JP6032478B2 - トレッド用金型およびトレッド製造方法 - Google Patents
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Description
このプレキュアトレッド用の金型は、トレッドベース部に対応する帯状空間の浅凹部と同浅凹部の底面より深く陸部に対応する多数の深凹部が形成されており、ゴムを充填して加硫成形する。
そこで、プレキュアトレッドを金型から取り外し易いように工夫したトレッド用金型の例を同じ出願人が先に提案している(特許文献1参照)。
この傾斜部があることで、加硫成形したプレキュアトレッドには長手方向端部に傾斜部に対応する突部が形成され、この突部をまず傾斜部から剥がし、この突部を掴んでトレッドベース部を帯状長手方向に順繰りに引き剥がしていく。
なお、傾斜部で形成される突部は傾斜面を有するので、突部を掴み難いところがある。
この陸部を有しない突出片は金型から容易に剥がすことができ、金型から剥がした突出片を掴んでトレッドベース部を陸部とともに金型から剥がすことができる。
このとき、突出片を形成する突出片形成用凹部は、浅凹部の深さ以上の深さがあり、突出片形成用凹部の浅凹部と連続する1辺の幅方向両端が、深凹部のうち幅方向の両側の最も外側となる最外側深凹部に幅方向で位置するので、トレッドベース部から突出形成される突出片は、厚さがトレッドベース部の厚さ以上で、かつ矩形状の突出片のトレッドベース部側の基端側辺の幅方向両端は最外側の主溝を内側に含んで最外側の陸部に達しているため、突出片がトレッドベース部から幅方向略全体に高い強度で突出形成される。
したがって、複数の深凹部にそれぞれ陸部が嵌ったトレッドベース部を、突出片を掴んで剥がす際に、トレッドベース部以上の厚さで突出形成される突出片がその基端側辺で裂けることがなく、また突出片を引き上げる力は、幅方向中央はもとより最外側の陸部まで有効に作用し、最外側の陸部を深凹部に残して主溝に沿って引き裂かれるようなことを回避することができ、支障なく円滑にトレッドベース部を剥がすことができる。
トレッドベース部に損傷がないので、突出片を切り取れば、完全なトレッドを容易に得ることができる。
したがって、金型から剥がした突出片を掴む際に、突出片の先端縁の突条に指を引っ掛けることができ、掴み損なうことなく確実に突出片を掴んでトレッドベース部を陸部とともに金型から容易に引き剥がすことができる。
したがって、突出片を掴んでトレッドベース部を陸部とともに金型から引き剥がすときのトレッドベース部との連結角部に作用する力が曲面で分散して、突出片が引き裂かれるような事態を避けることができる。
本実施の形態に係るトレッド用金型10は、プレキュアトレッド1を形成する金型であり、帯状のプレキュアトレッド1よりひと回り大きい長尺の平金型である。
トレッド用金型10により加硫成形されるプレキュアトレッド1は、図1を参照して、帯状のトレッドベース部2の表面に多数の立方体状をした陸部3が突出形成されている。
陸部3の帯状長手方向に整列された列が、幅方向の列間に主溝4を形成して5列配列されている。
トレッドベース部2の幅方向の両側縁に沿って陸部3の最外側の列があるので、最外側陸部3sの列とその内側の陸部3の列の間に帯状長手方向に指向した最外側となる最外側主溝4sが1対形成されている。
最外側主溝4sの幅方向内側にさらに2本主溝4が平行に形成されている。
プレキュアトレッド1の複数の陸部3にそれぞれ対応する深凹部13が、浅凹部12の底面よりさらに深く矩形状に掘削されて複数形成されている。
深凹部13の帯状長手方向に並ぶ列の列間に、主溝4に対応する帯状長手方向に指向した主リブ14が4本形成されている。
突出片形成用凹部15は、浅凹部12の深さと同じ深さで矩形状に掘削されて、浅凹部12に連通している。
突出片形成用凹部15は、浅凹部12から帯状長手方向に突出長Lだけ突出して形成されている。
なお、突出片形成用凹部15の基端側辺の幅方向両端は、曲率半径Rの曲面加工が施されている。
本トレッド用金型10の突出片形成用凹部15は、突出長Lが50mm,延出幅Wが10mm,曲率半径Rが2mmとしてある。
このような突出片形成用凹部15の先端縁に沿って幅方向に長尺の溝条16が突出片形成用凹部15の底面に掘削形成されている。
溝条16の深さは、深凹部13程深くはなく、比較的浅くてよい。
トレッド用金型10における浅凹部12にトレッドベース部2、深凹部13に陸部3、主リブ14に主溝4が成形されるとともに、突出片形成用凹部15に突出片5,溝条16に突条6が成形される。
したがって、トレッド用金型10により加硫成形されたプレキュアトレッド1には突出片5が突出形成されている。
プレキュアトレッド1は、トレッド用金型10により以上のような突出片5を備えた形状に加硫成形されている。
特に多数の深凹部13に嵌った陸部3を抜き取るのにかなりの抵抗がある。
トレッドベース部2を剥がすときに、多数の深凹部13に嵌った陸部3が抵抗となるが、持ち手となる突出片5には突条6という引っ掛かりを有するので、突出片5を確実に掴むことができるので、突出片5を滑り落とすことなく引き上げて、深凹部13に嵌った陸部3の抵抗に抗して順次陸部3を深凹部13から抜き取るようにしてトレッドベース部2を剥がすことが容易にできる。
したがって、複数の深凹部13にそれぞれ陸部3が嵌ったトレッドベース部2を、突出片5を掴んで斜め上方に引き上げて剥がす際に、トレッドベース部2と同じ厚さで突出形成される突出片5がその基端側辺で折れるようにして裂けることを回避することができる。
なお、突出片5における最外側の陸部3s,3sに作用する力は、トレッドベース部2との連結角部の曲面により分散され、突出片5が連結角部から切り裂かれるような事態を避けることができる。
プレキュアトレッド1のトレッドベース部2は、陸部3とともに損傷なく剥がし取られるので、突出片5を切り取れば完全なプレキュアトレッド1を容易に得ることができる。
すなわち、突出片形成用凹部15で成形される突出片5は突出長が10mm以上あれば突出片5を掴むことが可能であり、作業性を考慮すると50mm程度が良好である。
また、突出片5のトレッドベース部2側の基端側辺の幅方向両端が最外側主溝4sより幅方向外側に10mm以上広がっても問題なく、却って強度が増すが、最外側深凹部13sの幅以内すなわちプレキュアトレッド1の幅をはみ出す必要はない。
突出片5のトレッドベース部2との連結角部の曲面が2mm以上あれば、同連結角部から切り裂かれる可能性がない。
さらに、突出片5がトレッドベース部2より厚くても、却って強度が増すのでよく、よって突出片形成用凹部15の深さを浅凹部12より深く形成してもよい。
なお、突出片形成用凹部15は均一な深さとしたが、基端側から先端側に徐々に深くしてもよく、突出片の先端側を厚くして掴み易くすることができる。
Claims (4)
- タイヤのトレッド部を他のケース部とは別体としてシート状に加硫するトレッド用金型であって、前記トレッド部の形状に合わせて凹凸形状が形成されるトレッド形成部に、前記トレッド部のトレッドベース部を形成する浅凹部と、前記浅凹部より深く前記トレッド部の複数の陸部を形成する複数の深凹部とを有するトレッド用金型において、
前記浅凹部の周囲の長方形状の枠部のうち帯状長手方向の少なくとも一方の短尺枠辺部における一部が矩形状に欠損して1辺が少なくとも前記浅凹部と連続する突出片形成用凹部が形成され、
前記突出片形成用凹部は、全ての領域で前記浅凹部の深さ以上の深さがあり、
前記突出片形成用凹部の前記浅凹部と連続する1辺の幅方向両端が、前記深凹部のうち幅方向の両側の最も外側となる最外側深凹部に幅方向で位置することを特徴とするトレッド用金型。 - 前記突出片形成用凹部の底面に前記突出片形成用凹部の先端縁に沿って溝条が形成されることを特徴とする請求項1記載のトレッド用金型。
- 前記突出片形成用凹部の前記浅凹部と連続する1辺の幅方向両端は、曲面加工が施されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のトレッド用金型。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のトレッド用金型にゴムを充填して加硫成形し、
トレッドベース部より突出形成される突出片を突出片形成用凹部から剥がし、
金型から剥がした突出片を掴んでトレッドベース部を陸部とともに金型から引き剥がし、
トレッドベース部から突出片を切り取りトレッドを製造するトレッド製造方法。
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