表す)
尚、ジカルボン酸、一価アルコール、ニ価アルコールを複数種用いる場合、分子量は、数平均値の分子量を用いる。
式(I)で表される化合物以外の分子量とは、重量平均分子量を意味し、ケン化価から次式より計算で求める。
平均分子量=56108×(1分子中のエステル基の数)/ケン化価
離型剤の融点は、JIS−K0064(1992)(2)光透過量測定方法による方法に基づき、融点測定装置(B−545型、柴田科学社製)を用いて求める。
金型の表面温度は、金型の製品部分の上端、中心、下端の3点の表面温度を接触式温度形で測定し、その平均値を金型の表面温度とする。
金型の表面粗さは、JIS B0601(2001)に基づき、触針式表面粗さ測定機(SV−C4000CNC、三豊社製)を用いて、測定速度0.05mm/sで測定する。
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(mgKOH/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは、酸価0.2(mgKOH/g)、鹸化価276(mgKOH/g)、水酸基価1以下(mgKOH/g)、色相APHA200であった。
ノメチルエーテルとのトリエステル)>
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、及び触媒としてパラトルエンスルホン酸一水和物を、トリエチレングリコールモノメチルエーテル/1,3,6−ヘキサントリカルボン酸/パラトルエンスルホン酸一水和物(モル比)=4/1/0.02になるように反応容器に仕込み、減圧下で、温度120℃で脱水を行うことにより、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのトリエステルを得た。
ンオキサイド付加物とのトリエステル)>
オートクレーブに花王社製化粧品用濃グリセリン1モルに対しエチレンオキサイド3モルのモル比で規定量仕込み、1モル%のKOHを触媒として反応圧力0.3MPaの定圧付加し、圧力が一定になるまで150℃で反応した後、80℃まで冷却し、触媒未中和の生成物を得た。この生成物に触媒の吸着剤としてキョーワード600S(協和化学工業社製)を触媒重量の8倍添加し、窒素微加圧下で80℃、1時間吸着処理をおこなった。さらに処理後の液をNo.2のろ紙にラジオライト#900をプレコートしたヌッツェで吸着剤を濾過し、グリセリンエチレンオキサイド3モル付加物(以下POE(3)グリセリンという)を得た。これを四つ口フラスコに仕込み、105℃に昇温して300r/minで攪拌し、無水酢酸をPOE(3)グリセリン1モルに対し3.6モルの比率で規定量を約1時間で滴下し反応させた。滴下後110℃で2時間熟成し、さらに120℃で1時間熟成した。熟成後、減圧下で未反応の無水酢酸及び副生の酢酸を留去し、さらにスチーミングして、POE(3)グリセリントリアセテートを得た。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール581g(5.47モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液9.1g(ナトリウムメトキシド0.047モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1200g(8.21モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液9.8g(ナトリウムメトキシド0.051モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)28gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を2.5時間かけて70℃から170℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して1.2モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3−プロパンジオール521g(6.84モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.9g(ナトリウムメトキシド0.031モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1500g(10.26モル)を1時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、60℃に冷却し、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、2時間かけて120℃に昇温した後、圧力を1時間かけて常圧から3.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.1kPaで、温度を2.5時間かけて85℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.58モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,2−プロパンジオール764g(10.0モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液14.0g(ナトリウムメトキシド0.073モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)2200g(15.05モル)を2.5時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を0.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.4g(ナトリウムメトキシド0.033モル)を添加して、110℃で、圧力を1時間かけて常圧から5.3kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。75℃に冷却して常圧にもどした後、再び、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液8.4g(ナトリウムメトキシド0.044モル)を添加して、110℃で、圧力を2時間かけて常圧から1.6kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)47gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.4kPaで、温度を1時間かけて115℃から200℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して1.82モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,2−プロパンジオール955g(12.6モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液15.4g(ナトリウムメトキシド0.080モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)2567g(17.56モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を0.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液8.1g(ナトリウムメトキシド0.042モル)を添加して、110℃で、圧力を1時間かけて常圧から5.3kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。75℃に冷却して常圧にもどした後、再び、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液10.8g(ナトリウムメトキシド0.056モル)を添加して、110℃で、圧力を4時間かけて常圧から1.6kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)47gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.8kPaで、温度を3時間かけて102℃から200℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して1.71モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール369g(3.47モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、圧力3.6kPa、84℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、圧力2.7kPa、79℃で製造例10と同様にして得られたコハク酸ジブチル1600g(6.95モル)を2.5時間かけて滴下し、反応により生じる1−ブタノールを留去した。次に、常圧にもどした後、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.1g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を添加し、1.5時間かけて85℃、2.1kPaの状態から146℃、1.1kPaの状態まで、徐々に昇温、減圧して、反応により生じる1−ブタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)11gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行い、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.58モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール999g(9.41モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液23.6g(ナトリウムメトキシド0.122モル)を入れ、常圧(101.3kPa)、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)4125g(28.2モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.4g(ナトリウムメトキシド0.023モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)41gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を4時間かけて70℃から190℃に上げ、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.51モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にネオペンチルグリコール263.5g(2.53モル)、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)1500g(4.05モル)、及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、圧力3.7kPa、120℃で1.5時間反応させながら、反応により生じる2−エチルヘキサノールを留去させた。次に、75℃に冷却後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液3.0g(ナトリウムメトキシド0.016モル)を添加し、圧力0.4kPaで、温度を1時間かけて92℃から160℃に上げて、2−エチルヘキサノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)19gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を2時間かけて166℃から214℃に上げて残存アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)504gを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して1.11モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、ディーンスタルク装置、窒素吹き込み管付き)に2−エチルヘキサノール(関東化学社製)2515g(19.3モル)、コハク酸(和光純薬工業社製)877g(7.43モル)、及びパラトルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業社製)14.1g(0.0742モル)を入れ、圧力16kPa、80℃の状態から圧力12kPa、90℃の状態まで、7時間かけて反応を行い、水を留出させた。その後、キョーワード500SH(協和化学工業社製)32gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に仕込み、圧力0.7kPa、95℃の状態から圧力0.5kPa、185℃の状態にして残存2−エチルヘキサノールを留去した後、再び、キョーワード500SHを16g添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行って、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)を得た。次に、4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に、このコハク酸ビス(2−エチルヘキシル)467g(1.36モル)、ジエチレングリコール250g(2.36モル)、及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.2g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を入れ、110℃で、圧力を45分間かけて2.7kPaから0.9kPaに徐々に下げて、反応により生じる2−エチルヘキサノールを留去した。80℃まで冷却した後、再び、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)1953g(5.70モル)、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.0g(ナトリウムメトキシド0.026モル)を添加し、5.5時間かけて110℃、0.8kPaの状態から158℃、0.4kPaの状態まで、昇温しながら圧力を徐々に下げて、反応により生じる2−エチルヘキサノールを留去した。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)10.5gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を4.5時間かけて178℃、0.3kPaの状態から220℃、0.1kPaの状態まで、昇温しながら圧力を徐々に下げて、残存コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)を留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.53モルであった。
式(I)で表される化合物のSP値は以下のようにして算出する。具体例として、例えば、製造例7で得られた式(I)で表される化合物の計算例を示す。
製造例7の化合物は、
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1
(R1:メチル基、R2:エチレン基、R3:エチレン基、m:2、n:1.6)
の化合物である。即ち、メチル基2個、メチレン基11.6個、エステル基5.2個、エーテル基1.6個有する。
よって、Fedorsの式: δ =(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
〔単位:(cal/cm3)1/2〕
〔ここで、Δei:原子及び原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)、Δvi:モル体積(cm3/mol)である〕
に基づいて計算すると、メチル基のΔeiは1125(cal/mol)であり、Δviは33.5(cal/mol)であり、メチレン基のΔeiは1180(cal/mol)であり、Δviは16.1(cal/mol)であり、エステル基のΔeiは4300(cal/mol)であり、Δviは18.0(cal/mol)であり、エーテル基のΔeiは800(cal/mol)であり、Δviは3.8(cal/mol)である。これらから、計算したSP値は、10.6である。
表3〜6に示すポリ乳酸樹脂組成物の原料を、同方向噛み合型二軸押出機(東芝機械社製 TEM−41SS)を用いて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットは、110℃で2時間除湿乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
〔ポリ乳酸樹脂〕
NW4032D:Nature Works 4032D、ネイチャーワークス社製、L体純度98.6%
〔可塑剤〕
(MeEO3)2SA:前記可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、平均分子量410
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合ジエステル(大八化学工業社製)、平均分子量338
(MeEO3)3TA:前記可塑剤の製造例2で製造した1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのトリエステル化合物、平均分子量656
(AcEO)3Gly:前記可塑剤の製造例3で製造した酢酸とグリセリンにエチレンオキサイドを3モル付加させたエチレンオキサイド付加物とのトリエステル化合物、平均分子量350
ATBC:アセチルトリブチルクエン酸(田岡化学社製)、平均分子量402
式(I)で表される化合物:式(I)で表される化合物の製造例1〜9
〔離型剤〕
ダイフリーFB−961:パーフルオロアルキルポリエステル(ダイキン社製、融点30℃)
LOXIOL P728:ペンタエリスリトールジステアレート(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、融点50℃)
LOXIOL VGP861:ペンタエリスリトールテトラステアレート(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、融点64℃)
スリパックスE:エチレンビスステアリン酸アミド(日本化成社製、融点144℃)
LICOWAX E:モンタン酸エステル(オクタコサン酸エチレングリコールエステル)(クラリアントジャパン社製、融点82℃)
〔結晶核剤〕
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製)
エコプロモート:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製)
MICRO ACE P6:タルク(日本タルク社製)
所定のシリンダー温度と金型温度で、鏡面金型で平板(100mm×100mm×2mm)を成形した際に、エジェクトピンで突き出した跡や撓みが無く成形するために必要な冷却時間を測定した。冷却時間が、短いほど成形性に優れていることを示し、120秒を上限とした。
試験例1で作成した平板の表面外観を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。光沢が多いほど、金型の転写性が良好で、意匠性に優れることを示す。
A:鏡面を転写し、全体的に光沢がある。
B:鏡面を転写し、全体の90%程度に光沢がある。
C:鏡面を転写し、全体の80%程度に光沢がある。
D:鏡面を転写できず、光沢が少ない。
試験例1の平板を各条件で10ショット作成した後の、金型表面外観を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。金型汚れが少ないほど、成形性に優れることを示す。
A:金型汚れが無い。
B:金型汚れがほとんど目立たない。
C:金型汚れがやや目立つ。
D:金型が全体的に汚れている。
Claims (8)
- ポリ乳酸樹脂、ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤、及び融点が20〜75℃の離型剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物を射出成形機に充填して金型内にて成形する射出成形体の製造方法であって、前記射出成形機のシリンダーの少なくとも1部分の設定温度が200℃以上であり、前記金型の表面温度が85℃以上であり、金型の表面粗さが1.0μm以下であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の射出成形体の製造方法。
- 前記離型剤が、多価アルコールと炭素数12〜30の脂肪酸とのエステル、パーフルオロアルキル基を有するエステル、及びパーフルオロアルキル基を有するポリエステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1記載の製造方法。
- ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、前記離型剤を0.01〜2重量部含有してなる、請求項1又は2記載の製造方法。
- ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤が、分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物を含む、請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
- ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤が、下記式(I)で表されるエステルを含む、請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜8のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2〜6のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい) - 式(I)で表されるエステルが、Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が10.0〜12.0である、請求項5記載の製造方法。
- ポリオキシアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する可塑剤の含有量と前記離型剤の含有量との比(可塑剤/離型剤)が100/0.1〜100/15である、請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
- ポリ乳酸樹脂組成物が更に有機結晶核剤を含有してなる、請求項1〜7いずれか記載の製造方法。
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