JPWO2011102383A6 - 表面改質された微細繊維 - Google Patents

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Abstract

(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い作ることにより、マトリクスポリマー本来の物性を維持しつつ表面改質効果が高く、しかも簡便に製造できる表面改質された微細繊維及び該繊維の製造方法、並びに微細繊維の表面改質方法を提供する。

Description

本発明は、フッ化アルキル基含有高分岐ポリマーを添加した樹脂組成物を静電紡糸することで得られる、表面改質された微細繊維に関する。
ポリマー(高分子)材料は、近年、多分野でますます利用されている。それに伴い、それぞれの分野に応じて、マトリクスとしてのポリマーの性状とともに、その表面や界面の特性が重要となっている。例えば、表面エネルギーの低いフッ素系化合物を表面改質剤として用いることにより、撥水撥油性、防汚性、非粘着性、剥離性、離型性、滑り性、耐磨耗性、反射防止特性、耐薬品性などの表面・界面制御に関する特性の向上が期待され、種々提案されている。
例えば、ポリマーの表面改質方法の一つとして、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに高分岐ポリマーを添加し、該高分岐ポリマーを該マトリクスポリマー表面に濃縮させる方法が知られている(特許文献1)。
一方、エレクトロスピニング法と呼ばれる溶液紡糸による静電紡糸法は、ポリマー溶液にプラスの高電圧を与え、それがアースやマイナスに帯電したターゲット表面にスプレーされる過程で繊維化を起こさせる手法であり、比較的容易にナノサイズオーダーの微細繊維を作成できる手法である。微細繊維化することにより、その表面積は飛躍的に増大することから、不織布、フィルタ、セパレータ、細胞培養への応用が期待されている。
これら静電紡糸による微細繊維の表面改質、例えば撥水化の従来技術としては、例えば、親水性を有するポリアミド系エラストマーと、撥水性を有するポリウレタン系エラストマーとを溶媒に溶解し、静電紡糸する方法が開示されている(特許文献2)。
また、静電紡糸により作製されたポリアミドの微細繊維を、撥水性を有するフッ素系モノマー及びオリゴマーでコーティングし、電子線により硬化する手法が開示されている(特許文献3)。
国際公開WO2007/049608号パンフレット 特開2009−256864号公報 特開2009−534543号公報
上述の通り、静電紡糸による微細繊維における種々の表面改質方法が提案されているが、特許文献2に示す撥水性を有するポリウレタン系エラストマーを添加する表面改質方法では、一定の撥水性を有する微細繊維を得るために、ポリアミド系エラストマーに対してポリウレタン系エラストマーを60質量%以上という大量の撥水性エラストマーの添加が必要であり、マトリクスポリマー本来の物性が損なわれる虞があった。
また、特許文献3に示す手法では、作成したポリアミドの微細繊維に対して、撥水性を有するフッ素系モノマー及びオリゴマーで再度コーティングを行い、その後電子線により硬化する必要があり、工程が煩雑であり工業的に不利であった。
すなわち、マトリクスポリマー本来の物性を維持しつつ表面改質効果が高く、しかも簡便に製造できる表面改質された微細繊維が求められていた。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、含フッ素高分岐ポリマーをマトリクスポリマーである熱可塑性樹脂と混合し静電紡糸することにより、表面改質された微細繊維を容易に作成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い作られる表面改質された微細繊維に関する。
第2観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、第1観点に記載の微細繊維に関する。
第3観点として、モノマーAが、ジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、第2観点に記載の微細繊維に関する。
第4観点として、モノマーAが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、第3観点に記載の微細繊維に関する。
第5観点として、モノマーAが、ジビニルベンゼンである、第3観点に記載の微細繊維に関する。
第6観点として、モノマーBが、ビニル化合物又は(メタ)アクリレート化合物である、第2観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第7観点として、モノマーBが、下記式[1]で表される化合物である、第6観点に記載の微細繊維に関する。
(式[1]中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、mは1又は2を表し、そしてnは0乃至5の整数を表す。)
第8観点として、重合開始剤Cが、アゾ系重合開始剤である、第2観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第9観点として、重合開始剤Cが、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルである、第8観点に記載の微細繊維に関する。
第10観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有量が、(b)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1乃至20質量部である、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第11観点として、(b)熱可塑性樹脂がポリメチルメタクリレート樹脂である、第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第12観点として、(b)熱可塑性樹脂がポリ乳酸樹脂である、第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第13観点として、(b)熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂である、第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第14観点として、微細繊維の内部に比べて、該微細繊維の表面部において(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有割合がより高いことを特徴とする、第1観点乃至第13観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第15観点として、微細繊維の平均直径が50〜2,000nmである、第1観点乃至第14観点のうち何れか一項に記載の微細繊維に関する。
第16観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い微細繊維を作ることを特徴とする、表面改質された微細繊維の製造方法に関する。
第17観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、第16観点に記載の製造方法に関する。
第18観点として、(b)熱可塑性樹脂を材料としてエレクトロスピニング法に従い微細繊維を作るにあたり、前記熱可塑性樹脂に(a)含フッ素高分岐ポリマーを添加することを特徴とする、微細繊維の表面改質方法に関する。
第19観点として、(a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、第18観点に記載の表面改質方法に関する。
本発明の微細繊維の成形に用いる含フッ素高分岐ポリマーは、積極的に枝分かれ構造を導入しているため、線状高分子と比較して分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示す。すなわち、マトリクスである樹脂中での移動が容易となる。このため、該含フッ素高分岐ポリマーをマトリクス樹脂に配合し、繊維を形成すると、該含フッ素高分岐ポリマーが界面(繊維表面)に容易に移動して、界面制御に寄与することができ、簡便に表面改質された微細繊維を得ることができる。
そして本発明の微細繊維は、前述の通り、表面改質された微細繊維と為すことが出来るため、撥水・撥油性、防汚性に優れた繊維とすることができる。
図1は、合成例1で製造した高分岐ポリマー1の1H NMRスペクトルを示す図である。 図2は、合成例1で製造した高分岐ポリマー1の13C NMRスペクトルを示す図である。 図3は、合成例2で製造した高分岐ポリマー2の1H NMRスペクトルを示す図である。 図4は、合成例2で製造した高分岐ポリマー2の13C NMRスペクトルを示す図である。 図5は、実施例1で製造した微細繊維マット(PLA:高分岐ポリマー1=100:10)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図6は、比較例1で製造した微細繊維マット(PLA)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図7は、実施例2で製造した微細繊維マット(PMMA:高分岐ポリマー1=100:1)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図8は、実施例2で製造した微細繊維マット(PMMA:高分岐ポリマー1=100:3)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図9は、実施例2で製造した微細繊維マット(PMMA:高分岐ポリマー1=100:5)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図10は、比較例2で製造した微細繊維マット(PMMA)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図11は、実施例3で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=99:1)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図12は、実施例3で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=95:5)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図13は、実施例3で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=90:10)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図14は、比較例3で製造した微細繊維マット(PUE)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図15は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=99:1)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図16は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=95:5)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図17は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=90:10)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図18は、比較例4で製造した微細繊維マット(PUE)の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図19は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=99:1)の応力ひずみ曲線を示す図である。 図20は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=95:5)の応力ひずみ曲線を示す図である。 図21は、実施例4で製造した微細繊維マット(PUE:高分岐ポリマー2=90:10)の応力ひずみ曲線を示す図である。 図22は、比較例4で製造した微細繊維マット(PUE)の応力ひずみ曲線を示す図である。
[表面改質された微細繊維]
本発明の微細繊維は、(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い作られる表面改質された微細繊維である。
[(a)含フッ素高分岐ポリマー]
本発明に用いる含フッ素高分岐ポリマーは、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5モル%以上200モル%以下の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる。また該含フッ素高分岐ポリマーは、いわゆる開始剤断片組込型高分岐ポリマーであり、その末端に重合に使用した重合開始剤Cの断片を有している。
本発明において、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAは、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有することが好ましく、特にジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
このようなモノマーAとしては、例えば、以下の(A1)〜(A7)に示した有機化合物が例示される。
(A1)ビニル系炭化水素:
(A1−1)脂肪族ビニル系炭化水素類;イソプレン、ブタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等
(A1−2)脂環式ビニル系炭化水素;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等
(A1−3)芳香族ビニル系炭化水素;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等
(A2)ビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルケトン:
(A2−1)ビニルエステル;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、ビニル(メタ)アクリレート等
(A2−2)アリルエステル;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート等
(A2−3)ビニルエーテル;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等
(A2−4)アリルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等
(A2−5)ビニルケトン;ジビニルケトン、ジアリルケトン等
(A3)(メタ)アクリル酸エステル:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等
(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物:
ポリエチレングリコール(分子量300)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)ジ(メタ)アクリレート等
(A5)含窒素ビニル系化合物:
ジアリルアミン、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスマレイミド等
(A6)含ケイ素ビニル系化合物:
ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、ジエトキジビニルシラン等
(A7)含フッ素ビニル系化合物:
1,4−ジビニルパーフルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン等
これらのうち好ましいものは、上記(A1−3)群の芳香族ビニル系炭化水素化合物、(A2)群のビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル及びビニルケトン、(A3)群の(メタ)アクリル酸エステル、(A4)群のポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物、並びに(A5)群の含窒素ビニル系化合物である。特に好ましいのは、(A1−3)群に属するジビニルベンゼン、(A2)群に属するフタル酸ジアリル、(A3)群に属するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート並びに(A5)群に属するメチレンビス(メタ)アクリルアミドである。これらの中でもジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましく、特にジビニルベンゼン及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明において、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBは、好ましくはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方を少なくとも1つ有することが好ましく、特にビニル化合物又は(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
中でも、前記式[1]で表される化合物であることが望ましい。
このようなモノマーBとしては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、前記モノマーAと前記モノマーBを共重合させる割合は、反応性や表面改質効果の観点から好ましくは前記モノマーA 1モルに対して前記モノマーB 0.05〜3.0モル、特に好ましくは0.1〜1.5モルである。
本発明における重合開始剤Cとしては、好ましくはアゾ系重合開始剤が用いられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば以下の(1)〜(5)に示す化合物を挙げることができる。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等
(2)アゾアミド化合物:
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]−プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド等
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等
(5)その他:
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等
上記アゾ系重合開始剤の中でも、得られる高分岐ポリマーの表面エネルギーの観点から、極性の比較的低い置換基を有するものが望ましい。好ましくは、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)であり、特に2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルが好ましい。
前記重合開始剤Cは、前記モノマーA及び前記モノマーBの合計モル数に対して、5乃至200モル%の量で使用され、好ましくは15乃至200モル%、より好ましくは15乃至170モル%、より好ましくは50乃至100モル%の量で使用される。
本発明に用いる含フッ素高分岐ポリマーは、前述のモノマーA及びモノマーBに対して所定量の重合開始剤Cの存在下で重合させて得られ、該重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合又は沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。
このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物系溶媒、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等であり、特に好ましいものはトルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、イソブチルメチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等である。
上記重合反応を有機溶媒の存在下で行う場合、重合反応物全体における有機溶媒の含量は、前記モノマーの1質量部に対し、好ましくは1乃至100質量部、さらに好ましくは5乃至50質量部である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N2等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
重合反応の温度は好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは70〜150℃又は70〜130℃である。
より好ましくは、重合反応の温度は前述の重合開始剤Cの10時間半減期温度より20℃以上高い温度で実施され、より具体的には、前記モノマーA、前記モノマーB、前記重合開始剤C及び有機溶媒を含む溶液を、該重合開始剤Cの10時間半減期温度より20℃以上高い温度に保たれた該有機溶媒中へ滴下することにより、重合反応を行うことが好ましい。
また、さらにより好ましくは反応圧力下での前記有機溶媒の還流温度で重合反応を実施することが好ましい。
重合反応の終了後、得られた含フッ素高分岐ポリマーを任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行なう。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
得られた含フッ素高分岐ポリマーの重量平均分子量(以下Mwと略記)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で好ましくは1,000〜200,000、さらに好ましくは2,000〜100,000、最も好ましくは5,000〜60,000である。
[(b)熱可塑性樹脂]
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PVA(ポリビニルアルコール)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオリド)などのポリオレフィン系樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)などのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PUE(ポリウレタンエラストマー)などのポリウレタン樹脂;PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの(メタ)アクリル樹脂;PAN(ポリアクリロニトリル);PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペートなどのポリエステル樹脂;PEO(ポリエチレンオキシド);ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等が挙げられる。
中でもポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ乳酸樹脂又はポリウレタンエラストマー樹脂であることが好ましい。
[樹脂組成物]
本発明に用いる(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物において、(b)熱可塑性樹脂100質量部に対する(a)含フッ素高分岐ポリマーの配合量は、好ましくは0.1乃至20質量部であり、特に1乃至10質量部であることが好ましい。
[微細繊維の製造方法]
本発明の微細繊維は、前記(a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い製造される。実際には、前記組成物を溶媒に溶解又は分散してワニスの形態とし、これを静電紡糸して製造される。
なお、上記製造方法、並びに、前記(b)熱可塑性樹脂を材料としてエレクトロスピニング法に従い微細繊維を作るにあたり、前記熱可塑性樹脂に前記(a)含フッ素高分岐ポリマーを添加することによる微細繊維の表面改質方法も本発明の対象である。
静電紡糸時に使用される前記溶媒としては、含フッ素高分岐ポリマー及び熱可塑性樹脂を溶解するものであればよく、例えばアセトン、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセタミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、エタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、γ−ブチロラクトン、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい。
また上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、含フッ素高分岐ポリマー及び熱可塑性樹脂と溶媒の総質量(合計質量)に対して、含フッ素高分岐ポリマー及び熱可塑性樹脂の濃度は1〜20質量%であり、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。
静電紡糸には、市販のエレクトロスピニング装置を用いることができる。
紡糸条件は適宜選択され、例えば、ノズルの長さ:3〜5cm、紡糸距離(電極−コレクター間距離):5〜15cm、紡糸量:1.0〜5.0mL/時間、電極間の印加電圧:5〜30kV、である。
上記のようにして得られる微細繊維は、好ましくは平均直径が50〜2,000nmであり、より好ましくは100〜1,000nmである。
本発明の微細繊維は、前述の通り、繊維内部(深部)と比べて、繊維表面部(界面)に前記含フッ素高分岐ポリマーが多く存在した状態にある。このため、撥水撥油性、防汚性に優れた微細繊維とすることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−804L + KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(2)1H NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン(0.00ppm)
(3)13C NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
基準:CHCl3(77.0ppm)
(4)イオンクロマトグラフィー(F定量分析)
装置:日本ダイオネクス(株)製 ICS−1500
溶媒:2.7mmol/L Na2CO3 + 0.3mmol/L NaHCO3
検出器:電気伝導度
(5)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:Perkin elmer社製 Diamond DSC
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:5℃/分(25−160℃)
(6)5%重量減少温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(25−500℃)
(7)エリプソメトリー(屈折率及び膜厚測定)
装置:J.A.Woollam社製 EC−400
(8)接触角測定
装置:AST Products社製 VCA Optima
測定温度:20℃
(9)スピンコーター
装置:ミカサ(株)製 MS−A100
(10)ホットプレート
装置:アズワン(株)製 MH−180CS、MH−3CS
(11)エレクトロスピニング
インフュージョンポンプ(シリンジポンプ):(有)メルクエスト製 FP−W−100
高圧電源:松定プレシジョン(株)製 HR−40R0.75
(12)走査型電子顕微鏡(SEM)
装置:日本電子(株)製 JSM−7400
加速電圧:1.0kV
(13)X線光電子分光(XPS)
装置:Ulvac PHI製 PHI Quantera SXM
X線:Line Al Ka 1486.6 eV(25W、15kV)
光電子取り出し角:45度
(14)水蒸気透過試験
装置:エスペック(株)製 恒温恒湿器 PLATINOUS RAINBOW PR−2G
(15)耐水圧試験
装置1(実施例6):(株)東洋精機製作所製 No.828 織布耐水度試験機
装置2(比較例6):(株)安田精機製作所製 No.169 手動防水度試験機
(16)引っ張り試験
装置:(株)オリエンテック製 TENSILON UTM−III−500
また、略記号は以下の意味を表す。
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製、製品名:1G]
DVB:ジビニルベンゼン[新日鐵化学(株)製、製品名:DVB−960]
C6FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[ダイキン化成品販売(株)製、製品名:R−1620]
MAIB:2,2’−アゾビスイソ酪酸メチル[大塚化学(株)製、製品名:MAIB]AF−1:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)[和光純薬工業(株)製、製品名:ACVA−TFE]
PLA:ポリ乳酸[Nature Works LLC社製、製品名:6251D、Mw(GPC):96,000]
PMMA:ポリメチルメタクリレート[ナカライタスク(株)製、製品名:メタクリル酸メチルポリマー、Mw(GPC):800,000]
PUE:ポリウレタンエラストマー[日本ミラクトラン(株)製、製品名:P22SRNAT、Mw(GPC):160,000]
THF:テトラヒドロフラン
MIBK:イソブチルメチルケトン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<合成例1:含フッ素高分岐ポリマー1の合成>
200mLの反応フラスコに、トルエン32gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、トルエンが還流するまで(内温およそ110℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、二官能モノマーであるEGDMA4.0g(20mmol)、フッ素モノマーであるC6FA4.2g(10mmol)、重合開始剤MAIB2.3g(10mmol)及びトルエン32gを仕込んだ。この混合物を撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA、C6FA及びMAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、この反応液をヘキサン/トルエン(体積比4:1)277gに添加し、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧ろ過し、得られた粗物をTHF36gに再溶解させた。このポリマーのTHF溶液をヘキサン277gに添加し、再度ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧ろ過し、真空乾燥して、目的とする高分岐ポリマー1 4.9gを白色粉末として得た。
得られた高分岐ポリマー1の1H NMRスペクトルを図1に、13C NMRスペクトルを図2にそれぞれ示す。
また、得られた高分岐ポリマー1のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.2であった。
13C NMRスペクトルから求めたフッ素モノマー導入量は25mol%、イオンクロマトグラフィーによるフッ素定量分析から求めたフッ素原子含有量は25質量%であった。
<合成例2:含フッ素高分岐ポリマー2の合成>
1Lの反応フラスコに、MIBK173gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、MIBKが還流するまで(内温およそ116℃)加熱した。
別の300mLの反応フラスコに、二官能モノマーであるDVB9.1g(70mmol)、フッ素モノマーであるC6FA14.6g(35mmol)、重合開始剤AF−1
24.9g(56mmol)及びMIBK173gを仕込んだ。この混合物を撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の1L反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、DVB、C6FA及びAF−1が仕込まれた前記300mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK310gを留去後、ヘキサン/エタノール(重量比10:1)638gに添加してポリマーを沈殿させた。上澄み液をデカンテーションした後、その残渣をTHF36gに再溶解させた。このポリマーのTHF溶液を再度ヘキサン/エタノール(重量比10:1)638gに添加してポリマーを沈殿させた。デカンテーションして上澄み液を除去した後、その残渣をTHF36gに再溶解させ、減圧留去、真空乾燥して、目的とする高分岐ポリマー2 32.6gを白色粉末として得た。
得られた高分岐ポリマー2の1H NMRスペクトルを図3に、13C NMRスペクトルを図4にそれぞれ示す。
また、得られた高分岐ポリマー2のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,900、分散度:Mw/Mnは2.2であった。
<参考例1:高分岐ポリマーの有機溶媒への溶解性>
合成例1及び2で得られた高分岐ポリマー1及び2 10mgを、表1に示す有機溶媒90mgにそれぞれ加え、各高分岐ポリマーの有機溶媒への溶解性を評価した。得られた結果を表1に併せて示す。
[評価基準]
○:完全に溶解する状態、 ×:溶け残りのある状態
<参考例2:高分岐ポリマーの物性評価>
合成例1及び2で得られた高分岐ポリマー1及び2 0.25gを、それぞれPGMEA4.75gに溶解させた後、フィルタろ過を行い、高分岐ポリマーを含むワニスを調製した。このワニスをシリコンウェハー上にスピンコーティング(slope5秒間、2,000rpm×30秒間、slope5秒間)し、100℃のホットプレートで30分間の熱処理を行うことにより、溶媒を蒸発させて成膜した。
得られた薄膜の波長633nmにおける屈折率、並びに水及びジヨードメタンの接触角の評価を行った。また接触角の結果から表面エネルギーを算出した。さらに、各高分岐ポリマー粉末のガラス転移温度Tg及び5%重量減少温度Td5%を測定した。得られた結果を表2に併せて示す。
<実施例1:表面改質されたPLA微細繊維マットの作製>
PLAと合成例1で得られた高分岐ポリマー1とを、その質量比率がPLA:高分岐ポリマー1=100:5及び100:10となるようにそれぞれ混合した。この混合物をそれぞれクロロホルム/アセトン(体積比7:3)に完全に溶解させ、固形分(PLA及び高分岐ポリマー1)濃度7.3質量%のワニスを調製した。
得られたワニスを、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧:12kV、紡糸距離:15cm、紡糸量:1.0mL/時間の条件で紡糸し、微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットをSEMで観察したところ、直径100〜1,000nm程度の微細繊維が確認された。PLA:高分岐ポリマー1=100:10で作製した微細繊維マットのSEM写真を図5に示す。
また、各微細繊維マットの水及びジヨードメタンの接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度(モル分率)を表3に示す。なお、表3の“表面F原子濃度”における“理論値”とは、微細繊維を構成するPLA及び高分岐ポリマー1の組成が空間的に均一である場合、すなわち微細繊維内の高分岐ポリマー1濃度が一定とした場合のフッ素原子濃度を表す。
<比較例1>
高分岐ポリマー1を使用しない以外は実施例1と同様にして、PLAのみからなる微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットのSEM写真を図6に、該微細繊維マットの水の接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度を表3に示す。
表3に示すように、高分岐ポリマー1を添加したPLAからなる微細繊維マット(実施例1)は、高分岐ポリマー1を含まないPLAのみからなる微細繊維マット(比較例1)に比べ、水及びジヨードメタンの接触角が向上しており、わずかな添加量で表面改質されていることが確認された。
また、表面フッ素原子濃度は、その理論値に比べはるかに大きな値を示していることから、PLA及び高分岐ポリマー1からなる微細繊維において、PLA及び高分岐ポリマー1の組成は均一ではなく、微細繊維の表面付近に高分岐ポリマー1が多く存在し、いわば表面近傍に高分岐ポリマー1が濃縮された状態にあることが明らかとなった。
<実施例2:表面改質されたPMMA微細繊維マットの作製>
PMMAと合成例1で得られた高分岐ポリマー1とを、その質量比率がPMMA:高分岐ポリマー1=100:1、100:3及び100:5となるようにそれぞれ混合した。この混合物をそれぞれDMFに完全に溶解させ、固形分(PMMA及び高分岐ポリマー1)濃度3.0質量%のワニスを調製した。
得られたワニスを、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧:10kV、紡糸距離:20cm、紡糸量:3.0mL/時間の条件で紡糸し、微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットをSEMで観察したところ、直径500〜1,000nm程度の微細繊維が確認された。各微細繊維マットのSEM写真を図7乃至図9に、水及びジヨードメタンの接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度(モル分率)を表4に示す。なお、表4の“表面F原子濃度”における“理論値”とは、微細繊維を構成するPMMA及び高分岐ポリマー1の組成が空間的に均一である場合、すなわち微細繊維内の高分岐ポリマー1濃度が一定とした場合のフッ素原子濃度を表す。
<比較例2>
高分岐ポリマー1を使用しない以外は実施例2と同様にして、PMMAのみからなる微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットのSEM写真を図10、該微細繊維マットの水の接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度を表4に示す。
表4に示すように、高分岐ポリマー1を添加したPMMAからなる微細繊維マット(実施例2)は、高分岐ポリマー1を含まないPMMAのみからなる微細繊維マット(比較例2)に比べ、ジヨードメタンの接触角が向上しており、わずかな添加量で表面改質されていることが確認された。
また、表面フッ素原子濃度は、その理論値に比べはるかに大きな値を示していることから、PMMA及び高分岐ポリマー1からなる微細繊維において、PMMA及び高分岐ポリマー1の組成は均一ではなく、微細繊維の表面付近に高分岐ポリマー1が多く存在し、いわば表面近傍に高分岐ポリマー1が濃縮された状態にあることが明らかとなった。
<実施例3:表面改質されたPUE微細繊維マットの作製1>
PUEと合成例2で得られた高分岐ポリマー2とを、その質量比率がPUE:高分岐ポリマー2=99:1、95:5及び90:10となるようにそれぞれ混合した。この混合物をそれぞれDMFに完全に溶解させ、固形分(PUE及び高分岐ポリマー2)濃度20質量%のワニスを調製した。
得られたワニスを、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧:30kV、紡糸距離:25cm、紡糸量:1.0mL/時間の条件で紡糸し、微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットをSEMで観察したところ、直径500〜800nm程度の微細繊維が確認された。各微細繊維マットのSEM写真を図11乃至図13に示す。
また、各微細繊維マットの水及びヘキサデカンの接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度(モル分率)を表5に示す。なお、表5の“表面F原子濃度”における“理論値”とは、微細繊維を構成するPUE及び高分岐ポリマー2の組成が空間的に均一である場合、すなわち微細繊維内の高分岐ポリマー2濃度が一定とした場合のフッ素原子濃度を表す。
<比較例3>
高分岐ポリマー2を使用しない以外は実施例3と同様にして、PUEのみからなる微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットのSEM写真を図14に、該微細繊維マットの水の接触角、並びにXPSによる表面フッ素原子濃度を表5に併せて示す。
表5に示すように、高分岐ポリマー2を添加したPUEからなる微細繊維マット(実施例3)は、高分岐ポリマー2を含まないPUEのみからなる微細繊維マット(比較例3)に比べ、水及びヘキサデカンの接触角が向上しており、わずかな添加量で表面改質されていることが確認された。
また、表面フッ素原子濃度は、その理論値に比べはるかに大きな値を示していることから、PUE及び高分岐ポリマー2からなる微細繊維において、PUE及び高分岐ポリマー2の組成は均一ではなく、微細繊維の表面付近に高分岐ポリマー2が多く存在し、いわば表面近傍に高分岐ポリマー2が濃縮された状態にあることが明らかとなった。
<実施例4:表面改質されたPUE微細繊維マットの作製2>
PUEと合成例2で得られた高分岐ポリマー2とを、その質量比率がPUE:高分岐ポリマー2=99:1、95:5及び90:10となるようにそれぞれ混合した。この混合物をそれぞれDMF/エタノール(体積比9:1)に完全に溶解させ、固形分(PUE及び高分岐ポリマー2)濃度20質量%のワニスを調製した。
得られたワニスを、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧:30kV、紡糸距離:25cm、紡糸量:2.0mL/時間の条件で紡糸し、微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットをSEMで観察したところ、直径500〜800nm程度の微細繊維が確認された。各微細繊維マットのSEM写真を図15乃至図17に示す。
<比較例4>
高分岐ポリマー2を使用しない以外は実施例4と同様にして、PUEのみからなる微細繊維マットを作製した。
得られた微細繊維マットのSEM写真を図18に示す。
<実施例5:表面改質されたPUE微細繊維マットの水蒸気透過試験>
JIS L1099 A−2法に基づき、実施例4で作製した各PUE微細繊維マットの水蒸気透過度を測定した。
実施例4で作製した各PUE微細繊維マットを、それぞれ水42mLを入れた透湿カップに乗せ、パッキン及びリビングを順次装着しナットで固定した。さらに装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とした。この試験体を、温度40±2℃、湿度50±5%の恒温恒湿装置内に30分間静置後、試験体を取り出し、質量を測定した。再び試験体を装置内に1時間静置後、試験体を取り出し、その前後の質量の変化量を測定し、それより水蒸気透過度を求めた。結果を表6に示す。
<比較例5:PUE微細繊維マットの水蒸気透過試験>
実施例4で作製したPUE微細繊維マットに替えて比較例4で作製したPUE微細繊維マットを使用した以外は実施例5と同様に操作し、水蒸気透過度を求めた。結果を表6に併せて示す。
表6に示すように、高分岐ポリマー2を添加したPUEからなる微細繊維マット(実施例5)は、高分岐ポリマー2を含まないPUEのみからなる微細繊維マット(比較例5)とほぼ同等の水蒸気透過度を有しており、高分岐ポリマー2の添加により水蒸気透過度が低下しないことが確認された。
<実施例6:表面改質されたPUE微細繊維マットの耐水圧試験>
JIS L1092 7.1.1 A法に基づき、実施例4で作製した各PUE微細繊維マットの耐水圧を測定した。
実施例4で作製した各PUE微細繊維マットを、直径約7cmの穴の開いたプラスチック製の板の上にそれぞれ張り付け、さらにその上に布を被せたものを測定装置にセットした。徐々に水圧を上げていき水が試料表面の3箇所から出てきたときの水圧を測定した。各PUE微細繊維マットの目付け及び耐水圧を表7に示す。なお、目付けは、各PUE微細繊維マットの単位面積当りの質量を測定し求めた。
<比較例6:PUE微細繊維マットの耐水圧試験>
JIS L1092 7.1.2 B法に基づき、比較例4で作製したPUE微細繊維マットの耐水圧を測定した。
比較例4で作製したPUE微細繊維マットを、直径約7cmの穴の開いたプラスチック製の板の上に張り付け、さらにその上に布を被せたものを測定装置にセットした。徐々に水圧を上げていき水が試料表面の3箇所から出てきたときの水圧を測定した。PUE微細繊維マットの目付け及び耐水圧を表7に併せて示す。
表7に示すように、高分岐ポリマー2を添加したPUEからなる微細繊維マット(実施例6)は、高分岐ポリマー2を含まないPUEからなる微細繊維マット(比較例6)に比べ、耐水圧が大幅に向上しており、高分岐ポリマー2の添加割合の増加に伴い耐水圧が向上することが確認された。
<実施例7:表面改質されたPUE微細繊維マットの引っ張り試験>
実施例4で作製した各PUE微細繊維マットを、チャック間距離:30mm、引っ張り速度:10mm/分、最大引っ張り距離:40mm、リターン速度:200mm/分で、5回連続で引っ張り試験を行った。そのときの初期弾性率を表8に示す。また応力−ひずみ曲線を図19乃至図21に示す。
<比較例7:PUE微細繊維マットの引っ張り試験>
実施例4で作製したPUE微細繊維マットに替えて比較例4で作製したPUE微細繊維マットを使用した以外は実施例7と同様に引っ張り試験を行った。そのときの初期弾性率を表8に併せて示す。また応力−ひずみ曲線を図22に示す。
表8及び図19乃至図22に示すように、高分岐ポリマー2を添加したPUEからなる微細繊維マット(実施例7)は、高分岐ポリマー2を含まないPUEのみからなる微細繊維マット(比較例7)とほぼ同等の力学特性を有していることが確認された。

Claims (19)

  1. (a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い作られる表面改質された微細繊維。
  2. (a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、請求項1に記載の微細繊維。
  3. モノマーAが、ジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、請求項2に記載の微細繊維。
  4. モノマーAが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項3に記載の微細繊維。
  5. モノマーAが、ジビニルベンゼンである、請求項3に記載の微細繊維。
  6. モノマーBが、ビニル化合物又は(メタ)アクリレート化合物である、請求項2乃至請求項5のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  7. モノマーBが、下記式[1]で表される化合物である、請求項6に記載の微細繊維。
    (式[1]中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、mは1又は2を表し、そしてnは0乃至5の整数を表す。)
  8. 重合開始剤Cが、アゾ系重合開始剤である、請求項2乃至請求項7のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  9. 重合開始剤Cが、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルである、請求項8に記載の微細繊維。
  10. (a)含フッ素高分岐ポリマーの含有量が、(b)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1乃至20質量部である、請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  11. (b)熱可塑性樹脂がポリメチルメタクリレート樹脂である、請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  12. (b)熱可塑性樹脂がポリ乳酸樹脂である、請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  13. (b)熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂である、請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  14. 微細繊維の内部に比べて、該微細繊維の表面部において(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有割合がより高いことを特徴とする、請求項1乃至請求項13のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  15. 微細繊維の平均直径が50〜2,000nmである、請求項1乃至請求項14のうち何れか一項に記載の微細繊維。
  16. (a)含フッ素高分岐ポリマー及び(b)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い微細繊維を作ることを特徴とする、表面改質された微細繊維の製造方法。
  17. (a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、請求項16に記載の製造方法。
  18. (b)熱可塑性樹脂を材料としてエレクトロスピニング法に従い微細繊維を作るにあたり、前記熱可塑性樹脂に(a)含フッ素高分岐ポリマーを添加することを特徴とする、微細繊維の表面改質方法。
  19. (a)含フッ素高分岐ポリマーが、分子内に2個以上のラジカル重合性二重結合を有するモノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBとを、該モノマーA及び該モノマーBの合計モルに対して、5乃至200モル%の重合開始剤Cの存在下で重合させることにより得られる含フッ素高分岐ポリマーである、請求項18に記載の表面改質方法。
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