JP6434272B2 - 植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、花卉、根菜類を含む野菜、果実類、穀類などの各種作物の栽培の際に、従来の土壌やロックウールの代わりに用いることのできる植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法に関する。
養液栽培は、作物を栽培するのに土壌を使用しないため、連作障害がなく、土の病気、生育条件により左右されず、栽培環境や養分水管理をコントロールしやすい。また、自動化、省力化ができ、収穫物の清浄性や肥料効率が高い栽培方法として注目されている。
養液栽培用の固形培地は水に浸漬されるため、ある程度の耐水性が必要であると共に、保水性、通気性、強度などが要求される。従来、養液栽培用の固形培地としては天然石(おもに玄武岩)を繊維状にしたものを収束させたロックウールなどが知られている。
しかし、ロックウールは無機物であるため使用後の有効な処分方法がない。現在、使用後のロックウールの処分方法としては、産業廃棄物として廃棄する、田に少量ずつ鋤き込むなどの方法が採られているが、これらの方法で処分するにも限界がある。また、ロックウールでは根菜類が肥大化できず、栽培が困難である。そのため、植物栽培用培地として必要な耐水性、保水性、通気性、強度などの物性を保持し、理化学的にも安定していて作物を充分に生長させることができ、しかも、環境への負荷の小さい培地が求められている。
ロックウールを用いない養液栽培装置として、特開2000−287536号公報(特許文献1)には、保水層と、不透根シートと、親水層とを積層してなる植物栽培培地用基体において、保水層や親水層に繊維状物積層体を用いることが記載されている。
また、同様にロックウールを用いない養液栽培装置として、出願人は、国際公開第2012/108374号(特許文献2)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体チップを含む植物栽培用培地を提案している。特許文献2に記載された植物栽培用培地によれば、作物を充分に生長させることができるとともに、リサイクル性にも優れていて繰り返し使用することができ、使用後に焼却などによって容易に廃棄することができ、環境への負荷の小さい植物栽培用培地を提供することができる。
特開2000−287536号公報 国際公開第2012/108374号
しかしながら、特許文献1では養液栽培の条件下で植物が生長するかについて確認されていない。また、保水層と親水層とが不透根シートで隔てられているため、大根のような根菜類を生長させる際には、種子を保持する部分である親水層の厚みを十分確保する必要が生じ、保水層から親水層の上端に十分な水がいきわたらず、発芽が困難になる場合があった。そのため、親水層は厚みを薄くせざるをえず、根菜類のような根の肥大が必要となる植物の生育には不向きであった。また、特許文献2のような、チップを充填した培地では、種子のサイズが小さい植物の場合、種子が培地中に沈みこむのを防ぐために、別途あらかじめ発芽させておく必要があった。さらに、従来、樹脂培地を用いることによる植物の生長についての知見は十分ではなかった。
本発明者らは特定の熱可塑性重合体を含む繊維を繊維集合体として植物栽培用培地に用いることで、上記課題を解決できることを見出した。また、当該構成とすることで、チップを用いた場合に比べて植物の発芽のタイミングを早めることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 溶解度パラメーターが11.5(cal/cm1/2以上14.0(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂(A)を含む繊維を用いた繊維集合体であり、かつ、前記熱可塑性樹脂(A)が繊維の最表面の少なくとも一部を占める、植物栽培用培地;
(2) 前記熱可塑性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記(1)に記載の植物栽培用培地;
(3) 前記繊維が熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)をさらに含む複合繊維である、上記(1)又は(2)に記載の植物栽培用培地;
(4) 前記繊維が芯鞘構造を持ち、かつ鞘層が前記熱可塑性樹脂(A)により形成され、芯層が前記熱可塑性樹脂(B)により形成される、上記(3)に記載の植物栽培用培地:
(5) 前記繊維の繊維軸方向と垂直な切断面において、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との断面積の比が、10/90〜90/10である、上記(4)に記載の植物栽培用培地;
(6) 前記熱可塑性樹脂(B)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の植物栽培用培地;
(7) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培装置;
(8) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培方法。
本発明によれば、保水性に優れ、植物の発芽までの期間を短縮し、根菜類であっても十分に生長させることが可能な植物栽培用培地を得ることができる。また、本発明は当該植物栽培用培地を用いた装置と方法を提供する。
本発明の好ましい一例の植物栽培装置1を模式的に示す図である。
本発明では、溶解度パラメーターが11.5(cal/cm1/2以上14.0(cal/cm1/2以下である熱可塑性重合体(A)を含む繊維を用いる。
前記溶解度パラメーター(以下、「SP値」と略記することがある。)は、Fedorsの式(Polym.Eng.Sci.,14[2],147(1974))により求められる。熱可塑性樹脂(A)は、SP値が11.5(cal/cm1/2以上14.0(cal/cm1/2以下であればよく、SP値が11.5(cal/cm1/2を下回ると、水との親和性が落ち、得られる植物栽培用培地の保水量が下がり、植物の生育に十分な水を保持できなくなる。SP値が14.0(cal/cm1/2を上回ると、熱可塑性樹脂(A)が水に溶け出す虞があるため、植物栽培用培地の強度や保水量を長期に渡って維持することができなくなる。
熱可塑性樹脂(A)としては特に制限されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、硝酸セルロース、セルロースの中から、SP値が上述の範囲を満たすものを選ぶことができる。中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデンが好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンがより好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体がさらに好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの各樹脂には、SP値を上述の範囲に調整するために、共重合可能な他の単位を含ませることができる。
熱可塑性樹脂(A)として用いることができるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記することがある。)とは、主としてエチレン単位(−CHCH−)とビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)とからなる共重合体である。EVOHのエチレン単位含有量に制限はないが、下限としては5モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。上限としては、50モル%が好ましく、47モル%がより好ましく、45モル%がさらに好ましい。エチレン単位含有量が上記の下限以上であることで、得られる植物栽培用培地の耐水性が優れたものとなり、長期間使用したとしても、EVOHの溶出が起こらない。また、エチレン単位含有量が上記の上限以下であることで、得られる植物栽培用培地の保水性や強度が優れたものとなる。
熱可塑性樹脂(A)として用いることができるポリ塩化ビニリデンとは、塩化ビニリデンと該塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体との共重合体である。塩化ビニリデンと共重合させる単量体としては、例えば、塩化ビニルやアクリル酸エステルが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)として用いることができるポリアミドとは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体;半芳香族ポリアミド;脂環式ポリアミドなどである。
本発明において、前記繊維は、モノフィラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維のいずれの形態でもよい。
本発明は、前記繊維を塊状にした繊維集合体の形態で用いられる。本発明者らは、植物栽培用培地として、熱可塑性樹脂をチップなどの形態ではなく、前記繊維集合体の形態で用いることで、植物の発芽までの期間を短縮できることを見出した。この理由は定かではないが、繊維集合体となることで表面積が増加し、水を保持できる期間が延びると考えられる。繊維集合体は、塊状であれば特に制限されないが、編織物、ウェブ、不織布、フェルト、マット、ボードの形に成形されていてもよい。
本発明において、前記熱可塑性樹脂(A)は繊維の最表面の少なくとも一部を占める必要がある。これは、繊維の表面状態が、繊維集合体の最終的な保水量に著しく影響を及ぼすためであり、例えば、後述の比較例で示すように、ポリエチレンテレフタレート(SP値:11.3、以下「PET」と略記することがある。)単独の繊維を用いた場合、植物栽培用培地は種子の発芽に十分な水を保持することができない。
繊維集合体は、植物の種子や根の足場を確保でき、植物の生長に必要な気相と水相をバランスよく確保できるだけの嵩比重をもつことが好ましい。適切な嵩比重は植物種によって異なると考えられるが、種子が発芽するまで培地上に種子を保持させるためには0.05g/cm以上の嵩比重があればよい。また、根菜類に限れば、発芽後の根の肥大しやすさの観点から、0.10g/cmであることが好ましく、0.15g/cmであることがより好ましい。なお、繊維の嵩比重の具体的な測定方法は、後述の実施例において詳しく説明する。
本発明の植物栽培用培地は、前記繊維が熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)をさらに含む複合繊維であることが好ましい。
熱可塑性重合体(B)としては、熱可塑性樹脂(A)と区別され、かつ熱可塑性樹脂(A)と共に成形が可能なものであれば特に制限はないが、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(以下、「PE」と略記することがある。)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略記することがある。)等のポリオレフィンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、熱可塑性樹脂(B)には、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
前記複合繊維の構造は、熱可塑性樹脂(A)が繊維の最表面の少なくとも一部を占めれば特に制限されないが、例えば、芯鞘構造、海島構造、多層貼合構造、放射状貼合構造、中空構造などが挙げられる。これらの構造は、前記複合繊維の繊維軸方向に垂直な切断面から確認することができる。これらの構造の中でも、保水量を向上させる観点から、鞘層が前記熱可塑性樹脂(A)により形成され、芯層が前記熱可塑性樹脂(B)により形成される芯鞘構造であることが好ましい。芯鞘構造は同芯であっても偏芯であってもよい。このような芯鞘構造の繊維を用いることで、低コストで、かつ保水性に優れた植物栽培用培地を得ることができる。
本発明において、鞘層が熱可塑性樹脂(A)により形成され、芯層が熱可塑性樹脂(B)により形成される芯鞘構造は、前記繊維の繊維軸方向と垂直な切断面において、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との断面積の比の下限が、10/90であることが好ましく、20/80であることがより好ましい。断面積の比の上限は、90/10であることが好ましく、80/20であることがより好ましい。断面積の比の下限が上記の下限以上であることで、得られる繊維培地の保水量をさらに向上させることができる。また、断面積の比の上限が上記の上限以下であることで、得られる繊維培地の保水量をさらに向上させることができると共に、安価な熱可塑性樹脂(B)を用いることでコストの削減を行うことができる。上記の範囲で保水量が向上する理由は定かではないが、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を上記の範囲とすることで、得られる繊維の形態保持がある程度可能となり、繊維集合体とした際に繊維間に水が保持されやすくなると推測される。
本発明に用いる繊維の切断面の外周の形状はどのようなものであってもよく、円形又は異形の形状とすることができる。異形断面の場合は、例えば偏平形、楕円形、三角形等の多角形、T字形、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)、3〜8葉形等の多葉形が挙げられ、それらの中空断面状であってもよい。
また、本発明に用いる繊維の繊度に制限はないが、その下限としては、0.1dtexであることが好ましく、0.3dtexであることがより好ましい。上限としては、100dtexであることが好ましく、50dtexであることがより好ましい。前記繊度が上記の下限以上であることで、植物の根を傷つけず、さらには根菜類の肥大化を妨げることがない。また、前記繊度が上記の上限以下であることで、培地中で水相部分のみならず気相部分を十分に確保でき、発芽までの期間を短縮することができる。
本発明に用いる繊維の繊維幅と繊維厚みに制限はないが、繊維幅と繊維厚みの比が30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることがさらに好ましい。前記比が上記の上限以下であることで、繊維同士の接触面の過剰な接触が起こらず、繊維間に水相と気相を十分に確保することができる。
本発明で用いる繊維には、必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。
本発明で用いる繊維を得るにあたり、紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度や強度等に応じて適宜選択設定することができる。熱可塑性樹脂(A)のみを用いた繊維の製法としては、例えば、熱可塑性樹脂(A)を押出機で溶融して、その溶融体を、紡糸パックを有する紡糸装置に導入し、紡糸する方法が挙げられる。樹脂の溶融温度は、用いる樹脂の種類にもよるが、通常300℃以下で行い、紡糸温度としては200〜300℃の範囲内の温度が採用される。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸等をしてもよい。なお、熱可塑性樹脂(A)として2種以上の樹脂を用いる場合、樹脂の混合方法に特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂(A)を押出機に入れる前にあらかじめドライブレンドして調整する方法、別々のホッパーから投入して紡糸前に溶融混練する方法、2種以上の樹脂からなる熱可塑性樹脂(A)からなるマスターバッチを用いる方法等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを両方用いた複合繊維の製法としては、例えば、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを別々の押出機で溶融して、それらの溶融体を、複合紡糸パックを有する紡糸装置に導入し、紡糸パック内で合流複合させて紡糸する方法が挙げられる。樹脂の溶融温度、紡糸温度、紡糸後の任意の工程の条件は、熱可塑性樹脂(A)のみを用いた繊維の製法と同様である。
本発明の植物栽培用培地を用いて栽培する植物の種類は特に制限はなく、例えば、花卉、根菜類を含む野菜、果物類、穀類などが挙げられ、特に大根、さつまいも、ごぼう、にんじん、キュウリ、トマト、ナス、ピーマンなどの野菜栽培やいちごなどの果物栽培に使用することが好ましい。特に、ロックウールでは栽培が困難であった根菜類にも好適に用いることができるという利点もある。
本発明は、上述した植物栽培用培地を用いた植物栽培装置についても提供する。本発明の植物栽培装置は、上述の植物栽培用培地を用いたものであるならば特に制限されるものではなく、植物栽培用培地以外の構成は、従来公知の適宜の植物栽培装置の構成を備えていてもよい。
ここで、図1は、本発明の好ましい一例の植物栽培装置1を模式的に示す図である。図1に示す例の植物栽培装置1は、上方に開口3を有する箱状物であり、側壁4の適当な高さに排水口5を有するプランター2を備え、プランター2内に、排水口5から零れ出さない程度の高さ(深さ)にまで、養分を含んだ水(培養液)6が収容される。プランター2の底壁7には、水6の面よりも上にその載置面8aが配置されるように棚8が設けられ、棚8の上に、吸水シート9が、上方から見てプランター2の底壁7を殆ど覆うように設けられる。この吸水シート9は、たとえばセルロース繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの材料で形成されたシート状物であり、その中央部9aは棚8の載置面8a上にあり、かつ、その端部9bがプランター2内の水6に浸かるように設けられ、端部9bから吸収した水6を、中央部9aに送るように構成されている。
図1に示す例では、吸水シート9上に、その端部10aがプランター2の側壁4の上端4aに引っかかるようにして防根透水シート10が配置される。防根透水シート10は、当該植物栽培装置1で根菜類を生育させる際に設けられることが好ましく、生育させる植物1が根菜類ではない場合には必ずしも設けなくともよい。このような防根透水シート10が設けられる場合、プランター2内の水6は、吸水シート9を介して防根透水シート10へと送られる。
防根透水シート10は、繊維状物で構成される織布、不織布、マット状物、あるいは、例えば、各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸、若しくはその誘導体でグラフト変性、若しくは無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体など)、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタール及び変性ポリビニルアルコールなどの樹脂からなるシート等であり、親水性、透水性、柔軟性を有し、根を通さないシートである。上記樹脂からなるシートを防根透水シート10として用いる場合、微細孔を無数にかつ均一な分布で有していることが好ましく、この場合、微細孔の最大径は20μm以下であることが好ましい。微細孔の最大径が20μmを超えると、植物の根が防根透水シート10を貫通し、吸水シート9に侵入してからみつき、根が過剰に吸水することにより植物の成長に問題が生じる虞がある。また微細孔の最大径が非常に小さい場合、たとえば5μm以下の場合には、吸水シートからの水の浸出が阻害され植物の生育に問題が生じる虞がある。
図1に示す例では、防根透水シート10上に、上述した本発明の植物栽培用培地12が載せられ、その中で植物11が生育される。図1には、本発明の植物栽培用培地12として、繊維集合体が用いられた例が示されている。
本発明は、上述した本発明の植物栽培用培地を用いた植物栽培方法についても提供する。本発明の植物栽培方法において、上述した本発明の植物栽培用培地を養液栽培用の培地として使用する場合、本発明の植物栽培用培地をポットなどの容器に入れ、これに培養液を加えた後に、播種したり苗を移植したりする方法などを例示することができる。また、本発明の植物栽培用培地が敷き詰められた栽培用ベッドを用意し、これに生育した苗を移植して各種作物を栽培する方法なども例示できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
〔嵩比重〕
メスシリンダーにて繊維又はチップを1000cm量りとり、その重量を測定してW(g)とし、下記数式(1)に従って算出した値を嵩比重とした。
嵩比重(g/cm)= W / 1000 (1)
〔繊維の構造〕
繊維軸方向と垂直になるように、繊維を剃刀で切断し、切断面を光学顕微鏡で観察して構造を特定した。
〔熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との断面積の比〕
繊維軸方向と垂直になるように、複合繊維の任意の20箇所を剃刀で切断し、切断面を光学顕微鏡で観察した。その画像解析から、それぞれの切断面での熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の面積を求め、それらを平均した数値を用いて、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との断面積の比を得た。
〔保水量〕
広口瓶250mL(ポリエチレン製、口内径30.5mm、胴径61.5mm、全高125mm)の底部に穴と穴の間隔が1cm以上となるように電動ドリルを用いて2mm径の穴を40個あけ、メスシリンダーで100mL容量の繊維又はチップを量りとり、穴を開けた広口瓶に入れた。ここで、繊維又はチップの入った広口瓶の重量を測定し、Wとした。その後、3Lビーカーにイオン交換水2Lを入れ、繊維又はチップが入った広口瓶の口部の3cm下まで静かに沈め、繊維又はチップが広口瓶内でイオン交換水に浸っていることを確認した。1時間後に広口瓶をビーカーから取り出し、静置することで、電動ドリルで開けた2mm径の穴から広口瓶内のイオン交換水を除去した。5時間後に繊維又はチップの入った広口瓶の重量を測定してWとし、下記数式(2)に従って算出した値を保水量とした。そして、保水量を以下の基準に従いA〜Eで判定した。
保水量(g/100mL)= W − W (2)
(保水量の評価)
A :160g/100mL以上
B :150g/100mL以上160g/100mL未満
C :140g/100mL以上150g/100mL未満
D :130g/100mL以上140g/100mL未満
E :130g/100mL未満
〔発芽試験〕
大根‘たんしん’を用いてハウス内で栽培試験を行った。底部より1cmに排水口を設けたプランター(上部幅34cm×上部縦51.6cm×深さ26cm、容量:28L)を用い、棚の載置面よりも大きく切った吸水シート「ラブマットU」(ユニチカ株式会社製)を棚に被せ、余りを底部に折り返してプランターに設置した。さらにその上に防根透水シート(東洋紡スペシャルティズトレーディング株式会社製)をプランター内側に敷いた後、繊維又はチップを深さ20cmまで充填した。播種は2013年11月14日に行い、幅11cm×縦13cm間隔で6穴に各3粒、計18粒直播した。灌水は1日3〜6回程度、天候および生育状況に応じて「トンボジョーロ4号」(新輝合成株式会社製)で大塚アグリテクノ株式会社製の養液栽培用肥料「大塚ハウス1号」、「大塚ハウス2号」および「大塚ハウス5号」を混合溶解した培養液(N:98.7ppm、P:19.4ppm、K:125.7ppm、Ca:63.0ppm、Mg:13.4ppm、Mn:0.709ppm、B:0.487ppm、Fe:2.025ppm、Cu:0.018ppm、Zn:0.048ppm、Mo:0.019ppm)を与えることで行い、播種した18粒のうち15粒が発芽するまでの日数を数えた。そして、日数を以下の基準に従いA〜Eで判定した。
(日数の評価)
A :5日
B :7日
C :9日
D :11日
E :13日以上
<実施例1>
熱可塑性樹脂(A)として株式会社クラレ製EVOH(SP値:11.6(cal/cm1/2)を用いて紡糸した繊維に湿熱延伸を行い、EVOH単独の繊維を得た。そして、得られたEVOH単独の繊維を捲縮して、短繊維化し、植物栽培用培地を得た(製法1)。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。なお、発芽後、間引きを2013年12月7日に行い、生育を確認したところ、2014年2月5日に、6穴中6穴から6個の大根を得ることができた。大根の数としては、50g以上の肥大根を持つものをカウントした。
<比較例1>
熱可塑性樹脂(B)として株式会社クラレ製PET(SP値:11.3(cal/cm1/2)を用いて紡糸した繊維に湿熱延伸を行い、PET単独の繊維を得た。そして、得られたPET単独の繊維を捲縮して塊状にし、植物栽培用培地を得た。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
<実施例2〜10、参考例1、2
熱可塑性樹脂(A)として株式会社クラレ製のEVOH又は宇部興産株式会社製ポリアミド6を、熱可塑性樹脂(B)として株式会社クラレ製PET(SP値:11.3(cal/cm1/2)、日本ポリエチレン株式会社製ポリエチレン(SP値:8.1(cal/cm1/2)又は株式会社プライムポリマー製ポリプロピレン(SP値:8.1(cal/cm1/2)を用いて複合紡糸した後に湿熱延伸を行い、複合繊維を得た。そして、得られた複合繊維を捲縮して塊状にし、植物栽培用培地を得た。各実施例で用いた繊維の熱可塑性樹脂(A)の種類、熱可塑性樹脂(B)の種類、断面積の比、繊維の構造と共に、植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
<実施例
トルエンとテトラヒドロフランの質量比2:1混合溶媒に、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリ塩化ビニリデン「R204」を10wt%になるように溶解した溶液に、株式会社クラレ製PET繊維(SP値:11.3(cal/cm1/2)を10分間浸した。その後、得られた繊維を熱風乾燥機中で乾燥し、鞘層がポリ塩化ビニリデン、芯層がPETである、芯鞘構造の複合繊維を得た(製法2)。そして、得られた複合繊維の繊維を捲縮して塊状にし、植物栽培用培地を得た。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
<実施例11
ポリ塩化ビニリデンを溶解した溶液の代わりに、株式会社クラレ製EVOH(SP値:11.6(cal/cm1/2)を10wt%になるようにジメチルスルホキシドに溶解した溶液を用いた以外は、実施例と同様に操作を行い、植物栽培用培地を得た。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
<比較例2>
EVOHの代わりにポリビニルアルコール(SP値:14.1(cal/cm1/2)を用いた以外は実施例と同様にして、植物栽培用培地を得た。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
<比較例3>
植物栽培用培地として、長径4.5mm、短径1.7mmのEVOH(SP値:11.6(cal/cm1/2)の円柱状チップを用いた。この植物栽培用培地の嵩比重、保水量、発芽試験の評価結果を表1に示す。
Figure 0006434272
1 植物栽培装置、2 プランター、3 開口、4 側壁、4a 側壁の上端、5 排水口、6 水、7 底壁、8 棚、8a 棚の載置面、9 吸水シート、9a 吸水シートの中央部、9b 吸水シートの端部、10 防根透水シート、10a 防根透水シートの端部、11 植物、12 植物栽培用培地(繊維集合体)、13 繊維。

Claims (7)

  1. 溶解度パラメーターが11.5(cal/cm1/2以上12.3(cal/cm1/2以下である熱可塑性樹脂(A)を含む繊維を用いた繊維集合体であり、かつ、前記熱可塑性樹脂(A)が繊維の最表面の少なくとも一部を占める植物栽培用培地であって、
    前記熱可塑性樹脂(A)がエチレン単位含有量32モル%〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体である、植物栽培用培地。
  2. 前記繊維が熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)をさらに含む複合繊維である、請求項1に記載の植物栽培用培地。
  3. 前記繊維が芯鞘構造を持ち、かつ鞘層が前記熱可塑性樹脂(A)により形成され、芯層が前記熱可塑性樹脂(B)により形成される、請求項2に記載の植物栽培用培地。
  4. 前記繊維の繊維軸方向と垂直な切断面において、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との断面積の比が、10/90〜90/10である、請求項3に記載の植物栽培用培地。
  5. 前記熱可塑性樹脂(B)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項2〜4のいずれかに記載の植物栽培用培地。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培方法。
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