JP6038582B2 - 抗菌性を有する潅水マット - Google Patents
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Description
抗菌材が固着してなる吸水拡散層面のL*値が40以下であって、保水層面のL*値が75以上であることを特徴とする抗菌性を有する潅水マットを提供することを要旨とする。
本発明の潅水マット(以下、「マット」ということもある。)を構成する熱可塑性合成繊維を構成する材料としては、ポリエステル系の樹脂が良く、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸等を共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸などがあげられ、これらのブレンド物も用いることができる。また繊維としては、これらの樹脂100%からなる中実あるいは中空構造の他に、二種以上のポリマーが複合したものを用いることもできる。この繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型、芯鞘型、中空芯鞘型などを使用でき、長繊維、短繊維の何れも使用できる。
本発明の抗菌剤の付与量は特に限定されるものではないが、少なすぎると、使用期間中に抗菌性能が維持できなくなるため好ましくなく、多すぎると抗菌剤が金属成分の場合に金属イオンの溶出が多くなり排水の金属イオン濃度が高くなるだけでなく、コスト的にも高くなり好ましくない。したがって、抗菌剤の付与量はマットの使用期間と潅水量にもよるが、マット上面における付与量が概ね1g/m2から20g/m2が適当である。
(1)ポリマーの極限粘度:フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒を用い、20℃にて測定した。
(2)融点(℃):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)L*値:色彩色差計(データプロセッサ DP−300、測定ヘッド CR−310:ミノルタ社製)を用い、繊維布帛及び有孔フィルムは測定箇所の試料の目付が300g/m2以上となるように、シートを折りたたみ、設置して測定した。なお、本発明のマットは、折りたたまずに測定した。測定の際は、測定個所を変えて3個所測定し、得られた値の平均値をL*値とした。
(4)抗菌剤付与量:あらかじめ空焼きしたるつぼにサンプルを5×10cmサイズ秤量し、電気炉にて650℃1時間で灰化し、灰分を白金皿に移して硝酸(1+1)10mlとフッ酸5mlを加えてホットプレート上にて加温溶解を行う。溶解液に水を加えて全量100mlにする。原子吸光光度計にて金属の定量分析を行い抗菌剤換算にて付与量を求めた。
(5)かび抵抗試験1:JIS−Z−2911(2000年度版)により評価。
プラスチック製品の試験・方法Aに準拠
胞子懸濁液:単一胞子懸濁液,懸濁液滴下量:0.1ml
保存温度:29±1℃,保存日数:4週間
使用カビ:黒コウジカビ(NBRRC6341)
(6)かび抵抗試験2:JIS−Z−2911(2000年度版)により評価。
プラスチック製品の試験・方法Bに準拠(グルコース/無機塩寒天培地)
胞子懸濁液:単一胞子懸濁液,懸濁液滴下量:0.1ml
保存温度:29±1℃,保存日数:4週間
使用カビ:黒コウジカビ(NBRRC6341)
融点260℃、極限粘度[η]=0.68のポリエチレンテレフタレートを、紡糸口金を用いて、溶融温度285℃で紡糸口金より吐出した。そして、紡糸速度4800m/分でエアーサッカーにて吸引し、その後に金網ネット上に捕集し、空気延伸後の単糸繊度が3.8デシテックスのポリエステル長繊維ウエブを得た。このようにして、目付200g/m2 、厚さ2mmの保水層用ウエブを作成した。
実施例1において、マットを作成し、抗菌剤の付着量が1.00g/m2としたこと以外は実施例1と同様に行い潅水マットを得た。このマットのかび抵抗試験の結果、かび抵抗試験1では、肉眼および顕微鏡下でカビの発育は認められず、評価:0であった。また、かび抵抗試験2では、評価:2の高い評価結果が得られた。
実施例1において、吸水拡散層として以下のものを作成した。すなわち、保水層用ウエブと同じ方法で樹脂に黒色顔料のカーボンブラックを添加し、3デニールの長繊維ウエブを得た後、これを210℃に加熱された表面フラットの熱圧接ロールで線圧50kg/cmで圧接し、表面が平滑な吸水拡散層用ウエブを作成した。さらに、脂肪酸エステルとノニオン活性剤とカチオン活性剤とを主成分とする親水性油剤の原液をアクリルバインダーの固形分重量に対し0.5重量%投入し、かつ、銀と亜鉛をイオン交換で担持した無機系抗菌剤(シナネンゼオミック社製WAJ10NS)を同浴で抗菌剤とアクリルバインダーの固形分との重量比が1:6となるように行い、同浴で固形分重量に対し16重量%になるように含浸させた。引き続き、160℃の乾燥機で乾燥を行なって、吸水拡散層用ウエブを得た。
得られた吸水拡散層用ウエブは、実施例1と同様にして、保水層用ウエブとニードリング処理により一体化し、マットを得た。なお、実施例1においては、吸水拡散層の表面(上面)に抗菌剤をグラビアコーティングにて固着させたが、比較例1では、抗菌剤を含浸により付着させたため、吸水拡散層の厚み方向にも抗菌剤が付着したものであり、抗菌剤の付与量は1.72g/m2であった。このマットのかび抵抗試験の結果、かび抵抗試験2では、評価:4と低い評価結果であった。
抗菌剤を付与しなかったこと以外は実施例1と同様にマットを得た。このマットのかび抵抗試験の結果、かび抵抗試験2では評価:5と低い評価結果であった。
実施例1において、吸水拡散層を作成後、吸水拡散層用ウエブの片面に銀と銅をイオン交換で担持した無機系抗菌剤のシナネンゼオミック社製WAC10NSと、吸水拡散層作成時に使用したアクリルバインダーを固形分重量比で抗菌剤:樹脂=3:1.35の設定で抗菌剤付与量が3g/m2となるようにグラビアコーティングにて付与した後にニードリング処理した以外は実施例1と同様に作成し抗菌性マットを得た。得られたマットに実際に付着した抗菌剤量は2.87g/m2で、アクリルバインダーは1.29g/m2であった。
実施例3および比較例3で用いたそれぞれのマットを用い、イチゴ育苗のポットの底面からの潅水方法にて使用し、1ヵ月後のマットの状況を確認した。抗菌剤を付与したマットは、マット上の藻の発生や、ポット底面の吸水口からポット外への根の出方及びマットへの根の進入が、抗菌剤を付与していないマットに比べ、明らかに少なく良好な状態であった。
Claims (6)
- 融点150℃以上の熱可塑性ポリエステル樹脂にて形成された繊維よりなる親水性を有する布帛であって、該布帛が保水層と吸水拡散層の2層からなり、吸水拡散層が使用の際に上部となる面であり、その吸水拡散層側のみに抗菌剤が樹脂エマルションによって固着されており、保水層には抗菌剤は固着されておらず、吸水拡散層における抗菌剤と樹脂エマルション(固形分質量)の質量比が5:1〜1:5であり、
抗菌剤が固着してなる吸水拡散層面のL*値が40以下であって、保水層面のL*値が75以上であることを特徴とする抗菌性を有する潅水マット。 - 抗菌剤が無機系抗菌剤であり、抗菌性を有する金属成分をイオン交換法により担持した無機材料であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性を有する潅水マット。
- 該抗菌剤の金属成分に銀及び銅が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性を有する潅水マット。
- 樹脂エマルションに親水性および又は吸水性を有する成分が混錬されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の抗菌性を有する潅水マット。
- 布帛を構成する吸水拡散層と保水層とは、保水層から吸水拡散層への三次元交絡により一体化していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の抗菌性を有する潅水マット。
- 鉢物栽培に用いる潅水マットであって、鉢下に敷いて用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の抗菌性を有する潅水マット。
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JP2011224889 | 2011-10-12 | ||
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