本実施形態では、車両は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。
また、車両は、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両における車輪の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
図1は、実施形態にかかる車両1の駆動切替用制御装置を含む車両駆動力伝達系統の構成例を示した図である。図1に示すように、車両駆動力伝達系統は、前輪4F及び後輪4Rのいずれか一つ以上を駆動させるための動力源であるエンジン20と、エンジン20の回転を前進又は後進の回転方向に切り替えて減速する変速機21と、エンジン20の出力をドライブシャフト(プロペラシャフト)13を介して前後軸に分配するトランスファー3と、前輪側デファレンシャルギア(以下、Fデフとも称す)5と、後輪側ディファレンシャルギア(以下、Rデフとも称す)6と、を備える。
さらに、車両1の車両駆動力伝達系統は、デフ切離しユニット41として、デフ切離し機構9と、デフ切離し機構9を動作させてFデフ5を切り離すためのアクチュエータ7と、アクチュエータ7のシフトフォーク及びスプラインの位置を検出するための位置検出SW群8とを備える。さらには、車両1の車両駆動力伝達系統は、デフロックユニット42として、デフロック機構12と、デフロック機構12を動作させてRデフ6をロックするためのアクチュエータ10と、アクチュエータ10のシフトフォーク及びスプラインの位置を検出するための位置検出SW群11、とを備える。さらには、駆動切替用制御装置として備えられた各構成を制御するためのECU(electronic control unit))2を備えている。
エンジン20の駆動力は、変速機21を経由してトランスファー3に伝わり、トランスファー3からRデフ6に伝わり、後車軸14Rを経由して後輪4Rを回転させる。さらに、4輪で駆動させる場合、トランスファー3からFデフ5に駆動力が伝わり、前車軸14Fを経由して前輪4Fを回転させる。
トランスファー3は、エンジン20からの駆動力をドライブシャフト13(プロペラシャフト)を介して前後軸に分配する。トランスファー3は、アクチュエータ31と、アクチュエータ31のシフトフォーク及びスプラインの位置を検出するための位置検出SW群32と、副変速機33と、2駆―4駆切替機構34と、デフロック機構35と、センターデフ36と、を備える。
副変速機33は、4輪駆動時における終減速比をハイギヤとローギヤに切替可能な構成とする。車内からのスイッチ操作により、アクチュエータ31がハイ&ローシフトレバー(図示せず)を動作させることでハイギヤとローギヤとを切り替える。2駆―4駆切替機構34は、二輪駆動(2WD)と、四輪駆動(4WD)とを、切替えるための切り替え機構とする。
センターデフ36は、回転トルクを前輪4Fと後輪4Rとの間で振り分けるための差動動作を行う。デフロック機構35は、アクチュエータ31の動作により、センターデフ36による前輪4Fと後輪4Rとの間の差動動作を行うか否かの切り替えを行う。なお、本実施形態のデフロック機構35は、センターデフ36を必要に応じてロックすることで、前輪4F又は後輪4Fが空転しているときに回転の差が生じるのを抑止する。
2輪駆動の場合、車両駆動力伝達系統では、後輪4Rを駆動させ、前輪4Fを従動輪とし、前輪4Fの差動動作を行わない。このため、デフ切離し機構9が、Fデフ5を、前車軸4Fから切り離す。当該切り離し動作を行うために、デフ切離し機構9をアクチュエータ7が動作させる。つまり、2駆―4駆切替機構34が車両1の2輪駆動と4輪駆動との間の切り替えを行うと同時に、デフ切離し機構9は、Fデフ5の切断と伝達とを切り替える。
ところで、現在様々な種類の車両が製造、販売されている。そして、これら車両においては、後輪側ディファレンシャルギア6のフリーとロック状態とを切り替え可能な車種と、切り替えできない車種とが存在する。本実施形態にかかる車両1は、後輪側ディファレンシャルギア6のフリーとロック状態とを切り替えるためのデフロック機構12を備えた車種とするが、当然にこのようなデフロック機構12を備えていない車種もある。このデフロック機構12が備えられている場合、当該デフロック機構12を動作させるためのアクチュエータ10を制御する必要がある。つまり、アクチュエータ10が搭載されている車種と、当該アクチュエータ10が搭載されていない車種とがあり、これらの違いに応じて制御を異ならせる必要がある。さらには、車両1にアクチュエータ10のハーネスが不測の事態等で切断され、当該アクチュエータ10が使用できなくなることも考えられる。そこで、本実施形態では、車両1でアクチュエータ10が使用可能に接続されているか否かを検出することとした。
また、使用可能に接続されているか否かに応じて制御を異ならせる必要があるのは、アクチュエータ10に限らず、アクチュエータ7及びアクチュエータ31も同様である。このため、アクチュエータ7及びアクチュエータ31の接続の有無を検出しても良い。そこで、本実施形態ではアクチュエータ10及びアクチュエータ7の接続の有無について検出する例について説明する。アクチュエータ31の接続の有無の検出は、アクチュエータ10及びアクチュエータ7の接続の有無の検出と同様の手法で実現できるため、説明を省略する。さらには、本実施形態は、接続の有無の検出対象をアクチュエータ7、10、31に制限するものではなく、車両の駆動力を伝達させるか否かの切り替え動作を行うアクチュエータであれば同様の手法で適用可能である。
デフロック機構12は、Rデフ6のフリー状態とロック状態とを切り替えるための機構とする。Rデフ6がフリーの状態では、後輪4Rの左輪と右輪との間で差動が生じ、異なる回転数で回転駆動する。Rデフ6がロック状態では、後輪4Rの左輪と右輪とが直結状態となり、同じ回転数で回転駆動する。
本実施形態では、Rデフ6が備えている、(図示しない)デフケースとサイドギアとが係合された状態と、デフケースとサイドギアとが離間された状態と、を切り替えるためにデフロック機構12を動作させるためのアクチュエータ10が備えられている。
デフロック機構12内には、デフケースに支持されて、移動可能に設けられた(図示しない)可動部が存在する。さらに、可動部は、アクチュエータ10と図示しないバネとにより、第1の位置と第2の位置との間を移動する。つまりアクチュエータ10が駆動している場合に可動部は第2の位置まで移動させられ、アクチュエータ10が駆動していない場合にバネにより可動部は第1の位置まで移動する。
可動部が第1の位置に存在する場合に、デフケースとサイドギアとが離間することで(換言すればデフが動作することで)、後輪4Rの左輪と右輪との間の差動が可能となる。可動部が第2の位置に存在する場合に、デフケースとサイドギアとが係合し、デフケースとサイドギアとが一体的に回転することで(換言すればデフがロックされることで)、後輪4Rの左輪及び右輪の間で差動せずに一体的に回転する。
つまり、本実施形態では、車両1でアクチュエータ10が使用可能に接続されているか否かを判定することで、デフロックが可能であるか否かを検出できる。そして、ECU2では、当該検出結果に応じた制御が可能となる。
ECU2は、3つのアクチュエータ7、10、31を制御して、車両1の駆動切替を行う。本実施形態にかかるECU2は、アクチュエータ7、10、31の動作位置を表す検出信号を位置検出SW群8、11、32から入力するとともに、それぞれのアクチュエータ7、10、31を駆動させる信号を出力する。
図2は、本実施形態にかかるECU2と、ECU2で制御される各ユニットと、の構成を示したブロック図である。
図2に示すように、ECU2は、電源201から供給される電力により動作する。そして、ECU2は、マイコン電源回路202と、通電経路切替回路203と、電圧検出回路204と、電流制御回路205と、SW信号監視回路206と、電流制御回路207と、電圧検知回路208と、ON-OFF制御回路209と、SW信号監視回路210と、を備える。さらに、ECU2は、上述した構成を制御するために、マイコン251と、ROM252と、RAM253と、を備える。
ECU2は、デフ切離しユニット41に含まれている位置検出SW群8から入力される信号に基づいて、デフ切離しユニット41に含まれているアクチュエータ7を制御する。さらに、ECU2は、デフロックユニット42に含まれている位置検出SW群11から入力される検出信号に基づいて、デフロックユニット42に含まれているアクチュエータ10を制御する。
図3は、アクチュエータ7の構造を模式的に表す構成図である。図3は、Fデフ5の切り離しを行うアクチュエータ7の例を示した図である。図3に示されるように、アクチュエータ7はモータ301の回転によって、ウォームギア302が回転する。なお、実施形態では、アクチュエータ7の動力としてモータ301を適用するがそれ以外の構成でも良い。
そして、ウォームギア302とウォームホイール303はかみ合っていて、ウォームギア302の回転を減速してウォームホイール303が回転する。ウォームホイール303の回転によって、シフトフォーク306が軸方向に移動し、シフトフォーク306の動きによって、前述のスプライン(図示せず)が動力軸と嵌合又は離脱する。
図3では省略しているが、動力軸が回転してスプラインの嵌合位置に合ったときにスプラインを嵌合させるように、シフトフォーク306とウォームホイール303の間にバネ機構がある。
また、ウォームホイール303には、ポジションスイッチ304が係合している。ポジションスイッチ304は、例えば、ウォームホイール303の回転に伴って移動する電極と、固定された電極との接点で構成される。例えば、ウォームホイール303に連動する回転体の側面に、円弧状の帯電極を設けて、アクチュエータ7のハウジングに固定された電極と摺動させ、移動する電極と固定された電極との接触と非接触によってウォームホイール303の回転位置を検出するように構成する。円弧状の帯電極の中心角と方位座標を変えた複数の帯電極と、その複数の帯電極それぞれと接触する複数の固定電極を設けて、それぞれが異なる角度で接触又は非接触するように構成する。これら帯電極と固定電極との間の接触、非接触により第1SW221、第2SW222、及び第3SW223のオン/オフが切り替わる。
そして、本実施形態では、第1SW221、第2SW222、及び第3SW223から出力される検出信号により、ウォームホイール303の複数の角度位置を識別することができる。なお、本実施形態は、角度位置を検出する手法を上述した手法に制限するものではなく、例えば、移動する電極をウォームホイール303の側面に設けてもよい。
シフトフォーク306の位置は、ウォームホイール303の回転に応じて移動する関係にある。そこで、本実施形態では、ウォームホイール303の角度位置に基づいて、シフトフォーク306の位置を導出可能にしている。換言すれば、第1SW221、第2SW222、及び第3SW223から出力される信号に基づいて、シフトフォーク306の位置を導き出せる。
また、アクチュエータ7にはそれぞれ、シフトフォーク306又はスプラインの位置を検出するリミットスイッチ305が設けられている。リミットスイッチ305は、シフトフォーク306又はスプラインの位置がある範囲にあるときにオンになり、その他の範囲でオフになるように設けられている。そして、第4SW224及び第5SW225は、リミットスイッチ305のオン/オフに対応した検出信号を出力する。
ポジションスイッチ304とリミットスイッチ305は、それぞれ係合している部位が異なるが、いずれもアクチュエータ7の動作位置を検出するスイッチである。本実施形態では、ポジションスイッチ304、リミットスイッチ305、及び第1SW221〜第5SW225を含めて、位置検出SW群8と称する。ただし、本実施形態では、第1SW221〜第5SW225のうち、第1SW221〜第3SW223からの検出信号に基づいて、アクチュエータ7が接続されるか否かを判定する。
また、デフロックユニット42に含まれているアクチュエータ10は、図3のアクチュエータ7とは、シフトフォークが“ON(デフがONとなる位置)”と“OFF(デフがOFFとなる位置)”の2つの位置の間を移動可能である点を除いて同様の構成として説明を省略する。
そして、デフロックユニット42に含まれている位置検出SW群11に含まれている第11SW231は、アクチュエータ10のシフトフォークが“ON”と“OFF”のどちらの位置にあるのかを示す検出信号を出力する。
通電経路切替回路203は、アクチュエータ7を介する通電経路を切り替えるための回路とする。本実施形態では、位置検出SW群8からの信号により、アクチュエータ7が接続されてない可能性があると判別された場合に、通電経路切替回路203は、アクチュエータ7の接続の有無を検出するための通電経路を形成する。
図4は、本実施形態にかかる通電経路切替回路203の構成を示した図である。図4に示すように、通電経路切替回路203は、通電経路切替回路203を制御するCPU501と、FET502と、リレー503と、リレー504と、抵抗R1、R2とを備える。
CPU501は、マイコン251からの制御信号を受信するためのポートを備えている。例えば、CPU501は、アクチュエータ7の有無の検出が必要な場合に、マイコン251から通電経路を切り替える旨の制御信号を受信する。
FET(電界効果トランジスタ)502は、図示しない回路によりCPU501からの制御信号に従って、アクチュエータ7への給電を切り換えて、アクチュエータ7を駆動させる。本実施形態では、PchFETを用いた例とするが、他のFETでもよい。リレー503、リレー504は、CPU501からの制御信号に従って、アクチュエータ7への通電のON/OFFを切換える。
そして、リレー504のON側には、図2に示した電圧検知回路208及び電流制御回路205が接続されている。
本実施形態にかかる通電経路切替回路203は、さらに、FET502の間に並列に接続される抵抗R1、R2を備える。抵抗R1と抵抗R2とは直列に接続されており、抵抗R1、R2の上流には、電源201によるバッテリー電圧が印加される。
車両1をイグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後の状態では、リレー503、504をOFF状態とする。その後、位置検出SW群8を用いたアクチュエータ7が接続する否かの判定が行われる。そして、位置検出SW群8を用いたアクチュエータ7が接続する否かの判定で、アクチュエータ7が接続されていないと判定された場合に、CPU501は、マイコン251からの制御信号に従って、アクチュエータ7が接続されているか否かを判定するための通電経路を、リレー503、504を用いて形成する。
本実施形態では、アクチュエータ7が接続されているか否かの判定用の通電経路を形成するために、CPU501は、リレー503、504に対して制御信号を出力し、オン/オフを切り替えさせる。例えば、リレー503をオフ状態、リレー504をオン状態とすることで、電源201からアクチュエータ7を介して、電圧検出回路204及び電流制御回路205までの通電経路が形成される。これにより、電源201からバッテリー電圧を印加した後、電圧検出回路204で電圧を検出することで、アクチュエータ7が接続されているか否かを判定できる。換言すれば、電源201からグランド211までアクチュエータ7を介した通電があるか否か等により、アクチュエータ7が接続されているか否かの判定が可能となる。
なお、本実施形態は、リレー503、504を切り替えて通電経路を確保する例について説明したが、このような手法に制限するものではない。電源201からアクチュエータ7を介した通電経路が確保できれば、どのような手法でも良い。
電流制御回路205は、電源201からアクチュエータ7を介してグランド211までの通電経路上の電流を制御する。本実施形態では、電流制御回路205は、通電経路切替回路203により、電源201からアクチュエータ7を介して、電圧検出回路204及び電流制御回路205までの通電経路が形成された後に、当該通電経路において、アクチュエータ7の下流側の出力電流値が‘0’になるように制御する。なお、本実施形態では、‘0’になるように制限する例について説明するが、‘0’に制限するものではなく、おおよそ‘0’であればよい。
電圧検出回路204は、電源201からアクチュエータ7を介してグランド211までの通電経路上の出力電圧を検出する。本実施形態では、電流制御回路205により電流値の制御が行われた後に、出力電圧値を検出する。検出された出力電圧値は、マイコン251に出力する。
SW信号監視回路206は、第1SW221、第2SW222、及び第3SW223から入力される検出信号を監視する回路とする。本実施形態にかかるSW信号監視回路206は、第1SW221、第2SW222、及び第3SW223から入力される検出信号を、マイコン251のポートに入力可能な電流、電圧の信号に変換する処理も行う。
電流制御回路207は、電源201とアクチュエータ10との間(アクチュエータ10から上流側)に配置され、電源201からアクチュエータ10に供給する電流を制御する。
ON-OFF制御回路209は、アクチュエータ10とグランド212との間(アクチュエータ10から下流側)に配置され、アクチュエータ10を介して通電経路を流れる電流のON/OFFを制御する。
電圧検知回路208は、電源201からアクチュエータ10を介してグランド212までの通電経路上の出力電圧値を検出する。
SW信号監視回路210は、第11SW231から入力される検出信号を監視する回路とする。本実施形態にかかるSW信号監視回路210は、第11SW231から入力される検出信号を、マイコン251のポートに入力可能な電流、電圧の信号に変換する処理も行う。
マイコン電源回路202は、電源201からマイコン251に対して電力を供給するための回路とする。RAM253は、読み書き可能な記憶領域であり、例えば、マイコン251の作業領域として用いられる。
ROM252は、制御プログラム254と、スイッチ管理テーブル255とを記憶した、読出のみ可能なメモリとする。
図5は、本実施形態にかかるスイッチ管理テーブル255の構成を示した図である。図5に示すように、スイッチ管理テーブル255は、シフトフォーク306の位置と、第1SW221、第2SW222、及び第3SW223から出力される検出信号と、の対応関係を保持している。
図5に示すように、シフトフォーク306の位置が第1の位置、第1の位置と第2の位置との間を示す“←→”、第2の位置、第2の位置と第3の位置との間を示す“←→”、第3の位置のいずれの位置であっても、第1SW221〜第3SW223から出力される検出信号のいずれか一つ以上が“ON”であることが確認できる。
換言すれば、第1SW221〜第3SW223から出力される検出信号のいずれか一つ以上が“ON”である場合、シフトフォーク306が正常の位置に存在する、つまりアクチュエータ7が適切に接続されていると考えられる。一方、第1SW221〜第3SW223から出力される検出信号の全てが“OFF”であれば、アクチュエータ7が使用可能に接続されていない、もしくはアクチュエータ7に関して異常が生じていると考えられる。そこで、本実施形態では、第1SW221〜第3SW223から出力される検出信号全てが“OFF”の場合に、アクチュエータ7が未接続である可能性があるものとして処理を行う。しかしながら、アクチュエータ7は適切に接続されているが、検出信号を通知するためのハーネス等の断線も考えられるため、本実施形態では、検出信号によるアクチュエータ7の接続の有無の判定に加えて、通電経路上の出力電圧値によるアクチュエータ7の接続の有無の判別を行うこととした。
ところで、デフロックユニット42のアクチュエータ10の動作位置は、第11SW231から出力される検出信号で特定できる。この第11SW231が出力する検出信号は、“ON”又は“OFF”である。このため、第11SW231から出力される検出信号を用いてアクチュエータ10の接続を判別しようとしても、上述したアクチュエータ7の接続の有無と同様の判別手法を用いることはできない。しかしながら、本実施形態にかかる車両1において、イグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後の状態では、第1SW231から出力される検出信号は“ON”である。そこで、本実施形態では、イグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後、第11SW231から出力される信号が“OFF”であれば、アクチュエータ10が未接続である可能性があるものとして処理を行う。
図2に戻り、マイコン251は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM252に記憶されている制御プログラム254を読み出し、当該制御プログラム254の内部に構成されている位置入力部261と、経路切替部262と、電圧検出部263と、判別部264と、をRAM253上に実現する。これら構成は、アクチュエータ7、10、31が接続されているか否かの判別を行うための処理を行う。なお、本実施形態においては、車両1が起動された際に、判別部264がアクチュエータ7、10、31が接続されているか否かを行うこととする。
まずは、アクチュエータ7が接続されているか否かの判別手法について説明する。図6は、本実施形態にかかるECU2で行うアクチュエータ7が接続されているか否かの判定のロジックを示した概念図である。図6に示すように、アクチュエータ7が車両1内に使用可能に接続されているか否かは、2つの条件の論理和により判別される。
2つの条件のうち一方は、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、及び第3SW223=“ON”の論理和、換言すれば第1SW221〜第3SW223から出力される検出信号のうち、いずれか一つ以上が“ON”であることを条件としている。
2つの条件のうち他方は、“アクチュエータ7の通電経路の確保”、“アクチュエータ7の下流側の出力電流値を‘0’に制御”、及び“アクチュエータ7の下流側の電圧値>接続判定用電圧値”の論理積となる。換言すれば電源201からアクチュエータ7を介して電流制御回路205及び電圧検出回路204までの通電経路が確保されている場合に、電流制御回路205によりアクチュエータ7の下流側の出力電流値を‘0’に制御された後、“アクチュエータ7の下流側の電圧値>接続判定用電圧値”を満たすことが条件として設定されている。なお、接続判定用電圧値は、アクチュエータ7が接続されているか否かの判別の基準となる電圧値とし、電源201の電圧値等に基づいて定められればよい。
そして、本実施形態では、2つの条件のうちどちらか一方でも満たした場合に、アクチュエータ7が車両1内で接続されているとみなす。
上述した例では、アクチュエータ一つに対して、複数のSWからの検出信号で動作位置を検出する例について説明した。しかしながら、アクチュエータの動作位置がON/OFFしかない場合、当該動作位置を検出するためのSWは一つとなる(例えば第11SW231)。第11SW231が“ON”の時にRデフがフリーとなり、第11SW231が“OFF”の時にRデフがロックされる。このような場合にアクチュエータ(例えばアクチュエータ10)が車両1内で使用可能に接続されているか否かを判別する例について説明する。図7は、本実施形態にかかるECU2で行うアクチュエータ10が接続されているか否かの判定のロジックを示した概念図である。図7に示すように、アクチュエータ10が接続されているか否かは、2つの条件の論理和により判別される。
2つの条件のうち一方は、第11SW231=“ON”であることを条件としている。換言すれば、車両1の起動時に、フリー状態のRデフ6が検出されたことを示す検出信号“ON”が入力処理された場合は、アクチュエータ10が車両1内で使用可能に接続されているものとみなす。
2つの条件のうち他方は、第11SW231=“OFF”、及び以下に示す3つの条件の論理積となる。3つの条件とは、“アクチュエータ10の出力電流100%指示”、“アクチュエータ10の出力電流値が‘0’になるようにスイッチの“OFF”、及び“アクチュエータ10の下流側の電圧値>接続判定用電圧値”とする。換言すれば、第11SW231が“OFF”の場合、電源201からアクチュエータ10に続く通電経路を形成し、アクチュエータ10の下流側の出力電流値を‘0’とする制御を行った後、“アクチュエータ10の下流側の電圧値>接続判定用電圧値”であることが、アクチュエータ10が車両1内で接続されている条件として判別される。
図2に戻り、各構成について説明する。位置入力部261は、アクチュエータ毎に対応付けられた位置検出SW群から、当該アクチュエータの動作位置の検出結果が示された検出信号を入力処理する。例えば、位置入力部261は、アクチュエータ7の動作位置の検出結果を示した検出信号を、位置検出SW群8から入力処理する。さらに、位置入力部261は、アクチュエータ10の動作位置の検出結果を示した検出信号を、位置検出SW群11から入力処理する。
また、本実施形態にかかる位置入力部261は、アクチュエータ7が車両1内で接続されている場合、当該アクチュエータ7の動作位置を検出した結果として、位置検出SW群8に含まれる第1SW221、第2SW222、第3SW223のうちいずれか一つ以上がオンであることが示された検出信号を入力処理する。
判別部264は、位置入力部261が入力処理した検出信号に基づいて、アクチュエータ7、10、31が車両1内で適切に接続されているか否かを判別する。
位置入力部261が入力処理した検出信号に基づいたアクチュエータ7、10が車両1内で接続されているか否かの判別手法は上述した判定のロジック通りとする。また、アクチュエータ31も、アクチュエータ7と同様の手法を用いるものとして説明を省略する。
そして、判別部264は、位置入力部261が入力処理した複数の検出信号(第1SW221、第2SW222、第3SW223)全てが“オフ”の場合に、通電経路を形成して、アクチュエータ7が車両1内で適切に接続されているか否かを判定する必要がある。この通電経路を形成する際に、経路切替部262を用いる。
経路切替部262は、第1SW221、第2SW222、第3SW223からの検出信号が全て“OFF”の場合に、電源201からアクチュエータ7を介して電圧検出回路204までの通電経路を形成するよう、通電経路切替回路203に指示する。そして、通電経路切替回路203は、内部のリレー503、504を切り替えて、当該通電経路を形成する。
電圧検出部263は、電源201からアクチュエータ7、10、31を介した通電経路上の電圧値を検出する。
例えば、電圧検出部263は、第1SW221、第2SW222、第3SW223からの検出信号が全て“OFF”の場合に、通電経路切替回路203により切り替えられ且つ電流制御回路205により出力電流値が‘0’に制御された後、通電経路上に配置された電圧検出回路204から入力される信号から、電圧値を検出する。
他の例としては、電圧検出部263は、第11SW231からの検出信号が“OFF”の場合に、電流制御回路207及びON-OFF制御回路209により切り替えられた後、通電経路上に配置された電圧検知回路208から入力される信号により、電圧値を検出する。
そして、判別部264は、電圧検出部263により検出された電圧値が、接続判定用電圧値より大きいか否かにより、アクチュエータ7、10、31が車両1内で接続されているか否かを判定する。
次に、本実施形態にかかるECU2における、車両1にデフ切離しユニット41のアクチュエータ7が接続されているか否かの判別処理について説明する。図8は、本実施形態にかかるECU2における上述した処理の手順を示すフローチャートである。図8で示す処理は、車両1をイグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後に行う処理とする。
まず、位置入力部261が、デフ切離しユニット41のアクチュエータ7の位置検出SW群8からの検出信号を入力処理する(ステップS801)。
次に、判別部264が、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”であるかを判別する(ステップS802)。第1SW221=“ON、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”である場合(ステップS802:Yes)、判別部264は、アクチュエータ7が接続されているものと判別し(ステップS803)、処理を終了する。
一方、判別部264が、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”ではないと判別された場合(ステップS802:No)、経路切替部262が、通電経路切替回路に対して、電源201からアクチュエータ7を介してグランド211までの通電経路を確保するように指示する(ステップS804)。つまり、本実施形態では、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”ではない場合に、アクチュエータ7を介しているはずの通電経路の電圧値により、アクチュエータ7が接続されているか否かを判別する。
電源201から当該通電経路に電圧を印加した際、アクチュエータ7が車両1内で接続されていないのであれば、当該アクチュエータ7を介した通電が行われずに、出力電圧値は‘0’になると考えられる。そこで、本実施形態は、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”ではない場合に、当該通電経路上の出力電圧値によりアクチュエータ7が接続されているか否かを判別する。これにより、アクチュエータ7が接続されているか否かの判別精度を向上させることができる。
次に、経路切替部262が、電流制御回路205に対して、アクチュエータ10の出力電流値が“0%”になるように指示する(ステップS805)。当該指示に従って、電流制御回路205が、出力電流値を制御する。
その後、電圧検出部263が、電圧検知回路208からの信号から、アクチュエータ7の下流側の出力電圧値を検出する(ステップS806)。
その後、判別部264が、検出されたアクチュエータ7の下流側の出力電圧値が、接続判定用電圧値より高いか否かを判定する(ステップS807)。出力電圧値が、接続判定用電圧値より高いと判定した場合(ステップS807:Yes)、判別部264は、アクチュエータ7が接続されているものと判別し(ステップS803)、処理を終了する。
一方、判別部264が、検出されたアクチュエータ7の下流側の出力電圧値が、接続判定用電圧値以下と判定した場合(ステップS807:No)、判別部264は、アクチュエータ7が接続されていないものと判別し(ステップS808)、処理を終了する。
次に、本実施形態にかかるECU2における、車両1にデフロックユニット42のアクチュエータ10が接続されているか否かの判別処理について説明する。図9は、本実施形態にかかるECU2における上述した処理の手順を示すフローチャートである。図10で示す処理は、車両1をイグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後に行う処理とする。
まず、位置入力部261が、デフロックユニット42のアクチュエータ10の位置検出SW群11からの検出信号を入力処理する(ステップS901)。
次に、判別部264が、第11SW231=“ON”であるかを判別する(ステップS902)。第11SW231=“ON”である場合(ステップS902:Yes)、判別部264は、アクチュエータ10が接続されているものと判別し(ステップS903)、処理を終了する。
一方、判別部264が、第11SW231=“ON”ではないと判別された場合(ステップS902:No)、経路切替部262が、電圧検知回路208に対して、アクチュエータ10とグランド212の間で(アクチュエータ10の下流側)で下流側ON−OFF SWを“OFF”(電流値が‘0’になるよう)にする制御を行う(ステップS904)。経路切替部262が、電流制御回路207に対して、電源201(アクチュエータ10の上流側)からアクチュエータ10の出力電流を100%とする指示を行う(ステップS905)。
その後、電圧検出部263が、電圧検知回路208からの信号から、アクチュエータ10の下流側の出力電圧値を検出する(ステップS906)。
その後、判別部264が、検出されたアクチュエータ10の下流側の出力電圧値が、接続判定用電圧値より高いか否かを判定する(ステップS907)。出力電圧値が、接続判定用電圧値より高いと判定した場合(ステップS907:Yes)、判別部264は、アクチュエータ10が接続されているものと判別し(ステップS903)、処理を終了する。
一方、判別部264が、検出されたアクチュエータ10の下流側の出力電圧値が、接続判定用電圧値以下と判定した場合(ステップS907:No)、判別部264は、アクチュエータ7が接続されていないものと判別し(ステップS908)、処理を終了する。
上述した処理を行うことで、アクチュエータ7、10の接続の有無を判別できる。また、アクチュエータ31についても上述した処理により接続されているか否かを判別できるものとして説明を省略する。
本実施形態においては、位置検出SW群8、11、32からの検出信号や、電源201からアクチュエータ7、10、31を介した通電経路上の電圧値に基づいて、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを判別することとした。
つまり、本実施形態においては、位置検出SW群8、11、32からの検出信号と、電源201からアクチュエータ7、10、31を介した通電経路上の電圧値との2つの条件の論理和で、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを判別することで、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを高い精度で検出できる。
換言すれば、2つの条件のうち、いずれか一方のみでは、ハーネス等の断線により誤検出が生じるため、本実施形態では、上述した条件の論理和で、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを検出することとした。
さらに、上述した判別を行うことで、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを検出するための新たな機構、及び検出結果を示した信号を送受信するための信号線等を備える必要がなくなった。これにより、車両1の信頼性を向上させたにも拘わらず、車両1の組み立て工数を抑えると共に、車両1のコストを抑えることが可能となった。
さらに、上述した実施形態では、第1SW221=“ON”、第2SW222=“ON”、又は第3SW223=“ON”ではないと判別された場合に限り、リレー503、504を切り替えて通電経路を形成することとした。このため、車両1を起動させる毎に、アクチュエータ7が存在するために通電経路を形成する必要がないため、リレー503、504の切替回数を低減できる。これにより、通電経路切替回路203内のリレー503、504の利用可能な期間を延ばすことができる。
本実施形態では、車両1をイグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後に、アクチュエータ7、10、31が車両1に接続されているか否かを検出することとした。これにより、車両1が停止している時にアクチュエータ7、10、31が外される等の不測の事態が生じた際に、当該アクチュエータ7、10、31が接続されているか否かを検出できる。これにより、当該不測の事態が生じたことを運転者等に通知できるほかに、必要に応じてアクチュエータ7、10、31を用いない制御に切り替える等が可能となる。
本実施形態では、車両駆動力伝達系統にデフロックユニット42及びデフ切離しユニット41を接続した例について説明した。しかしながら、本実施形態で示した制御プログラム254は、イグニッション・オンした、即ちECU2に電源が投入された直後に、アクチュエータ7、10、31の有無を確認することで、デフロックユニット42又はデフ切離しユニット41を利用可能か否か判別できる。つまり、本実施形態にかかる車両1は、上述した構成を備えることで、デフロックユニット42又はデフ切離しユニット41が接続されていない車両との間で、制御プログラム254を共通化することができる。これにより、車両開発時の負担を軽減できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。