JP6031946B2 - レンズ鏡胴の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば内視鏡の照明等に用いるレンズは1mm以下のものがあり、このような極小のレンズをピンセットで把持するのは非常に困難である。加えて、レンズを自由落下させて鏡枠に挿着することが行われる際、挿着されるレンズの光軸方向の寸法が比較的長い場合は、上面が凸面になるように挿着しようとしても、自重により重心が下方に向きレンズが回転するので、レンズが横向きになったり、レンズが逆さまになったりしてしまう。これは平凸レンズでも同様のことが起こり得る。特に曲率が大きい半球レンズの場合に同様のことが起こり易い。
また、傾きの程度によっては鏡枠に挿入することもできなくなる。
更に、鏡枠の上方で微小レンズの吸着を解除して微小レンズを自由落下させると、レンズの自重によって上記問題が助長される。
前記鏡枠として、径方向内方に張り出して形成され前記レンズに当接して前記レンズをレンズ挿着位置に係止するレンズ係止部が構成されたレンズ挿着穴を備えたものを適用し、
前記吸着部材の前記先端開口部に前記レンズの前記凸面を吸着保持した状態で、前記凸面の逆面に部材を押し当てて前記吸着部材の軸方向に対する前記レンズの軸倒れを矯正し、これにより矯正された前記レンズ及びこれに後続する前記吸着部材を前記レンズ挿着穴に挿入し、前記レンズを前記レンズ係止部に当接させることにより、前記レンズを前記鏡枠の前記レンズ挿着位置に組み込むことを特徴とするレンズ鏡胴の製造方法である。
前記先端開口部の内側には、最先端まで当該最先端に近づくほど内径が大きくなる内テーパー面が設けられ、
前記鏡枠として、径方向内方に張り出して形成され前記レンズに当接して前記レンズをレンズ挿着位置に係止するレンズ係止部が構成されたレンズ挿着穴を備えたものを適用し、
前記凸面の外周縁部を、前記内テーパー面の小径端より大径端に偏在した位置で当該内テーパー面に周接させ、その周接する位置より内周側において当該内テーパー面を含め前記吸着部材と前記凸面との間に空間を保持して、前記吸着部材の前記先端開口部に前記レンズの前記凸面を吸着保持した状態で、前記凸面の逆面に部材を押し当てて前記吸着部材の軸方向に対する前記レンズの軸倒れを矯正し、これにより矯正された前記レンズ及びこれに後続する前記吸着部材を前記レンズ挿着穴に挿入し、前記レンズを前記レンズ係止部に当接させることにより、前記レンズを前記鏡枠の前記レンズ挿着位置に組み込むことを特徴とするレンズ鏡胴の製造方法である。
なお、「周接」とは一周に亘って接することをいう。
請求項4記載の発明は、前記吸着部材の外径は前記レンズの外径以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のレンズ鏡胴の製造方法である。
具体的な構成例で言えば、現在広く上市しされている電子内視鏡ではなく、いわゆるファイバースコープであり、特に照明導光用光ファイバーバンドルとイメージ伝送用光ファイバーバンドルとが束ねられて一体化されたイメージファイバーケーブル本体の先端部にレンズ鏡胴を冠着して構成されるものである。レンズ鏡胴に挿着されたレンズを介して像を上記イメージファイバーケーブル本体の先端側入射端に入射し基端側に導き、基端側に設けられた接眼部に又はイメージングデバイスにより観察像を出力するものである。
また、吸着部材10は、吸着保持時の負荷により変形せず、定形を保持する剛性を有したものが好ましく、特にシリコーンゴム製の吸着パッドのようにレンズに接触する先端開口部(リップ部)が変形する柔軟なものは不適である。
シリコーンゴム製の吸着パッドのように柔軟なものであれば、接触してもその柔軟性によりレンズを傷つけるおそれが低いためレンズ有効径内の光学面にも接触させるように設計することも考えられる。しかし、上述のように細径で長尺に、かつ、精度よく形成することが困難である。また、吸着部材10が無負荷時にレンズ挿着穴より小径でも吸着保持時の負荷により拡大変形して径が大きくなりレンズ挿着穴に挿入不可又は困難となることは不都合である。
また、吸着パッドの中心がレンズの光軸からずれて接近した場合に、レンズの光軸が傾いて吸着されるおそれが高い。シリコーンゴム製等の柔軟な吸着パッドにレンズの光軸が傾いて吸着された場合に、吸着を解除しなければレンズの軸倒れを矯正することが困難であるという不都合も生じ得る。レンズが微小径であるほど、吸着パッドの位置制御誤差やレンズの設置位置誤差により、接近時の吸着パッドの中心とレンズの光軸とのずれ、さらにこれに起因する吸着時のレンズの光軸の傾きは著しくなり、シリコーンゴム製等の柔軟な吸着パッドであると、再吸着を再三繰り返してもレンズの軸倒れを矯正することが不可となってしまうおそれもある。
以上述べた細径性、長尺性、形成精度、剛性の観点から吸着部材10を、樹脂製又は金属製の注射針用の円管素材を加工して製作することが1つの良策である。その加工としては以下に説明する内テーパー面や面取りの加工である。
先端開口部13の内側には、最先端14aまで最先端14aに近づくほど内径が大きくなる内テーパー面14が設けられている。したがって、この最先端14aは内テーパー面14の大径端に等しい。内テーパー面14の小径端は図中の14bである。
大径端14a及び小径端14bは面取りされている。大径端14a及び小径端14bが面取りされた内テーパー面14は、開口端から周壁部12の内側を研磨・研削することで得ることができる。大径端14aを面取りするのは、大径端14aがレンズに接触して傷をつけることを防ぐためである。小径端14bはレンズに接触しない位置に配置される。したがって、レンズの傷防止の観点に限って言えば、小径端14bは面取りせず、大径端14aのみを面取りしてもよい。しかしその場合でも、面取りすることで吸引時の吸気の流動を滑らかにし、先端開口部13付近の吸気の均一性、従って吸引圧の局所的な偏りがないことによってレンズの吸着姿勢精度を向上できるから、大径端14a及び小径端14bの双方を面取りすることが好ましい。
図2(b)に示すように内テーパー面14はレンズ20の吸着保持時にレンズ20に周接させる面であるので、レンズ20の傷防止の観点から、内テーパー面14の表面粗さRaは、1μm以下であることが好ましい。
このようなレンズ20をその第1の光学面21を先端側にしてレンズ鏡胴に挿入しなければならないので、図2(b)に示すとおり吸着部材10の先端開口部13に第2の光学面22、すなわち凸面22を吸着保持する。
また本実施形態においては、レンズ20の外径は0.5mm以下である。卵管、膵胆管などの生体内の細い経路に進入し、臓器内部を観察するための内視鏡を構成するためである。したがって、吸着部材10の外径の外径も0.5mm以下である。
さらに図2(a)に示すように内テーパー面14より内部の中空部11における吸着部材10の肉厚tは0.05mm以上0.10mm以下である。肉厚tを0.05mm以上とするのは、吸着部材10の剛性を確保するためである。肉厚tを0.10mm以下とするのは、中空部11の流路断面積を確保するとともに、内テーパー面14の加工量を少なくするためである。
しかし、図3(a)に示すように垂直な切り口を有する吸着部材10Xにレンズ20の凸面22を吸着させた場合、吸着部材10Xの内側の角が凸面22に当接して傷を付けるおそれがある。また、その当接位置が吸着部材10Xの内径相当位置であるため、凸面22のうちレンズ光学面として使用する範囲に傷を付けてしまい不良品となってしまうか、凸面22のうち上記内径相当位置より十分に内側の範囲をレンズ光学面として使用する範囲とする場合には、実際にレンズ光学面として機能させる面積が小さくなって使用効率が悪くなってしまい、小径化の支障ともなる。吸着部材10Xの内径を外径に近づけようとすると肉厚が薄くなってしまうから、上述した必要な剛性が達成できないし、また吸着部材の開口端自体が鋭利となりこの開口端によりレンズに負荷される押圧力が高まり好ましくない。
図3(b)に示すように吸着部材10Yの先端開口部に形成した内テーパー面14Yに凸面22の外周縁部を周接させてレンズ20を吸着保持した場合でも、内テーパー面14Yの大径端より小径端に偏在した位置で周接しているから、上記問題の改善が不十分である。
また以上のように、レンズ20の凸面22を吸着保持するのでフランジ部がなくてもレンズ20を吸着保持することができる。
また、吸着部材10が凸面22に周接する部位は内テーパー面14であるから、接触相手面である凸面22の外周縁部に大略沿った方向の面となり、突き立てるような当接ではなく接触面積がある程度確保できているので、凸面22を傷つけるおそれが低い。
また、図4(b)に示すように傾きの異なる複数の直線により、又は図4(c)に示すように曲線により、凹状に形成することも可能である。この場合、二点鎖線で示すように、凸面22が傾いたときに、より内側の部位が吸着部材10に接触することを回避しやすい。
図5に示すように、射出成形であるのでレンズ20にゲート31、ランナー32が繋がっている。
同じく図5に示すようなランナー下押さえ33とランナー上押さえ34のような治具を適用した把持装置によりランナー32を把持し固定する。
この状態でゲート31をカットすると、レンズ20が飛んでしまうため、レンズ20を紛失したり、傷付けたりして効率が上がらない。
そこで、レンズ20を保持する。レンズ20を保持するために、図5に示すように吸着部材10とレンズ保持台40を適用する。吸着部材10に吸着保持しただけでもゲート31のカット時にレンズ20が飛んでしまうおそれが高いからである。
レンズ保持台40には、レンズ保持溝41が形成されている。レンズ保持溝41は、レンズ20の第1の光学面21への接触を回避する穴42と、レンズ20の外周面24を保持する内周面43と、ゲート31を保持するための内周面43から側方に切られたゲート保持溝44とを有して構成されている。
このレンズ保持溝41にレンズ20及びゲート31を収容し、凸面22を吸着部材10の先端開口部13に吸着保持する。この状態でゲート31をカットし、吸着部材10を上昇させてレンズ保持溝41から離脱させてレンズ20を持ち運び、次工程に入るか、トレイ等の容器に一旦収納して置く。
なお、図6(b)に示すレンズ20側に残ったゲート端31aの除去加工又は整形加工を任意に実施する。
まず、吸着部材10の先端開口部13にレンズ20を吸着保持する。このとき、図7中の2点鎖線で示すようにレンズ20の光軸が、吸着部材10の軸方向に対して傾いている、すなわち、レンズ20の軸倒れが生じて吸着保持されているおそれがあるので、円管部材60の面取り加工された開口端を先端面23に押し当ててレンズ20の軸倒れを矯正する。先端面23は光軸に対し垂直な面であるため、吸着部材10の軸と円管部材60の軸とを同軸に配置して両者を接近させることで、レンズ20の軸倒れを矯正することが可能である。
このとき、仮に吸着部材がシリコーンゴム等の材料により柔軟なものに構成されているとすると、吸着部材自体が撓ってしまい、吸着部材に対するレンズの軸倒れを矯正することはできない。したがって、上述したように吸着部材に剛性が必要である。
なお、レンズ20の軸倒れを矯正するためにレンズ20に押し当てる部材は、押し当てることで吸着部材10の軸とレンズ20の光軸とが同軸にある状態に矯正できればよいから、円管状であるものに限られない。
タンポ印刷と同様の原理で転写部材70の転写端部71に一定量の接着剤を付着保持させ、この転写端部71を先頭に転写部材70を鏡枠80のレンズ挿着穴81に挿入し、径方向内方に張り出して形成されたレンズ係止部82に突き当てて内面に接着剤Bを転写したら、転写部材70を鏡枠80から引き抜く。
なお、このとき図9に二点鎖線で示すように、鏡枠80の先端開口83を閉塞するように接着剤B1が付着してしまった場合には、棒部材90を先端開口83に挿し入れて接着剤B1による閉塞を破り、先端開口83の周囲に接着剤Bを配置する。
その後、接着剤Bを硬化させてレンズ20と鏡枠80とを接着固定する。レンズ20の先端面23がレンズ係止部82の当接面82aに当接して正しく位置決めされた状態で接着固定する。接着剤Bは当接面82aより外周側に形成されるレンズ20の先端面23及び外周面24と鏡枠80との間の隙間に充填される形でレンズ20と鏡枠80とを接着固定する。
また、他の接着剤の塗布方法として、中空部の周囲の肉厚部に細い副孔が長手方向に複数通ったマルチルーメンチューブを用い、これをレンズ挿着穴81に挿入して、副孔を通して接着剤を注入する方法が採り得る。
11 中空部
12 周壁部
13 先端開口部
14 内テーパー面
14a 大径端(最先端)
14b 小径端
20 レンズ
21 第1の光学面
22 第2の光学面(吸着される凸面)
80 鏡枠
81 レンズ挿着穴
82 レンズ係止部
82a 当接面
83 先端開口
B 接着剤
Claims (4)
- 中空部が負圧にされた円筒状の吸着部材の先端開口部にレンズの凸面を吸着保持するレンズの吸着保持方法によりレンズを吸着保持して鏡枠に挿着しレンズ鏡胴を製造する方法であって、
前記鏡枠として、径方向内方に張り出して形成され前記レンズに当接して前記レンズをレンズ挿着位置に係止するレンズ係止部が構成されたレンズ挿着穴を備えたものを適用し、
前記吸着部材の前記先端開口部に前記レンズの前記凸面を吸着保持した状態で、前記凸面の逆面に部材を押し当てて前記吸着部材の軸方向に対する前記レンズの軸倒れを矯正し、これにより矯正された前記レンズ及びこれに後続する前記吸着部材を前記レンズ挿着穴に挿入し、前記レンズを前記レンズ係止部に当接させることにより、前記レンズを前記鏡枠の前記レンズ挿着位置に組み込むことを特徴とするレンズ鏡胴の製造方法。 - 中空部が負圧にされた円筒状の吸着部材の先端開口部にレンズの凸面を吸着保持するレンズの吸着保持方法によりレンズを吸着保持して鏡枠に挿着しレンズ鏡胴を製造する方法であって、
前記先端開口部の内側には、最先端まで当該最先端に近づくほど内径が大きくなる内テーパー面が設けられ、
前記鏡枠として、径方向内方に張り出して形成され前記レンズに当接して前記レンズをレンズ挿着位置に係止するレンズ係止部が構成されたレンズ挿着穴を備えたものを適用し、
前記凸面の外周縁部を、前記内テーパー面の小径端より大径端に偏在した位置で当該内テーパー面に周接させ、その周接する位置より内周側において当該内テーパー面を含め前記吸着部材と前記凸面との間に空間を保持して、前記吸着部材の前記先端開口部に前記レンズの前記凸面を吸着保持した状態で、前記凸面の逆面に部材を押し当てて前記吸着部材の軸方向に対する前記レンズの軸倒れを矯正し、これにより矯正された前記レンズ及びこれに後続する前記吸着部材を前記レンズ挿着穴に挿入し、前記レンズを前記レンズ係止部に当接させることにより、前記レンズを前記鏡枠の前記レンズ挿着位置に組み込むことを特徴とするレンズ鏡胴の製造方法。 - 前記レンズを前記レンズ係止部に当接させた状態で前記レンズと前記鏡枠とを接着固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ鏡胴の製造方法。
- 前記吸着部材の外径は前記レンズの外径以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のレンズ鏡胴の製造方法。
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