JP2017150616A - 左右輪駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク差増幅機構を用いた左右輪駆動装置において、一方の駆動源の動力が遮断したときも大きな旋回モーメントが発生することを抑制し、修理工場等まで走行ができるようにした左右輪駆動装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータ2、3と、左右の駆動輪4L、4Rと、電動モータと左右の駆動輪との間に設けられ、太陽歯車S1、S2、遊星キャリヤC1,C2、及び内歯歯車R1、R2により構成される遊星歯車機構10A、10Bを同軸上に二つ組み合わせた歯車装置5と、を備えた左右輪駆動装置であって、電動モータからの出力が伝達される出力軸2a、3a同士を接続又は遮断するクラッチ機構を歯車装置より上流側に設け、クラッチ機構は正常走行時には回転軸同士の接続を遮断し、電動モータの一方が出力遮断された時には回転軸同士を接続する。
【選択図】図1
【解決手段】車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータ2、3と、左右の駆動輪4L、4Rと、電動モータと左右の駆動輪との間に設けられ、太陽歯車S1、S2、遊星キャリヤC1,C2、及び内歯歯車R1、R2により構成される遊星歯車機構10A、10Bを同軸上に二つ組み合わせた歯車装置5と、を備えた左右輪駆動装置であって、電動モータからの出力が伝達される出力軸2a、3a同士を接続又は遮断するクラッチ機構を歯車装置より上流側に設け、クラッチ機構は正常走行時には回転軸同士の接続を遮断し、電動モータの一方が出力遮断された時には回転軸同士を接続する。
【選択図】図1
Description
この発明は、独立した二つの駆動源からの駆動トルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達することができる左右輪駆動装置に関するものである。
電気自動車等の車両において、左右の駆動輪にそれぞれ電動モータを配置して、各電動モータを独立して制御することにより左右輪に適宜駆動トルク差を与えて、これにより車両の旋回モーメントを制御することが知られている。例えば、各電動モータがそれぞれ減速機を介して左右の駆動輪に独立して接続されている場合、各電動モータの回転速度はそれぞれの減速機で減速され、かつ、各電動モータの出力トルク(駆動力)はそれぞれの減速機で増幅されて左右駆動輪に伝達される。
ここで、車両の右旋回時と左旋回時の挙動を同様とするために、各電動モータは同じ出力特性とされ、それぞれの減速機も同じ減速比とされる。ところで、左右の駆動輪の出力トルクに差を付けたい場合、左右の電動モータの出力トルクに差を付け、左右の駆動輪に左右の電動モータの出力トルクが減速機を介して伝達される。左右の駆動輪に伝達される左右の電動モータの出力トルクは、減速機の減速比に応じて増大される。但し、左右の駆動輪の出力トルクの差の比率は、左右の減速機の減速比が同じであるので、左右の電動モータの出力トルクの差の比率と同一であり、左右の駆動輪の出力トルクの差の比率が増大されるわけではない。
ところで、車両のスムーズな旋回走行の実現や、極端なアンダーステア、極端なオーバーステア等の車両の挙動変化を抑制するために、左右の駆動輪の間に大きな駆動トルクの差を発生させることが有効な場合がある。そのため、二つの電動モータから出力されるトルクの差を増幅し左右の駆動輪に伝達することが望まれる。
そこで、特許文献1には、二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、3要素2自由度の遊星歯車機構を同軸上に二つ組み合わせた歯車装置を備え、トルクの差を増幅した左右輪駆動装置が開示されている。
特許文献1に開示された左右輪駆動装置を図14及び図15を参照して説明する。図14は、特許文献1に開示された左右駆動輪装置を示すスケルトン図、図15は特許文献1に開示された左右輪駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。
左右輪駆動装置100は、車両に搭載された第1電動モータ102及び第2電動モータ103と、左駆動輪104L及び右駆動輪104Rと、これらの間に設けられる歯車装置105と減速ギヤ列106、107とを備えている。
第1電動モータ102及び第2電動モータ103は、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)からの電力により動作し、コントローラ(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1電動モータ102の出力軸102a、第2電動モータ103の出力軸103aは、それぞれ減速ギヤ列106、107を介して後述する歯車装置105の各結合部材111、112に接続される。歯車装置105からの出力は左右の駆動輪104L、104Rに与えられる。
減速ギヤ列106は、第1電動モータ102と歯車装置105との間に設けられ、第1電動モータ102の回転速度を減速して歯車装置105へと出力する。減速ギヤ列107は、第2電動モータ103と歯車装置105との間に設けられ、第2電動モータ103の回転速度を減速して歯車装置105へと出力する。減速ギヤ列106、107は2段の減速ギヤ列である。また、第1電動モータ102及び第2電動モータ103が発生するトルクTM1、TM2は、歯車装置105を介して左右の駆動輪104L、104Rへ伝達される。
歯車装置105は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構110A、110Bが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車機構110A、110Bには、二連の遊星歯車を有するダブルピニオン遊星歯車機構が採用されている。この遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車S及び内歯歯車Rと、これら太陽歯車Sと内歯歯車Rとの間にあって同軸上に設けられた遊星キャリヤCと、この遊星キャリヤCに回動可能に支持され互いに噛み合う複数の二連の遊星歯車Pから構成されている。一方の遊星歯車Pは太陽歯車Sと噛み合い、他方の遊星歯車Pは内歯歯車Rと噛み合っている。
この遊星歯車機構では、遊星キャリヤCを固定した場合に太陽歯車Sと内歯歯車Rとが同一方向に回転するため、速度線図に表すと内歯歯車R及び太陽歯車Sが遊星キャリヤCに対して同じ側に配置される。換言すると、遊星キャリヤCは内歯歯車Rを挟んで太陽歯車Sの反対側に配置され、内歯歯車Rを固定した場合は太陽歯車Sと遊星キャリヤCとが逆方向に回転する。
図15に示す速度線図においては、遊星キャリヤCから内歯歯車Rまでの長さと遊星キャリヤCから太陽歯車Sまでの長さの比は、内歯歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。
この歯車装置105は、図14に示すように、太陽歯車S1、内歯歯車R1、遊星歯車P1及び遊星キャリヤC1を有する第1遊星歯車機構110Aと、同じく太陽歯車S2、内歯歯車R2、遊星歯車P2及び遊星キャリヤC2を有する第2遊星歯車機構110Bとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構110Aの太陽歯車S1と第2遊星歯車機構110Bの遊星キャリヤC2とが結合されて第1結合部材111を形成し、第1遊星歯車機構110Aの遊星キャリヤC1と第2遊星歯車機構110Bの太陽歯車S2とが結合されて第2結合部材112を形成している。第1結合部材111には、第1電動モータ102で発生されたトルクTM1が減速ギヤ列106を介して入力され、第2結合部材112には、第2電動モータ103で発生されたトルクTM2が減速ギヤ列107を介して入力される。また、第1遊星歯車機構110Aの内歯歯車R1は出力軸114を介して左駆動輪104Lに接続され、第2遊星歯車機構110Bの内歯歯車R2は出力軸113を介して右駆動輪104Rに接続される。
ここで、歯車装置105によって伝達される駆動トルクについて、図15に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置105は、二つの同一の遊星歯車機構110A、110Bを組み合わせて構成されるため、図15に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構110Aの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構110Bの速度線図を示す。
また、第1遊星歯車機構110Aの速度線図と第2遊星歯車機構110Bの速度線図とは、太陽歯車Sと遊星キャリヤCとが左右反対に配置される。すなわち、図15において、第1遊星歯車機構110Aの太陽歯車S1の下に第2遊星歯車機構110Bの遊星キャリヤC2が配置され、第1遊星歯車機構110Aの遊星キャリヤC1の下に第2遊星歯車機構110Bの太陽歯車S2が配置される。
この歯車装置105は、図15に示す二本の速度線図の両端に位置する要素同士が、図中破線で示すようにそれぞれ結合されて第1結合部材111及び第2結合部材112が形成される。そして、第1結合部材111に第1電動モータ102から出力されたトルクTM1が減速ギヤ列106を介して与えられる。この第1結合部材111に接続された太陽歯車S1には、第1電動モータ102から出力されたトルクTM1の一部が減速ギヤ列106を介して与えられることになる。そして、第1電動モータ102から出力されたトルクTM1の残部は減速ギヤ列106を介して遊星キャリヤC2に与えられる。
第2結合部材112に第2電動モータ103から出力されたトルクTM2が減速ギヤ列107を介して入力される。この第2結合部材112に接続された太陽歯車S2には、第2電動モータ103から出力されたトルクTM2の一部が減速ギヤ列107を介して与えられることになる。そして、第2電動モータ103から出力されたトルクTM2の残部は減速ギヤ列107を介して遊星キャリヤC1に与えられる。ここで本来は、各電動モータ102、103から出力されたトルクTM1及びTM2は各減速ギヤ列106、107を介し各結合部材111、112に入力されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、速度線図及び各計算式の説明においては減速比を省略し、各結合部材111、112に入力されるトルクをTM1及びTM2のままとする。
一方、速度線図上で中間に位置する内歯歯車R1、R2から左右の駆動輪104L、104Rに伝達される駆動トルクTL、TRが出力される。
このように構成された歯車装置105によって、第1電動モータ102及び第2電動モータ103で発生させる各駆動トルクTM1、TM2にトルク差(入力トルク差)ΔTIN(=TM2−TM1)を与えることで、左駆動輪104Lに伝達される駆動トルクTLと右駆動輪104Rに伝達される駆動トルクTRとに駆動トルク差ΔTOUT(=TL−TR)を発生させることができる。すなわち、この歯車装置105によれば、以下の式(1)の関係が得られる。なお、係数αはトルク差増幅率である。
(TL−TR)=α×(TM2−TM1) …(1)
この従来技術に係る歯車装置105のトルク差増幅率αについて説明する。ここでは、二つのダブルピニオン遊星歯車機構110A、110Bは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては、内歯歯車R1と遊星キャリヤC1との距離及び内歯歯車R2と遊星キャリヤC2との距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車S1と内歯歯車R1との距離及び太陽歯車S2と内歯歯車R2との距離も等しく、これをbとする。
左右両端の第1結合部材111、第2結合部材112に、それぞれ第1電動モータ102、第2電動モータ103のトルクTM1、TM2を入力し、内歯歯車R1、R2から駆動トルクTL、TRを取り出す。
トルクの入力と出力の関係から、以下の式(2)が得られる。
TR+TL=TM1+TM2 …(2)
TR+TL=TM1+TM2 …(2)
また、図中の左端(C1、S2部)を基準としたモーメントの式は以下の式(3)となる。なお、図において、矢印M方向が正のモーメント方向を示している。
0=aTL+bTR−(a+b)TM1 …(3)
これら式(2)、(3)からTL、TRについてまとめると、以下の(4)、(5)式となる。
TL=((a/(b−a))+1)・TM2−(a/(b−a))・TM1…(4)
TR=((a/(b−a))+1)・TM1−(a/(b−a))・TM2…(5)
TR=((a/(b−a))+1)・TM1−(a/(b−a))・TM2…(5)
これら(4)、(5)式から駆動トルク差(TL−TR)は以下の(6)式となる。
(TL−TR)=((a+b)/(b−a))・(TM2−TM1)…(6)
ダブルピニオン遊星歯車機構の場合、長さaは内歯歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)、長さa+bは太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)となるため、上記の式は(7)式のように書き換えられる。
(TL−TR)=(Zr/(Zr−2Zs))・(TM2−TM1)…(7)
上記(1)、(7)式よりトルク差増幅率αは、Zr/(Zr−2Zs)となる。
上記したように、この従来技術では、第1、第2電動モータ102、103からの入力は、S1+C2、S2+C1となり、駆動輪104L、104Rへの出力はR1、R2となる。
二つの電動モータ102、103で異なるトルク(駆動力)TM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM2−TM1))を与えると、歯車装置105において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、歯車装置105において所定のトルク差増幅率αで入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪104Lと右駆動輪104Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1))を与えることができる。
ところで、上記したトルク差増幅機構を用いた左右輪駆動装置においては、一方の駆動源が壊れた場合には、一方の駆動輪だけでなく他方の駆動輪にも影響が及ぶことになる。
例えば、一方の駆動源の出力遮断、即ち、電動モータは回転するがトルクが発生しない場合について説明する。
上記した左右輪のトルクTL、TRを示す上記(4)、(5)式を、内歯歯車Rの歯数Zr、太陽歯車Sの歯数Zsにより、書き換えると次の(4’)、(5’)となる。
TL=((Zr−Zs)/(Zr−2Zs))・TM2−(Zs/(Zr−2Zs))・TM1 …(4’)
TR=((Zr−Zs)/(Zr−2Zs))・TM1−(Zs/(Zr−2Zs))・TM2 …(5’)
TR=((Zr−Zs)/(Zr−2Zs))・TM1−(Zs/(Zr−2Zs))・TM2 …(5’)
ここで、一方の駆動源のトルク(駆動力)、例えば、第1電動モータ102のトルクTM1が0(出力遮断)になった場合には、上記(4’)、(5’)は以下のようになる。
TL=((Zr−Zs)/(Zr−2Zs))・TM2 …(4”)
TR=−(Zs/(Zr−2Zs))・TM2 …(5”)
TR=−(Zs/(Zr−2Zs))・TM2 …(5”)
上記(4”)、(5”)に示すように、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなる。この例では、左側の駆動輪104LのトルクTLは力行、右側の駆動輪104RのトルクTRは回生となる。しかもトルク差が増幅されるため、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
一方、駆動源の固着、例えば、電動モータの焼き付きや噛み込みが生じた場合につき説明する。一方の駆動源の固着では、ダブルピニオン遊星歯車の場合、糊付け法により、出力となる内歯歯車R1、R2の回転速度ωr1、ωr2は、遊星キャリヤC1、C2と太陽歯車S1、S2の回転速度ωc1、ωc2、ωs1、ωs2を用いて、次のように表すことができる。
ωr1=(1−(Zs/Zr))・ωc1+(Zs/Zr)・ωs1 …(8)
ωr2=(1−(Zs/Zr))・ωc2+(Zs/Zr)・ωs2 …(9)
ωr2=(1−(Zs/Zr))・ωc2+(Zs/Zr)・ωs2 …(9)
ここで、一方の駆動源、例えば第2電動モータ103が固着し、ωc1とωs2が0となると、上記の(8)、(9)式は次のようになる。
ωr1=(Zs/Zr)・ωs1 …(8’)
ωr2=(1−(Zs/Zr))・ωc2…(9’)
ωr2=(1−(Zs/Zr))・ωc2…(9’)
(8’)、(9’)に示すように、左右で回転速度の差は発生するものの、逆回転することはないため、ハンドルで進行方向を補正しながら修理工場まで何とか走行できる。
駆動源である電動モータが回転しない固着状態となるのは、モータロータの支持軸受が焼き付いたり、大きく破損する等、重篤な状態である。通常は、そこに至るまでに、音が大きくなってきたり、異音や振動が発生する等の前兆があり、運転手が気づくことが多いと考えられる。また、設計側も急に固着することがないように設計し、また、評価試験等により、急に電動モータが固着するようなことがないと確認されたものが投入されるはずであり、固着の問題は殆ど発生しないと考えられる。
一方、駆動源である電動モータの出力遮断については、駆動源自身の問題もあるが、駆動源以外が原因となることもある。例えば、冷却水が漏れて喪失することで電動モータが過熱し、電動モータの運転可能条件から外れ、インバータの制御により電流がカットされる場合や、インバータの故障により一方の駆動源のみがトルクを発生しない等が考えられる。
このように、トルク差増幅機構を備えた左右輪駆動装置を搭載した電気自動車においては、一方の駆動源が固着するよりも発生確率が高いと考えられる、一方の駆動源の出力遮断が生じた場合に、走行が非常に困難になってしまう。
この発明は、トルク差増幅機構を用いた左右輪駆動装置において、一方の駆動源の動力が遮断したときも大きな旋回モーメントが発生することを抑制し、修理工場等まで走行ができるようにした左右輪駆動装置を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源と、左右の駆動輪と、前記二つの駆動源と前記左右の駆動輪との間に設けられ、前記二つの駆動源からの駆動力を左右の駆動輪に分配する歯車装置とを備える左右輪駆動装置であって、前記歯車装置は、太陽歯車、遊星キャリヤ及び内歯歯車により構成される遊星歯車機構を同軸上に二つ組み合わせて構成され、前記二つの駆動源からの駆動力を前記歯車装置に伝達するそれぞれの回転軸同士の接続がクラッチ機構を介して接続され、前記クラッチ機構は正常走行時には回転軸同士が遮断され、前記二つの駆動源の一方が出力遮断された時には回転軸同士が接続されることを特徴とする。
前記クラッチ機構は、前記遊星歯車機構より上流側の回転軸同士を接続又は遮断するように構成すればよい。
また、前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた出力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、一方の前記駆動源の駆動力は、前記第2結合部材に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、前記第1結合部材に伝達され、一方の前記駆動輪は一方の内歯歯車から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は他方の内歯歯車から駆動力が伝達されることを特徴とする。
また、前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた入力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられて分配された駆動力を出力する遊星キャリヤと、を有し、前記歯車装置は、一方の太陽歯車と他方の内歯歯車とを結合する第1結合部材と、他方の太陽歯車と一方の内歯歯車とを結合する第2結合部材とを有し、一方の前記駆動源の駆動力は、前記第1結合部材に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、第2の結合部材に伝達され、一方の前記駆動輪は一方の遊星キャリヤから駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は他方の遊星キャリヤから駆動力が伝達されることを特徴とする。
また、前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた出力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の内歯歯車とを結合する第1結合部材と、他方の遊星キャリヤと一方の内歯歯車とを結合する第2の結合部材とを有し、一方の前記駆動源の駆動力は、前記一方の太陽歯車に接続され、他方の前記駆動源は、前記他方の太陽歯車に接続され、一方の前記駆動輪は第1結合部材から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は第2結合部材から駆動力が伝達されることを特徴とする。
また、前記遊星歯車機構は、それぞれ入力用の内歯歯車と、前記内歯歯車と同軸上に設けられた出力用の遊星キャリヤと、前記内歯歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、を有し、前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、一方の前記駆動源の駆動力は、一方の内歯歯車に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、他方の内歯歯車に伝達され、一方の前記駆動輪は前記第1結合部材から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は前記第2結合部材から駆動力が伝達されることを特徴とする。
また、前記クラッチ機構と接続される回転軸は、前記駆動源の出力軸にすることができる。
また、前記駆動源からの出力が減速ギヤ列を介して前記歯車装置に伝達され、前記クラッチ機構に接続される回転軸が、前記減速ギヤ列の歯車軸にすることができる。
以上のように、この発明によれば、どちらか一方の駆動源が出力遮断された場合には、クラッチ機構により、回転軸同士が接続され、一方の駆動源の駆動力が二つの遊星歯車機構に分割して伝達され、左右両輪間の駆動力の差と回転速度差は発生せず、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、この発明の第1の実施形態にかかる左右駆動輪装置を搭載した電気自動車の説明図であり、左右駆動輪装置はスケルトン図で表している。
図1に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ50と、後輪としての駆動輪4L、4Rと、前輪14L、14Rと、この発明に係る左右輪駆動装置1、バッテリ16、インバータ17、コントローラ30等を備える。
左右輪駆動装置1は、車両に搭載された駆動源としての第1電動モータ2及び第2電動モータ3と、左駆動輪4L及び右駆動輪4Rと、これらの間に設けられる歯車装置5と減速ギヤ列6、7とを備えている。
左右輪駆動装置1からの出力が等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに伝達される。この実施形態では、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、同じ出力特性の電動モータを用いる。
なお、左右輪駆動装置1の搭載形態としては、図1に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。
図1に示すように、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、車両に搭載されたバッテリ16からインバータ17を介して与えられた電力により動作する。そして、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、コントローラ30により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1電動モータ2の出力軸2a、第2電動モータ3の出力軸3aは、それぞれ減速ギヤ列6、7を介して後述する歯車装置5の遊星キャリヤC2、C1と各結合部材11、12に接続される。歯車装置5からの出力は歯車装置5の出力軸9A、9Bから等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに与えられる。減速ギヤ列6、7は同じ歯数比で構成される。この第1の実施形態においては、減速ギヤ列6、7は、2段の減速機構で構成されている。
減速ギヤ列6は、第1電動モータ2と歯車装置5との間に設けられ、第1電動モータ2の回転速度を2段に減速して歯車装置5へと出力する。減速ギヤ列7は、第2電動モータ3と歯車装置5との間に設けられ、第2電動モータ3の回転速度を2段に減速して歯車装置5へと出力する。また、第1電動モータ2及び第2電動モータ3が発生するトルク(駆動力)TM1、TM2は、歯車装置5を出力軸9A、9Bから介して等速ジョイント8から左右の駆動輪4L、4Rへ伝達される。
歯車装置5は、太陽歯車S、遊星キャリヤC及び内歯歯車Rからなる3要素2自由度の同一の遊星歯車機構10A、10Bが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。この実施形態の遊星歯車機構10A、10Bには、二連の遊星歯車を有するダブルピニオン遊星歯車機構が採用されている。ダブルピニオン遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車S及び内歯歯車Rと、これら太陽歯車Sと内歯歯車Rとの間にあって同軸上に設けられた遊星キャリヤCと、この遊星キャリヤCに回動可能に支持され互いに噛み合う複数の二連の遊星歯車Pから構成されている。一方の遊星歯車Pは太陽歯車Sと噛み合い、他方の遊星歯車Pは内歯歯車Rと噛み合っている。
この遊星歯車機構では、遊星キャリヤCを固定した場合に太陽歯車Sと内歯歯車Rとが同一方向に回転するため、上記したように、速度線図に表すと内歯歯車R及び太陽歯車Sが遊星キャリヤCに対して同じ側に配置される。換言すると、遊星キャリヤCは内歯歯車Rを挟んで太陽歯車Sの反対側に配置され、内歯歯車Rを固定した場合は太陽歯車Sと遊星キャリヤCとが逆方向に回転する。この第1の実施形態の歯車装置5は、図14の歯車装置105と同じ構成であり、速度線図は図15と同じになる。
この歯車装置5は、太陽歯車S1、内歯歯車R1、複数の二連の遊星歯車P1及び遊星キャリヤC1を有する第1遊星歯車機構10Aと、同じく太陽歯車S2、内歯歯車R2、複数の二連の遊星歯車P2及び遊星キャリヤC2を有する第2遊星歯車機構10Bとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1と第2遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2とが結合されて第1結合部材11を形成し、第1遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1と第2遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2とが結合されて第2結合部材12を形成している。第1結合部材11には、第1電動モータ2で発生されたトルクTM1が減速ギヤ列6を介して入力され、第2結合部材12には、第2電動モータ3で発生されたトルクTM2が減速ギヤ列7を介して入力される。また、第1遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1に接続される出力軸9Aは等速ジョイント8を介して左駆動輪4Lに接続され、第2遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2に接続される出力軸9Bは等速ジョイント8を介して右駆動輪4Rに接続される。
2つの遊星歯車機構10A、10Bは、第1電動モータ2、第2電動モータ3のトルク差を増幅するが、左側の駆動輪4L、右側の駆動輪4Rの回転速度に差がない場合、即ち、直進時には、トルク差増幅機構の遊星歯車機構10A、10Bは全体が一体で回転することになり、内部の内歯歯車Rと遊星歯車Pとの間、遊星歯車Pと太陽歯車Sとの間では回転は生じない。即ち、第1電動モータ2の出力が減速ギヤ列6で減速され、出力軸9Bから等速ジョイント8を介して左駆動輪4Rに与えられる。そして、第2電動モータ3の出力が減速ギヤ列7で減速され、出力軸9Aから等速ジョイント8を介して右駆動輪4Lに与えられる。
遊星歯車機構10A、10Bを構成する歯車は、はすば歯車でも平歯車のどちらを用いてもよい。平歯車は、はすば歯車よりも回転時に発生する音が大きいとされるが、実際の走行で大部分を占める直進状態ではトルク差増幅機構を構成する歯車装置5の遊星歯車機構10A、10Bは平歯車であっても内部は回転しないため、回転による音は発生しない。そして、平歯車を用いることで、捩りながら歯車を入れていくことがなくなり、組立が容易となる。また、歯車の加工も容易となり、加工、組立コストを低減することができる。
一方、第1電動モータ2、第2電動モータ3から歯車装置5までトルク(駆動力)を伝達する減速ギヤ列6、7は常時回転するため、はすば歯車を用いる方が良い。また、この第1の実施形態では、歯車装置5から駆動輪4L、4Rに直接トルクを伝達しているが、歯車装置5から減速ギヤ列を介して駆動輪4L、4Rにトルクを伝達する場合には、この減速ギヤ列も常時回転するため、はすば歯車を用いる方が良い。
二つの電動モータ2、3で異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM2−TM1))を与えると、歯車装置5において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。
このトルク差の増幅率αは、上記したZr/(Zr−2Zs)である。上記したように、Zrは、内歯歯車Rの歯数、Zsは、太陽歯車Sの歯数である。
上記したように、トルク差増幅機構を構成する歯車装置5を備えた左右輪駆動装置1においては、一方の電動モータが壊れた場合には、一方の駆動輪だけでなく他方の駆動輪にも影響が及ぶことになる。すなわち、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなり、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
そこで、この第1の実施形態においては、図1に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aとをクラッチ機構20を介して接続している。このクラッチ機構20は、遊星歯車機構よりなる歯車装置5より、上流側で、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続又は遮断する。クラッチ機構20は正常走行時には出力軸2aと出力軸3aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、出力軸2aと出力軸3aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
このクラッチ機構20は、例えば、通電や油圧の加圧によって接続状態となり、非通電状態や非加圧状態では開放となるものが用いられている。この実施形態は、異常時に、クラッチ機構20が出力軸2aと出力軸3aを接続するように、コントローラ30が制御するので、通常の走行状態では、電力や油圧の動力源を使用せずに遮断状態を保ち、電力消費を抑え電気自動車の航続距離に影響を及ぼさないようにしている。
例えば、第1電動モータ2が出力遮断され、モータロータは回転するがトルクを発生しない異常な状況となった場合には、コントローラ30は、クラッチ機構20を制御し、出力軸2aと出力軸3aとを接続する。クラッチ機構20により、出力軸2aと出力軸3aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが出力軸2a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は減速ギヤ列7を介して遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1と結合部材12から遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2に与えられるだけでなく、減速ギヤ列6を介して、遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2と結合部材11から遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1に分割して伝達される。
この結果、左右両輪間のトルク差と回転速度差は発生せず、旋回時に小回りがきかなくなるものの、上述したように、大きな旋回モーメントが発生して真っ直ぐ走ることが困難となることはなく、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
また、クラッチ機構20を歯車装置5より上流側に配置することにより、トルク差が増幅される前に、歯車装置5へトルクを与える回転軸の遮断又は接続を行うことができ、小さなトルク用のクラッチ機構で対応することができる。このように、クラッチ機構20を歯車装置5より上流側に配置することにより、正常走行時には使用しないクラッチ機構20を小型化することができる。
第1電動モータ2と第2電動モータ3からの駆動力を遮断又は接続するクラッチ機構20は、図1に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続する位置に設けているが、第1電動モータ2、第2電動モータ3からそれぞれ等しく減速された減速後の回転軸同士をクラッチ機構20で接続するように構成してもよい。
第1電動モータ2、第2電動モータ3からそれぞれ等しく減速された減速後の回転軸同士にクラッチ機構20を設けた第2の実施形態につき図2に従い説明する。図2に示すように、第1電動モータ2の出力軸2a、第2電動モータ3の出力軸3aは、それぞれ減速ギヤ列6、7を介して減速される。減速ギヤ列6からの出力が第1遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2に与えられ、そして、第1結合部材11に与えられて第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1に与えられる。
減速ギヤ列7からの出力が第1遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1に与えられ、そして、第2結合部材12に与えられて第2遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2に与えられる。このように、第1電動モータ2、第2電動モータ3からそれぞれ減速ギヤ列6、7で減速された出力が歯車装置5のキャリヤC2、キャリヤC1と結合部材11、12に与えられる。
この減速ギヤ列6の回転軸6aと減速ギヤ列7の回転軸7aがクラッチ機構20を介して接続されている。クラッチ機構20は正常走行時には回転軸6aと回転軸7aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、回転軸6aと回転軸7aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
クラッチ機構20を設けた位置以外は第1の実施形態と同じ構成なので、ここでは同一部分には同一符号を付しその説明を割愛する。
この第2の実施形態においては、例えば、第1電動モータ2が出力遮断され、モータロータは回転するがトルクを発生しない異常な状況となった場合には、コントローラ30は、クラッチ機構20を制御し、回転軸6aと回転軸7aとを接続する。クラッチ機構20により、回転軸6aと回転軸7aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが回転軸6a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は減速ギヤ列7を介して遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1と結合部材12から遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2に与えられるだけでなく、回転軸6aから遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2と結合部材11から遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1に分割して伝達される。
この結果、左右両輪間のトルク差と回転速度差は発生せず、旋回時に小回りがきかなくなるものの、上述したように、大きな旋回モーメントが発生して真っ直ぐ走ることが困難となることはなく、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
次に、この発明の第3の実施形態につき、図3を参照して説明する。第1の実施形態、第2の実施形態は、減速ギヤ列6、7が2段の減速機構であるのに対して、この第3の実施形態の減速ギヤ列6、7は1段の減速機構である。図3に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aがクラッチ機構20を介して接続している。このクラッチ機構20は、遊星歯車機構よりなる歯車装置5より、上流側で、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続又は遮断する。クラッチ機構20は正常走行時には出力軸2aと出力軸3aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、出力軸2aと出力軸3aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
減速ギヤ列6、7の減速機構が2段から1段に代わるだけで、他の構成は第1の実施形態と同じ構成なので、ここでは同一部分には同一符号を付しその説明を割愛する。
次に、この発明の第4の実施形態につき説明する。第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態が二連の遊星歯車を有するダブルピニオン遊星歯車機構であるのに対して、一つの遊星歯車が太陽歯車と内歯歯車とに噛み合うシングルピニオン遊星歯車装置を歯車装置5に用いたものである。
シングルピニオン遊星歯車装置を用いた歯車装置5について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、第4の実施形態にかかる左右駆動輪装置を示すスケルトン図、図5は第4の実施形態にかかる左右輪駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。
図4に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ50と、後輪としての駆動輪4L、4Rと、前輪14L、14Rと、この発明に係る左右輪駆動装置1、バッテリ16、インバータ17、コントローラ30等を備える。
この左右輪駆動装置1は、車両に搭載された第1電動モータ2及び第2電動モータ3と、左駆動輪4L及び右駆動輪4Rと、これらの間に設けられる歯車装置5と減速ギヤ列6、7、18、19とを備えている。
第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、車両に搭載されたバッテリ16からの電力により動作し、コントローラ30により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1電動モータ2の出力軸2a、第2電動モータ3の出力軸3aは、それぞれ減速ギヤ列6、7を介して歯車装置5の各結合部材11、12に接続される。歯車装置5からの出力は減速ギヤ列18、19の出力軸18A、19Aから等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに与えられる。
歯車装置5は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構10A、10Bが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車機構10A、10Bには、シングルピニオン遊星歯車機構が採用されている。このシングルピニオン遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車S及び内歯歯車Rと、これら太陽歯車Sと内歯歯車Rとの間に位置する複数のプラネタリギヤとしての遊星歯車Pと、遊星歯車Pを回動可能に支持し太陽歯車S及び内歯歯車Rと同軸上に設けられた遊星キャリヤCとから構成される。ここで、太陽歯車Sと遊星歯車Pは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、内歯歯車Rは内周にギヤ歯を有する。遊星歯車Pは太陽歯車Sと内歯歯車Rとに噛み合っている。シングルピニオン遊星歯車機構では、遊星キャリヤCを固定した場合に太陽歯車Sと内歯歯車Rとが逆方向に回転するため、速度線図に表すと内歯歯車R及び太陽歯車Sが遊星キャリヤCに対して反対側に配置される。換言すると、内歯歯車Rは遊星キャリヤCを挟んで太陽歯車Sの反対側に配置される。
図5に示す速度線図においては、遊星キャリヤCから内歯歯車Rまでの長さと遊星キャリヤCから太陽歯車Sまでの長さの比は、内歯歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。
この歯車装置5は、図4に示すように、太陽歯車S1、遊星キャリヤC1、遊星歯車P1及び内歯歯車R1を有する第1遊星歯車機構10Aと、同じく太陽歯車S2、遊星キャリヤC2、遊星歯車P2及び内歯歯車R2を有する第2遊星歯車機構10Bとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1と第2遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2とが結合されて第1結合部材11を形成し、第1遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1と第2遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2とが結合されて第2結合部材12を形成している。第1結合部材11には、第1電動モータ2で発生されたトルクTM1が減速ギヤ列6を介して入力され、第2結合部材12には、第2電動モータ3で発生されたトルクTM2が減速ギヤ列7を介して入力される。また、第1遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1の回転軸C1A及び第2遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2の回転軸C2Aは、それぞれ減速ギヤ列18、19に接続される。そして、減速ギヤ列18、19出力軸18A、19Aが等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに接続され、左右の駆動輪4L、4Rに出力が与えられる。
ここで、歯車装置5によって伝達される駆動トルクについて、図5に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置5は、二つの同一のシングルピニオン遊星歯車機構10A、10Bを組み合わせて構成されるため、図5に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構10Aの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構10Bの速度線図を示す。
また、第1遊星歯車機構10Aの速度線図と第2遊星歯車機構10Bの速度線図とは、太陽歯車Sと内歯歯車Rとが左右反対に配置される。すなわち、図5において、第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1の下に第2遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2が配置され、第1遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1の下に第2遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2が配置される。
この歯車装置5は、図5に示す二本の速度線図の両端に位置する要素同士が、図中破線で示すようにそれぞれ結合されて第1結合部材11及び第2結合部材12が形成される。そして、第1結合部材11及び第2結合部材12に、それぞれ第1電動モータ2及び第2電動モータ3から出力されたトルクTM1及びTM2が入力される。ここで本来は、各電動モータ2、3から出力されたトルクTM1及びTM2は各減速ギヤ列6、7を介し各結合部材11、12に入力されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、速度線図及び各計算式の説明においては減速比を省略し、太陽歯車S1、S2及び各結合部材11、12に入力されるトルクをTM1及びTM2のままとする。
一方、速度線図上で中間に位置する遊星キャリヤC1、C2から左右の駆動輪4L、4Rに伝達される駆動トルクTL、TRが出力される。
このように構成された歯車装置5によって、第1電動モータ2及び第2電動モータ3で発生させる各駆動トルクTM1、TM2にトルク差(入力トルク差)ΔTIN(=TM2−TM1)を与えることで、左駆動輪4Lに伝達される駆動トルクTLと右駆動輪4Rに伝達される駆動トルクTRとに駆動トルク差ΔTOUT(=TL−TR)を発生させることができる。すなわち、この歯車装置5によれば、以下の式(10)の関係が得られる。なお、係数αはトルク差増幅率である。
(TL−TR)=α×(TM2−TM1) …(10)
この第4の実施形態にかかる歯車装置5のトルク差増幅率αについて説明する。ここでは、二つの遊星歯車機構10A、10Bは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては内歯歯車R1と遊星キャリヤC1との距離及び内歯歯車R2と遊星キャリヤC2との距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車S1と遊星キャリヤC1との距離及び太陽歯車S2と遊星キャリヤC2との距離も等しく、これをbとする。
左右両端の第1結合部材11、第2結合部材12に、それぞれ第1電動モータ2、第2電動モータ3のトルクTM1、TM2を入力し、遊星キャリヤC1、C2から駆動トルクTL、TRを取り出す。
トルクの入力と出力の関係から、以下の式(11)が得られる。
TR+TL=TM1+TM2 …(11)
TR+TL=TM1+TM2 …(11)
また、図中の左端(R1、S2部)を基準としたモーメントの式は以下の式(12)となる。なお、図5において、矢印M方向が正のモーメント方向を示している。
0=aTL+bTR−(a+b)TM1 …(12)
0=aTL+bTR−(a+b)TM1 …(12)
これら式(11)、(12)からTL、TRについてまとめると、以下の(13)、(14)式となる。
TL=((a/(b−a))+1)・TM2−(a/(b−a))・TM1…(13)
TR=((a/(b−a))+1)・TM1−(a/(b−a))・TM2…(14)
TR=((a/(b−a))+1)・TM1−(a/(b−a))・TM2…(14)
これら(13)、(14)式から駆動トルク差(TL−TR)は以下の(15)式となる。
(TL−TR)=((a+b)/(b−a))・(TM2−TM1)…(15)
シングルピニオン遊星歯車機構の場合、長さaは内歯歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)、長さbは太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)となるため、上記の式は(16)式のように書き換えられる。
(TL−TR)=((Zr+Zs)/(Zr−Zs))・(TM2−TM1)…(16)
上記(16)式よりトルク差増幅率αは、(Zr+Zs)/(Zr−Zs)となる。
上記したように、この第4の実施形態では、第1、第2電動モータ2、3からの入力は、S1+R2、S2+R1となり、駆動輪4L、4Rへの出力はC1、C2となる。
上記した左右輪のトルクTL、TRを示す上記(13)、(14)式を、内歯歯車R歯数Zr、太陽歯車Sの歯数Zsにより、書き換えると次の(13’)、(14’)となる。
TL=((Zs/(Zr−Zs))+1)・TM2−(Zs/(Zr−Zs))・TM1…(13’)
TR=((Zs/(Zr−Zs))+1)・TM1−(Zs/(Zr−Zs))・TM2…(14’)
TR=((Zs/(Zr−Zs))+1)・TM1−(Zs/(Zr−Zs))・TM2…(14’)
この第4の実施形態の歯車装置5を用いた左右輪駆動装置においても一方の駆動源が壊れた場合には、一方の駆動輪だけでなく他方の駆動輪にも影響が及ぶことになる。
例えば、一方の駆動源の出力遮断、即ち、電動モータは回転するがトルクが発生しない場合について説明する。
ここで、一方の駆動源のトルク、例えば、第1電動モータ2のトルクTM1が0(出力遮断)になった場合には、上記(13’)、(14’)は以下のようになる。
TL=((Zs/(Zr−Zs))+1)・TM2 …(13”)
TR=−(Zs/(Zr−Zs))・TM2 …(14”)
TR=−(Zs/(Zr−Zs))・TM2 …(14”)
上記(13”)、(14”)に示すように、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなる。左側の駆動輪4LのトルクTLは力行、右側の駆動輪4RのトルクTRは回生となる。しかもトルク差が増幅されるため、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
上記したように、トルク差増幅機構を構成する歯車装置5を備えた左右輪駆動装置1においては、一方の電動モータの出力が遮断された場合には、一方の駆動輪だけでなく他方の駆動輪にも影響が及ぶことになる。すなわち、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなり、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
そこで、この第4の実施形態においては、図4に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aとをクラッチ機構20を介して接続している。このクラッチ機構20は、遊星歯車機構よりなる歯車装置5より、上流側で、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続又は遮断する。クラッチ機構20は正常走行時には出力軸2aと出力軸3aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、出力軸2aと出力軸3aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
このクラッチ機構20は、例えば、通電や油圧の加圧によって接続状態となり、非通電状態や非加圧状態では開放となるものが用いられている。この実施形態は、異常時に、クラッチ機構20が出力軸2aと出力軸3aを接続するように、コントローラ30が制御するので、通常の走行状態では、電力や油圧の動力源を使用せずに遮断状態を保ち、電力消費を抑え電気自動車の航続距離に影響を及ぼさないようにしている。
例えば、第1電動モータ2が出力遮断され、モータロータは回転するがトルクを発生しない異常な状況となった場合には、コントローラ30は、クラッチ機構20を制御し、出力軸2aと出力軸3aとを接続する。クラッチ機構20により、出力軸2aと出力軸3aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが出力軸2a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は減速ギヤ列7を介して遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2と遊星歯車機構の10Aの内歯歯車R1に与えられるだけでなく、減速ギヤ列6を介して、遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1と遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2に分割して伝達される。
この結果、左右両輪間のトルク差と回転速度差は発生せず、旋回時に小回りがきかなくなるものの、上述したように、大きな旋回モーメントが発生して真っ直ぐ走ることが困難となることはなく、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
次に、この発明の第5の実施形態につき説明する。図6は、第5の実施形態にかかる左右駆動輪装置を示すスケルトン図、図7は第5の実施形態にかかる左右輪駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。
図6に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ50と、後輪としての駆動輪4L、4Rと、前輪14L、14Rと、この発明に係る左右輪駆動装置1、バッテリ16、インバータ17、コントローラ30等を備える。
図6に示すように、左右輪駆動装置1は、車両に搭載された第1電動モータ2及び第2電動モータ3と、左駆動輪4L及び右駆動輪4Rと、これらの間に設けられる歯車装置5と減速ギヤ列6、7とを備えている。
第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、車両に搭載されたバッテリ16からの電力により動作し、コントローラ30により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1電動モータ2の出力軸2aは減速ギヤ列6を介して歯車装置5の太陽歯車S1に接続され、第2電動モータ3の出力軸3aは減速ギヤ列7を介して歯車装置5の太陽歯車S2に接続される。歯車装置5からの出力は遊星キャリヤC1、C2に接続された回転軸C1A、C2Aから等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに与えられる。
第4の実施形態と同様に歯車装置5は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構10A、10Bが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車機構10A、10Bには、例えば、二連の遊星歯車からなるダブルピニオン遊星歯車機構が採用されている。
そして、第1遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1と第2遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2とが結合されて第1結合部材11を形成し、第1遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1と第2遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2とが結合されて第2結合部材12を形成している。第1電動モータ2で発生されたトルクTM1が減速ギヤ列6を介して第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1に入力され、第2電動モータ3で発生されたトルクTM2が減速ギヤ列7を介して第2の遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2に入力される。
また、第1結合部材11、第2結合部材12は、接続された回転軸C1A、C2Aから等速ジョイント8を介してそれぞれ左右の駆動輪4L、4Rに接続される。左右の駆動輪4L、4Rには、回転軸C1A、C2A、等速ジョイント8を介して出力が与えられる。
上記したように、この第5の実施形態では、電動モータ2、3からの入力は、S1、S2となり、駆動輪4L、4Rへの出力は、C1+R2、C2+R1となる。
ここで、この第5の実施形態の歯車装置5によって伝達される駆動トルクについて、図7に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置5は、二つの同一のダブルピニオン遊星歯車機構10A、10Bを組み合わせて構成されるため、図7に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構10Aの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構10Bの速度線図を示す。また、上記の説明と同様に、以降の速度線図及び各計算式の説明においては各減速ギヤ列6、7での減速比を省略し、各太陽歯車S1、S2に入力されるトルクをTM1及びTM2のままとする。
第5の実施形態の歯車装置5は、図7に示す遊星キャリヤC1と内歯歯車R2、遊星キャリヤC2と内歯歯車R1が、図中破線で示すようにそれぞれ結合されて第1結合部材11及び第2結合部材12が形成される。そして、太陽歯車S1、S2にそれぞれ第1電動モータ2及び第2電動モータ3から出力されたトルクTM1及びTM2が入力される。一方、速度線図上で中間に位置する第1の結合部材11、第2の結合部材12から左右の駆動輪4L、4Rに伝達される駆動トルクTL、TRが出力される。
このように構成された歯車装置5によっても、第1電動モータ2及び第2電動モータ3で発生させる各駆動トルクTM1、TM2にトルク差(入力トルク差)ΔTIN(=TM2−TM1)を与えることで、左駆動輪4Lに伝達される駆動トルクTLと右駆動輪4Rに伝達される駆動トルクTRとに駆動トルク差ΔTOUT(=TR−TL)を発生させることができる。
この第5の実施形態にかかる歯車装置5のトルク差増幅率αについて説明する。この遊星歯車機構10A、10Bは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては内歯歯車R1と遊星キャリヤC1との距離及び内歯歯車R2と遊星キャリヤC2との距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車S1と遊星キャリヤC1との距離及び太陽歯車S2と遊星キャリヤC2との距離も等しく、これをbとする。
この第5の実施形態においては、図7の速度線図が得られ、速度線図において、トルクの釣り合いを考えると、トルク差増幅率αを求めることができる。なお、図7において、矢印M方向が正のモーメント方向を示している。
S2の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(15)式が算出される。
b・TR+(a+b)・TL−(a+2b)・TM1=0 …(15)
S1の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(16)式が算出される。
−b・TL−(a+b)・TR+(a+2b)・TM2=0 …(16)
b・TR+(a+b)・TL−(a+2b)・TM1=0 …(15)
S1の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(16)式が算出される。
−b・TL−(a+b)・TR+(a+2b)・TM2=0 …(16)
(15)式+(16)式より、下記(17)式が算出される。
a・(TR−TL)―(a+2b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((a+2b)/a)・(TM2−TM1) …(17)
a・(TR−TL)―(a+2b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((a+2b)/a)・(TM2−TM1) …(17)
(17)式の(a+2b)/aがトルク差増幅率αとなる。
a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(2Zr+Zs)/Zsとなる。
a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(2Zr+Zs)/Zsとなる。
上記したように、この第5の実施形態では、電動モータ2、3からの入力は、S1、S2、駆動輪4L、4Rへの出力はC1+R2、C2+R1であり、トルク差増幅率αは、(2Zr+Zs)/Zsである。
(15)、(16)式からトルクTL、TRを求めると次の(18)、(19)となる。
TL=((a+b)/a)・TM1−(b/a)・TM2 …(18)
TR=((a+b)/a)・TM2−(b/a)・TM1 …(19)
TR=((a+b)/a)・TM2−(b/a)・TM1 …(19)
上記したように、第5の実施形態のものにおいては、二つの電動モータ2、3で異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTINを与えると、歯車装置5において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUTを得ることができる。
ここで、一方の駆動源のトルク、例えば、第1電動モータ2のトルクTM1が0(出力遮断)になった場合には、上記(18)、(19)は以下のようになる。
TL=−(b/a)・TM2 …(18’)
TR=((a+b)/a)・TM2 …(19’)
TR=((a+b)/a)・TM2 …(19’)
上記(18’)、(19’)に示すように、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなる。左側の駆動輪4LのトルクTLは回生、右側の駆動輪4RのトルクTRは力行となる。しかもトルク差が増幅されるため、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
そこで、この第5の実施形態においては、図6に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aとをクラッチ機構20を介して接続している。このクラッチ機構20は、遊星歯車機構よりなる歯車装置5より、上流側で、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続又は遮断する。クラッチ機構20は正常走行時には出力軸2aと出力軸3aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、出力軸2aと出力軸3aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
このクラッチ機構20は、例えば、通電や油圧の加圧によって接続状態となり、非通電状態や非加圧状態では開放となるものが用いられている。この実施形態は、異常時に、クラッチ機構20が出力軸2aと出力軸3aを接続するように、コントローラ30が制御するので、通常の走行状態では、電力や油圧の動力源を使用せずに遮断状態を保ち、電力消費を抑え電気自動車の航続距離に影響を及ぼさないようにしている。
例えば、第1電動モータ2が出力遮断され、モータロータは回転するがトルクを発生しない異常な状況となった場合には、コントローラ30は、クラッチ機構20を制御し、出力軸2aと出力軸3aとを接続する。クラッチ機構20により、出力軸2aと出力軸3aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが出力軸2a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2に与えられるだけでなく、減速ギヤ列6を介して、遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1に分割して伝達される。
この結果、左右両輪間のトルク差と回転速度差は発生せず、旋回時に小回りがきかなくなるものの、上述したように、大きな旋回モーメントが発生して真っ直ぐ走ることが困難となることはなく、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
次に、この発明の第6の実施形態につき説明する。図8は、第6の実施形態にかかる左右駆動輪装置を示すスケルトン図、図9は第6の実施形態にかかる左右輪駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。
図8に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ50と、後輪としての駆動輪4L、4Rと、前輪14L、14Rと、この発明に係る左右輪駆動装置1、バッテリ16、インバータ17、コントローラ30等を備える。
左右輪駆動装置1は、車両に搭載された第1電動モータ2及び第2電動モータ3と、左駆動輪4L及び右駆動輪4Rと、これらの間に設けられる歯車装置5と減速ギヤ列6、7とを備えている。左右輪駆動装置1からの出力が等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに伝達される。この実施形態では、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、同じ出力特性の電動モータを用いる。
なお、左右輪駆動装置1の搭載形態としては、図8に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。
図8に示すように、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、車両に搭載されたバッテリ16からインバータ17を介して与えられた電力により動作する。そして、第1電動モータ2及び第2電動モータ3は、コントローラ30により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1電動モータ2の出力軸2aは減速ギヤ列6を介して歯車装置5の内歯歯車R1に接続され、第2電動モータ3の出力軸3aは減速ギヤ列7を介して歯車装置5の内歯歯車R2に接続される。歯車装置5からの出力は出力軸9A、9Bから等速ジョイント8を介して左右の駆動輪4L、4Rに与えられる。減速ギヤ列6、7は同じ歯数比で構成される。
歯車装置5は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構10A、10Bが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車機構10A、10Bには、同軸上に設けられた太陽歯車S及び内歯歯車Rと、これら太陽歯車Sと内歯歯車Rとの間に位置する複数の遊星歯車Pと、遊星歯車Pを回動可能に支持し太陽歯車S及び内歯歯車Rと同軸上に設けられた遊星キャリヤCとから構成される。ここで、太陽歯車Sと遊星歯車Pは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、内歯歯車Rはリングの内周にギヤ歯を有する。遊星歯車Pは太陽歯車Sと内歯歯車Rとに噛み合っている。
上述したように、遊星歯車機構では、遊星キャリヤCを固定した場合に太陽歯車Sと内歯歯車Rとが逆方向に回転するため、速度線図に表すと内歯歯車R及び太陽歯車Sが遊星キャリヤCに対して反対側に配置される。
この歯車装置5は、図8に示すように、太陽歯車S1、遊星キャリヤC1、遊星歯車P1及び内歯歯車R1を有する第1遊星歯車機構10Aと、同じく太陽歯車S2、遊星キャリヤC2、遊星歯車P2及び内歯歯車R2を有する第2遊星歯車機構10Bとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構10Aの遊星キャリヤC1と第2遊星歯車機構10Bの太陽歯車S2とが結合されて第1結合部材11を形成し、第1遊星歯車機構10Aの太陽歯車S1と第2遊星歯車機構10Bの遊星キャリヤC2とが結合されて第2結合部材12を形成している。
第1遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1に第1電動モータ2で発生したトルクTM1が減速ギヤ列6を介して入力され、第2遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2に第2電動モータ3で発生したトルクTM2が減速ギヤ列7を介して入力される。
第1結合部材11には出力軸9Aが接続され、この出力軸9Aに等速ジョイント8を介して左駆動輪4Lが接続される。出力軸9Aから駆動トルクTLが等速ジョイント8を介して左駆動輪4Lに与えられる。第2結合部材12には出力軸9Bが接続され、この出力軸9Bに等速ジョイント8を介して右駆動輪4Rが接続される。出力軸9Bから駆動トルクTRが等速ジョイント8を介して右駆動輪4Rに与えられる。
尚、図8においては、第1結合部材11、第2結合部材12に接続された出力軸9A、9Bから等速ジョイント8を介して駆動輪4L、4Rに駆動トルクを与えているが、第1結合部材11、第2結合部材12からの出力を、減速ギヤ列で減速してから駆動輪4L、4Rに与えるように構成してもよい。
そして、上記した図8の例では、第2結合部材12は、歯車装置5の軸心に沿って延在する中空軸で構成されており、その内部には第1結合部材11が挿通されている。第1結合部材11は、歯車装置5の軸心に沿って延在する軸で構成されており、第1結合部材11及び第2結合部材12は同軸上に配置されて、これらの軸は二重構造となっている。
第1結合部材11は、例えば、中実軸で構成され、中実軸である第1結合部材11は、その一端(図中右端)が太陽歯車S2の回転軸であり、他端(図中左端)が太陽歯車S1を貫通して設けられ、遊星キャリヤC1に接続されている。また、中空軸である第2結合部材12は、一端(図中左端)が太陽歯車S1の回転軸となっており、他端(図中右端)は遊星キャリヤC2と接続されている。このようにして、二つの遊星歯車機構10A、10Bを繋いでいる。
ここで、歯車装置5によって伝達される駆動トルクについて、図9に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置5は、二つの同一のシングルピニオン遊星歯車機構10A、10Bを組み合わせて構成されるため、図9に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構10Aの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構10Bの速度線図を示す。また本来は、図9においては各電動モータ2、3から出力されたトルクTM1及びTM2は各減速ギヤ列6、7を介し各内歯歯車R1、R2に入力されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、上記の説明と同様に、速度線図及び各計算式の説明においては減速比を省略し、各内歯歯車R1、R2に入力されるトルクをTM1及びTM2のまま、駆動トルクはTL、TRのままとする。
二つの遊星歯車機構10A、10Bは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては内歯歯車R1と遊星キャリヤC1との距離及び内歯歯車R2と遊星キャリヤC2との距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車S1と遊星キャリヤC1との距離及び太陽歯車S2と遊星キャリヤC2との距離も等しく、これをbとする。遊星キャリヤCから内歯歯車Rまでの長さと遊星キャリヤCから太陽歯車Sまでの長さの比は、内歯歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)である。
R2の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(20)式が算出される。なお、図9において、図中矢印M方向がモーメントの正方向である。
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(20)
R1の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(21)式が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(21)
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(20)
R1の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(21)式が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(21)
(20)式+(21)式より、下記(22)式が得られる。
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(22)
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(22)
(22)式の(2a+b)/bがトルク増幅率αとなる。a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(Zr+2Zs)/Zrとなり、下記のトルク差増幅率αが得られる。
α=(Zr+2Zs)/Zr
この発明では、第1、第2電動モータ2、3からの入力は、R1、R2となり、駆動輪4L、4Rへの出力はS2+C1、S1+C2となる。
(20)、(21)式からトルクTL、TRを求めると次の(23)、(24)となる。
TL=((a+b)/b)・TM1―(a/b)・TM2…(23)
TR=((a+b)/b)・TM2―(a/b)・TM1…(24)
TR=((a+b)/b)・TM2―(a/b)・TM1…(24)
そして、二つの電動モータ2、3で異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM2−TM1))を与えると、歯車装置5において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置5において上記したトルク差増幅率α(=(Zr+2Zs)/Zr)で入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪4Lと右駆動輪4Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1))を与えることができる。
ここで、一方の駆動源のトルク、例えば、第1電動モータ2のトルクTM1が0(出力遮断)になった場合には、上記(23)、(24)は以下のようになる。
TL=−(a/b)・TM2 …(23’)
TR=((a+b)/b)・TM2 …(24’)
TR=((a+b)/b)・TM2 …(24’)
上記(23’)、(24’)に示すように、左右の駆動輪で逆向きのトルクとなる。左側の駆動輪4LのトルクTLは回生、右側の駆動輪4RのトルクTRは力行となる。しかもトルク差が増幅されるため、大きな旋回モーメントが発生し、真っ直ぐ走行することが非常に困難になる。
そこで、この第6の実施形態においては、図8に示すように、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aとをクラッチ機構20を介して接続している。このクラッチ機構20は、遊星歯車機構よりなる歯車装置5より、上流側で、第1電動モータ2の出力軸2aと第2電動モータ3の出力軸3aを接続又は遮断する。クラッチ機構20は正常走行時には出力軸2aと出力軸3aの接続を遮断し、第1電動モータ2又は第2電動モータ3の一方が出力遮断された時には、出力軸2aと出力軸3aとを接続するようにコントローラ30により制御される。
このクラッチ機構20は、例えば、通電や油圧の加圧によって接続状態となり、非通電状態や非加圧状態では開放となるものが用いられている。この実施形態は、異常時に、クラッチ機構20が出力軸2aと出力軸3aを接続するように、コントローラ30が制御するので、通常の走行状態では、電力や油圧の動力源を使用せずに遮断状態を保ち、電力消費を抑え電気自動車の航続距離に影響を及ぼさないようにしている。
例えば、第1電動モータ2が出力遮断され、モータロータは回転するがトルクを発生しない異常な状況となった場合には、コントローラ30は、クラッチ機構
20を制御し、出力軸2aと出力軸3aとを接続する。クラッチ機構20により、出力軸2aと出力軸3aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが出力軸2a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は減速ギヤ列7を介して遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2に与えられるだけでなく、減速ギヤ列6を介して、遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1に分割して伝達される。
20を制御し、出力軸2aと出力軸3aとを接続する。クラッチ機構20により、出力軸2aと出力軸3aが接続されるので、第2電動モータ3からのトルクが出力軸2a側に与えられる。即ち、第2電動モータ3の出力は減速ギヤ列7を介して遊星歯車機構10Bの内歯歯車R2に与えられるだけでなく、減速ギヤ列6を介して、遊星歯車機構10Aの内歯歯車R1に分割して伝達される。
この結果、左右両輪間のトルク差と回転速度差は発生せず、旋回時に小回りがきかなくなるものの、上述したように、大きな旋回モーメントが発生して真っ直ぐ走ることが困難となることはなく、走行の大部分を占める直進走行に車が流されることなく対応でき、修理工場等へ車を運ぶことが可能となる。
次に、上記したクラッチ機構20の一例につき、図10〜図13を参照して説明する。図10は、クラッチ機構20が遮断している状態を示す断面図、図11は、図10のXI−XI線断面図、図12は、クラッチ機構20が接続している状態を示す断面図、図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。これらの図においては、出力軸2aと出力軸3aを接続又は遮断するクラッチ機構20を記載しているが、減速ギヤ列6、7の回転軸に接続又は遮断するクラッチ機構20を設けた場合についても同様のクラッチ機構20を用いることができる。
このクラッチ機構20は、2ウェイクラッチで構成され、1つのクラッチ機構で駆動と空転を切り替えることができ、出力軸2aと出力軸3aを接続又は遮断することができる。
クラッチ機構20は、機械式ローラクラッチ部21と電磁クラッチ部22を組み合わせ、2ウェイクラッチの駆動と空転を電磁クラッチ部22により制御する。即ち、電磁クラッチ部22に通電したときに、出力軸2aと出力軸3aを接続し、電磁クラッチ部22に電気を与えないときには、出力軸2aと出力軸3aを遮断する。
図10〜図13に示すように、クラッチ機構20は、外輪210に出力軸2aがスプライン嵌合により結合され、外輪210と出力軸2aが一体に回転する。外輪210の内側には、出力軸3aとスプライン嵌合により結合されたカムリング213が挿入されている。そして、カムリング213に連接して設けられた筒部213bと外輪210との間に軸受214が嵌め込まれ、外輪210の内側にカムリング213を介して出力軸3aが回転自在に支持されている。そして、カムリング213と出力軸3aが一体に回転する。
カムリング213の外周に、外輪210の内周面210aとの間で周方向の両端が狭小の楔空間を形成する複数のカム面213aを周方向に等間隔に設けている。そして、外輪210とカムリング213との間に組み込まれた保持器212には、カム面213aと対向する位置にポケットが形成され、このポケット内にローラ211を組み込み、カムリング213と外輪210の相対回転によりローラ211を外輪210の内周面210aとカム面213aとの間で係合させて、外輪210とカムリング213との間で回転を伝達するようにしている。ローラ211が両端の楔空間に位置しない場合には、ローラ211と内周面210aの間には隙間が形成されており、外輪210とカムリング213間は空転する。
電磁クラッチ部22には、電磁石220を覆うロータ223が設けられ、このロータ223と外輪210との間にスリーブ224が取り付けられ、外輪210とロータ223とが一体に回転する。このロータ223の内周側には出力軸3aが挿入され、ロータ223は出力軸3aに対して回転自在に支持される。
ロータ223と軸方向に対向して環状のアーマチュア221が配され、このアーマチュア221がカムリング213の端部に軸方向に移動自在に取り付けられている。
電磁クラッチ部22の電磁石220に通電すると、ロータ223にアーマチュア221が接触し、外輪210とアーマチュア221が一体に回転する。
図10及び図11に示すように、電磁クラッチ部22に通電がない状態では、ロータ223とアーマチュア221が離れた状態となる。アーマチュア221には外輪210の回転は伝えられず、図11に示すように、外輪210の内周面210aとローラ211との間に隙間がある状態が保たれる。このため、ローラクラッチ部21が解除された状態となり、出力軸2aと出力軸3aとは接続が遮断された状態が保たれる。即ち、出力軸2aが回転してもその回転は出力軸3aには伝わることはない。
図12及び図13に示すように、電磁クラッチ部22に通電がされると、ロータ223にアーマチュア221が接触し、外輪210とアーマチュア221が一体に回転する。そして、外輪210とカムリング213との間で楔が形成され、カムリング213と外輪210の相対回転によりローラ211を外輪210の内周面210aとカム面213aとの間で係合し、出力軸2aと出力軸3aとが接続され、出力軸2aの回転力が出力軸3aに伝達、又は出力軸3aの回転力が出力軸2aに伝達されることになる。
このクラッチ機構20は、通電よって接続状態となり、非通電状態では開放となる。この実施形態は、異常時に、クラッチ機構20が出力軸2aと出力軸3aを接続するように、コントローラ30が電磁クラッチ部22に通電するように制御すると、電磁石220の磁力により駆動しロータ223にアーマチュア221が接触し、外輪210とアーマチュア221が一体に回転する。そして、外輪210とカムリング213との間で楔が形成され、カムリング213と外輪210の相対回転によりローラ211を外輪210の内周面210aとカム面213aとの間で係合し、出力軸2aと出力軸3aとが接続される。そして、通常の走行状態では、コントローラ30は、電磁クラッチ部22を非通電状態となるように制御し、電磁石220の磁力がなくなり、ロータ223とアーマチュア221が離れた状態となり、ローラクラッチ部21が解除された状態が保たれ、出力軸2aと出力軸3aとは遮断されたままとなる。
上記したように、第1〜第6の実施形態にかかる左右輪駆動装置を搭載した車両において、2つの駆動源である電動モータ2、3のうち一方が突如、出力遮断された場合に、例えば、一方の電動モータ用のインバータ素子の故障や、電動モータ駆動源への電線の切断等があった場合、コントローラ30は、運転者に安全な停止を促す表示を行いつつ、出力遮断されていない側の電動モータ2又は3のトルクを遮断、あるいは非常に小さな水準に低減する制御を行えばよい。
一方の駆動源である電動モータが出力遮断された場合には、他方の電動モータがそのまま大きなトルクを発生すると、上記したように、大きな旋回モーメントが発生し、最悪スピンに陥る可能性がある。一方の電動モータ2又は3が出力遮断する、あるいは出力遮断されたとコントローラ30が判明した瞬間に、運転者へは異常が発生したことを示しつつ停止を促し、車両はスピンに陥らないよう他方の駆動源のトルクを遮断、あるいは移動ができる最低限の出力に制御して車両を停止させて事故を未然に防ぐように制御するとよい。
その後、一方の駆動源が出力遮断された状況で車両が停止した後に、コントローラ30がクラッチ機構20を接続するように制御し、一方の駆動源からのトルクを受けていた歯車装置5の入力にも他方の駆動源からのトルクを入力するように制御し、上記したように、直進走行を可能とする。
このように、一旦停止することで、運転者に車両に異常が生じていることを強く認識させる。以降再び走行するにしても総出力が制限された状態であり、早期に修理工場へ行き修理することを促す表示をする。停止時にクラッチを接続することで、走行中に無理に接続し車両挙動が不安定となることもない。以降修理がおこなわれ異常信号が解除されるまで車両の電源オンによりクラッチ機構20は接続状態を保つように制御する。
また、一方の駆動源の出力遮断後に、クラッチ機構20が接続されるまでに他方の駆動源のみで移動する際に、旋回モーメントが生じながらも、正常状態と同様の操舵ができる様に片側に流れようとする動きを操舵装置が補正するように制御するようにして、走行の継続を可能にするように構成することも考えられる。そして、クラッチ機構20が接続された後は、左右駆動輪が直結されるため曲がりにくくなるが、正常状態と同様の操舵ができる様に操舵が大きくなるよう操舵装置が補正すればよい。なお、 操舵補正により直進しながらステアリングホイールが横を向くと違和感があるので、ステアリングホイールと操舵装置が機械的に接続されない、ステアバイワイヤが好ましい。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
1 :左右輪駆動装置
2 :第1電動モータ
3 :第2電動モータ
2a、3a :出力軸
4L :左駆動輪
4R :右駆動輪
14L :左前輪
14R :右前輪
5 :歯車装置
6 :減速ギヤ列
7 :減速ギヤ列
6a、7a :回転軸
8 :等速ジョイント
9A、9B :出力軸
10A :第1遊星歯車機構
10B :第2遊星歯車機構
11 :第1結合部材
12 :第2結合部材
16 :バッテリ
17 :インバータ
18 :減速ギヤ列
19 :減速ギヤ列
18A、19A :出力軸
20 :クラッチ機構
21 :ローラクラッチ部
22 :電磁クラッチ部
30 :コントローラ
50 :シャーシ
210 :外輪
210a :内周面
211 :ローラ
212 :保持器
213 :カムリング
213a :カム面
213b :筒部
214 :軸受
220 :電磁石
221 :アーマチュア
223 :ロータ
224 :スリーブ
AM :電気自動車
C1 :遊星キャリヤ
C2 :遊星キャリヤ
C1A、C2A :回転軸
M :モーメント
P1 :遊星歯車
P2 :遊星歯車
R1 :内歯歯車
R2 :内歯歯車
S1 :太陽歯車
S2 :太陽歯車
TL、TR :駆動トルク
TM1、TM2 : トルク
Zr :内歯歯車Rの歯数
Zs :太陽歯車Sの歯数
α :トルク差増幅率
2 :第1電動モータ
3 :第2電動モータ
2a、3a :出力軸
4L :左駆動輪
4R :右駆動輪
14L :左前輪
14R :右前輪
5 :歯車装置
6 :減速ギヤ列
7 :減速ギヤ列
6a、7a :回転軸
8 :等速ジョイント
9A、9B :出力軸
10A :第1遊星歯車機構
10B :第2遊星歯車機構
11 :第1結合部材
12 :第2結合部材
16 :バッテリ
17 :インバータ
18 :減速ギヤ列
19 :減速ギヤ列
18A、19A :出力軸
20 :クラッチ機構
21 :ローラクラッチ部
22 :電磁クラッチ部
30 :コントローラ
50 :シャーシ
210 :外輪
210a :内周面
211 :ローラ
212 :保持器
213 :カムリング
213a :カム面
213b :筒部
214 :軸受
220 :電磁石
221 :アーマチュア
223 :ロータ
224 :スリーブ
AM :電気自動車
C1 :遊星キャリヤ
C2 :遊星キャリヤ
C1A、C2A :回転軸
M :モーメント
P1 :遊星歯車
P2 :遊星歯車
R1 :内歯歯車
R2 :内歯歯車
S1 :太陽歯車
S2 :太陽歯車
TL、TR :駆動トルク
TM1、TM2 : トルク
Zr :内歯歯車Rの歯数
Zs :太陽歯車Sの歯数
α :トルク差増幅率
Claims (8)
- 車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源と、左右の駆動輪と、前記二つの駆動源と前記左右の駆動輪との間に設けられ、前記二つの駆動源からの駆動力を左右の駆動輪に分配する歯車装置とを備える左右輪駆動装置であって、
前記歯車装置は、太陽歯車、遊星キャリヤ及び内歯歯車により構成される遊星歯車機構を同軸上に二つ組み合わせて構成され、前記二つの駆動源からの駆動力を前記歯車装置に伝達するそれぞれの回転軸同士がクラッチ機構を介して接続され、前記クラッチ機構は正常走行時には回転軸同士の接続が遮断され、前記二つの駆動源の一方が出力遮断された時には回転軸同士が接続されることを特徴とする左右輪駆動装置。 - 前記クラッチ機構は、前記遊星歯車機構より上流側の回転軸同士を接続又は遮断することを特徴とする請求項1に記載の左右輪駆動装置。
- 前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた出力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、
前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、
一方の前記駆動源の駆動力は、前記第2結合部材に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、前記第1結合部材に伝達され、
一方の前記駆動輪は一方の内歯歯車から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は他方の内歯歯車から駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1又は2に記載の左右輪駆動装置。 - 前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた入力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられて分配された駆動力を出力する遊星キャリヤと、を有し、
前記歯車装置は、一方の太陽歯車と他方の内歯歯車とを結合する第1結合部材と、他方の太陽歯車と一方の内歯歯車とを結合する第2結合部材とを有し、
一方の前記駆動源の駆動力は、前記第1結合部材に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、第2の結合部材に伝達され、
一方の前記駆動輪は一方の遊星キャリヤから駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は他方の遊星キャリヤから駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1又は2に記載の左右輪駆動装置。 - 前記遊星歯車機構は、入力用の太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた出力用の内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、
前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の内歯歯車とを結合する第1結合部材と、他方の遊星キャリヤと一方の内歯歯車とを結合する第2の結合部材とを有し、
一方の前記駆動源の駆動力は、前記一方の太陽歯車に接続され、他方の前記駆動源は、前記他方の太陽歯車に接続され、
一方の前記駆動輪は第1結合部材から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は第2結合部材から駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1又は2に記載の左右輪駆動装置。 - 前記遊星歯車機構は、それぞれ入力用の内歯歯車と、前記内歯歯車と同軸上に設けられた出力用の遊星キャリヤと、前記内歯歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、を有し、
前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、
一方の前記駆動源の駆動力は、一方の内歯歯車に伝達され、他方の前記駆動源の駆動力は、他方の内歯歯車に伝達され、
一方の前記駆動輪は前記第1結合部材から駆動力が伝達され、他方の前記駆動輪は前記第2結合部材から駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1又は2に記載の左右輪駆動装置。 - 前記クラッチ機構と接続される回転軸は、前記駆動源の出力軸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の左右輪駆動装置。
- 前記駆動源からの出力が減速ギヤ列を介して前記歯車装置に伝達され、前記クラッチ機構に接続される回転軸が、前記減速ギヤ列の歯車軸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の左右輪駆動装置。
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