JP5542371B2 - 含フッ素高分岐ポリマーを用いた界面接着性制御 - Google Patents
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Description
また本発明は、上記内部剥離剤を用いた界面接着性制御にも関する。
例えば、接着分野においては、剥離紙やプラスチックフィルムなどからなる剥離フィルムと、粘着性物質との間の接着又は固着を防止することを目的として、基材(フィルム等)表面をコーティング加工することによって剥離性を付与することが行われている。
樹脂等に剥離性を付与するために、成形品の原料となる樹脂に剥離性を付与する添加剤(剥離剤或いは離型剤)を配合する技術が提案されており、例えば、線状高分子化合物を離型剤として用いた方法が提案されている(特許文献1乃至3参照)。
また、フィルム等の剥離性に関しても、基材に対する剥離性を付与するために、樹脂と基材との界面に活性を持たせる技術が求められていた。
出し、本発明を完成させた。
第2観点として、前記モノマーA 1モルに対して前記モノマーBが0.05モル乃至3モルの割合で用いて得られる、第1観点に記載の内部剥離剤に関する。
第3観点として、前記モノマーAが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点又は第2観点に記載の内部剥離剤に関する。
第4観点として、前記モノマーAが、ジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、第3観点に記載の内部剥離剤に関する。
第5観点として、前記モノマーAが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、第4観点に記載の内部剥離剤に関する。
第6観点として、前記モノマーBが、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有する化合物である、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の内部剥離剤に関する。
第7観点として、前記モノマーBが、下記式[1]で表される化合物である、第6観点に記載の内部剥離剤に関する。
R1は水素原子又はメチル基を表し、そして
R2は炭素原子数2乃至12の水酸基で置換されていても良いフルオロアルキル基を表す
。)
第8観点として、前記モノマーBが、下記式[2]で表される化合物である、第7観点に記載の内部剥離剤に関する。
R1は前記式[1]における定義と同じ意味を表し、
Xは水素原子又はフッ素原子を表し、
mは1又は2を表し、そして
nは0乃至5の整数を表す。)
第9観点として、前記重合開始剤Cが、アゾ系重合開始剤である、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の内部剥離剤に関する。
第10観点として、前記重合開始剤Cが、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルである、第9観点に記載の内部剥離剤に関する。
第11観点として、前記重合開始剤Cが、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)である、第9観点に記載の内部剥離剤に関する。
第12観点として、熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物より作製される樹脂成形品における界面接着性の制御方法において、該熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物に第1観点乃至第11観点のうち何れか一項に記載の内部剥離剤を添加することを特徴とする方法に関する。
第13観点として、第1観点乃至第11観点のうち何れか一項に記載の内部剥離剤を含有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物より作製される樹脂成形品に熱処理を施すことを特徴とする、樹脂成形品における界面接着性の制御方法に関する。
第14観点として、第12観点は第13観点に記載の方法に従う樹脂成形品であって、その表面部における内部剥離剤の含有割合が内部におけるそれと比較してより高いことを特徴とする樹脂成形品に関する。
第15観点として、第1観点乃至第11観点のうち何れか一項に記載の内部剥離剤の共存下、熱又は光重合性化合物を熱又は光重合して硬化物とすることを特徴とする、重合硬化物の表面改質方法に関する。
就中、本発明の最も好適な態様は、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5モル%以上200モル%以下の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる、含フッ素高分岐ポリマーからなる内部剥離剤であって、前記モノマーAが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートであり、前記モノマーBが、下記式[1]で表される化合物であり、
そのため、本発明の内部剥離剤は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物に配合し樹脂成形品を為した場合、界面(成形品表面)に容易に移動して界面接着性の制御に寄与することができ、樹脂成形品の離型性や剥離性の向上につながる。
また本発明の内部剥離剤は、マトリクスである樹脂との混合・分散性が高く、樹脂中で凝集等を起こさずに混合・分散が可能であり、透明性に優れた樹脂成形品を製造できる。
また本発明の樹脂成形品は、成形品内部(深部)と比べて、成形品表面(界面)に前記内部剥離剤が多く存在した状態にあることから、混合・成形機械等の各種機械や金型への離型性、或いはフィルム等の他の樹脂成形品に対する剥離性等に優れたものとすることができる。
さらに、本発明の表面改質方法によれば、熱又は光重合性化合物に前記内部剥離剤を共存下で熱又は光重合して硬化物とすることにより、重合硬化物の表面を改質することができ、例えば前述したような離型性又は剥離性、さらには撥水撥油性、防汚性などの表面の性状に関する特性を改良することができる。
本発明の内部剥離剤は、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5モル%以上2
00モル%以下の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーからなる。
(A1)ビニル系炭化水素:
(A1−1)脂肪族ビニル系炭化水素類;イソプレン、ブタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等
(A1−2)脂環式ビニル系炭化水素;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等
(A1−3)芳香族ビニル系炭化水素;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等
(A2)ビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルケトン:
(A2−1)ビニルエステル;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、ビニル(メタ)アクリレート等
(A2−2)アリルエステル;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート等
(A2−3)ビニルエーテル;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等
(A2−4)アリルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等
(A2−5)ビニルケトン;ジビニルケトン、ジアリルケトン等
(A3)(メタ)アクリル酸エステル:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等
(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物:
ポリエチレングリコール(分子量300)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コール(分子量500)ジ(メタ)アクリレート等
(A5)含窒素ビニル系化合物:
ジアリルアミン、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスマレイミド等
(A6)含ケイ素ビニル系化合物:
ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、ジエトキジビニルシラン等
(A7)含フッ素ビニル系化合物:
1,4−ジビニルパーフルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン等
05モル乃至3.0モル、特に好ましくは0.1モル乃至1.5モルである。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等;
(2)アゾアミド化合物:
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等;
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダ
ゾリン−2−イル]−プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド等;
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等;
(5)その他:
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等。
本発明の内部剥離剤は、前述のモノマーA及びモノマーBに対して所定量の重合開始剤Cの存在下で重合させて得られ、該重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合又は沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。
このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物系溶媒、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等であり、特に好ましいものはトルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N2等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
重合反応の温度は好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは70〜150℃である。
より好ましくは、重合反応の温度は前述の重合開始剤Cの10時間半減期温度より20℃以上高い温度で実施され、より具体的には、前記モノマーA、前記モノマーB、前記重合開始剤C及び有機溶媒を含む溶液を、該重合開始剤Cの10時間半減期温度より20℃以上高い温度に保たれた該有機溶媒中へ滴下することにより、重合反応を行うことが好ましい。
また、さらにより好ましくは反応圧力下での前記有機溶媒の還流温度で重合反応を実施することが好ましい。
本発明はまた、前記内部剥離剤を用いた樹脂成形品における界面接着性の制御方法に関する。
詳細には、熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物から樹脂成形品を作製する際に前記内部剥
離剤を含有させることにより、より好ましくは該内部剥離剤を含有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物より樹脂成形品を作製する工程において、熱処理を施すことにより、樹脂成形品における界面接着性を制御する。
中でもポリメチルメタクリレート樹脂又はポリ乳酸樹脂であることが好ましい。
また前記熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としても特に限定されないが、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記熱又は光重合性化合物としては、熱又は光重合開始剤の作用によって重合する重合性の部位を分子内に一個以上、好ましくは一個乃至六個有する化合物であれば特に制限は
ない。なお、本発明における重合性化合物の意味するところは、所謂高分子物質でない化合物であり、狭義の単量体化合物(モノマー)だけでなく、二量体、三量体、オリゴマーや反応性高分子をも包含するものである。
このような重合性化合物としては、例えば、前述のモノマーAで例示した(A3)(メタ)アクリル酸エステル、並びに(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物を挙げることができる。
これらの中でも、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールA(メタ)アクリレート等が好ましく、特にトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが望ましい。
具体的には、例えばチバ・ジャパン(株)製(以下商品名)のイルガキュア(登録商標)184、同369、同500、同651、同784、同907、同819、同1000、同1300、同1700、同1800、同1850、同2959等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような光重合開始剤は複数種を組み合わせて用いることもできる。
なお、光重合開始剤は、前記光重合性化合物に対して好ましくは0.1質量%乃至20質量%であり、好ましくは0.5質量%乃至10質量%である。上記範囲内であれば、透過率を低下することなく硬化物を作製できる。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−804L、KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(2)1H NMRスペクトル及び13C NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン
(3)イオンクロマトグラフィー(F定量分析)
装置:日本ダイオネクス(株)製 ICS−1500
溶媒:2.7mmol/L Na2CO3 + 0.3mmol/L NaHCO3
検出器:電気伝導度
(4)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:Perkin elmer社製 Diamond DSC
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:5℃/分(25−160℃)
(5)5%重量減少時温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(25−500℃)
(6)エリプソメトリー(屈折率及び膜厚測定)
装置:J.A.Woollam社製 ESM−300
(7)接触角測定
装置:AST Products社製 VCA Optima
測定溶媒:水及びジヨードメタン
測定温度:20℃
(8)スピンコーター
装置1:ミカサ(株)製 MS−A100
装置2(実施例16):(株)共和理研製、スピンコーター K−359SD2
(9)ホットプレート
装置:アズワン(株)製 MH−180CS、MH−3CS
(10)UV照射装置
装置:アイグラフィックス(株)製 H02−L41
(11)高精度微細形状測定機(膜厚測定)
装置:(株)小坂研究所製 ET−4000A
(12)ヘーズメーター(全光透過率及び濁度測定)
装置:日本電色工業(株)製、NDH5000
(13)真空加熱
装置:東京理化器械(株)製 真空定温乾燥器 VOS−201SD
(14)プレス成型
装置:テスター産業(株)製 卓上型テストプレスS型 SA−303−II−S
(15)X線光電子分光(XPS)測定
装置:Physical Electronics社製 PHI ESCA 5800
X線源:単色化AI Kα線(2mmΦ)
X線出力:200W,14mA
光電子放出角度:45度
(16)引っ張り試験機
装置:(株)エー・アンド・デイ製 テンシロン万能試験機
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名:1G)
C4FHM:1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製、製品名:V−8FM)
C4FHA:1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、製品名:V−8F)
C6FHA:1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(ダイキン化成品販売(株)製、製品名:R−5610)
C4FA:2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(ダイキン化成品販売(株)製、製品名:R−1420)
C6FM:2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(ダイキン化成品販売(株)製、製品名:M−1620)
C6FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン化成品販売(株)製、製品名:R−1620)
MAIB:2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(大塚化学(株)製、製品名:MAIB)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名:A−DCP)
Irg.907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製、製品名:Ciba IRGACURE 907)
PLA:ポリ乳酸(三井化学(株)製、製品名:LACEA、Mw(GPC):160,000)
トルエン:関東化学(株)製、一級
ヘキサン:関東化学(株)製、一級
THF(テトラヒドロフラン):関東化学(株)製、一級
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):東京化成工業(株)製
アセトン:関東化学(株)製
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド):関東化学(株)製、一級
メタノール:関東化学(株)製、特級
クロロホルム:関東化学(株)製、一級
<EGDMA、C4FHM及びMAIBを用いた高分岐ポリマー1の合成>
300mLの反応フラスコに、トルエン 87gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が還流するまで(温度110℃以上)加熱した。
別の200mLの反応フラスコに、EGDMA 7.9g(40mmol)、フッ素モノマー C4FHM 6.0g(20mmol)、MAIB 4.6g(20mmol)及びトルエン 87gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の300mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA、C4FHM及びMAIBが仕込まれた前記200mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、この反応液をヘキサン/トルエン(質量比 4:1)555gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、THF 42gを用い再溶解し、このポリマーのTHF溶液をヘキサン 555gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー1)9.5gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図1及び図2
に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは21,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は3.5であった。
<EGDMA、C4FHM及びMAIBを用いた高分岐ポリマー2の合成>
製造例1において、C4FHMの仕込み量を12g(40mmol)とした以外は、製造例1と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー2)8.3gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図3及び図4
に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw/Mnは2.9であった。
<EGDMA、C4FHA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー3の合成>
200mLの反応フラスコに、トルエン 32gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が還流するまで(温度110℃以上)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、EGDMA 4.0g(20mmol)、フッ素モノマー C4FHA 5.7g(20mmol)、MAIB 2.3g(10mmol)及びトルエン 32gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA、C4FHA及びMAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、この反応液をヘキサン/トルエン(質量比 4:1)277gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、THF 36gを用い再溶解し、このポリマーのTHF溶液をヘキサン 277gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー3)8.0gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図5及び図6
に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは22,000、分散度:Mw/Mnは2.9であった。
<EGDMA、C6FHA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー4の合成>
製造例3において、フッ素モノマーとしてC6FHA 3.9g(10mmol)を使用した以外は、製造例3と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー4)4.6gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図7及び図8
に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは15,000、分散度:Mw/Mnは2.2であった。
<EGDMA、C4FA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー5の合成>
製造例3において、フッ素モノマーとしてC4FA 6.4g(20mmol)を使用した以外は、製造例3と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー5)7.4gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図9及び図1
0に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,000、分散度:Mw/Mnは2.2であった。
<EGDMA、C6FM及びMAIBを用いた高分岐ポリマー6の合成>
製造例3において、フッ素モノマーとしてC6FM 4.3g(10mmol)を使用した以外は、製造例3と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー6)5.6gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図11及び図
12に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw/Mnは2.1であった。
<EGDMA、C6FM及びMAIBを用いた高分岐ポリマー7の合成>
製造例6において、C6FMの仕込み量を8.6g(20mmol)とした以外は、製造例6と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー7)10.1gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図13及び図
14に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,000、分散度:Mw/Mnは1.8であった。
<EGDMA、C6FA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー8の合成>
製造例3において、フッ素モノマーとしてC6FA 4.2g(10mmol)を使用した以外は、製造例3と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー8)4.9gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図15及び図
16に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw/Mnは2.2であった。
<EGDMA、C6FA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー9の合成>
製造例8において、C6FAの仕込み量を8.4g(20mmol)とした以外は、製造例8と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー9)9.7gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図17及び図
18に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは20,000、分散度:Mw/Mnは2.0であった。
<EGDMA、C6FA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー10の合成>
製造例8において、C6FAの仕込み量を0.84g(2mmol)とした以外は、製造例8と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー10)4.8gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図19及び図
20に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,000、分散度:Mw/Mnは3.8であった。
<EGDMA、C6FA及びMAIBを用いた高分岐ポリマー11の合成>
製造例8において、C6FAの仕込み量を2.5g(6mmol)とした以外は、製造例8と同様にして重合、精製を行い、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー11)5.8gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図21及び図
22に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14,000、分散度:Mw/Mnは3.0であった。
<EGDMA及びMAIBを用いた高分岐ポリマーの合成>
300mLの反応フラスコに、トルエン 79gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が還流するまで(温度110℃以上)加熱した。
別の200mLの反応フラスコに、EGDMA 9.9g(50mmol)、MAIB
5.8g(84mmol)及びトルエン 79.2gを仕込み、攪拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却した。
前述の300mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA及びMAIBが仕込まれた前記200mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を90分かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、この反応液をヘキサン748gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー12)10.6gを得た。
得られた目的物の1H NMR及び13C NMRスペクトルの測定結果を図23及び図
24に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw/Mnは4.8であった。
<高分岐ポリマー1乃至12の有機溶剤への溶解性>
製造例1乃至11及び比較製造例1にて得られた高分岐ポリマー1乃至12の有機溶剤への溶解性を評価した。表2に示す各有機溶剤 90mgへ、高分岐ポリマー1乃至12を10mgずつ溶解させて評価した。得られた結果を表2に示す。
[評価基準]
○ ・・・ 完全に溶解する状態
× ・・・ 溶け残りのある状態
<高分岐ポリマー1乃至12の薄膜作製及び物性評価>
製造例1乃至11及び比較製造例1にて得られた各高分岐ポリマー1乃至12 0.25gをPGMEA 4.75gに溶解し、フィルタろ過を行い、各高分岐ポリマー溶液を調製した。この高分岐ポリマー溶液をシリコンウェハー上にスピンコーティング(slope 5秒間、1,500rpm 30秒間、slope 5秒間)し、100℃にて30分間の熱処理を行うことにより溶媒を蒸発させて、成膜した。
得られた薄膜の波長633nmにおける屈折率、並びに水及びジヨードメタンの接触角の評価を行った。また接触角の結果から表面エネルギーを算出した。さらに、各高分岐ポリマー粉末のガラス転移温度(Tg)及び5%重量減少温度(Td5%)を測定した。得られた結果を表3に示す。
<高分岐ポリマー2,4,8を用いた光硬化樹脂の表面改質>
光重合性化合物(モノマー)としてA−DCP、高分岐ポリマーとして上記高分岐ポリマー2、4又は8、光重合開始剤としてIrg.907及び有機溶剤としてPGMEAを表4に記載の配合量にて配合し、これをフィルタろ過して光重合性組成物を調製した。この組成物をシリコンウェハー上にスピンコーティング(slope 5秒間、1,500rpm 30秒間、slope 5秒間)し、60℃にて1分間の熱処理により予備乾燥を行い、例1乃至9の薄膜を作製した。比較例として、製造例1乃至11で調製した高分岐ポリマーを添加していない薄膜(例10)を作製した。
得られた各薄膜(例1乃至10)に対して、UV照射装置にて10分間、露光量16mW/cm2にて露光した。露光した各薄膜を、150℃にて20分間の熱処理を行い、光
硬化薄膜を作製した。
得られた各光硬化薄膜に対して、高精度微細形状測定機により測定した膜厚、エリプソメトリーにより測定した波長633nmにおける屈折率、ヘーズメーターにより測定した全光透過率及び濁度、並びに水及びジヨードメタンの接触角を測定した。得られた結果を表5に示す。
また、高分岐ポリマーを添加していないA−DCP単体の光硬化薄膜(例10)では、水の接触角が64.8度、ジヨードメタンの接触角が28.4度であったのに対して、高分岐ポリマーを添加した光硬化薄膜(例1乃至9)は水の接触角が76.7〜108.1度、ジヨードメタンの接触角が50.9〜78.8度と何れも高い接触角を示した。この結果から、高分岐ポリマーを添加することで撥水撥油性が付与されたことが明らかとなった。
<高分岐ポリマー2,4,8を用いた熱可塑性樹脂の表面改質>
熱可塑性樹脂としてPMMA又はPLA、上記高分岐ポリマー2、4又は8、及び有機溶剤としてTHF(PMMA樹脂使用時)又はクロロホルム(PLA樹脂使用時)を表6に記載の配合量にて配合し、これをフィルタろ過して熱可塑性樹脂組成物を調製した。この組成物をガラス基板上にキャストし、20℃にて16時間乾燥を行い、例11乃至22のキャスト膜を作製した。比較例として、製造例1乃至11で調製した高分岐ポリマーを添加していないキャスト膜(例23、24)を作製した。
得られた各キャスト膜に対して、真空下、50℃にて8時間の熱処理を行った。
熱処理を行った各膜に対して、高精度微細形状測定機により測定した膜厚、ヘーズメーターにより測定した全光透過率及び濁度、並びに水及びジヨードメタンの接触角を測定した。結果を表7に示す。
また、高分岐ポリマーを添加していないPMMA単体のキャスト膜(例23)では、水の接触角が75.5度、ジヨードメタンの接触角が39.6度であったのに対して、高分岐ポリマーを添加したPMMAキャスト膜(例11乃至16)は、水の接触角が84.8〜103.9度、ジヨードメタンの接触角が53.8〜79.2度と何れも高い接触角を示した。さらに、高分岐ポリマーを添加していないPLA単体のキャスト膜(例24)では、水の接触角が75.7度、ジヨードメタンの接触角が43.7度であったのに対して、高分岐ポリマーを添加したPLAキャスト膜(例17乃至22)は、水の接触角が83.7〜104.5度、ジヨードメタンの接触角が59.0〜81.5度と何れも高い接触角を示した。これらの結果から、PMMA、PLA何れの樹脂についても、高分岐ポリマーを添加することで撥水撥油性が付与されたことが明らかとなった。
<高分岐ポリマー3/PMMAブレンド薄膜表面の解析>
上記高分岐ポリマー3、及びPMMA(Polymer Source社製、製品番号P88−MMA、Mw:19,300、Mw/Mn:1.06)を、質量比で5/95となるように混合し、さらに当該混合物4.5質量部をトルエン95.5質量部に溶解した(基質濃度4.5質量%)。得られたトルエン溶液を、シリコンウェハー上にスピンコーティング(1,300rpm 60秒)した後、25℃で12時間乾燥し、膜厚約200
nmの高分岐ポリマー3/PMMAブレンド薄膜(実施例1)を作製した。また、比較例としてPMMAを添加していない高分岐ポリマー3単体の薄膜(比較例1)を作製した。
得られた各薄膜に対して、真空中150℃で24時間熱処理を行った。
熱処理前及び熱処理後の各薄膜に対して、薄膜の最表面(表面よりおよそ深度10nm程度の範囲)のC原子、O原子、F原子について、XPS測定した。得られた結果から各薄膜におけるF原子/C原子の強度比を算出し、実施例のブレンド薄膜最表面における高分岐ポリマー3の分率を求めた。結果を表8に示す。
<高分岐ポリマー3/PMMAバルクフィルムの剥離強度試験>
上記高分岐ポリマー3、及びポリメチルメタクリレート(Aldrich社製、Cas
No.9011−147、Mw:350,000)を、質量比で5/95となるように混合し、さらに当該混合物2質量部をトルエン98質量部に溶解した(基質濃度2質量%)。この溶液を体積で80倍量のヘキサンを用いて再沈殿させ、析出した固体をろ過、乾燥した。得られた固体を、40MPa、210℃で10分間プレス成型した後、さらに140℃で10分間保持し、厚さ100μmの高分岐ポリマー3/PMMAバルクフィルムを作製した(実施例2)。また、比較例として高分岐ポリマー3を添加していない厚さ100μmのPMMA単独フィルムを同様に作製した(比較例2)。
別に、市販のポリカーボネートを、40MPa、255℃で10分間プレス成型し、厚さ40μmのポリカーボネートフィルムを作製した。
作製した高分岐ポリマー3/PMMAバルクフィルムを、作製したポリカーボネートフィルムと貼り合わせ、プレス機を用い140℃、30MPaの圧力を印加させながら熱圧着した。同様にPMMA単独フィルムと前記ポリカーボネートフィルムを貼り合わせ、熱圧着した。
実施例2、比較例2の各フィルムをポリカーボネートフィルムと積層した積層膜それぞれについて、引っ張り試験機を用いた180度剥離試験(JIS K6854)に基づき、8mm幅に切り出した積層膜を300mm/分の速度で引き離し、剥離強度を評価した。結果を図25に示す。
Claims (7)
- 分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5モル%以上200モル%以下の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる、含フッ素高分岐ポリマーからなる内部剥離剤であって、
前記モノマーAが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートであり、
前記モノマーBが、下記式[1]で表される化合物であり、
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、そして
R 2 は炭素原子数2乃至12の水酸基で置換されていても良いフルオロアルキル基を表す。)
前記重合開始剤Cが、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル又は2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)である、
内部剥離剤。 - 前記モノマーA 1モルに対して前記モノマーBが0.05モル乃至3モルの割合で用いて得られる、請求項1に記載の内部剥離剤。
- 熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物より作製される樹脂成形品における界面接着性の制御方法において、該熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物に請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の内部剥離剤を添加することを特徴とする方法。
- 請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の内部剥離剤を含有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂組成物より作製される樹脂成形品に熱処理を施すことを特徴とする、樹脂成形品における界面接着性の制御方法。
- 請求項4又は請求項5に記載の方法に従う樹脂成形品であって、その表面部における内部剥離剤の含有割合が内部におけるそれと比較してより高いことを特徴とする樹脂成形品。
- 請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の内部剥離剤の共存下、熱又は光重合性化合物を熱又は光重合して硬化物とすることを特徴とする、重合硬化物の表面改質方法。
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