JP6033390B2 - オイルミスト抑制剤 - Google Patents
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Description
シリコーンゴム粒子は、ゴム弾性を有し、べたつきがないシリコーン硬化物の粒子である。該シリコーンゴム粒子は、油剤を吸収して膨潤するものであってもよい。シリコーンゴム粒子は従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでない。特には、硬化性液状シリコーン組成物の硬化物である。該シリコーンゴム粒子のゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であるのがよい。ゴム硬度の上限は特に制限されないが、通常90以下、特には80以下である。ゴム硬度が上記下限値未満であると、シリコーンゴム粒子の凝集性が強くなり、油剤に対する分散性が悪く、オイルミスト抑制性能が乏しくなる場合がある。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、3官能性シランを加水分解及び縮合反応することにより得られる三次元網目状架橋構造を有する、レジン状固体物の粒子である。本発明において該ポリオルガノシルセスオキサン粒子は、従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでないが、油剤に溶解せず、かつ融点が80℃以上もしくは融点を有しないものであることが好ましい。
シリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子は、従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでない。シリコーンゴム粒子としては、上述したシリコーンゴム粒子と同じ構造が挙げられる。ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、上述したポリオルガノシルセスキオキサン粒子と同じ構造が挙げられる。
試料(油剤)を塗布したロールを高速回転させてミストを発生させる装置、ミスチングテスタ(商品名、(株)東洋精機製作所製)を用い、試料(油剤)量1.6g、ロール回転数2,500rpmの条件でミストを発生させた。ミスチングテスタ作動30秒後、50秒後、100秒後、150秒後、200秒後、250秒後、および300秒後に、夫々、ロールから90mmの位置のミスト量を、デジタル粉塵計DustTrak Model 8520(TSI Incorated社製、商品名)を用いて測定した。
シリコーン粒子−1(シリコーンゴム粒子)の製造
下記式(1)で示される、粘度が580mm2/sのメチルビニルポリシロキサン500gと、
別途、上記式(1)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、および塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を、上記と同じ配合割合で混合した。得られた混合物をアルミシャーレに流し込み、厚みが10mmとなるようにした。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱した。得られた硬化物はべたつきのないシリコーンゴムであった。該シリコーンゴムの硬度をデュロメータA硬度計で測定したところ29であった。
TRIFAT S−308(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、日光ケミカルズ(株)製)97gに、シリコーン粒子−1を3g添加した。ディスパミキサーを用いて、2,000rpmで1分間攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−2(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水850g及び28%アンモニア水20gを仕込み、水温を20℃とした。該溶液の25℃でのpHは11.5であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン130gを140分かけて滴下した。滴下する間は液温を15〜25℃に保った。滴下終了後、液温を15〜25℃に保ち、さらに1時間撹拌を行った。その後、液温を75〜80℃まで加熱し、さらに4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−2と称する。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−2を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−3(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水850g及び28%アンモニア水20gを仕込み、水温を5℃とした。該溶液の25℃でのpHは11.5であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン20g、テトラメトキシシラン0.2g、およびトリメチルシラノール0.1gの混合溶解物を投入した。その後、液温を5〜10℃に保ち10分間攪拌した。次いで、該混合液中に、メチルトリメトキシシラン110gを120分かけて滴下した。滴下する間は液温を5〜10℃に保った。滴下終了後、液温を5〜10℃に保ち、さらに1時間撹拌を行った後、液温を75〜80℃まで加熱し、さらに4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、CH3SiO3/2単位を主とするポリメチルシルセスキオキサン粒子(CH3SiO3/2単位/SiO4/2単位/(CH3)3SiO1/2単位のモル比=99.75/0.14/0.11)を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−3と称する。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−3を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−4(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水770g及び1−ペンタノール20gを仕込み、液温を15℃とした。翼回転数150rpmで撹拌しながらメチルトリメトキシシラン170gを投入した。その後、液温を15〜18℃に保ち、2時間攪拌した。次いで、同温度にて、翼回転数250rpmで攪拌しながら2.8%アンモニア水2.5gを投入し、さらに1分間攪拌した後、攪拌を停止した。液温15〜18℃で16時間静置後、翼回転数100rpmの条件で撹拌を開始し、液温が65〜70℃となるまで加熱した後、攪拌しながら28%アンモニア水38gを投入し、さらに液温65〜70℃で4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−4と称する。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−4を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−5(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
実施例1にて製造した、シリコーンゴム粒子の水分散液290gを、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに入れ、さらに水671g、および28%アンモニア水19gを添加した後、液温を7℃にした。該溶液の25℃でのpHは11.3であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン20g(シリコーンゴム粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後の(即ち、被覆する)ポリメチルシルセスキオキサンの量が6.5質量部となる量)を20分かけて滴下した。滴下する間は液温を5〜10℃に保った。さらに5〜10℃で1時間攪拌を行い、次いで、液温を55〜60℃まで加熱した。液温を55〜60℃に保ったまま更に1時間攪拌を行った。該工程により、メチルトリメトキシシランの加水分解及び縮合反応を完結させた。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とした。該ケーキ状物を、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに移し、水1,000gを添加し、30分間攪拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱液した。さらに同じ操作を2回繰り返した後、得られたケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子を得た。該粒子をシリコーン粒子−5と称する。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−5を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−6(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
上記式(1)で示される、粘度が580mm2/sのメチルビニルポリシロキサン500gと、上記式(2)で示される、粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g(式(1)の化合物が有するビニル基1個に対し、式(2)の化合物が有するヒドロシリル基の個数が1.06個となる量)を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.2gと水100gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められた。該混合物を更に15分間撹拌した。次いで、該混合物を2,000rpmで撹拌しながら、水378gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。該エマルジョンを、錨型攪拌翼を備えた容量1リットルのガラスフラスコに移し、液温を15〜20℃にした後、撹拌下で、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.6gの混合溶解物を添加した。該混合物を15〜20℃で12時間撹拌し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得た。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−6を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子−7(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
下記式(3)で示される、粘度が8mm2/sのメチルビニルポリシロキサン80gと
別途、上記式(3)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(4)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、および塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を、上記と同じ配合割合で混合した。該混合物をアルミシャーレに流し込み、厚みが10mmになるようにした。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱した。得られた硬化物はべたつきのないシリコーンゴムであった。該シリコーンゴムの硬度をデュロメータA硬度計で測定したところ75であった。
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−7を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
TRIFAT S−308 99gに、実施例4にて製造したシリコーン粒子−4を1g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
オリーブ油(日光ケミカルズ(株)製)97gに、実施例7にて製造したシリコーン粒子−7を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
TRIFAT S−308 97gに、実施例1にて製造したシリコーン粒子−1を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
TRIFAT S−308 97gに、実施例4にて製造したシリコーン粒子−4を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
TRIFAT S−308 97gに、実施例6にて製造したシリコーン粒子−6を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子を添加しないTRIFAT S−308を用いて、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン粒子を添加しないオリーブ油を用いて、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 0.1〜20μmの範囲にある体積平均粒径を有するシリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤を含有する油剤。
- シリコーン粒子が、シリコーンゴム粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、およびシリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子から選択される少なくとも1種である、請求項1記載の油剤。
- シリコーンゴム粒子がJIS K 6253に準拠してタイプAデュロメータにて測定されるゴム硬度5以上を有する、請求項2記載の油剤。
- 切削加工用または研削加工用である、請求項1〜3のいずれか1項記載の油剤。
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