JP4304488B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は車両に関し、より詳細にはギアロック機構により駐停車時に車輪のロックを図る車両に関する。
車両の各車輪に個別に取り付けられ、各車輪を独立に駆動制御可能なモータ駆動装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなモータ駆動装置を備えた車両では、駐停車時において電動モータ自体が全く制動力を持っていないため、駐停車時において確実なロックを実現するために、何らかのロック機構が必要となる。そこで特許文献1の車両では、電磁プランジャと係止機構とを備えたロック機構によりモータ駆動装置をロックして、駐停車時における車輪のロックを実現しようとしている。
特開2002−186115号公報
発明者は、上記のような各車輪を個別に駆動制御できるモータ駆動装置を利用し、四輪を独立して駆動制御可能な車両を開発している。そして、駐停車時における車輪のロックは、上記したロック機構とは異なり、ギアロック機構により実現しようと考えている。
しかしながら、左右前輪のモータ駆動装置の間又は左右後輪のモータ駆動装置の間にギアロック機構を単に採用した場合、左右のモータ駆動装置でギアの位相が大きく異なって歯のズレが大きいときには、左右両輪のロックのタイミングが大幅にずれるおそれがあった。従って、片輪のみが先にロックされた状態となり、例えば坂道での駐停車時においてロックが作動していない車輪側がずり下がり、運転者に不安を抱かせるおそれがあった。
本発明は、上記した事情に鑑みて為されたものであり、駐停車時における左右両輪のロックの時間差を小さくすることが可能な車両を提供することを目的とする。
本発明に係る車両は、(1)複数対の車輪と、(2)複数対の車輪の各々に接続され、各車輪を独立して駆動制御可能な複数のモータ駆動装置と、(3)複数のモータ駆動装置の各々に設けられ、モータの出力軸又は動力伝達系をギアによりロックする複数のギアロック機構と、(4)複数のギアロック機構各々のギアの回転位置を検出する複数の回転位置検出器と、(5)複数の回転位置検出器の検出値に基づいて、車体の左側の一のギアと右側の一のギアとの組み合わせのうち、歯のズレが最小なギア対を求め、そのギア対をロックするように複数のギアロック機構を制御するロック制御手段と、を備えることを特徴とする。
この車両では、各車輪に対しモータ駆動装置とギアロック機構を備えているため、例えば四輪車両においては、左右前輪のモータ駆動装置の間や左右後輪のモータ駆動装置の間のみならず、右前輪と左後輪のモータ駆動装置の間や左前輪と右後輪のモータ駆動装置の間でも、ギアのロックを行うことができる。このように、車体の左側でモータ駆動装置をロックするギアと、車体の右側でモータ駆動装置をロックするギアとの組み合わせが増えるため、ロックする左右のギアの歯のズレを最小にすることができる可能性が高まる。従って、ロック制御手段により車体の左側のギアと右側のギアとの間で歯のズレが最小なギア対を求め、このギア対をロックすることで、左右両輪のロックの時間差を小さくすることができる。その結果、駐停車時において片輪側のずり下がりが発生するおそれを低減することができ、運転者に不安を抱かせるおそれを低減することが可能となる。
本発明によれば、駐停車時における左右両輪のロックの時間差を小さくすることができる。その結果、片輪側のずり下がりが発生するおそれを低減することができ、運転者に不安を抱かせるおそれを低減することが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は本実施形態に係る車両1の概要構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は四輪駆動車であり、右前の車輪2FR、右後の車輪2RR、左前の車輪2FL、左後の車輪2RLを備えている。
各車輪2には、それぞれモータ駆動装置3が設けられている。モータ駆動装置3は独立して駆動制御可能であり、各車輪2を独立して駆動制御可能となっている。このモータ駆動装置3としては、例えばホイールインモータを用いることができる。
モータ駆動装置3は、図2に示すように、モータ5と、減速機構6と、これらモータ5及び減速機構6を収容するケーシング7と、を有している。モータ5は出力軸8を有し、この出力軸8が減速機構6のサンギア9に接続されている。減速機構6は、サンギア9と、ピニオンギア10と、リングギア11と、キャリア12と、駆動軸13と、を有している。リングギア11は、ケーシング7内で固定されている。駆動軸13はキャリア12に接続されており、この駆動軸13が車輪2に接続されている。
各モータ駆動装置3には、図1及び図2に示すように、ギアロック機構14が設けられている。ギアロック機構14は、駐停車時において車輪2をロックするためにモータ駆動装置3をロックする。このギアロック機構14は、例えば図3に示すように、ギア15とこのギア15の歯15aに係止されてギア15をロックする係止爪16と、を有している。本実施形態では、このギア15が駆動軸13に設けられている。
ギアロック機構14には、ギア15の回転位置を検出する回転位置検出器17が設けられている。回転位置検出器17としては、例えば解像度の高いレゾルバなどを好適に用いることができる。
また車両1は、図1に示すように、ECU(Electronic Control Unit)20を備えている。ECU20は、車両1の制御を行う制御手段であり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。ECU20には、モータ駆動装置3を駆動させるドライバ4が接続されている。ドライバ4は、モータ駆動装置3の駆動回路などによって構成される。ECU20は、ドライバ4に駆動制御信号を出力し、その駆動制御信号に応じてモータ駆動装置3を駆動させる駆動力制御手段として機能する。
ECU20には、アクセルセンサ21、ブレーキセンサ22、シフトポジションセンサ23、加速度センサ24、ヨーレイトセンサ25、ステアリングセンサ26がそれぞれ電気的に接続されている。アクセルセンサ21は、アクセルの踏み込み量を検出するセンサである。このアクセルセンサ21として、スロットルバルブのスロットル開度を検出するスロットル開度センサなどを用いてもよい。
ブレーキセンサ22は、ブレーキの踏み込み量を検出するセンサである。シフトポジションセンサ23は、変速機のシフトポジションを検出するセンサである。加速度センサ24は、車両の前後方向の加速度を検出するセンサである。ヨーレイトセンサ25は、車両に生ずるヨーレイトを検出するセンサである。ステアリングセンサ26は、車両のハンドルの操舵状態を検出するセンサである。
またECU20には、前述したギアロック機構14の係止爪16、回転位置検出器17がそれぞれ接続されている。ECU20は、ギアロック機構14の係止爪16にロック制御信号を出力し、そのロック制御信号に応じてギア15をロック及びロック解除するように、ギアロック機構14を制御するロック制御手段として機能する。
次に本実施形態に係る車両1の動作について説明する。
本実施形態に係る車両1では、アクセルセンサ21、ブレーキセンサ22、及びシフトポジションセンサ23などの出力信号に基づいて、ECU20はモータ駆動装置3を駆動制御する駆動制御信号を演算し、ドライバ4に出力する。ドライバ4は、その駆動制御信号に基づいて、モータ駆動装置3を駆動制御する。なお、加速度センサ24やヨーレイトセンサ25の出力信号は、走行安定性を図るため等に適宜利用される。
ここで本実施形態に係る車両1では、駐停車時における車輪2のロック動作が極めて特徴的である。そこで図4のフローチャートを参照して、車輪2のロック動作について説明する。
まず、駐停車時においてシフトレバーがパーキングポジションにシフトされたとき、ECU20は、シフトポジションセンサ23からパーキング信号を受信する(ステップS11)。
ECU20は、パーキング信号を受信すると、各回転位置検出器17にギアロック機構14のギア15の回転位置を検出するための回転位置検出指令信号を出力する。回転位置検出器17は、回転位置検出指令信号を受信すると、ギア15の回転位置を検出する(ステップS12)。例えば、回転位置検出器17としてレゾルバを用いたときは、ギア15の回転位置はギア15の位相として検出される。
回転位置検出器17で検出した各ギア15の回転位置を表す回転位置信号は、ECU20に送られる。ECU20は、受信した各ギア15の回転位置信号に基づいて、車体の左側の一のギア15と右側の一のギア15との組み合わせのうち、歯15aのズレが最小なギア対を求める(ステップS13)。本実施形態の車両1は四輪駆動車であるため、ECU20は、左前FL−右前FR、左前FL−右後RR、左後RL−右前FR、左後RL−右後RRの4つの組み合わせについて、歯15aのズレが最小なギア対を求める。各ギア15の歯15aのズレは、例えばレゾルバにより各ギア15の位相のズレとして求めることができる。
図5は、前後左右の四輪間におけるギア15のズレの様子の一例を示す図である。図5において小さい長方形の各ブロックは、ギア15の歯15aを示している。各ブロックには、便宜上、等間隔の5個の目盛りを附している。また図6は、図5の例においてギア15のズレを数値化して示す図である。
図5に示すように各ギア15の歯15aがズレているとき、左前FL−右前FRの車輪2のギア15の組み合わせでは、ギア15の歯15aのズレは目盛りを利用して4と表すことができる。同様に、左前FL−右後RR、左後RL−右前FR、及び左後RL−右後RRの組み合わせでは、それぞれ2、3、及び1と表すことができる。従って、この場合は、歯15aのズレが最小なギア対が、左後RL−右後RRの車輪2のギア対であると求められる。
このように歯15aのズレが最小なギア対を求めた後、ECU20はそれらギア対をロックするように、ギアロック機構14にロック指令信号を出力する。ギアロック機構14は、ロック指令信号を受信すると、係止爪16を作動させてギア15をロックする(ステップS14)。図5の例では、左後RL及び右後RRの車輪2に対するギアロック機構14の係止爪16が作動され、ギア15がロックされる。
なお、このギアロック機構14によるロックは、シフトレバーがパーキングポジションからドライブポジション等の他のポジションにシフトされたとき、解除される。
このように本実施形態に係る車両1では、各車輪2に対しモータ駆動装置3とギアロック機構14が設けられているため、左右前輪のモータ駆動装置3の間や左右後輪のモータ駆動装置3の間のみならず、右前と左後の車輪2のモータ駆動装置3の間や左前と右後の車輪2のモータ駆動装置3の間でも、ギア15のロックを行うことができる。このように、車体の左側でモータ駆動装置3をロックするギア15と、車体の右側でモータ駆動装置3をロックするギア15との組み合わせが4倍に増えるため、ロックする左右のギア15の歯15aのズレを最小にすることができる可能性が高まる。従って、車体の左側のギア15と右側のギア15との間で歯15aのズレが最小なギア対を求め、このギア対をロックすることで、左右の車輪2をロックする時間差を小さくすることができる。その結果、駐停車時において片輪側のずり下がりが発生するおそれを低減することができ、運転者に不安を抱かせるおそれを低減することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施形態では、減速装置6の駆動軸13にギア15を設けたが、ギア15は減速装置6のキャリア12など、他の動力伝達系に設けてもよい。また、モータ5の出力軸8にギア15を設けるようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、シフトレバーがパーキングポジションにシフトされたときのポジション信号に基づいて、ギアロック動作を開始する場合について説明したが、運転者が操作するギアロックのための特別のスイッチ信号に基づいてギアロック動作を行うようにしてもよい。
また、上記した実施形態ではモータ駆動装置3としてインホイールモータについて説明したが、各車輪2を独立して制御可能であれば、他の形態のモータ駆動装置を適用してもよい。
また、上記した実施形態では四輪の車両について説明したが、本発明は六輪以上の車両にも適用することができる。
本実施形態に係る車両の概略構成図である。 車輪及びモータ駆動装置の構成を模式的に示す図である。 ギアロック機構を示す図である。 駐停車時における車輪のロック動作を示すフローチャートである。 前後左右の四輪間におけるギアのズレの様子の一例を示す図である。 図5の例においてギアのズレを数値化して示す図である。
符号の説明
1…車両、2…車輪、3…モータ駆動装置、5…モータ、8…出力軸、12…キャリア、13…駆動軸、14…ギアロック機構、15…ギア、15a…ギアの歯、17…回転位置検出器、20…ECU。

Claims (1)

  1. 複数対の車輪と、
    前記複数対の車輪の各々に接続され、各車輪を独立して駆動制御可能な複数のモータ駆動装置と、
    前記複数のモータ駆動装置の各々に設けられ、モータの出力軸又は動力伝達系をギアによりロックする複数のギアロック機構と、
    前記複数のギアロック機構各々の前記ギアの回転位置を検出する複数の回転位置検出器と、
    前記複数の回転位置検出器の検出値に基づいて、車体の左側の一のギアと右側の一のギアとの組み合わせのうち、歯のズレが最小なギア対を求め、該ギア対をロックするように前記複数のギアロック機構を制御するロック制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両。
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