JP6027390B2 - 既存の太陽電池屋根の雪止め方法 - Google Patents
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Description
また、隣接するパネル間に僅かに隙間が形成されており、該隙間に雪止め具を取り付けた構造としても、この雪止め具は雪の滑落を堰き止めるものに過ぎないので、積雪部分が太陽電池の受光面積を減少させ、発電量の低下に繋がっていた。
さらに、前記雪止め具では、雪の滑落を堰き止めるものであるため、積雪部分が太陽電池の受光面積を減少させ、発電量の低下に繋がっていた。
なお、本発明の名称である「既存の太陽電池屋根の雪止め方法」とは、「既存屋根上に太陽電池パネルが敷設された太陽電池屋根に新たに雪止め構造を付与するための方法」を意味している。
この場合、高く設置した太陽電池パネルの側面を雪止め部としてもよい。
また、本発明は、前記第1案又は前記第2案の雪止め方法において、貯留空間形成工程は、既設の太陽電池パネルの一部又は全部の流れ方向の一端を高く設置して勾配を付けることで隣接する太陽電池パネルとの間に段差状の貯留空間を形成することを特徴とする既存の太陽電池屋根の雪止め方法をも提案する。
この場合、一端を高く設置した太陽電池パネルの側面を雪止め部としてもよい。
また、単なる雪止め効果ではなく、雪止め部にて雪や雨水を貯留空間へ落とす、又は該パネル間から裏面空間に落とすことができ、受光面への積雪や付着物等を速やかに排除することができ、太陽電池の発電効率の低下を防止することができる。
さらに、前記雪止め部は、太陽電池パネルの裏面空間内の空気を排出する作用も果たすので、太陽電池パネルの裏面空間内の排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制することができる。
なお、既存屋根は縦葺き、横葺き、折板、瓦、防水屋根等のどのような仕様でもよく、太陽電池の下方で雨仕舞い(防水)が行えるものであれば特に限定するものではない。
以下、本発明を構成する各工程について説明する。
この工程は、太陽電池パネル間に雪を貯留し得る空間を設ける工程であるが、具体的には、(A)流れ方向に一定間隔の空間を形成する方法と、(B)高さ方向に段差(隅部)状の空間を形成する方法と、(C)それらを組み合わせた方法とがある。
このケースでは、既設のパネルの全部を移動させる場合には、パネルの総敷設面積が拡大するため、一部のパネルを取り除くようにもよい。また、既設のパネルの一部を移動させる場合には、既設のパネルのうち端部に位置するパネルを移動する。
前記貯留空間形成工程等にて形成した貯留空間に、雪を導き得る雪止め部を設ける工程であり、例えば既設の太陽電池パネルを固定している一部又は全部の固定部材に代えて上方へ延出する突出部を有する固定具を用いるようにしてもよい。
この突出部は、固定具に一体に形成されるものであっても、突出部を備える別部材を固定具に一体的に組み付ける(取り付ける)ものであってもよい。別部材を取り付ける場合、その取付方法、ビス等による直止め、ボルトナットによる締着、係合、嵌合等が想定される。また、突出部は、連続材が好ましいが、雪止め、空気の排出効果が得られれば必ずしも連続材に限定するものではない。
また、この突出部は、前述のように雪止め、空気の排出効果を目的に設けられるものであるから、例えば流れ方向が明らかである下地、即ち勾配のある下地に対して太陽電池パネルを配設する場合には水上側に設けることが好ましいが、例えば略平坦状の下地、即ち勾配が殆ど無い下地に対して太陽電池パネルを配設する場合には、設置条件(風向き等)を考慮して設ければよい。
さらに、前記雪止め部は、太陽電池パネルの裏面空間内の空気を排出する作用も果たすので、太陽電池パネルの裏面空間内の排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制できる。
なお、前記支持金具5と前記固定部材2との間には、縦筒状材であるの高さ調整材6が配設され、前記縦ボルト5Cが貫通するように取り付けられている。
また、この既存の太陽電池屋根に雪止め効果を付与しようとしても、流れ方向に隣接する太陽電池パネル1,1間に殆ど隙間が形成されないように施工されているため、雪止め具は流れ方向の端縁に取り付ける他はなく、雪止め効果は著しく低い。
さらに、この既存の太陽電池屋根では、太陽電池パネル1と折板屋根4との間に形成される裏面空間12に空気が滞留しているため、太陽電池セルの効率が低下し易い状況にあった。
なお、支持金具5,5を流れ方向に並列させて配設したため、間隔Yが形成されると言い換えることもできる。
また、固定部材2Bは、右方側のみに押さえ部21を有する以外は、前記既存の固定部材2と全く同様の構成であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
なお、これらの固定具3及び固定部材2Bを用いること以外は、既存の固定部材2を用いた構造と全く同様の取付構造であり、折板屋根4に取り付けた支持金具5,5に立設する縦ボルト5C,5Cのそれぞれに縦筒状材である高さ調整材6,6が配設され、更にその上に固定具3及び固定部材2Bが取り付けられる。その際、固定具3の押さえ部31及び固定部材2Bの押さえ部21が太陽電池パネル1,1の端縁を押さえるように取り付け、ナット5D,5Dを締め付けることにより押さえ保持する。そして、固定具3に形成された突出部33が雪止め部イとなる。
また、単なる雪止め効果ではなく、雪止め部イにて雪や雨水を貯留空間アへ落とす、又は該パネル1,1間から裏面空間12に落とすことができ、受光面への積雪や付着物等を速やかに排除することができ、太陽電池の発電効率の低下を防止することができる。
さらに、前記雪止め部イは、軒側、即ち水下側からの吹き上げ風が吹き付けるため、雪止め部イの上端を減圧状態とするため、裏面空間12(太陽電池パネル1と折板屋根4との間)の空気が表面側へ吸い出す作用が果たされ、排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制することができる。
そして、図2(a)の第2実施例では、この既存の太陽電池屋根に対し、一つおきの太陽電池パネル1を取り除き、幅狭な(流れ方向の長さS)太陽電池パネル7に代えるようにした。
なお、この幅狭な太陽電池パネル7は、太陽電池モジュール70の流れ方向の長さSが幅狭に形成された以外は既存の太陽電池パネル1と全く同様の構成であり、フレーム材71もフレーム11と同様である。
また、支持金具5,5を、流れ方向に並列させて配設し、それにより、パネル7,1間の間隔Yを形成する点については、前記第1実施例と同様である。
前述のように固定具3については、前記第1実施例と全く同様であるが、突出部33を備えない固定部材2としては、既存の固定部材2をそのまま用いた。
なお、高方向に移動する太陽電池パネル1'は、取り付けられた位置から取り外して高さ方向にずらせるだけであるから、パネル自体の構成は全く同様であるが、動かさない太陽電池パネル1と区別するため、符号「1'」を用いる。
この操作を行うため、即ち太陽電池パネル1'を上方にずらして配設するための高さ調整支持材6A,6Bと固定具3Zを図3(b)に示した。
なお、これらの高さ調整支持材6B及び固定具3Zは、上方にずらして配設する太陽電池パネル1'の水下側(図面左側)の端部に配するものであり、水上側(図面右側)にはそれらを左右反転した高さ調整支持材6B'及び固定具3Z'を用いる。
まず、既存の太陽電池屋根の固定部材2及び高さ調整材6を取り外し、一つおきの太陽電池パネル1'を上方にずらした状態で高さ調整支持材6B,6B'を一つおきに変えて取り付け、取り付けた高さ調整支持材6B,6B'の各受支部62に太陽電池パネル1'の端縁を載置する。
その後、固定具3Z,3Z'を一つおきに変えて取り付け、それぞれの押さえ部31,31'で隣接する太陽電池パネル1,1'の端縁を押さえ保持する。
また、この第3実施例では、高く移動させた太陽電池パネル1'の裏面空間12が、水下側からの吹き上げ風等に曝され易く、裏面空間内の空気を排出する作用も強く果たされるものとなる。
なお、流れ方向の一端を高く設置して勾配を付ける太陽電池パネル1"は、取り付けられた位置から取り外してその一端を高さ方向にずらせるだけであるから、パネル自体の構成は全く同様であるが、動かさない太陽電池パネル1と区別するため、符号「1"」を用いる。
この操作を行うため、即ち太陽電池パネル1'を上方にずらして配設するための高さ調整支持材6B'と固定具3Z'は、前記第3実施例にて用いたものであるから、同一符号を付して説明を省略する。
まず、既存の太陽電池屋根の固定部材2を一つおきに取り外し、一つおきの太陽電池パネル1"の水上側(図面右側)の端部を上方にずらした状態で高さ調整支持材6B'を取り付け、取り付けた高さ調整支持材6B'の受支部62に太陽電池パネル1"の水上側の端部を載置する。
その後、固定具3Z'を、押さえ部31',31で隣接する太陽電池パネル1”,1の端縁を押さえ保持する。
また、この第4実施例では、勾配を付けた太陽電池パネル1"に対して軒側、即ち水下側からの吹き上げ風がその傾斜表面に沿って吹き上げるため、太陽電池パネル1"の水上端縁に至った風が上方に乱流を起こし、貯留空間イの上端を減圧状態とするため、裏面空間(太陽電池パネル1と折板屋根4との間)の空気が表面側へ吸い出す作用が果たされ、水下側から水上側へ向かう裏面空間12の空気の流れを著しく速め、太陽電池セル自体が発生する温度を抑えることで発電効率の低下を防ぐことができる。
なお、流れ方向の一端を高く設置して勾配を付ける太陽電池パネル7"は、取り付けられた位置から取り外してその一端を高さ方向にずらせるだけであるから、パネル自体の構成は前記第2実施例に用いた幅狭の太陽電池パネル7と全く同様であるが、平坦状に取り付けたこの太陽電池パネル7と区別するため、符号「7"」を用いる。
この第5実施例に用いる高さ調整支持材6B'と固定具3Z'は、前記第3実施例にて用いたものであるから、同一符号を付して説明を省略する。
また、この第5実施例では、勾配を付けた太陽電池パネル7"の水上側に形成される貯留空間アが、段差(隅部)状で且つ幅広であるため、他の第1〜第4実施例に比べて多量の雪を貯留することができる。なお、該貯留空間イに貯留した雪は、裏面空間12内の空気が排出される際に融解することが期待される。
10 太陽電池モジュール
11 フレーム
12 裏面空間
2,2B 固定部材
21 押さえ部
22 固定部
3,3Z,3Z' 固定具
3A 本体
3B 起立材
3C 取付ビス
31 押さえ部
32 固定部
33 突出部
4 折板屋根
4A 外装材
4B 保持部材
4C 躯体
5 支持金具
5A 本体
5B 連結枠体
5C 縦ボルト
5D ナット
6 高さ調整材
6A,6B 高さ調整支持材
7,7" (幅狭の)太陽電池パネル
L 太陽電池パネル1の流れ方向の幅長
S 幅狭の太陽電池パネル7の流れ方向の幅長
X 既存の太陽電池屋根における太陽電池パネル間の距離
Y 第1実施例における太陽電池パネル間の距離
ア 貯留空間
イ 雪止め部
Claims (6)
- 既存屋根上に太陽電池パネルが敷設された既存の太陽電池屋根の雪止め方法であって、
既設の太陽電池パネルの一部又は全部を流れ方向に移動させて隣接する太陽電池パネル間に雪を貯留し得る空間を設ける貯留空間形成工程と、当該貯留空間に雪を導き得る雪止め部を設ける雪止め部形成工程とを行うことを特徴とする既存の太陽電池屋根の雪止め方法。 - 既存屋根上に太陽電池パネルが敷設された既存の太陽電池屋根の雪止め方法であって、
既設の太陽電池パネルの一部又は全部を取り除き、当該取り外した太陽電池パネルより幅狭な太陽電池パネルを敷設することで隣接する太陽電池パネル間に雪を貯留し得る空間を設ける貯留空間形成工程と、当該貯留空間に雪を導き得る雪止め部を設ける雪止め部形成工程とを行うことを特徴とする既存の太陽電池屋根の雪止め方法。 - 既存屋根上に太陽電池パネルが敷設された既存の太陽電池屋根の雪止め方法であって、
既設の太陽電池パネルの一部又は全部を高さ方向に移動させて隣接する太陽電池パネル間に雪を貯留し得る貯留空間を形成することで隣接する太陽電池パネルとの間に段差状の貯留空間を設ける貯留空間形成工程と、当該貯留空間に雪を導き得る雪止め部を設ける雪止め部形成工程とを行うことを特徴とする既存の太陽電池屋根の雪止め方法。 - 既存屋根上に太陽電池パネルが敷設された既存の太陽電池屋根の雪止め方法であって、
既設の太陽電池パネルの一部又は全部の流れ方向の一端を高く設置して勾配を付けることで隣接する太陽電池パネルとの間に段差状の貯留空間を設ける貯留空間形成工程と、当該貯留空間に雪を導き得る雪止め部を設ける雪止め部形成工程とを行うことを特徴とする既存の太陽電池屋根の雪止め方法。 - 貯留空間形成工程は、既設の太陽電池パネルの一部又は全部を高さ方向に移動させて隣接する太陽電池パネル間に貯留空間を形成することで隣接する太陽電池パネルとの間に段差状の貯留空間を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の既存の太陽電池屋根の雪止め方法。
- 貯留空間形成工程は、既設の太陽電池パネルの一部又は全部の流れ方向の一端を高く設置して勾配を付けることで隣接する太陽電池パネルとの間に段差状の貯留空間を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の既存の太陽電池屋根の雪止め方法。
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