JP2019158070A - 車両の動力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの動力源の一方に失陥が発生した場合に、車両を停止させることなく、旋回中においても車両の安定した走行性を確保できる車両の動力装置を提供する。【解決手段】本発明による車両の動力装置1の遊星歯車装置PGは、共線図において回転数が単一の直線上に並ぶ共線関係を満たす5つの回転要素を有し、これらのうち、第1及び第2外側回転要素(第1及び第2サンギヤS1、S2)は、第1及び第2モータMG1、MG2にそれぞれ連結され、第1及び第2内側回転要素(第2及び第1リングギヤR2、R1)は、左右の駆動輪WL、WRにそれぞれ連結されている。そして、第1及び第2モータMG1、MG2の一方が失陥した失陥状態が発生したときに、差動制限機構MCを作動させ、第1及び第2外側回転要素の間を接続するとともに、車両の横滑りを防止するように駆動輪WL、WRの制動トルクを制御する。【選択図】図4

Description

本発明は、互いに差回転が可能な左右の駆動輪に動力を伝達する車両の動力装置に関し、特に差動制限機構を用いて動力を制御する車両の動力伝達装置に関する。
従来の車両の動力装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この動力装置は、第1及び第2モータ(電動機)の動力を、第1及び第2遊星歯車機構を介して左右の駆動輪に伝達するものである。第1遊星歯車機構は、第1サンギヤ、第1キャリア及び第1リングギヤを有し、第2遊星歯車機構は、第2サンギヤ、第2キャリア及び第2リングギヤを有する。第1キャリアは、第1モータと第2サンギヤに連結され、第2キャリアは、第2モータと第1サンギヤに連結されている。第1リングギヤは左駆動輪に連結され、第2リングギヤは右駆動輪に連結されている。また、第1モータと第2モータの間には、両者の間を機械的に接続することによって、左右の駆動輪の差動を制限するためのクラッチ機構から成る差動制限機構が設けられている。
この構成では、第1キャリア(第1モータ)、第1リングギヤ(左駆動輪)、第2リングギヤ(右駆動輪)及び第2キャリア(第2モータ)は、それらの回転数が共線図において1つの直線上に順に並ぶ共線関係にある。このため、第1及び第2モータの一方に出力不能などの機能の失陥が発生した場合には、車両の走行が困難になることから、上記の差動制限機構を用いた動力制御が行われる。
具体的には、一方のモータに失陥が発生したと判定されると、運転者にその旨を知らせ、車両の停止を促すとともに、正常な他方のモータの出力を停止し、車両を停止させる。その後、差動制限機構を作動させ、正常なモータの動力を失陥が発生したモータ側の駆動輪に伝達することで、直進走行を行えるようにしている。
国際公開第2017/145878号
しかし、従来の動力装置では、一方のモータに失陥が発生した場合、車両が停止することを条件として、差動制限機構が駆動される。このため、例えば高速道路での走行中に失陥が発生した場合には、高速走行状態から車両が実際に停止するまでの間、失陥状態に対応した動力制御がまったく行われないことになり、車両の安定した走行性を確保できないおそれがある。この問題は、特にモータの失陥が旋回中に発生した場合、車両のスピンや異常なアンダーステアに至ることがあるため、顕著になる。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、2つの動力源の一方に失陥が発生した場合に、車両を停止させることなく、旋回中においても車両の安定した走行性を確保することができる車両の動力装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、互いに差回転が可能な左右の駆動輪WL、WRに動力を伝達する車両の動力装置1であって、第1動力源及び第2動力源(実施形態における(以下、本項において同じ)第1及び第2モータMG1、MG2)と、共線図において回転数が単一の直線上に並ぶ共線関係を満たすように構成された4つ又は5つから成る複数の回転要素を有する歯車装置(遊星歯車装置PG)と、を備え、歯車装置の複数の回転要素のうち、共線図において両外側に位置する第1及び第2外側回転要素(第1及び第2サンギヤS1、S2)は、第1及び第2動力源にそれぞれ連結され、共線図において第1及び第2外側回転要素のすぐ内側に位置する第1及び第2内側回転要素(第2リングギヤ2及び第1リングギヤR1)は、左右の駆動輪WL、WRにそれぞれ連結されており、左右の駆動輪WL、WRに要求される駆動輪要求トルクに基づいて、第1及び第2動力源の目標トルク(目標トルクTM1、TM2)を設定する目標トルク設定手段(ECU2、図4のステップ1)と、第1及び第2外側回転要素の間を接続することによって、左右の駆動輪WL、WRの差動を制限するための差動制限機構MCと、左右の駆動輪WL、WRを互いに独立して制動する制動装置SDと、第1及び第2動力源の一方が機能を失陥した失陥状態が発生したか否かを判定する失陥状態判定手段(ECU2、図4のステップ3)と、失陥状態が発生したと判定されたときに、差動制限機構MCを作動させることによって、第1及び第2外側回転要素の間を接続させるとともに、車両の横滑りを防止するように、制動装置SDによる左右の駆動輪WL、WRの制動トルクを制御する制御手段(ECU2、図4のステップ12、13)と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、車両の動力装置は、第1及び第2動力源と左右の駆動輪の間に設けられた歯車装置を備えている。この歯車装置は、共線図において回転数が共線関係を満たす4つ又は5つから成る複数の回転要素を有する。これらの複数の回転要素のうち、共線図において両外側に位置する第1及び第2外側回転要素は、第1及び第2動力源にそれぞれ連結され、第1及び第2外側回転要素のすぐ内側に位置する第1及び第2内側回転要素は、左右の駆動輪にそれぞれ連結されている。また、左右の駆動輪に要求される駆動輪要求トルクに基づいて、第1及び第2動力源の目標トルクが設定される。
以上の構成により、目標トルクに基づく第1及び第2動力源の動力が、歯車装置の第1及び第2外側回転要素にそれぞれ入力され、第1及び第2内側回転要素を介して左右の駆動輪にそれぞれ配分・伝達される。これにより、左右の駆動輪が駆動されるとともに、駆動輪のトルクが駆動輪要求トルクに制御される。
また、第1及び第2動力源の一方が機能を失陥した失陥状態が発生したと判定されたときには、差動制限機構を作動させ、第1及び第2外側回転要素の間を接続する。これにより、失陥していない動力源の動力が、失陥した動力源側の外側回転要素を介して駆動輪に伝達される。さらに、上記の失陥状態が判定したと判定されたときには、制動装置による左右の駆動輪の制動トルクを、車両の横滑りを防止するように制御する。このように、第1及び第2の動力源の一方が失陥したときに、失陥していない動力源の動力を左右の駆動輪の両方に伝達するとともに、左右の駆動輪の制動トルクを制御することによって車両の横滑りを防止するので、車両を停止させることなく、旋回中においても車両の安定した走行性を確保することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両の動力装置において、第1及び第2動力源の目標トルクに基づき、左右の駆動輪WL、WRのトルクの差を、駆動輪トルク差ΔTとして算出する駆動輪トルク差算出手段(ECU2、図4のステップ2)をさらに備え、目標トルク設定手段は、失陥状態が車両の旋回中に発生したときには、失陥状態の発生後、所定期間(所定時間TMREF)が経過するまでの間、第1及び第2動力源のうち、失陥していると判定された一方の動力源(失陥モータ)の目標トルクTMGNGを0に設定し、失陥していないと判定された他方の動力源(非失陥モータ)の目標トルクTMGOKを、失陥状態が発生する直前に算出された駆動輪トルク差ΔTが得られるように設定することを特徴とする。
この構成によれば、失陥状態が車両の旋回中に発生したときには、その発生後、所定期間が経過するまでの間、失陥した一方の動力源の目標トルクは0に設定され、失陥していない他方の動力源の目標トルクは、失陥状態が発生する直前に算出された駆動輪トルク差が得られるように設定される。これにより、失陥状態が発生した直後において、左右の駆動輪間のトルク差が失陥状態の発生直前と同じ状態に保たれることによって、安定した旋回走行を行うことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の車両の動力装置において、目標トルク設定手段は、失陥状態が車両の直進中に発生したときには、失陥状態の発生後、所定期間が経過するまでの間、第1及び第2動力源の目標トルク(TMGNG、TMGOK)をいずれも0に設定することを特徴とする。
この構成によれば、失陥状態が車両の直進中に発生したときには、この失陥状態の発生後、所定期間が経過するまでの間、第1及び第2動力源の目標トルクがいずれも0に設定される。これにより、失陥状態が発生した直後において、左右の駆動輪の間にトルク差を生じさせることなく、惰性走行によって安定した直進走行を行うことができる。
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の車両の動力装置において、目標トルク設定手段は、所定期間が経過した後に、第1及び第2動力源のうち、失陥していると判定された一方の動力源の目標トルクTMGNGを0に設定し、失陥していないと判定された他方の動力源の目標トルクTMGOKを、駆動輪要求トルクに基づいて設定することを特徴とする。
この構成によれば、失陥状態が発生してから所定期間が経過した後には、失陥した一方の動力源の目標トルクは0に設定され、失陥していない他方の動力源の目標トルクは、駆動輪要求トルクに基づいて設定される。これにより、その時点で要求されている駆動輪のトルクが確保されるとともに、それと並行して、差動制限機構による差動制限と横滑り防止のための制動トルクの制御が行われることによって、運転者のトルク要求に応えながら、安定した走行を行うことができる。
本発明の第1実施形態による車両の動力装置を、左右の駆動輪とともに示すスケルトン図である。 図1の遊星歯車装置の第1ピニオンギヤ、第2ピニオンギヤ及びキャリアを平面的に見たスケルトン図である。 動力装置の制御装置を、関連するデバイスとともに示すブロック図である。 制御装置によって実行される動力制御処理を示すフローチャートである。 直進加速中における動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 右旋回加速中で第1及び第2モータが失陥していない場合の、目標トルクの設定状況、動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 右旋回加速中に第2モータが失陥した場合の、失陥直後における目標トルクの設定状況、動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 右旋回加速中に第1モータが失陥した場合の、失陥直後における目標トルクの設定状況、動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 図7又は図8の後に差動制限及び横滑り防止制御が行われた場合における動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 右旋回減速中で第1及び第2モータが失陥していない場合の、目標トルクの設定状況、動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 図10の後に第1及び第2モータの一方が失陥し、差動制限及び横滑り防止制御が行われた場合における動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。 本発明の第2実施形態による車両の動力装置を、左右の駆動輪とともに示すスケルトン図である。 直進加速中における図12の動力装置の回転要素間の回転数の関係、及びトルクの釣り合い関係を示す共線図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態による車両の動力装置1を示す。この動力装置1は、四輪の車両(図示せず)に搭載されており、第1モータMG1及び第2モータMG2の動力を、左右の駆動軸SL、SRを介して、左右の駆動輪WL、WRに配分し、伝達するためのものである。
動力装置1は、上記第1及び第2モータMG1、MG2、遊星歯車装置PG、差動制限機構MC及び制動装置SDを備えている。第1及び第2モータMG1、MG2と遊星歯車装置PGは、左右の駆動軸SL、SRと同軸状に配置されている。
第1モータMG1は、例えばACモータで構成されており、複数の鉄芯やコイルなどから成る第1ステータ11aと、複数の磁石などから成る第1ロータ11bを有する。第1ステータ11aは、不動のケースCAに固定され、第1ロータ11bは、第1ステータ11aに対向するように配置されている。第1ステータ11aに電力が供給されると、この電力は動力に変換され、第1ロータ11bに出力される(力行)。また、第1ロータ11bに動力が入力されると、この動力は電力に変換され、第1ステータ11aに出力される(回生)。
また、第1ステータ11aは、第1パワードライブユニット(以下「第1PDU」という)21を介して、充電及び放電が可能なバッテリ23に接続されており、バッテリ23との間で電気エネルギの授受が可能である。図3に示すように、第1PDU21はECU2に電気的に接続されている。ECU2により、第1PDU21を制御することによって、第1モータMG1のトルク(力行トルク及び回生トルク)が制御される。
第2モータMG2は、第1モータMG1と同様に構成されており、第2ステータ12a及び第2ロータ12bを有する。ECU2により第2PDU22を制御することによって、第2モータMG2のトルクが制御される。
遊星歯車装置PGは、第1及び第2モータMG1、MG2の動力を左右の駆動輪WL、WRに配分しながら伝達するためのものである。遊星歯車装置PGは、複数の第1ピニオンギヤP1及び第2ピニオンギヤP2と、これらの第1及び第2ピニオンギヤP1、P2を支軸13、14をそれぞれ介して回転自在に支持するキャリアCと、複数の第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1と、複数の第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2サンギヤS2及び第2リングギヤR2を有する。
図2に示すように、第1及び第2ピニオンギヤP1、P2は、駆動軸SL、SRを中心とする周方向において互いに部分的に重なるように配置されるとともに、互いに噛み合っている。また、第1ピニオンギヤの歯数ZP1は、第2ピニオンギヤP2の歯数ZP2と等しく、第1サンギヤS1の歯数ZS1及び第1リングギヤR1の歯数ZR1は、第2サンギヤS2の歯数ZS2及び第2リングギヤR2の歯数ZR2とそれぞれ等しい。
また、第1サンギヤS1は、第1連結軸15を介して第1モータMG1のロータ11bに連結され、第2サンギヤS2は、第2連結軸16を介して第2モータMG2のロータ12bに連結され、第2リングギヤR2は、左駆動軸SLを介して左駆動輪WLに連結され、第1リングギヤR1は、右駆動軸SRを介して右駆動輪WRに連結されている。また、キャリアCにはパーキング機構MPが設けられている。パーキング機構MPは、車両のシフトレバー(図示せず)が操作されるのに応じ、キャリアCをロックすることによって、車両を駐車状態に保持するためのものである。
以上の動力装置1では、遊星歯車装置PGが上述したように構成され、その回転要素が、第1及び第2モータMG1、MG2、左右の駆動輪WL、WR及びパーキング機構MPに上述したように連結されていることから、回転要素の間の回転数の関係は、例えば図5の共線図のように表される。
すなわち、第1サンギヤS1(第1モータMG1のロータ11b)、第2リングギヤR2(左駆動輪WL)、キャリアC(パーキング機構MP)、第1リングギヤR1(右駆動輪WR)及び第2サンギヤS2(第2モータMG2のロータ12b)は、それらの回転数が共線図において単一の直線上にその順に並ぶ1共線5要素の共線関係を満たすように構成されている。したがって、図5に示すように、この共線図上の両外側の第1サンギヤS1及び第2サンギヤS2は、本発明の第1及び第2外側回転要素にそれぞれ相当し、それらのすぐ内側の第2リングギヤR2及び第1リングギヤR1は、第1及び第2内側回転要素にそれぞれ相当する。
また、図5のα1及びβ1はそれぞれ、第2リングギヤR2−第1リングギヤR1間を基準(=1)とする第1レバー比及び第2レバー比であり、回転要素の歯数Zを用い、次式(1)及び(2)で表される。
α1=ZR1(ZR2−ZS1)/ZS1(ZR2+ZR1) ・・・(1)
β1=ZR2(ZR1−ZS2)/ZS2(ZR2+ZR1) ・・・(2)
また、前述したように、本実施形態では、第1及び第2リングギヤR1、R2の歯数ZR1、ZR2が互いに等しく、第1及び第2サンギヤS1、S2の歯数ZS1、ZS2が互いに等しいので、第1及び第2レバー比α1、β1は互いに等しくなる。さらに、第1及び第2ピニオンギヤP1、P2の歯数ZP1、ZP2が互いに等しいので、共線図におけるキャリアCから第2リングギヤ(左駆動輪WL)までの距離と、キャリアCから第1リングギヤ(右駆動輪WR)までの距離は、互いに等しくなる。
以上のような1共線5要素の共線関係が成立するとともに、第1サンギヤS1(第1外側回転要素)及び第2サンギヤS2(第2外側回転要素)に、第1及び第2モータMG1、MG2がそれぞれ連結され、第2リングギヤR2(第1内側回転要素)及び第1リングギヤR1(第2内側回転要素)に、左右の駆動輪WL、WRがそれぞれ連結されている。したがって、第1及び第2モータMG1、MG2のトルクを、遊星歯車装置PGを介して、左右の駆動輪WL、WRに伝達するとともに、第1及び第2モータMG1、MG2のトルクを互いに異ならせることにより、左右の駆動輪WL、WRの間にトルク差を生じさせ、トルク配分を行うことができる。
差動制限機構MCは、左右の駆動輪WL、WRの間の差回転を制限するためのものである。差動制限機構MCは、例えば油圧式の摩擦クラッチで構成されており、ドーナッツ板状のインナー及びアウター(いずれも図示せず)を有する。インナーは、第1モータMG1のロータ11bと第1サンギヤS1を連結する第1連結軸15に連結され、アウターは、第2モータMG2のロータ12bと第2サンギヤS2を連結する第2連結軸16に連結されている。
また、差動制限機構MCは油圧回路25(図3参照)に接続されている。この油圧回路25を後述するECU2で制御することによって、差動制限機構MCの締付度合が制御され、それにより、第1サンギヤS1(第1モータMG1)と第2サンギヤS2(第2モータMG2)の間が接続/遮断されるとともに、接続時に両者間に伝達される差動制限トルクが制御される。
制動装置SDは、駆動輪WL、WRにそれぞれ設けられた油圧ブレーキ26、26で構成され、各油圧ブレーキ26は、油圧回路(図示せず)を介して油圧モータ27(図3参照)に接続されている。ECU2により油圧モータ27を制御し、駆動輪WL、WRのホイールシリンダ圧を制御することによって、駆動輪WL、WRの制動トルクが互いに独立して制御される。
図3に示すように、ECU2には、車輪速センサ31から駆動輪WL、WRを含む4つの車輪の速度である車輪速VW1〜4を表す検出信号が、アクセル開度センサ32から車両のアクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、それぞれ入力される。ECU2は、車輪速VW1〜4に基づき、車速VPを算出する。
また、ECU2には、ヨーレートセンサ33から車両のヨーレートYを表す検出信号が、操舵角センサ34から車両のステアリングホイール(図示せず)の操舵角θを表す検出信号が、横Gセンサ35から車両の横加速度Gyを表す検出信号が、前後Gセンサ36から車両の前後加速度Gxを表す検出信号が、それぞれ入力される。さらに、ECU2には、電流センサ37及び電圧センサ38から、第1及び第2モータMG1、MG2における電流IM、電圧VMを表す検出信号が入力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAM及びROMなどから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサ31〜38の検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、第1及び第2モータMG1、MG2、差動制限機構MC及び制動装置SDを制御する。本実施形態では、ECU2が、目標トルク設定手段、失陥状態判定手段、制御手段及び駆動輪トルク差算出手段に相当する。
図4は、ECU2によって実行される動力制御処理を示す。この動力制御処理は、第1及び第2モータMG1、MG2の失陥状態を判定するとともに、その判定結果に応じ、上記のデバイスを介して、駆動輪WL、WRのトルクを制御するものである。本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
本処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、検出された操舵角θ、車速VP及びアクセル開度APなどに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、左右の駆動輪WL、WRに要求される駆動輪要求トルクを算出するとともに、この駆動輪要求トルクに基づき、第1及び第2モータMG1、MG2から出力するトルクの目標値である目標トルクTM1、TM2を算出する。
この場合、車両の直進時で、かつ定速走行中又は加速走行中のときには、例えば図5に示すように、目標トルクTM1、TM2は、左右の駆動輪WL、WRを前進方向に駆動する力行トルクとして算出されるとともに、互いに等しい値に設定される。図5は、この場合における5つの回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣り合い関係を示している。同図中のRLE及びRREは、目標トルクTM1、TM2の入力に伴って左右の駆動輪WL、WRにそれぞれ作用する反力トルクであり、目標トルクTM1=TM2であることから、互いに等しい(RLE=RRE)。また、左右の駆動輪WL、WRに伝達されるトルク(以下「左駆動輪トルク」「右駆動輪トルク」という)はそれぞれ、−RLE及び−RREで表される。以上の結果、左右の駆動輪トルクの差である駆動輪トルク差ΔTは0になり、左右の駆動輪WL、WRが互いに等しいトルクで駆動されることで、直進走行が行われる。
また、車両の右旋回時で、加速走行中のときには、例えば図6に示すように、第1及び第2モータMG1、MG2の目標トルクTM1、TM2は、力行トルクとして算出されるとともに、目標トルクTM1は目標トルクTM2よりも大きな値に設定される。これにより、左駆動輪WLの反力トルクRLEが右駆動輪WRの反力トルクRREよりも大きくなり、駆動輪トルク差ΔTが発生する。その結果、車両を右回りに旋回させるヨーモーメントが発生することによって、右旋回走行が行われる。
図4の上記ステップ1に続くステップ2では、目標トルクTM1、TM2に基づいて、駆動輪トルク差ΔTを算出する。駆動輪トルク差ΔTは、車両の直進中のときには、上述したように0に等しく、車両の旋回中には、次式(3)によって算出される。
ΔT=RLE−RRE=TM1(1.0+2α1)−TM2(1.0+2β1)
・・・(3)
なお、この式(3)は、例えば図6における左駆動輪WL回りのモーメントの釣り合いを表す次式(4)及び(5)と、右駆動輪WR回りのモーメントの釣り合いを表す次式(6)及び(7)から導かれる。
RRE×1.0+TM1×α1=TM2×(1.0+β1) ・・・(4)
RRE=TM2×(1.0+β1)−TM1×α1 ・・・(5)
RLE×1.0+TM2×β1=TM1×(1.0+α1) ・・・(6)
RLE=TM1×(1.0+α1)−TM2×β1 ・・・(7)
次に、第1及び第2モータMG1、MG2の失陥状態を判定する(ステップ3)。この判定は、例えば以下のように行われる。まず、電流センサ37及び電圧センサ38で検出された電流IM及び電圧VMなどに基づき、モータMG1、MG2から実際に出力されている実トルクTMA1、TMA2を算出する。また、モータごとに、前記ステップ1で算出された目標トルクTM1、TM2と実トルクTMA1、TMA2とのトルク偏差ΔTM1(=TM1−TMA1)及びΔTM2(=TM2−TMA2)を算出する。
そして、これらのトルク偏差ΔTM1及びΔTM2の一方が所定範囲外にあるときには、そのモータにトルクを出力できないなどの機能の失陥が発生していると判定する。その場合には、モータの失陥状態の発生を表すモータ失陥フラグF_MOTNGを「1」にセットするとともに、失陥状態の発生を運転者に警告するために、警告灯29(図3参照)を点灯させる。なお、説明の便宜上、以下、第1及び第2モータMG1、MG2のうち、失陥していると判定されたモータを「失陥モータ」といい、失陥していないと判定されたモータを「非失陥モータ」という。
上記ステップ3に続くステップ4では、モータ失陥フラグF_MOTNGが「1」であるか否かを判別する。この答えがNOで、モータの失陥状態が発生していないときには、アップカウント式のタイマの値TM_TDRを「0」にリセットし(ステップ5)、本処理を終了する。すなわち、この場合には、ステップ1で設定された第1及び第2モータMG1及びMG2の目標トルクTM1、TM2が、そのまま用いられる。
一方、前記ステップ4の答えがYESで、モータの失陥状態が発生しているときには、モータ失陥フラグの前回値F_MOTNGZが「1」であるか否かを判別する(ステップ6)。この答えがNOのとき、すなわち今回の処理サイクルが、失陥状態が発生した直後に相当するときには、車両が直進中であるか否かを判別する(ステップ7)。この判別は、例えば、検出されたヨーレートYが所定値以下であるときには直進中と判定し、所定値よりも大きいときには旋回中と判定することによって行われる。
ステップ7の判別の結果、車両が直進中のときには、失陥モータの目標トルクTMGNG及び非失陥モータの目標トルクTMGOKを、いずれも0に設定し(ステップ8、9)、後述するステップ12に進む。この設定により、車両の惰性走行によって、直進走行状態が維持される。
これに対し、車両が旋回中のときには、失陥モータの目標トルクTMGNGを0に設定する(ステップ10)一方、非失陥モータの目標トルクTMGOKを算出する(ステップ11)。この場合、目標トルクTMGOKは、前記ステップ2で算出された駆動輪トルク差ΔTが得られるように算出される。具体的には、第2モータMG2が失陥した場合には次式(8)によって算出され、第1モータMG1が失陥した場合には次式(9)によって算出される。
TMGOK=ΔT/(1.0+2α1) ・・・(8)
TMGOK=−ΔT/(1.0+2β1) ・・・(9)
式(8)は、前述した駆動輪トルク差ΔTの算出式(3)において、第2モータMG2の目標トルクTM2=0とするとともに、第1モータMG1の目標トルクTM1をTMGOKに置き換えることによって導かれる。同様に、式(9)は、式(3)において、目標トルクTM1=0とするとともに、目標トルクTM2をTMGOKに置き換えることによって導かれる。
図7は、図6に示される車両の右旋回加速中に第2モータMG2が失陥した場合の第1及び第2モータMG1の目標トルクTM1、TM2の設定状況を示す。この場合には、失陥モータである第2モータMG2の目標トルクTM2(=TMGNG)が0に設定されるとともに、非失陥モータである第1モータMG1の目標トルクTM1(=TMGOK)は、式(8)により、力行トルクとして算出される。これにより、失陥直前に設定されていた駆動輪トルク差ΔTが維持された状態で、右旋回走行が行われる。
また、図8は、図6に示される車両の右旋回加速中に第1モータMG1が失陥した場合の第1及び第2モータMG1の目標トルクTM1、TM2の設定状況を示す。この場合には、失陥モータである第1モータMG1の目標トルクTM1(TMGNG)が0に設定されるとともに、非失陥モータである第2モータMG2の目標トルクTM2(TMGOK)は、式(9)により、回生トルクとして算出される。これにより、失陥直前に設定されていた駆動輪トルク差ΔTが維持された状態で、右旋回走行が行われる。
前記ステップ9又はステップ11に続くステップ12では、車両の横滑り防止制御(VSA制御)を開始する。この横滑り防止制御は、例えば以下のように行われる。まず、検出された車速VP及び操舵角θに基づいて目標ヨーレートYCMDを設定するとともに、この目標ヨーレートYCMDとヨーレートセンサ33で検出された実ヨーレートYとの偏差を、ヨーレート偏差ΔYとして算出する。また、車速VP及操舵角θに基づいて目標横滑り角BCMDを設定し、車速VP、実ヨーレートY、及び横Gセンサ35で検出された横加速度Gyに基づいて実横滑り角Bを算出するとともに、目標横滑り角BCMDと実横滑り角Bとの偏差を、横滑り角偏差ΔBとして算出する。
そして、ヨーレート偏差ΔYがその所定のしきい値を超えたとき、及び/又は横滑り角偏差ΔBがその所定のしきい値を超えたときに、車両の横滑りが発生するおそれがあるとして、制動装置SDの油圧ブレーキ27により、左右の駆動輪WL、WRの制動トルクを制御することによって、車両の横滑りが防止される。
次に、ステップ13において、油圧回路25を駆動することによって、差動制限機構MCの作動を開始するとともに、ステップ14において、差動制限機構MCを介して伝達される差動制限トルクTDRを0に設定し、本処理を終了する。
一方、前記ステップ6の答えがYESのとき、すなわち今回の処理サイクルが、モータの失陥状態が発生した2回目以降に相当するときには、前記ステップ5でリセットしたタイマ値TM_TDRが所定時間TMREF以上であるか否かを判別する(ステップ15)。この答えがNOのとき、すなわち失陥状態の発生後、所定時間TMREFが経過していないときには、そのまま本処理を終了する。すなわち、この場合には、前記ステップ7〜14による制御が引き続き行われる。
上記ステップ15の答えがYESで、失陥状態の発生後、所定時間TMREFが経過したときには、失陥モータの目標トルクTMGNGを0に設定する(ステップ16)とともに、非失陥モータの目標トルクTMGOKを、前記ステップ1で設定された第1及び第2モータMG1、MG2の目標トルクTM1、TM2の和(=TM1+TM2)に設定する(ステップ17)。
また、差動制限トルクTDRを、非失陥モータの目標トルクTMGOKに応じて算出し、例えば目標トルクTMGOKの約1/2に設定する(ステップ18)。これにより、図9に示すように、非失陥モータ(例えば第1モータMG1)のトルクの約1/2が、差動制限機構MCを介して失陥モータ(例えば第2モータMG2)側に伝達されることによって、左右の駆動輪WL、WRに入力されるトルクはほぼ等しくなる。
また、図9は、図6と同様の車両の右旋回加速中の状況を示しており、横滑り防止制御により、車両の横滑りが発生するおそれがあると判定されたときには、右駆動輪WRに横滑り防止用の制動トルクTBRが付加される。これにより、横滑りを適切に防止しながら、右旋回走行を行うことができる。
上記ステップ18に続くステップ19では、車両の安定走行状態を判定する。この判定は、例えば、前述した目標ヨーレートYCMDと実ヨーレートYとのヨーレート偏差ΔYを所定のしきい値と比較することによって行われる。その結果、車両の安定走行状態が確認されないときには、そのまま本処理を終了し、横滑り防止制御を継続する。一方、車両の安定走行状態が確認されたときには、横滑り防止制御を解除し(ステップ20)、本処理を終了する。
また、図10に示すように、車両が右旋回時の減速走行中で、モータの失陥状態が発生していないときには、第1及び第2モータMG1、MG2の目標トルクTM1、TM2は、回生トルクとして算出されるとともに、目標トルクTM2が目標トルクTM1よりも絶対値として大きくなるように設定される。これにより、右駆動輪WRの反力トルクRREが左駆動輪WLの反力トルクRLEよりも大きくなり、駆動輪トルク差ΔTが発生する。その結果、車両を右回りに旋回させるヨーモーメントが発生することによって、右旋回走行が行われる。
この状態から、モータの失陥状態が発生した場合には、図4のステップ10及び11が実行されることによって、目標トルクTM1、TM2は、前述した加速走行中の場合とまったく同様に、第2モータMG2が失陥したときには図7のように設定され、第1モータMG1が失陥したときには図8のように設定され、それにより、失陥直前に設定されていた駆動輪トルク差ΔTが維持された状態で、右旋回走行が行われる。
また、その後、図4のステップ16〜18が実行されることによって、図11に示すように、非失陥モータ(例えば第1モータMG1)のトルク(回生トルク)の約1/2が、差動制限機構MCを介して失陥モータ(例えば第2モータMG2)側に伝達され、左右の駆動輪WL、WRに入力されるトルクがほぼ等しくなる。さらに、車両の横滑りが発生するおそれがあるときには、横滑り防止制御により、右駆動輪WRに横滑り防止用の制動トルクTBRが付加される。これにより、旋回時の減速走行中においても、車両の横滑りを適切に防止しながら、旋回走行を行うことができる。
以上のように、本実施形態の動力装置1によれば、第1及び第2モータMG1、MG2の一方が失陥したときに、差動制限機構MCを作動させることで、非失陥モータの動力を左右の駆動輪WL、WRの両方に伝達するとともに、駆動輪WL、WRの制動トルクを制御することで、車両の横滑りを防止する。これにより、失陥状態の発生時に、車両を停止させることなく、旋回中においても車両の安定した走行性を確保することができる。
また、失陥状態が車両の旋回中に発生したときには、その発生後、所定時間TMREFが経過するまでの間、失陥モータの目標トルクTMGNGを0に設定するとともに、非失陥モータの目標トルクTMGOKを、失陥状態が発生する直前に算出された駆動輪トルク差ΔTが得られるように設定する。これにより、失陥状態が発生した直後において、駆動輪WL、WRの間のトルク差が失陥状態の発生直前と同じ状態に保たれることによって、安定した旋回走行を行うことができる。
一方、失陥状態が車両の直進中に発生したときには、その発生後、所定時間TMREFが経過するまでの間、失陥モータの目標トルクTMGNG及び非失陥モータの目標トルクTMGOKをいずれも0に設定する。これにより、失陥状態が発生した直後において、左右の駆動輪WL、WRの間にトルク差を生じさせることなく、惰性走行によって安定した直進走行を行うことができる。
また、上記所定時間TMREFが経過した後には、失陥モータの目標トルクTMGNGを0に設定するとともに、非失陥モータの目標トルクTMGOKを、駆動輪要求トルクに基づいて設定された目標トルクTM1、TM2の和に設定する。これにより、その時点で要求されている駆動輪WL、WRのトルクが確保されるとともに、それと並行して、差動制限機構MCによる差動制限と横滑り防止制御による制動トルクの制御が行われることによって、運転者のトルク要求に応えながら、安定した走行を行うことができる。
次に、図12を参照しながら、本発明の第2実施形態による車両の動力装置について説明する。この動力装置51は、第1実施形態の動力装置1と比較し、第1及び第2モータMG1、MG2の動力を左右の駆動輪WL、WRに伝達する歯車装置の構成が異なるものである。したがって、図12において、第1実施形態と同じ又は同等の構成要素に同じ符号を付するとともに、以下、第1実施形態と異なる点を中心として説明を行うものとする。
同図に示すように、本実施形態の歯車装置GSは、複数の3連ピニオンギヤPEと、複数の3連ピニオンギヤPEを回転自在に支持するキャリアC2と、第1〜第3サンギヤS21〜S23を有する。各3連ピニオンギヤPEは、第1〜第3ピニオンギヤP21〜P23を一体に有し、これらの第1〜第3ピニオンギヤP21〜P23に第1〜第3サンギヤS21〜S23がそれぞれ噛み合っている。第1〜第3ピニオンギヤP21〜P23の噛合い径RP21〜RP23は、この順に小さく、これに対応して、第1〜第3サンギヤS21〜S23の噛合い径RS21〜RS23は、この順に大きい。
また、第3サンギヤS23は、連結軸17を介して第1モータMG1のロータ11bに連結され、キャリアCは、第2モータMG2のロータ12bに連結され、第2サンギヤS22は、左駆動軸SLを介して左駆動輪WLに連結され、第1サンギヤS21は、右駆動軸SRを介して右駆動輪WRに連結されている。
以上の構成の動力装置51では、3連ピニオンギヤPEを有する歯車装置GSの回転要素が、上述したように第1及び第2モータMG1、MG2と左右の駆動輪WL、WRに連結されていることから、回転要素の間の回転数の関係は、例えば図13の共線図のように表される。
すなわち、第3サンギヤS23(第1モータMG1のロータ11b)、第2サンギヤS22(左駆動輪WL)、第1サンギヤS21(右駆動輪WR)及びキャリアC2(第2モータMG2のロータ12b)は、それらの回転数が共線図において単一の直線上にその順に並ぶ1共線4要素の共線関係を満たすように構成されている。したがって、図13に示すように、この共線図上の両外側の第3サンギヤS23及びキャリアC2は、本発明の第1及び第2外側回転要素にそれぞれ相当し、それらのすぐ内側の第2リングギヤS22及び第1サンギヤS21は、第1及び第2内側回転要素にそれぞれ相当する。
また、図13のα2及びβ2はそれぞれ、第2サンギヤS22−第1サンギヤS21間を基準(=1)とする第1レバー比及び第2レバー比であり、回転要素の歯数Zを用い、次式(10)及び(11)で表される。
α2={1-(ZP22/ZS22)×(ZS23/ZP23)}
/{(ZP22/ZS22)×(ZS23/ZP23)-(ZP21/ZS21)×(ZS23/ZP23)} ・・・(10)
β2=(ZP21×ZS22)
/(ZS21×ZP22−ZP21×ZS22) ・・・(11)
以上のような1共線4要素の共線関係が成立するとともに、第3サンギヤS23(第1外側回転要素)及びキャリアC2(第2外側回転要素)に、第1及び第2モータMG1、MG2がそれぞれ連結され、第2サンギヤS22(第1内側回転要素)及び第1サンギヤS21(第2内側回転要素)に、左右の駆動輪WL、WRがそれぞれ連結されている。
また、差動制限機構MCは、第1モータMG1のロータ11bと第3サンギヤS23を連結する連結軸17と、第2モータMG2のロータ12bに連結されたキャリアC2との間に設けられている。
以上のように、本実施形態の動力装置51は、歯車装置GSにおいて1共線4要素の共線関係が成立する一方、それらの回転要素のうち、第1及び第2外側回転要素に第1及び第2モータMG1、MG2がそれぞれ連結され、第1及び第2内側回転要素に左右の駆動輪WL、WRがそれぞれ連結され、第1及び第2外側回転要素の間に差動制限機構が設けられるという関係において、第1実施形態の動力装置1とまったく同じである。
したがって、この構成の動力装置51に対し、図4の動力制御処理を実行することによって、前述した第1実施形態による動作及び効果を同様に得ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、歯車装置として、第1実施形態では、第1及び第2ピニオンギヤP1、P2が噛み合うタイプの遊星歯車装置を、第2実施形態では、3連ピニオンギヤPEとこれに噛み合う複数のサンギヤS21〜S23及びキャリアC2などを組み合わせたタイプの歯車装置を、それぞれ用いている。本発明は、これに限らず、1共線5要素又は1共線4要素の共線関係が成立するとともに、その複数の回転要素と第1及び第2モータMG1、MG2及び駆動輪WL、WRとの接続関係が本発明の要件を満たす限り、他の構成の歯車装置を採用することができる。
また、図4の動力制御処理では、モータの失陥状態の発生時から所定時間TMREFが経過した時点で、ステップ8〜11による制御からステップ16〜18による制御に切り替えているが、これに限らず、例えば油圧回路25の油圧などに応じて差動制限機構MCの立ち上がりを監視し、立ち上がりが確認された時点で、制御の切替を行ってもよい。さらに、図4の動力制御処理では、モータの失陥状態の発生時に開始した横滑り防止制御を、車両の安定走行状態が確認された時点で解除しているが、これに限らず、例えばモータの失陥状態が解消されるまで、横滑り防止制御を継続してもよい。
また、実施形態では、差動制限機構MCは、油圧式の摩擦クラッチで構成されているが、動力の伝達及びその遮断の切り替えと差動制限トルクの変更が可能である限り、電磁式などの他のタイプのクラッチや、クラッチ以外の機構で構成してもよい。
さらに、実施形態では、動力装置の動力源は電動機であるが、動力を出力可能な他の装置、例えば内燃機関や油圧モータなどを用いてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 動力装置
PG 遊星歯車装置(歯車装置)
S1 第1サンギヤ(第1外側回転要素)
S2 第2サンギヤ(第2外側回転要素)
R1 第1リングギヤ(第2内側回転要素)
R2 第2リングギヤ(第1内側回転要素)
51 動力装置
GS 歯車装置
S21 第1サンギヤ(第2内側回転要素)
S22 第2サンギヤ(第1内側回転要素)
S23 第3サンギヤ(第1外側回転要素)
C2 キャリア(第2外側回転要素)
WL 左駆動輪
WR 右駆動輪
MG1 第1モータ(第1動力源)
MG2 第2モータ(第2動力源)
TM1 第1モータの目標トルク(第1動力源の目標トルク)
TM2 第2モータの目標トルク(第2動力源の目標トルク)
MC 差動制限機構
SD 制動装置
ΔT 駆動輪トルク差
TMREF 所定時間(所定期間)
TMGNG 失陥モータの目標トルク(失陥していると判定された動力源の目標トルク)
TMGOK 非失陥モータの目標トルク(失陥していないと判定された動力源の目標トル ク)

Claims (4)

  1. 互いに差回転が可能な左右の駆動輪に動力を伝達する車両の動力装置であって、
    第1動力源及び第2動力源と、
    共線図において回転数が単一の直線上に並ぶ共線関係を満たすように構成された4つ又は5つから成る複数の回転要素を有する歯車装置と、を備え、
    前記歯車装置の前記複数の回転要素のうち、前記共線図において両外側に位置する第1及び第2外側回転要素は、前記第1及び第2動力源にそれぞれ連結され、前記共線図において前記第1及び第2外側回転要素のすぐ内側に位置する第1及び第2内側回転要素は、前記左右の駆動輪にそれぞれ連結されており、
    前記左右の駆動輪に要求される駆動輪要求トルクに基づいて、前記第1及び第2動力源の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1及び第2外側回転要素の間を接続することによって、前記左右の駆動輪の差動を制限するための差動制限機構と、
    前記左右の駆動輪を互いに独立して制動する制動装置と、
    前記第1及び第2動力源の一方が機能を失陥した失陥状態が発生したか否かを判定する失陥状態判定手段と、
    前記失陥状態が発生したと判定されたときに、前記差動制限機構を作動させることによって、前記第1及び第2外側回転要素の間を接続させるとともに、前記車両の横滑りを防止するように、前記制動装置による前記左右の駆動輪の制動トルクを制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両の動力装置。
  2. 前記第1及び第2動力源の目標トルクに基づき、前記左右の駆動輪のトルクの差を、駆動輪トルク差として算出する駆動輪トルク差算出手段をさらに備え、
    前記目標トルク設定手段は、前記失陥状態が車両の旋回中に発生したときには、前記失陥状態の発生後、所定期間が経過するまでの間、前記第1及び第2動力源のうち、失陥していると判定された一方の動力源の目標トルクを0に設定し、失陥していないと判定された他方の動力源の目標トルクを、前記失陥状態が発生する直前に算出された前記駆動輪トルク差が得られるように設定することを特徴とする、請求項1に記載の車両の動力装置。
  3. 前記目標トルク設定手段は、前記失陥状態が車両の直進中に発生したときには、前記失陥状態の発生後、所定期間が経過するまでの間、前記第1及び第2動力源の目標トルクをいずれも0に設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両の動力装置。
  4. 前記目標トルク設定手段は、前記所定期間が経過した後に、前記第1及び第2動力源のうち、失陥していると判定された一方の動力源の目標トルクを0に設定し、失陥していないと判定された他方の動力源の目標トルクを、前記駆動輪要求トルクに基づいて設定することを特徴とする、請求項2又は3に記載の車両の動力装置。
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