JP6530703B2 - 肌状態評価方法 - Google Patents

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本発明は、肌状態評価方法、肌化粧料または肌施術の評価方法、ならびに肌状態評価装置に関する。
肌表面の「つや」は肌の美しさの重要な要素の一つであり、化粧や美容施術の仕上がり状態の良し悪しを判断する指標の一つでもある。「つや」とは別の肌の光沢を表す言葉として「テカリ」がある。「つや」は美しさを想起させる好ましい要素であるのに対し、「テカリ」は美しさを損なう好ましくない要素として広く認識されており、化粧崩れの悩みの主要な要因にもなっている。しかしながら、肌の光沢が「つや」にあたるか「テカリ」にあたるかを正確に見極めることは未だ完全には行われていない。また、「テカリ」の度合いを定量評価するための主たる手法は目視による官能評価であり、客観的な評価方法は未だ確立されていない。
下記の特許文献1には、肌表面で鏡面反射した光成分のデータをウェーブレット変換して複数の周波数成分に分離したうえで高周波成分を選択して肌画像を再構成し、再構成された肌画像のピクセル成分の平均分散値と肌の美しさとを関連づけることが記載されている。
下記の特許文献2には、肌画像とそのぼかし画像との明差分画像および暗差分画像を生成し、これら明差分画像および暗差分画像に関する分散値などの統計値に基づいて肌画像の見え方を定量化することが記載されている。明差分画像は、対象の肌画像と、基準となるぼかし画像と、の間で画素値を画素ごとに減算し、減算された差分値が0以下の場合には当該画素の画素値を0とし、それ以外の場合には上記差分値を当該画素の画素値とした画像である。そして暗差分画像は、明差分画像とは逆に、ぼかし画像の画素値から肌画像の画素値を画素ごとに減算し、減算された差分値が0以下の場合には当該画素の画素値を0とし、それ以外の場合には上記差分値を当該画素の画素値とした画像である。特許文献2の方法によれば、明差分画像の統計値である明スコアに基づいてテカリの度合いが評価され、暗差分画像の統計値である暗スコアに基づいて色ムラや凹凸ムラの度合いが評価される。特許文献3は後述するように顔画像の特徴点を抽出する方法を開示する文献である。
特開2005−000429号公報 特開2013−078520号公報 特開平8−77334号公報
特許文献1の方法は、顔などの肌画像から低周波成分を除去して高周波成分を再構成するものであるため、顔の骨格や肉付きなどの全体形状を示す低周波成分が肌画像から除かれ、高周波成分に含まれる毛穴などの微細な特徴が強調される。しかしながら、毛穴と同様に微細な特徴である睫毛や眉毛などの体毛も高周波成分の要因となるため、高周波成分を再構成した画像には、毛穴の特徴だけでなく、肌の美しさと無関係の体毛の特徴も包含されることとなる。このため、高周波成分の再構成画像の平均分散値と肌の美しさとは必ずしも対応しているとはいえない。
特許文献2では、過剰な皮脂は肌テクスチャのぼやけを阻害してテカリとして視認されるため明スコアによって評価する一方、毛穴の汚れやシミ、そばかす等は光の内部拡散を減少させて色ムラとして視認されるため暗スコアによって評価するとされている。このため特許文献2の方法では、毛穴の汚れなどの高周波成分の影響は暗差分画像に基づいて評価することとなる。
本発明者らの検討によれば、肌を観察する者が肌の光沢をテカリと認識する要因としては、肌の表面反射光由来の光沢のうち、頬や額の光沢の大まかな形やコントラストなどの低周波成分だけでなく、毛穴や肌理(キメ)などの細かい凹凸の影や、光沢の細かい輪郭などの微細な特徴である高周波成分も含まれるとの知見に至った。このことは、毛穴の数量や大きさを変化させ、その他のテクスチャを共通とした複数枚の肌画像を目視対比して官能評価することにより明らかとなっている。すなわち肌の光沢が不変でも、毛穴が目立たない場合はその光沢を「つや」と認識し、毛穴が目立つ場合は「テカリ」と認識する傾向があるなど、つやとテカリとの区別は観察者の心理にも影響される。このため、肌のテカリをつやと区別して定量評価するためには、特許文献1のように高周波成分のみで肌画像を再構成するだけでは不十分である。また、毛穴の影響が現れにくい明差分画像でテカリを評価する特許文献2の方法もまた、尚改良の余地があるといえる。
一方で、肌のテカリは化粧崩れの悩みの最上位に位置するともいえるが、その評価は目視を通じた官能評価に主として依存しており客観性に欠ける。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、つやとテカリに代表されるような、肌の見た目の美しさの度合いを客観的に評価することが可能な新たな技術を提供する。
本発明の第一の態様は、肌状態評価方法に関するものであり、肌表面が撮影された肌画像と、前記肌画像に対してぼかし処理を施して取得されたぼかし画像と、の画素ごとの差分絶対値の分散度を示す指標値に基づいて前記肌表面の見かけ状態を評価するものである。
本発明の第二の態様は、肌化粧料または肌施術の評価方法に関するものであり、肌表面が撮影された第一の肌画像、ならびに肌化粧料もしくは肌施術が施された前記肌表面が撮影された第二の肌画像と、前記第一の肌画像および前記第二の肌画像に対してぼかし処理をそれぞれ施して取得された第一および第二のぼかし画像を取得し、前記第一の肌画像と前記第一のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第一の指標値、および前記第二の肌画像と前記第二のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第二の指標値に基づいて、前記肌化粧料または前記肌施術による前記肌表面の見かけ状態への影響度合いを評価するものである。
本発明の第三の態様は、肌状態評価装置に関するものであり、肌表面が撮影された肌画像に対してぼかし処理を施すことによりぼかし画像を取得するぼかし処理手段と、前記肌画像と前記ぼかし画像との画素ごとの差分絶対値を算出する差分算出手段と、前記差分絶対値の分散度を示す指標値を算出する指標値算出手段と、を備えるものである。
本発明により提供される技術によれば、肌画像とぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度によって肌表面の見かけ状態を客観的に評価することが可能である。
(a)は肌画像の例であり、(b)はぼかし画像の例であり、(c)は評価対象領域が抽出された差分絶対値画像の例である。 肌の実目視によるテカリの評価値と肌画像の目視によるテカリの評価値(テカリ指数)との相関を示すグラフである。 (a)は、ぼかし半径を50画素とした場合の差分絶対値のヒストグラムの分散とテカリ指数との相関を示すグラフである。(b)は、ぼかし半径を100画素とした場合の相関を示すグラフである。 (a)は、ぼかし半径を150画素とした場合の分散とテカリ指数との相関を示すグラフである。(b)は、ぼかし半径を200画素とした場合の相関を示すグラフである。 (a)は、ぼかし半径を250画素とした場合の分散とテカリ指数との相関を示すグラフである。(b)は、ぼかし半径と決定係数(R)との関係を示すグラフである。 肌状態評価装置の機能ブロック図である。 (a)は肌画像の例である。(b)は(a)のぼかし画像である。(c)は(a)と(b)との差分絶対値画像である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1(a)は肌画像の例であり、図1(b)はぼかし画像の例である。図1(c)は、評価対象領域が抽出された差分絶対値画像の例である。はじめに、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態の肌状態評価方法(以下、本方法という場合がある)は、肌表面が撮影された肌画像と、この肌画像に対してぼかし処理を施して取得されたぼかし画像と、の画素ごとの差分絶対値の分散度を示す指標値に基づいて肌表面の見かけ状態を評価するものである。
肌画像は、人間の肌の表面の少なくとも一部が写り込んだ静止画像である。肌の対象部位は特に限定されないが、顔の少なくとも一部、または首から胸元までの領域であるデコルテの少なくとも一部を例示することができる。顔を対象部位とする場合、肌画像は、額から鼻先にかけての皮脂腺が活発部位である、いわゆるTゾーンを含む画像であることが好ましい。図1(a)に例示する肌画像は、人間の顔の正面画像であり、より具体的には、額を上限、鼻の下(人中)を下限とし、両頬を含む顔画像である。本方法では、後述するように評価対象領域を部分的に抽出することができるため、肌画像としては、テカリを評価したい評価対象領域を包含する、より広範囲の画像を用いることができる。具体的には、例えば顔全体画像など、両目や鼻を含む領域が写り込んだ画像を用いることができる。
肌画像は、カラー画像でもよく、または淡色の濃淡(グレースケール)画像でもよい。カラー画像として撮影した画像を淡色(グレースケール)に変換して肌画像とする場合、カラー画像における明度情報、輝度情報またはRGBのG値などを用いて淡色化することができる。このうち、輝度情報が用いられることが望ましい。輝度情報は人間の視覚で捉えられる明るさに近いため、テカリの度合いを評価することに適している。明度情報とは例えばHSVモデルの明度(Value)成分の値であり、輝度情報とは例えばグレースケール変換で得られる輝度値である。
ぼかし画像は肌画像をぼかし処理した画像であり、肌画像の全体をぼかし処理した画像であることが好ましい。肌画像としてデジタル画像を用い、ぼかし処理はデジタル処理として行うとよい。ぼかし処理には、市販のフォトレタッチソフトを使用することができる。ぼかし処理で用いられるぼかし強度は、肌から観察者までの目視距離に相当する。ぼかし処理は、肌画像(元画像)に含まれる大局的な空間情報(低周波成分)を維持しつつ、局所的な特徴(高周波成分)を平均化する処理が好ましい。これにより、肌画像とぼかし画像との差分絶対値を算出することで、大局的な空間情報は捨象され、局所的な特徴を表す情報が抽出される。ぼかし処理の具体的実現手法を特に限定しないが、平滑化フィルタ、またはメディアンフィルタなどの非平滑化処理によるノイズ除去フィルタが好ましい。平滑化フィルタとしては、具体的に、ガウシアン(Gaussian)フィルタ、移動平均フィルタ、加重平均フィルタ、ローパスフィルタが挙げられる。中でもガウシアンフィルタを用いることがより好ましい。これは、つやのある美肌に特有の「ぼやけ感」を実現する、入射点と出射点との間の光の空間減衰パターンがガウス曲線に近いからである。ガウシアンフィルタを用いてぼかし画像を生成するとともに肌画像との差分絶対値を取ることで、「つや」と認識される光沢の特徴が捨象され、「テカリ」と認識される光沢の特徴が差分絶対値として抽出される。
ぼかし処理の強さを表すぼかし半径は特に限定されない。肌画像に写る肌表面の毛穴がぼかし画像において十分にぼかされることで、肌画像とぼかし画像との差分絶対値に毛穴の情報が十分に抽出されるため好ましい。ここで、毛穴の一般的な直径は0.02mm以上、0.6mm以下程度であることが知られている。このため、ぼかし半径は、肌画像に写る毛穴の半径(0.01mm以上0.3mm以下)よりも十分に大きいことが好ましく、具体的には毛穴の半径の3倍以上2500倍以下程度とすることが好ましい。
差分絶対値は、肌画像と、そのぼかし画像との間で画素ごとに画素値を差分して求められる絶対値である。肌画像とぼかし画像の画素数が等しい場合、差分絶対値は当該画素数だけ存在する。したがって、肌画像を構成する各画素に対して、差分絶対値を画素値としてそれぞれ設定することで差分絶対値画像を生成することができる。
本方法では、差分絶対値の分散度を示す指標値(以下、単に「指標値」という場合がある)に基づいて肌表面の見かけ状態を評価する。本発明者らは、後述するように、肌画像とぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度が、肌または肌画像に見られるテカリの度合いに関する官能評価結果と強く相関することを明らかにし、もって本発明の完成に至った。
分散度としては、代表的には、ヒストグラムの偏差の二乗平均である分散、および分散の平方根である標準偏差が例示されるが、これに限られない。例えば、観測値(本方法では差分絶対値)を昇順または降順に並べて四等分した場合の第1四分位と第3四分位との差である四分位範囲や、四分位範囲を2で除した四分位偏差など、データの分散度合いを示す種々の統計値を用いることができる。
本方法による肌表面の見かけ状態の評価としては、テカリの度合いが代表的に例示されるが、これに限られない。テカリの度合いに代えて、被験者の肌と同等のテカリの度合いを有する一般的な年齢を、肌年齢として評価してもよい。このほか、後述するように素肌対して肌化粧料を塗布したり肌の美容施術(肌施術)を適用したりすることで肌の見た目のテカリは変化する。このことから、肌化粧料や肌施術が施される前後の肌におけるテカリの度合いの変化量を算出して、当該肌化粧料や肌施術の効果を評価してもよい。同様に、肌化粧料や肌施術を複数とおりに変化させた場合の、肌表面のテカリへの影響度合いの差異を評価してもよい。
本方法によれば肌のテカリの状態が客観的に指標化されるため、テカリを抑制または誘発する化粧品等の製品の性能評価や製品間の性能比較をする際に、簡便かつ客観的な評価結果を得ることができる。
以下、本方法について更に詳細に説明する。はじめに、被験者の肌表面の見かけ状態を評価するにあたり、肌の実目視に代えて肌画像の目視評価をすることの妥当性について説明する。本発明者らは、本方法の完成に先立ち、肌の実目視によって捉えられるテカリを、当該肌を撮影した肌画像でも同様に評価できることを予備実験により確認した。
予備実験の条件は以下とした。サンプル被験者を20名の成人女性とし、ベース化粧料(ファンデーション)を朝に塗布して約1時間経過した時点(第一時点)の顔画像と、化粧直しをすることなく更に6時間が経過した後の時点(第二時点)の顔画像と、をサンプル被験者ごとに1枚ずつ撮影した。顔画像の撮影は、同条件で行った。具体的には、照明には色温度約6500[K]のD65蛍光灯を用いて天井点灯させ、机上照度は約900[lx]とした。
撮影には、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージングセンサが搭載されたデジタルカメラを用い、焦点距離を105mm、撮影距離を150cm、画素数を縦方向6000画素×横方向4000画素とした。
併せて、第一時点と第二時点のそれぞれにおいて、鏡に映る自身の顔をサンプル被験者本人が目視して、テカリの度合いを7段階で官能評価して目視スコアとした。目視スコアは、テカリが極めて強く発生していると感じた場合に最高の7点とし、テカリが発生していないと感じた場合に最低の1点とし、テカリが少ないほど小さな点数とした。ただし、本人以外の評価者が、サンプル被験者の肌(顔)を実目視して目視スコアを決定するようにしてもよい。
一方、上記にて各サンプル被験者から2枚ずつ撮影した合計40枚の顔画像を5名の評価者がそれぞれ目視観察して、テカリが発生していると感じる度合いを0から10までの11段階に官能評価して点数を付け、5名の官能評価結果の平均値をテカリ指数として算出した。点数は、テカリが極めて強く発生していると感じた場合に最高の10点とし、テカリが発生していないと感じた場合に最低の0点とし、テカリが少ないほど小さな点数とした。5名の評価者は、40枚の顔画像をランダムな順序で、また顔画像まで60cmの距離にて目視観察して点数を決定した。また、テカリ指数を決定した5名の評価者は、目視スコアを決定した者(サンプル被験者)とは異なる女性とした。これにより、肌の実目視による官能評価および肌画像の目視における官能評価における恣意性を排除した。
図2は、肌の実目視によるテカリの評価値である目視スコア(1〜7点)と、肌画像の目視によるテカリの評価値であるテカリ指数(0〜10点)との相関を示すグラフである。図2に示すように、40のサンプルに対して目視スコアとテカリ指数とはよく相関しており、決定係数(R)は0.83、相関係数(R)は0.91となった。また、テカリ指数(x)と目視スコア(y)との関係を示す、最小二乗法による一次関数として求めた近似式を図中に示す。
一般に、決定係数(R)が0.4以上で正の相関がみられると判断することができ、0.7以上で強い正の相関がみられると判断することができる。したがって、肌を本人が実目視して評価したテカリの度合いと、当該肌の肌画像を複数人の他人によって官能評価したテカリの度合いとの間には強い正の相関がある。よって、肌画像に基づいてテカリ指数を求めることで、肌を本人が実目視して評価した状態を良好に摸擬できることが分かった。
更に本発明者らは、肌画像とぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度が、高い相関係数をもってテカリ指数と相関することを明らかにした。このため、差分絶対値の分散度によって、テカリ指数ひいては肌を本人が実目視した評価を示す目視スコアを高精度で評価できることが分かった。以下説明する。
図1(a)は肌画像として被験者の顔画像(ただし、目元には加工を施している)を用いた例を示し、図1(b)はぼかし画像の例を示す。この肌画像は、額から鼻先にかけてのTゾーンおよび両頬の一部を含み、顔の輪郭線を含まないように顔の中央近傍を撮影した画像である。肌画像は、顔全体を含む画像から一部を切り出して生成したものでもよい。肌画像は、カラー画像として撮影された顔画像から、例えば緑色の強度(G値)を抜き出してグレースケール化した画像を用いることができる。
ぼかし画像は、肌画像の全画素に対して、後記のぼかし強度でぼかし処理を施したものである。
図1(c)は、肌画像とぼかし画像との差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像から、眼窩下縁および眉毛を含む眼窩周縁領域、または左右の鼻孔を含む鼻孔領域の少なくとも一方を除去して評価対象領域を抽出した画像の例である。図1(c)に示すように、本実施形態では肌画像として閉眼画像を用いた。眼窩周縁領域としては、眼窩と略同形状であって目を閉じたときの睫毛および眉毛が下限と上限にそれぞれ内接する略矩形の領域を左右に個別に設定した。閉眼画像を肌画像とする場合、眼窩中央にあたる瞼の領域は評価対象領域としてもよく、または図1(c)に示すように除去対象としてもよい。瞼にアイシャドウ等の光沢のある化粧料を塗布している場合には、当該化粧料の光沢が差分絶対値画像のノイズにならないように瞼の領域も除去対象とすることが好ましい。瞼に化粧料を塗布していない場合や、塗布している化粧料が非光沢性の場合は、瞼を評価対象領域に加えて解析対象を広くしてもよい。このほか、目を開いた開眼画像を肌画像として用いてもよい。この場合、差分絶対値画像から除去する眼窩周縁領域としては、下睫毛および眉毛が下限と上限にそれぞれ内接する略矩形の領域を設定し、眼窩中央の眼球領域も除去対象にするとよい。
また鼻孔領域として、左右の鼻孔を幅方向の両端とする鼻の下縁の領域を設定した。そして、左右の眼窩周縁領域および鼻孔領域を差分絶対値画像から除去することにより、残る画像領域を評価対象領域として抽出した。
そのうえで、図1(c)の差分絶対値画像のうち評価対象領域における各画素の画素値のヒストグラムの偏差の二乗平均である分散を算出した。
サンプル被験者に関する40枚の肌画像に対して、上記のように差分絶対値画像を生成して評価対象領域を抽出し、分散を算出した。
このように本方法においては、差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成し、差分絶対値画像から部分的に抽出された評価対象領域に関して指標値を算出して見かけ状態を評価する。これにより、眉毛、睫毛および鼻毛など、毛穴と同等のサイズの微細な特徴であり、かつテカリに影響を与えない要因が評価対象領域から排除される。このほか、目や鼻孔の輪郭に由来する高周波成分も差分絶対値画像から除去することができる。
このため、算出される差分絶対値には、テカリに影響を与える高周波成分が抽出される。よって、かかる差分絶対値の分散度を示す指標値を算出することで、毛穴や肌理などの細かい凹凸や光沢の細かい輪郭などの高周波成分に由来するテカリの度合いを定量的に評価することができる。
これに対し、上記の特許文献1の方法では肌画像を周波数分解して高周波成分を再構成するため、眉毛や睫毛などの微細な特徴の影響を除くためには、特定の評価対象領域のみが写り込んだ肌画像を予め用意しておく必要がある。同様に特許文献2の方法でも、明差分や暗差分に供される肌画像には、目や鼻などの輪郭線を含まない肌のテクスチャのみの画像が用いられている。
本方法においては、肌画像とぼかし画像との差分絶対値画像に対して任意の評価対象領域を設定することが可能である。仮に肌画像において一部領域を除去して評価対象領域を設定した場合、除去された一部領域のエッジが差分絶対値への高周波ノイズの原因となるところ、本方法のように差分演算後の差分絶対値画像において評価対象領域を設定することにより、かかる高周波ノイズが発生しない。
また、評価対象領域の設定は、差分絶対値画像をディスプレイ装置に表示した状態で、マウスなどの入力デバイスを用いて行うとよい。具体的には、差分絶対値画像における一部領域を囲うように入力デバイスを用いて指定することにより、除去または抽出する対象を決定することができる。このほか、上記の特許文献3に記載されているように顔画像に写る顔の特徴点に基づいて自動的に評価対象領域を判別する方法を利用することもできる。このように、画像操作によって評価対象領域を設定することで、テカリの評価対象として必要または不要な部分を確認しながら当該操作を行うことができる。なお、評価対象領域を設定する際には、テカリが見られる領域のみを選択するのではなく、テカリが見られる領域を包含するように、テカリの領域よりも広い範囲を選択するとよい。これにより、テカリの発生原因である微細な特徴が評価対象領域の内部で分散した状態となるため、指標値が過少に算出されることが防止される。
図3(a)は、40枚の上記の肌画像から求めた、評価対象領域における差分絶対値(画素値)のヒストグラムの分散(以下、単に「差分絶対値の分散」という場合がある)を横軸とし、40枚の顔画像を5名の評価者が官能評価した点数の平均値であるテカリ指数を縦軸としたときの相関を示すグラフである。ぼかし処理にはガウシアンフィルタを用い、ぼかし半径は50画素とした。
差分絶対値の分散とテカリ指数との間には強い相関が見られ、決定係数(R)は0.51、相関係数(R)は0.72となった。分散(x)とテカリ指数(y)との関係を示す、最小二乗法による一次関数として求めた近似式を図中に示す(図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)においても同様とする)。なお、差分絶対値の分散度を示す指標値として分散に代えて標準偏差を用いる場合は、多項式近似などの曲線近似を用いて決定係数を算出してもよい。
図3(a)に示す結果から、本方法のように肌画像とぼかし画像との差分絶対値の分散度を示す指標値(同図では分散)に基づいて、顔画像におけるテカリの度合いを推定できることが分かった。そして図2に示した結果と併せることで、上記の指標値に基づいて、肌(顔)を本人が実目視した場合に感じるテカリの度合いを評価できることが分かった。
つぎに、ぼかし処理で用いられるぼかし強度を変化させた場合に、差分絶対値の分散度を示す指標値とテカリの度合いを示す官能評価結果との関係がどのように変動するかについて説明する。詳細には、ぼかし半径を100画素、150画素、200画素、そして250画素に変更した場合の、差分絶対値の分散とテカリ指数との関係をそれぞれ求めた。
図3(b)は、ぼかし半径を100画素とした場合の差分絶対値の分散(横軸:x)とテカリ指数(縦軸:y)との相関を示すグラフである。決定係数(R)は0.66、相関係数(R)は0.81となった。
図4(a)は、ぼかし半径を150画素とした場合の差分絶対値の分散(横軸:x)とテカリ指数(縦軸:y)との相関を示すグラフである。決定係数(R)は0.70、相関係数(R)は0.84となった。
図4(b)は、ぼかし半径を200画素とした場合の差分絶対値の分散(横軸:x)とテカリ指数(縦軸:y)との相関を示すグラフである。決定係数(R)は0.71、相関係数(R)は0.84となった。
図5(a)は、ぼかし半径を250画素とした場合の差分絶対値の分散(横軸:x)とテカリ指数(縦軸:y)との相関を示すグラフである。決定係数(R)は0.66、相関係数(R)は0.81となった。
図5(b)は上記の結果をまとめたものであり、ぼかし半径と決定係数(R)との関係を示すグラフである。
以上の結果から、ぼかし半径を50画素から250画素まで変化させた場合に、肌画像とぼかし画像との差分絶対値の分散とテカリ指数との決定係数はいずれも0.5を超え、いずれのぼかし半径を用いてもテカリ指数を評価できることが分かった。また、図5(b)に示す結果から、ぼかし半径には好適な範囲が存在し、本実施形態の条件では、ぼかし半径を100画素以上250画素以下とした場合に、より精度よくテカリを評価できることが分かった。更に、ぼかし半径を150画素以上200画素以下としたときに決定係数が0.7またはそれ以上となり、差分絶対値の分散とテカリ指数とが強い正の相関をもつと言える。このため、差分絶対値の分散度を示す指標値(分散など)そのもの、または当該指標値から換算される他の数値を、テカリの度合いを示すテカリスコアとして用いることができ、またかかるテカリスコアにより被験者の肌のテカリの度合いを精度よく評価できる。
本方法では、ぼかし画像の平均輝度が、元の肌画像の平均輝度よりも有意に変化するぼかし強度で肌画像をぼかし処理してもよい。
上述の撮影環境で、サンプル被験者以外の新たな被験者から肌画像を撮影し、かかる肌画像に対して上記のぼかし強度でぼかし処理を施してから画素ごとに差分絶対値を算出して、差分絶対値画像を生成するとよい。そして、上記のサンプル被験者の肌画像(顔画像)と同様に、差分絶対値画像において評価対象領域を抽出したうえで、差分絶対値の分散度を示す指標値を算出してテカリスコアを決定するとよい。これにより、多数の被験者の肌のテカリの度合いを個別に評価することができる。
なお、好ましいぼかし半径は肌画像の撮影条件により変動する。本発明者らの検討によれば、顔画像を撮影するデジタルカメラの画素数(縦横方向のうち画素数が多い方)に対して1/200から1/8の画素数をぼかし半径とすることが好適であり、1/120から1/24の画素数のぼかし半径とすることが更に好適である。
非平滑化フィルタであるメディアンフィルタを用いてぼかし処理を行う場合は、着目画素の周囲に、上述したぼかし半径に相当する局所領域を設定して画素値を昇順または降順に並べて中央値を選択するとよい。
肌画像(顔画像)の撮影環境を変更する場合、上記にて予め決定されたぼかし強度を共通に適用して肌画像をぼかし処理して差分絶対値を算出し、その分散度を示す分散や標準偏差等の指標値を算出してもよい。
ただし、より高精度にテカリの度合いを評価するためには、撮影環境を変更して撮影された肌画像に対して改めて上記のように目視にて官能評価を行ってテカリ指数を決定するとよい。一方で、複数とおりのぼかし強度で肌画像をぼかし処理し、かかるぼかし画像と元の肌画像との差分絶対値を算出して複数の指標値を決定しておく。そして、複数の指標値のうち、テカリ指数と最も強く相関する指標値を特定し、当該指標値にかかるぼかし強度を決定する。これにより、新たな撮影環境で被験者の肌画像を撮影する場合にも当該被験者の肌のテカリの度合いを精度よく評価することができる。
上記に説明した本方法では、ぼかし処理で行うぼかし強度を変化させることにより、算出される指標値とテカリ指数との相関が変化することを説明した。このことを利用して、ぼかし強度が異なる複数とおりのぼかし処理をそれぞれ行った複数枚のぼかし画像を用いて差分絶対値画像を当該複数枚生成し、複数個の指標値を算出してもよい。そして、複数個の指標値に基づいて、元の肌画像のテカリの度合いを評価してもよい。これにより、被験者の肌の見かけ状態を多面的に評価することができる。
以下、本方法を実現する肌状態評価装置100について説明する。図6は、肌状態評価装置100の機能ブロック図である。また、図7(a)は肌画像の例であり、図7(b)はそのぼかし画像である。図7(c)は、図7(a)の肌画像と図7(b)のぼかし画像との差分絶対値画像である。
本実施形態の肌状態評価装置100は、肌画像取得部10、ぼかし処理部12、差分算出部30および指標値算出部40を備えている。
肌画像取得部10は、評価対象となる肌表面が撮影された肌画像を取得する手段であり、具体的にはデジタルカメラや、予め撮影された肌画像の画像データを肌状態評価装置100の外部から有線接続、無線接続または記憶メディアを通じて取り込むための入力インタフェースとすることができる。図7(a)に示すように、肌画像には顔の一部画像を用いることができる。肌画像取得部10は、撮影または取り込む肌画像がカラー画像である場合、当該カラー画像をグレースケールに変換する処理を行って肌画像を取得してもよい。
ぼかし処理部12は、肌画像取得部10が取得した肌画像に対してぼかし処理を施すことによりぼかし画像を取得する手段である。ぼかし処理部12は、ガウシアンフィルタなどのフィルタ手段を備え、本方法について上述したぼかし処理を実行する。ぼかし処理部12のぼかし強度は可変に設定されていてもよい。ぼかし処理部12は、肌画像の全画素に対してぼかし処理を行う(図7(b)参照)。
差分算出部30は、肌画像とぼかし画像との画素ごとの差分絶対値を算出する手段である。すなわち差分算出部30は、肌画像およびぼかし画像から、対応する画素位置ごとに画素値を読み取って差分し、当該差分値を二乗したうえで平方根をとることにより差分絶対値を算出する。差分絶対値は画素ごとに算出されるため、差分絶対値画像として画像形式で表示することができる(図7(c)参照)。
指標値算出部40は、この差分絶対値の分散度を示す指標値を算出する手段である。指標値としては分散や標準偏差などデータの分散度合いを示す種々の統計値を採用することができる。
肌状態評価装置100はデータ格納部20を備えている。データ格納部20は、肌画像取得部10が撮影または外部から取得した肌画像のデータを格納するための手段である。ぼかし処理部12は、肌画像取得部10から肌画像のデータを受け取って、またはデータ格納部20に格納されている肌画像のデータを読み出して、当該データに対してぼかし処理を実行してぼかし画像を生成する。
肌状態評価装置100は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェースユニット等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。肌状態評価装置100の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。データ格納部20がデータを格納するとは、データ格納部20がデータを記憶する機能を有することを意味しており、当該データが常に格納されていることを必ずしも要しない。
肌画像取得部10は、複数のサンプル被験者の肌画像、またはテカリの度合いを評価する対象者である被験者の肌画像を取得してデータ格納部20に格納する。ぼかし処理部12は、肌画像取得部10またはデータ格納部20から肌画像を取得して所定のぼかし強度にて肌画像にぼかし処理を施す。ぼかし処理部12は、平滑化フィルタ、または非平滑化処理によるノイズ除去フィルタを備えている。ぼかし処理部12は、肌画像の画素ごとに、肌表面に含まれる毛穴の直径よりも大きな画素領域を対象としてそれぞれぼかし処理を行う。
差分算出部30は、肌画像およびぼかし画像を用いて画素ごとの差分絶対値を算出する。本実施形態の差分算出部30は、差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成する。肌状態評価装置100は、差分絶対値画像から部分的に評価対象領域を指定する入力を受け付ける領域指定部32を更に備えている。なお、評価対象領域を指定するとは、肌画像または差分絶対値画像のうち、評価対象とする領域を指定することと、評価対象とせずに除去する領域を指定して残余の領域を評価対象とすることの両者を少なくとも含む。図7(c)に示す差分絶対値画像では、被験者の鼻孔に対応する領域を除去する領域として指定し、残余の領域を評価対象としている。
領域指定部32は、差分絶対値画像を表示出力するディスプレイ装置と、マウスなどの入力デバイスと、を備えている。肌状態評価装置100のユーザ(被験者または操作者)は、ディスプレイ装置に表示された差分絶対値画像に対して入力デバイスを操作して評価対象領域を指定する。そして指標値算出部40は、この評価対象領域に関して指標値を算出する。
指標値算出部40は、評価対象領域の画素を対象として差分絶対値の平均値を算出し、この平均値および評価対象領域の画素の差分絶対値の個々の値から、公知の方法で指標値を算出する。指標値算出部40は、差分絶対値のヒストグラムを生成してもよい。
本実施形態の肌状態評価装置100によれば、肌画像取得部10が取得した肌画像に基づいて指標値算出部40により上記指標値が算出されるため、肌画像に写る肌表面のテカリの度合い等の見かけ状態の評価値を得ることができる。
図6に示すように、本実施形態の肌状態評価装置100は評価処理部50を備えている。評価処理部50は、指標値算出部40が算出した分散や標準偏差などの指標値を、予め定められた演算またはテーブル照合により他の値に置換することにより、テカリの度合いを示すテカリスコアを導出してもよい。一例として、指標値の四捨五入や、A〜Dなどの多段階化、テカリの度合いを示すメッセージへの変換などが挙げられる。このほか、肌のテカリおよびその他の要因を考慮した、肌の見た目の美しさに関する総合的な評価結果を導出してもよい。
出力部60は、評価処理部50が算出した評価結果をディスプレイ画面への表示や紙媒体への印刷などによって出力する手段である。
肌状態評価装置100は、条件指定部42を更に備えている。条件指定部42は、被験者の性別や年齢(実年齢)などの属性情報や、被験者自身の肌に対する意識や自己評価などの肌意識情報、または被験者が使用している化粧品を示す化粧品情報などの各種情報に関する入力を評価条件として受け付けるインタフェースである。属性情報としては、上記のほか人種などを含めてもよい。条件指定部42は評価条件として、被験者が肌に施した肌化粧料や肌施術(詳細は後述)を識別する識別番号の入力を受け付けてもよい。
評価処理部50は、指標値算出部40が算出した指標値と条件指定部42に入力された評価条件とに基づいて、被験者の肌表面に関するテカリの度合い等の見かけ状態の評価結果を算出してもよい。
また、本方法および肌状態評価装置100を用いることで、肌化粧料や肌施術が肌表面の見かけ状態に与えている影響度合いを定量的に評価することができる。
ファンデーションなどのメイクアップ化粧料や、クレンジング剤や化粧水などのスキンケア化粧料を肌に塗布することで肌のテカリが抑えられたり、逆に肌の保湿性を高めるなどの目的で化粧料に油分が多く含まれることで肌のテカリを誘発したりする。また、スキンケア手技や毛穴治療など美容施術と呼ばれる各種の肌施術を肌に適用することで、皮脂の発生を抑えてテカリを抑制することも行われている。ただし、ここでいう肌施術とは非医療施術をいう。
そこで、被験者の素肌の肌表面の画像と、肌化粧料や肌施術が施された肌表面の画像と、に基づいてそれぞれ指標値を算出して対比することで、肌化粧料や肌施術によるテカリの抑制効果を定量評価することができる。すなわち本方法および肌状態評価装置100の応用例として、肌診断方法および肌診断システムが提供される。
かかる肌診断方法および肌診断システムでは、はじめに、第一および第二の肌画像ならびに第一および第二のぼかし画像を取得する。第一の画像は被験者の肌表面が撮影された画像であり、第二の画像は肌化粧料または肌施術が施された肌表面が撮影された画像である。第一のぼかし画像は第一の肌画像に対してぼかし処理を施して取得された画像であり、第二のぼかし画像は第二の肌画像に対してぼかし処理を施して取得された画像である。第一および第二の肌画像の撮影条件は共通とし、第一および第二の肌画像に適用するぼかし処理も共通とする。
つぎに、第一の肌画像と第一のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第一の指標値、および第二の肌画像と第二のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第二の指標値に基づいて、肌化粧料または肌施術による肌表面の見かけ状態への影響度合いを評価する。これにより、肌化粧料または肌施術によるテカリの抑制またはテカリの誘発の効果を定量評価することができる。
上記の肌診断方法および肌診断システムの更なる応用例として、複数の肌化粧料ごとまたは肌施術ごとの対比評価を行ってもよい。詳細には、上記の肌化粧料または肌施術とは異なる他の肌化粧料または肌施術が施された肌を撮影して第三の肌画像を取得する。そして、第三の肌画像をぼかし処理して第三のぼかし画像を生成し、第三の肌画像と第三のぼかし画像との差分絶対値の分散度を示す第三の指標値を算出する。
そして、第三の指標値と上記第二の指標値とを対比することで、肌化粧料ごとまたは肌施術ごとの、テカリの抑制または誘発の効果の大小が定量的に対比される。
条件指定部42において、肌に適用した肌化粧料または肌施術を識別する識別番号を入力しておき、評価処理部50は、肌化粧料または肌施術の識別番号と指標値とを関連づけて記録するとよい。これにより、肌化粧料や肌施術と、テカリの抑制または誘発の効果の大小との関係を示すデータベースを構築することができる。更に評価処理部50は、被験者の肌画像に基づいて算出した指標値を当該データベースと照合することにより、たとえば被験者の指標値が所定以上であると判断された場合にはテカリの抑制効果が有る肌化粧料や肌施術の識別番号を抽出するとよい。そして、評価処理部50が抽出した肌化粧料や肌施術の識別番号または名称等の情報を出力部60で出力することにより、被験者に推奨される肌化粧料や肌施術を被験者に知得させることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
肌の表面反射光の輝度値(光沢)が高く、かつテカリが少ない肌は、つやがある肌であると評価することができる。一方、肌に発生するテカリは、光沢の大まかな形やコントラストなどの低周波成分と、毛穴等の微細な凹凸や輪郭による高周波成分とが複合して発生している。本方法は、肌画像とぼかし画像との差分絶対値の分散度によって高周波成分の影響を推算してテカリの度合いを定量評価するものである。したがって、肌の表面反射光の輝度値(肌画像の平均輝度)が高く、かつ本方法により評価されるテカリの度合いが低い肌を、つやの有る肌であると評価することができる。このように、本方法で算出される指標値は、それ単独で肌表面の見かけ状態の評価に用いてもよく、または肌画像の平均輝度など他の情報と組み合わせて肌表面の見かけ状態の評価に用いてもよい。
更に、本方法により導出された肌のテカリやつやなどの光沢に関する見かけ状態に加えて、肌の色ムラなどの他の要因を総合した指標を導出してもよい。
本発明の肌状態評価装置100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。また、本発明の肌状態評価方法や肌化粧料または肌施術の評価方法を説明するにあたり、順番に記載された複数の工程を用いて説明する場合があるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番やタイミングを限定するものではない。複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
本発明は、上述した実施形態に関し、以下の肌状態評価方法、肌化粧料または肌施術の評価方法、ならびに肌状態評価装置を開示する。
<1>肌表面が撮影された肌画像と、前記肌画像に対してぼかし処理を施して取得されたぼかし画像と、の画素ごとの差分絶対値の分散度を示す指標値に基づいて前記肌表面の見かけ状態を評価する肌状態評価方法。
<2>前記差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成し、前記差分絶対値画像から部分的に抽出された評価対象領域に関して前記指標値を算出して前記見かけ状態を評価する上記<1>に記載の肌状態評価方法。
<3>前記肌画像が被験者の顔画像であり、前記差分絶対値画像から、眼窩下縁および眉毛を含む眼窩周縁領域、または左右の鼻孔を含む鼻孔領域の少なくとも一方を除去して前記評価対象領域を抽出する上記<2>に記載の肌状態評価方法。
<4>肌表面が撮影された第一の肌画像、ならびに肌化粧料もしくは肌施術が施された前記肌表面が撮影された第二の肌画像と、前記第一の肌画像および前記第二の肌画像に対してぼかし処理をそれぞれ施して取得された第一および第二のぼかし画像を取得し、前記第一の肌画像と前記第一のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第一の指標値、および前記第二の肌画像と前記第二のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第二の指標値に基づいて、前記肌化粧料または前記肌施術による前記肌表面の見かけ状態への影響度合いを評価する、肌化粧料または肌施術の評価方法。
<5>肌表面が撮影された肌画像に対してぼかし処理を施すことによりぼかし画像を取得するぼかし処理手段と、前記肌画像と前記ぼかし画像との画素ごとの差分絶対値を算出する差分算出手段と、前記差分絶対値の分散度を示す指標値を算出する指標値算出手段と、を備える肌状態評価装置。
<6>前記差分算出手段は、前記差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成し、前記肌状態評価装置は、前記差分絶対値画像から部分的に評価対象領域を指定する入力を受け付ける領域指定手段を更に備え、前記指標値算出手段は、前記評価対象領域に関して前記指標値を算出する上記<5>に記載の肌状態評価装置。
<7>前記ぼかし処理手段は、前記肌画像の画素ごとに、前記肌表面に含まれる毛穴の直径よりも大きな画素領域を対象としてそれぞれ前記ぼかし処理を行う上記<5>または<6>に記載の肌状態評価装置。
10 肌画像取得部
12 ぼかし処理部
20 データ格納部
30 差分算出部
32 領域指定部
40 指標値算出部
42 条件指定部
50 評価処理部
60 出力部
100 肌状態評価装置

Claims (7)

  1. 肌表面が撮影された肌画像と、前記肌画像に対してぼかし処理を施して取得されたぼかし画像と、の画素ごとの差分絶対値の分散度を示す指標値に基づいて前記肌表面の見かけ状態を評価する肌状態評価方法。
  2. 前記差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成し、前記差分絶対値画像から部分的に抽出された評価対象領域に関して前記指標値を算出して前記見かけ状態を評価する請求項1に記載の肌状態評価方法。
  3. 前記肌画像が被験者の顔画像であり、
    前記差分絶対値画像から、眼窩下縁および眉毛を含む眼窩周縁領域、または左右の鼻孔を含む鼻孔領域の少なくとも一方を除去して前記評価対象領域を抽出する請求項2に記載の肌状態評価方法。
  4. 肌表面が撮影された第一の肌画像、ならびに肌化粧料もしくは肌施術が施された前記肌表面が撮影された第二の肌画像と、
    前記第一の肌画像および前記第二の肌画像に対してぼかし処理をそれぞれ施して取得された第一および第二のぼかし画像を取得し、
    前記第一の肌画像と前記第一のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第一の指標値、および前記第二の肌画像と前記第二のぼかし画像との画素ごとの差分絶対値の分散度を示す第二の指標値に基づいて、前記肌化粧料または前記肌施術による前記肌表面の見かけ状態への影響度合いを評価する、肌化粧料または肌施術の評価方法。
  5. 肌表面が撮影された肌画像に対してぼかし処理を施すことによりぼかし画像を取得するぼかし処理手段と、
    前記肌画像と前記ぼかし画像との画素ごとの差分絶対値を算出する差分算出手段と、
    前記差分絶対値の分散度を示す指標値を算出する指標値算出手段と、を備える肌状態評価装置。
  6. 前記差分算出手段は、前記差分絶対値を画素値とする差分絶対値画像を生成し、
    前記肌状態評価装置は、前記差分絶対値画像から部分的に評価対象領域を指定する入力を受け付ける領域指定手段を更に備え、
    前記指標値算出手段は、前記評価対象領域に関して前記指標値を算出する請求項5に記載の肌状態評価装置。
  7. 前記ぼかし処理手段は、前記肌画像の画素ごとに、前記肌表面に含まれる毛穴の直径よりも大きな画素領域を対象としてそれぞれ前記ぼかし処理を行う請求項5または6に記載の肌状態評価装置。
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