JP2019007675A - 熱処理炉及びこれに用いられる遮熱機構 - Google Patents

熱処理炉及びこれに用いられる遮熱機構 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の熱処理室を連通して配置する熱処理炉において、簡単な構成で熱処理室間の熱移動を抑制する。【解決手段】複数の熱処理室2の間で被処理材を搬送する搬送機構7と、被処理材が複数の熱処理室2のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室2と隣接する熱処理室2との間に位置する連通口4からの熱移動を遮る遮熱機構10と、を備え、搬送機構7は、被処理材と共に移動可能な移動体8を有し、遮熱機構10は、熱処理炉体1に設けられ、連通口4を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材11と、移動体8の一部に設けられ、移動体8が複数の熱処理室2の予め決められた位置に移動したときに連通口4を閉塞する第2の遮熱部材12と、を有し、少なくとも一つの連通口4に対しては第1の遮熱部材11及び第2の遮熱部材12の両方を使用可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鉱石等を熱処理する熱処理炉に係り、特に、複数の熱処理室を連通して配置する熱処理炉及びこれに用いられる遮熱機構に関する。
例えば鉱石等の熱処理で、結晶水の乾燥、高温における酸化反応等の複数の温度条件下で加熱処理を行う場合には、匣鉢に前記鉱石等を入れ、熱処理炉内に前記匣鉢をセットし、熱処理炉を昇温して乾燥し、さらに昇温して酸化を行う。このとき、乾燥処理は、通常400℃〜500℃の温度で行い、また、前記酸化処理においては、例えば1000℃以上の温度で行うことがある。
ところで、熱処理炉内に前記匣鉢をセットし、乾燥するために炉内温度を昇温させて前記鉱石等を乾燥処理し、ついで目的の反応(例えば酸化反応)を起こすために炉内温度を昇温させて前記鉱石等を酸化処理させるとき、昇温に時間を要して、前記乾燥から前記酸化反応させるまでの昇温過程において目的とする反応以外の副反応が発生することがある。これは、鉱石等は目的とする元素以外の元素を含んでおり、これら元素の酸化反応、還元反応、その他反応は、温度によって元素ごとに反応の起こりやすさが異なるためである。
そこで、熱処理炉内に複数の熱処理室を有し、被処理材は熱処理室間を移動し、それぞれの熱処理室において所望の温度で熱処理する多室型熱処理炉が知られている。しかし、上記多室型熱処理炉においては、隣接する熱処理室間の熱の移動により熱効率が低下することがある。これを防ぐため、例えば特許文献1に記載の加熱炉では、加熱炉本体の加熱空間の前部に加熱室を、後部に予熱室を有する加熱炉において、加熱室と予熱室との境界にシャッターを開閉自在に設け、加熱室から予熱室への熱の移動を防いでいる。
また、特許文献2に記載の熱処理炉では、被処理体を熱処理する熱処理炉であって、炉体の内部に備えた仕切壁に、被処理体を通過させる通過口を設け、通過口を開閉する仕切扉と、通過口の開口時に仕切扉を収納する収納部と、仕切壁を昇降させる昇降機構と、を備え、仕切扉に固着された連結部材と、連結部材を所定の範囲だけ可動するように保持する位置調整機構と、位置調整機構を支持する支持部材と、を介して仕切扉は昇降機構に支持される態様が開示され、通過口を仕切扉で閉塞して、熱及びガスの移動を防いでいる。
このような先行技術(特許文献1,2)を用いるようにすれば、上記の例では、複数の熱処理室を有する熱処理炉内で、鉱石等を400℃〜500℃で乾燥し、ついで1000℃で酸化処理するというように、昇温に時間を要することなく異なる昇温パターンで鉱石等の熱処理を行うことが可能であるため、副反応の発生を抑えることができる。
実公平3−30796号公報(実施例、第2図) 特開2014−196854号公報(発明を実施するための形態、図2)
しかしながら、特許文献1,2に記載の熱処理炉(加熱炉を含む)にあっては、高温下においては、熱処理炉内の仕切壁の通過口や仕切扉(シャッター)が、膨張あるいは収縮をして変形する。このため、仕切壁の通過口や仕切扉(シャッター)の寸法の変化を吸収するために、前記寸法の変化を見越して仕切壁の通過口や仕切扉(シャッター)を配置する必要があり、仕切壁の通過口と仕切扉(シャッター)との間隔を小さくすることができない。
従って、複数の熱処理室を有する熱処理炉での鉱石等の加熱時に仕切扉(シャッター)によって仕切壁の通過口を閉塞しても、隣接する熱処理室の温度差が大きく、例えば一方の熱処理室の設定温度が約1000℃以上で、他方の熱処理室の設定温度が500℃未満のとき、仕切壁の通過口と仕切扉(シャッター)との間の隙間を通じて高温側の熱処理室から低温側の熱処理室へ熱が流入して、低温側の熱処理室の室温が500℃以上となる事態が起こり得る。鉱石等の熱処理においては、低温側の熱処理室の温度が500℃以上になると、鉱石等の結晶水の除去だけでなく、予定しない反応が起こり、1000℃での熱処理後、鉱石等を冷却して熱処理炉から取り出すと、目的の熱処理をした鉱石等が得られないという懸念がある。
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数の熱処理室を連通して配置する熱処理炉において、簡単な構成で熱処理室間の熱移動を抑制することにある。
本発明の第1の技術的特徴は、断熱材で区画される複数の熱処理室を有し、隣接する熱処理室を仕切る仕切り壁に連通口を開設した熱処理炉体と、前記熱処理炉体に設けられ、前記複数の熱処理室内の被処理材を異なる温度条件で熱処理する熱処理具と、前記複数の熱処理室の間で被処理材を搬送する搬送機構と、前記被処理材が複数の熱処理室のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室と隣接する熱処理室との間に位置する連通口からの熱移動を遮る遮熱機構と、を備え、前記搬送機構は、前記被処理材と共に移動可能な移動体と、当該移動体を予め決められた搬送軌跡に沿って搬送する搬送部材とを有し、前記遮熱機構は、前記熱処理炉体に設けられ、前記連通口を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材と、前記移動体の一部に設けられ、前記移動体が複数の熱処理室の予め決められた位置に移動したときに前記連通口を閉塞する第2の遮熱部材と、を有し、少なくとも一つの連通口に対しては前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を使用可能とすることを特徴とする熱処理炉である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた熱処理炉において、前記遮熱機構は前記移動体の移動方向の前後に前記第2の遮熱部材を夫々有し、少なくとも前後いずれかの第2の遮熱部材で前記連通口を閉塞することを特徴とする熱処理炉である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた熱処理炉において、前記熱処理炉体は3以上の複数の熱処理室を有し、前記遮熱機構は、前記移動体が位置する熱処理室に隣接する熱処理室が前記移動体の移動方向前後の両方に存在する条件では、前記移動体の移動方向前後に各連通口を閉塞する第2の遮熱部材を有することを特徴とする熱処理炉である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた熱処理炉において、前記熱処理炉体は3以上の複数の熱処理室を有し、前記遮熱機構は、複数の熱処理室のうち最も温度差を有する隣接する熱処理室の連通口を、少なくとも前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を用いて閉塞することを特徴とする熱処理炉である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた熱処理炉において、前記熱処理炉体は熱処理室の一つとして前記被処理材をセットするためのセット室及び当該セット室を開閉するための扉を有し、前記搬送機構は、前記移動体に係脱自在に係止され且つセット室に対して当該移動体を出し入れする前記搬送部材としての出入用搬送部材を有することを特徴とする熱処理炉である。
本発明の第6の技術的特徴は、断熱材で区画される複数の熱処理室を有し、隣接する熱処理室を仕切る仕切り壁に連通口を開設した熱処理炉体と、前記熱処理炉体に設けられ、前記複数の熱処理室内の被処理材を異なる温度条件で熱処理する熱処理具と、前記複数の熱処理室の間で被処理材を搬送する搬送機構と、を備え、前記搬送機構が、前記被処理材と共に移動可能な移動体と、当該移動体を予め決められた搬送軌跡に沿って搬送する搬送部材とを有する熱処理炉に用いられ、前記被処理材が複数の熱処理室のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室と隣接する熱処理室との間に位置する連通口からの熱移動を遮る遮熱機構であって、前記熱処理炉体に設けられ、前記連通口を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材と、前記移動体の一部に設けられ、前記移動体が複数の熱処理室の予め決められた位置に移動したときに前記連通口を閉塞する第2の遮熱部材と、を有し、少なくとも一つの連通口に対しては前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を使用可能とすることを特徴とする熱処理炉に用いられる遮熱機構である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、複数の熱処理室を連通して配置する熱処理炉において、簡単な構成で熱処理室間の熱移動を抑制することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、移動体が複数の熱処理室のうちいずれの熱処理室に位置したとしても、移動体の移動方向の前後の少なくとも一方に設けられた第2の遮熱部材で連通口の遮熱効果を高めることができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、移動体が位置する熱処理室の前後に隣接して熱処理室が存在するとしても、移動体の前後に夫々設けられた第2の遮熱部材で連通口の遮熱効果を高めることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、第1の遮熱部材又は第2の遮熱部材のいずれかを用いる態様に比べて、最も温度差を有する隣接する熱処理室からの熱移動をより確実に抑制することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、本構成を有さない態様に比べて、熱処理炉に被処理材をセットする操作を容易に行うことができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、複数の熱処理室を連通して配置する熱処理炉において、熱処理室間の熱移動を抑制する遮熱機構を簡単に提供することができる。
本発明が適用された熱処理炉の実施の形態の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る熱処理炉の全体システムを示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる被処理材の移動ユニットを示す説明図、(b)は(a)中移動ユニットをB方向から見た矢視図、(c)は移動ユニットと出入用プッシャとの係わり合いを示す説明図、(d)は(c)中D方向から見た矢視図である。 (a)は図2中A−A線断面説明図、(b)は図2中B−B線断面説明図である。 実施の形態1に係る熱処理炉による熱処理制御過程を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る熱処理炉の熱処理過程を示す説明図である。 実施の形態1に係る熱処理炉の変形の形態1を示す説明図である。 実施の形態1に係る熱処理炉の変形の形態2を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された熱処理炉の実施の形態の概要を示す。
同図において、熱処理炉は、断熱材で区画される複数の熱処理室2(具体的には2a〜2c)を有し、隣接する熱処理室2を仕切る仕切り壁3(具体的には3a,3b)に連通口4(具体的には4a,4b)を開設した熱処理炉体1と、熱処理炉体1に設けられ、複数の熱処理室2内の被処理材(図示せず)を異なる温度条件で熱処理する熱処理具5(具体的には5b,5c)と、熱処理する被処理材を保持する保持容器6と、複数の熱処理室2の間で保持容器6に保持された被処理材を搬送する搬送機構7と、保持容器6に保持された被処理材が複数の熱処理室2のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室2(例えば2b)と隣接する熱処理室2(例えば2c)との間に位置する連通口4(具体的には4b)からの熱移動を遮る遮熱機構10と、を備え、搬送機構7は、保持容器6と共に移動可能な移動体8と、当該移動体8を予め決められた搬送軌跡に沿って搬送する搬送部材9とを有し、遮熱機構10は、熱処理炉体1に設けられ、連通口4(具体的には4b)を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材11と、移動体8の一部に設けられ、移動体8が複数の熱処理室2の予め決められた位置に移動したときに連通口4を閉塞する第2の遮熱部材12と、を有し、少なくとも一つの連通口4(例えば4b)に対しては第1の遮熱部材11及び第2の遮熱部材12の両方を使用可能とするものである。
尚、図1中、符号15は熱処理具5(具体的には5b,5c)による熱処理、搬送機構7の搬送部材9による移動体8の搬送処理及び遮熱機構10の第1の遮熱部材11による開閉処理などを制御する制御装置である。
このような技術的手段において、熱処理炉は例えば焼成等のための炉に限られず、熱処理を実施するための炉を広く含む。
また、熱処理炉体1は複数の熱処理室2を直線的に配置する態様が一般的であるが、曲線的に配置する態様や折曲して配置する態様をも含むものであり、また、熱処理炉体1への被処理材の出し入れのための扉については、図1に示すように、予め決められた熱処理室2(例えば2a)に出入共用の扉1aを設けるようにしてもよいし、あるいは、被処理材が複数の熱処理室2を予め決められた方向に向かって通過して取り出される態様では、装入用の扉、取出用の扉を別個に設けるようにしてもよい。
更に、熱処理具5は、各熱処理室2を予め決められた温度条件に熱処理する加熱器具、冷却器具を広く含み、その数や配置については熱処理室2内の雰囲気温度を略均等にすることが可能であれば適宜選定して差し支えない。尚、図1に示す態様では、熱処理室2の全てではなく、熱処理室2の一部(本例では熱処理室2b,2c)に熱処理具5(具体的には5b,5c)を設けた態様であるが、これに限られるものではなく、熱処理室2の全てに熱処理具5を設けていてもよいことは勿論である。
また、保持容器6は熱処理対象となる被処理材を保持する容器を広く含み、搬送機構7の移動体8と別体でもよいし、一体でもよい。尚、本例では、保持容器6が使用される態様を示しているが、保持容器6を用いずに移動体8と共に被処理材を移動させる態様でもよいことは勿論である。
更に、搬送機構7は移動体8及びこれの搬送部材9を有していればよく、搬送部材9は熱処理室2内で移動体8を搬送する機能部材(図1中の搬送部材9d)は勿論、移動体8を熱処理炉体1の外部に搬送する機能部材(図1中の出入用搬送部材9e)を含んでもよい。
更にまた、遮熱機構10は第1の遮熱部材11と第2の遮熱部材12とを有していればよく、少なくとも一つの連通口4(例えば4b)に対して第1、第2の遮熱部材11,12の両方を用いる態様であればよい。よって、複数の連通口4を有する態様では、少なくとも一つの連通口4(例えば4b)を除いて第1の遮熱部材11又は第2の遮熱部材12だけで連通口4(例えば4a)を閉塞するものであってもよい。尚、複数の連通口4を有する態様において、隣接する熱処理室2の温度条件として例えば温度差が小さい場合で特には遮熱を要しない連通口4に対しては、遮熱機構10を設けないように設計することも可能である。
次に、本実施の形態に係る熱処理炉の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、保持容器6の代表的態様としては、移動体8から分離可能に設置される態様が挙げられる。本例は、保持容器6が移動体8と分離可能な態様であって、移動体8から切り離した状態で保持容器6に被処理材を保持することが可能である。
また、遮熱機構10の好ましい態様としては、移動体8の移動方向の前後に第2の遮熱部材12(具体的には12f,12r)を夫々有し、少なくとも前後いずれかの第2の遮熱部材12(具体的には12f又は12r)で連通口4を閉塞する態様が挙げられる。本例は、移動体8の移動方向の前後に第2の遮熱部材12を夫々有しているため、各熱処理室2での移動体8の配置を工夫することで、前後のいずれかの第2の遮熱部材12で連通口4を閉塞することが可能である。
更に、熱処理炉の好ましい態様としては、熱処理炉体1は3以上の複数の熱処理室2(具体的には2a〜2c)を有し、遮熱機構10は、移動体8が位置する熱処理室2(例えば2b)に隣接する熱処理室2(例えば2a,2c)が移動体8の移動方向前後の両方に存在する条件では、移動体8の移動方向前後に各連通口4(具体的には4a,4b)を閉塞する第2の遮熱部材12(具体的には12f,12r)を有する態様が挙げられる。本例は、移動体8の移動方向の前後に第2の遮熱部材12(12f,12r)を有する態様で、移動体8が位置する熱処理室2(例えば2b)の前後に隣接して熱処理室2(例えば2a,2c)が存在する条件では、移動体8の移動方向に沿う熱処理室2bの寸法及び第2の遮熱部材12(12f,12r)の配置関係を適宜調整することにより前後の第2の遮熱部材12(12f,12r)で連通口4(具体的には4a,4b)を閉塞することが可能である。
また、熱処理炉の別の好ましい態様としては、熱処理炉体1は3以上の複数の熱処理室2(具体的には2a〜2c)を有し、遮熱機構10は、複数の熱処理室2のうち最も温度差を有する隣接する熱処理室2(例えば2b,2c)の連通口4(例えば4b)を、少なくとも第1の遮熱部材11及び第2の遮熱部材12の両方を用いて閉塞する態様が挙げられる。本例は、熱処理室2(2a〜2c)の各目標温度をTa〜Tcとしたときに、例えば|Tc−Tb|>|Tb−Ta|であると仮定すると、最も温度差を有する隣接する熱処理室2(例えば2b,2c)の連通口4(例えば4b)については、第1の遮熱部材11及び第2の遮熱部材12の両方を用いて二重に遮熱する態様である。
更に、熱処理炉の代表的態様としては、熱処理炉体1は熱処理室2の一つとして被処理材が保持された保持容器6をセットするためのセット室(例えば熱処理室2a)及び当該セット室を開閉するための扉1aを有し、搬送機構7は、移動体8に係脱自在に係止され且つセット室に対して当該移動体8を出し入れする搬送部材としての出入用搬送部材9eを有する態様が挙げられる。本例は、熱処理炉に被処理材をセットする際に、出入用搬送部材9eでセット室から移動体8を出し入れし、移動体8と共に移動する保持容器6に対し熱処理炉外で被処理材を保持させた後に熱処理炉内のセット室にセットすることが可能である。
次に、添付図面に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る熱処理炉の全体システムを示す説明図である。
−熱処理炉体−
同図において、熱処理炉20は、鉱石等の被処理材を焼成するための熱処理炉として構成され、内部に熱処理室22となる空間部が形成される熱処理炉体21を有している。
本例において、熱処理炉体21は、断熱材で区画された複数の熱処理室22を有し、隣接する熱処理室22を仕切る仕切り壁23(具体的には23a,23b)に連通口24(具体的には24a,24b)を開設したものである。
本例では、熱処理室22としては、被処理材がセットされるセット室22a、被処理材を乾燥させる乾燥室22b及び被処理材を焼成するために加熱する加熱室22cの3つの室空間に分けられている。ここで、断熱材は、熱処理室22における使用温度など使用環境に応じてセラミックファイバ板や耐火煉瓦あるいはモリブデン等の金属板などから適宜選定される。また、仕切り壁23は、熱処理室22における使用環境に応じて選定されるが、前述した断熱材と同様な材質のものを使用することが望ましい。更に、連通口24は被処理材を移動させるための移動ユニット30が通過可能な開口面積を有している。
また、熱処理炉体21のうち被処理材セット室22aの仕切り壁23aに対向する区画壁21aには被処理材を出し入れするための出入口25が開設されており、この出入口25は扉26にて開閉可能になっている。また、熱処理炉体21のうちセット室22aの上方には熱処理炉20を保守点検するための点検口27が開設されており、この点検口27は扉28にて開閉可能になっている。
−移動ユニット−
本実施の形態では、移動ユニット30は、図2及び図3(a)に示すように、複数の熱処理室22(セット室22a、乾燥室22b、加熱室22c)間を移動する例えば略矩形状のセラミック製の移動トレイ31を有し、この移動トレイ31の中央付近には鉱石等の被処理材Mが収容保持される保持容器としての匣鉢32を分離可能に設置したものであり、更に、図3(a)(b)に示すように、セット室22a内に位置する移動トレイ31のうちセット室22aの出入口25寄り縁部には連結フレーム33を設置したものである。尚、連結フレーム33の詳細については後述する。
−搬送機構−
また、本実施の形態では、搬送機構40は、熱処理炉20に対して移動ユニット30を出し入れし、更に、複数の熱処理室22間に亘って移動ユニット30を搬送するものである。
本例では、搬送機構40は、熱処理室22としてのセット室22a、乾燥室22b及び加熱室22cには移動ユニット30の搬送方向に対して数列ずつ搬送部材としてのハースローラ41を並設し、各ハースローラ41を正逆回転可能に駆動することで、正回転時にはセット室22aから乾燥室22b、加熱室22c側に向かって移動ユニット30を搬送し、逆回転時には加熱室22cから乾燥室22b、セット室22aに向かって移動ユニット30を搬送するものである。
本例において、ハースローラ41による移動ユニット30の支持面は連通口24(24a,24b)、出入口25の下縁よりも上方になるように選定されている。
更に、本例では、搬送機構40は、熱処理炉体21内と外部との間で移動ユニット30を出し入れするための搬送部材としてのプッシャ治具45を有している。ここで、プッシャ治具45は、図2及び図3(c)(d)に示すように、移動ユニット30の搬送方向に沿って進退可能な進退ロッド46を有し、この進退ロッド46の先端には当該進退ロッド46と略90度の角度で交差配置され且つ進退ロッド46の軸方向に対して離間配置される対構成の係止アーム47をねじ等の止め具48で固定したものである。
一方、移動ユニット30の連結フレーム33は、図3(b)〜(d)に示すように、断面L状のフレーム材34のうち移動ユニット30の搬送方向に交差する幅方向両側に補強フランジ部35を折り曲げ形成すると共に、フレーム材34の幅方向略中央付近には上方に開口した略U字状の切欠開口36を形成し、フレーム材34の下部折曲部34aと補強フランジ部35とを固定ブラケット37で固定すると共に、移動トレイ31にフレーム材34の下部折曲部34aを図示外の止め具で固定するようにしたものである。
このため、本例では、プッシャ治具45は、図3(c)(d)に実線で示すように、移動ユニット30の連結フレーム33の切欠開口36内に進退ロッド46の係止アーム47が位置するように進退ロッド46を移動させた後、図3(d)に仮想線で示すように、進退ロッド46を略90度回転させ、フレーム材34の切欠開口36縁部に係止アーム47を引っ掛け、この状態で、進退ロッド46を進退させることでこれに連動して移動ユニット30を搬送するものである。
−熱処理具−
本実施の形態において、熱処理具50としては、図4に示すように、熱処理室22のうち乾燥室22b、加熱室22cに夫々ヒータ51,52が設置されている。本例では、乾燥室22bに設置されているヒータ51は、図4(a)に示すように、乾燥室22bの上方に下方に向かって凹状に湾曲したヒータ要素を面状に多数配列したヒータユニットを2つ並設したものであり、ヒータ要素の材質は例えばニ桂化モリブデンを始め適宜選定して差し支えない。
また、加熱室22cに設置されるヒータ52は、図4(b)に示すように、加熱室22cのうち移動ユニット30の搬送経路を挟んだ両側に略U字状に屈曲されたヒータ要素を、移動ユニット30の搬送方向に対して適宜間隔を置いて移動ユニット30を取り囲むように複数組配置したものであり、ヒータ要素の材質はモリブデンを始め適宜選定して差し支えない。
ここで、乾燥室22bのヒータ51は乾燥室22bを400℃以上500℃未満の目標温度に設定可能な熱量を供給するものであり、加熱室22cのヒータ52は加熱室22cを1000℃以上(例えば1300℃〜1400℃)の目標温度に設定可能な熱量を供給するものである。
尚、図2中、符号55〜57はセット室22a、乾燥室22b及び加熱室22c内の環境温度を検出する温度センサであり、温度センサとしては例えば熱電対を始めとする各種検出器を適宜選定することができる。
−遮熱機構−
本実施の形態においては、乾燥室22bの温度条件としては、被処理材の乾燥は所定温度よりも低いと乾燥不能であり、所定温度より高いと化学反応が発生し、目的とする焼成に悪影響を与えるため、被処理材の乾燥のためには温度管理が重要である。
また、加熱室22cの温度条件としては、加熱室22cの温度は乾燥室22bの温度より数倍高温であるため、加熱室22cから乾燥室22bへの熱流入が多いと、乾燥室22bの温度管理が困難になってしまう懸念がある。
そこで、本実施の形態では、最も温度差を有する隣接する熱処理室22の連通口24、つまり、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bについて遮熱効果を強化した遮熱機構60が設けられている。
本例では、遮熱機構60は、乾燥室22bと加熱室22cとの間を仕切る仕切り壁23bの連通口24bに面して設けられ、当該連通口24bを開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材としての遮熱シャッタ61を備えている。この遮熱シャッタ61は、連通口24bを開閉する開閉板62と、この開閉板62を開閉駆動するための駆動アクチュエータ63と、開閉板62と駆動アクチュエータ63の駆動力を開閉板62に伝達する駆動伝達部材64とを有している。そして、本例では、開閉板62は、隣接する熱処理室22(乾燥室22b、加熱室22c)における使用温度など使用条件に応じてセラミックファイバ板やモリブデン板などから選定するようにすればよい。また、駆動アクチュエータ63としては例えば油圧又はエアシリンダが用いられる。
また、遮熱機構60は、移動ユニット30の移動トレイ31の移動方向の前後に第2の遮熱部材として略矩形状の遮熱ブロック65を備えている。本例では、遮熱ブロック65としては、図2及び図3(a)に示すように、移動トレイ31の移動方向D(例えば図2中矢印D方向に相当)の前側縁部に第1の遮熱ブロック65fが設置されると共に、移動トレイ31の移動方向Dの後側縁部のうち連結フレーム33の近傍に第2の遮熱ブロック65rが設置される。
本例では、遮熱ブロック65の材質としては仕切り壁23と同様なものを用いるようにすればよい。また、遮熱ブロック65は移動トレイ31上に設置されており、移動ユニット30が連通口24及び出入口25を通過する必要があるため、移動トレイ31及び遮熱ブロック65の合計の高さ寸法h及びこれらの幅寸法wは少なくとも連通口24及び出入口25の高さ寸法、幅寸法より大きく選定されることが必要であるが、遮熱ブロック65及び移動トレイ31と連通口24周縁、出入口25周縁との間の隙間はできるだけ小さい方が隙間を介しての熱流出が少ない分好ましい。熱膨張や熱収縮を考慮すると、前述した間隙は5mm〜10mm程度設けることが好ましい。
また、遮熱ブロック65の厚みは必要とする遮熱効果を踏まえて適宜選定して差し支えない。ここで、遮熱ブロック65による遮熱効果を踏まえると、遮熱ブロック65は仕切り壁23の連通口24内に全体が収まるように配置されるのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、仕切り壁23の連通口24内に一部が収まり、残りの部分が連通口24外の領域に配置される態様でもよいし、更には、遮熱ブロック65の全体が仕切り壁23に近接した位置で仕切り壁23の連通口24外に配置される態様でも遮熱効果を発揮することは可能である。
−制御系−
本実施の形態では、図2に示すように、熱処理炉20による熱処理を制御する制御装置100が設けられている。本例では、制御装置100は、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを含むマイクロコンピュータシステムにて構成されており、例えばROMには図5に示す熱処理制御プログラムを予めインストールしておき、温度センサ55〜57を含む各種センサ出力や熱処理炉20の扉26の開閉スイッチ等の各種スイッチ出力をCPUに取り込んでCPUにて熱処理制御プログラムを実行し、搬送機構40のハースローラ41、熱処理具50としてのヒータ51,52、遮熱機構60の遮熱シャッタ61に所定の制御信号を送出するようにしたものである。
−熱処理炉による動作例−
次に、鉱石等の被処理材を焼成するに当たって熱処理炉20の動作例を図5に基づいて説明する。
今、熱処理炉20の外部において、図3(a)に示すように、予め鉱石等の被処理材Mを匣鉢32に収容保持しておき、図2に示すように、熱処理炉20のセット室22aに被処理材が保持された匣鉢32をセットする。
このとき、図2に示す熱処理炉20において、熱処理炉20による焼成を行う作業者は、熱処理炉20の扉26を開放してセット室22aにプッシャ治具45の進退ロッド46を挿入し、セット室22aにある移動トレイ31の連結フレーム33にプッシャ治具45の係止アーム47を引っ掛け、この状態で、プッシャ治具45の進退ロッド46を後退させることにより移動トレイ31を熱処理炉20外に一旦引出す。
この後、移動トレイ31上に被処理材が保持された匣鉢32を載せることで移動トレイ31及び匣鉢32が一体化した移動ユニット30を構成し、再びプッシャ治具45にてセット室22aの所定位置に移動ユニット30を押し込み、その後、プッシャ治具45と移動トレイ31の連結フレーム33との引っ掛かり状態を外し、熱処理炉20外の退避位置にプッシャ治具45を後退させて熱処理炉20の出入口25を扉26で閉塞する。
この後、制御装置100は、図6に示すように、熱処理室22内のハースローラ41を正回転駆動し、移動矢印Dに向かってセット室22aに位置していた移動ユニット30を、連通口24aを経由してセット室22aに隣接する乾燥室22bの所定位置に搬送する。尚、乾燥室22bにおける移動ユニット30が所定位置に到達したか否かは例えば図示外の位置センサにて検出され、移動ユニット30が所定位置に到達した時点でハースローラ41の駆動が停止される。
本例では、乾燥室22bにおける移動ユニット30の停止位置は、図6に示すように、移動ユニット30の搬送方向前側に位置する前側遮熱ブロック65fが乾燥室22bと加熱室22cとの間の仕切り壁23bの連通口24b内のうち、遮熱シャッタ61の開閉板62による閉塞位置よりも乾燥室22b側の領域に配置されるようになっている。尚、本例では、移動ユニット30の搬送方向後側に位置する後側遮熱ブロック65rはセット室22aと乾燥室22bとの仕切り壁23aの連通口24aに近接して配置されている。
この後、制御装置100は遮熱シャッタ61を閉鎖する。つまり、駆動アクチュエータ63にて開閉板62を閉鎖位置まで移動させ、開閉板62にて連通口24bを閉塞する。
この状態において、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは遮熱シャッタ61と前側遮熱ブロック65fとで二重に閉塞され、また、セット室22aと乾燥室22bとの間の連通口24bは後側遮熱ブロック65rで略閉塞されている。
この後、制御装置100は熱処理具50としてのヒータ51,52をオンし、乾燥室22b、加熱室22cを夫々目標温度Tb,Tcに加熱する。ここで、乾燥室22bの目標温度Tbは400℃以上500℃未満の範囲で適宜選定され、また、加熱室22cの目標温度Tcは1300℃以上1400℃未満の範囲で適宜選定されている。
そして、乾燥室22bの温度センサ56が乾燥室22bの環境温度を検出することから、当該温度センサ56の検出出力により制御装置100は乾燥室22bが目標温度Tbに到達したと判断すると、予め決められた時間だけ被処理材の乾燥処理を実施する。
このとき、前述したように、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは遮熱シャッタ61及び前側遮熱ブロック65fにて二重に遮熱されているため、加熱室22cから連通口24bを通じて乾燥室22bに熱が流入する事態は抑制される。このため、乾燥室22b内の温度が加熱室22cからの熱の流入により不必要に上昇して500℃以上に至ることはほとんどなく、被処理材の結晶水の除去とは異なる予定外の化学反応が起こる懸念はほとんどない。
また、乾燥室22bは目標温度Tbに加熱されるが、セット室22aと乾燥室22bとの間の連通口24aは後側遮熱ブロック65rで略閉塞されているため、乾燥室22b内の熱がセット室22aに大量に流入する懸念は少ない。このため、セット室22aの温度は乾燥室22bの環境温度に比べて低く保たれる。
この後、加熱室22cの温度センサ57が加熱室22cの環境温度を検出することから、当該温度センサ57の検出出力により制御装置100は加熱室22cが目標温度Tcに到達したと判断すると、乾燥処理が終了した段階で、遮熱シャッタ61を一時開放後、ハースローラ41を再び正回転駆動させ、乾燥室22bに位置していた移動ユニット30を、連通口24bを経由して加熱室22cの所定位置に搬送する。
本例では、加熱室22cにおける移動ユニット30の停止位置は、図6に仮想線で示すように、移動ユニット30の搬送方向後側に位置する後側遮熱ブロック65rが乾燥室22bと加熱室22cとの間の仕切り壁23bの連通口24b内のうち、遮熱シャッタ61の開閉板62による閉塞位置よりも加熱室22c側の領域に配置されるようになっている。
この後、制御装置100は遮熱シャッタ61を閉鎖後、被処理材を焼成するための加熱処理を実施する。
つまり、遮熱シャッタ61は、駆動アクチュエータ63にて開閉板62を閉鎖位置まで移動させ、開閉板62にて連通口24bを閉塞する。この状態において、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは遮熱シャッタ61と後側遮熱ブロック65rとで二重に閉塞されている。
この状態において、被処理材に対する加熱処理が所定時間行われ、加熱処理が終了すると、制御装置100は被処理材の焼成が終了したものと判断し、各ヒータ51,52をオフする。
このとき、加熱処理中は乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは遮熱シャッタ61及び後側遮熱ブロック65rにて二重に遮熱されるため、加熱室22cからの熱が乾燥室22b側に流入することはほとんどなく、加熱室22c内の熱が不必要に浪費される懸念は少ない。
ここで、加熱室22cでの加熱処理が終了すると、制御装置100は遮熱シャッタ61を一時開放後、熱処理室22内のハースローラ41を逆回転駆動させ、加熱室22cに位置していた移動ユニット30を、移動方向E(移動方向Dの逆方向に相当)に向けて連通口24bを経由して乾燥室22bの所定位置に搬送する。
そして、制御装置100は再び遮熱シャッタ61を閉鎖後、乾燥室22bにて移動ユニット30の匣鉢32内の被処理材を冷却する。このとき、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは遮熱シャッタ61及び前側遮熱ブロック65fにて二重に遮熱されるため、加熱室22cからの熱が乾燥室22b側に流入することはほとんどなく、乾燥室22b内の被処理材が加熱室22cからの熱により加熱される懸念はほとんどない。
そして、制御装置100は、温度センサ55の検出出力によりセット室22aの目標温度Taが十分に低下した温度(例えば250℃前後)に至ったと判断すると、乾燥室22b内の被処理材の温度も十分に低下したものと判断し、熱処理室22内のハースローラ41を再び逆回転駆動させ、乾燥室22bに位置していた移動ユニット30を、連通口24aを経由してセット室22aの所定位置に搬送し、ハースローラ41の駆動を停止する。
この後、熱処理炉20から被処理材を引き出すようにすればよい。
つまり、被処理材の引出し作業を行う作業者は、熱処理炉20の扉26を開放してセット室22aにプッシャ治具45の進退ロッド46を挿入し、セット室22aにある移動ユニット30の連結フレーム33にプッシャ治具45の係止アーム47を引っ掛け、この状態で、プッシャ治具45の進退ロッド46を後退させることにより移動ユニット30を熱処理炉20外に引き出すようにすればよい。
この後、移動ユニット30の移動トレイ31上に載せられた匣鉢32を移動トレイ31から分離し、再びプッシャ治具45にてセット室22aの所定位置に移動トレイ31を押し込み、その後、プッシャ治具45と移動トレイ31の連結フレーム33との引っ掛かり状態を外し、熱処理炉20外の退避位置にプッシャ治具45を後退させて熱処理炉20の出入口25を扉26で閉塞するようにすればよい。
尚、本実施の形態では、搬送機構40は熱処理炉20内ではハースローラ41を駆動することで移動ユニット30を搬送する方式を採用したが、これに限られるものではなく、例えばハースローラ41を従動回転可能な構成とし、プッシャ治具45の進退ロッド46を手動又は自動にて進退させることで熱処理炉20内にて移動ユニット30を搬送させるようにしてもよいことは勿論である。
このように、プッシャ治具45を用いて熱処理炉20内で移動ユニット30を搬送する方式では、加熱室22cに位置する移動ユニット30を引き出す際に、例えば熱処理完了後、プッシャ治具45を用いて移動ユニット30を乾燥室22bまで引き出し、ここで冷却した後に熱処理炉20外に引き出すようにすればよい。
◎変形の形態1
本実施の形態では、移動ユニット30が乾燥室22bに位置する条件において、移動ユニット30は、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24b内に設置された遮熱シャッタ61の開閉板62の閉塞位置よりも乾燥室22b側に位置する移動トレイ31を有しているが、これに限られるものではなく、例えば図7に仮想線で示すように、移動ユニット30は、遮熱シャッタ61の開閉板62の閉塞位置よりも加熱室22c側まで延びる移動トレイ31を有し、移動トレイ31の移動方向Dの前側縁部に位置する前側遮熱ブロック65fと、開閉板62の下縁が移動トレイ31に突き当たる遮熱シャッタ61とで連通口24bを二重に遮熱するようにしてもよい。
また、移動ユニット30が加熱室22cに位置する条件では、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは移動トレイ31の移動方向Dの後側縁部に位置する後側遮熱ブロック65rと、開閉板62の下縁が移動トレイ31に突き当たる遮熱シャッタ61とで二重に遮熱されていればよい。
尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。後述する変形の形態2についても同様である。
◎変形の形態2
本実施の形態では、移動ユニット30は、移動トレイ31の移動方向Dの前後縁部に遮熱ブロック65(具体的には前側遮熱ブロック65f,後側遮熱ブロック65r)を設置したものであるが、これに限られるものではなく、例えば図8に示すように、移動ユニット30は、移動トレイ31の移動方向Dの前側縁部にだけ遮熱ブロック65(具体的には前側遮熱ブロック65f)を設置するようにしてもよい。本例では、移動ユニット30が乾燥室22bに位置する条件で、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bは、前側遮熱ブロック65(65f)と遮熱シャッタ61とで二重に遮熱されるため、乾燥室22bにおける乾燥処理時に、加熱室22cからの熱が乾燥室22bに流入する懸念はほとんどなく、乾燥室22bの環境温度が不必要に上昇する懸念はない。
◎実施例1
本実施例は実施の形態1に係る熱処理炉20をより具現化したものである。
本実施例に係る熱処理炉20は、複数の熱処理室22(具体的にはセット室22a、乾燥室22b、加熱室22c)を有し、各熱処理室22を移動する移動ユニット30として、移動トレイ31上に被処理材が収容保持される匣鉢32を載せ、移動トレイ31の移動方向Aの前後縁部に遮熱ブロック65(65f,65r)を設置し、更に、乾燥室22bと加熱室22cとの間の連通口24bには開閉可能な遮熱シャッタ61を設置したものである。
ここで、乾燥室22bの室内温度を450℃、加熱室22cの室内温度を1300℃に設定し、加熱した。加熱開始2時間後には、乾燥室22bの室内温度は450℃、加熱室22cの室内温度は1300℃に到達した。加熱開始4時間後においても乾燥室22bの室内温度は450℃、加熱室22cの室内温度は1300℃を維持した。
◎比較例1
本比較例は、移動ユニット30の移動トレイ31に遮熱ブロック65を有しておらず、遮熱シャッタ61のみで連通口24bを閉塞すること以外は実施例1と同じ条件で、熱処理炉20の加熱試験を行った。加熱開始2時間後には、乾燥室22bの室内温度は設定温度の450℃を超えて500℃に、加熱室22cの室内温度は1300℃に到達した。加熱開始4時間後には、乾燥室22bの室内温度は560℃に到達し、加熱室22cの室内温度は1300℃を維持した。
本発明は、例えば鉱石等の熱処理を複数の設定温度で行うために複数の熱処理室を備える熱処理炉に広く適用できる。
1 熱処理炉体
1a 扉
2(2a〜2c) 熱処理室
3(3a,3b) 仕切り壁
4(4a,4b) 連通口
5(5b,5c) 熱処理具
6 保持容器
7 搬送機構
8 移動体
9(9d,9e) 搬送部材
10 遮熱機構
11 第1の遮熱部材
12(12f,12r) 第2の遮熱部材
15 制御装置
20 熱処理炉
21 熱処理炉体
21a 区画壁
22 熱処理室
22a セット室
22b 乾燥室
22c 加熱室
23(23a,23b) 仕切り壁
24(24a,24b) 連通口
25 出入口
26 扉
27 点検口
28 扉
30 移動ユニット
31 移動トレイ
32 匣鉢
33 連結フレーム
34 フレーム材
34a 下部折曲部
35 補強フランジ部
36 切欠開口
37 固定ブラケット
40 搬送機構
41 ハースローラ
45 プッシャ治具
46 進退ロッド
47 係止アーム
48 止め具
50 熱処理具
51,52 ヒータ
55,56,57 温度センサ
60 遮熱機構
61 遮熱シャッタ
62 開閉板
63 駆動アクチュエータ
64 駆動伝達部材
65(65f,65r) 遮熱ブロック
100 制御装置
Ta,Tb,Tc 目標温度
M 被処理材
h 移動トレイ及び遮熱ブロックの合計の高さ寸法
w 移動トレイ及び遮熱ブロックの幅寸法

Claims (6)

  1. 断熱材で区画される複数の熱処理室を有し、隣接する熱処理室を仕切る仕切り壁に連通口を開設した熱処理炉体と、
    前記熱処理炉体に設けられ、前記複数の熱処理室内の被処理材を異なる温度条件で熱処理する熱処理具と、
    前記複数の熱処理室の間で被処理材を搬送する搬送機構と、
    前記被処理材が複数の熱処理室のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室と隣接する熱処理室との間に位置する連通口からの熱移動を遮る遮熱機構と、を備え、
    前記搬送機構は、前記被処理材と共に移動可能な移動体と、当該移動体を予め決められた搬送軌跡に沿って搬送する搬送部材とを有し、
    前記遮熱機構は、前記熱処理炉体に設けられ、前記連通口を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材と、
    前記移動体の一部に設けられ、前記移動体が複数の熱処理室の予め決められた位置に移動したときに前記連通口を閉塞する第2の遮熱部材と、を有し、
    少なくとも一つの連通口に対しては前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を使用可能とすることを特徴とする熱処理炉。
  2. 請求項1に記載の熱処理炉において、
    前記遮熱機構は前記移動体の移動方向の前後に前記第2の遮熱部材を夫々有し、少なくとも前後いずれかの第2の遮熱部材で前記連通口を閉塞することを特徴とする熱処理炉。
  3. 請求項1に記載の熱処理炉において、
    前記熱処理炉体は3以上の複数の熱処理室を有し、
    前記遮熱機構は、前記移動体が位置する熱処理室に隣接する熱処理室が前記移動体の移動方向前後の両方に存在する条件では、前記移動体の移動方向前後に各連通口を閉塞する第2の遮熱部材を有することを特徴とする熱処理炉。
  4. 請求項1に記載の熱処理炉において、
    前記熱処理炉体は3以上の複数の熱処理室を有し、
    前記遮熱機構は、複数の熱処理室のうち最も温度差を有する隣接する熱処理室の連通口を、少なくとも前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を用いて閉塞することを特徴とする熱処理炉。
  5. 請求項1に記載の熱処理炉において、
    前記熱処理炉体は熱処理室の一つとして前記被処理材をセットするためのセット室及び当該セット室を開閉するための扉を有し、
    前記搬送機構は、前記移動体に係脱自在に係止され且つセット室に対して当該移動体を出し入れする前記搬送部材としての出入用搬送部材を有することを特徴とする熱処理炉。
  6. 断熱材で区画される複数の熱処理室を有し、隣接する熱処理室を仕切る仕切り壁に連通口を開設した熱処理炉体と、前記熱処理炉体に設けられ、前記複数の熱処理室内の被処理材を異なる温度条件で熱処理する熱処理具と、前記複数の熱処理室の間で被処理材を搬送する搬送機構と、を備え、前記搬送機構が、前記被処理材と共に移動可能な移動体と、当該移動体を予め決められた搬送軌跡に沿って搬送する搬送部材とを有する熱処理炉に用いられ、前記被処理材が複数の熱処理室のいずれかにセットされたときに、当該熱処理室と隣接する熱処理室との間に位置する連通口からの熱移動を遮る遮熱機構であって、
    前記熱処理炉体に設けられ、前記連通口を開閉可能に閉塞する第1の遮熱部材と、
    前記移動体の一部に設けられ、前記移動体が複数の熱処理室の予め決められた位置に移動したときに前記連通口を閉塞する第2の遮熱部材と、を有し、
    少なくとも一つの連通口に対しては前記第1の遮熱部材及び前記第2の遮熱部材の両方を使用可能とすることを特徴とする熱処理炉に用いられる遮熱機構。
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