JP6030328B2 - 距離計測システム - Google Patents

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Description

本発明は、電磁波によって測定対象物までの距離を正確に計測する距離計測システムに関する。
従来の光学的顕微鏡では、回折限界以下の測定対象物を観測したり計測したりすることが出来なかった。これに代わるものとして、プローブ顕微鏡(STM,AFM,NFOS等)や走査型電子顕微鏡等が開発され、多くの分野で使われている。この走査型電子顕微鏡は、走査電子プローブとしてきわめて細いビームを用いているので、分解能が高く、焦点深度が光学顕微鏡に比べて著しく大きい。しかしながら、細胞のように導電性の低い測定対象物の観測には、測定対象物である試料に導電性のよい白金パラジウムや金をコートする必要性があり、細胞自体の破損を伴うことが多く、当然のことながら生きたままの細胞を観測、計測することは、不可能であった。
また、プローブ顕微鏡は、測定対象物に対して近接して配置されたプローブをさらに接近させ、原子間力やトンネル電流、光近接場等を利用して、測定対象物との距離を計測するものである。しかしながら、プローブを高速に移動させることは困難であり、かつ、測定対象物との距離が非常に近いので取り扱いが難しく、さらに2次元的な情報を取得するまでに時間が膨大に必要であった。
この一方、レーダーのように電磁波を照射し、測定対象物からの反射電磁波を検出し、基本的には送信時と受信時の時間差で測定対象物までの距離を測定するシステムを応用することも考えられるが、このようなシステムでは、様々な信号処理アルゴリズムが必要となり煩雑であり、また検出できる測定対象物の大きさが限定されていた。
他方、距離を高精度に測定するには、へテロダイン干渉法がよく知られている。ここでは、光を用いた光ヘテロダイン法について述べるが、他の電磁波においても同様な考え方で実施されている。この光ヘテロダイン法は、周波数の異なる2つのレーザー光を干渉させて、その差の周波数のビート信号を作成し、このビート信号の位相変化を波長の1/500程度の分解能で検出することで、表面の高さ方向の変化を計測しつつ測定対象物までの距離を測定するものである。
そして、下記特許文献1の特開昭59−214706号公報には、音響光学素子を用いて異なる波長からなる2つのビームを隣接して発生させ、これら2ビーム間の位相変化を検出し、その位相変化を累積して表面プロファイルを得る方法が開示されている。ただし、この特許文献1は、ビームプロファイルよりも僅かに大きく2つのビームを近接させ、2つのビームプロファイル内の平均的な位相差をヘテロダイン検波で検出して、順次積分することにより、凹凸情報を得るものであった。
従って、この特許文献1によれば、半導体ウェハーのようなフラットであることが前提となるような測定対象物に対して、その凸凹情報を計測することは出来たが、ビームプロファイル内の情報を引き出すことはできず、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることは出来なかった。
なお、通常の電磁波の分解能はいわゆるアッべの理論の限界により制限されている。この限界は、波動の有する回折現象の結果であり、越えることの出来ない理論限界とされていた。
特開昭59−214706号公報
以上のように、従来のヘテロダイン検波を用いた距離測定器においては、与える電磁波の波長以下の分解能で、距離を測定することは出来なかった。従って、電磁波の照射領域を波長以下に小さくしても、波長と同程度以上の領域の平均的な距離を算出することしか出来なかった。
同じように従来のヘテロダイン検波を用いた光測定器においても、半導体ウェハーのようなフラットに近いものを主な測定対象としていた。このため、面内の分解能を高くするには、電子顕微鏡やAFM(原子間力顕微鏡)等の近接場を用いざるを得なかった。
しかし、電子顕微鏡に関しては、特に生物や細胞等に対して加工処理する必要性があるので、生きたままの観察や屈折率分布の測定は不可能であった。他方、AFMは、処理速度が十分でないことから、リアルタイムに状態の変化を見ることが出来ないので、生物、細胞の観測には不向きであり、また、測定対象物に対してプローブを近接させなくてはならず、使い勝手も悪かった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く距離の分解能が高い距離計測システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成させるために、請求項1に係る距離計測システムの発明は、相互に異なる周波数にされたコヒーレントな2つの電磁波を測定対象物上に同一の領域を有しつつ一部ずらして照射する照射手段と、
前記一部ずらして照射する際のずらした方向に対して略垂直な方向に伸びる境界線を挟んだ測定対象物における少なくとも2つ以上の領域からの電磁波をそれぞれ検出する電磁波検出手段と、
前記境界線を挟んで対称な位置において電磁波検出手段で検出された電磁波の各々の強度出力信号の差信号や和信号を作成する信号作成手段と、
この差信号あるいは和信号の実部と虚部を用いて位相差あるいは強度差を求めて測定対象物との間の距離とされる計測値を得る計測手段と、
を含む距離計測システムよりなるものである。
本請求項の作用を以下に説明する。
僅かに異なる周波数を有するコヒーレントな2つの電磁波を、照射領域のほとんどが重なりつつ一部ずれるように分離して測定対象物に照射手段により照射する。測定対象物から反射し、または測定対象物を透過した電磁波を、照射した電磁波に適合したディテクタである電磁波検出手段にて検出する。この時、照射した電磁波のずらした方向に対して略垂直な方向に伸びる境界線を挟んだ少なくとも2つ以上の領域の電磁波をそれぞれ検出可能なように、2分割以上のディテクタが、測定対象物に対してファーフィールドとみなせる距離に配置されていれば、これらのディテクタが電磁波をそれぞれ検出して、以下のようになる。
上記2分割以上されたディテクタのすべての和信号や、境界線を挟んだディテクタ同士の差信号を信号作成手段が作成し、これらの信号を基にして僅かに異なる周波数差(ビート信号)を検出して、入力した信号との位相ずれを計測できるようにする。計測手段において、全ディテクタの出力の和信号に基づけば、実効上、2つの電磁波が照射された領域の分離度に応じた位相差の照射面積に相当する領域の積分値を与え、微分干渉顕微鏡と同様な原理により、ほぼ波長の数分の一程度の分解能が得られるのに伴い、この分解能でディテクタと測定対象物との間の距離が得られることになる。
さらに、分解能を高くするには、計測手段において、上記した境界線を挟んだディテクタ同士の差信号を用い、実効上、2つの電磁波が照射された領域の分離度に応じた位相差の微分の照射面積に相当する領域の積分値を与える。この場合には、和信号の場合と比較して、位相差の生じている部分のみが位相差に寄与するので、感度が著しく高くなる。
以上より、ビームの分離度に応じた分解能に匹敵する横分解能の向上が図れる。これは、通常のヘテロダイン検波による距離計測には見られない際立った特長となる。この結果、波長で支配されている横分解能よりもはるかに高い横分解を得ることが出来る。なお、ビート信号の強度によっても、上記と同様な効果が得られる。
以上のことから、高さや屈折率分布に対する分解能が高く距離の分解能を波長の1/500程度にでき、また、面内の分解能も著しく高い距離計測システムを得ることが出来る。また、異なる周波数を有する2つの電磁波を発生させる場所を近接させることが出来るので、殆ど行路を共有化できる。このため、外部的な環境変化、振動等に著しく強い距離計測システムとなる。
たとえば、周波数の僅かに異なる2つのマイクロ波や電波を発生させる送信アンテナを2基用意するとともに、上記したような配置になるように受信アンテナを複数用意して、これらを航空機に搭載すれば、送信アンテナは測定対象物から見て、ほとんど点源となり、大気中の電波も同じ光路を進むので、航空機の揺れ等があっても正しい距離測定が可能となる。
また、上記目的を達成させるために、請求項2に係る距離計測システムの発明は、コヒーレントな光を出射する光源と、
該光源から出射された光を、相互に異なる周波数に変調させつつ相互に近接した状態に分離して照射される2つの光とする第1の手段と、
前記2つの光を1次元走査あるいは2次元走査する第2の手段と、
前記2次元走査された2つの光を測定対象物に照射する第3の手段と、
前記2つの光が分離された方向に対して略垂直な方向を境界線とし、該境界線を挟んで測定対象物からの反射光あるいは透過光を少なくとも2つ以上に分けて受光する第4の手段と、
前記境界線を挟んだ領域において第4の手段で受光される光の各々の強度出力信号の差信号や和信号を作成する第5の手段と、
この差信号あるいは和信号の実部と虚部を用いて位相差あるいは強度差を求めて測定対象物との間の光学的距離とされる計測値を得る第6の手段と、
を含む距離計測システムなるものである。
本発明に係わる前記第1の手段は、音響光学素子または空間変調器とされ、これら音響光学素子または空間変調器に2つの変調信号を加えたものが好適である。
本発明にかかわる前記第2の手段の2次元走査には、1次元走査素子を2つ組み合わせてなるものあるいは、2次元走査素子を用いるものが好適である。
本発明にかかわる前記第3の手段が測定対象物に照射させる光は、平行光、収束光または発散光であるものが好適である。
また、本発明にかかわる前記第6の手段は、変調された2つの周波数の差に基づくヘテロダイン検波を用いたものが好適である。
つぎに、これら請求項の作用を以下に説明する。
これら請求項に係る距離計測システムでは、請求項1で電磁波とされたものを光に適用したものである。
これら請求項においては、光源からの光を音響光学素子や空間光変調器等の第1の手段でDSB変調し、周波数と出射方向の僅かに異なる2つの光であるビームを作るようにする。この2つのビームを変調周波数とは無関係な1次元もしくは2次元の走査光学素子である第2の手段により、第3の手段である対物レンズに向けて走査することで、この対物レンズを介して測定対象物上を2つの近接したビームが走査することになる。
測定対象物が反射物体である場合には、音響光学素子とほぼ共役な位置に配置された第4の手段である受光素子により、ビームの僅かに異なる周波数差(ビート信号)を検出して、2つのビート信号を取得することができる。また、測定対象物が透過物体である場合には、ファーフィールドではあるが、測定対象物からあまり離れていない位置に配置した同じく受光素子により、これら2つのビート信号を検出することができる。
そして、受光素子として、ビームの分離方向に対して垂直な方向に延びる分割線を挟んで2つ以上に分割されている受光素子を用いた場合、受光素子のすべての和信号や、境界線を挟んだ受光素子同士の差信号を第5の手段が作成し、これら信号を基にして僅かに異なる周波数差(ビート信号)を検出して、入力した信号との位相ずれを計測する。第6の手段において、例えば全受光素子の出力の和信号に基づき、実効上、対物レンズで集光された2つのビームの分離度に応じた位相差のビーム径に相当する領域の積分値を与えるので、微分干渉顕微鏡とほぼ等価な分解能を得るのに伴い、この分解能で受光素子と測定対象物との間の距離が得られることになる。
さらに分解能を高くするには、2以上に分割された各受光素子の内の隣り合った位置にある受光素子同士の差信号を取得すると、実効上、対物レンズで集光された2つのビームの分離度に応じた位相差の微分のビーム径に相当する領域の積分値を与える。この場合には、和信号と比較して、位相差の生じている部分のみが位相差に寄与するので、感度が著しく高くなる。従って、ビームの分離度に応じた分解能に匹敵する横分解能の向上が図れる。これは、通常の微分干渉顕微鏡には見られない際立った特長となる。この結果、波長で支配されている横分解能よりもはるかに高い横分解を得ることが出来る。
以上をまとめると、本発明によれば、高さや屈折率分布に対する分解能を高くして距離の測定精度が高く、面内の分解能も高い距離計測システムを与えることが出来る。
また、本発明を顕微鏡に適用した場合、非常に高い面内分解能を有し、さらに2次元走査を一度行うことで、高さや屈折率分布を測定することが出来るので、生きたままの細胞やマイクロマシンなどの状態変化などの3次元計測をリアルタイムに行うことができる。このため、従来の2次元情報を取得し、3次元方向に積算していくようなレーザー走査型共焦点顕微鏡などとは比較にならない大きな特徴を有することとなる。
さらに、本発明を透過型の顕微鏡に適用した場合、生物や細胞を生きたままかつ高い分解能で観察、計測できる。このため、細胞等を不活性化して計測する電子顕微鏡にはない大きな特徴を有することとなる。
上記に示したように、本発明の距離計測システムでは、僅かに周波数の異なる2つの電磁波を近接して測定対象物に投射し、その反射波あるいは透過波を用いて、測定対象物に投射した電磁波領域の重なる部分の中心にある境界線を挟んで2つ以上のディテクタを配置し、これら2つ以上のディテクタからの和信号または差信号より得たヘテロダイン信号より位相差あるいは強度差を検出する。
この様にすると、回折限界以上の面内分解能で、測定対象物の表面プロファイルや透過物体の厚み、屈折率分布等を正確に観察、計測することが可能となる。特に、差信号を用いると、この効果は大きくなる。このため、細胞や微生物の状態変化や表面状態の過渡的な変化等を、観察、計測することができる。
他方、製品化されている裸眼立体ディスプレイや偏光めがねを使用した3次元ディスプレイ等を用いれば、ビデオレートの3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。また、非常に近接したほぼ同一の行路を通る2つのビームを用いているので、外乱等の影響を受けにくい観察や測定ができる。
本発明の距離計測システムに係る実施例1を示す概略図である。 本発明の距離計測システムに係る実施例1による地上における照射領域を表す説明図である。 本発明の距離計測システムに係る実施例1を示すブロック図である。 本発明の距離計測システムに係る実施例2を示す光学系のブロック図である。 図4の対物レンズおよび測定対象物周辺部分を拡大して示す図である。 本発明の距離計測システムに係る実施例3を示す光学系のブロック図である。 本発明の距離計測システムに係る実施例4に適用される空間変調器を示す図であって、(A)は空間変調器の模式図であり、(B)は空間変調器に印加される電圧、電流のパターンを示す図である。
以下に、本発明に係る距離計測システムの実施例1から実施例4を各図面に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る距離計測システムの実施例1を、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施例の距離計測システムの構成を示す概略図である。この図1に示す飛行機10の両端部には、それぞれマイクロ波のパラボラアンテナである送信アンテナ11および送信アンテナ12が搭載されている。
そして、このように飛行機10に搭載されたマイクロ波の送信アンテナ11と送信アンテナ12は、キャリア信号周波数fcおよび変調周波数fmに基づくAsin(2π(fc+fm)t)とAsin(2π(fc−fm)t)の送信波を、地上の立体形状である地形等の測定対象物Gに対して、それぞれ相互にほぼ同一大きさの円錐形状に広がるように、送信する。それぞれの送信波は、パラボラアンテナを傾斜させることで、図1及び図2に示すように、例えば地上の測定対象物Gに対して照射領域A,Bがほぼ重なるものの僅かに中心距離Δxだけずらして照射されるようになっている。
他方、飛行機10における送信アンテナ11と送信アンテナ12の間の部分であって、 各々の送信波の重なった照射領域A,Bのほぼ中央を境界とする部分の延長上には、同じくそれぞれパラボラアンテナである少なくとも2つの受信アンテナ13と受信アンテナ14が配置されている。
すなわち、2つの受信アンテナ13および受信アンテナ14は、測定対象物Gから反射されたマイクロ波の空間周波数ゼロから照射領域A,Bのずれた2方向の空間周波数のマイクロ波をそれぞれ受信できるようになっている。このため、ぞれぞれの受信アンテナ13,14で受信した信号は、測定対象物Gから反射された2つの周波数を有するマイクロ波が干渉された結果、周波数2fmのビート信号になる。
さらに、図3に示す飛行機10内には、上記マイクロ波を送信アンテナ11,12から送信するための図示しない発信器等を有するだけでなく、受信アンテナ13,14で受信した信号に基づき和信号や差信号を作成するための信号作成手段である信号作成装置16、これら信号の位相ずれから飛行機10の高さ等を計測する計測手段である計測機器17および、高さデータ等を蓄積するハードディスクドライブ等のメモリ18が搭載されている。
ここで、これら受信アンテナ13および受信アンテナ14により受信した信号の和信号や差信号を用いて、位相ずれを検出すると、2つの照射領域A,Bの高さ情報が得られる。具体的には、上記受信アンテナ13,14の和信号や、受信アンテナ13,14同士の差信号を信号作成装置16が作成し、これら信号を基にして僅かに異なる周波数差(ビート信号)を求めて、入力した信号との位相ずれを計測機器17により計測することにする。
そして、計測機器17において、和信号によりほぼ波長の数分の一程度の分解能を得るのに伴い、この分解能で受信アンテナ13,14を有した飛行機10と測定対象物Gとの間の距離である高さ情報が得られる。また、計測機器17において差信号を用いれば、和信号の場合と比較して、位相差の生じている部分のみが位相差に寄与するので、分解能が高くなって感度が著しく高くなる。
なお、上記受信アンテナを本実施例では2つとしたが、受信アンテナを3つ以上設置しても良い。また、信号作成装置16、計測機器17およびメモリ18の替わりに、送信機を搭載すれば、これら信号作成装置16、計測機器17およびメモリ18を地上に設置しても良い。
以下、この距離計測システムの動作原理について詳細に説明する。
図2に示す2つのマイクロ波の照射領域A,B間の中心距離Δxをこれらのマイクロ波が有する回折限界以下に設定したとする。この場合、各々のマイクロ波の照射領域A,Bは、アッべの理論の回折限界以下にはならないが、わずかにずらした各々別の周波数のマイクロ波であるために、ヘテロダイン検波をすることにより、微分情報を取得することができる。この時、受信アンテナ13と受信アンテナ14の和信号を用いると、実質的に光学顕微鏡の一種の微分干渉顕微鏡と等価になり、これらの差信号を用いると、微分干渉顕微鏡よりはるかに高い横分解能が得られる。
簡単のために1次元で考える。まず、地上や海上にある測定対象物Gのプロファイルd(x)の位相分布をAejθ(x)とおく。ここで、θ(x)=2πd(x)/λである。本実施例のように反射の場合には、行路差は2倍になるので、観測されるθ(x)の半分を高さ情報とすればよい。
さて、上記のように測定対象物G上での2つのマイクロ波の照射領域A,B間の中心距離をΔxとし、地上もしくは海上でのマイクロ波の複素振幅分布をu(x)とする。この場合、測定対象物Gに比較して十分離れた場所では、測定対象物Gのプロファイルとビームプロファイルの積のフーリエ変換となる。
本距離計測システムにおいては、一方の受信アンテナで受信されるマイクロ波は、ej(ωc-ωm)tで変調を受けていることになり、中心距離Δxだけ離れた他方の受信アンテナで受信されるマイクロ波は、ej(ωc+ωm)tで変調を受けていることになる。
従って、受信アンテナ13,14上の複素振幅分布Eは、以下のようになる。
E=∫(Aejθ(x) u(x)ejkxdx・ej(ωc-ωm)t+Aejθ(x+Δx) u(x)ejkxdx・ej(ωc+ωm)t
これら受信アンテナ13,14により強度Iの検出を行うと、I=EE*、さらに、2ωmのヘテロダイン検波を行うので、以下の(1)式のようになる。
I(k)=A2∫ej(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x’) ejk(x-x')dxdx’e-j2ωmt
+A2∫e-j(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x’) ejk(x-x')dxdx’ej2ωmt・・・・・(1)式
そして、2つのマイクロ波の重なっている照射領域A,Bのほぼ中心を図1、図2の境界線Cとし、この境界線Cを挟んだ位置であって、各々の照射領域A,Bの分離方向に沿った位置に対応して2つの受信アンテナ13,14を測定対象物から離して配置する。ここでまず、2つの受信アンテナ13,14で受信した信号の和信号がどのようになるかを考える。測定対象物から離れた位置では、フーリエ変換面であると考えられるので、受信アンテナで受信できる最大空間周波数をKmaxとすると、和信号では強度Iが下記式から求められる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は-KmaxからKmax)
=A2∫cos(θ(x)−θ(x’+Δx’)−2ωmt) u(x) u(x’)sin(Kmax(x-x’))/(x-x’)dxdx’
受信アンテナを大きくして広い空間周波数まで受信するように配置すると、
sin(Kmax(x-x’))/(x-x’)=Kδ(x-x’)となるので、以下の(2)式のようになる。
I=A2∫cos(θ(x) −θ(x+Δx) −2ωmt) u(x)2dx・・・・・(2)式
すなわち、2つのマイクロ波の分離位置の位相差をマイクロ波のプロファイルのウェイトで積分したことになる。
(2)式を変形すると下記の式を得る。
Iq=A2∫cos(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx・cos(2ωmt)
Ii=A2∫sin(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx・sin(2ωmt)
従って、直交変換により、観測される位相差Θは以下の(3)式のようになる。
Θ=tan-1(∫sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx)・・・・・(3)式
この一方、2つの受信アンテナ13,14の差信号を考えると、和信号の場合と同様にして下記の式が得られる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は0からKmax)−∫I(k)dk(積分範囲は−Kmaxから0)
=A2∫sin(θ(x)−θ(x’+Δx’)−2ωmt) u(x) u(x’)( cos(Kmax(x-x’)-1)/(x-x’)dxdx’
受信アンテナを大きくして広い空間周波数まで受信するように配置すると、
(cos(Kmax(x-x’)-1)/(x-x’)=δ’(x-x’)+1/x(δ(x)-1)となるので、下記(4)式のようになる。
I=A2∫d/dx(sin(θ(x)―θ(x+Δx)―2ωmt) )u(x)2dx・・・・・(4)式
さらに、この(4)式を変形すると、下記のようになる。
Iq=A2∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・cos(2ωmt)
Ii=−A2∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・sin(2ωmt)
従って、直交変換により観測される位相差Θは以下の(5)式のようになる。
Θ=tan-1(−∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx))u(x)2dx)・・・・・(5)式
ここで、(3)式と(5)式の比較を行う。定性的には、以下の点がわかる。
まず、(3)式では、照射領域A,Bの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差をu(x)の重み関数で、平滑化した結果として得られる位相差を示しているので、照射領域A,B内の平均的な位相差を示している。これは、微分干渉顕微鏡と等価な処理である。
他方、(5)式では、照射領域A,Bの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差の微分に対して、u(x)の重み関数で平滑化しているので、おおよそ元の関数を復元していることになる。
従って、飛行機10が飛行すると照射領域A,Bの分離度に相当する横分解能で、位相差および位置情報を取得することが可能となる。
ここでは、2つの受信アンテナを配置した場合を記述したが、照射領域A,Bの重なった領域の中心付近に、2つのマイクロ波の分離方向に沿って複数のアレイアンテナを測定対象物Gから離して配置した場合も同様になる。特に、差出力を得る場合には、照射領域A,Bの重なった部分の中心付近に対応して配置した複数のアレイアンテナのうちの、対応する複数のアレイアンテナ間同士で差演算を行うようにすれば良い。
また、複数のアレイアンテナの和出力だけを用いるのであれば、実質上1つの受信アンテナを用いることで、同様のことが実現できることになる。
尚、説明を簡単にするために取得する空間周波数が広い場合を想定して式を簡略化したが、取得できる空間周波数が大きくない場合には、式中のδ関数の部分がコンボリューションになるだけで、本質的に分解能が向上することに変わりはない。この場合には、測定対象物Gのプロファイル等に多少のボケが生じることになる。
上記説明においては位相に関して詳述したが、強度についても同様なことが言える。特に、照射領域A,Bよりも小さいプロファイルの変化に対しては、照射されている領域のフーリエ変換の0次回折波と1次回折波との干渉により形成された干渉縞のファーフィールドにおけるパターンが2つの受信アンテナ13,14で異なるので、受信アンテナ13,14の差信号はプロファイルの傾きに反映した強度差となってあらわれる。
以上述べたように、ヘテロダイン検波を用い、フーリエ変換面にて空間周波数情報を処理することにより、特に差演算では非常に高い横分解能の向上をもたらすことができる。
本発明に係る距離計測システムの実施例2の概念を以下に説明する。
レーザーのようなコヒーレントな光源から出射された光を、第1の手段である音響光学素子や空間変調器により実質上2つの異なる周波数の光に変調させる。この時、例えば音響光学素子を用いると、この音響光学素子の表面弾性波と光の相互作用により、回折縞が変調を受ける。ドップラーシフトを受けた光は、周波数変調を受けるとともに、±1次の回折光となって出射される。他方、空間光変調器を用いる場合には、この空間光変調器に書き込んだ回折縞を変調させることでも、同様な効果をもたらす。
このようにして、周波数変調を受けた光が相互に近接した2つの光に分離されつつ第1の手段から出射される。この2つの光を第2の手段である瞳伝達光学系等により2次元に走査し、第3の手段である対物レンズ等で測定対象物に照射させる。この測定対象物から離れた距離であって、2つの光の分離方向に沿って2以上に分割されて配置された第4の手段である受光素子が、測定対象物から反射し、あるいは測定対象物を透過した光を、2つの光の分離方向に対して略垂直な方向に伸びる境界線を挟んだ光として、それぞれ受光する。
この様にして受光素子で受光された光は光電変換され、第5の手段において2つの光の分離方向に対して略垂直な方向を境界線として対称な位置にある各々の出力の差信号または和信号を作成する。この差信号または和信号を第6の手段においてヘテロダイン検波することにより、位相差の検出をし、あるいは強度差の検出をする。
この検出された位相差や強度差は、反射の場合には測定対象物表面のプロファイルの高さ情報を示し、透過の場合には厚みや屈折率分布等の情報を示す。この際、実施例1で述べたマイクロ波の照射領域A,Bを対物レンズで絞った回折限界スポット径と考えればよい。すなわち、光電変換されたそれぞれの信号の和信号に基づくヘテロダイン検波では、2つの光であるビームの中心距離だけ離れた2点の位相差をu(x)の重み関数で、平滑化した結果として得られる位相差を示している。このため、この和信号に基づくヘテロダイン検波は、ビーム内の平均的な位相差を示していることになるが、これは微分干渉顕微鏡と等価な処理である。
この一方、光電変換されたそれぞれの信号の差信号に基づくヘテロダイン検波では、ビームの中心距離だけ離れた2点の位相差の微分に対して、u(x)の重み関数で平滑化しているので、おおよそ元の関数を復元していることになる。
以上より、ビームを瞳伝達光学系により走査した場合、ビーム分離度に相当する横分解能で、位相差および位置情報を取得することが可能となる。
上記においては、光軸を境界線として2分割された受光素子を適用した場合を記述したが、ビームの分離方向に沿って複数の受光素子を測定対象物から離して配置した場合も同様になる。特に、差出力を得る場合には、境界線を挟んで隣り合う受光素子間同士で行うようにすれば良い。また、複数の受光素子の和出力だけを用いるのであれば、実質上1つの受光素子を用いることで、同様のことが実現できることになる。
そして、測定対象物に関し、ビーム内にプロファイルの傾きがあれば、定性的には光が反射または透過する方向が異なるので、2つの受光素子に強度としての差出力が与えられる。具体的に説明すると、ビーム径よりも小さいプロファイルの変化があれば、光が照射されている領域のフーリエ変換の0次回折波と1次回折波との干渉により形成された干渉縞のファーフィールドにおけるパターンが、2つの受光素子間で異なるので、これら2つの受光素子の差信号は、プロファイルの傾きを反映した強度差となって表れることになる。
以下、本発明に係る距離計測システムの実施例2を図面を用いて具体的に説明する。
図4は、本実施例に係る距離計測システムの構成を示すブロック図である。この図4に示すように、レーザー光が出射される光源であるレーザー21と、AODドライバー24が接続されて動作が制御される音響光学素子(AOD)23との間に、コリメーターレンズ22が配置されている。また、この音響光学素子23に対して、2枚のレンズからなる瞳伝達拡大レンズ系25、入力されたレーザー光を2次元走査する2次元走査デバイス26、入力されたレーザー光を分離して出射する偏光ビームスプリッター27が順に並んで配置されている。
さらに、この偏光ビームスプリッター27に隣り合って、2枚のレンズからなる瞳伝達レンズ系30が位置し、この隣に対物レンズ31が測定対象物G1と対向して配置されている。つまり、これら部材が光軸Lに沿って並んでいることになる。他方、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であって偏光ビームスプリッター27の両隣の位置には、それぞれセンサである受光素子28及び受光素子29が配置されている。これら受光素子28、29が、これら受光素子28、29からの信号を比較する信号比較器33にそれぞれ接続され、この信号比較器33が、最終的にデータを処理して測定対象物G1のプロフィル等を得るデータ処理部34に繋がっている。
また、このレーザー21は、He-Ne等のガスレーザー、もしくは、半導体レーザー、固体レーザーであり、コヒーレントなレーザー光を発生する。このレーザー光をコリメーターレンズ22により平行光束にし、音響光学素子23に入射させる。このとき、レーザー光の入射ビーム径は、後段の瞳伝達拡大レンズ系25との兼ね合いより、絞り機構(図示せず)等を用いて適正化しておくことにする。さらに、この音響光学素子23には、AODドライバー24より、sin(2πfct)sin(2πfmt)のようなDSB変調信号が変調信号として加えられる。
この様な変調を行うと、fc+fmとfc-fmの2つの周波数変調が加えられたことになる音響光学素子23は、ブラッグ回折格子のピッチdに相当する音波の粗密波を発生する。すなわち、超音波の速度をVa、印加する周波数をfとすると、d=Va/fとなる。具体的には、この粗密波により、音響光学素子23に入射されたレーザー光であるビームは、±1次回折光に分離され、各々の回折光は周波数fc±fmの周波数で変調される。たとえば、音響光学素子23の材料としてTeO2が用いられるが、この材料の音速は、660m/sである。
キャリアー周波数の周波数fcとして40MHzを選択すると、d=16.5μmとなり、He-Neレーザーをレーザー21に用いた場合、回折角θは2.19791度程度の角度になる。図4においては、光軸Lが変化していないように図示してあるが、実際には音響光学素子23以降の光学系を回折角θだけ傾けておくか、2次元走査デバイス26にバイアスを付与して、回折角θの傾きを実効上与えておくことにする。
このキャリアー周波数に10KHz程度の周波数fmを加えると、±1次回折光はθ=2.19847度とθ=2.19737度となり、40.01MHzと39.99MHzでそれぞれ変調されることになる。この角度を維持したまま、対物レンズ31にレーザー光を入射させた場合、対物レンズ31の焦点距離を2mm、NA0.9とすると、ビームの中心距離は、0.6μm程度になり、この時の回折限界はw=0.857μmとなる。つまり、このように回折限界系よりもビームの分離度を小さくしておくことにする。
尚、ビームの中心距離であるビーム分離度をより小さくすれば、分解能を向上させることが出来るが、ヘテロダイン検波の周波数を低下させると、処理スピードが遅くなってしまう。この場合、より音速の早い音響光学素子を使用すれば、ブラッグの回折格子ピッチdを大きくすることが出来るので、処理速度を向上させることが出来る。実際、音速Vaが4.2E+3m/s程度のものも知られ、市販されている。
ここで、音響光学素子23と偏光ビームスプリッター27との間に配置されている瞳伝達拡大レンズ系25は、音響光学素子23の出射面位置を次の2次元走査デバイス26に共役に伝達するための光学系であり、この瞳伝達拡大レンズ系25を通過した光は2次元走査デバイス26に送られるが、対物レンズ31の瞳位置に共役にする瞳伝達レンズ系30により、この2次元走査デバイス26からの光は、角度差を有した±1次回折光として対物レンズ31に入射する。このようにして、図5の実線で示すビームLAおよび点線で示すビームLBのように、非常に接近して相互に同一径とされる2つのビームを得ることができる。
また、これら2つのビームLA、LBの有する周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc±変調周波数fm」となる。2つの接近したビームの中心距離を上記したように回折限界以下に設定した場合、各々のビームは、アッべの理論の回折限界以下にはならないが、わずかにずらした各々別の周波数の光であるために、ヘテロダイン検波をすることにより、微分情報を取得することができる。さらに、図4に示す受光素子29を2分割以上の受光素子とし、光軸Lを境界線Cとして、この境界線Cを挟んでビームの分離方向に対して垂直な方向に暗線を有するように、これら受光素子を配置し、その和信号あるいは差信号より、ビート信号を取得させる。この時、和信号を用いると、実質的に微分干渉顕微鏡と等価になり、差信号を用いるとはるかに高い横分解能が得られる。
ここで、測定対象物G1に送られる光の性質について具体的に説明する。対物レンズ31で絞られた光は、図5に示すように近接した2つのビームLA、LBとなり、測定対象物G1に送られる。なお、ビームLAの複素振幅EaおよびビームLBの複素振幅Ebは、下記式のようになる。
Ea=Aexpj(2π(fo+fc+fm)t)
Eb=Bexpj(2π(fo+fc-fm)t+δ)
この複素振幅Ebの式のδは、ビームLAを基準としたビームLBの高さ方向の位相差を表わし、foは光の周波数を表す。なお、前述したようにこの2つのビームの間隔は、音響光学素子23に加えた変調周波数fmによって決定されるので、走査速度とは無関係である。
図4および図5に示す測定対象物G1で反射されたこの2つのビームLA、LBは、対物レンズ31、瞳伝達レンズ系30および偏光ビームスプリッター27を介して、受光素子29に導かれる。この受光素子29を2次元走査デバイス26の位置と共役な位置に配しておくと、2つのビームLA、LBは同じ位置に戻るので、2つのビームLA、LBの位相差δがビート信号として検出される。
すなわち、この受光素子29は図示しない光電変換部を有した構造とされているので、受光素子29上における2つのビームLA、LBの強度Iは、下記式に基づく値で受光素子29の光電変換部により検出され、信号比較器33に送られる。
I=(Ea+Eb)(Ea+Eb)*=A2+B2+2ABcos(2π*2fmt+δ)
これに伴い、図4に示す信号比較器33を用いて、周波数2fmのヘテロダイン検波の位相比較を行うことにより、位相差δを測定することができる。このようにして、位相情報を取得する。
ところで、受光素子29と偏光ビームスプリッター27を挟んで対向して配置されている受光素子28も図示しない光電変換部を有した構造とされているが、音響光学素子23で生じる回折光の入射ビームのビート信号がこの受光素子28に入射されて、受光素子28の光電変換部により検出される。つまり、音響光学素子23までに光学系等で生じた位相差を受光素子28の光電変換部により検出することになるので、この受光素子28は位相の基準を与える役割をしている。
この一方、前述のように受光素子29では、ビームLAとビームLBの2つのビーム間の位相差情報を加えたビート信号が受光素子29内の光電変換部により検出され、信号比較器33に送られる。したがって、信号比較器33においてこの2つの位相比較を行うことにより、真の位相差δが検出されることになる。この真の位相差δは、ビームLAとビームLBの平均の位相差、すなわち、平均の高さhの差情報であるδh=λδ/4πとなる。ここで、λはレーザー21の波長を表す。
信号比較器33と接続されたCPUやメモリ等からなるデータ処理部34にこれらの情報を送り込めば、データ処理部34でこの情報を平面の走査情報とともに記録していき、測定対象物G1の表面のプロファイル情報を簡単に導くことができる。また、さらに高速なデータを取得するには、できるだけ速度Vaの大きい音響光学素子23を用いれば実現できる。
以上より、このような本実施例の距離計測システムの光学系を用いれば、2次元走査を行うたびに3次元計測データを取得することが可能となる。このため、本実施例の距離計測システムによれば、細胞や微生物の状態変化や表面状態の過渡的な変化等を、高速に観察、計測することができる。
また、製品化されている裸眼立体ディスプレイや偏光めがねを使用した3次元ディスプレイ等を用いることにより、3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。この際、2つのビームの重なりの程度をビーム径よりも小さくしてあるので、2つのビームの行路差はほとんど生じていない。このことから、外乱や振動の影響も2つのビームで同時に生じるので、これらの影響が相殺される。
他方、本実施例では、ビームの分離度を個々のビーム径よりも非常に小さくした例を示したが、変調周波数を高くすることにより、ビームの分離度が大きくなり、かつ、ビーム径程度の分離度が必要となる場合にも、本発明の光学系が有用であることになる。
尚、本実施例においては、2次元走査デバイスを用いた例で説明をしたが、単純な一方向だけのデータが必要なアプリケーションであれば、この2次元走査デバイスを1次元走査デバイスに置き換えても同様な効果が得られることになる。これらの1次元走査デバイスとして、ガルバノミラー、レゾナントミラー、回転ポリゴンミラー等を採用することができる。また、2次元走査デバイスは、上記した1次元走査デバイスをX方向用とY方向用の2つを用意し、瞳伝達レンズ系を介すことにより、実現できる。また、マイクロマシーンの技術を用いたマイクロミラーデバイスを用いても良い。このマイクロミラーデバイスとしては、1次元用、2次元用ともに知られ製品化されている。
以上述べたように、フーリエ変換面にて空間周波数情報を処理することにより、特に差演算では非常に高い横分解能の向上をもたらすことができる。また、前述したように強度差信号がプロファイルデーターの高さを反映したデータであることも同様である。
本実施例においては、実施例2で述べた反射光学系を透過光学系に置き換えた場合の実施例を示す。
図6は、本実施例に係る透過型の光学系を用いた距離計測システムを示すブロック図である。主要な光学系は実施例2と同じなので説明を割愛するが、本実施例では、図6に示すように、対物レンズ31で集光された光が測定対象物G2を透過することになるので、受光素子49は測定対象物G2を挟んで対物レンズ31と反対側に配置されていることが特徴である。 つまり、本実施例の場合、受光素子として、対物レンズ31の光軸Lの延長線上に2つのビームの分離方向に対して垂直方向に暗線が伸びる形で分割された受光素子49が配置されている。
以上より、本実施例によれば、反射型の光学系に比較し、測定対象物G2に近接して受光素子49を配置できるので、取得できる空間周波数を非常に高く設定することが可能となる。 この結果、測定対象物G2の有する空間周波数の再現性が良くなるので、横分解能の更なる向上が可能となる。特に、生きたままの状態で、生物や細胞等の観察や計測を非常に高分解能で実施できる。これは、電子顕微鏡のような高倍率であっても生体を殺した状態でないと観測できない測定器とは大きく異なる特徴である。
本実施例においては、変調を加えるための部材として、音響光学素子23の代替に空間変調器を用いることが特徴である。
図7は、本実施例の空間変調器を示した概念図である。この図7(A)に示すような空間変調器53を構成する磁性ガーネット膜53Aを各ピクセルごとに電圧または電流により駆動できるように、電極(図示せず)を付して、この空間変調器53を図4における音響光学素子23の位置に配置する。そして、磁性ガーネット膜53Aの各ピクセルに電圧、電流を印加することで、磁気光学効果によって各ピクセルの偏光面が回転するが、この偏光面の回転の程度は、印加する電圧、電流の大きさにより決定される。このような構造の空間変調器53として、ピクセル数が128×128であり、15nsの応答速度を有しているものがある。
さらに、図4の偏光ビームスプリッター27を通過した光の強度または位相が、短冊状の正弦格子となるように、この空間変調器53の走査方向に対して垂直方向に、図7(B)に示す形で電圧または電流を各ピクセルに印加する。この際、各ピクセルに対して位相のずれた周波数fm=±2πv/dの単振動をさせることで、速度vでこの格子を移動させることができる。
つまり、この正弦波状の格子のピッチをd、移動速度をvとすると、下記式となる。
Acos{2π/d(x−vt)}=A/2(expj{2π/d(x−vt)}+expj{−2π/d(x−vt)})
このため、±1次回折光がfm=±2πv/dの変調周波数を有することになる。尚、強度の場合には、0次の直流成分が生じるが、DC成分なので、ビート信号に影響はない。
ここで、±1次回折光は、実施例2と同様に正弦格子のピッチと瞳伝達拡大レンズ系の倍率により、ビームが所望の程度重なる程度とする。また、変調周波数fmが8MHz程度になるように速度vを決めれば、実施例2と同様な効果を得ることができる。空間変調器53の応答速度は15nsとしたが、現状の空間変調器はデジタル的に2値となっている。
しかしながら、アナログ的に変調することは可能であり、そのときの応答速度も1桁程度悪化する可能性がある程度であり、瞳伝達拡大レンズ系と併用することにより、十分に8MHz以上の変調周波数を得ることは可能である。この場合、実施例2と比較すると、瞳伝達拡大レンズ系が簡素になる。なぜならば、変調周波数は、デバイスの応答速度で決まるが、格子のピッチをできるだけ大きくすると、ビームの分離度は小さくすることができる。
したがって、最小の分離度は、デバイスの大きさによって決まるので、適正に選択すれば、高速な走査を行うことが可能となる。なお、上記した空間変調器53のピクセル自体を図7に示した短冊状にすることにより、駆動回路等を簡素化することもできる。
なお、音響光学素子23においても、ラマンナス回折を生じるような素子を用いれば、変調周波数をfmとすることで、下記式より±1次回折光がfmの変調周波数を有するようにすることができる。
Acos(2πfmt)=A/2((expj{2πfmt)}+expj{−2π/fmt})
この場合、DSB変調のような変調よりも単純な変調信号で同様の効果をもたらすことができる。
尚、上記実施例2から実施例4において受光素子28を用いたが、この受光素子28を省略し、測定対象物G1,G2がないか、対物レンズ31を大きくデフォーカスしておいて2次元走査を行い、2次元走査情報とともにデータ処理部34のメモリに位相情報を蓄えておくようにすることが考えられる。この位相情報は、光学系、電気系の有する位相ずれであるので、これを基準値として、測定対象物G1のある場合の位相情報を補正することにより真の位相情報を取得することができる。このようにすれば、受光素子28が不要になるとともに、測定対象物G1を観測する前に補正値を求めておくことができ、精度の高い計測が可能となる。
このように測定対象物G1,G2を観測する前に補正値を求めておくことで、特に実施例3においては、マイクロ流路に細胞等を流す場合のモニターや細胞形状の判断を行った後に細胞を種わけする等の応用に、絶大な効果をもたらすようになる。
すなわち、マイクロ流路は一方向に細胞等を流す素子であるので、実施例2、3の2次元走査デバイス26の代わりに流路の方向に垂直な方向に走査する1次元走査デバイスを用意すればよい。この様にすれば、基準位相は1次元走査方向のみの非常に少ない点に関する位相をメモリーしておけばよいことになるし、光学系も簡素になる。なお、強度情報を取得しても同様な効果が得られることは前述したことと同様なので、省略する。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明は、測定対象物との間の距離や測定対象物の形状を計測できるだけでなく、顕微鏡等のさまざまな種類の測定機器に適用可能となる。
10 飛行機
11,12 送信アンテナ
13,14 受信アンテナ
16 信号作成装置
17 計測機器
21 レーザー
22 コリメーターレンズ
23 音響光学素子
24 AODドライバー
25 瞳伝達拡大レンズ系
26 2次元走査デバイス
27 偏光ビームスプリッター
28,29 受光素子
30 瞳伝達レンズ系
31 対物レンズ
33 信号比較器
34 データ処理部
49 受光素子
53 空間変調器
G 測定対象物
G1 測定対象物
G2 測定対象物

Claims (6)

  1. 相互に異なる周波数にされたコヒーレントな2つの電磁波を測定対象物上に同一の領域を有しつつ一部ずらして照射する照射手段と、
    前記一部ずらして照射する際のずらした方向に対して略垂直な方向に伸びる境界線を挟んだ測定対象物における少なくとも2つ以上の領域からの電磁波をそれぞれ検出する電磁波検出手段と、
    前記境界線を挟んで対称な位置において電磁波検出手段で検出された電磁波の各々の強度出力信号の差信号や和信号を作成する信号作成手段と、
    この差信号あるいは和信号の実部と虚部を用いて位相差あるいは強度差を求めて測定対象物との間の距離とされる計測値を得る計測手段と、
    を含む距離計測システム。
  2. コヒーレントな光を出射する光源と、
    該光源から出射された光を、相互に異なる周波数に変調させつつ相互に近接した状態に分離して照射される2つの光とする第1の手段と、
    前記2つの光を1次元走査あるいは2次元走査する第2の手段と、
    前記2次元走査された2つの光を測定対象物に照射する第3の手段と、
    前記2つの光が分離された方向に対して略垂直な方向を境界線とし、該境界線を挟んで測定対象物からの反射光あるいは透過光を少なくとも2つ以上に分けて受光する第4の手段と、
    前記境界線を挟んだ領域において第4の手段で受光される光の各々の強度出力信号の差信号や和信号を作成する第5の手段と、
    この差信号あるいは和信号の実部と虚部を用いて位相差あるいは強度差を求めて測定対象物との間の光学的距離とされる計測値を得る第6の手段と、
    を含む距離計測システム。
  3. 前記第1の手段は、音響光学素子または空間変調器とされ、これら音響光学素子または空間変調器に2つの変調信号を加えた請求項2に記載の距離計測システム。
  4. 前記第2の手段の2次元走査には、1次元走査素子を2つ組み合わせてなるものあるいは、2次元走査素子を用いる請求項2または請求項3に記載の距離計測システム。
  5. 前記第3の手段が測定対象物に照射させる光は、平行光、収束光または発散光である請求項2から請求項4のいずれかに記載の距離計測システム。
  6. 前記第6の手段は、変調された2つの周波数の差に基づくヘテロダイン検波を用いたものである請求項2から請求項5のいずれかに記載の距離計測システム。
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