JP2011015514A - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】左右の駆動輪と差動機構との間に設けられた電動機に故障が生じた場合でも安定した直進走行を確保できる車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置2は、第1駆動輪5Lと差動機構8の第1差動ギア9Lとの間に介在する第1電動機4Lと、第2駆動輪5Rと差動機構8の第2差動ギア9Rとの間に介在する第2電動機4Rと、差動機構8のケース11を制動できる中央ブレーキBCと、第1駆動輪5Lと第1差動ギア9Lと相対回転を阻止できる第1ブレーキBL2と、第2駆動輪5Rと第2差動ギア9Rとの相対回転を阻止できる第2ブレーキBR2と、を備え、第1電動機4L又は第2電動機4Rのいずれか一方が故障した場合、中央ブレーキBCにてケース11を固定した状態で、故障側に設けられた駆動輪と差動ギアとの相対回転が阻止されるように第1ブレーキBL2又は第2ブレーキBR2のいずれか一方を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、左右の駆動輪と差動機構との間に電動機を介在させた車両の駆動装置に関する。
車両の駆動装置として、左右の駆動輪にインホイールモータを設けるとともに駆動輪間に差動機構を配置したものが知られている(特許文献1)。また、内燃機関の駆動力が入力される差動機構を備え、その差動機構から左右に延びるドライブシャフトのそれぞれをインナシャフトとアウタシャフトとに分割し、これらシャフト間にモータジェネレータを組み込むとともに、モータジェネレータ単独による駆動モードから内燃機関単独の駆動モードへ切り替える際にモータジェネレータを短絡させることでインナシャフトとアウタシャフトとの相対回転を規制するハイブリッド車両の駆動装置も知られている(特許文献2)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3が存在する。
特開2000−177411号公報 特開2005−238981号公報 特開2008−193844号公報
特許文献1の駆動装置は、インホイールモータの反力要素であるケースが車体に固定されているため、左右の駆動輪のいずれか一方のインホイールモータが故障した場合には直進走行が不可能となる。また、特許文献2の駆動装置はモータジェネレータの故障時の対策が講じられていないため、モータジェネレータが故障した場合に走行不能になるおそれがある。
そこで、本発明は、左右の駆動輪と差動機構との間に設けられた電動機に故障が生じた場合でも安定した直進走行を確保できる車両の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の駆動装置は、相互に差動回転可能な3つの回転要素を持つ差動機構と、車両の左右の駆動輪のいずれか一方の第1駆動輪と前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素との間に介在して前記第1駆動輪を駆動する第1電動機と、前記左右の駆動輪のいずれか他方の第2駆動輪と前記3つの回転要素の他の一つの第2回転要素との間に介在して前記第2駆動輪を駆動する第2電動機と、前記3つの回転要素の残りの一つの第3回転要素の反力を受ける反力要素と、前記第1駆動輪と前記第1回転要素との相対回転を阻止できる第1係合要素と、前記第2駆動輪と前記第2回転要素との相対回転を阻止できる第2係合要素と、前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれの故障を判定できる故障判定手段と、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に、故障側に設けられた駆動輪と回転要素との相対回転が阻止されるように前記第1係合要素又は前記第2係合要素のいずれか一方を制御するフェールセーフ手段と、を備えるものである(請求項1)。
第1の駆動装置によれば、第1電動機又は第2電動機のいずれか一方が故障した場合に、故障側の駆動輪と回転要素との相対回転が阻止される。言い換えれば、故障側の駆動輪と回転要素とが一体回転するようにこれらが係合要素にて結合される。そのため、故障していない他方の電動機の動力を差動機構を介して故障側に伝達することにより故障側の駆動輪を駆動できるので、電動機に故障が生じた場合でも安定した直進走行を確保することができる。
第1の駆動装置において、各電動機は駆動輪と差動機構の回転要素との間に介在すればどのような態様でもよい。例えば、アクスルシャフトやドライブシャフトの途中に電動機が配置されるいわゆるハーモニックドライブの形式であってもよいし、また、前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれがインホイールモータとして構成されてもよい(請求項2)。
第1の駆動装置において、反力要素は電動機の故障時に、第3回転要素の反力を受けてその要素から動力が抜けることを制限し、故障側への動力伝達を確保できればどのような態様であってもよい。例えば、前記反力要素として、前記第3回転要素を制動可能な制動手段が設けられており、前記フェールセーフ手段は、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に前記第3回転要素が制動されるように前記制動手段を制御してもよい(請求項3)。この態様においては、電動機の故障時において第3の回転要素が制動されるので、故障側への動力伝達を確実に行うことができる。
また、前記反力要素として、内燃機関の動力を前記第3回転要素に伝達可能な動力伝達要素が設けられていてもよい(請求項4)。この態様によれば、電動機の故障時において、第3回転要素の反力を受けるだけでなく内燃機関の動力を加えることができるので、故障していない側の電動機の負担を低減できる。
本発明の第2の駆動装置は、相互に差動回転可能な2つの回転要素を持つ差動機構と、車両の左右の駆動輪のいずれか一方の第1駆動輪と前記2つの回転要素のいずれか一方の第1回転要素との間に介在して前記第1駆動輪を駆動する第1電動機と、前記左右の駆動輪のいずれか他方の第2駆動輪と前記2つの回転要素のいずれか他方の第2回転要素との間に介在して前記第2駆動輪を駆動する第2電動機と、前記第1駆動輪と前記第1回転要素との相対回転を阻止できる第1係合要素と、前記第2駆動輪と前記第2回転要素との相対回転を阻止できる第2係合要素と、前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれの故障を判定できる故障判定手段と、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に、故障側に設けられた駆動輪と回転要素との相対回転が阻止されるように前記第1係合要素又は前記第2係合要素のいずれか一方を制御するフェールセーフ手段と、を備えるものである(請求項5)。
第2の駆動装置によれば、第1の駆動装置と同様に、第1電動機又は第2電動機のいずれか一方が故障した場合に、故障側の駆動輪と回転要素とが一体回転するようにこれらが係合要素にて結合される。そのため、故障していない他方の電動機の動力を差動機構を介して故障側に伝達することにより故障側の駆動輪を駆動できるので、電動機に故障が生じた場合でも安定した直進走行を確保することができる。
以上説明したように、本発明の駆動装置によれば、第1電動機又は第2電動機のいずれか一方が故障した場合に、故障側の駆動輪と回転要素との相対回転が阻止されるため、故障していない他方の電動機の動力を差動機構を介して故障側に伝達することにより故障側の駆動輪を駆動できる。これにより電動機に故障が生じた場合でも安定した直進走行を確保することができる。
本発明の一形態に係る駆動装置が適用された車両の後方要部を模式的に示した図。 フェールセーフ制御の制御ルーチンの一例を示したフローチャート。
図1は本発明の一形態に係る駆動装置が適用された車両の後方要部を模式的に示している。図1の上側が車両前方に、下側が車両後方に相当する。車両1は走行用動力源として内燃機関と電動機とが設けられているハイブリッド車両として構成されている。駆動装置2は車両1に搭載されており、内燃機関3及び左右一対の電動機4L、4Rを利用して、又はいずれか一方を利用して左右の駆動輪5L、5Rを駆動できる。各駆動輪5L、5Rはホイール6L、6Rを有しており、各ホイール6L、6Rには車軸7L、7Rが連結されている。各駆動輪5L、5R間には差動機構8が設けられている。差動機構8は相互に差動回転可能な3つの回転要素を持っている。即ち差動機構8は、傘歯歯車として構成された第1差動ギア9Lと、第1差動ギア9Lと同軸上に配置され傘歯歯車として構成された第2差動ギア9Rと、各差動ギア9L、9Rのそれぞれと噛み合う一対のピニオン10を回転自在に保持するケース11とを備えている。ケース11の外周には各差動ギア9L、9Rと同軸の傘歯歯車として構成されたリングギア12が設けられている。
第1電動機4Lは第1駆動輪5Lと差動機構8との間に、第2電動機4Rは第2駆動輪5Rと差動機構8との間にそれぞれ介在している。第1電動機4Lは車軸7Lの一端に連結されたロータ13Lと、ロータ13Lの外周に配置されたアウター14Lとを有しており、ロータ13L及びアウター14Lは相対回転可能な状態で設けられている。アウター13Lは連結軸15Lを介して第1差動ギア9Lに連結されている。これにより、第1電動機4Lを作動させると、第1駆動輪5Lに対して駆動力を与え、その反力は反力要素であるアウター14L及び連結軸15Lを介して第1差動ギア9Lに伝達される。
一方、第2電動機4Rも同様に、車軸7Rの一端に連結されたロータ13Rと、ロータ13Rの外周に配置されたアウター14Rとを有しており、これらは相対回転可能な状態で設けられている。アウター14Rは連結軸15Rを介して第2差動ギア9Rに連結されている。これにより、第2電動機4Rを作動させると、第2駆動輪5Rに対して駆動力を与え、その反力は反力要素であるアウター14R及び連結軸15Rを介して第2差動ギア9Rに伝達される。
本形態においては、差動機構8の第1差動ギア9Lが本発明に係る第1回転要素に、第2差動ギア9Lが本発明に係る第2回転要素にそれぞれ相当し、差動機構8の残りの回転要素であるケース11は本発明に係る第3回転要素に相当する。ケース11に設けられたリングギア12はそれよりも小歯数の傘歯歯車として構成された増速ギア17に噛み合っており、増速ギア17は内燃機関3の動力を伝達するプロペラ軸18に固定されている。これにより、内燃機関3の動力はプロペラ軸18、増速ギア17及びリングギア12を介してケース11に伝達されるので、プロペラ軸18、増速ギア17及びリングギア12によって本発明に係る動力伝達要素が構成され、その動力伝達要素はケース11の反力を受ける反力要素として機能する。
車両1の走行中に左右の駆動輪5L、5R間に駆動力差(路面からの反力差)が生じた場合には、差動機構8によって各アウター14L、14Rが互いに差動回転して一方の駆動力が他方に分配されて駆動力差が吸収される。これにより各駆動輪5L、5R間の回転差を許容できる。従って、各電動機4L、4Rによって各駆動輪5L、5Rの回転数を別々に制御しなくても差動機構8の機能を利用して走行の安定性を確保できる。いわば、駆動装置2は、エンジンの動力を差動機構を介して左右の駆動輪に分配する通常の駆動装置と同様に差動機構8の機能を利用することができる。
左右の駆動輪5L、5Rには、車輪ブレーキBL1、BR1が設けられている。左側の車輪ブレーキBL1は第1駆動輪5Lと一体回転するブレーキディスク20Lと、そのブレーキディスク20Lを挟み込む制動位置とそれを解放する解放位置との間で動作するブレーキキャリパ21Lとを有している。右側の車輪ブレーキBR1も同様に第2駆動輪5Rと一体回転するブレーキディスク20Rと、そのブレーキディスク20Rを挟み込む制動位置とそれを解放する解放位置との間で動作するブレーキキャリパ21Rとを有している。各キャリパ21L、21Rは車両1の車体構成部材に取り付けられている。
各車輪ブレーキBL1、BR1は独立して操作可能である。例えば、第1駆動輪5Lを制動させる一方で、第2駆動輪5Rを解放させること、また、これとは反対の状態に操作することも可能である。勿論、各駆動輪5L、5Rを同時に制動及び解放することも可能である。また、駆動装置2には、差動機構8のケース11を制動及び解放するため、制動手段としての中央ブレーキBCが設けられている。中央ブレーキBCはケース11に設けられたリングギア12を挟み込む制動位置とこれを解放する解放位置との間で動作する。中央ブレーキBCは車体構成部材に取り付けられている。中央ブレーキBCを制動位置に操作することにより、ケース11の反力を受けることができるため中央ブレーキBCは本発明に係る反力要素としても機能する。
各電動機4L、4Rには、故障時にこれらを選択的にロックできるブレーキBL2、BR2が設けられている。左側の第1ブレーキBL2は、車輪ブレーキBL1のブレーキディスク20Lを共用しており、ブレーキディスク20Lを挟み込む制動位置とそれを解放する解放位置との間で動作するブレーキキャリパ25Lを備えている。ブレーキキャリパ25Lは第1電動機4Lのアウター14Lに固定されている。これにより、第1ブレーキBL2はブレーキキャリパ25Lが制動位置に操作されることにより、第1電動機4Lのロータ13Lとアウター14Lとの相対回転を阻止できる。つまり、第1電動機4Lがロックされるので、第1駆動輪5Lと第1差動ギア9Lとの相対回転が阻止される。一方、右側の第2ブレーキBR2も同様に、車輪ブレーキBR1のブレーキディスク20Rを共用しており、ブレーキディスク20Rを挟み込む制動位置とそれを解放する解放位置との間で動作するブレーキキャリパ25Rを備えている。ブレーキキャリパ25Rは第2電動機4Rのアウター14Rに固定されている。これにより、第2ブレーキBR2はブレーキキャリパ25Rが制動位置に操作されることにより、第2電動機4Rのロータ13Rとアウター14Rとの相対回転を阻止できる。つまり、第2電動機4Rがロックされるので、第2駆動輪5Rと第2差動ギア9Rとの相対回転が阻止される。以上のことから、第1ブレーキBL2は本発明に係る第1係合要素として、第2ブレーキBR2は本発明に係る第2係合要素として、それぞれ機能する。
各ブレーキBL1、BR1、BC、BL2、BR2は、各電動機4L、4R及び内燃機関3を制御するコンピュータユニットとして構成された車両制御装置30にて動作制御される。車両制御装置30は、不図示の各種センサからの情報に基づいて駆動装置2が実現する駆動モードの切り替え制御等を行う。例えば、車両制御装置30は、内燃機関3及び各電動機4L、4Rを駆動源として車両1を駆動するハイブリッド走行モードと、内燃機関3を休止させて各電動機4L、4Rのみで車両1を駆動する電気走行モードとを切り替えることができる。また、車両制御装置30は、駆動装置2に故障が生じた場合に安定した走行を確保する待避走行モードを実行できる。
以下、本発明の特徴に関連して車両制御装置30が行う制御について説明する。車両1には各電動機4L、4Rの故障を検出する故障検出装置31が設けられている。故障検出装置31は電動機の故障として想定される故障モード、例えば断線、短絡、物理的なロータ固着等を検出できるように構成されている。こうした機能を実現するため、故障検出装置31には不図示の各種センサが含まれている。各種センサとしては各電動機4L、4Rの回転数を検出する回転センサ、各電動機4L、4Rの温度を検出する温度センサ等が含まれている。故障検出装置31はこれらのパラメータの許容範囲を超えた異常が生じた場合に制御装置30に対して故障信号SgL、SgRを供給する。故障信号SgLは、第1電動機4Lの故障に対応し、故障信号SgRは第2電動機4Rの故障に対応している。これにより、故障が生じた電動機を特定することが可能である。
図2は、車両制御装置30が実行するフェールセーフ制御の制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムは車両制御装置30に内蔵されたROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。図2の制御ルーチンを実行することにより、車両制御装置30は本発明に係るフェールセーフ手段として機能する。
ステップS1においては、各電動機4L、4Rが故障しているか否かを判定する。この判定においては図1に示した故障検出装置31が供給する故障信号SgL、SgRのいずれか一方を受け付けた場合に故障が発生したものと判定している。従って、車両制御装置30がこのステップS1を実行し、故障検出装置31からの故障信号SgL、SgRに基づいて故障を判定することにより、車両制御装置30は本発明に係る故障判定手段として機能する。ステップS1において故障が判定された場合には、ステップS2に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS2においては、差動装置8の第3回転要素であるケース11を制動するため、中央ブレーキBCを制動位置に操作する。これにより、ケース11が車体に対して停止した状態となり、中央ブレーキBCによってケース11の反力をが受け止められる。
ステップS3においては、故障信号SgL、SgRを識別することにより、故障が生じた電動機が第1電動機4Lか否かを判定する。第1電動機4Lが故障している場合はステップS4に進み、そうでない場合、即ち第2電動機4Rが故障している場合はステップS6に進む。
ステップS4においては、第1ブレーキBL2を制動位置に操作する。これにより、第1電動機4Lがロックされ、そのロータ13Lとアウター14Lとの相対回転が阻止される。換言すれば故障側の第1駆動輪5Lと第1差動ギア9Lとの相対回転が阻止される。
ステップS5においては、故障していない側の第2電動機4Rを操作して退避走行モードへ切り替える。図1に示したように、第2電動機4Rを作動することにより、ロータ13Rが方向D1に回転し、アウター14Rが反対方向D2に回転する。これにより第2駆動輪5Rは方向D1に回転駆動される。退避走行モードの実行時には、ステップS2によって差動機構8のケース11が固定されているので第1差動ギア9L及び第2差動ギア9Rが互いに反対方向に回転する。従って、アウター14Rの回転方向とは反対方向D3に第1差動ギア9Lが回転する。また、ステップS4によって、第1電動機4Lがロックされ、第1駆動輪5Lと第1差動ギア9Lとの相対回転が阻止されているため、第1差動ギア9Lと同方向に第1駆動輪5Lが回転駆動される。従って、この退避走行モードにおいては、故障していない側の電動機によって左右の駆動輪4L、4Rが同方向に回転駆動されるため、安定した直進走行が確保される。
ステップS6及びステップS7は、第2電動機4Rが故障した場合の処理であり、第1電動機4Lが故障した場合の上記処理と本質的な相違はなく、ステップS6及びステップS7を実行することにより、第2電動機4Rの故障時おいて安定した直進走行が確保される。
本発明は上記形態に限定されず、種々の形態にて実施できる。上記形態では各電動機をハーモニックドライブの形式に構成しているが、各電動機をインホイールモータとして構成することも可能である。また、フェールセーフ制御において、電動機の故障時に制動手段である中央ブレーキBCを反力要素として機能させているが、故障時において中央ブレーキBCを解放位置に維持しつつ内燃機関の動力を差動機構8のケース11に伝達させることもできる。このように制御した場合には、退避走行モード時にケース11の反力を受けるだけでなく、内燃機関の動力を加えることができるので、退避走行モード時に使用される故障していない側の電動機の負担を低減することができる。
また、上記形態の車両1について、内燃機関3を省略し、かつ差動機構8のケース11を回転不能な状態で固定した場合、車両1は左右の電動機4L、4Rを駆動源とした電気自動車として構成される。このように車両1を変更した場合、左右の差動ギア9L、9Rが本発明に係る2つの回転要素に相当することになり、本発明の第2の駆動装置が実現される。
1 車両
2 駆動装置
3 内燃機関
4L 第1電動機
4R 第2電動機
5L 第1駆動輪
5R 第2駆動輪
8 差動機構
9L 第1差動ギア(第1回転要素)
9R 第2差動ギア(第2回転要素)
11 ケース(第3回転要素)
30 車両制御装置(故障判定手段、フェールセーフ手段)
BL2 第1ブレーキ(第1係合要素)
BR2 第2ブレーキ(第2係合要素)
BC 中央ブレーキ(制動手段、反力要素)

Claims (5)

  1. 相互に差動回転可能な3つの回転要素を持つ差動機構と、車両の左右の駆動輪のいずれか一方の第1駆動輪と前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素との間に介在して前記第1駆動輪を駆動する第1電動機と、前記左右の駆動輪のいずれか他方の第2駆動輪と前記3つの回転要素の他の一つの第2回転要素との間に介在して前記第2駆動輪を駆動する第2電動機と、前記3つの回転要素の残りの一つの第3回転要素の反力を受ける反力要素と、前記第1駆動輪と前記第1回転要素との相対回転を阻止できる第1係合要素と、前記第2駆動輪と前記第2回転要素との相対回転を阻止できる第2係合要素と、前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれの故障を判定できる故障判定手段と、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に、故障側に設けられた駆動輪と回転要素との相対回転が阻止されるように前記第1係合要素又は前記第2係合要素のいずれか一方を制御するフェールセーフ手段と、を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれがインホイールモータとして構成されている請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記反力要素として、前記第3回転要素を制動可能な制動手段が設けられており、
    前記フェールセーフ手段は、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に前記第3回転要素が制動されるように前記制動手段を制御する請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記反力要素として、内燃機関の動力を前記第3回転要素に伝達可能な動力伝達要素が設けられている請求項1又は2に記載の駆動装置。
  5. 相互に差動回転可能な2つの回転要素を持つ差動機構と、車両の左右の駆動輪のいずれか一方の第1駆動輪と前記2つの回転要素のいずれか一方の第1回転要素との間に介在して前記第1駆動輪を駆動する第1電動機と、前記左右の駆動輪のいずれか他方の第2駆動輪と前記2つの回転要素のいずれか他方の第2回転要素との間に介在して前記第2駆動輪を駆動する第2電動機と、前記第1駆動輪と前記第1回転要素との相対回転を阻止できる第1係合要素と、前記第2駆動輪と前記第2回転要素との相対回転を阻止できる第2係合要素と、前記第1電動機及び前記第2電動機のそれぞれの故障を判定できる故障判定手段と、前記故障判定手段が前記第1電動機又は前記第2電動機のいずれか一方の故障を判定した場合に、故障側に設けられた駆動輪と回転要素との相対回転が阻止されるように前記第1係合要素又は前記第2係合要素のいずれか一方を制御するフェールセーフ手段と、を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
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