JP6036247B2 - 負極活物質、及び、リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
本実施形態にかかる負極活物質は、Si、O、H、及び、Nを含む化合物を主成分とする粒子である。具体的には、この化合物は、O及びNを含む水素化アモルファスシリコンであることができる。O及びNは主として水素化アモルファスシリコン中にドープされている。
上記化合物において、Siに対するHのモル比は0.01〜0.3であることが好ましく、0.03〜0.05であることが好ましい。
上記化合物において、Siに対するNのモル比は0.003〜0.1であることが好まく、0.01〜0.02であることが好ましい。
まず、CaSi2を酸と接触させて、CaSi2からCaを除去し、層状ポリシランを得る。酸の例は、HCl水溶液、HF水溶液である。得られた層状ポリシランは、水素原子の一部が、水酸基で置換されている。
続いて、本発明の実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100の1例を、図2を参照して説明する。リチウムイオン二次電池100は、正極10、セパレータ20、負極30、及び、ケース70、及び、電解液を主として備える。
正極10は、正極集電体12、及び、正極集電体12上に設けられた正極活物質層14を有する。なお、正極活物質層14は正極集電体12において活物質が塗工された領域を指す。正極活物質層14は、正極集電体12の一方面のみにあっても良いし、図2の(a)に点線で示すように正極集電体12の両面に設けられていても良い。
負極30は、負極集電体32、及び、負極集電体32上に設けられた負極活物質層34を備える。なお、負極活物質層34は負極集電体32において負極活物質が塗工された領域を指す。負極集電体32は導電材料からなる。負極集電体32の材料の例は、銅などの金属である。
セパレータ20は、正極10と負極30とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ20は、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用できる。正極10の正極活物質層14と、負極30の負極活物質層34とがセパレータ20の各面に接触している。
電解液は、電解質と、この電解質を溶解する溶媒とを含む。電解質は、正極活物質層14、セパレータ20、負極活物質層34内に含浸されている。
ケース70は、正極10、セパレータ20、負極30、及び、電解液を収容する。ケースの材料や形態は特に限定されず、樹脂、金属など公知の種々の物を使用できる。
(負極活物質の製造)
市販の25gのCaSi2を、0℃に氷浴した1mol%HF−14mol%HCl水溶液20mL中に加え、1時間攪拌した。その後、水を加え5分攪拌し、濾過により水溶液から黄色粉体を分離した。得られた黄色粉体を、水及びエタノールで洗浄し、その後、真空乾燥して、層状ポリシランを5.5g得た。層状ポリシランのX線回折測定結果を図3の(a)に示す。なお、X線回折結果において、丸印(○)はシリコン由来のピークを、菱形印(◇)は層状ポリシラン由来のピークを示す。
続いて、層状ポリシランをアルゴン雰囲気下で500℃で5時間焼成した。得られた焼成物のX線回折測定結果を図3の(b)に示す。
続いて、アルゴン雰囲気下で、7.5mgのフタロシアニンを含有するテトラヒドロフラン溶液10mLに500mgの得られた焼成物を加え、60℃で3時間攪拌した。溶液から、テトラヒドロフランを真空により除去し、残った粉体をアルゴン雰囲気下で500℃で焼成し、実施例1の負極活物質を得た。得られた負極活物質のD50は、13μmであった。
得られた負極活物質、天然黒鉛粉(粒径D50:20μm)、導電助剤(アセチレンブラック)、及びバインダー(ポリアミドイミド)を、それぞれ、32:50:8:10の質量比で混合し、さらに、溶媒(N−メチル−2−ピロリドン(NMP))を加えてスラリーを得た。
フタロシアニンを、フタロシアニン銅に替えた以外は実施例1と同様にして実施例2の負極活物質及び電極を得た。
フタロシアニンとの混合、及び、その後の焼成を行わない以外は実施例1と同様にして比較例1の負極活物質及び電極を得た。
SiO、すなわち、SiO2相中に、Si相が分散した負極活物質を用いる以外は実施例1と同様として、比較例2の電極を得た。
(組成)
負極活物質のSi,O,Nの量については、EPMA(日本電子製 JXA−8530F)を用いて定量した。Nについては、Si3N4を標準試料とし、ZAF補正法を用いた。
Hの量については、水素分析装置(堀場製作所製 EMGA−930)を用いて測定した。具体的には、サンプルの一部を黒鉛坩堝中で加熱してH2を発生させ、その後ガスに酸素を与えてH2Oに転化させ、赤外線吸収法(NDIR)によりH量を求めた。
実施例1の負極活物質のSi原子をXPSで分析した結果を図4に示す。点線は表面近傍、実線は深さ100nmにおける測定結果である。表面及び内部に共通して、99eVに強いピークを確認できることから、この粒子は、Si−Si結合を主成分として含むことが確認された。なお、表面には103.2eV不均にSiO2を示すピークが確認され、表面にはシリコン酸化物が形成されていることがわかる。
これらの結果から、得られた粒子は、O及びNを含む水素化アモルファスシリコン(α−SiNO:H)を主成分とすることが確認された。なお、表面近傍には、ごく微量のSiO2等が存在した。
オージェ電子分光法(AES)を用いて、活物質粒子の最表面と内部との間のNの量の比を測定した。具体的には、オージェ電子分光検出器としてCMA(円筒鏡型分析器)を使用したアルバック・ファイ株式会社製 PHI−680でN量を測定した。
測定条件:加速電圧10kV,プローブ電流10nA,ステージ傾斜30度
380eV付近の窒素のピーク強度の比から最表面と内部の窒素濃度比を求めた。
上記の各負極、ポリプロピレン多孔質膜(27mm×32mm、厚み25μm)、及び、Li対極をこの順に重ねて積層体を得た。この積層体を、アルミニウム箔の両面を樹脂でラミネートしたケース内に収容し、さらに、ケース内に電解液を供給し、ハーフセルを得た。電解液は、溶媒と電解質(LiPF6)とを含み、溶媒は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートを、質量比で3:3:4含み、電解質濃度は1mol/dm3であった。
このハーフセルに対して、初回の放電及び充電を以下のように行った。まず電圧が0.01Vとなるまでハーフセルを放電(Li対極から負極活物質へのLiイオンの供給)し、その後、電圧が1.0Vとなるまでハーフセルを充電(負極活物質からLi対極へのLiイオンの供給)した。放電時及び充電時の電極の重量あたりの容量を測定した。また、初回クーロン効率を、充電容量/放電容量により求めた。結果を表1に示す。また、実施例2及び比較例1の、電圧−容量カーブを図6に示す。
Claims (3)
- Si、O、H、及び、Nを含む化合物を主成分として含み、
前記化合物は、O及びNを含む水素化アモルファスシリコンであり、
前記化合物の、Siに対するOのモル比は0.05〜0.8であり、Siに対するHのモル比は0.01〜0.3であり、Siに対するNのモル比は0.003〜0.1であり、
中心部のNの濃度に比べて表層部のNの濃度が高い、負極活物質。 - 層状ポリシランを不活性ガス中で焼成して焼成物を得る工程と、
前記焼成物にNをドープする工程と、を備える、請求項1に記載の負極活物質の製造方法。 - 正極及び負極を備え、
前記負極は、集電体と、前記集電体の上に形成された負極活物質含有層とを有し、
前記負極活物質含有層は請求項1に記載の負極活物質を含むリチウムイオン二次電池。
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