JP6036782B2 - 化粧料の艶の評価方法及び評価装置 - Google Patents

化粧料の艶の評価方法及び評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、化粧料の艶の評価方法及び評価装置に関する。
口紅、アイシャドウ、マニュキュア、ペディキュア等の化粧料では、それを被塗布面に塗布することにより観察者が認識する艶は化粧料の主要な評価項目の一つである。
また、被塗布面に塗布した化粧料の艶が、時間の経過と共に低減していく場合があるので、化粧料の特性を把握する点からも、被塗布面に塗布した化粧料の艶を客観的に評価できるようにすることが望ましい。
従来、人が認識する艶を物理量で評価する方法として、例えば、真珠等のパール色を有する対象物の光沢について、対象物の画像データを輝度範囲が広い高輝度ダイナミックレンジで取得し、その輝度値の歪度を算出し、歪度を光沢の指標とする方法が知られている(特許文献1)。
また、肌の艶の評価方法に関し、肌の表面反射光成分による画像(以下、表面反射光画像という)を取得し、その画素値の平均が艶の強度を表し、歪度と尖度が艶のムラ(肌の滑らかさ)を表すとする方法が知られている(特許文献2)。
WO2011/058823 特開2011−130808
一方、本発明者の知見によれば、口紅を塗布した唇について、観察者による艶の感じ方は、その表面反射光画像の歪度と必ずしも相関するものではなく、同程度の歪度の表面反射光画像においても艶の感じ方が大きく異なる場合があった。
そこで本発明の課題は、口紅、アイシャドウ、マニュキュア、ペディキュア等の化粧料について、それを被塗布面に塗布した場合の艶を客観的に評価できるようにする技術に関する。
本発明者は、同程度の歪度を示す表面反射光画像において、観察者の認識する艶の感じ方が大きく異なった場合を詳細に検討した結果、特定成分を含有する化粧料を塗布した場合には、歪度を艶の評価指標に用いることが難しいことが分かった。具体的には、(i)化粧料を被塗布面に塗布することにより得られる艶には、化粧料が含有するオイル成分がもたらすオイル系の艶と、パール成分がもたらすパール系の艶があり、観察者はこれらの寄与による総合的な艶を感じること、(ii)オイル系の艶は、化粧料を塗布した被塗布面の表面反射光画像の3次統計量である歪度を指標として評価することができるが、パール系の艶と歪度は相関が低いこと、(iii)パール系の艶は、化粧料を塗布した被塗布面の表面反射光画像の2次統計量である分散又は標準偏差を指標として評価できること、(iv)これらオイル及びパールを含む化粧料においても、少なくとも化粧料を塗布した被塗布面の表面反射光画像の歪度と、分散又は標準偏差とを指標として用いることで、観察者が認識する艶と相関した評価ができることを見出し、本発明を想到した。
即ち、本発明は、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを従属変数とし、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像の歪度と該表面反射光画像の分散又は標準偏差を独立変数に含む多変量解析により、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを算出し、該スコアに基づいて化粧料の艶を評価する化粧料の艶の評価方法を提供する。
また、本発明は、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像を取得する表面反射光画像取得手段、
表面反射光画像取得手段で取得した表面反射光画像の歪度を算出する歪度算出手段、
表面反射光画像取得手段で取得した表面反射光画像の分散又は標準偏差を算出する分散又は標準偏差算出手段、
化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを従属変数とし、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像の歪度と該反射画像の分散又は標準偏差を独立変数に含む多変量解析による関係式を記憶する記憶手段、
該関係式を用いて、少なくとも歪度算出手段で算出した歪度、及び、分散又は標準偏差算出手段で算出した分散又は標準偏差から、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを算出する官能評価スコア算出手段、
を有する化粧料の艶の評価装置を提供する。
本発明によれば、口唇化粧料、爪化粧料、目周り化粧料等の化粧料が塗布された被塗布面について、観察者が感じる艶を、少なくともその被塗布面の表面反射光画像から算出される歪度と、分散又は標準偏差を独立変数に含む重回帰分析等の多変量解析により推定することができる。
したがって、化粧料の艶を客観的な評価指標で表すことができる。また、これにより、化粧料を被塗布面に塗布した場合の艶の経時的な変化も客観的に表すことができる。
図1は、化粧料の艶の評価方法の実施例の工程図である。 図2は、化粧料の艶の評価装置の実施例のブロック図である。 図3Aは、素の唇の通常画像である。 図3Bは、オイル成分を多く含有する口紅を塗布した唇の通常画像である。 図3Cは、パール成分を多く含有する口紅を塗布した唇の通常画像である。 図4Aは、美容部員によるパール系の艶の評価スコアとRMSコントラストとの関係図である。 図4Bは、美容部員によるオイル系の艶の評価スコアと歪度との関係図である。 図5は、一般女性の被験者が評価した総合的な艶とRMSコントラストと歪度との関係図である。 図6は、重回帰式を用いて算出した総合的な艶の評価スコア(推定値)と、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコア(主観評価値)との関係図である。 図7は、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコア(主観評価値)と、歪度との関係図である。 図8は、重回帰分析により推定した艶の評価スコアと、被験者による艶の評価スコアとの予測標準誤差、及び単回帰分析により推定した艶の評価スコアと、被験者による艶の評価スコアとの予測標準誤差を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の評価方法により口紅の艶を評価する場合の一実施例の工程図であり、 図2は、この評価方法を行う評価装置のブロック図である。
<<化粧料>>
本発明が評価対象とする化粧料としては、被塗布面において艶が求められる種々の化粧料をあげることができる。より具体的には、口紅、グロス、リップライナー等の口唇化粧料、マニキュア、ペディキュア等の爪化粧料、アイシャドウ等の目周り化粧料の艶の評価に好適に使用することができる。これは、本発明によれば、オイル系の艶をもたらすオイル成分もしくはパール系の艶をもたらすパール成分、又はオイル系の艶をもたらすオイル成分及びパール系の艶をもたらすパール成分が混在している化粧料の艶の評価を行うことができるためである。
ここで、化粧料を塗布した被塗布面に生ずるオイル系の艶とは、被塗布面の凹凸が平坦化し、被塗布面のうち光が当たった小領域の輝度が周囲に比べて際立って高くなる状態と言える。
例えば、図3Bは、オイル成分を多く含有する口紅を塗布した唇の通常画像であるが、図3Aの素の唇の通常画像に比して、唇の光が当たった小領域の輝度が周囲に比べて際立って高くなっている。
また、化粧料を塗布した被塗布面に生ずるパール系の艶とは、被塗布面の全面で輝度が高くなる状態である。例えば、図3Cは、パール成分を多く含有する口紅を塗布した唇の通常画像であるが、図3Aの素の唇の通常画像に比して、唇全体に輝度の高い部分が分散している。
化粧料の艶の評価をする場合の被塗布面としては、特に制限されないが、個々の化粧料に想定されている部位が好ましく、例えば、唇、爪、瞼近傍をあげることができる。
唇は爪、瞼近傍に比べ、形状の湾曲が大きく、縦皺が存在しているため、陰影の影響が大きく、オイル系の艶とパール系の艶の見え方に違いが大きく表れやすい。また、唇は表皮に比べ、皮膚の厚みが薄く、乾燥等によって唇の表面凹凸が変化しやすく、前記艶の見え方の変化が大きいという特徴がある。本願の評価方法又は評価装置を口唇化粧料の艶の評価に用いた場合、唇の形状やその形状変化が艶の評価に反映する。したがって、本願の評価方法又は評価装置は、口唇化粧料の艶の評価方法又は評価装置として好適に用いることができる。
なお、化粧料において、オイル系の艶をもたらすオイル成分としては、高屈折率、好ましくは屈折率(40℃)が1.45以上の油剤が挙げられ、具体的には水添ポリイソブテン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等の高屈折率の油剤が例示される。パール系の艶をもたらすパール成分としては、雲母チタン、光揮性無機顔料(メタシャインシリーズ;日本板硝子社製)、フレーク状ガラス(ガラススレークシリーズ、シルキーフレークシリーズ;日本板硝子社製)等のパール剤が挙げられる。これら成分の含有量は化粧料の剤形や求める艶感により適宜定めだれる。
口紅を一例として挙げれば、オイル系の艶を強調したオイル系口紅の場合、前記高屈折率の油剤を口紅の総量に対して、20質量%以上、好ましくは40質量%以上含有するものが挙げられる。パール系の艶を強調したパール系口紅の場合、前記パール剤を口紅の総量に対して5質量%以上、好ましくは10質量%以上含有するものが挙げられる。逆に前記高屈折率の油剤やパール剤を含有しないか、又は前記含有量未満で含有する口紅は、艶の少ないマット系口紅として挙げることができる。
<<画像形成手段>>
この評価装置1は、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像を取得するために、画像形成手段2と、後述する演算機能を備えた演算装置10を有している。
画像形成手段2は、照明用光源3として設けられているスピードライト、カラー画像を撮るデジタルカメラ4、照明用光源3とデジタルカメラ4の各前面に着脱自在に設けられた偏光板5、6を備えている。この評価装置1において、表面反射光画像取得手段は、画像形成手段2と、演算装置10の画像処理手段とから構成される。
画像形成手段2は、照明用光源3の前面の偏光板5とデジタルカメラ4の前面の偏光板6を、双方の偏光方向を直交させて撮影することにより、撮影対象物の表面反射光成分を除去した内部反射光成分による画像(内部反射光画像)を撮り、また、照明用光源3の前面の偏光板5とデジタルカメラ4の前面の偏光板6を、双方の偏光方向を同じ方向にして撮影することにより、内部反射光成分と表面反射光成分による表面反射光強調画像を撮る。また、画像形成手段2は、偏光板5、6を使用せずに撮影対象物を撮影することにより通常画像を撮ることができる。
口紅の艶を評価する場合、画像形成手段2は、唇に口紅を塗布した顔を撮影対象とすることにより、内部反射光成分による顔画像A(内部反射光画像)と、内部反射光成分と表面反射光成分による顔画像B(表面反射光強調画像)を形成し、さらに必要に応じて、偏光を使用しない通常の顔画像Cを形成する。
<<演算装置>>
<表面反射光画像の形成>
演算装置10の画像処理手段は、画像形成手段2が形成した表面反射光強調画像と内部反射光画像の差分を取ることで、表面反射光画像を形成する。上述の口紅の艶を評価する場合では、顔画像Bと顔画像Aの差分をとることにより表面反射光成分による顔画像を形成する。
また、演算装置10の画像処理手段は、被塗布面の艶を評価したい部分(艶評価部)以外をマスクしたマスク画像を形成し、表面反射光画像とマスク画像を掛け合わせることにより、表面反射光成分による艶評価部画像を形成する。マスクを形成する方法は2値化を用いる方法、マニュアルでマスクを形成する方法など特に限定されない。上述の口紅の艶を評価する場合では、表面反射光成分による顔画像からRGB成分のG成分を抽出し、2値化することにより、唇領域の画素値が0でそれ以外の顔領域の画素値が1のマスク画像を形成する。これは、内部反射光成分による顔画像の唇領域には、カラー画像を構成するRGB成分のうちG成分がほとんど含まれないことを利用するものである。そして、マスク画像を、表面反射光成分による顔画像に掛け合わせることにより、表面反射光成分による唇画像を形成する。
なお、表面反射光成分による艶評価部画像が、既に形成され、データとして保存されている場合に、評価装置1は、表面反射光画像取得手段として、通信手段を介してそのデータを受信するためのデータ取得機能を有しても良く、また記憶媒体を介してデータを取り込むデータ取得機能を有しても良い。
<歪度、及び分散又は標準偏差の算出>
画像統計量として、1次統計量である平均、2次統計量である分散、標準偏差、3次統計量である歪度、4次統計量である尖度が知られている。本願においては、3次統計量及び2次統計量を独立変数に含む多変量解析により算出されるスコアを用いて、化粧料の艶評価を行う。
以下では、2次統計量として輝度の標準偏差であるroot-means-square(二乗平均平方根:RMS)コントラストを用いた例を示す。なお、標準偏差は分散の平方根であり、標準偏差(RMSコントラスト)の代わりに分散を用いても多変量解析により艶の評価を行うことができる。
演算装置10は、上述の表面反射光成分による艶評価部画像を形成する手段に加えて、画像の歪度を算出する歪度算出手段、及び画像のRMSコントラストを算出するRMSコントラスト算出手段も有し、艶評価部の表面反射光画像の歪度を算出すると共に、RMSコントラストを算出する。
ここで、画像の歪度(Skewness)は次式(1)により算出され、画像を形成する画素の輝度分布の非対称性を表し、オイル成分によりもたらされる艶の指標として有効である。即ち、化粧料を塗布した被塗布面にオイル系の艶が感じられる場合、被塗布面の凹凸が平坦化し、被塗布面のうち光が当たった小領域の輝度が周囲に比べて際立って高くなる。したがって、この画像の輝度分布は、非常に輝度の高い画素が少し存在するという非対称性を有し、歪度が高くなる。
このようにオイル成分による艶が強く感じられる化粧料の被塗布面は、歪度が正に大きくなる。
Figure 0006036782
式中、
Sk:歪度
ij:画像の画素(i,j)の輝度
m:平均輝度
M,N:画像サイズ(M×N)
一方、画像のRMSコントラストは次式(2)により算出され、画像を形成する画素の輝度分布の広がりを表し、パール成分によりもたらされる艶の指標として有効である。即ち、化粧料を塗布した被塗布面にパール系の艶が感じられる場合、被塗布面の全面で輝度が高くなる。例えば、図3Cは、パール成分を多く含有する口紅を塗布した唇の通常画像である。図3Cの画像では、図3Aの唇の通常画像に比して、唇全体に輝度の高い部分が分散している。したがって、この画像の輝度分布は、輝度分布のピーク幅が広がり、RMSコントラストが大きくなる。
このように、パール成分による艶が強く感じられる化粧料の被塗布面は、RMSコントラストが大きくなる。
Figure 0006036782
式中、
ij:画像の画素(i,j)の輝度
m:平均輝度
M,N:画像サイズ(M×N)
なお、演算装置10の画像処理手段が行う上述の画像処理機能は、例えば、パーソナルコンピュータに市販の画像解析ソフト(例えば、Adobe Photoshop等)を搭載することにより実現することができ、歪度算出手段、RMSコントラスト算出手段は、市販の表計算ソフト(例えば、マイクロソフト社エクセル等)を搭載することにより実現することができる。
<多変量解析>
人が化粧料の被塗布面に艶を感じる場合、人は、パール成分による艶とオイル成分による艶の双方の寄与により総合的に艶の強弱を感じると考えられる。
そこで、本発明の艶の評価方法においては、予め、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを従属変数とし、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像の歪度とRMSコントラストを独立変数に含む多変量解析を行い、その関係式を取得しておく。
多変量解析としては、重回帰分析、PLS回帰分析等を行うことができる。また、上述の歪度とRMSコントラストを2軸として被塗布面の艶を平面マップ上で評価してもよい。平面マップ上での評価方法としては、例えば線形分類器やベイズ分類器などの分類器を用いる方法がある。
計算の容易性の点からは、重回帰分析を行うことが好ましく、例えば、重回帰分析を用いた例として、次のように艶を評価することができる。
即ち、予め、被塗布面に塗布した場合の艶の印象が異なる複数種の化粧料を用意し、各化粧料が塗布された艶評価部の艶の官能評価スコアを取得すると共に、上述の方法で各化粧料が塗布された艶評価部の表面反射光画像を形成し、その歪度とRMSコントラストを算出し、化粧料が塗布された被評価部の艶の官能評価スコアを従属変数とし、表面反射光画像の歪度とRMSコントラストを独立変数として重回帰分析することにより次の重回帰式を取得しておく。
[艶の評価スコア]=a×[歪度]+b×[RMSコントラスト]+c
(但し、a、b、cはそれぞれ係数)
演算装置10は、この重回帰式を記憶する記憶手段を有する。なお、演算装置10に、この重回帰分析を行う演算手段を搭載してもよい。
なお、本発明では、艶の官能評価スコアを、化粧料が塗布された艶評価部の表面反射光画像に対する艶の官能スコアではなく、実際に化粧料が塗布された艶評価部に対する艶の官能評価スコアとする。実際に化粧料が塗布された艶評価部を観察することにより観察者が受ける艶の印象と、その艶評価部の画像を観察することによりに観察者が受ける艶の印象とにはずれが生じる場合があるためである。
また、化粧料の艶を評価するためには、その化粧料を被塗布面に塗布して評価することが必要であり、化粧料の塊を画像に撮り、歪度とRMSコントラストを算出しても、化粧料の艶を評価することはできない。例えば、口紅の艶は、口紅が唇に展延され、唇の表面凹凸(唇形状及び唇上の皺)上に膜が形成されることにより感じられる質感だからである。そこで、上述の重回帰式を作成するにあたり、十分な数の観察者の官能評価スコアをもとに作成するか、口紅を塗布する唇は標準的な外形で標準的な表面凹凸を有する唇にすると回帰式の優位性を高めることができるので好ましい。この場合、唇はそのような人の唇であっても人の唇の表面凹凸(表面粗さ)を模した人形の唇であってもよい。ただし、最終的には、一般消費者が唇に口紅を塗布した場合の口紅の艶を推定できるようにすることが望ましいため、人の唇に塗布することが好ましい。
なお、口紅以外の化粧料の艶を評価する場合も同様に、当該化粧料に想定されている被塗布面に化粧料を塗布し、艶の官能評価を行う。
<<化粧料の艶の評価方法>>
本発明の艶の評価方法では、個々の化粧料の艶の評価するにあたり、まず、その化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像を上述の方法で取得し、その表面反射光画像の歪度とRMSコントラストを算出する。例えば、口紅の艶を評価する場合、口紅を唇に塗布し、その唇の表面反射光画像を取得し、歪度とRMSコントラストを算出する。
次に、記憶手段が保存している、多変量解析による歪度とRMSコントラストと化粧料の艶の官能評価スコアとの関係式を呼出し、その関係式を用いて、歪度とRMSコントラストからその化粧料の艶の官能評価スコアを得る。
この艶の官能評価スコアは、化粧料を塗布した被塗布面の艶の客観的指標として有用となる。これにより、化粧料の開発において、その化粧料を被塗布面に塗布したときにユーザーが感じ取る艶の強弱を予測することが可能となる。また、揮発成分を含有するために化粧料の組成が経時的に変化する場合に、化粧料を塗布した被塗布面の艶の経時的変化を追跡することも可能となる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
(1)口紅の調製
艶の印象が異なる3種の口紅を、表1〜表3の処方で次のように調製した。
A.オイル系口紅
表1に示す成分1〜9を均一に溶解混合し、成分10〜14を加え、混練後再溶解した。その後、脱気して金型に流し込み、冷却固化後容器に収納し、固形のオイル系口紅を得た。
Figure 0006036782
B.パール系口紅
表2に示す成分1〜8を均一に溶解混合し、成分9〜13を加え、混練後再溶解した。これに成分14を加え均一に分散混合し、脱気して金型に流し込み、冷却固化後容器に収納し、固形のパール系口紅を得た。
Figure 0006036782
C.マット系口紅
表3に示す成分1〜6を均一に溶解混合し、成分7〜12を加え、混練後再溶解した。その後、脱気して金型に流し込み、冷却固化後容器に収納し、固形のマット系口紅を得た。
Figure 0006036782
(2)艶の評価試験
(専門パネラーによる予備評価試験)
各口紅の塗布直後の唇について、専門パネラー(美容部員)がパール系の艶とオイル系の艶をそれぞれ専門パネラーの主観によりスコア1(艶小)〜10(艶大)の10段階で評価した。
一方、口紅を塗布した唇の表面反射光画像を図2に示した評価装置のデジタルカメラを使用して撮った。この場合、照明用光源として、デジタルカメラに直径8cmのスピードライトを装着し、デジタルカメラを被験者顔から60cmの距離に設置し、被験者の顔の正面画像を撮り、各画像について歪度とRMSコントラストを算出した。
図4Aに専門パネラーが評価したパール系の艶の評価スコアとRMSコントラストとの関係を示し、図4Bに、専門パネラーが評価したオイル系の艶の評価スコアと歪度との関係を示す。図4Aから、専門パネラーによるパール系の艶の評価スコアとRMSコントラストには相関があり(相関係数:0.693)、パール系口紅は、パール系の艶の評価スコアの数値が大きく、RMSコントラストの数値も大きいことから、RMSコントラストはパール系の艶の評価指標になることがわかる。また、図4Bから、専門パネラーによるオイル系の艶の評価スコアと歪度には相関が有り(相関係数:0.866)、オイル系口紅は、オイル系の艶の評価スコアの数値が大きく、歪度の数値も大きいことから、歪度はオイル系の艶の評価指標になることがわかる。
(一般女性による評価試験)
8名の一般女性が被験者となり、(1)で調製した3種の口紅をそれぞれ塗布し、各口紅の塗布直後、塗布3時間後、塗布5時間後の唇について、唇の総合的な艶の大小、即ち、オイル系の艶もパール系の艶も含めて被験者が感覚的に認識する質感としての艶の大小をスコア1(艶小)〜7(艶大)の7段階で評価した。
図5に、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコアとRMSコントラストと歪度との関係図を示す。図5から、RMSコントラストと歪度の双方が大きいときに総合的な艶の評価スコアが大きくなることがわかる。
なお、図中、2本の破線と矢印は、総合的な艶の評価スコアが低いグループ(下側の破線)から高い方のグループ(上側の破線)へ矢印のように視点を動かすと、歪度及びRMSコントラストの双方とも高くなっていることを表している。
そこで、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコアを従属変数とし、歪度とRMSコントラストを独立変数として重回帰分析し、重回帰式を得た。一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコア(主観評価値)と、重回帰式を用いて算出した艶の評価スコア(推定値)との関係図を図6に示す。重回帰式を用いて算出した艶の評価スコア(推定値)と、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコア(主観評価値)には、強い相関のあることがわかる。
一方、図7に、一般女性の被験者が評価した総合的な艶の評価スコアと歪度との関係図を示す。図7に示した関係図の相関は、図6に示した関係図の相関に比して弱いことから、総合的な艶は、歪度とRMSコントラストの双方を用いた重回帰分析により良好に推定できることがわかる。
実施例2
オイル成分とパール成分の双方を含む市販の液状口紅3種それぞれを8名の被験者(一般女性)が唇に塗布し、実施例1と同様にして、口紅を塗布した唇の表面反射光画像を、塗布直後、塗布3時間後、塗布5時間後に取得し、各画像から歪度とRMSコントラストとを算出した。また、口紅を塗布した唇の塗布直後、塗布3時間後、塗布5時間後の総合的な艶(主観評価)を、実施例1と同様にして被験者が7段階で評価した。
実施例1と同様にして、被験者による艶の評価スコアを従属変数とし、歪度とRMSコントラストを独立変数として重回帰分析することにより重回帰式を得た。
この重回帰式を用いて推定した艶の評価スコアと、被験者による艶の評価スコアとの誤差の標準偏差(予測標準偏差)を求めた(実施例2)。
また、被験者による艶の評価スコアと歪度との単回帰分析により推定した艶の評価スコアと、被験者による艶の評価スコアとの予測標準誤差を求めた(比較例2)。
さらに、実施例1で重回帰分析により推定した艶の評価スコアと被験者による艶の評価スコアとの予測標準誤差(実施例1)と、単回帰分析により推定した艶の評価スコアと被験者による艶の評価スコアとの予測標準誤差を求めた(比較例1)。
これらの結果を図8に示す。
図8から、歪度とRMSコントラストを独立変数とする重回帰分析により推定した艶の評価スコア(実施例1、2)は、歪度を変数とする単回帰分析により推定した艶の評価スコア(比較例1、2)に比して、精度良く艶を推定できることがわかる。また、固形(実施例1、比較例1)、液状(実施例2、比較例2)の口紅の剤形の影響によらず、精度良く艶を推定できることもわかる。
1 化粧料の艶の評価装置
2 画像形成手段
3 照明用光源3
4 デジタルカメラ
5、6 偏光板
10 演算装置

Claims (4)

  1. 化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光成分による画像(以下、表面反射光画像という)の歪度を該化粧料に含まれるオイル成分による艶の指標とし、該表面反射光画像の分散又は標準偏差を該化粧料に含まれるパール成分による艶の指標とすると共に、化粧料が塗布された被塗布面の艶の総合的な官能評価スコアを従属変数とし、前記表面反射光画像の歪度と該表面反射光画像の分散又は標準偏差を独立変数に含む多変量解析により、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを算出し、該スコアに基づいて被塗布面に塗布された化粧料の総合的な艶を評価する化粧料の艶の評価方法。
  2. 多変量解析として、化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを従属変数とし、化粧料が塗布された被塗布面の表面反射光画像の歪度と該表面反射光画像の分散又は標準偏差を独立変数とする重回帰分析を行う請求項1記載の化粧料の艶の評価方法。
  3. 化粧料が、口唇化粧料、爪化粧料又は目周り化粧料である請求項1又は2記載の化粧料の艶の評価方法。
  4. オイル組成とパール組成が異なる複数の化粧料について、各化粧料が塗布された被塗布面の艶の官能評価スコアを取得してこれを従属変数にすると共に、該被塗布面の表面反射光画像の歪度と分散又は標準偏差を取得してこれらを独立変数とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料の艶の評価方法。
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