JP6028533B2 - 選択性透過膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水処理分野で使用される選択性透過膜の製造方法に係り、特にリン脂質二重膜よりなる被覆層を有する選択性透過膜の製造方法に関する。また、本発明は、この方法により製造された選択性透過膜に関する。
海水やかん水の淡水化、排水回収等の分野で選択性透過膜として逆浸透(RO)膜が使用されている。RO膜の材料としては、酢酸セルロースやポリアミドが用いられている。酢酸セルロースRO膜は、加水分解されやすく、汚染時にアルカリ洗浄ができないといった課題がある。ポリアミドRO膜は、アルカリ洗浄が可能であるが、酢酸セルロース膜と比較して生物代謝物等による膜汚染を起こし易いという課題がある。
リン脂質は、生物の細胞表面を構成する物質であり、生体適合材料として、医療器具や人工臓器の表面にコーティングする手法が知られている(非特許文献1)。このコーティングによりバイオミメティックな表面を構築することができれば、生物代謝物による汚染が起こり難いことが期待される。
選択透過膜の耐汚染性を向上させるためにリン脂質コーティングを行うことも検討されており、耐汚染性が上がることが報告されている(非特許文献2,3)。
リン脂質に代表される、親水基と疎水基とを有し、脂質2重層(lipid bylayer)やリポソームを形成する物質(以下、リン脂質と表記することがある。)を基材表面に吸着させる方法として、ラングミュラーブロジェット法が挙げられる。例えば、同方法でトリブロックコポリマーマトリックスに膜タンパク質を組み込んで成膜する方法(特許文献1)、透過性支持体層でアクアポリンをサンドイッチ構造にする方法(特許文献2)がある。
リン脂質二重膜よりなるベシクルを平板に吸着させて平膜状のリン脂質二重膜を形成する方法として、ベシクル融合法がある(非特許文献4,5)。非特許文献4のp.209左欄のFig.2には、球殻状ベシクルが固体基板の表面に付着(吸着)し、融合、開裂、展開して平面脂質膜が形成される現象が図示されている。同欄の13〜15行には、ベシクル融合による膜形成では直径30〜200nmのベシクルを用いるのが一般的であると記載されている。
非特許文献5には、NF膜の表面にベシクル融合法でリン脂質層を形成させる方法が記載されている。選択性透過膜としての機能を発現させるためには、ベシクル融合法で形成されるリン脂質層をコントロールすることが重要となる。非特許文献5には、100nm(0.1μm)の孔径のポリカーボネートトラックエッチング膜(孔径の制御されたMF膜)で10回濾別して得た微細ベシクルを用いて被覆層を形成することが記載されている(非特許文献5のP.7389右欄21〜25行)。
特許第4444917号 特表2008−540108号
Y.Yao et al., TransMater Res Soc Jpn, Vol.36 (2011), 573-576 市村重俊, 澤井淳, 神奈川工科大学先端工学研究センター研究所研究報告, Vol.15 (2011),251-253 長谷川毅ら, 高分子学会予稿集, Vol.49 (2000),3941-3942 古河一暁ら,表面科学 Vol.30, No4 (2009), pp.207-218 Y.Kaufman et al.,Langmuir, Vol.26 (2010), 7388-7395
非特許文献5の上記P.7389右欄には、粒径100nm以下のベシクルと、チャンネル物質としてのアクアポリンとを含む液をNF膜に付着させて被覆層を形成することが記載されている。
このように粒径の小さいベシクルを用いると、形成される被覆層に欠陥(例えばボイド、クラックなど)が生じ易くなることが種々の研究の結果見出された。このような欠陥を防止するために被覆層の膜厚を大きくすることが考えられるが、膜厚を大きくすると透過性が低下する。
本発明は、リン脂質二重膜よりなる被覆層を有し、分離性能に優れた選択透過膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の選択性透過膜の製造方法は、選択的透過性を有した膜本体と、該膜本体の表面に形成されたリン脂質二重膜よりなる被覆層とを有する選択性透過膜の製造方法であって、リン脂質二重膜のベシクルの分散液と該膜本体とを該リン脂質二重膜の相転移温度よりも高い温度にて接触させて該被覆層を形成するベシクル融合工程を有する選択性透過膜の製造方法において、該ベシクルの平均粒径が0.5〜5μmであることを特徴とするものである。
リン脂質二重膜を構成する両親媒性分子の分子量は200〜2000であることが好ましい。
前記ベシクルの分散液は、粒径0.5μm未満の微細ベシクルを含むことを特徴とする。
前記ベシクルはチャンネル物質を含有することが好ましい。
チャンネル物質としては、グラミシジン、アムホテリシンB、ヘモリシン、又はアクアポリンが好ましい。
前記膜本体としてはNF膜が好ましい。
なお、本発明において、ベシクルの平均粒径とは、動的光散乱法によって測定される散乱強度から求めた、粒度分布における50%累積値である。具体的には、動的光散乱法により検出された散乱強度を、ヒストグラム法のMarquadt解析法で解析することにより求めたベシクル粒度分布において、小粒径側から頻度を累積した際の50%累積値である。この粒度分布の測定には、例えば、大塚電子(株)製の電気泳動光散乱光度計ELSZ−2等の、動的光散乱法により粒度分布を測定できる装置を好適に用いることができる。また、上記の解析処理は、付属のソフトウェアにより行うことができる。
発明者は、研究の結果、ベシクル融合法でリン脂質のベシクルを基材となる選択透過膜(NF膜等)に吸着させる際のベシクルサイズがリン脂質層の特性に影響を与え、チャネル物質を組み込んだ被覆層の性能に影響を与えることを見出した。
前述の非特許文献5のように小粒径のベシクルのみを使用して被覆層を形成すると、被覆層に欠陥が生じやすくなり、欠陥の生成を抑制するために厚い吸着層を形成する必要が生じてしまう。このような厚膜は、チャネル物質のチャネルとしての性能を引き出す上で大きな障害となる。ところが、平均粒径が0.5〜5μmのベシクルを使用すると、1つのベシクルがカバーする基材表面が広くなると共に、小ベシクルが隙間を埋める。これにより、吸着層を厚くすることなく、欠陥のないリン脂質二重層を形成することができる。
本発明によると、NF膜の表面に、親水基と疎水基を有するリン脂質二重膜よりなる被覆層が形成される。好ましくはこの被覆層にチャネル物質を含有させることによって、耐汚染性、分離性能が高く、安定な選択透過膜が提供される。
本発明では、ベシクルを吸着させて被覆層を形成するに際し、ベシクルの流動性を上昇させるため、リン脂質の相転移温度よりも5〜40℃高い温度で吸着させるのが好ましい。
本発明においては、水の透過部となるチャネルを形成する化合物(チャンネル物質)をベシクルに含有させることが好ましい。このチャンネル物質としては、グラミシジン、アムホテリシンB、ヘモリシン、アクアポリンなどを挙げることができる。
実験設備の模式的説明図である。 図1の平膜セルの縦断面図である。 ベシクルの粒径分布図である。 ベシクルの粒径分布図である。 ベシクルの粒径分布図である。
本発明方法では、ベシクル分散液と選択的透過性を有した膜本体とを接触させて該膜本体の表面にリン脂質二重膜よりなる被覆層を形成する。
この膜本体としては、NF膜、UF膜、又はMF膜を用いることができるが、表面が平坦であることからNF膜とUF膜が好ましく、特にNF膜が好適である。
本発明では、リン脂質よりなる平均粒径0.5〜5μmのベシクルを用いて膜本体の表面にベシクル融合法により被覆層を形成する。ベシクルを構成するリン脂質としては、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)などが挙げられる。
ベシクルを形成するに際しては、まずリン脂質を好ましくはチャンネル物質と共に溶媒に溶解させる。チャンネル物質としては、グラミシジン、アムホテリシンB、ヘモリシン、アクアポリンなどを用いることができる。
リン脂質とチャンネル物質との混合割合は、両者の合計に占めるチャンネル物質の割合が1〜20モル%特に3〜10モル%となる程度が好適である。
平均粒径0.5〜5μmのベシクル分散液は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で製造可能である。
まず、リン脂質とチャンネル物質とを溶媒に溶解させる。リン脂質とチャンネル物質を溶解させるための溶媒としては、クロロホルム、クロロホルム/メタノール混合液などを用いることができる。
次に、リン脂質とチャンネル物質との0.1〜1.0wt%特に0.2〜0.5wt%溶液を調製し、減圧乾燥させることにより、乾燥脂質膜を得、これに純水を添加し、リン脂質の相転移温度よりも高い温度とすることにより、球殻形状を有したベシクルの分散液とする。
本発明の一態様では、このベシクル分散液を孔径0.05〜0.8μmのポアを有した膜(例えばポリカーボネートトラックエッチング膜)で濾過して粒径0.05〜0.8μm又はそれ以下の球殻状ベシクルの分散液とする。次いで、このベシクル分散液を、リン脂質の相転移温度よりも高い温度と、凍結温度以下とに繰り返し保持する凍結融解法により、球殻状ベシクルを粒成長させて、平均粒径が0.5〜5μmのものとする。
本発明の別の一態様では、かかる凍結融解処理を施すことなく、そのまま平均粒径0.5〜5μmのベシクル分散液として用いる。
本発明で用いるベシクル分散液のベシクルの平均粒径は、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜5μmである。このベシクル分散液には、平均粒径が0.5μm未満(例えば粒径0.1μm〜0.5μm)のものを含有させてもよい。このように小粒径のベシクルを含有させると、得られる膜が緻密化する。また、ベシクル分散液のベシクルの粒度分布は、動的光散乱法による散乱強度の25%累積値が0.5μm以上であり、散乱強度の75%累積値が5μm以下であることが膜を緻密化させるためには好ましい。
このベシクル分散液と膜本体とを接触させる。このベシクル分散液の温度を相転移温度以上とし、好ましくはリン脂質の相転移温度よりも、5〜40℃特に10〜30℃高い温度とし、このベシクル分散液に接触させた状態に0.5〜6Hr特に1〜3Hr程度保つことにより、膜本体の表面にベシクルを吸着させ、リン脂質二重膜の被覆層を形成する。その後、被覆層付きの膜本体を溶液から引き上げ、必要に応じ超純水又は純水で水洗することにより、リン脂質二重膜の被覆層を有した選択性透過膜が得られる。
リン脂質二重膜の厚さは1〜30層特に1〜15層程度であることが好ましい。この被覆層の表面にポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、タンニン酸などのアニオン性物質を吸着させてもよい。リン脂質二重膜の表面はカチオン性の親水基が存在しているため、アニオン性の物質を接触させることで定着させることができる。
本発明では、ジミリストリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)などのカチオン性脂質をベシクルに導入することが好ましい。このようにカチオン性脂質を導入することにより、リン脂質ベシクルに正電荷が付与される。この理由は次の通りである。
ベシクル融合の際はHCl添加でpHを下げているため、両性リン脂質(DPPC、DMPCなど)は正電荷を有する。従って、このDMTAP等を導入しなくても、支持膜にリン脂質が吸着される。しかし、DMTAP、DOTAPのようなカチオン性脂質を添加していないと、成膜後、純水で洗浄した際にpHが中性になるため、静電的相互作用が働かなくなり、次第にコーティングしたリン脂質が剥がれるという現象が生じる可能性がある。DMTAP、DOTAP等のカチオン性脂質をベシクルに導入しておくと、かかるリン脂質の剥離が防止される。なお、リン脂質にPOPCを用いた際は、相転移温度に影響を与えないよう不飽和カチオン脂質であるDOTAPを添加することが好ましい。DMTAPのようなカチオン性脂質と、DPPCなどの両性のリン脂質との配合比は、好ましくはモル比で、DMTAP/(リン脂質+DMTAP)=5〜40モル%、より好ましくは、10〜30モル%である。
以下、実施例及び比較例について説明する。
[NF膜]
以下の実施例及び比較例では、NF膜としてスルホン化ポリエーテルスルホン系ナノ濾過膜NTR−7450(日東電工製、純水透過係数27〜38×10−12m/(sPa)、透過流束1.75〜2.46m/(md)、脱塩率0.50〜0.55)を用いた。
[膜の性能試験装置]
以下の実施例及び比較例で使用した膜の性能評価装置を図1,2に示す。供試膜Mは、図2の通り、平膜セル10に装着される。このセル10は、下半体11と上半体12との間に多孔質支持板13が挟持され、この多孔質支持板13の下面側に供試膜Mを配置し、Oリング14でシールするよう構成したものである。下半体11内にはスターラー16の撹拌子17が配置されている。
被処理水をポンプ1によって下半体11内に流入口2から供給し、透過水を取出口3から流出させ、濃縮水を排出口4から排出管5へ排出させる。排出管5には、背圧バルブ6が設けられている。
[膜性能の評価方法]
膜性能の評価水としては、純水、500ppm塩化ナトリウム水溶液、および100ppm尿素水溶液を使用した。その際の操作圧力は0.75MPaであり、水温は25℃±2℃である。透過流束、純水透過係数、脱塩率及び尿素阻止率は以下の式で求めた。
透過流束[m/s]=透過流量[m/s]/膜面積[m]×温度補正係数[−]
純水透過係数[m/(sPa)]=純水透過流束[m/s]/操作圧力[Pa]
脱塩率[−]=1−透過水電気伝導度[mS/m]/濃縮水電気伝導度[mS/m]
尿素阻止率[−]=1−透過水TOC[mg/L]/濃縮水TOC[mg/L]
[相転移温度の測定方法]
相転移温度はDSC(示差操作熱量計)で測定した。使用した装置は、Perkin Elmer製のDSC8500である。この装置により測定されたリン脂質もしくはそのチャンネル物質混合物の相転移温度は次の通りである。
DPPC/DMTAP/GA(モル比76/19/5):45.23℃
DPPC:41.4℃
DMPC:23.9℃
DMPC/DMTAP/GA(モル比76/19/5):26.9〜29.9℃
POPC:−2.9℃
[実施例1]
ベシクルを構成するリン脂質としてジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)を用い、カチオン性脂質としてジミリストイルトリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)を用い、ベシクルに導入するチャネル物質としてグラミジンA(GA)を用いた。
リン脂質とチャネル物質は、50:50vol%のクロロホルム/メタノールに溶解し、混合比としてDPPC/DMTAP/GA=76/19/5(mol%)の0.3wt%溶液を調製した。ベシクルの作製には、減圧下で有機溶媒を蒸発させることで容器内に残存した乾燥脂質膜に純水を添加し、DPPC/DMTAP/GAから構成される薄膜を60℃で水和させた。得られた球殻状ベシクルの分散液を孔径0.2μmのポリカーボネートトラックエッチング膜で濾過して粒径0.2μm以下に小径化したのち、液体窒素と60℃の湯浴に交互に浸漬させる操作を5回繰り返す凍結融解法により、粒成長させた。
このベシクル分散液のリン脂質濃度が1.5mMになるように純水で希釈し、希塩酸を加えpHを2.0に調整した。動的光散乱法(大塚電子製・ELSZ−2を使用)によりベシクルの粒径分布を測定した結果を図3に示す。調製されたDPPC/DMTAP/GAベシクルの平均粒径は2300nm(2.3μm)であった。このベシクルは、粒径0.5μm以下のものを実質的に含んでいない。このベシクル分散液とNF膜NTR−7450(日東電工)とを接触させ、60℃に加熱した恒温槽中で3時間静置し、NF膜表面にベシクルを吸着させた。その後、膜を水中から引き上げ、純水で洗浄した。
このDPPC/DMTAP/GAよりなるベシクル吸着層を形成させたNF膜の特性を評価したところ、純水透過係数2.2×10−12min/(sPa)、純水透過流束0.14m/(md)、脱塩率0.95、尿素阻止率0.45であった。吸着量から算出されるリン脂質二重層の厚さは10層であった。
[実施例2]
ベシクルを構成するリン脂質としてジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)を用い、カチオン性脂質としてDMTAPを用い、ベシクルに導入するチャネル物質としてGAを用いた。リン脂質、カチオン性脂質及びチャネル物質は、50:50vol%のクロロホルム/メタノールに溶解し、混合比としてDMPC/DMTAP/GA=76/19/5[mol%]の0.3wt%溶液を調製した。この溶液を減圧して有機溶媒を蒸発させた後、容器内に残存した乾燥脂質膜に純水を添加し、DMPC/DMTAP/GAから構成される薄膜を45℃で水和させた。次いで、ベシクル分散液のリン脂質濃度が1.5mMになるように純水で希釈し、希塩酸を加えpHを2.0に調整した。動的光散乱法(実施例1と同じ装置を使用)によりベシクルの粒径分布を測定した結果を図4に示す。調製されたDMPC/DMTAP/GAベシクルの平均粒径は940nm(0.94μm)であり、粒径0.1〜0.2μmの微細なものを散乱強度分布で4%含んでいた。
このベシクル分散液とNF膜NTR−7450(日東電工)を接触させ、45℃に加熱した恒温槽中で3時間静置し、NF膜表面にベシクルを吸着させてDMPC/DMTAP/GAの被覆層を有したNF膜を製造した。この被覆層付きNF膜の特性を評価したところ、純水透過係数2.1×10−12m/(sPa)、純水透過流束0.14m/(md)、脱塩率0.98、尿素阻止率0.58であった。吸着量から算出されるリン脂質二重層の厚さは5層であった。
[比較例1]
DPPC/DMTAP/GAから構成される薄膜を60℃で水和させた後に、液体窒素と60℃の湯浴に交互に浸漬させる操作を5回繰り返す凍結融解法を実施する代わりに、ベシクル溶液を孔径0.1μmのポリカーボネートトラックエッチング膜で濾過することにより、粒径0.1μm未満で平均粒径0.08μmのベシクルの分散液を調製し、この分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、DPPC/DMTAP/GAの吸着層を形成させたNF膜を製造した。この膜の脱塩率は0.75以下であり、十分な脱塩性能が得られなかった。
[比較例2]
DMPC/DMTAP/GAから構成される薄膜を45℃で水和させた後に、ベシクル溶液を孔径0.1μmのポリカーボネートトラックエッチング膜で濾過することにより、粒径0.1μm未満で平均粒径0.08μmのベシクルの分散液を調製し、この分散液を用いたこと以外は、実施例2と同様の手順で、DMPC/DMTAP/GAの吸着層を形成させたNF膜を製造した。この膜の脱塩率は0.75以下であり、十分な脱塩性能が得られなかった。
[比較例3]
ベシクル分散液とNF膜NTR−7450(日東電工)とを接触させ、45℃の恒温槽中で3時間静置する代わりに、25℃の恒温槽中で3時間静置するようにしたこと以外は、実施例2と同様の手順で、DMPC/DMTAP/GAの吸着層を形成させたNF膜を製造した。
この被覆層(吸着層)付きNF膜の特性を評価したところ、純水透過係数12×10−12min/(sPa)、純水透過流束0.78m/(m(D))、脱塩率0.1以下、尿素阻止率0であった。この比較例3より、接触温度がDMPC/DMTAP/GA(モル比76/19/5)の相転移温度よりも低い場合、十分な脱塩性能が得られないことが認められた。
[実施例3]
ベシクルを構成する脂質としてパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)を用い、カチオン性脂質としてジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)を用い、ベシクルに導入するチャネル物質としてグラミジンA(GA)を用いた。脂質とチャネル物質は、50:50vol%のクロロホルム/メタノールに溶解し、混合比としてPOPC/DOTAP/GA=76/19/5[mol%]の溶液を調製した。
ベシクルの作製には、減圧下で有機溶媒を蒸発させることにより脂質を乾燥させ、次いで容器内に残存した乾燥脂質膜に純水を添加し、POPC/DOTAP/GAから構成される薄膜を25℃で水和させた。得られたベシクル溶液をポリカーボネートトラックエッチング膜で濾過して粒径を0.2μm程度に小径化したのち、液体窒素と40℃の湯浴に交互に浸漬させる操作を5回繰り返す凍結融解法により、大きな一枚膜ベシクルを作製した。
ベシクル溶液の脂質濃度が1.5mMになるように純水で希釈し、希塩酸を加えpHを2.0に調整した。動的光散乱法(大塚電子製ELSZ−2を使用)によりベシクルの粒径分布を測定した結果を図5に示す。
ベシクル溶液とナノ濾過膜NTR−7450(日東電工)を接触させ、25℃で3時間静置し、NF膜表面に脂質層を吸着させ、POPC/DOTAP/GAの吸着層付きNF膜を製造した。この膜の純水透過係数は3.6×10−13m/(sPa)、純水透過流束は0.027m/(md)、脱塩率は0.97であった。吸着量から算出されるリン脂質二重層の厚さは5層であった。吸着させるベシクルの相転移温度が0℃以下であり、吸着時の温度が25℃であるため、分離性能のある膜が得られたと考えられる。
10 平膜セル
13 多孔質支持板

Claims (6)

  1. 選択的透過性を有した膜本体と、該膜本体の表面に形成されたリン脂質二重膜よりなる被覆層とを有する選択性透過膜の製造方法であって、
    リン脂質二重膜のベシクルの分散液と該膜本体とを該リン脂質二重膜の相転移温度よりも高い温度にて接触させて該被覆層を形成するベシクル融合工程を有する選択性透過膜の製造方法において、
    該ベシクルの平均粒径が0.5〜5μmであることを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
  2. 請求項1において、リン脂質二重膜を構成する両親媒性分子の分子量が200〜2000であることを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記ベシクルの分散液は、粒径0.5μm未満の微細ベシクルを含むことを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ベシクルはチャンネル物質を含有することを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
  5. 請求項4において、チャンネル物質はグラミシジン、アムホテリシンB、ヘモリシン、又はアクアポリンよりなることを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記膜本体はNF膜であることを特徴とする選択性透過膜の製造方法。
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