JP6036265B2 - 医薬製造向け精製水製造装置及び方法 - Google Patents
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Description
1) 紫外線ランプの消灯はランプ不点寿命を短くしてしまう。例えば、1回の消灯により、低圧紫外線ランプでは6時間、中圧紫外線ランプでは9時間ランプ不点寿命が短くなると言われている。
2) 投入した電力が熱に替わってしまう。即ち、紫外線ランプの点灯で発熱が起きる。
3) 1),2)より、流通式紫外線殺菌装置を使用した場合、装置の運転停止中に、ランプ寿命を長くするために紫外線ランプの消灯を行わないで点灯し続けると、投入電力が熱に替わり、ランプを点灯しているハウジング内の水温が上昇してしまう。
この問題を解決するためには、紫外線ランプを点灯したままにしておく一方で、流通型紫外線殺菌装置に常に水を流し続け、ハウジング内の発熱を流水により取り去る必要があった。
また、原水タンクに設けた紫外線ランプを、装置の運転(精製水の製造)停止期間中も点灯させておくことにより、紫外線ランプを消灯することによるランプ寿命の低下を防止することができる。このように運転(精製水の製造)停止期間中も紫外線ランプを点灯させておくことで、紫外線ランプの発熱で加温された原水を、装置の運転(精製水の製造)再開時に系内に通水することにより、系内を殺菌することができる。即ち、紫外線ランプの発熱エネルギーを系内の殺菌に有効利用することが可能となる。
また、中圧紫外線ランプは、ランプ1本あたりの出力を高くすることができるため、必要とする紫外線ランプの本数を少なくして装置の小型化、省スペース化を図ることができる。
加えて、低圧紫外線ランプの場合、ランプ1本の出力を調光する場合、70%ぐらいまでしか調光し照射出力を落とすことができないが、中圧紫外線ランプの場合は約25%まで出力を落とすことが可能なため、原水の残留塩素濃度が変化することが判明している場合などは調光により照射出力を変えることが容易な中圧紫外線ランプを用いる方が、装置の設計上有利である。
タンク容量:300L
タンク材質:SUS304
タンク構成材の厚さ:2mm(保温なし)
装置停止時初期のタンク内原水の水温:25℃
外気温:35℃
点灯させる紫外線ランプへの投入電力量:905W×2本
医薬業界では、管理計器である導電率計に温度補正を加えた水質計を用いないため、精製水水温を25℃±2℃に保つ必要がある。
このため、21分後にそのまま通水を再開した場合、27℃を超えた原水から得られる精製水は、ブローするか、或いは原水を冷却する必要がある。
ここで、原水の加温温度の上限を90℃とするのは、装置を構成する水処理部材(逆浸透膜や電気脱イオン装置など)の耐熱温度の上限が90℃付近が条件となっていることによる。また、原水の加温温度の下限を50℃とするのは、50℃以上であると良好な温水殺菌効果が得られることによる。
この時の温水の押し出し条件としては、使用している膜モジュールの高温時の通水上限差圧を守ると同時に、なるべく長い時間温水に接触させた方が殺菌効果が高いため、なるべく流量を下げた押し出し条件が好ましい。その流量としては、例えば、4インチ逆浸透膜の場合、1ベッセル当たり100〜300L/hr程度、8インチ逆浸透膜の場合、1ベッセル当たり300〜1200L/hr程度とすることが望ましい。
図1の装置を用いて以下の条件で精製水の製造実験を行った。
1) 原水条件
原水:栃木県野木町市水
水温:23〜32℃
遊離塩素濃度:0.3〜0.5mg/L
結合塩素濃度:0.1〜0.2mg/L
流量:3.6m3/h
2) 紫外線ランプ
千代田工販(株)製中圧浸漬型紫外線ランプ(ランプ出力3.0kW×2本)
3) 逆浸透膜装置
逆浸透膜モジュール:Dowケミカルジャパン製「HSRO−390」2本
水回収率:65%
運転圧力:1.0MPa
4) 電気脱イオン装置
栗田工業(株)製KCDI−LX型(処理水量1.1m3/h)
水回収率:80%
5) 操作方法
原水(野木町市水)を原水タンク1へ受け入れ原水ポンプ2、高圧ポンプ4を経由して逆浸透膜装置5及び電気脱イオン装置6に通水した。なお、通水を開始するに先立ち、原水タンク1から電気脱イオン装置6にいたる系内を80℃以上にして系内の温水殺菌を行った。
通水中、水温は25〜32℃の範囲であった。
運転開始から6時間経過後装置を停止した。停止時間は9時間とした。このとき紫外線ランプ10は消灯した。9時間の停止後通常起動を行い、再び6時間採水を行った。
以降、同様に6時間運転、9時間停止を1ヶ月間繰り返した。上記運転期間中、原水の野木町市水、原水タンク出口、逆浸透膜装置出口、電気脱イオン装置出口の各ポイントでの一般細菌の個数をR2A寒天培地による培養法で、10日に1回の間隔で測定し、結果を表1Aに示した。
操作方法を以下の通り変更したこと以外は、比較例1と全く同様にして精製水の製造実験を行い、同様に各ポイントでの一般細菌の個数を調べ、結果を表1Bに示した。
(1) 運転開始から6時間経過後、装置を停止したとき、9時間の停止期間中、紫外線ランプは点灯したままにして原水タンク内の原水の水温を上昇させた。
(2) 9時間停止後運転を再開する際、原水タンク内の原水の水温を記録しておき、またその原水を逆浸透膜装置の入口圧力で0.25MPa以下(具体的には0.20MPa)になるようにインバーターで制御し、原水タンク内の原水がポンプの空引をしない水位になるまで系内を押し出した。押し出し時の流量は300L/hrで行った。このとき電気脱イオン装置の直流電源は印加しなかった。この間約4分間を要した。
(3) 上記の原水タンク内の加温原水の押し出し終了後の電気脱イオン装置の濃縮水の水温を記録した。
(4) 上記の6時間運転、9時間停止、4分押し出しを1ヶ月間繰り返した。
比較例1では、原水タンク出口では全く一般細菌が検出されていないにもかかわらず、逆浸透膜装置出口からは実験開始直後から一般細菌の増殖が見られ、日数を経るにしたがって増殖している。電気脱イオン装置出口の一般細菌数も逆浸透膜装置出口の増殖に従って増殖している。
実施例1において、原水タンク内の水温は、9時間停止後では約50〜52℃付近であり、押し出し終了直後の電気脱イオン装置の濃縮水の水温は39〜44℃付近であった。
このことから、運転停止中に点灯させた紫外線ランプの照射による発熱で加温された原水が50℃以上であれば、たとえ短時間であっても、生菌抑制の効果が得られることがわかる。
2 原水ポンプ
3 熱交換器
4 高圧ポンプ
5 逆浸透膜装置
6 電気脱イオン装置
10 紫外線ランプ
Claims (4)
- 残留塩素を含有する原水を処理して医薬製造向け精製水を製造する装置であって、
原水タンクと、原水タンクからの原水が導入される逆浸透膜装置と、逆浸透膜処理水が導入される電気脱イオン装置又はイオン交換樹脂塔とを有し、
該原水タンクに、該原水タンク内の原水に紫外線を照射する紫外線ランプを設けてなり、
装置の運転停止期間中に、前記紫外線ランプを点灯させた状態で前記原水タンクへの原水の流入及び該原水タンクからの原水の排出が停止され、
装置の運転停止期間中に、前記原水タンク内の原水が前記紫外線ランプの発熱により50〜90℃に加熱され、
装置の運転再開時に該加温された原水により系内の殺菌が行われることを特徴とする医薬製造向け精製水製造装置。 - 請求項1において、前記原水タンクは、水平断面形状が円形のタンク本体と、該タンク本体の上部側壁に略接線方向に設けられた原水導入配管と、該タンク本体の底部に設けられた原水排出配管とを有し、前記紫外線ランプは該原水導入配管よりも下方の原水タンク内に略水平方向に設けられていることを特徴とする医薬製造向け精製水製造装置。
- 請求項1又は2において、前記紫外線ランプが中圧紫外線ランプであることを特徴とする医薬製造向け精製水製造装置。
- 残留塩素を含有する原水を処理して医薬製造向け精製水を製造する方法において、
紫外線ランプを設けた原水タンクにおいて、該原水タンク内の原水に紫外線を照射した後、逆浸透膜処理し、その後、電気脱イオン処理又はイオン交換処理する医薬製造向け精製水製造方法であって、
精製水の製造停止期間中に、前記紫外線ランプを点灯させた状態で前記原水タンクへの原水の流入及び該原水タンクからの原水の排出を停止し、
精製水の製造停止期間中に、前記原水タンク内の原水を前記紫外線ランプの発熱により50〜90℃に加熱し、精製水の製造再開時に該加温された原水により精製水製造系内の殺菌を行うことを特徴とする医薬製造向け精製水製造方法。
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