JP6028820B2 - Rh真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法 - Google Patents

Rh真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法 Download PDF

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Description

本発明は、RH真空脱ガス装置で発生するダストを、溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として利用する方法に関する。
溶融鉄の製錬や精錬で発生する排ガスは金属鉄や酸化物などを含有しており、排ガス中に含有される金属鉄や酸化物などは集塵ダクトを経てバグフィルターやサイクロンなどの集塵機で回収されている。本発明では、集塵機で回収された、溶融鉄の製錬や精錬で発生する排ガス中の金属鉄や酸化物などをダストと称す。
このダストの有効利用方法として、転炉で発生するダストや電気炉で発生するダストの利用方法が提案されている。例えば、特許文献1には、転炉などの製鋼設備から発生するダストから分別して回収した、金属鉄の含有量が高く、酸化鉄の含有量が少ない、粒径0.1mm以上の粗粒ダストを、加工を加えることなく鉄源として電気炉に装入する方法が提案されている。また、特許文献2には、電気炉で発生したダストと、破砕された製鋼スラグから磁力選別して回収した粒鉄とを混合し、この混合物を電気炉に鉄源として装入する方法が提案されている。
ところで、溶鋼中のマンガン成分の調整は、通常、転炉や電気炉での精錬後、転炉または電気炉から溶鋼を取鍋に出鋼する際に、または、出鋼後の二次精錬時に、フェロマンガンなどのマンガン系合金鉄を溶鋼中に投入することで実施している。
但し、マンガン系合金鉄は高価であることから、製造コストの低減を目的として、特許文献3には、取鍋内の溶鋼中にマンガン鉱石及び還元剤を投入し、溶鋼、マンガン鉱石、還元剤を攪拌してマンガン鉱石を前記還元剤により還元し、溶鋼中のマンガン成分を増加する精錬方法が提案されている。また、特許文献4には、転炉から取鍋に出鋼された、マンガン酸化物を15〜35質量%含有する転炉スラグを有する溶鋼中に還元剤を投入し、次いで、取鍋内で溶鋼、転炉スラグ、還元剤を攪拌して転炉スラグ中のマンガン酸化物を還元剤で還元し、溶鋼中のマンガン成分を増加する精錬方法が提案されている。
また、特許文献5には、フェロマンガンの製錬工程で発生したマンガン含有ダスト、アルミドロス及びこれらを塊状化するためのバインダーを含有する成形体を、精錬炉から取鍋への出鋼中に取鍋内に投入し、前記アルミドロス中の金属アルミニウムでマンガン含有ダスト中のマンガン酸化物をテルミット反応によって還元し、マンガン含有ダスト中のマンガン分を溶鋼中に回収する精錬方法が提案されている。特許文献5によれば、フェロマンガンの製錬工程で発生するマンガン含有ダストは30質量%以上のマンガン分を含有しており、溶鋼成分調整用のマンガン源として有効利用できるとしている。
特開2008−19510号公報 特開2010−235962号公報 特開昭63−20408号公報 特開昭63−20409号公報 特開2009−79257号公報
溶融鉄の精錬で発生するダストの有効利用に関し、特許文献1、2のように、転炉や電気炉で発生するダストについては、提案されているが、RH真空脱ガス装置で発生するダストについては、従来、提案されていない。これは、RH真空脱ガス装置で発生するダストは少なく、仮に、転炉や電気炉で発生するダストのように鉄源としてリサイクルしても、発生量が少ないことから、リサイクルメリットが回収コストに見合わないことによる。
また、溶鋼成分調整用のマンガン源として、特許文献3、4に提案されるように、マンガン鉱石を使用する方法は、マンガン系合金鉄を使用する方法に比較して製造コストを低減することができる。但し、マンガン鉱石といえども購入品であり、使用量に比例して製造コストは上昇する。従って、特許文献5のように、マンガン鉱石よりも更に安価なマンガン源が望まれる。また、特許文献4のように、転炉スラグを積極的に取鍋内に流出させた場合には、転炉スラグ中の燐酸化物(P25)が還元されて溶鋼中の燐濃度が上昇する、所謂「復燐」の起こる虞がある。
特許文献5は、フェロマンガンの製錬工程で発生したマンガン含有ダストを製鋼工程での溶鋼成分調整用のマンガン源として利用しており、製鋼用原料として安価なマンガン源を見出した点で特出するが、フェロマンガンの製錬工程と製鋼工程とが近接していない場合には、搬送コストなどから却ってコスト高になる虞がある。また、特許文献5は、出鋼時に、アルミドロス中の金属アルミニウムでマンガン含有ダスト中のマンガン酸化物をテルミット反応によって還元するという技術を開示するだけで、その他の還元方法については開示していない。つまり、テルミット反応以外でもマンガン酸化物を効率的に還元することができるが、テルミット反応以外は開示していない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶鋼を減圧下で精錬するRH真空脱ガス装置で発生するダストを、溶鋼の精錬工程で有効利用する方法を提供することである。
本発明者らは、上記解題を解決するべく、検討・研究を行った。以下、検討・研究結果を説明する。
本発明者らは、RH真空脱ガス装置で発生するダストを溶鋼の精錬工程で有効利用することを検討するにあたり、RH真空脱ガス装置で発生するダストの成分組成を調査した。その結果、RH真空脱ガス装置で発生するダストは、転炉や電気炉で発生するダストと異なり、マンガンの含有量が高いことが確認された。これは、RH真空脱ガス装置では減圧下で精錬しており、溶鋼に一般的に含有される合金成分(炭素、珪素、マンガン、燐、硫黄、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、ニオブなど)のなかで、マンガンは蒸気圧が高く、溶鋼中のマンガンが脱ガス精錬中に優先的に気化・蒸発することに基づく。
また、RH真空脱ガス装置で発生するダストは転炉で発生するダストに比較して少量であり、且つ、鉄分も転炉ダストと比較すると低位であり、鉄源としての有効利用価値は低位である。一方、マンガン濃度は他のダストと比較して高位であり、特にRH真空脱ガス装置で処理した鋼種のマンガン濃度が高ければ高い程、回収されるダストのマンガン濃度が高くなる。
これらの事象から、RH真空脱ガス装置で発生するダストをマンガン源として利用することで鉄源として利用するよりも遥かに高いメリットを享受できることがわかった。
一方、RH真空脱ガス装置で発生するダスト中のマンガンは酸化物として存在する。マンガンは、溶鋼の脱酸剤として通常使用されるアルミニウムや珪素などに比較して酸素との親和力が弱く、マンガン酸化物は溶鋼中のアルミニウムや珪素などで容易に還元される。そこで、RH真空脱ガス装置で発生するダストをマンガン源としてリサイクルするにあたり、溶鋼の還元精錬工程で使用することで、容易に還元できるとの知見を得た。ここで、溶鋼の還元精錬工程とは、脱酸された溶鋼を不活性ガス雰囲気、非酸化性雰囲気、或いは、減圧下で精錬する工程であり、例えば、脱酸された溶鋼とこの溶鋼上に存在するスラグとを不活性ガス雰囲気下で攪拌する精錬などである。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]RH真空脱ガス装置で発生するダストを回収し、溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として溶鋼の還元精錬工程で使用することを特徴とする、RH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
[2]RH真空脱ガス装置で発生するダストが減圧下で発生するダストであることを特徴とする、上記[1]に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
[3]前記ダストをブリケット化し、ブリケット化したものを前記マンガン源として使用することを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
[4]前記ダストの回収期間中におけるRH真空脱ガス装置での処理対象鋼種のマンガン濃度成分規格値の平均値から、前記ダストのマンガン濃度を推定することを特徴とする、上記[1]ないし上記[3]の何れか1項に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
[5]不活性ガスの溶鋼中への吹き込みによって取鍋内の溶鋼浴面上に存在するスラグと溶鋼とを攪拌する精錬時に、前記ダストを取鍋内に添加し、予め添加した還元剤または前記ダストともに添加した還元剤で前記ダストを還元することを特徴とする、上記[1]ないし上記[4]の何れか1項に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
[6]前記スラグと前記溶鋼とを攪拌する精錬が溶鋼の脱硫処理であり、脱硫処理開始から脱硫処理終了までの精錬時間の1/3の時間が経過するまでに、前記ダストを取鍋内に添加することを特徴とする、上記[5]に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
本発明によれば、RH真空脱ガス装置で発生するダストを溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として利用するので、ダストの廃棄処分を行う必要がないのみならず、ダストの有効利用が実現される。また、鉄源よりも高価なマンガン源としてリサイクルするので、単に鉄源としてリサイクルする場合と比較してメリットが大きい。また更に、フェロマンガンなどのマンガン系合金鉄として添加したマンガン分のうちの脱ガス精錬中に気化したマンガン分を再度成分調整用として添加するので、新たに使用するマンガン系合金鉄の使用量を削減することができ、製造コストの削減に寄与する。
RH真空脱ガス装置の1例の概略図である。 RH真空脱ガス装置での処理対象鋼種の平均マンガン濃度と、そのRH真空脱ガス装置で発生したダストのマンガン濃度との関係を示す図である。 RH真空脱ガス装置から回収したダストの粉末X線回折装置による分析結果を示す図である。 RH真空脱ガス装置から回収したダストの粒度分布の測定結果を示す図である。 取鍋精錬炉の1例の概略側面図である。 取鍋内に添加したRHダストのマンガン純分あたりの原単位と、溶鋼中マンガン濃度の増加量との関係を示す図である。 取鍋精錬炉での脱硫処理後の溶鋼中硫黄濃度をRHダストの添加の有無で比較して示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
図1は、RH真空脱ガス装置の1例の概略図である。図1において、符号1は真空槽、2は溶鋼を収容した取鍋、3は取鍋の昇降装置、4は原料投入装置、5は排気ダクト、6はダストセパレーター、7はガスクーラー、8は遮断弁ボックス、9はブースター(第1ブースター)、10はブースター(第2ブースター)、11はブースター(第3ブースター)、12、13、14、15はコンデンサー、16はホットウェル、17は排気管、18はラガーバック、G.Lはグランドレベルである。ブースター9、10、11は、ブースター内に供給される蒸気によって真空槽内を排気し、コンデンサー12、13、14、15はブースター9、10、11に供給された蒸気を凝縮させ、ホットウェル16はコンデンサー12、13、14、15で凝縮された水を集めると同時に、この水を循環使用するための装置である。
このRH真空脱ガス装置では、排気ダクト5から排出された排ガスは、ダストセパレーター6、ガスクーラー7、遮断弁ボックス8を経由し、ブースター9、ブースター10、ブースター11によって排気され、コンデンサー12、13、14、15を経由した後、排気管17から大気に放散されるように構成されている。図1では、直列に連結された3つのブースターと直列に連結された4つのコンデンサーとで、真空槽内を減圧するように構成されているが、ブースターやコンデンサーの設置数は、所望する排気能力に応じて適宜設定されるものである。また、ブースターの替わりにエジェクターを用いることもできる。
RH真空脱ガス装置では、溶鋼(図示せず)を収容した取鍋2を昇降装置3で上昇させ、取鍋内の溶鋼を真空槽1の下部に設置される上昇側浸漬管1a及び下降側浸漬管1bに浸漬させる。そして、上昇側浸漬管1aに設置された環流用ガス吹き込み管(図示せず)から、アルゴンガスなどの不活性ガスを上昇側浸漬管1aの内部に吹き込むとともに、ブースター9、10、11に蒸気を供給して真空槽1の内部を減圧する。真空槽1の内部が減圧されると、取鍋内の溶鋼は、環流用ガス吹き込み管から吹き込まれる不活性ガスによるガスリフト効果によって、不活性ガスとともに上昇側浸漬管1aを上昇して真空槽1の内部に流入し、その後、下降側浸漬管1bを経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
真空槽内で発生したダストは、ブースター9、10、11で真空引きされることによって排気ダクト5に吸引され、重力沈降式の慣性力集塵機のダストセパレーター6或いは付着ダストの掻き落し機能を有するガスクーラー7、及び、重力沈降式集塵能力も備える遮断弁ボックス8で捕捉される。捕捉されたダストは、定期的にダスト排出弁を開放して地上へ排出し、ラガーバック18でダストを回収する。
回収したダストの組成分析結果を表1に示す。表1において、ダストAは、マンガン濃度が0.4質量%以下の極低炭素アルミキルド鋼を主たる処理対象とするRH真空脱ガス装置で発生したダストである。ダストBは、マンガン濃度が1.0質量%以上の高張力アルミキルド鋼を主たる処理対象とするRH真空脱ガス装置で発生したダストである。ダストCは、マンガン濃度が1.0質量%以上の高張力アルミキルド鋼と、マンガン濃度が0.4質量%以下の極低炭素アルミキルド鋼との両者を主たる処理対象とするRH真空脱ガス装置で発生したダストである。ダストA〜Cは、それぞれ真空処理の80〜100チャージ程度に相当する。
Figure 0006028820
表1に示すように、ダストAのマンガン濃度は12質量%であるのに対し、ダストBのマンガン濃度は51質量%であり、RH真空脱ガス装置で処理対象とする鋼種のマンガン濃度が高い場合には、ダストのマンガン濃度が高くなることがわかった。つまり、回収されたダストは、マンガン濃度が高い上に、燐、硫黄などの不純物が少ないことから、マンガン源として最適であることがわかった。
図2は、RH真空脱ガス装置での処理対象鋼種の平均マンガン濃度と、そのRH真空脱ガス装置で発生したダストのマンガン濃度との関係を示す図である。図2の横軸の平均マンガン濃度は、各鋼種のマンガン規格値の中央値を各鋼種のマンガン濃度(Ci)として、各鋼種の処理チャージ数(ni)から求めたものである(平均マンガン濃度=ΣCi×ni/Σni)。
図2からも明らかなように、回収されるダストのマンガン濃度は処理対象鋼種の平均マンガン濃度と相関関係があり、ダストの回収期間中におけるRH真空脱ガス装置での処理対象鋼種のマンガン濃度成分規格値の平均値から、回収されるダストのマンガン濃度を推定することができることがわかった。
これによりマンガン濃度の高いダストを選択的に回収することでメリットの増大を図ることが可能となる。また、マンガン濃度の低い鋼種を溶製する場合には、マンガン濃度の低いダストを使い分けることができ、マンガン濃度の低いダストも無駄なくリサイクルすることができる。
RH真空脱ガス装置から回収したダストの粉末X線回折装置による分析結果を図3に示す。図3に示すように、ダスト中のマンガンは、Mn34やMnOの酸化物の形態で存在している。従って、マンガンとして溶鋼中に回収するためには、ダストを金属アルミニウムやフェロシリコンなどで還元することが必要である。
また、RH真空脱ガス装置から回収したダストの粒度分布の測定結果を図4に示す。ダストは粒径が0.5mm以下のものが主体であり、発生したダストをそのままマンガン源として溶鋼の還元精錬工程で使用することは可能であるが、ハンドリングの容易さや添加時の飛散ロスを削減するために、バインダーを用いてブリケット化することが好ましい。
ブリケットの大きさは、特に規定する必要はないが、例えば、25mm直径程度の円盤状のブリケットや、横30mm×縦25mm×幅17mm程度の長方形のブリケットなどとすればよい。使用するバインダーとしては、ベントナイト、ポリビニルアルコール、デンプンなどの水を含有するもの、及び、ロウ、糖蜜などの水を含有しないもののいずれも使用可能である。
本発明では、RH真空脱ガス装置から回収したダストを、溶鋼の還元精錬工程(脱酸された溶鋼を不活性ガス雰囲気、非酸化性雰囲気、或いは、減圧下で精錬する工程)で、溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として使用する。
この溶鋼の還元精錬工程を行う精錬設備としては、インジェクションランスまたは底吹きポーラス煉瓦から吹き込む攪拌用ガスによって、取鍋内の溶鋼とこの溶鋼上に存在するスラグとを不活性ガス雰囲気下で攪拌し、溶鋼とスラグとの間でスラグ−メタル間反応を起こして溶鋼を精錬する取鍋精錬炉(LF炉とも呼ぶ)が最適である。また、取鍋精錬炉では、溶鋼とスラグとを反応させ、溶鋼中の硫黄をスラグ中に除去する脱硫処理が一般的に行われている。
つまり、RH真空脱ガス装置から回収したダスト(以下、「RHダスト」とも記す)を、取鍋精錬炉における溶鋼の脱硫処理で使用することが好ましい。尚、取鍋精錬炉における脱硫処理は、脱硫能力の高い脱硫用スラグと溶鋼とを攪拌して、溶鋼中の硫黄を脱硫用スラグ中に吸収させるという方法で行う。従って、取鍋内に脱硫能力の高い脱硫用スラグを形成させるために、石灰系脱硫剤(CaO系脱硫剤)を主とし、必要に応じて、石灰系脱硫剤の滓化促進剤としてアルミナ源(Al23源)またはシリカ源(SiO2源)を併用し、これらをフラックスとして添加する。これらのフラックスと取鍋内のスラグとが反応して、脱硫用スラグが形成される。また、溶鋼はアルミニウムを0.01質量%以上含有させるなどして、脱硫処理前に脱酸処理する。
図5に、取鍋精錬炉の1例を概略側面図で示す。図5において、21は取鍋精錬炉、22は取鍋、23は昇降式の蓋、24はアーク加熱用の電極、25、26はインジェクションランス、27、28は底吹きポーラス煉瓦、29は溶鋼、30は脱硫用スラグ、31は原材料投入シュート、32は不活性ガス導入管である。
取鍋精錬炉21では、台車(図示せず)に積載された、溶鋼29を収容する取鍋22を蓋23の直下の所定位置に配置し、蓋23を下降させて取鍋22の上端部に密着させ、その状態で不活性ガス導入管32からアルゴンガスなどの不活性ガスを供給して取鍋22と蓋23とで囲まれる空間を不活性ガス雰囲気とする。この時点で原材料投入シュート31を介して脱硫用フラックスを添加する。脱硫用フラックスは転炉からの出鋼時に取鍋内に添加しても構わない。
次いで、溶鋼29にインジェクションランス25および/またはインジェクションランス26を浸漬させ、インジェクションランス25、インジェクションランス26、または、底吹きポーラス煉瓦27、28のうちの少なくとも一箇所から溶鋼29に攪拌用ガスとしてアルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込み、溶鋼29を攪拌して取鍋精錬炉21における精錬を開始する。溶鋼29を攪拌することによりフラックスが溶鋼29と混合され、フラックスの滓化が進行して脱硫用スラグ30が生成される。この場合、溶鋼29の攪拌を開始した後、必要に応じて電極24に通電してアークを発生させ、溶鋼29を加熱するとともに添加したフラックスの滓化を促進させてもよい。
生成した脱硫用スラグ30は、溶鋼29の攪拌によって溶鋼29と攪拌・混合される。溶鋼29はアルミニウムを0.01質量%以上含有するので、つまり、溶鋼29の酸素ポテンシャルは低いので、溶鋼29と脱硫用スラグ30との間でスラグ−メタル間反応が発生し、溶鋼中の硫黄が脱硫用スラグ中に移行する脱硫反応が発生する。
溶鋼29の硫黄濃度が所定の値に達し、且つ、溶鋼温度が所望する温度になったなら、インジェクションランス25、26或いは底吹きポーラス煉瓦27、28からの不活性ガスの吹込みを停止し、脱硫処理、つまり、取鍋精錬炉21における精錬を終了する。
この脱硫処理時に、RHダストをマンガン源として取鍋22の内部に添加する。RHダストは酸化物を主体としており、脱硫スラグ30の酸素ポテンシャルを高め、脱硫スラグ30のサルファイドキャパシティーが低下して脱硫反応を阻害する可能性がある。しかしながら、脱硫処理の初期は転炉から流入した転炉スラグにも低級酸化物が存在しており、それらが還元されるまでは脱硫の進行は遅く、RHダストも同じく脱硫処理の初期で添加することで、脱硫阻害影響は起こらない。即ち、脱硫処理の処理初期時期、具体的には精錬開始から精錬終了までの精錬時間の1/3の時間が経過するまでに、RHダストを添加することが好ましい。
添加したRHダストは、石灰系脱硫剤などのフラックスと混合され、溶鋼29の攪拌による脱硫用スラグ30の形成と同時に、RHダストは還元され、溶鋼中のマンガン濃度が上昇する。RHダストの一部は、脱硫用スラグ30に溶解するが、脱硫用スラグ30の酸素ポテンシャルは低く、脱硫用スラグ30と溶鋼29とを強攪拌することで、脱硫用スラグ中のマンガン酸化物も還元される。
また、取鍋精錬炉21での精錬開始からRHダストの添加終了までの期間に、還元剤としてアルミニウム(金属アルミニウム、Fe−Al合金など)を溶鋼中に添加することが好ましい。RHダストの添加終了までの期間に、アルミニウムを取鍋内に添加することで、溶鋼29及び脱硫用スラグ30の酸素ポテンシャルがより一層低下し、脱硫反応が促進されるとともに、RHダストの還元が促進され、マンガン歩留りが上昇する。
また、脱硫処理を実施する場合、石灰系脱硫剤及びアルミナ源を添加するが、RHダストを添加すると、還元材としてアルミニウムが使用されることによってAl23が生成するので、その分、アルミナ源の供給量を低減することが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、RH真空脱ガス装置で発生するダストを溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として利用するので、ダストの廃棄処分を行う必要がないのみならず、ダストの有効利用が実現される。また、鉄源よりも高価なマンガン源としてリサイクルするので、単に鉄源としてリサイクルする場合と比較してメリットが大きい。また更に、フェロマンガンなどのマンガン系合金鉄として添加したマンガン分のうちの脱ガス精錬中に気化したマンガン分を再度成分調整用として添加するので、新たに使用するマンガン系合金鉄の使用量を削減することができ、製造コストの削減に寄与する。なお、RH真空脱ガス装置で発生するダストが減圧下で発生するダストであると、Mnが濃縮しやすくダストのリサイクルに有利である。ここで、減圧下とはRH真空槽内の圧力が300Torr(40kPa)以下の場合を言う。なお、圧力が2Torr(267Pa)以下であると、更に好ましい。
RH真空脱ガス装置において圧力2Torr(267Pa)以下の減圧下で発生したダストを回収し、回収したRHダストを、デンプンをバインダーとして横30mm×縦25mm×幅17mmの長方形のブリケットに成型し、このブリケットを図5に示す取鍋精錬炉における溶鋼の脱硫処理で溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として使用した。ブリケットのマンガン濃度は、表1に示すダストCと同等であった。溶鋼は、転炉から取鍋への出鋼時に金属アルミニウムで脱酸し、脱硫処理前の溶鋼中アルミニウム濃度を0.010質量%以上を確保した。
RHダストは、全量、脱硫処理開始直後に取鍋内に添加した。また、RHダストを効率的に還元するために、RHダストと同時に、RHダストの投入量の2倍の質量の金属アルミニウムを取鍋内に投入した。脱硫用のフラックスとしては、モル比でCaO:Al23=1:1のカルシウムアルミネートを使用し、インジェクションランスから700NL/minのアルゴンガスを吹き込んで、脱硫処理を行った。カルシウムアルミネートの投入量は、通常の脱硫処理の場合に比較して、RHダストの投入量の0.8倍分を減量した。取鍋精錬炉における脱硫処理時間は17〜22分であった。
図6に、取鍋内に添加したRHダストのマンガン純分あたりの原単位と、溶鋼中マンガン濃度の増加量との関係を示す。図6には、マンガン歩留りが100%の場合を実線で、また、マンガン歩留りが80%の場合を破線で示す。このマンガン歩留りは、脱硫処理での溶鋼中マンガン濃度の増加量を、RHダスト中のマンガン純分に対して百分率で示す値である。
図6は、14チャージの結果を示しており、マンガン歩留りは最低で77%となり、最高ではほぼ100%であった。図6において、2点のプロットでマンガン歩留まりが100%を超えているのは、出鋼時に転炉から取鍋内に流出した転炉スラグに含有されていたマンガン酸化物が還元され、RHダストから還元されたマンガン分に上乗せされたためと考えられる。
また、図7に、取鍋精錬炉での脱硫処理後の溶鋼中硫黄濃度をRHダストの添加の有無で比較して示す。脱硫処理開始直後にRHダストを添加することにより、脱硫処理後の溶鋼中硫黄濃度はRHダストを添加しない場合と同等であり、RHダストの添加による脱硫反応への阻害影響はないことが確認できた。
1 真空槽
1a上昇側浸漬管
1b下降側浸漬管
2 取鍋
3 昇降装置
4 原料投入装置
5 排気ダクト
6 ダストセパレーター
7 ガスクーラー
8 遮断弁ボックス
9 ブースター
10 ブースター
11 ブースター
12 コンデンサー
13 コンデンサー
14 コンデンサー
15 コンデンサー
16 ホットウェル
17 排気管
18 ラガーバック
21 取鍋精錬炉
22 取鍋
23 蓋
24 電極
25 インジェクションランス
26 インジェクションランス
27 底吹きポーラス煉瓦
28 底吹きポーラス煉瓦
29 溶鋼
30 脱硫用スラグ
31 原材料投入シュート
32 不活性ガス導入管

Claims (6)

  1. RH真空脱ガス装置で発生する、マンガンをMnOまたはMn の形態で含むダストを回収し、溶鋼のマンガン成分調整用のマンガン源として溶鋼の還元精錬工程で使用することを特徴とする、RH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
  2. RH真空脱ガス装置で発生するダストが減圧下で発生するダストであることを特徴とする、請求項1に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
  3. 前記ダストをブリケット化し、ブリケット化したものを前記マンガン源として使用することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
  4. 前記ダストの回収期間中におけるRH真空脱ガス装置での処理対象鋼種のマンガン濃度成分規格値の平均値から、前記ダストのマンガン濃度を推定することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
  5. 不活性ガスの溶鋼中への吹き込みによって取鍋内の溶鋼浴面上に存在するスラグと溶鋼とを攪拌する前記還元精錬工程において、前記ダストを取鍋内に添加し、予め添加した還元剤または前記ダストともに添加した還元剤で前記ダストを還元することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
  6. 前記還元精錬工程は、溶鋼の脱硫処理であり、脱硫処理開始から脱硫処理終了までの精錬時間の1/3の時間が経過するまでに、前記ダストを取鍋内に添加することを特徴とする、請求項5に記載のRH真空脱ガス装置で発生したダストのリサイクル方法。
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