本発明は、上記課題を解決するために、ボタンの高さ位置を複数設定できると共に、遊技者が遊技機用押しボタン装置を押し下げるときには手指に手指に多少の手応えを感じながら心地よく押し込むことができ、かつ、簡素な構造を有する遊技機用押しボタン装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ボタン部材と、前記ボタン部材の下方に配置されると共に、昇降可能に設けられたボビンと、前記ボビンの近傍に配置された永久磁石と、前記永久磁石に当接するように配置されたヨークと、前記ボビンに巻回されると共に、通電時に前記永久磁石との間に生じるローレンツ力によって自己を上昇させるコイルとを有することを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、さらに、開口部が形成されると共に、該開口部によって前記ボタン部材の昇降を案内するように設けられた化粧板材と、前記ボタン部材の下方に配置された支持部材と、前記化粧板材と前記支持部材又は前記ボビンとの間に介在すると共に、前記支持部材又は前記ボビンを下方に付勢するスプリングとを有することを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ボタン部材は、略有底円筒形状に形成されると共に、開口部を下側に向けて配置され、前記支持部材は、平坦部と、該平坦部から上方に立ち上がると共に略円筒形状に形成された筒状部とを備え、前記平坦部が前記ボビンに接し、又は、接着され、前記筒状部の一部又は全部が前記ボタン部材の内部に挿入されていることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において前記支持部材は、前記平坦部の縁辺から下方に延びると共に略円筒形状に形成された別の筒状部と、該別の筒状部の下端部に設けられたフランジ部とを備え、前記スプリングは、下端部が前記支持部材の前記フランジ部に接していることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の発明において、前記化粧板材は、下面側に環状溝が形成され、前記スプリングは、上端部が前記化粧板材の前記環状溝内に挿入されていることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の発明において、前記ボビンは、略有底円筒形状に形成されると共に、開口部を下側に向けて配置され、前記ヨーク及び前記永久磁石は、一部又は全部が前記ボビンの内部に進入可能に設けられていることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の発明において、さらに、前記ボタン部材と前記支持部材の前記筒状部とに囲まれる空間内に収納された別のスプリングを有していることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の発明において、前記ヨークは、前記永久磁石の上面側に固定され、さらに、略板状に形成されると共に、上面に前記永久磁石が固定された支持板材と、前記ボビンの側方を囲むように設けられると共に、下端部が前記支持板材に固定されたケースとを有することを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項9に記載の発明は、請求項2から請求項7までのいずれか一項に記載の発明において、前記ボタン部材は、前記開口部を囲むフランジ部が形成され、該フランジ部は前記ボタン部材が上昇したときに前記化粧板材に当接して前記ボタン部材の上昇を規制するようになされていることを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の発明において、前記ボタン部材及び前記支持部材は、前記平坦部の中央に開口部が形成され、前記ヨークは、中央部に貫通孔が形成され、前記永久磁石は、中央部に貫通孔が形成され、さらに、前記ボタン部材及び前記支持部材の前記開口部に固定され、前記ヨークの前記貫通孔及び前記永久磁石の前記貫通孔を貫通するように設けられた案内部材を有することを特徴とする遊技機用押しボタン装置である。
請求項1に記載の発明によれば、いわゆるボイスコイルモータと同じように、ローレンツ力によってコイル自身を上昇させるので、コイルを流れる電流値を適宜変更することによって、ボタン部材、支持部材、ボビン及びコイルを無段階に昇降させることができる。さらに、遊技者がボタン部材を押し始めたときから押し終わるまでの間に、コイルを流れる電流値を適宜変更すれば、ボタン部材を押している間の手応えに変化を持たせることができるので、演出性を高めることができる。また、設ける電動アクチュエータが1つだけなので、構造を簡素化することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、化粧板材と支持部材又はボビンとの間にスプリングを介在させて、遊技者が感じる手応えをスプリングの弾発力とローレンツ力との2つの力から生成する構成としたので、遊技者が感じる手応えをさら複雑なものにでき、演出性をさらに高めることが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、ボタン部材の内部に支持部材の筒状部を挿入しているので、遊技者がボタン部材を押し下げるときにこの筒状部がボタン部材を案内するので、ボタン部材をスムーズに押し下げることができる。
請求項4に記載の発明によれば、フランジ部をスプリング受けとして利用するので、別途スプリング受けを設ける場合よりも部品点数が少なくなり、構造を簡素化できる。
請求項5に記載の発明によれば、スプリングの上端部を化粧板材の環状溝内に挿入するので、遊技者がボタン部材の押し下げを繰り返すうちに位置ずれして、化粧板材と支持部材又はボビンとの間の空間から脱落することをさらに確実に防止できる。
請求項6に記載の発明によれば、ヨーク及び永久磁石の一部又は全部をボビンの内部に進入可能としているので、ヨーク及び永久磁石がボビンの昇降を案内してボタン部材の昇降をスムーズにできる。
請求項7に記載の発明によれば、別のスプリングをボタン部材と支持部材の筒状部とに囲まれる空間に収納するので、遊技者が感じる手応えをさら複雑なものにでき、演出性をさらに高めることが可能となる。また、スプリング受けを設ける必要がなく、構造を簡素化することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、ケースがボビンの側方を囲んでいるので、ケースとボビンとの配置が容易になる。
請求項9に記載の発明によれば、ボタン部材のフランジ部がボタン部材、支持部材、ボビン及びコイルの上昇を規制するストッパとして機能するので、別途設けたストッパをボタン部材などに取り付ける必要がなく、構造を簡素化できる。
請求項10に記載の発明によれば、案内部材がヨーク及びと永久磁石を貫くように設けられているので、遊技者がボタン部材をこぶしで叩き込むなど荒々しいことをした場合でもボタン部材を垂直に降下させることができる。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置を示し、(a)は断面図、(b)は正面図である。図1において、10は遊技機用押しボタン装置、20はボタン部材、21は天板部、22は筒状部、23はフランジ部、30は支持部材、31は平坦部、31aは肉厚部分、31bはねじ孔、32は別の筒状部、33は筒状部、34は中空部、35はフランジ部、40は永久磁石、41は貫通孔、45はヨーク、46は貫通孔、47は突出部、50はボビン、51は基盤部、52は筒状部、53は溝部、54は凹陥部、55はねじ孔、56は下端板部、57はコイル、58はリード線、60はスプリング、70は化粧板材、71は開口部、80は支持板材、81及び82は肉薄部、83及び84はねじ孔、85は突出部、90はケース、91は基礎板材、91a及び91bはねじ孔、92、93、94及び95は支柱材、96は手指である。また、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図(2)である。図3において、48及び59は傾斜面であり、その他の符号は図1と同じものを示す。なお、図1を及びその他の図において、ねじ孔31b及び55にねじ込んだねじ、の記載を省略している。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、いわゆるムービングコイルの原理を応用したものであり、パチンコやアーケードゲーム機などの遊技機に好適なものである。また、コイル57に通電したときに、永久磁石40、ヨーク45、支持板材80及びケース90からなる磁気回路との間に生じるローレンツ力によって、スプリング60が支持部材30を押し下げる弾発力に抗してコイル57が上昇するように構成されている。さらに、コイル57を流れる電流値を変化させると、生成されるローレンツ力の大きさも変化するので、ローレンツ力とスプリング60の弾発力とが釣り合うコイル57の高さ位置を適宜変更することができる。そこで、遊技機用押しボタン装置10は、コイル57への通電若しくは非通電、又は、通電する電流値を適宜変更することによって、ボタン部材20の昇降させる、あるいは、任意の高さ位置で停止させることを実現している。さらに、各構成部品について詳しく説明する。
ボタン部材20は、遊技者が直接操作する構成部品であり、全体が略逆有底円筒形状に形成されている。天板部21は略円形板状に形成されており、指先や手のひらによって押される部分である。なお、天板部21は、装着する遊技機の構成等に応じて半球形状など他の形状にしてもよい。筒状部22は、上端部に設けられた天板部21を支持するものであり、化粧板材70の開口部71に案内されつつ昇降する。また、フランジ部23は、筒状部22の下端部に設けられ、ボタン部材20の上昇時に、化粧板材70の開口部71の周辺部分に当接することによって、ボタン部材20の上昇を規制する役割を持つ。
支持部材30は、ボビン50と一体的に接続されると共に、ボタン部材20を支持する役割を持つ。支持部材30は、平坦部31の上面から筒状部33が上方に延び、平坦部31の下面から別の筒状部32が下方に延びている。平坦部31は、全体の基盤となる部分であり、略円板形状に形成されている。また、平坦部31の中央は、周辺部分よりも肉厚な肉厚部分31aとして形成されており、さらに肉厚部分31aの中心にはボビン50と一体にするためのねじ孔31bが形成されている。筒状部33は、略円筒形状に形成されており、ボタン部材20の筒状部22の開口部から挿入されている。また、筒状部33の外周面と筒状部22の内周面とは軽く接した状態に設けられており、筒状部33は筒状部22に接しつつ昇降する。したがって、筒状部33は、ボビン50の昇降に連動して昇降するときにはボタン部材20の筒状部22によって案内されつつ摺動する。また、後述するように、支持部材30が降下した後に、遊技者がボタン部材20を押し下げる場合には、ボタン部材20の筒状部22は筒状部33によって案内されつつ摺動する。また、支持部材30及びボタン部材20を透光性の材料で形成し、筒状部33の中空部34に発光する構成部品を入れて、ボタン部材20がゲームの状況に応じて様々な色で光るようにして演出性を高めてもよい。
別の筒状部32は、平坦部31の縁辺部から下方に延びており、略円筒形状に形成されている。また、支持部材30及びボビン50が昇降するときに、ボビン50から引き出されたリード線58がケース90に当接して支持部材30及びボビン50の昇降を妨げることがないように、別の筒状部32とボビン50との間にリード線58の配線用の間隙を設け、リード線58を別の筒状部32の内周面に接するように配置している。したがって、支持部材30及びボビン50が昇降するときに、別の筒状部32とケース90とが接することはない。さらに、別の筒状部32の下端部には、フランジ部35が設けられている。フランジ部35は、後述するように、スプリング60の下端部のスプリング受けとなる部分である。なお、この実施の形態では、別の筒状部32と筒状部33とを互いに異なる径となるように形成しているが、両者を同じ径で形成してもよい。また、後述するように、スプリングを設けることがない場合には、別の筒状部32及びフランジ部35を省略してもよい。
永久磁石40は、略円柱形状に形成されると共に、支持板材80上に設けられている。また、永久磁石40の中心軸に沿うように貫通孔41が形成されており、遊技機用押しボタン装置10の組立時には、貫通孔41に支持板材80の突出部85を挿入することによって永久磁石40の位置決めが容易にできる。ヨーク45は、永久磁石40と同じ径の略円柱形状に形成されると共に、永久磁石40上に設けられている。また、永久磁石40と同様に貫通孔46が形成されており、貫通孔46の周辺部分に形成された突出部47を永久磁石40の貫通孔41に挿入することによってヨーク45の位置決めが容易にできる。さらに、図3に示すように、ボビン50が下降したときに、ボビン50の筒状部52がヨーク45の上端部に引っ掛かることがないように、ヨーク45の上端部の縁辺に面取りを施して傾斜面48としている。また、後述するように、永久磁石40及びヨーク45の中心軸は、支柱材92などによって、ボビン50の筒状部52と支持部材30の筒状部33の中心軸と一致するように配置されており、またこの中心軸に沿って昇降する。
ボビン50は、図1に示すように、支持部材30の下に配置されると共に、下降したときに基盤部51と基盤部51から下方に延びる筒状部52とが永久磁石40及びヨーク45を囲むように設けられている。基盤部51は、略円板形状に形成されており、中心にねじ孔55が形成されている。ねじ孔55には、支持部材30に一体にするためのねじがねじ込まれる。また、基盤部51の下面は、ボビン50が下降したときに、ヨーク45に接した、又は、非常に接近した状態となるが、このときにねじの頭がヨーク45の貫通孔46に引っ掛かることを防止するために、凹陥部54を設けてねじとヨーク45とが接することがないようにしている。さらに、基盤部51の周側面には、配線用に溝部53を設けており、コイルワイヤとリード線58とは溝部53内の図示していない部位において結線されている。なお、ボビン50と支持部材30とを接着剤で一体にし、凹陥部54及びねじ孔55を形成しない構成としてもよい。
筒状部52は、略円筒形状に形成されたコイル57の巻き胴である。また、筒状部52は、永久磁石40及びヨーク45に接してボビン50の昇降を妨げることがないように、永久磁石40及びヨーク45との間に僅かな間隙を生じる径に形成されている。筒状部52の内周面の基盤部51に最も近い領域は傾斜面59として形成されている。傾斜面59は、永久磁石40及びヨーク45の中心軸に対してヨーク45の傾斜面48と同一の傾斜角を有しており、ボビン50が最も低い高さ位置にあるときには、これらの面が接するようになされている。一方、筒状部52の下端板部56は、ボビン50が最も低い高さ位置にあるときでも、支持板材80に接するとことはない。したがって、ボビン50は傾斜面59と傾斜面48とが当接することによって下降が規制されるが、これらの面が下降方向に対して傾斜していることからボビン50や、これと一体的に設けられた支持部材30などに加わる衝撃を和らげる効果がある。
コイル57は、通電時にスプリング60の弾発力に打ち勝って、ボタン部材20のフランジ部23が化粧板材70の開口部71の周辺部分に当接する高さ位置までボビン50や支持部材30などを押し上げるのに必要なターン数に巻かれている。また、特に図示しないが、コイル57を流れる電流値を漸増すると、通電によって生成されるローレンツ力とスプリング60の弾発力と釣り合いが取れるボタン部材20の高さ位置が徐々に高くなるので、ボタン部材20の高さ位置は無段階に設定することができる。また、途中で通電を停止すれば、ボタン部材20は最も低い高さ位置まで急激に降下する。したがって、ゲームの局面に応じてボタン部材20の高さが徐々に高くなり、又は、急激に低下して遊技者がボタン部材20を押せなくなるなど様々な演出が容易に実現できる。また、遊技者がボタン部材20を押したことを検出するセンサーを設け、ボタン部材を押し始めたときから押し終わるまでの間に、検出結果に応じてコイルを流れる電流値を適宜変更すれば、遊技者が心地よくボタン部材20を押すことが可能になる。
支持板材80は、永久磁石40及びケース90を設ける基盤となるものであり、略円板形状に形成されている。また、支持板材80の上面中央には永久磁石40の位置決めのための突出部85が形成され、さらに上面縁辺には肉薄部81及び82が形成されている。なお、この実施の形態では、肉薄部81と肉薄部82とは連続した一体的なものとしているが、これらの肉薄部の一部を肉厚に形成して、ケース90を所定の向きに固定できるようにしてもよい。くわえて、支持板材80の縁辺近くには、基礎板材91に固定するためのねじ孔83及び84が形成されている。ケース90は、略円筒形状に形成されると共に、永久磁石40、ヨーク45及び支持板材80と共に磁気回路を構成するために、永久磁石40及びヨーク45を側方から囲んでいる。また、ケース90は、ボビン50の筒状部52との間に僅かな間隙があり、通常は下端板部56に接することはないが、遊技者がこぶしや手のひらでボタン部材20を叩き込んだときには、ボビン50の下端板部56に当接することによって、ボビン50やボタン部材20が傾くことを規制する効果を奏する。なお、ケース90の一部を切り欠いて、この切り欠きにリード線58を通してもよい。
化粧板材70は、略方形板形状に形成されており、ボタン部材20の天板部21及び筒状部22と共に遊技者の目に触れる構成部品である。また、化粧板材70は、図1(a)及び(b)に示すように、支柱材92、93、94及び95を介して基礎板材91と接続されている。くわえて、スプリング60の上端部が下面側に接している。また、化粧板材70の中央には、ボタン部材20を挿通した開口部71が形成されている。開口部71は、ボタン部材20と永久磁石40及びヨーク45の中心軸を一致させ、さらにボタン部材20の摺動を確実に案愛させるために、ボタン部材20との間の間隙を僅かなものとしている。化粧板材70の開口部71の周辺部分は、ボタン部材20のフランジ部23に当接することによって、ボタン部材20の上昇を規制するので、ボタン部材20のストッパとしての役割も持つ。基礎板材91は、基礎板材91は、支持板材80、化粧板材70を初めとする構成部品を一体にする役割を持つ。すなわち、基礎板材91は、略方形板形状に形成されており、支持板材80に対応する位置に、ねじ孔91a及び91bが形成され、支柱材92、93、94及び95に対応する位置に図示しないねじ孔が1つずつ形成されている。さらに、特に図示しないが、遊技機に装着するためのねじ孔なども形成される。
続けて、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図(1)である。図2において、Fはコイルへの通電によって生成されるローレンツ力の大きさを示し、その他の符号は図3と同じものを示す。なお、符号Fの近傍の矢印はローレンツ力の大きさを模式的に示している。また、図4は、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図(3)である。図4において用いた符号は、すべて図3と同じものを示す。
コイル57を流れる電流値を最大定格値にすると、通電によって生成されるローレンツ力Fも大きくなり、図2(a)に示すように、スプリング60の弾発力に完全に打ち勝ってボビン50を押し上げ、ボタン部材20のフランジ部23が化粧板材70の開口部71の周辺部分に当接するまで上昇する。フランジ部23が開口部71の周辺部分に当接して停止した状態がボタン部材20の最高の高さ位置となる。この状態では、遊技者がボタン部材20の天板部21を押さえ付けても、押し下げることはできない。また、コイル57を流れる電流値を相対的に小さくすると、ローレンツ力Fが小さくなり、図2(b)に示すように、スプリング60の弾発力の方が大きくなって支持部材30を介してボビン50を押し下げ、2つの力が均衡するところで停止する。
ここで、図3(c)に示すように、遊技者が手指96でボタン部材20を押し下げると、簡単に最も低い高さ位置、すなわち図3(d)に示すように、天板部21が支持部材30の筒状部33の上端部に接するところまで下がる。ただし、ボタン部材20を押し下げるにしたがってスプリング60の弾発力が大きくなるので、簡単に最も低い高さ位置の近傍においては、押し下げに比較的大きな力が必要となる。なお、遊技者が最も低い高さ位置まで押し下げる際に、図3(d)のローレンツ力Fに示すように、コイル57を流れる電流値をさらに小さくすると押し下げが容易になる。
また、コイル57を流れる電流値を図2(b)に示す状態よりも小さくすると、図4(e)に示すように、ボタン部材20の高さ位置がさらに低くなる。この状態では、ボタン部材20をボビン50のフランジ部23が支持部材30の平坦部31に当接するところまで非常に短い時間で押し下げることができる。ボタン部材20を簡単に最も低い高さ位置まで押し下げると、図4(f)に示すように、天板部21が化粧板材70の上面と同じ高さ位置になる。当然のことながら、例えばゲームの展開に応じて、ボビン50の高さ位置を図2(a)の状態から図4(e)の状態とし、次に図4(f)としてから所定時間経過後に図2(a)の状態に戻すことなどを自在に行うことができる。さらに、図4(e)の状態において、遊技者が手指96でボタン部材20を押し下げたことを検出したときに、コイル57への通電を直ちに停止せずに、一定時間の間に漸減して複雑な手応えを演出するなども自在に行うことができる。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10によれば、ローレンツ力によってコイル57自身を上昇させることによって、ボビン50と一体的に設けられた支持部材30を上昇させ、さらに支持部材30の上にあるボタン部材20を無段階に昇降させることができる。さらに、遊技者がボタン部材20を押し始めたときから押し終わるまでの間に、コイル57を流れる電流値を適宜変更することによって、ボタン部材20を押している間の手応えに変化を持たせることができるので、演出性を高めることができる。くわえて、化粧板材70と支持部材30との間にスプリング60を介在させて、遊技者が感じる手応えをスプリング60の弾発力とローレンツ力との2つの力から生成する構成としたので、遊技者が感じる手応えをさら複雑なものにでき、演出性をさらに高めることが可能となる。また、設ける電動アクチュエータが以上の構造1つだけなので、構造を簡素化することが可能となる。
さらに、ボタン部材20の内部に支持部材30の筒状部33を挿入しているので、遊技者がボタン部材20を押し下げるときに筒状部33がボタン部材20を案内するので、ボタン部材20をスムーズに押し下げることができる。また、スプリング60を支持部材30の下端部をフランジ部35に接した状態に設けるので、スプリング受けを設ける必要がなく、構造を簡素化することが可能となる。さらに、ヨーク45及び永久磁石40の一部又は全部をボビン50の筒状部52の内部に進入可能としているので、ヨーク45及び永久磁石40がボビン50の昇降を案内してボタン部材20の昇降をスムーズにできる。くわえて、ケース90がボビン50の側方を囲んでいるので、ケース90とボビン50と干渉することなく、かつ、これらを設ける空間をコンパクトなものにできる。さらに、ボタン部材20のフランジ部23がボタン部材20、支持部材30、ボビン50及びコイル57の上昇を規制するストッパとして機能するので、別途設けたストッパをボタン部材20などに取り付ける必要がなく、構造を簡素化できる。
さらに、本発明の第2の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置を示す断面図である。図5において、61はスプリングであり、その他の符号は図1と同じものを示す。また、図6は、本発明の第2の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図である。図6において用いた符号は、すべて図5と同じものを示す。
本発明の第2の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、図5に示すように、第1の実施の形態に係るものに対して、スプリング61を付加した構成としている。すなわち、スプリング61の上端部がボタン部材20の天板部21に接し、下端部が支持部材30の平坦部31に接するように設け、支持部材30を押し下げるような弾発力を常時支持部材30の平坦部31に加える構成としている。また、スプリング61は、天板部21と筒状部33とで囲まれた空間内に配置されているので、長期間使用している間に位置ずれして離脱するようなことがない。さらに、図6に示すように、スプリング61は、スプリング60とばね定数が異なり、遊技者がボタン部材20を押し下げているときに、互いに異なる弾発力でボタン部材20を押し返すように構成されている。その他の構成は、第1の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10と同じである。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、互いにばね定数が異なるスプリング60とスプリング61とを設け、スプリング60の弾発力とローレンツ力に加えて、スプリング61の弾発力の3つの力によって遊技者が感じる手応えを生成する構成としたので、遊技者がボタン部材を押し始めたときから押し終わるまでの間、遊技者が感じる手応えをさら複雑なものにでき、演出性をさらに高めることが可能となる。また、スプリング61を付加するので、第1の実施の形態に係るものよりも構成が複雑になるが、天板部21と筒状部33とで囲まれた空間内に配置するので、組立工程自体には第1の実施の形態に係るものとほとんど相違がなく、従来技術に係る遊技機用押しボタン装置よりも組立が容易である。さらに、別途スプリング受けを設ける場合よりも部品点数が少なくなり、遊技機用押しボタン装置の構造を簡素化できる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置を示す断面図である。図7において、24はフランジ部、62はスプリングであり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第3の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置は、図7に示すように、ボタン部材20のフランジ部24とスプリング62とに特徴がある。第1の実施の形態に係るものでは、ボタン部材20のフランジ部23がボタン部材20の上昇を規制する役割のみを持っていたが、この実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10では、スプリング62の上端部が化粧板材70の下面に接し、下端部がフランジ部24に接するようにしている。すなわち、フランジ部24の幅を大きくして、フランジ部24がストッパとしての役割と、ばね受けとしての役割を併せ持つようにしている。また、スプリング62は、スプリング60とは異なるばね定数を有する。したがって、図8に示すように、遊技者がボタン部材20を押し下げたときには、スプリング60及びスプリング62の弾発力とローレンツ力によってさらに複雑な手応えを生成することが可能となる。
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、スプリングを2つのみ設ける点において第2の実施の形態に係るものと同様であるが、支持部材30の筒状部33にスプリングがないので、筒状部33の中空部34に発光する構成部品を入れたときに、スプリングが光を遮ることがなく、ボタン部材20の筒状部22を透過する光が美しく見えるという利点がある。また、スプリング60及びスプリング62の弾発力とローレンツ力によって遊技者にさらに複雑な手応えを感じさせることができる。
続けて、本発明の第4の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図8は、本発明の第4の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置を示し、(a)は断面図、(b)は正面図である。図8において、25は天板部材、25aは凹陥部、26は筒状部材、27は上部、28は周側面部、29はフランジ部、36は支持部材、37は平坦部、37aは肉厚部分、37bはねじ孔、38は筒状部、63はスプリング、72は化粧板材、73は開口部、74は環状溝部、97は基礎板材、97a及び97bはねじ孔であり、その他の符号は図1と同じものを示す。図9は、本発明の第4の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図である。図9において用いた符号は、すべて図8と同じものを示す。
本発明の第4の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置は、第1から第3までの実施の形態に係るものよりも設置面積を小さくすることを図ったものである。図8及び図9に示すように、第1から第3までの実施の形態におけるボタン部材20に代えて、天板部材25と筒状部材26とを設けている。天板部材25は、遊技者の手指で直接的に押し下げられる構成部品であり、略円板形状に形成されているが、平面視における面積はボタン部材20の天板部21と同じである。また、天板部材25は、下面側に凹陥部25aを設けて凹陥部25aに筒状部材26を接着している。筒状部材26は、凹陥部25aに接着されて天板部材25を支持する上部27、支持部材36の筒状部38が挿入された周側面部28、及び、第1から第3までの実施の形態におけるフランジ部23と同様にストッパとして機能するフランジ部29を備えている。周側面部28は、小型化を図るために、ボタン部材20の筒状部22よりもかなり径を小さくしている。
支持部材36は、全体が略円板形状に形成され、平坦部37、肉厚部分37a、ねじ孔37b及び筒状部38を備えているが、これらの部分は第1から第3までの実施の形態における支持部材30と同様に機能する。ただし、小型化を図るために筒状部38も径を小さくしている。また、小型化を図るために、別の筒状部は設けていない。さらに、この実施の形態においては、第1から第3までの実施の形態における化粧板材72と基礎板材91とに代えて、平面視における面積がさらに小さい化粧板材72と基礎板材97と設けている。化粧板材72は、開口部73で筒状部26の昇降を案内すると共に、下面側にスプリング63を保持するための環状溝部74を形成している。基礎板材97は、基礎板材91と同様にねじ孔97a及び97bを形成している。また、スプリング63の上端部が化粧板材70の環状溝部74内に挿入されて環状溝部74の底面に当たる面に接し、下端部がボビン50の基盤部51の上面に接するように設け、ボビン50を押し下げるような弾発力を常時基盤部51に加える構成としている。
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、スプリングを1つのみ設ける点において第1の実施の形態に係るものと同様であるが、ボタン部材に相当するものとして天板部材25と筒状部材26とを設けることによって、遊技者の手指に当たる部分の面積を小さくすることなく、設置面積を小さくしているという利点がある。環状溝部74を設けたので、スプリングを配置するスペースを確保できる。さらに、ボビン50の基盤部51をスプリング受けとして利用するので、別途スプリング受けを設ける場合よりも部品点数が少なくなり、本発明の第4の実施の形態に係るものと同様に小型化できる。
さらに、本発明の第5の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図10は、本発明の第5の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図(1)である。図11において、64はスプリングであり、その他の符号は図9と同じものを示す。また、図11は、本発明の第5の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図(1)である。図11において用いた符号は、すべて図10と同じものを示す。
本発明の第5の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、図10及び図11に示すように、第4の実施の形態に係るものに対して、スプリング64を付加した構成としている。すなわち、小型化を図るためにスプリング63の径をかなり小さいものとし、これを収納する筒状部38も径を小さくしている。さらに、図12に示すように、スプリング64は、スプリング63とばね定数が異なり、遊技者が天板部材25を押し下げているときに、互いに異なる弾発力で天板部材25を押し返すように構成されている。その他の構成は、第4の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10と同じである。
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、互いにばね定数が異なるスプリング63とスプリング64とを設け、スプリング60の弾発力とローレンツ力に加えて、スプリング61の弾発力の3つの力によって遊技者が感じる手応えを生成する構成としたので、図12に示すように、遊技者がボタン部材を押し始めたときから押し終わるまでの間、遊技者が感じる手応えをさら複雑なものにでき、演出性をさらに高めることが可能となる。
次に、本発明の第6の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図12は、本発明の第6の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図である。図12において、39は平坦部、65及び66スプリングであり、その他の符号は図9と同じものを示す。
本発明の第6の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、図12に示すように、支持部材36の平坦部39に特徴がある。第5の実施の形態に係るものでは、スプリング64の下端部がボビン50の基盤部51の上面に接するようにしていたが、この実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10では、スプリング66の下端部が平坦部39に接するようにしている。したがって、ボビン50の基盤部51の剛性が十分でなく、スプリング受けとして利用できない場合などに好適な実施の形態と言える。
次に、本発明の第7の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図13は、本発明の第7の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図である。図13において、49は案内部材、75は開口部、86は貫通孔であり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第7の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、図13(a)に示すように、支持部材36の平坦部39に特徴がある。第5の実施の形態に係るものでは、支持部材30のねじ孔31bとボビン50のねじ孔55に、案内部材49をねじ込んでいる。さらに、支持板材80の中央に貫通孔86を形成して、案内部材49の下端部が進入できるようにしている。案内部材49は、角棒状に形成されており、上端部にねじを切ってある。このように構成することによって、図13(b)に示すように、ボビン50が最も低い高さ位置まで下降したときに、案内部材49がヨーク45、永久磁石40及び支持板材80を貫いた状態となる。また、化粧板材70の開口部75は、ボタン部材20の筒状部22との間に比較的大きな間隙を設けている。したがって、この実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、他の実施の形態の遊技機用押しボタン装置と異なり、化粧板材70はボタン部材20の昇降を案内せず、代わりに案内部材49が支持板材80等の昇降を案内する構成としている。したがって、例えば遊技者がボタン部材20をこぶしで叩き込むなど荒々しいことをした場合でも、ボタン部材20が傾くことなく垂直に降下するようにできる。また、化粧板材の開口部とボタン部材との間に比較的大きな間隙を設けたい場合に好適と言える。
さらに、本発明の第8の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置について説明する。図14は、本発明の第7の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置の使用状態を示す断面図である。図14において、76はボタン部材、77は天板部、78は筒状部、79は平坦部、79aは肉厚部分、79bはねじ孔、79cはフランジ部分であり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第8の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置10は、図14に示すように、ボタン部材76を天板部77と筒状部78とに加えて平坦部78を設け、さらに平坦部78肉厚部分79a、ねじ孔79b及びフランジ部分79cを設けている。すなわち、支持部材をボタン部材76に一体化した構成となっている。また、スプリングは設けていない。したがって、この実施の形態では、支持部材を設ける必要がないので、他の実施の形態に係る遊技機用押しボタン装置よりもさらに構造を簡素化できる。また、スプリングを設けていないので、遊技者に対する手応えの演出性は他の実施の形態よりも落ちるが、ボタン部材20の昇降させる、あるいは、任意の高さ位置で停止させることを実現している。
なお、本発明は、以上に説明した内容に限定されるものではなく、例えば本発明の第1〜第8の実施の形態の各々の特徴を組み合わせるなど、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変形を加えることが可能である。