つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。先ず、この発明で制御の対象とする車両の構成および制御系統を図2に示す。この発明で対象とする車両は、少なくとも左右一対の車輪に付与するトルクをそれぞれ個別に制御することが可能な駆動力源が設けられており、この図2では、左右の前輪1,2および左右の後輪3,4に、それれら各車輪1,2,3,4のそれぞれに個別にトルクを付与する駆動力源として、電動機5,6および電動機7,8が設けられた車両Veの構成例を示してある。
具体的には、この車両Veは、車両Veの幅方向(図2での左右方向)における左右の前輪1,2および左右の後輪3,4を有している。そして、前輪1,2は、互いにもしくはそれぞれ独立してサスペンション機構(図示せず)を介して車両Veの車台に支持されている。同様に、後輪3,4も、互いにもしくはそれぞれ独立してサスペンション機構を介して車両Veの車台に支持されている。
車両Veの駆動力源として、前輪1,2のホイール内部および後輪3,4のホイール内部には、それぞれ、電動機5,6および電動機7,8が組み込まれていて、それら電動機5,6の出力軸および電動機7,8の出力軸と、前輪1,2および後輪3,4とが、それぞれ動力伝達可能に連結されている。すなわち、前輪1,2の電動機5,6および後輪3,4の電動機7,8は、いわゆるインホイールモータ5,6,7,8であり、前輪1,2および後輪3,4と共に車両Veのばね下に配置されている。そして、各インホイールモータ5,6,7,8の回転をそれぞれ独立して制御することにより、前輪1,2および後輪3,4の駆動トルクあるいは制動トルクを、それぞれ独立して制御することができる構成となっている。
これらの各インホイールモータ5,6,7,8は、例えば交流同期モータにより構成されていて、インバータ9を介してバッテリやキャパシタなどの蓄電装置10に接続されている。したがって、各インホイールモータ5,6,7,8の駆動時には、蓄電装置10の直流電力がインバータ9によって交流電力に変換され、その交流電力が各インホイールモータ5,6,7,8に供給されることによりそれら各インホイールモータ5,6,7,8が力行制御されて、前輪1,2および後輪3,4に駆動トルクが付与される。また、各インホイールモータ5,6,7,8は前輪1,2および後輪3,4の回転エネルギを利用して回生制御することも可能である。すなわち、各インホイールモータ5,6,7,8の回生・発電時には、前輪1,2および後輪3,4の回転(運動)エネルギが各インホイールモータ5,6,7,8によって電気エネルギに変換され、その際に生じる電力がインバータ9を介して蓄電装置10に蓄電される。このとき、前輪1,2および後輪3,4には回生・発電力に基づく制動トルクが付与される。
各車輪1,2,3,4と、それらに連動する各インホイールモータ5,6,7,8との間には、それぞれ、ブレーキ装置11が設けられている。各ブレーキ装置11は、例えば、ディスクブレーキあるいはドラムブレーキなどの摩擦力を利用して車輪を制動する公知の制動装置であって、それら各種の制動装置が適宜に選択されて設置されている。すなわち、このブレーキ装置11は、例えば運転者のブレーキペダル(図示せず)の踏み込み操作により、走行中も含めて車両Veの制動力を発生させるいわゆるフットブレーキであり、後述のパーキング機構14,15によるいわゆるパーキングブレーキとは区別されるものである。そして、各ブレーキ装置11は、例えば、マスタシリンダ(図示せず)から圧送される油圧により、各車輪1,2,3,4に制動力を生じさせるブレーキキャリパのピストン(図示せず)あるいはブレーキシュー(図示せず)などを動作させるブレーキアクチュエータ12に接続されている。
また、前輪1と前輪2との間には、ステアリング装置13が設けられている。このステアリング装置13は、運転者によるステアリングホイールの操作によって前輪1,2を操舵する従来公知の構成を適用することができる。
そして、この発明で対象とする車両Veは、少なくとも左右一対の車輪毎に、それら各車輪の回転を制止するパーキング機構が設けられており、この図2に示す構成例では、左右の後輪3,4に、それぞれ、駐車時にそれら後輪3,4の回転を制止して車両Veの駐車状態を維持するパーキング機構14,15が設けられている。パーキング機構14,15は、従来公知の構成を適用することができ、例えば、前述の図5に示すような、パーキングギヤ14g,15gにパーキングポール14p,15pを噛み合わせて係合させることにより、後輪3,4の回転を制止するように構成されている。
すなわち、パーキング機構14,15は、主として、インホイールモータ7,8の出力軸と後輪3,4とを連結する駆動軸に一体に固定されているパーキングギヤ14g,15gと、それらパーキングギヤ14g,15gに選択的に噛み合うパーキングポール14p,15pとから構成されていて、パーキングギヤ14g,15gの歯溝に、パーキングポール14p,15pの突起状の先端部を噛み合わせることにより、後輪3,4の駆動軸をそれぞれ固定するように構成されている。なお、パーキングポール14p,15pの動作、すなわちパーキング機構14,15の係合・解放動作は、後述の電子制御装置16からの制御信号に基づいて制御される構成となっている。
上記のインバータ9およびブレーキアクチュエータ12ならびにパーキング機構14,15は、各インホイールモータ5,6,7,8の回転状態、あるいはブレーキアクチュエータ12の動作状態、あるいはパーキングギヤ14g,15gとパーキングポール14p,15pとの係合・解放状態などを制御する電子制御装置(ECU)16に、それぞれ接続されている。
この電子制御装置16には、例えば、各インホイールモータ5,6,7,8の出力軸の回転角度を検出するレゾルバ5r,6r,7r,8r、各ブレーキ装置11を作動させるブレーキペダルの動作状態を検出するブレーキスイッチ11s、各駆動輪1,2,3,4の回転速度を検出する車輪速センサ(図示せず)などの各種センサ類からの検出信号、およびインバータ9からの情報信号などが入力されるように構成されている。
このうち、インバータ9からこの電子制御装置16に入力される信号に基づいて、各インホイールモータ5,6,7,8の出力トルク(モータトルク)がそれぞれ演算されて求められる。例えば、インバータ9からの入力信号によって各インホイールモータ5,6,7,8が力行制御されていることを検出した場合に、その際に各インホイールモータ5,6,7,8へ供給される電力量あるいは電流値を検出し、それに基づいて各インホイールモータ5,6,7,8のモータトルクをそれぞれ算出することができる。
そして、各インホイールモータ7,8のレゾルバ7r,8rからこの電子制御装置16に入力される検出信号に基づいて、各パーキング機構14,15の位相がそれぞれ演算されて求められる。すなわち、各レゾルバ7r,8rにより各インホイールモータ7,8の出力軸の回転角度もしくは回転位置を検出し、その回転角度もしくは回転位置の検出値に基づいて、各パーキング機構14,15の位相、すなわち各パーキング機構14,15のパーキングポール14p,15pに対するパーキングギヤ14g,15gの位相をそれぞれ算出することができる。
このように、各インホイールモータ7,8の出力軸の回転角度を高精度で検出することが可能なレゾルバ7r,8rを利用することにより、特別のセンサ等を設けることなく、容易にかつ正確に、各パーキング機構14,15の位相を求めることができる。
一方、電子制御装置16からは、インバータ9を介して各インホイールモータ5,6,7,8の回転をそれぞれ制御する信号、ブレーキアクチュエータ15を介して各ブレーキ装置11,12,13,14の動作をそれぞれ制御する信号、そして各パーキング機構14,15の係合・解放動作をそれぞれ制御する信号などが出力されるように構成されている。
なお、上記の図2では、左右の前輪1,2および左右の後輪3,4の両方に、駆動力源として、インホイールモータ5,6,7,8がそれぞれ設けられた4輪駆動方式の車両Veの構成例を示しているが、この発明における車両Veは、例えば図3,図4に示すように、インホイールモータが左右の前輪1,2もしくは左右の後輪3,4のいずれか一方に設けられた構成であってもよい。
すなわち、この発明における車両Veは、例えば図3の(a)に示すように、左右の後輪3,4のみにインホイールモータ7,8がそれぞれ設けられた後輪駆動方式の車両Veであってもよい。この場合、パーキング機構14,15が、左右のインホイールモータ7,8と共に、後輪3,4のみにそれぞれ設けられている。また、この発明における車両Veは、例えば図3の(b)に示すように、左右の前輪1,2のみにインホイールモータ5,6がそれぞれ設けられた前輪駆動方式の車両Veであってもよい。この場合、パーキング機構14,15が、左右のインホイールモータ5,6とは別に、単独で後輪3,4のみにそれぞれ設けられている。
また、この発明における車両Veは、例えば図4の(a)に示すように、左右の後輪3,4のみにインホイールモータ7,8がそれぞれ設けられるとともに、前輪1,2を駆動するための電動機(モータ・ジェネレータ)17およびトランスアクスル18が車台に配置された4輪駆動方式の車両Veであってもよい。この場合、パーキング機構14,15は、上記の図3の(a)で示す構成例と同様に、左右のインホイールモータ7,8と共に、後輪3,4のみにそれぞれ設けられている。また、この発明における車両Veは、例えば図4の(b)に示すように、左右の後輪3,4のみにインホイールモータ7,8がそれぞれ設けられるとともに、前輪1,2を駆動するためのエンジンおよび電動機(モータ・ジェネレータ)ならびにトランスミッションなどから構成されるハイブリッドユニット19が車台に配置された4輪駆動方式のハイブリッド車両Veであってもよい。この場合、パーキング機構14,15は、上記の図3の(a),図4の(a)で示す構成例と同様に、左右のインホイールモータ7,8と共に、後輪3,4のみにそれぞれ設けられている。
そして、この発明におけるパーキング機構は、少なくとも左右一対の車輪毎に設けられるものであり、例えば左右の前後輪1,2,3,4全てに、あるいは左右の前輪1,2のみに設けられてもよいが、上記の各構成例に示すように、左右の後輪3,4に設けられることが好ましい。すなわち、前述したように、車両Veの前輪1,2にはステアリング装置13が設けられており、また一般に、前輪1,2側は大きな制動力を要求されることから後輪3,4側と比較して前輪1,2側の方がブレーキ装置の体格が大きくなり、さらに、後輪3,4側と比較して前輪1,2側の方がサスペンション機構の構造が複雑になるので、特に車輪のホイール内部では、前輪1,2側の方が後輪3,4側よりも空間の余裕が少ない。したがって、上記の各構成例のように、パーキング機構14,15を後輪3,4側のみに配置することにより、後輪3,4側のホイール内部の余裕空間を有効に使用することができ、かつ空間の余裕が少ない前輪1,2側に、ブレーキ装置11やステアリング装置13あるいはサスペンション機構等を好適に配置することができる。
前述したように、この発明で対象としている車両Veは、少なくとも左右一対の駆動輪に付与するトルクをそれぞれ個別に制御することが可能なように構成された車両Veであって、駐車時に、その停止状態を維持するために作動するパーキング機構14,15が、左右の後輪3,4毎にそれぞれ個別に設けられている。したがって、各パーキング機構14,15をそれぞれ作動させて、それら各パーキング機構14,15をそれぞれ係合(ロック)状態にする際には、各パーキング機構14,15の位相を同期させておく必要がある。例えば各パーキング機構14,15の位相がずれて、それら各パーキング機構14,15のうち一方しかロック状態にならなかった場合には、車両Veの駐車状態を安定して維持できなくなったり、あるいは一方のパーキング機構14(もしくは15)に偏って過大な負荷がかかったりする不具合が生じてしまう可能性がある。
そのため、この車両Veでは、先ず、各インホイールモータ7,8に内蔵されているレゾルバ7r,8rの検出値を利用して、各パーキング機構14,15の位相、すなわち各パーキング機構14,15におけるパーキングポール14p,15pに対するパーキングギヤ14g,15gの位相がそれぞれ求められる。そして、それら各パーキング機構14,15の位相が、いずれも、パーキングギヤ14g,15gにパーキングポール14p,15pが噛み合う位置で同期するように、各インホイールモータ7,8の回転が制御される。すなわち、この発明におけるいわゆる「パーキング同期制御」が実行される。
具体的には、例えば、各車輪7,8にそれぞれ付与される各インホイールモータ7,8の出力トルクがそれぞれ制御される。すなわち、各パーキングギヤ14g,15gに各パーキングポール14p,15pがそれぞれ噛み合う位置になるように、各インホイールモータ7,8の出力トルクの回転方向および大きさがそれぞれ調整される。そして、各パーキングギヤ14g,15gに各パーキングポール14p,15pがそれぞれ噛み合う位置になった状態で、すなわち「パーキング同期制御」が完了した時点で、それら各パーキング機構14,15が係合(ロック)させられる。
このように、左右に独立して設けられた各パーキング機構14,15が、上記のような「パーキング同期制御」が実行された後に、それぞれロックされることにより、常に左右両方のパーキング機構14,15がロックされた状態とになり、上述したような駐車時の不具合の発生を回避することができる。
ところで、この発明では、上記のように「パーキング同期制御」を実行する場合に、各パーキングギヤ14g,15gと各パーキングポール14p,15pとの噛み合い状態を把握するために、各パーキング機構14,15の位相を検出している。そのため、例えば何らかの理由により、左右いずれか一方のパーキング機構14(もしくは15)の位相を適正に検出できなくなるフェールが発生した場合は、上記のような「パーキング同期制御」を適切に実行できなくなる可能性がある。そこで、この発明における車両Veの制御装置では、左右いずれか一方のパーキング機構14(もしくは15)の位相を適正に把握できない場合であっても、それら各パーキング機構14,15を適切にロック状態にして、車両Veの駐車状態を安定して維持することができるように、以下に示す「フェイルセーフ制御」を実行するように構成されている。
図1は、その「フェイルセーフ制御」の一例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図1において、先ず、左右一対の車輪3,4のうち、いずれか一方の車輪3(もしくは4)の位相が不明であるか否かが判断される(ステップS1)。すなわち、いずれか一方の車輪3(もしくは4)に設けられているパーキング機構14(もしくは15)の位相、具体的にはパーキング機構14(もしくは15)のパーキングポール14p(もしくは15p)に対するパーキングギヤ14g(もしくは15g)の位相を把握することができないフェールが生じているか否かが判断される。
いずれの車輪3,4の位相も不明でないこと、すなわち、いずれのパーキング機構14,15にもその位相を把握できなくなるようなフェールは生じていないことにより、このステップS1で否定的に判断された場合は、ステップS2へ進み、上述した通常の「パーキング同期制御」が実行され、その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、いずれか一方の車輪3(もしくは4)の位相が不明であること、すなわち、いずれか一方のパーキング機構14(もしくは15)の位相を把握できなくなるフェールが生じたことにより、ステップS1で肯定的に判断された場合には、ステップS3へ進み、上記のようなフェールが生じていない側の正常な車輪4(もしくは3)の位相が、その車輪4(もしくは3)に設けられたパーキング機構15(もしくは14)をロックさせない位置になるよう調整される。
具体的には、正常な車輪4(もしくは3)のインホイールモータ8(もしくは7)の回転が制御されて、その正常な車輪4(もしくは3)側のパーキング機構15(もしくは14)が、前述の図5に示すような、非噛み合い(位相ずれ)状態にされる。この状態は、前述したように、パーキング機構15(もしくは14)のパーキングギヤ15g(もしくは14g)とパーキングポール15p(もしくは14p)とが噛み合うことができない状態であり、したがって、パーキング機構15(もしくは14)は、いわゆる係合待機状態あるいは係合保留状態となる。
上記のようにパーキング機構15(もしくは14)が係合待機状態にされている間に、フェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)の係合を完了させることができる。すなわち、フェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)は、その位相が適正に検出できない状態ではあっても、パーキング機構14(もしくは15)を係合させることは可能であり、例えば、停車した際に車輪3(もしくは4)とインホイールモータ7(もしくは8)との間の駆動軸に生じたイナーシャトルクが解放されて駆動軸が微小角度回転することにより、あるいは車両Veが微小距離移動して車輪3(もしくは4)および駆動軸が微小角度回転することにより、あるいはインホイールモータ7(もしくは8)の回転を制御して駆動軸すなわちパーキング機構14(もしくは15)のパーキングギヤ14g(もしくは15g)を微小角度回転させることなどにより、パーキング機構14(もしくは15)の係合を完了させることができる。
ステップS3で正常な車輪4(もしくは3)の位相がパーキング機構15(もしくは14)をロックさせない位置に調整された後、すなわち、フェールが生じていない側のパーキング機構15(もしくは14)が係合待機状態にされた後に、フットブレーキがリリースされたか否か、すなわちブレーキ装置11による車両Veの制動が解除されたか否かが判断される(ステップS4)。例えば、前述のブレーキスイッチ11sの検出値を基に判断することがすることができる。上記のような停車時に、フットブレーキがリリースされることにより、フェールが生じた側の車輪3(もしくは4)が車両Veの自重により移動し、そのフェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)がロックされる。
したがって、このステップS4での判断制御は、フットブレーキがリリースされたと判断されるまで繰り返し実行される、そして、フットブレーキがリリースされたことにより、このステップS4で肯定的に判断されると、その後、ステップS5に進み、正常な車輪4(もしくは3)の位相が、その車輪4(もしくは3)に設けられたパーキング機構15(もしくは14)のロックが可能な位置になるよう調整される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
なお、上記のステップS3とステップS5との間に、フェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)の係合が完了したことを確認する判断ステップ、あるいは、フェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)の係合が完了するまで、所定時間の間フェールが生じていない側のパーキング機構15(もしくは14)の係合動作を保留させる制御ステップ等を組み入れることもできる。
以上のように、この発明に係る車両Veの制御装置によれば、車両Veの駐車時に、左右の後輪3,4に設けられたパーキング機構14,15を作動して各車輪3,4の回転を制止する際に、いずれか一方のパーキング機構14(もしくは15)の位相を検出できなくなるフェールが生じ、その位相を把握することができなくなると、フェールが生じた側の車輪3(もしくは4)と対の車輪4(もしくは3)、すなわちフェールが生じた側の車輪3(もしくは4)と車両Veの左右方向で対向する側の正常な車輪4(もしくは3)のパーキング機構15(もしくは14)の位相が、パーキングギヤ15g(もしくは14g)とパーキングポール15p(もしくは14p)とが噛み合わない位置に合わされる。すなわち、パーキング機構15(もしくは14)の係合が一時的に保留される。そしてその後、正常な車輪4(もしくは3)のパーキング機構15(もしくは14)の位相が、パーキングギヤ15g(もしくは14g)とパーキングポール15p(もしくは14p)とが噛み合う位置に合わされて、そのパーキング機構15(もしくは14)の係合が完了させられる。
そのため、一方のパーキング機構14(もしくは15)の位相がフェールにより把握できない場合であっても、正常な車輪4(もしくは3)のパーキング機構15(もしくは14)の係合が保留されている間に、フェールが生じた側のパーキング機構14(もしくは15)を係合させることができる。その結果、フェールによりパーキング機構14(もしくは15)の位相を適正に把握できない場合であっても、最終的に全てのパーキング機構14,15を係合させて、車両Veの駐車状態を安定して維持することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述した各インホイールモータ7,8のレゾルバ7r,8rの検出値を利用して各パーキング機構14,15の位相を算出する機能的手段が、この発明における「位相検出手段」に相当する。また、図1のフローチャートで示した制御例で、ステップS1,S3,S4を実行する機能的手段が、この発明における「フェールセーフ制御」を実行する「フェイルセーフ手段」に相当する。