一例として示す給排気ファン制御システム10の構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる給排気ファン制御システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2(a)は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間の室内気圧の時間的な変化の一例を示す図であり、図2(b)は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間の室内気圧の時間的な変化の他の一例を示す図である。図2(c)は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間における給排気ファン12,13の周波数の変化の一例を示す図であり、図3は、給排気ファン制御システム10によって行われる給排気ファン起動時のファン制御の一例を説明するためのフローチャートである。図4は、図3から続くフローチャートである。図1は、クリーンルーム11A,11Bをその側方から示している。
給排気ファン制御システム10は、建造物の一角に施設されたクリーンルーム11A,11B(空調室)に空気(外気)を給気する給気ファン12の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間におけるファン12の給気風量(周波数)を制御とするとともに、クリーンルーム11A,11Bから空気を排気する排気ファン13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間におけるファン13の排気風量(周波数)を制御する。さらに、給排気ファン制御システム10は、運転中の給気ファン12がその運転を停止するまでの間におけるファン12の給気風量(周波数)を制御とするとともに、運転中の排気ファン13がその運転を停止するまでの間におけるファン13の排気風量(周波数)を制御とする。
なお、図1では2室のクリーンルーム11A,11Bを図示しているが、クリーンルームを2室に限定するものではなく、3室以上のクリーンルームに対してこの給排気ファン制御システム10の給排気ファン制御を実施することもできる。また、この給排気ファン制御システム10の給排気ファン制御は、クリーンルーム11A,11Bのみならず、他のあらゆる種類の空調室に実施することができる。この実施の形態では、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧を所定圧よりも高い陽圧に保持する場合を例としてこの給排気ファン制御システム10を説明する。
一例として示す給排気ファン制御システム10を設置する建造物は、屋外の空気を建造物内に施設されたそれらクリーンルーム11A,11Bに供給する給気ダクト14と、それらクリーンルーム11A,11Bから屋外に空気を排出する排気ダクト15と、クリーンルーム11A,11Bに空気を給気する給気ファン12と、クリーンルーム11A,11Bから空気を排気する排気ファン13と、定風量ユニット16およびモーターダンパ17と、圧力センサ18(室圧センサ)およびコントローラ19(室圧監視装置)とを備えている。なお、給気ファン12や排気ファン13、定風量ユニット16、モーターダンパ17、圧力センサ18、コントローラ19には、図示はしていないが、給電線を介して所定の電力が供給されている。
クリーンルーム11A,11Bは、天井および床と前後壁および側壁とに囲繞された所定容積の気密な空調空間を有し、天井、床、それら壁によって室外と仕切られている。天井には、給気ダクト14から供給される空気をクリーンルーム11A,11Bに取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。側壁には、クリーンルーム11A,11Bの空気を排気ダクト15に取り入れるための排気口(図示せず)が施設されている。クリーンルーム11A,11Bには、図示はしていないが、そこに出入りするための扉が設置されている。
クリーンルーム11A,11Bは、その室内気圧が厳密に管理され、通常の使用状態(給排気ファン12,13や定風量ユニット16、モーターダンパ17の運転中)において室内気圧が所定圧(大気圧または設定室圧)よりも高い予め設定された適正範囲の目標室圧(陽圧)に保持されている。
給気ダクト14は、クリーンルーム11A,11Bの天井に施設された給気口につながり、建造物の屋外とクリーンルーム11A,11Bとを連結している。給気ファン12は、給気ダクト14の空気取り入れ側の端部に設置され、所定量の空気をクリーンルーム11A,11Bに強制的に給気する。給気ファン12は、インターフェイス20を介してコントローラ19に接続されている。
給気ファン12は、インバーター(図示せず)によってその周波数が制御され、給気風量が調節される。給気ファン12は、停止した状態から起動した後、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、その周波数(給気風量)が次第に増加する。給気ファン12は、その起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間(ファン12の起動時からファン12の周波数が設定周波数に達するまでの間)における周波数の漸増量(給気風量の漸増量)があらかじめ設定されている。給気ファン12の起動時では、その周波数が0Hzから設定周波数(たとえば、41Hz〜43Hz)まで上昇する。給気ファン12は、その起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間における周波数の漸増量が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で設定される。
給気ファン12は、その運転中における周波数が設定周波数に維持され、ファン12から給気される給気風量が一定に維持される。給気ファン12は、その運転中から停止までの間に、その周波数(給気風量)が次第に減少する。給気ファン12は、その運転中から停止までの間(ファン12の周波数が設定周波数から周波数0になるまでの間)における周波数の漸減量(給気風量の漸減量)があらかじめ設定されている。運転中の給気ファン12の停止時では、その周波数が設定周波数(たとえば、41Hz〜43Hz)から0Hzまで下降する。給気ファン12は、その運転中から停止までの間における周波数の漸減量が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で設定される。
排気ダクト15は、クリーンルーム11A,11Bの側壁に施設された排気口につながり、クリーンルーム11A,11Bと建造物の屋外とを連結している。排気ファン13は、排気ダクト15の空気放出側の端部に設置され、所定量の空気をクリーンルーム11A,11Bから強制的に排気する。排気ファン13は、インターフェイス20を介してコントローラ19に接続されている。
排気ファン13は、インバーター(図示せず)によってその周波数が制御され、排気風量が調節される。排気ファン13は、停止した状態から起動した後、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、その周波数(給気風量)が次第に増加する。排気ファン13は、その起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間(ファン13の起動時からファン13の周波数が設定周波数に達するまでの間)における周波数の漸増量(給気風量の漸増量)があらかじめ設定されている。排気ファン13の起動時では、その周波数が0Hzから設定周波数(たとえば、41Hz〜43Hz)まで上昇する。排気ファン13は、その起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間における周波数の漸増量が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で設定される。
排気ファン13は、その定常運転中における周波数が設定周波数に維持され、ファン13によって排気される排気風量が一定に維持される。排気ファン13は、その運転中から停止までの間に、その周波数(給気風量)が次第に減少する。排気ファン13は、その運転中から停止までの間(ファン13の周波数が設定周波数から周波数0になるまでの間)における周波数の漸減量(給気風量の漸減量)があらかじめ設定されている。運転中の排気ファン13の停止時では、その周波数が設定周波数(たとえば、41Hz〜43Hz)から0Hzまで下降する。排気ファン13は、その運転中から停止までの間における周波数の漸減量が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で設定される。
各定風量ユニット16は、それらクリーンルーム11A,11Bにつながる給気ダクト14に設置されている。定風量ユニット16は、給気ダクト14の内部気圧の変動に対してユニット16内を通る空気通過量を調節し、クリーンルーム11A,11Bへ供給する空気量を一定に保持する。圧力センサ18は、一方の検出部21がクリーンルーム11A,11B内に設置され、他方の検出部22がクリーンルーム11A,11B外(建造物内)に設置されている。圧力センサ18は、インターフェイス20を介してコントローラ19に接続されている。圧力センサ18は、クリーンルーム11A,11B内の室内気圧を計測し、計測した室内気圧を電気信号としてコントローラ19に送信する。
モーターダンパ17は、クリーンルーム11A,11Bから延びる排気ダクト15に設置されている。モーターダンパ17は、図示はしていないが、モジュトロールモーターと、モーターの駆動力によって旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。モーターダンパ17は、旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)を調節し、それによって各クリーンルーム11A,11Bから排気される空気の流量(排気量)を調節する。
モーターダンパ17には、制御装置(図示せず)が設置されている。制御装置は、インターフェイス20を介してコントローラ19に接続されている。モーターダンパ17の制御装置は、ダンパ17の旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(所定の開度)に設定または維持、あるいは所定の角度に変更する開度制御信号をダンパ17に出力することで、空気流路の開度を所定の開度に調節する。
コントローラ19は、演算処理を行う中央処理装置(CPUまたはMPU)と各種データを記憶可能なメインメモリとを有するコンピュータである。コントローラ19には、各種データや運転条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている(図示せず)。
コントローラ19のメインメモリには、クリーンルーム11A,11Bの目標室圧、クリーンルーム11A,11Bの上位の基準室圧、クリーンルーム11A,11Bの下位の基準室圧、給気ファン12や排気ファン13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間(ファン12,13の起動時からファン12,13の周波数が設定周波数に達するまでの間)におけるそれらファン12,13の周波数の漸増量(給気風量の漸増量)、給排気ファン12,13の運転中から停止までの間(ファン12,13の周波数が設定周波数から周波数0になるまでの間)におけるそれらファン12,13の周波数の漸減量(給気風量の漸減量)が記憶されている。
目標室圧は、入力装置からコントローラ19に入力され、コントローラ19のメインメモリに記憶される。目標室圧は、入力装置を介してその値を任意に設定することができる。上位の基準室圧は、目標室圧、目標室圧よりも高い上限室圧、目標室圧と上限室圧との間で設定された設定室圧のいずれかが使用される。上位の基準室圧は、入力装置からコントローラ19に入力され、コントローラ19のメインメモリに記憶される。上位の基準室圧は、入力装置を介してその値を任意に設定することができる。
下位の基準室圧は、給排気ファン12,13の起動時ではそれらファン12,13の停止時における大気圧が使用され、給排気ファン12,13の停止時ではそれらファン12,13の停止時における大気圧または大気圧とクリーンルーム11A,11Bの目標室圧との間で任意に設定された設定室圧のいずれかが使用される。下位の基準室圧は、入力装置からコントローラに入力され、コントローラ19のメインメモリに記憶される。下位の基準室圧は、入力装置を介してその値を任意に設定することができる。
給気ファン12や排気ファン13の周波数の漸増量は、入力装置からコントローラ19に入力され、コントローラ19のメインメモリに記憶される。ファン12,13の周波数の漸増量は、入力装置を介してその値を前記範囲(0.1〜10.0Hz/秒)で任意に設定することができる。給排気ファン12,13の周波数の漸減量は、入力装置からコントローラに入力され、コントローラ19のメインメモリに記憶される。ファン12,13の周波数の漸減量は、入力装置を介してその値を前記範囲(0.1〜10.0Hz/秒)で任意に設定することができる。
給気ファン12や排気ファン13の運転中(クリーンルーム11A,11Bに空調を実施中)においてコントローラ19は、圧力センサ18から送信された電気信号からクリーンルーム11A,11B内の室内気圧を求め、室内気圧が目標室圧の範囲内にあるかを判断する。室内気圧が目標室圧の範囲内にある場合、コントローラ19は、モーターダンパ17の制御装置に対して開度の維持を指示する。モーターダンパ17の制御装置は、その時点における旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)を維持する。
室内気圧が目標室圧の範囲から逸脱している場合、コントローラ19は、室内気圧が目標室圧の範囲内になるように、測定した室内気圧と目標室圧との差に応じてモーターダンパ17の旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)を調節するフィードバック制御を行う。コントローラ19は、フィードバック制御に基づいて、モーターダンパ17の制御装置に対して開度の変更を指示する。モーターダンパ17の制御装置は、コントローラ19から出力された開度の変更指示にしたがって、旋回羽根の旋回角度を変更する。旋回羽根の旋回角度が変わると、ダンパ17の空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量が変更されてクリーンルーム11A,11Bから排気される排気量が変わるとともに、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧の範囲内に復帰する。
図2〜図4に基づいて、給排気ファン制御システム10によって行われるファン起動時の給排気ファン12,13の制御を説明すると、以下のとおりである。なお、上位の基準室圧として、目標室圧よりも高い上限室圧を使用し、下位の基準室圧として、給排気ファン12,13の停止時における大気圧を使用するものとする。給排気ファン12,13の起動時では、コントローラ19がそれらファン12,13のスイッチをONにするとともに、モーターダンパ17および圧力センサ18のスイッチをONにする。なお、モーターダンパ17の空気流路は所定の開度に開かれている。
給排気ファン12,13のスイッチがONになると、それらファン12,13が起動する(S−10)。なお、給排気ファン12,13の起動直後ではそれらファン12,13の周波数が0Hzであり、ファン12,13が起動してからそれらファン12,13の周波数が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で漸増し、ファン12,13が起動してから所定時間経過後にそれらファン12,13の周波数が設定周波数に達する。
モーターダンパ17のスイッチがONになると、ダンパ17が起動し、クリーンルーム11A,11Bから排気される空気の流量が調節される。圧力センサ18のスイッチがONになると、センサ18が起動する(S−10)。圧力センサ18は、クリーンルーム11A,11B内の室内気圧を計測して室内気圧を示す電気信号をコントローラ19に送信する。
コントローラ19は、給気ファン12の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間(ファン12の周波数が設定周波数に達するまでの間)に、ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数を次第に増加させるとともにファン12の給気風量を次第に増加させる(給気風量漸増手段)(S−11)。
コントローラ19は、排気ファン13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間(ファン13の周波数が設定周波数に達するまでの間)に、ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数を次第に増加させるとともにファン13の排気風量を次第に増加させる(排気風量漸増手段)(S−11)。
図2(c)に示すように、給気ファン12のインバーターは、コントローラ19からの周波数漸増信号にしたがって、給気ファン12の周波数を次第に増加(漸増)させる。給気ファン12は、その周波数が漸増することによってクリーンルーム11A,11Bに給気する給気風量が次第に増加する(S−12)。排気ファン12のインバーターは、コントローラ19からの周波数漸増信号にしたがって、排気ファン13の周波数を次第に増加(漸増)させる。排気ファン13は、その周波数が漸増することによってクリーンルーム11A,11Bから排気する排気風量が次第に増加する(S−12)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の起動時からそれらファン12,13の周波数の漸増中であって、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、圧力センサ18から送信された電気信号に基づいて、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)(なお、上位の基準室圧を目標室圧とした場合はその目標室圧、上位の基準室圧を目標室圧と上限室圧と間で設定した設定室圧とした場合はその設定室圧)を上回っているかを判断するとともに、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)を下回っているかを判断する(S−13)。
コントローラ19は、ステップ13(S−13)において、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っておらず、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っていないと判断すると、給気風量漸増手段および排気風量漸増手段を継続し、給気ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の給気風量を次第に増加させるとともに(給気風量漸増手段)、排気ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の排気風量を次第に増加させる(排気風量漸増手段)(S−14)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の周波数の漸増を継続した後、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達したかを判断するとともに、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達したかを判断する(S−15)。コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するとともに、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達したと判断した場合、ファン12,13の周波数の漸増を停止し、設定周波数を維持してその設定周波数でそれらファン12,13を運転する(S−16)。なお、ステップ15(S−15)において室内気圧が目標室圧に達せず、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達しない場合、コントローラ19は、ステップ13(S−13)からの手順を繰り返す。
給排気ファン12,13の周波数が漸増する過程(給気ファン12の給気風量や排気ファン13の排気風量が次第に増加する過程)において、給気ファン12の給気風量が必要以上に大きくなり、または、排気ファン13の排気風量が必要以上に小さくなり、図2(a)に示すように、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回る場合がある。したがって、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回る場合が生じる。このようにクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ると、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなり、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへ空気が侵入し、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
また、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回った後、室内気圧が急激に下降すると、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなり、クリーンルーム11A,11Bへ外気(空気)が侵入し、クリーンルーム11A,11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ると、ステップ13(S−13)において、コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限気圧を超えたと判断する。コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限気圧を上回ったと判断すると、給気風量漸増手段を中断して給気ファン12の周波数の漸増を停止させ、その時点におけるファン12の周波数を維持する周波数維持信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数をその時点の周波数に維持するとともにファン12の給気風量をその時点の風量に維持する(給気風量維持手段)。さらに、給気風量維持手段によって給気ファン12の給気風量を維持している間、排気風量漸増手段を継続し、排気ファン13の周波数を漸増させ、ファン13の排気風量を漸増させる(S−17)。
給排気ファン12,13の周波数が漸増する過程(給気ファン12の給気風量や排気ファン13の排気風量が次第に増加する過程)において、給気ファン12の給気風量が必要以上に小さくなり、または、排気ファン13の排気風量が必要以上に大きくなり、図2(b)に示すように、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回る場合がある。したがって、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回る場合が生じる。このようにクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ると、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなり、クリーンルーム11A,11Bへ外気(空気)が侵入し、クリーンルーム11A,11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
また、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回った後、室内気圧が急激に上昇すると、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなり、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへ空気が侵入し、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ると、ステップ13(S−13)において、コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧に達していないと判断する。コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ったと判断すると、排気風量漸増手段を中断して排気ファン13の周波数の漸増を停止させ、その時点におけるファン13の周波数を維持する周波数維持信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数をその時点の周波数に維持するとともにファン13の排気風量をその時点の風量に維持する(排気風量維持手段)。さらに、排気風量維持手段によって排気ファン13の排気風量を維持している間、給気風量漸増手段を継続し、給気ファン12の周波数を漸増させ、ファン12の給気風量を漸増させる(S−17)。
次に、コントローラ19は、給気ファン12の周波数の漸増を停止させた後、その時点における給気ファン12の周波数を維持している間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)を下回ったかを判断する(S−18)。または、コントローラ19は、排気ファン13の周波数の漸増を停止させた後、その時点における排気ファン13の周波数を維持している間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)を上回ったかを判断する(S−18)。
ステップ18(S−18)においてコントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を下回っていないと判断すると、給気ファン12の周波数の漸増の中断を継続してファン12の周波数を維持し、給気ファン12の給気風量を維持するとともに(給気風量維持手段)、排気ファン13に対する排気風量漸増手段を継続する(S−17)。
また、ステップ18(S−18)においてコントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を上回っていないと判断すると、排気ファン13の周波数の漸増の中断を継続して排気ファン13の周波数を維持し、排気ファン13の排気風量を維持するとともに(排気風量維持手段)、給気ファン12に対する給気風量漸増手段を継続する(S−17)。
ステップ18(S−18)においてコントローラ19は、給気風量維持手段を行っている間にクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を下回ったと判断すると、給気風量維持手段を中断して給気ファン12の周波数維持を中断させ、ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数の漸増を再開させ、ファン12の周波数を次第に増加させるとともにファン12の給気風量を次第に増加させる(給気風量漸増手段)(S−19)。
また、ステップ18(S−18)においてコントローラ19は、排気風量維持手段を行っている間にクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を上回ったと判断すると、排気風量維持手段を中断して排気ファン13の周波数維持を中断させ、ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数の漸増を再開させ、ファン13の周波数を次第に増加させるとともにファン13の排気風量を次第に増加させる(排気風量漸増手段)(S−19)。
給気ファン12の周波数の漸増を再開させた後、または、排気ファン13の周波数の漸増を再開させた後、コントローラ19は、圧力センサ18から送信された電気信号に基づいて、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っているかを判断するとともに、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っているかを判断する(S−20)。
コントローラ19は、ステップ20(S−20)において、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っておらず、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っていないと判断すると、給気風量漸増手段および排気風量漸増手段を継続し、給気ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の給気風量を次第に増加させるとともに(給気風量漸増手段)、排気ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸増量で漸増させる周波数漸増信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の排気風量を次第に増加させる(排気風量漸増手段)(S−21)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の周波数の漸増を再開しつつそれを継続した後、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達したか、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達したかを判断する(S−22)。室内気圧が目標室圧に達するとともに、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達した場合、コントローラ19は、給気風量漸増手段および排気風量漸増手段を中止し、給排気ファン12,13の周波数の漸増中止信号をファン12,13のインバーターに出力し、それらファン12,13を設定周波数で運転する(S−23)。
なお、室内気圧が目標室圧に達せず、給排気ファン12,13の周波数が設定周波数に達しない場合、コントローラ19は、ステップ20(S−20)からの手順を繰り返す。また、ステップ20(S−20)において、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ったと判断し、または、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ったと判断すると、コントローラ19は、ステップ17(S−17)からの手順を繰り返す。
給排気ファン制御システム10は、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、圧力センサ18が計測したクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)を上回った場合、給気風量漸増手段を中断してその時点における給気ファン12の周波数(給気風量)を維持するとともに、給気風量維持手段によって給気ファン12の給気風量を維持している間、排気風量漸増手段を継続して排気ファン13の周波数(排気風量)を次第に増やすから、給排気ファン12,13の起動時からそれらファン12,13の給気風量や排気風量が次第に増えていく過程で、給気ファン12の給気風量が予定以上に大きくなり、または、排気ファン13の排気風量が予定以上に小さくなり、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧を上回ったとしても、上限室圧に対して室内気圧を速やかに下回らせることができる。
給排気ファン制御システム10は、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸増や排気ファン13の周波数(排気風量)の漸増を遅くしなくても、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間における室内気圧の上限室圧に対する逸脱を防ぐことができるから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸増遅延や排気ファン12の周波数(排気風量)の漸増遅延を防ぐことができ、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでに長時間を要することはなく、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧を速やかに目標室圧にすることができる。給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧を下回った場合、給気風量漸増手段を再び行って給気ファン12の周波数(給気風量)を次第に増やすから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸増遅延を防ぐことができ、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでに長時間を要することはなく、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧を速やかに目標室圧にすることができる。
給排気ファン制御システム10は、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、圧力センサ18が計測したクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)を下回った場合、排気風量漸増手段を中断してその時点における排気ファン13の周波数(排気風量)を維持するとともに、排気風量維持手段によって排気ファン13の排気風量を維持している間、給気風量漸増手段を継続して給気ファン12の周波数(給気風量)を次第に増やすから、給排気ファン12,13の起動時からそれらファン12,13の給気風量や排気風量が次第に増えていく過程で、排気ファン13の排気風量が予定以上に大きくなり、または、給気ファン12の給気風量が予定以上に小さくなり、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧を下回ったとしても、大気圧に対して室内気圧を速やかに上回らせることができる。
給排気ファン制御システム10は、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸増や排気ファン13の周波数(排気風量)の漸増を遅くしなくても、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間における室内気圧の大気圧に対する逸脱を防ぐことができるから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸増遅延や排気ファン13の周波数(排気風量)の漸増遅延を防ぐことができ、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでに長時間を要することはなく、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧を速やかに目標室圧にすることができる。給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧を上回った場合、排気風量漸増手段を再び行って排気ファン13の周波数(排気風量)を次第に増やすから、排気ファン13の周波数(排気風量)の漸増遅延を防ぐことができ、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでに長時間を要することはなく、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧を速やかに目標室圧にすることができる。
給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧を速やかに目標室圧にすることができるのみならず、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなることはなく、クリーンルーム11A、11Bへの外気(空気)の不用意な侵入を防ぐことができ、クリーンルーム11A、11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを防ぐことができる。さらに、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなることはなく、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへの空気の侵入を防ぐことができ、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを防ぐことができる。また、給排気ファン制御システム10は、給排気ファン12,13の起動時からクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に達するまでの間に、給気風量漸増手段における給気ファン12の周波数の漸増量を0.1〜10.0Hz/秒の範囲で増やすとともに、排気風量漸増手段における排気ファン13の周波数の漸増量を0.1〜10.0Hz/秒の範囲で増やすから、給気ファン12の周波数の漸増遅延や排気ファン13の周波数の漸増遅延を確実に防ぐことができる。
図5(a)は、給排気ファン12,13が停止するまでの間のクリーンルーム11A,11Bの室内気圧の時間的な変化の他の一例を示す図であり、図5(b)は、給排気ファン12,13が停止するまでの間のクリーンルーム11A,11Bの室内気圧の時間的な変化の他の一例を示す図である。図5(c)は、給排気ファン12,13が停止するまでの間におけるファン12,13の周波数の変化の一例を示す図であり、図6は、給排気ファン制御システム10によって行われる給排気ファン停止時のファン制御の一例を説明するためのフローチャートである。図7は、図6から続くフローチャートである。
図5〜図7に基づいて、給排気ファン制御システム10によって行われるファン停止時の給排気ファン12,13の制御を説明すると、以下のとおりである。なお、上位の基準室圧として、目標室圧よりも高い上限室圧を使用し、下位の基準室圧として、給排気ファン12,13の停止時における大気圧を使用するものとする。給排気ファン12,13の停止時では、コントローラ19がそれらファン12,13の周波数を次第に減少させつつスイッチをOFFにする。なお、給排気ファン制御システム10の運転中では、モーターダンパ17によってクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が目標室圧に維持されている。
給排気ファン12,13を停止させるには、入力装置からファン停止指令を入力し、コントローラ19にそれらファン12,13の停止を指示する(S−30)。なお、設定周波数(41Hz〜43Hz)で運転中の給排気ファン12,13は、それらファン12,13の周波数が0.1〜10.0Hz/秒の範囲で漸減し、所定時間経過後にそれらファン12,13の周波数が0Hzになり、ファン12,13が停止する。また、運転中のファン12,13が停止するまでの間、圧力センサ18は、クリーンルーム11A,11B内の室内気圧を計測し、室内気圧を示す電気信号をコントローラ19に送信する。
ファン停止指令が入力されるとコントローラ19は、モーターダンパ17によってクリーンルーム11A,11Bの目標室圧を維持しつつ運転中の給気ファン12がその運転を停止するまでの間(ファン12の周波数が設定周波数から0Hzになるまでの間)に、ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数を次第に減少させるとともにファン12の給気風量を次第に減少させる(給気風量漸減手段)(S−31)。
さらに、コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの目標室圧を維持しつつ運転中の排気ファン13がその運転を停止するまでの間(ファン13の周波数が設定周波数から0Hzになるまでの間)に、ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数を次第に減少させるとともにファン13の排気風量を次第に減少させる(排気風量漸減手段)(S−31)。
図5(c)に示すように、給気ファン12のインバーターは、コントローラ19からの周波数漸減信号にしたがって、給気ファン12の周波数を次第に減少(漸減)させる。給気ファン12は、その周波数が漸減することによってクリーンルーム11A,11Bに給気する給気風量が次第に減少する(S−32)。排気ファン12のインバーターは、コントローラ19からの周波数漸減信号にしたがって、排気ファン13の周波数を次第に減少(漸減)させる。排気ファン13は、その周波数が漸減することによってクリーンルーム11A,11Bから排気する排気風量が次第に減少する(S−32)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の周波数の漸減中であって、それらファン12,13がその運転を停止するまでの間に、圧力センサ18から送信された電気信号に基づいて、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)(なお、下位の基準室圧を大気圧とクリーンルーム11A,11Bの目標室圧との間で任意に設定された設定室圧とした場合はその設定室圧)を下回っているかを判断するとともに、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)(なお、上位の基準室圧を目標室圧とした場合はその目標室圧、上位の基準室圧を目標室圧と上限室圧と間で設定した設定室圧とした場合はその設定室圧)を上回っているかを判断する(S−33)。
コントローラ19は、ステップ33(S−33)において、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っておらず、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っていないと判断すると、給気風量漸減手段および排気風量漸減手段を継続し、給気ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の給気風量を次第に減少させるとともに(給気風量漸減手段)、排気ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の排気風量を次第に減少させる(排気風量漸減手段)(S−34)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の周波数の漸減を継続した後、それらファン12,13が停止したか(ファン12,13の周波数が0Hzになったか)を判断する(S−35)。コントローラ19は、それらファン12,13が停止したと判断した場合、ファン12,13の周波数の漸減を停止する(ファン12,13のスイッチがOFFとなり、ダンパ17およびセンサ18のスイッチがOFFとなる)。なお、ステップ35(S−35)においてファン12,13が未だ停止していない場合、コントローラ19は、ステップ33(S−33)からの手順を繰り返す。
給排気ファン12,13の周波数が漸減する過程(給気ファン12の給気風量や排気ファン13の排気風量が次第に減少する過程)において、給気ファン12の給気風量が必要以上に小さくなり、または、排気ファン13の排気風量が必要以上に大きくなり、図5(a)に示すように、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回る場合がある。したがって、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでの間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回る場合が生じる。このようにクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ると、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなり、クリーンルーム11A,11Bへ外気(空気)が侵入し、クリーンルーム11A,11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
また、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回った後、室内気圧が急激に上昇すると、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなり、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへ空気が侵入し、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ると、ステップ33(S−33)において、コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧に達していないと判断する。コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回ったと判断すると、給気風量漸減手段を中断して給気ファン12の周波数の漸減を停止させ、その時点における給気ファン12の周波数を維持する周波数維持信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数をその時点の周波数に維持するとともにファン12の給気風量をその時点の風量に維持する(給気風量維持手段)。さらに、給気風量維持手段によって給気ファン12の給気風量を維持している間、排気風量漸減手段を継続し、排気ファン13の周波数を漸減させ、ファン13の排気風量を漸減させる(S−36)。
給排気ファン12,13の周波数が漸減する過程(給気ファン12の給気風量や排気ファン13の排気風量が次第に減少する過程)において、給気ファン12の給気風量が必要以上に大きくなり、または、排気ファン13の排気風量が必要以上に小さくなり、図5(b)に示すように、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回る場合がある。したがって、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでの間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回る場合が生じる。このようにクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ると、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなり、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへ空気が侵入し、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
また、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回った後、室内気圧が急激に下降すると、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなり、クリーンルーム11A,11Bへ外気(空気)が侵入し、クリーンルーム11A,11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを起こす場合がある。
クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ると、ステップ33(S−33)において、コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を超えたと判断する。コントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回ったと判断すると、排気風量漸減手段を中断して排気ファン13の周波数の漸減を停止させ、その時点におけるファン13の周波数を維持する周波数維持信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数をその時点の周波数に維持するとともにファン13の排気風量をその時点の風量に維持する(排気風量維持手段)。さらに、排気風量維持手段によって排気ファン13の排気風量を維持している間、給気風量漸減手段を継続し、給気ファン12の周波数を漸減させ、ファン12の給気風量を漸減させる(S−36)。
次に、コントローラ19は、給気ファン12の周波数の漸減を停止させた後、その時点における給気ファン12の周波数を維持している間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)を上回ったかを判断する(S−37)。または、コントローラ19は、排気ファン13の周波数の漸減を停止させた後、その時点における排気ファン13の周波数を維持している間に、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)を下回ったかを判断する(S−37)。
ステップ37(S−37)においてコントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を上回っていないと判断すると、給気ファン12の周波数の漸減の中断を継続してファン12の周波数を維持し、給気ファン12の給気風量を維持するとともに(給気風量維持手段)、排気ファン13に対する排気風量漸減手段を継続する(S−36)。
また、ステップ37(S−37)においてコントローラ19は、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を下回っていないと判断すると、排気ファン13の周波数の漸減の中断を継続して排気ファン13の周波数を維持し、排気ファン13の排気風量を維持するとともに(排気風量維持手段)、給気ファン12に対する給気風量漸減手段を継続する(S−36)。
ステップ37(S−37)においてコントローラ19は、給気風量維持手段によってクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を上回ったと判断すると、給気風量維持手段を中断して給気ファン12の周波数維持を中断させ、ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の周波数の漸減を再開させ、ファン12の周波数を次第に減少させるとともにファン12の給気風量を次第に減少させる(給気風量漸減手段)(S−38)。
また、ステップ37(S−37)においてコントローラ19は、排気風量維持手段によってクリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を下回ったと判断すると、排気風量維持手段を中断して排気ファン13の周波数維持を中断させ、ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の周波数の漸減を再開させ、ファン13の周波数を次第に減少させるとともにファン13の排気風量を次第に減少させる(排気風量漸減手段)(S−38)。
給気ファン12の周波数の漸減を再開させた後、または、排気ファン13の周波数の漸減を再開させた後、コントローラ19は、圧力センサ18から送信された電気信号に基づいて、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っているかを判断するとともに、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っているかを判断する(S−39)。
コントローラ19は、ステップ39(S−39)において、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が大気圧を下回っておらず、クリーンルーム11A,11Bの室内気圧が上限室圧を上回っていないと判断すると、給気風量漸減手段および排気風量漸減手段を継続し、給気ファン12の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン12のインバーターに出力し、ファン12の給気風量を次第に減少させるとともに(給気風量漸減手段)、排気ファン13の周波数をあらかじめ設定された漸減量で漸減させる周波数漸減信号をファン13のインバーターに出力し、ファン13の排気風量を次第に減少させる(排気風量漸減手段)(S−40)。
コントローラ19は、給排気ファン12,13の周波数の漸減を再開しつつそれを継続した後、それらファン12,13が停止したか(ファン12,13の周波数が0Hzになったか)を判断する(S−41)。コントローラ19は、それらファン12,13が停止したと判断した場合、ファン12,13の周波数の漸減を停止する。なお、ステップ41(S−41)においてファン12,13が未だ停止していない場合、コントローラ19は、ステップ39(S−39)からの手順を繰り返す。
給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの目標室圧を維持しつつ運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間に、圧力センサ18が計測したクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧(下位の基準室圧)を下回った場合、給気風量漸減手段を中断してその時点における給気ファン12の周波数(給気風量)を維持するとともに、給気風量維持手段によって給気ファン12の給気風量を維持している間、排気風量漸減手段を継続して排気ファン13の周波数(排気風量)を次第に減らすから、給排気ファン12,13が停止するまでの間におけるそれらファン12,13の給気風量や排気風量が次第に減っていく過程で、給気ファン12の給気風量が予定以上に小さくなり、または、排気ファン13の排気風量が予定以上に大きくなり、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧を下回ったとしても、大気圧に対して室内気圧を速やかに上回らせることができる。
給排気ファン制御システム10は、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸減や排気ファン13の周波数(排気風量)の漸減を遅くしなくても、運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間における室内気圧の大気圧に対する逸脱を防ぐことができるから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸減遅延や排気ファン12の周波数(排気風量)の漸減遅延を防ぐことができ、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでに長時間を要することはなく、運転中の給排気ファン12,13を速やかに停止させることができる。給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が大気圧を上回った場合、給気風量漸減手段を再び行って給気ファン12の周波数(給気風量)を次第に減らすから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸減遅延を防ぐことができ、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでに長時間を要することはなく、運転中の給排気ファン12,13を速やかに停止させることができる。
給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの目標室圧を維持しつつ運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間に、圧力センサ18が計測したクリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧(上位の基準室圧)を上回った場合、排気風量漸減手段を中断してその時点における排気ファン13の周波数(排気風量)を維持するとともに、排気風量維持手段によって排気ファン13の排気風量を維持している間、給気風量漸減手段を継続して給気ファン12の周波数(給気風量)を次第に減らすから、給排気ファン12,13が停止するまでの間におけるそれらファン12,13の給気風量や排気風量が次第に減っていく過程で、排気ファン13の排気風量が予定以上に小さくなり、または、給気ファン12の給気風量が予定以上に大きくなり、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧を上回ったとしても、上限室圧に対して室内気圧を速やかに下回らせることができる。
給排気ファン制御システム10は、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸減や排気ファン13の周波数(排気風量)の漸減を遅くしなくても、運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間における室内気圧の上限室圧に対する逸脱を防ぐことができるから、給気ファン12の周波数(給気風量)の漸減遅延や排気ファン12の周波数(排気風量)の漸減遅延を防ぐことができ、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでに長時間を要することはなく、運転中の給排気ファン12,13を速やかに停止させることができる。給排気ファン制御システム10は、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧が上限室圧を下回った場合、排気風量漸減手段を再び行って排気ファン13の周波数(排気風量)を次第に減らすから、排気ファン13の周波数(排気風量)の漸減遅延を防ぐことができ、運転中の給排気ファン12,13が停止するまでに長時間を要することはなく、運転中の給排気ファン12,13を速やかに停止させることができる。
給排気ファン制御システム10は、運転中の給排気ファン12,13を速やかに停止させることができるのみならず、運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間に、クリーンルーム11A、11Bの室内気圧と外気圧との圧力差が必要以上に大きくなることはなく、クリーンルーム11A、11Bへの外気(空気)の不用意な侵入を防ぐことができ、クリーンルーム11A、11Bが外気によって汚染されるコンタミネーションを防ぐことができる。さらに、各クリーンルーム11A,11B間の室内気圧の圧力差が必要以上に大きくなることはなく、一方のクリーンルーム11A,11Bから他方のクリーンルーム11A,11Bへの空気の侵入を防ぐことができ、クリーンルーム11A,11Bどうしが汚染されるコンタミネーションを防ぐことができる。また、給排気ファン制御システム10は、運転中の給排気ファン12,13がその運転を停止するまでの間に、給気風量漸減手段における給気ファン12の周波数の漸減量を0.1〜10.0Hz/秒の範囲で減らすとともに、排気風量漸減手段における排気ファン13の周波数の漸減量を0.1〜10.0Hz/秒の範囲で減らすから、給気ファン12の周波数の漸減遅延や排気ファン13の周波数の漸減遅延を確実に防ぐことができる。