JP6038262B1 - 管の熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理炉の小型化を図ることができ、熱処理作業の手間を軽減することが可能な管の熱処理装置を提供する。【解決手段】受口4を有する管2を炉内22で熱処理する熱処理装置1であって、管2を周方向へ回転させながら略水平に支持する支持装置9と、炉内22に設けられて受口4の外面を直接加熱する管外面用バーナ23,24とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、受口を有する管の熱処理装置および熱処理方法に関する。
一般に、管の受口の肉厚は受口以外の部分の肉厚よりも厚いため、管を熱処理炉内で単に加熱した場合、管の受口と受口以外の部分との熱処理が不均一になるといった問題があった。
このような問題の対策として、従来、例えば図8に示すように、熱処理炉101内に、管102を吊り下げる吊下装置103と、流動層炉104とが備えられたものがある。吊下装置103は、受口105が下になるように、管102を垂直に吊り下げるものである。また、流動層炉104は熱処理炉101内の床106に設置されている。
これによると、吊下装置103で、受口105が下になるように管102を吊り下げ、この管102を流動層炉104の上方まで移動し、管102を下降して受口105を流動層炉104内に挿入し、管102を熱処理炉101内で熱処理している間に、受口105を流動層炉104内で同時に熱処理する。これにより、管102の受口105と受口以外の部分107との熱処理が不均一になるのを防止することができる。
尚、上記のような流動層炉を内蔵した管の熱処理装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
特開2003−13142
しかしながら上記の従来形式では、管102の受口105を流動層炉104内に挿入するため、流動層炉104は受口105の外径dよりも大きくする必要があり、流動層炉104が大型化するとともに熱処理炉101が大型化するといった問題がある。
また、管102の姿勢を変更する工程(管軸を略水平にして運搬していた管102を、管軸が略垂直になるように吊り下げる工程)或いはその工程を行うためのスペースや設備が必要となり、さらに生産性も悪かった。また、熱処理炉101内において、管102を上げ下げして、受口105を上方から流動層炉104内に挿入したり或いは流動層炉104内から上方へ離脱させる操作が必要であるため、熱処理作業に手間を要するといった問題がある。
本発明は、熱処理炉の小型化を図ることができ、熱処理作業の手間を軽減することが可能な管の熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明は、受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
管を周方向へ回転させながら略水平に支持する支持装置と、
炉内に設けられて受口の外面を直接加熱する複数の管外面用バーナとを有し、
管外面用バーナは、管の周方向において異なる位置に配置されているとともに、管軸心方向において異なる位置に配置され、且つ、下向きに傾斜しているものである。
これによると、管は、支持装置により略水平姿勢に支持されて回転しながら、炉内で熱処理される。この際、受口の外面は管外面用バーナにより直接加熱されるため、受口が十分に熱処理され、管の受口と受口以外の部分との熱処理が不均一になるのを防止することができる。
また、従来のように管の受口のサイズに応じた大型の流動層炉を炉内に設置する必要は無いため、熱処理炉の小型化を図ることができる。さらに、炉内において、吊下装置で管を吊り下げたり吊って上げ下げする必要は無いため、熱処理作業の手間を軽減することができる。
また、複数の管外面用バーナが管軸心方向において異なる位置に配置されているため、受口の広範囲を十分に熱処理することができ、受口が局部的に過熱されるのを防止することができる。また、複数の管外面用バーナが管の周方向において異なる位置に配置されているため、受口の温度変動が縮小され、良好な熱処理が行える。
さらに、管外面用バーナは下向きに傾斜しているため、管の口径が変わっても、受口の外面を管外面用バーナで直接加熱することができる。
本第発明における管の熱処理装置は、受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
管を周方向へ回転させながら略水平に支持する支持装置と、
炉内に設けられて受口の外面を直接加熱する管外面用バーナとを有し、
受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナが炉内に設けられ、
管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜しているものである。
これによると、管内面用バーナで受口の端部開口部から管の内部を加熱することにより、加熱された高温の空気が管内面に沿ってスパイラル(螺旋)状の旋回流となって流れる。これにより、管内面が受口から均一に加熱され、管を均一に熱処理することができる。
本第3発明における管の熱処理装置は、受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナが炉内に設けられ、
管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜しているものである。
本第4発明は、受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
管を回転させながら略水平に支持する支持装置と、
炉内に設けられて受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナとを有し、
管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜しているものである。
これによると、管は、支持装置により略水平姿勢に支持されて回転しながら、炉内で熱処理される。この際、管内面用バーナで受口の端部開口部から管の内部を加熱することにより、加熱された空気が管内面に沿ってスパイラル(螺旋)状の旋回流となって流れる。これにより、管内面が受口から均一に加熱され、管を均一に熱処理することができる。
また、従来のように管の受口のサイズに応じた大型の流動層炉を炉内に設置する必要は無いため、熱処理装置の小型化を図ることができる。さらに、炉内において、吊下装置で管を吊り下げたり吊って上げ下げする必要は無いため、熱処理作業の手間を軽減することができる。
本第5発明における管の熱処理装置は、炉内の空間部分を加熱する雰囲気バーナを有し、
雰囲気バーナは管から離れた空間部分に向いているものである。
これにより、雰囲気バーナで炉内を加熱することにより、炉内の温度分布が均一になるように調節することができ、管を均一に熱処理することができる。
本第6発明における管の熱処理装置は、支持装置は、略水平の管の外周に当接して管を下方から受ける一対の受けローラと、これら受けローラを下方から支持する複数の支持ローラと、いずれかの支持ローラを回転駆動させる回転駆動装置とを有し、
受けローラは支持ローラ上に回転自在に載置されているものである。
これによると、回転駆動装置によっていずれかの支持ローラを回転駆動させることにより、上記いずれかの支持ローラの回転が受けローラと他の支持ローラとに伝達され、受けローラと支持ローラとが回転し、一対の受けローラで受けられた管が略水平姿勢で回転する。
この際、受けローラは支持ローラ上に回転自在に載置されているため、受けローラを支持するためのローラ軸を不要にすることができる。このように、受けローラはローラ軸を備えていないため、加熱された管の熱が受けローラからローラ軸を伝わって炉外へ逃げるのを防止することができる。
また、管と支持ローラとの間に受けローラが介在するため、管の熱が支持ローラまで伝わり難くなり、支持ローラを回転自在に支持している軸受装置等が高温になるのを防止することができる。これにより、支持ローラの軸受装置等を冷却する必要はなく、支持ローラの軸受装置等が高温により損傷するのを防止することができる。
本第7発明における管の熱処理装置は、管の管軸心方向の位置ずれを検出するずれ検出手段を有し、
一対の受けローラのうちの少なくとも一方の受けローラの回転軸心の向きが、管軸心方向から見て、管軸心に対し左右いずれかに傾斜しており、
回転駆動装置は支持ローラの回転方向を正回転と逆回転とに切り換え可能であり、
ずれ検出手段の検出に基づいて、回転駆動装置により回転駆動される支持ローラの回転方向が切り換えられるものである。
これによると、一対の受けローラのうちの少なくとも一方の受けローラの回転軸心の向きが、管軸心方向から見て、管軸心に対し左右いずれかに傾斜しているため、一対の受けローラが正回転した場合、一対の受けローラ上の管は、一方向に回転しながら、管軸心のいずれか一方向に少しずつ移動する。また、一対の受けローラが逆回転した場合、一対の受けローラ上の管は、他方向に回転しながら、管軸心の他方向に少しずつ移動する。
これにより、回転駆動装置が支持ローラの回転方向を切り換えて、一対の受けローラを正回転および逆回転させることにより、一対の受けローラ上の管を管軸心方向へ意図的に移動させることができる。
例えば、回転駆動装置が支持ローラを正回転させて、管が一対の受けローラに受けられて略水平姿勢で一方向へ回転している際、管が管軸心のいずれか一方向へずれて、ずれ検出手段が管の一方向へのずれを検出すると、回転駆動装置が支持ローラを正回転から逆回転に切り換える。これにより、一対の受けローラが逆回転し、管が、一対の受けローラに受けられて略水平姿勢で他方向へ回転しながら、管軸心の他方向へ移動する。
その後、ずれ検出手段が管の他方向へのずれを検出すると、回転駆動装置が支持ローラを逆回転から正回転に切り換える。これにより、一対の受けローラが正回転し、管が、一対の受けローラに受けられて略水平姿勢で一方向へ回転しながら、管軸心の一方向へ移動する。
その後、ずれ検出手段が管の一方向へのずれを検出すると、回転駆動装置が支持ローラを正回転から逆回転に切り換え、管が管軸心の他方向へ移動する。
上記の動作が繰り返されることにより、管を意図的に管軸心方向へ僅かな範囲だけ往復移動させて、管の管軸心方向のずれ量を小さく抑制することができる。
本第8発明は、上記第1発明から第3発明のいずれか1項に記載の管の熱処理装置を用いた管の熱処理方法であって、
炉内において、支持装置で管を回転させながら略水平に支持し、
回転している管の受口の外面を管外面用バーナで直接加熱するものである。
以上のように本発明によると、熱処理炉の小型化を図ることができ、熱処理作業の手間を軽減することが可能である。
本発明の実施の形態における熱処理装置の側方から見た縦断面図である。 同、熱処理装置の管軸心方向から見た縦断面図である。 同、熱処理装置の横断面図である。 同、熱処理装置の受けローラと支持ローラの配置を示す平面図である。 同、熱処理装置で熱処理される管の受口部分と、受口の開口端部を検出する検出装置の概略側面図である。 同、熱処理装置で熱処理される管の受口部分と、受口の開口端部を検出する検出装置の概略平面図である。 同、熱処理装置で管を熱処理している際の加熱空気の流れを示す図である。 従来の熱処理装置の図である。
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、1は管2を熱処理(例えば焼鈍)する横型回転式の熱処理装置である。
管2は、例えば鋳鉄製であって、一端部に受口4を有し、他端部に挿口5を有している。尚、受口4の肉厚は受口4以外の部分の肉厚よりも厚く形成されている。以下、管2の受口4以外の部分を直管部6と言う。
熱処理装置1は、下方が開放された熱処理炉7と、管2を運搬する走行台車8と、管2を周方向へ回転させながら水平に支持する支持装置9とを有している。
図1〜図3に示すように、熱処理炉7は、グラスファイバー等の耐火材からなり、天井炉壁12と、左右一対の側部炉壁13,14と、奥側に設けられた後部炉壁15と、手前側に設けられた開閉自在な扉16とを有している。尚、扉16は、昇降用モータ17によって、上下に移動して開閉される。
走行台車8は、床19に敷設されたレール20に支持案内されて走行し、図1の仮想線に示すように、扉16を開いた熱処理炉7の内外に出入り自在である。また、支持装置9は走行台車8に設けられている。
炉内22には、支持装置9で支持された管2の受口4の外面を直接加熱する複数の管外面用バーナ23,24が設けられている。すなわち、第1の管外面用バーナ23は熱処理炉7の一方の側部炉壁13に設けられ、第2の管外面用バーナ24は他方の側部炉壁14に設けられている。
これらの管外面用バーナ23,24は、図2に示すように、管2の周方向Aにおいてほぼ180°異なる位置に配置されているとともに、図3に示すように、管軸心方向B(すなわち管2の長手方向)において前後に異なる位置に配置されている。また、管外面用バーナ23,24はそれぞれ、水平面に対して所定角度C1(図2参照)で斜め下向きに傾斜しているとともに、管軸心26に直交する水平線27に対して所定角度C2(図3参照)で管軸心方向Bに傾斜している。
また、炉内22には、受口4の端部開口部から管2の内部を加熱する管内面用バーナ28が設けられている。すなわち、管内面用バーナ28は、熱処理炉7の後部炉壁15に設けられ、管軸心方向Bから見て、図1に示すように、水平面に対して所定角度C3で下向きに傾斜しているとともに、図3に示すように、管軸心26に対して所定角度C4で左右いずれか一方に傾斜している。
また、熱処理炉7の一方の側部炉壁13の上部には、炉内22の管2と天井炉壁12との間の空間部分29を加熱する複数の雰囲気バーナ30が設けられている。これら雰囲気バーナ30は水平面に対して所定角度C5(図2参照)で下向きに傾斜している。
また、熱処理炉7の上部には、炉内22の空気を外部に排気するための排気装置33が設けられている。排気装置33は、管軸心方向B(前後方向)に長い排気ダクト34と、炉内22の前部と排気ダクト34内とに連通する一方の連通ダクト35と、炉内22の後部と排気ダクト34内とに連通する他方の連通ダクト36とを有している。
一方の連通ダクト35内には、一方の連通ダクト35内の流路を開閉する一方の排気ダンパー37(一方の風量調節装置)が内蔵されている。また、他方の連通ダクト36内には、他方の連通ダクト36内の流路を開閉する他方の排気ダンパー38(他方の風量調節装置)が内蔵されている。
また、熱処理炉7の他方の側部炉壁14には、管2の受口4および直管部6の温度を計測する複数の放射温度計40が設けられている。
支持装置9は、管2の直管部6の外周に当接して管2を下方から受ける受けローラ43,44と、これら受けローラ43,44を下方から支持する複数の支持ローラ45〜47と、中央の支持ローラ46を回転駆動させる回転駆動装置49とを有している。
受けローラ43,44は、管軸心方向Bから見て、左右一対配置されている。また、支持ローラ45〜47は、管軸心方向Bから見て、左右一方および他方と、これら両方の中央部とに配置されている。
一方の受けローラ43は左右一方の支持ローラ45と中央の支持ローラ46との間に上方から回転自在に載置され支持されている。また、他方の受けローラ44は左右他方の支持ローラ47と中央の支持ローラ46との間に上方から回転自在に載置され支持されている。
図3に示すように、受けローラ43,44および支持ローラ45〜47はそれぞれ、管軸心方向Bにおいて、3台ずつ配置されている。尚、受けローラ43,44の設置位置は、管外面用バーナ23,24による直接加熱箇所に対して、管軸心方向Bにずれている。
また、各支持ローラ45〜47の両端部には鍔部48が設けられている。受けローラ43,44は、支持ローラ45〜47間に載置された状態で、支持ローラ45〜47の両鍔部48間に嵌まり込んでいる。
図4に示すように、各支持ローラ45〜47はそれぞれ、プランマブロック等の軸受装置58によって、走行台車8上に回転自在に取り付けられている。尚、中央および他方の各支持ローラ46,47はそれぞれ、その回転軸心46a,47aが管軸心26と平行になるように前後方向に配置されている。また、一方の支持ローラ45は、その回転軸心45aが管軸心26に対して、左右いずれか一方に傾斜するように配置されている。
上記のような向きに配置された支持ローラ45〜47によって、一方の受けローラ43の回転軸心43aの向きが、管軸心方向Bから見て、管軸心26に対し、所定角度C6で左右いずれか一方に傾斜している。また、他方の受けローラ44の回転軸心44aの向きは管軸心26と平行になるように前後方向に定められる。
回転駆動装置49は、中央の各支持ローラ46と一体に回転する回転軸51と、モータ52と、モータ52の回転を回転軸51に伝える伝達装置53とを有している。尚、伝達装置53は、モータ52の出力軸に設けられた一方のスプロケット54と、回転軸51の端部に設けられた他方のスプロケット55と、これら両スプロケット54,55間に巻回されたチェン56等を有している。
モータ52は正・逆切換え駆動が可能であり、モータ52の正・逆駆動を切り換えることにより、中央の各支持ローラ46の回転方向を正回転方向D1と逆回転方向D2とに切り換えることができる。
また、走行台車8には、炉内22の下方を覆う下部炉壁60と、ストッパ装置61とが設けられている。下部炉壁60はグラスファイバー等の耐火材からなり、下部炉壁60には内外に開口した複数の開口部65(図1参照)が形成され、受けローラ43,44は開口部65から炉内22に突入している。
図1,図3に示すように、ストッパ装置61は、管2の受口4の開口端部が下部炉壁60の後端縁部60aに接触するのを阻止するためのものであり、支軸64を介して炉内22に設けられたストッパローラ62を有している。ストッパローラ62は、上下方向の軸心63を中心に回転自在な円錐台状のローラであり、受けローラ43,44上に支持された管2の受口4の開口端部と下部炉壁60の後端縁部60aとの間に位置している。
図1,図5,図6に示すように、熱処理炉7の他方の側部炉壁14には、受けローラ43,44上に支持された管2の受口4の開口端部の位置を検出する第1〜第3の検出装置66〜68が設けられている。これら検出装置66〜68は、管2の管軸心方向Bの位置ずれを検出するずれ検出手段の一例であり、例えばレーザセンサー等が用いられ、管軸心方向Bに一直線上に並んでいる。尚、各検出装置66〜68は、受口4を検出した場合にオンに切り換わり、受口4を検出しない場合にオフに切り換わる。
また、熱処理装置1には、第1〜第3の検出装置66〜68の検出に基づいて、回転駆動装置49のモータ52を制御する制御装置(図示省略)が備えられている。
以下、上記構成における作用を説明する。
管2を受けローラ43,44上に載せて水平姿勢で支持し、この状態で、走行台車8がレール20に支持案内されて走行する。図1の仮想線で示すように、熱処理炉7の扉16を上昇させて熱処理炉7の前面を開き、管2と共に走行台車8を炉内22に搬入する。その後、図1の実線で示すように、扉16を下降させて熱処理炉7の前面を閉じる。これにより、炉内22の下方が走行台車8の下部炉壁60で覆われる。
回転駆動装置49のモータ52の駆動により、回転軸51が回転し、中央の支持ローラ46が回転し、中央の支持ローラ46の回転が受けローラ43,44に伝えられて、受けローラ43,44が回転し、受けローラ43,44の回転が一方および他方の支持ローラ45,47に伝えられて一方および他方の支持ローラ45,47が回転する。これにより、管2が水平姿勢で支持された状態で一方向E1に回転する。
このように管2が回転している状態で、第1および第2の管外面用バーナ23,24と管内面用バーナ28と雰囲気バーナ30とで加熱する。この際、図2に示すように、受口4の外面は第1および第2の管外面用バーナ23,24により直接加熱されるため、受口4が十分に熱処理され、管2の受口4と直管部6との熱処理が不均一になるのを防止することができる。
また、図3に示すように、第1および第2の管外面用バーナ23,24は管軸心方向Bにおいて前後に異なる位置に配置されているため、受口4の広範囲を十分に熱処理することができ、受口4が局部的に過熱されるのを防止することができる。
また、第1および第2の管外面用バーナ23,24は管2の周方向Aにおいてほぼ180°異なる位置に配置されているため、回転している受口4の温度変動が縮小され、良好な熱処理が行える。
さらに、図2に示すように、第1および第2の管外面用バーナ23,24は所定角度C1で斜め下向きに傾斜しているため、大口径の管76や小口径の管77(図2の仮想線参照)であっても、受口4の外面を管外面用バーナ23,24で直接加熱することができる。
また、図3に示すように、管内面用バーナ28は管軸心26に対して所定角度C4で左右いずれか一方に傾斜しているため、図7に示すように、管内面用バーナ28で受口4の端部開口部から管2の内部を加熱することにより、加熱された高温の空気が管内面に沿ってスパイラル(螺旋)状の旋回流73となって流れる。これにより、管2の内面が受口4から均一に加熱され、管2を均一に熱処理することができる。
尚、管内面用バーナ28は水平面に対して所定角度C3で下向きに傾斜しているため、口径の異なる管2であっても、管2の内面を確実に加熱することができる。
また、各雰囲気バーナ30で炉内22を加熱することにより、炉内22の温度分布が均一になるように調節することができ、管2を均一に熱処理することができる。
以上のようなことにより、従来のように管2の受口4のサイズに応じた大型の流動層炉を炉内22に設置する必要は無いため、熱処理炉7の小型化を図ることができる。さらに、炉内22において、吊下装置で管2を吊り下げたり吊って上げ下げする必要は無いため、熱処理作業の手間を軽減することができる。
図2に示すように、受けローラ43,44は支持ローラ45〜47上に回転自在に載置されているため、受けローラ43,44を支持するためのローラ軸を不要にすることができる。このように、受けローラ43,44はローラ軸を備えていないため、加熱された管2の熱が受けローラ43,44からローラ軸を伝わって炉外へ逃げるのを防止することができる。
また、管2と支持ローラ45〜47との間に受けローラ43,44が介在するため、管2の熱が支持ローラ45〜47まで伝わり難くなり、支持ローラ45〜47を回転自在に支持している軸受装置58が高温になるのを防止することができる。これにより、軸受装置58を冷却する必要はなく、軸受装置58が高温により損傷するのを防止することができる。
尚、図2に示すように、受けローラ43,44の一部および支持ローラ45〜47は下部炉壁60の下方に位置しているため、炉内22の熱が下部炉壁60で遮断され、受けローラ43,44および支持ローラ45〜47が炉内22の熱の影響を受け難い構造になり、受けローラ43,44および支持ローラ45〜47が高温になるのを抑制することができる。
図3に示すように、受けローラ43,44の設置位置は管外面用バーナ23,24による直接加熱箇所に対して管軸心方向Bにずれているため、管外面用バーナ23,24で直接加熱された受口4の熱が受けローラ43,44へ伝わり難くなり、受口4の熱が受けローラ43,44を介して逃げるのを抑制することができる。
図4に示すように、一方の受けローラ43の回転軸心43aの向きが、管軸心方向Bから見て、管軸心26に対し左右いずれか一方に傾斜しているため、一対の受けローラ43,44が正回転方向F1に回転した場合、一対の受けローラ43,44上の管2は、一方向E1に回転しながら、管軸心26のいずれか一方向G1(例えば後方:図1参照)に少しずつ移動する。また、一対の受けローラ43,44が逆回転方向F2に回転した場合、一対の受けローラ43,44上の管2は、他方向E2に回転しながら、管軸心26の他方向G2(例えは前方:図1参照)に少しずつ移動する。
このように、モータ52で支持ローラ46の回転方向を切り換えて、一対の受けローラ43,44を正回転方向F1および逆回転方向F2に回転させることにより、一対の受けローラ43,44上の管2を管軸心方向Bへ意図的に移動させて、管2の管軸心方向Bへの動きを以下のように制御することができる。
すなわち、管2を熱処理する際、管2を受けローラ43,44上に載せて水平姿勢で支持するが、このとき、図5,図6の実線に示すように、受口4の開口端部を第1の検出装置66と第2の検出装置67との間に位置させておく。これにより、第1の検出装置66が受口4を検出せずにオフとなり、第2および第3の検出装置67,68が受口4を検出してオンとなる。
この状態で、モータ52を正駆動させて、図2に示すように、一対の受けローラ43,44を正回転方向F1に回転させることにより、一対の受けローラ43,44上の管2が一方向E1に回転しながら管軸心26の一方向G1に少しずつ移動し、図5,図6の仮想線に示すように、受口4の開口端部が第1の検出装置66の検出位置に達すると、第1の検出装置66が受口4を検出してオンに切り換わる。
これにより、第1〜第3の全ての検出装置66〜68がオンになり、管2の一方向G1へのずれが検出される。この場合、モータ52を正駆動から逆駆動に切り換えて、図2に示すように、一対の受けローラ43,44を逆回転方向F2に回転させることにより、一対の受けローラ43,44上の管2が他方向E2に回転しながら管軸心26の他方向G2に少しずつ移動する。そして、図5,図6の実線に示すように、管2の受口4の開口端部が第1の検出装置66と第2の検出装置67との間に戻ると、第1の検出装置66が受口4を検出せずにオフに切り換わる。
その後、引き続いて管2が他方向E2に回転しながら管軸心26の他方向G2に移動し、図5,図6の点線に示すように、受口4の開口端部が第2の検出装置67と第3の検出装置68との間に達すると、第2の検出装置67が受口4を検出せずにオフに切り換わり、これにより、第1および第2の検出装置66,67がオフ、第3の検出装置68がオンとなり、管2の他方向G2へのずれが検出される。
この場合、モータ52を逆駆動から正駆動に切り換えて、一対の受けローラ43,44を正回転方向F1に回転させることにより、一対の受けローラ43,44上の管2が一方向E1に回転しながら管軸心26の一方向G1に移動し、図5,図6の実線に示すように、受口4の開口端部が第1の検出装置66と第2の検出装置67との間に戻ると、第2の検出装置67が受口4を検出してオンに切り換わる。
その後、引き続いて管2が一方向E1に回転しながら管軸心26の一方向G1に移動し、図5,図6の仮想線に示すように、受口4の開口端部が第1の検出装置66の検出位置に達すると、第1の検出装置66が受口4を検出してオンに切り換わる。
これにより、第1〜第3の全ての検出装置66〜68がオンになり、管2の一方向G1へのずれが検出される。この場合、モータ52を正駆動から逆駆動に切り換えて、一対の受けローラ43,44を逆回転方向F2に回転させ、一対の受けローラ43,44上の管2を他方向E2に回転させながら管軸心26の他方向G2に移動させることを繰り返す。
このように、管2を意図的に管軸心方向Bへ僅かな範囲だけ往復移動させることにより、管2の管軸心方向Bのずれ量をほぼ第1の検出装置66と第2の検出装置67との間隔程度に小さく抑制することができる。
また、万一、第1の検出装置66が故障等により受口4を検出できない検出不能状態に陥った場合、管2が回転しながら管軸心26の一方向G1に移動しても、図1に示すように、受口4の開口端部がストッパローラ62に当接することにより、ストッパローラ62は、軸心63を中心に回転しながら、管2が一方向G1へ許容量を超えて移動することを阻止する。このため、受口4の開口端部が下部炉壁60の後端縁部60aに接触するのを阻止することができる。
また、万一、管2が回転しながら管軸心26の他方向G2に移動している際に、第2の検出装置67が受口4を誤検出しても、第3の検出装置68が受口4を検出している状態(オン)から非検出(オフ)に切り換わると、モータ52を停止させる。これにより、受けローラ43,44の回転が停止し、管2の回転と他方向G2への移動とが停止される。これにより、管2が他方向G2へ許容量を超えて移動するのを阻止することができ、図1に示すように、管2の挿口5が扉16や下部炉壁60の前端縁部60bに接触するのを防止することができる。
尚、上記実施の形態では、検出装置66,67,68は、受口4の開口端部の位置を検出する様に設けられているが、挿口5の開口端部の位置を検出する様に設けられても良い。ただし、受口4の開口端部の位置を検出する様に検出装置66,67,68を設けていれば、管2の有効長が変わっても、管2の一端部の検出が可能となるため好ましい。
また、第1および第2の管外面用バーナ23,24と管内面用バーナ28と雰囲気バーナ30とで加熱して管2を熱処理している際、放射温度計40で計測された管2の受口4および直管部6の温度に基づいて各バーナ23,24,28,30による加熱量を調節し、一方の排気ダンパー37と他方の排気ダンパー38を開閉したり或いは排気ダンパー37,38の開度を調節することにより、炉内22を大気圧以上の正圧に保って、温度を適正に管理することができる。
例えば、熱処理の際、図7に示すように、一方の排気ダンパー37を閉じ、他方の排気ダンパー38を開くことにより、管内面用バーナ28によって管2の内部に発生した旋回流73が、管2の挿口5の開口端部から炉内22へ流出し、高温の空気の流れ74となって、管2の上方を前方から後方へ流れ、他方の連通ダクト36内を通って排気ダクト34内に流れ込み、排気ダクト34内から炉外へ排出される。これにより、管2の挿口5から炉内22へ流出した高温の空気の流れ74が管2の上方を管2のほぼ全長にわたり流れるため、炉内22の温度を高温に保つことができる。
また、炉内22で管2を加熱した後、各バーナ23,24,28,30の使用を停止して管2を冷却する際においても、一方の排気ダンパー37と他方の排気ダンパー38を開閉したり或いは排気ダンパー37,38の開度を調節することにより、炉内22の温度を調節しながら冷却することができる。この際、適宜、管内面用バーナ28又は雰囲気バーナ30を使用して炉内22の冷却速度を調整してもよい。
尚、炉内22での熱処理が完了し、冷却した後、図1の仮想線で示すように、扉16を開き、管2と共に走行台車8を炉内22から炉外へ搬出する。
上記実施の形態では、図1,図3に示すように、管内面用バーナ28は、水平面に対して所定角度C3で下向きに傾斜しているとともに、管軸心26に対して所定角度C4で左右いずれか一方に傾斜しているが、上向きに傾斜していてもよく、或いは、左右いずれか他方に傾斜していてもよい。
上記実施の形態では、図4に示すように、一方の受けローラ43の回転軸心43aの向きを管軸心26に対して左右いずれか一方に傾斜し、他方の受けローラ44の回転軸心44aの向きを管軸心26と平行になるように前後方向に定めているが、一方の受けローラ43の回転軸心43aの向きを前後方向に定め、他方の受けローラ44の回転軸心44aの向きを左右いずれか一方に傾斜してもよい。或いは、両方の受けローラ43,44の回転軸心43a,44aの向きを管軸心26に対して左右いずれかに傾斜してもよい。
上記実施の形態では、図3に示すように、管2を受けローラ43,44で支持する際、管外面用バーナ23,24による直接加熱箇所から管軸心方向Bにずれた部位を下方から受けローラ43,44で支持しているが、管外面用バーナ23,24による直接加熱箇所を下方から受けローラ43,44で支持してもよい。この場合、加熱により軟化した直接加熱箇所が受けローラ43,44で支持されるため、受口4の直接加熱箇所の変形が抑制される。
また、上記実施の形態では、図1に示すように、受けローラ43,44はいずれも直管部6の外周に当接して管2を下方から受けているが、受口4の外周に当接してもよい。受口4は、直管部6よりも肉厚が厚く、外径が大きく、管軸心方向B(管長手方向)における単位長さ当りの重量が直管部6に比べて重いため、受口4に最も近い受けローラ43,44からの反力がその他の受けローラ43,44からの反力よりも大きく、管2は受口4に最も近い受けローラ43,44の箇所が他の受けローラ43,44の箇所に比べて変形(縮径)し易くなる。従って、受口4を受けローラ43,44で直接支持することにより、受口4に最も近い受けローラ43,44からの反力による直管部6の変形を抑制することができる。尚、この場合、受口4と直管部6との外径が異なるので、若干の設備対策が別途必要になる。
図1〜図3に示すように、上記実施の形態では、管外面用バーナ23,24を2台、管内面用バーナ28を1台、雰囲気バーナ30を3台設けているが、これらの台数に限定されるものではなく、これらの台数以外の複数台或いは単数台(1台)であってもよい。
上記実施の形態では、管2を受けローラ43,44で水平に支持する際、正確に水平に支持してもよく、或いは、僅かに上下に傾斜した姿勢で支持してもよい。このように正確な水平姿勢と僅かに上下に傾斜した姿勢とを含む水平姿勢を略水平と称する。
1 熱処理装置
2 管
4 受口
9 支持装置
22 炉内
23,24 管外面用バーナ
26 管軸心
28 管内面用バーナ
29 空間部分
30 雰囲気バーナ
43,44 受けローラ
43a 回転軸心
45〜47 支持ローラ
49 回転駆動装置
66〜68 検出装置(ずれ検出手段)
A 管の周方向
B 管軸心方向
D1 正回転方向
D2 逆回転方向

Claims (8)

  1. 受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
    管を周方向へ回転させながら略水平に支持する支持装置と、
    炉内に設けられて受口の外面を直接加熱する複数の管外面用バーナとを有し、
    管外面用バーナは、管の周方向において異なる位置に配置されているとともに、管軸心方向において異なる位置に配置され、且つ、下向きに傾斜していることを特徴とする管の熱処理装置。
  2. 受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
    管を周方向へ回転させながら略水平に支持する支持装置と、
    炉内に設けられて受口の外面を直接加熱する管外面用バーナとを有し、
    受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナが炉内に設けられ、
    管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜していることを特徴とする管の熱処理装置。
  3. 受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナが炉内に設けられ、
    管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の管の熱処理装置。
  4. 受口を有する管を炉内で熱処理する熱処理装置であって、
    管を回転させながら略水平に支持する支持装置と、
    炉内に設けられて受口の端部開口部から管の内部を加熱する管内面用バーナとを有し、
    管内面用バーナの向きが、管軸心方向から見て、受口の端部開口部に対し、上下いずれか一方および左右いずれか一方に傾斜していることを特徴とする管の熱処理装置。
  5. 炉内の空間部分を加熱する雰囲気バーナを有し、
    雰囲気バーナは管から離れた空間部分に向いていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管の熱処理装置。
  6. 支持装置は、略水平の管の外周に当接して管を下方から受ける一対の受けローラと、これら受けローラを下方から支持する複数の支持ローラと、いずれかの支持ローラを回転駆動させる回転駆動装置とを有し、
    受けローラは支持ローラ上に回転自在に載置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の管の熱処理装置。
  7. 管の管軸心方向の位置ずれを検出するずれ検出手段を有し、
    一対の受けローラのうちの少なくとも一方の受けローラの回転軸心の向きが、管軸心方向から見て、管軸心に対し左右いずれかに傾斜しており、
    回転駆動装置は支持ローラの回転方向を正回転と逆回転とに切り換え可能であり、
    ずれ検出手段の検出に基づいて、回転駆動装置により回転駆動される支持ローラの回転方向が切り換えられることを特徴とする請求項6記載の管の熱処理装置。
  8. 上記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管の熱処理装置を用いた管の熱処理方法であって、
    炉内において、支持装置で管を回転させながら略水平に支持し、
    回転している管の受口の外面を管外面用バーナで直接加熱することを特徴とする管の熱処理方法。
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