JP6025715B2 - 多能性幹細胞の肝細胞への分化を向上する三次元スキャホールド - Google Patents

多能性幹細胞の肝細胞への分化を向上する三次元スキャホールド Download PDF

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Description

本発明は、hPS(ヒト多能性幹細胞)の生育および分化向上のための、合成または動物由来の三次元(3D)バイオスキャホールドの基質としての使用に関し、これらのスキャホールドは、既存の研究実験用プラスチック製器具と併せた使用に適用される。より具体的に、本発明は、前記hPS細胞の肝細胞または肝細胞様の細胞型への分化向上のために、これらスキャホールドを単独、またはさまざまな生体マトリックスコーティングと併せてhPS細胞と播種することに関する。また、本発明は、部分的に分化した肝細胞前駆体(progenitors)を、より成熟した肝細胞型へさらに分化させるためにスキャホールドに播種することに関する。
哺乳類細胞培養
哺乳類細胞培養の方法は、長年にわたって改良され標準化されてきており、細胞の生育、増殖および分化を可能にするのに必要な条件が確立されている。通常、細胞はポリスチレンなどの無菌のプラスチック表面上で、多く場合、細胞が正常に生育すると思われる生体内環境を、より厳密に再現するように作られたマトリックスコーティングとともに培養することができる。胚性幹細胞の場合、マウス胎仔線維芽細胞などのフィーダー細胞の層が、細胞の増殖を助長、補助する、より良好な基質を提供するのに必要とされることが多い。典型的には、哺乳類細胞は、通常ウシ胎児血清などの添加物を含有する支持培地中で培養されることになる。その培地は、さまざまなホルモンおよび成長因子を細胞に与えることにくわえて、この場合もやはり細胞生育のための理想的な微環境を再現するのに役立つ多くの細胞マトリックス成分を含有する。
現在のところ、哺乳類細胞培養は、基礎研究における使用、薬物アッセイおよび毒物学アッセイにおける使用、ならびに正しく折り畳まれた組み換え哺乳類タンパク質を作る際の使用など。多岐にわたって下流で適用される。最近になって、哺乳類細胞培養はさらに発展し再生医療の領域で使用され、それにより皮膚真皮層などの組織は、外傷後の損傷の修復または病変内部臓器の修復などの臨床外科における使用用に、より大量の組織を作り出すために採取されて一定の期間増殖される。初代供給源から生成される細胞は、さらなる増殖能が非常に限られており、培養を成功するのに複雑な配合の生育培地および生育条件を必要とする。また、それら細胞は、免疫拒絶の問題のために再生医療における使用が限定される。
近年、胚性幹細胞研究の分野において、これらの障壁を超えることを意図した開発が多くある。そのような多能性幹細胞は、ほぼ無制限に増殖できるだけでなく、完全に発達した生命体を含むあらゆる細胞および組織型に分化する能力も有する。したがって、多能性幹細胞は、新しい薬物アッセイの開発において重要なツールであることができ、その供給は事実上制限がないので、より安価で、よりばらつきの少ない供給源を提供する。
3Dバイオスキャホールド
多能性幹細胞を分化させるにあたって直面する主な課題の1つは、部分的に分化した、未成熟な前駆細胞(precursor cells)、またはさまざまな細胞型の高度に不均一な混合物よりむしろ、成熟した、完全に機能的な細胞型を常に一貫して作り出すように分化を制御することである。多能性幹細胞を分化させる最も単純な方法は、2Dプラスチック基質上であるが、残念ながらこの方法は、成熟した細胞型の特徴的な表現型を欠いている分化細胞を作り出すことが多い。これは、一部には、当然三次元で起こるという点で2D培養と異なるプロセスである正常な胚発生時に幹細胞が経る状態を再現できないからである。研究者がこのことに対処するよう試みてきた方法の1つは、胚発生の間に細胞が経る状態の幾つかをより忠実に再現し、細胞がより自然な形で分化できることを意図する新規の3D培養系を開発することである。特に、そのような3D系により、細胞がより大きい度合いで相互に作用することができ、2D細胞培養の使用で見られるいずれと比べても、機能する臓器により類似する複雑な多細胞の凝集体を開発することができる。
3D系は、細胞がその上に播種され、細胞が付着することができる生物活性スキャホールドの存在に依存する。そのようなスキャホールドは、細胞の成長および増殖を所望の3D形態に向かわせる助けとなるはずであり、また細胞が所望の構造を形成するのを助ける、ある種特定の分子シグナルを提供するのに必要とされうる。バイオスキャホールドの別の重要な要件は、それらが拡張可能であることであり、よれによって組織成長および細胞分化を、より大量で、より経済的な規模で実施できる。スキャホールドは、さまざまな材料から構成されることがあり、的確なスキャホールドの選択は、それに播種された任意の細胞の成長および増殖ならびに分化に向かわせることにおいて極めて重要でありうる。例えば、スキャホールドは、通常多孔性スポンジの形に整えられたポリマー性材料から構成される。このスキャホールドに播種された細胞は付着して、スキャホールド内の相互接続するトンネルおよび溝の網状組織を通してスキャホールドの細孔構造内で成長し、細孔径は適切なスキャホールドを選択する際に考慮すべき重要なことである。また、細胞外マトリックス(ECM)成分などの生物活性剤も使用されることがあり、スキャホールド表面上に置かれたときスキャホールド機能を増強し、より大きな細胞付着を可能にする。最終結果は、それらがより現実的に、それらの通常の生体内の生育場所により厳密に似た形で相互作用することができるインビトロ環境を細胞に提供する。
幾つかの培養系では、細胞外マトリックスの添加が細胞極性および組織形成を誘導する。例えば、コラーゲンの平らなシート上で培養された初代肝細胞の単層が、さらにコラーゲンの第二層で覆われる、いわゆるサンドイッチ培養の場合、細胞は、従来の2D培養における肝細胞と比較して形態および機能性の向上を示す(Dunn, J. et al., 1991)。その重層は、2D対照培養でみられるストレスファイバーの異常な形成と対照的に、生体内の状態に類似したアクチンフィラメントの維持を細胞にもたらす(Berthiaume, F. et at, 1996)。サンドイッチ培養の有益な効果は、細胞外マトリックスへの細胞の接触よりもむしろ細胞間の接触の向上から主に生じると後に議論になったとはいえ、より生理的に関連する細胞骨格の形成ならびにそれに続く細胞極性および形状は肝臓の機能性の向上に関与するかもしれない。(Hamilton, G. et al., 2001)。また、コラーゲンスキャホールドは、胚性幹細胞の肝細胞への分化にも用いられている。Baharvandと同僚は、肝細胞用細胞のコラーゲンスキャホールド内での分化は、従来の2Dで分化した細胞と比較して、形態学的特徴、遺伝子発現パターンおよび代謝活性を向上することを見出した(Baharvand, H. et al., 2006)。
アルギン酸塩は、多孔質非粘着性の3Dスキャホールドを提供し、肝細胞の凝集をサポートして強い細胞間相互作用を形成し、肝臓の機能の向上をもたらす(DvirGinzberg, M. et al., 2003)。また、アルギン酸マトリックス中の環境は、より成熟した機能表現型への、新生ラット肝細胞の分化(Dvir−Ginzberg, M. et al., 2008)、およびHepG2の成熟(Elkayam, T. et al., 2006)をサポートする。くわえて、C3A肝細胞系は、アルギン酸塩中でスフェロイドとして培養したとき多くの異なるCYPの酵素活性が増加したように、2D単層培養と比較して薬物代謝の向上を示した(Elkayam, T. et at, 2006)。肝臓培養状態を向上することが見出されている3D編込み(interweaving)ナノファイバースキャホールド(Wang, S. et al., 2008)を含む、細胞培養をサポートする3Dスキャホールドを提供する幾つかの新製品が最近発売された。あるいは、多孔質ポリスチレンスキャホールドは、細胞が成長および分化し、複雑な3D細胞間相互作用を起こす層を形成することができる空間を提供する(Bokhari, M. et al, 2007a; Bokhari, M et al, 2007b)。こられのスキャホールドでは、HepG2は、2Dで培養された場合と比較して、より一層生体内での組織の作用に類似した形で生化学的製剤に反応する(Bokhari, M. et al., 2007a)。くわえて、成長因子処理を多細胞性スフェロイド形成と組み合わせることによって大量分化培養法を開発することを意図して、肝細胞にまき散らしたポリウレタンフォームでマウスES細胞をスフェロイドとして分化するのに成功している。(Matsumoto, K. et al., 2008)。
肝細胞培養
肝不全および末期の肝疾患は、全世界における膨大な数の死亡の原因であり、医療制度に大きな負担となっている。肝移植は、依然として最も有効な治療である。しかし、この治療の有効性は限定的で、感染症または拒絶反応などの多くの合併症につながる。また、肝移植は、入手可能ドナー臓器の不足に悩まされており、治療を受けた患者は、非常に多くの場合、生涯続く免疫抑制治療に委ねられることになる。臓器の必要性を減らすことによって、細胞に基づいた治療は、社会と、これらの重い疾患を患う個人の両方にとって非常に重要であると思われる。
さら、肝臓は人体における代謝および解毒作用の中心であるため、インビトロ試験用の機能的な細胞型の信頼できる供給源を見つけ出すために多大な努力がなされてきた。残念なことには、肝臓の複雑さおよび機能は、今日利用可能な細胞のいずれによっても正確に映し出されていない。
hPS細胞から、成熟肝細胞にさらに分化しうる肝細胞様細胞を作り出す方法は、多く場合、胚様体の形成および/または細胞毒性化合物の添加に基づく初期の選択を含む(Rambhatla, L. et al., 2003)。これらの選択工程、特に胚様体の形成は、多く場合、大きな細胞数損失を生じ、そして低い効率に終わる。それらの方法は複雑で、たいていは非常に製作時間が長く、数回の消費工程を含む。よって、未分化hBS細胞から生成される肝細胞様細胞形成のための迅速で簡単な方法が必要である。これまでの肝細胞様細胞を得る試みは、例えば米国特許出願第20030003573号に公表されているように、出発材料に対して低い収率に終っている。さらに、初代ヒト肝細胞の入手の可能性は非常に限られており、インビトロの適用に使用したとき細胞はまたその通常の表現型および機能的な性質を急速に失うことが知られている。初代細胞に代わってしばしば使用されるものは、同様に非常に低いレベルの(または完全に欠損した)代謝酵素を含有し、生体内の生来の肝細胞と実質的に異なる他の重要なタンパク質の分布を有する肝臓の細胞系である。よって、肝臓代謝は種特有であるので試験される種以外の種で肝臓代謝および毒性を予測するのには困難を生じることが知られているにもかかわらず、多くの試験はいまだ動物材料を使用して行われる。
医薬開発おいて、有害な肝反応が依然として最も顕著な副作用である。したがって、ヒト肝臓の毒性負荷(toxicity liabilities)を早期に予測することは、臨床試験に入る化合物を選択する際に最優先に重要なことである。この領域における能力を向上する取り組みは、入手の可能性の問題(availability question)と、ヒトにおける有害な肝臓損傷の誘導と一致する複雑な生体内作用に対してより大きな適用範囲を提供するモデルの開発の両方に向けなければならない。
したがって、新しい薬物または化学物質の開発において、ヒト肝細胞を模倣し、候補分子の効果を予測することができるモデルシステムに対する喫緊の必要性がある。入手可能性と生理学的関連性の両方の点で、hPS細胞は、機能的なヒト肝細胞の理想的な再生可能供給源として役割を果たしうる。
本発明の発明者は、hPS細胞、肝細胞前駆体(precursors)、肝細胞前駆体(progenitors)の3Dバイオスキャホールド上での播種が、再生可能かつ拡張可能に成熟した形態および機能をもつ肝細胞を生み出すことができる多くの強力なプロトコールを確立してきた。
本発明は、ヒト多能性幹細胞(hPS)の肝細胞前駆体(progenitor)または肝細胞型への分化を向上する方法を含み、それによってhPS細胞は、最初に二次元培養表面で培養され、その後、さらなる分化および成熟のために3Dバイオスキャホールドの定義されたセットの1つに移される。また、hPS細胞は、最初に二次元の表面で肝細胞前駆細胞(progenitor cells)型に部分的に分化されてもよい。その後、肝細胞前駆体(progenitors)またはhPS細胞は、コーティング無しの(naked)三次元スキャホールド、またはマトリックス化合物でコーティングされたスキャホールドのいずれかに播種され、さらに培養される。
本発明の重要な態様として、hPS細胞を最初に2D環境で生育するか、または随意に最初に分化させた後に、その細胞を3D環境に移すことによって肝細胞関連遺伝子の発現および肝細胞関連酵素の産生が著しく増加することを発明者らは見出した。
定義
本明細書において使用する場合、「ヒト多能性幹細胞」(hPS)は、任意の供給源に由来しうる、適切な条件下で3つの胚層(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のすべての誘導体である種々の細胞型のヒト後代産物を生成できる細胞を指す。hPS細胞は、8〜12週齢のSCIDマウスで奇形腫を形成する能力、および/または組織培養で全3胚層の同定可能な細胞を形成する能力を有しうる。ヒト多能性幹細胞には、ヒト胚性幹(hES)細胞(例えば、Thomson, J.A. et al (1998), Heins, N. et.al. (2004)を参照されたい)および人工多能性幹細胞(例えば、Yu, J. et al, (2007); Takahashi,K. et al (2007)を参照されたい)を含むさまざまな型の胚細胞が含まれる。本明細書において記載されるさまざまな方法および他の実施形態は、多岐にわたる供給源からのhPS細胞を必要とし利用しうる。例えば、使用に好適なhPS細胞は、発生中の胚から得られうる。くわえてまたはあるいは、好適なhPS細胞は、確立された細胞系および/またはヒト人工多能性幹細胞(hiPS)細胞から得られうる。
本明細書において使用する場合、「hiPS細胞」(同様に「iPS」)は、ヒト人工多能性幹細胞を指す。
本明細書において使用する場合、「胚体内胚葉(DE)」および胚体内胚葉細胞(DE細胞)は、限定されないがタンパク質もしくは遺伝子発現、および/または胚体内胚葉の細胞に典型的な形状もしくは胚体内胚葉細胞に類似している相当数の細胞を含む組成物を呈する細胞を指す。
本明細書において使用する場合、「肝前駆体(precursors)」、「肝前駆体(progenitors)」または「肝前駆細胞(progenitor cells)」は、タンパク質もしくは遺伝子発現、および/または胚体内胚葉の細胞に典型的な形状もしくは肝前駆体(precursors)もしくは肝前駆体(progenitors)の細胞に類似している相当数の細胞を含む細胞の組成物などのマーカーを呈する細胞を指す。
本明細書において使用する場合、「肝細胞」または「肝細胞様細胞(HCLC)」は、アルブミン、CYP3A4、UGT2B7、OATP‐2、ADH1A、UGT1A6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6などの、少なくとも幾つかの成熟肝臓マーカーを発現している細胞型を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「hESC‐HEP」は、アルブミン、CYP3A4、UGT2B7、OATP−2、ADH1A、UGT1A6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6などの成熟肝臓マーカーを発現しているヒト胚性幹細胞に由来する細胞型を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「hiPS‐HEP」は、アルブミン、CYP3A4、UGT2B7、OATP−2、ADH1A、UGT1A6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6などの成熟肝臓マーカーを発現しているヒト胚性幹細胞に由来する細胞型を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「ゼノフリー(Xeno‐free)」は、細胞、組織および/もしくは体液またはその派生物などの、直接的または間接的に非ヒト動物由来の材料に一度も曝されたことがない細胞系または細胞材料を指す。
本明細書において使用する場合、「Wntシグナル伝達(signalling)」とは、例えばNejak‐BowenおよびMonga(2008年)に概説されているようにWntシグナル伝達に含まれる経路を指す。
本明細書において使用する場合、HDAC阻害剤とは、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を指す。
本明細書において使用する場合、本明細書で使用される場合、「GSK阻害剤」とは、GSK(特にGSK3アルファまたはGSK3ベータを含むGSK3)を阻害する化合物を指す。本発明での使用に好ましいGSK阻害剤としては、例えば、以下のものの1つ以上が挙げられる:
BIO (2’Z,3’E)‐6‐ブロモインジルビン‐3’‐オキシム(GSK3阻害剤IX);
BIO‐アセトキシム (2’Z,3’E)‐6‐ブロモインジルビン‐3’‐アセトキシム(GSK3阻害剤X);
(5‐メチル‐[H‐ピラゾール‐3‐イル}(2‐フェニルキナゾリン‐4‐イル)アミン(GSK3阻害剤XIII);
ピリドカルバゾール‐シクロペナジエニル(cyclopenadienyl)ルテニウム複合体(GSK3阻害剤XV);
TDZD‐8 4‐ベンジル‐2‐メチル‐1,2,4‐チアジアゾリジン‐3,5‐ジオン(GSK3ベータ阻害剤I);
2‐チオ(3‐ヨードベンジル)‐5‐(I‐ピリジル)‐[1,3,4]‐オキサジアゾール(GSK3ベータ阻害剤II);
OTDZT 2,4‐ジベンジル‐5‐オキソチアジアゾリジン‐3‐チオン(GSK3ベータ阻害剤III);
アルファ‐4‐ジブロモアセトフェノン(GSK3ベータ阻害剤VII);
AR‐AO14418 N‐(4‐メトキシベンジル)‐N’‐(5‐ニトロ‐1,3‐チアゾール‐2‐イル)尿素(GSK‐3ベータ阻害剤VIII);
3‐(1‐(3‐ヒドロキシプロピル}1H‐ピロロ[2,3‐b]ピリジン‐3‐イル]‐4‐ピラジン‐2‐イル‐ピロール‐2,5‐ジオン(GSK3ベータ阻害剤XI);
TWSI19 ピロロピリミジン化合物(GSK3ベータ阻害剤XII);
L803 H‐KEAPPAPPQSpP‐NH2またはそのミリストイル化された形態(GSK3ベータ阻害剤XIII);および
2‐クロロ4‐(4,5‐ジブロモ‐チオフェン‐2‐イル}エタノン(GSK3ベータ阻害剤VI);およびアミノピリミジンCHIR99021。くわえて、多数のwinglessタンパク質またはWntタンパク質が、GSK阻害剤、特に本発明に記載のGSK阻害剤と同様に機能する。したがって、それらはGSK阻害剤という用語に包含される。本発明において使用されうる例示的なWntタンパク質としては、Wntタンパク質のなかでも特に、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt10、Wnt14、Wntl4b、Wnt15、およびWnt16の1つ以上が挙げられる。Wnt3aの使用が好ましい。
さらに、低分子が、Wntシグナル伝達(signalling)を方向付けるのに使用できる。なお、Wntシグナル伝達誘導に対するGSK3β遮断薬または阻害剤を、Wntシグナル伝達の調節に使用し、分化および成熟への方向付けを達成することができる。Wntシグナル伝達経路は、開始後遅い段階または誘導が起こる前に誘導できる。
本明細書において使用する場合、「CYP」は、シトクロムP、およびより具体的に、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6/2A7/2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7およびCYP7A1などの多くの異なるアイソザイムから構成される肝臓の主要な第1相代謝酵素であるシトクロムP450を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「GST」という用語は、グルタチオントランスフェラーゼを意味することを意図し、そのサブタイプには、例えばGST A1‐1、GST M1‐1、およびGST P1‐1がある。
本明細書において使用する場合、「UGT」という用語は、グルクロン酸化作用を触媒する肝臓の酵素群であるウリジンジホスホグルクロノシルトランスフェラーゼを意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「シトクロムP450還元酵素」(CPRとしても知られる)という用語は、その生理学的機能が、電子の移動によるシトクロムP450酵素の還元であり、そのためシトクロムP450酵素介在反応に必要であるタンパク質を意味することを意図する。
「機能的な薬物代謝酵素」という用語によって、生物異物および薬物の化学的な改変、いわゆる薬物または生物異物代謝を行う第1相および第2相酵素に属する機能的な酵素を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「機能活性」という用語は、通常初代ヒト肝細胞で検出される、薬物トランスポーターに関する測定可能な薬物の輸送、およびシトクロムP450(CYP)に関する測定可能な酵素の代謝などの、効果的、測定可能な肝臓の細胞機能を意味する。
本明細書において使用する場合、「胚体外内胚葉(extra embryonic endoderm)(ExE)」という用語は、外部の卵黄嚢などの、胚体内胚葉の反対側に、ヒト発生における胚のコンパートメントを構成すると考えられる分化した内胚葉細胞を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「AAT」という用語は、肝臓マーカーであるアルファ−抗トリプシンを意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、本明細書で使用される場合、「アルコールデヒドロゲナーゼ1」という用語は、NAD+のNADHの還元を伴うアルコールとアルデヒドまたはケトンの間の相互変換を促進するデヒドロゲナーゼ酵素の種類を意味することを意図する。アルコールデヒドロゲナーゼ1は、分解しなければ有毒でありうるアルコールを分解する役目を果たす。
本明細書において使用する場合、「AFP」という用語は、肝臓マーカーであるアルファフェトプロテインを意味することを意図する。本明細書において使用する場合、「BSEP」という用語は、胆汁トランスポーターである胆汁酸塩排出ポンプを意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「CK」という用語は、サイトケラチン18(CK18/KRT18)、サイトケラチン19(CK19/KRT19)、サイトケラチン8(CK8)およびサイトケラチン7(CK7)などの異なるサブタイプ肝臓マーカーであるサイトケラチン(相互交換可能に使用される)意味する。
本明細書において使用する場合、「FGF」という用語は、好ましくはヒトおよび/または組み換え由来の線維芽細胞成長因子を意味し、それに属するサブタイプには、例えば「bFGF」(塩基性線維芽細胞成長因子を意味し、時としてFGF2とも称される)およびFGF4がある。「aFGF」とは、酸性線維芽細胞成長因子(時としてFGF1とも呼ばれる)を意味する。
本明細書において使用する場合、「BMP」という用語は、好ましくはヒトおよび/または組み換え由来の骨形成タンパク質を意味し、それに属するサブタイプは、例えばBMP4およびBMP2である。
本明細書において使用する場合、「HGF」という用語は、好ましくはヒトおよび/または組み換え由来の肝細胞増殖因子を意味する。
本明細書において使用する場合、相互に交換可能に使用される「HNF3ベータ」または「HNF3b」は、内胚葉由来組織、例えば膵島および含脂肪細胞における遺伝子発現を調節する転写因子である、肝細胞核因子3を意味することを意図する。HNF3ベータは、時としてHNF3bまたはFox2Aとも呼ばれることがあり、後者の名称はフォークヘッドボックス転写因子ファイミリ―のメンバーである転写因子に由来する。
本明細書において使用する場合、「OCT‐1」という用語は、有機カチオントランスポーター1を意味することを意図する。OCT‐1は、血液から化合物が代謝されるかまたは胆汁に分泌されうる肝臓への多くの有機カチオンの取り込みを媒介する主要な肝臓のトランスポーターである。
本明細書において使用する場合、「MDR」という用語は、多剤耐性トランスポーターを意味することを意図する。MDR1および3は、トランスポーターのATP結合カセット(ABC)ファミリーのメンバーであり、ともに薬物排出トランスポーターである。MDR1は、薬物、ペプチドおよび生体異物の体への出入りの調整すること、ならびに生体異物障害および薬物毒性に対する体の保護に重要であり、一方でMDR3は胆汁へのリン脂質分泌に必須である。
本明細書において使用する場合、「アクチビン」という用語は、「アクチビンA」または「アクチビンB」などの細胞増殖および分化の調節を含む広い範囲の生物活性を呈するTGFベータファミリーメンバーを意味することを意図する。アクチビンは、リガンドの共通のTGFベータスーパーファミリーに属する。
本明細書において使用する場合、「ROCK阻害剤」という用語は、Y‐27632またはファスジルなどのROCK Rhoキナーゼの低分子阻害剤を意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「ゼノフリー(xeno‐free)」という用語は、非ヒト動物成分への直接的または間接的な曝露を完全に回避することを意味することを意図する。
本明細書において使用する場合、「肝細胞性毒性」という用語は、壊死性の毒性、アポトーシス、ミトコンドリア毒性、リン脂質代謝異常、脂肪変性および胆汁酸輸送などの細胞応答を指し示す。
本発明の1つの態様は、ヒト多能性幹細胞(hPS)または肝細胞前駆細胞(precursor cells)を、成熟肝細胞または肝細胞様細胞に分化する方法であって:
i)hPSまたは肝細胞前駆細胞(precursor cells)を二次元の表面に播種して分化を開始する工程、
ii)さらなる分化および成熟化のために、工程i)の初期分化した細胞を三次元の(3D)スキャホールドに移す工程を含む方法に関する。
細胞は、2D培養と比べて3倍高い、5倍高いまたは10倍高いなど、より高い密度で3Dスキャホールドに播種されうる。さらに、Rhoキナーゼ(rock)阻害剤が加えられることがあり、および/または該方法は、フィーダーフリー(feeder‐free)またはゼノフリー条件下で行われることができる。
本発明に記載の方法に使用される細胞は、ゼノフリーhPS細胞系もしくはゼノフリーhPS細胞系由来の細胞などのゼノフリー細胞であってよく、または該細胞は、ヒト胚性幹(hES)細胞もしくは人工多能性幹細胞(iPS)細胞であってよい。本発明に記載の肝細胞前駆細胞(precursor cells)は、胚体内胚葉(DE)細胞であってもなくともよく、胎児内胚葉または肝内胚葉の特徴を有してよい。
工程i)からii)の移行、すなわち、工程i)で得られた細胞の移行が3Dスキャホールドに移される(工程ii)は、4〜15日などの2〜25日後に実施されうる。
三次元スキャホールドは以下のタイプから選択されうる:i)多孔性アルギン酸塩スポンジ、ii)生物分解性ポリ(ウレタン尿素)(PUUR)ポリマー、iii)エマルジョンテンプレート型ポリスチレン、iv)合成ナノ繊維性複合材v)少なくとも1つの非垂直側壁(non‐vertical side‐wall)をもつマイクロウェル装置、vi)ポリ(L‐乳酸)(PLLA)から作られた多孔性スポンジ、または三次元スキャホールドは別の好適なタイプでありうる。
多孔性アルギン酸塩スポンジは、50〜200μMの細孔径を有しうる一方で、エマルジョンテンプレート型ポリスチレンスキャホールドの細孔径は、15〜45μMなどの0.1〜1000μMの範囲にある。
さらに、本発明は、上記のように3Dスキャホールドがコーティングされてない方法に関する。別の態様では、3Dスキャホールドは、例えば1つ以上の細胞外マトリックス成分で予め被覆される。細胞外マトリックス成分の例は、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ポリリシン、ビトロネクチン、ヒアルロン酸、ヒアルロナンヒドロゲル、絹フィブロイン、キトサン、または前述にいずれかの複合材を含む。
本発明の3Dスキャホールドは、限定されないが、6ウェルプレート、12ウェルプレート、24ウェルプレート、48ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレート、1536ウェルプレートを含むマルチウェルプレートなどの好適な培養容器、または他の好適な細胞培養容器内に入れられうる。
したがって、本明細書において詳しく述べられる発明は、より肝臓の表現型を有する細胞または部分的もしくは完全に成熟した肝臓の表現型を最終的に有する細胞へのhPS細胞の分化を向上するのに使用される方法を含み、この方法は、細胞が最初に二次元培養表面で培養された後に6つの可能性のある三次元のスキャホールドの1つに移されることを必要とする。この肝臓表現型の向上は、いかなる特定の培養培地組成に依存しない(用いた細胞培養プロトコールについては図9を参照されたい)。
遺伝子発現および代謝研究に基づいて、本発明の発明者らは、従来の2D基質基と比較して、3DスキャホールドがhPS由来肝細胞または肝細胞前駆体(progenitors)の成熟およびさらなる分化に、より良好な環境を提供することを見出した。さらに、該発明者らは、細胞を3D環境に播種する前に2D表面で細胞を培養した際に、さらなる効果を見出した。
このことは、細胞系、マトリックスコーティング、培養日数または選択されたスキャホールドにかかわらず、そのすべてが2D表面より3Dスキャホールドで培養された細胞においてより高度に発現されるCyp2C9、アルブミン、Cyp3A4、およびUGT2B7などの幾つかの肝臓マーカー遺伝子の発現を比較することによって見られることができる。具体的には、3Dで培養されたとき、多くの肝臓トランスポーター(BSEP、FABP1、MRP2、NTCP、OATP2、OCT1)がより一層高いレベルで発現され、より成熟した、機能的な肝細胞を示している。これは、Ultraweb(図3)およびAggrewell(図5)などの局所的なスキャホールド、AlgiMatrix(図2)およびポリ‐L‐リジン(図6)などの多孔性スポンジタイプを含むさまざまな異なるスキャホールドタイプ、ならびにArtelon(図1)およびAlvatex(図4)などの合成ポリマーに基づくスキャホールドで見られることができる。
3Dスキャホールドは、肝細胞が通常遭遇する生体内微環境に、より類似するようにマトリックス成分で予め被覆されうる。具体的には、マトリックス成分であるゼラチンおよびマトリゲルがスキャホールドと併せて使用されたとき、幾つかの肝臓マーカーの発現レベルを向上することが示されている。数個のマーカー(TAT、CYP2C9、OATP2)の発現は、マトリゲルでコーティングしたArtelon(Artimplant)では、コーティングしてないものと比較してより高い(図1C&E;図1A&D)。多くのマーカー(TATおよびUGT2B7)が、マトリゲルでコーティングされたAlvatexで、コーティングしてないものと比較して著しく高度に発現されており(図4F&G、18日目に分析)、またこのことは、他の幾つかのマーカー(TAT、UGT2B7などの)にも当てはまり、それらはゼラチンでコーティングされたAlvatexでコーティングしてないものと比較してより高い程度に発現されている(図4E&G)。本発明のこの特定の実施形態は、どのマーカーが高い程度に発現されるが見られるのが望ましいかに応じて随意に適用されることができる。特定のセットのマーカーの発現は、肝臓系統のある特定の表現型または段階を示唆すると思われるので、本発明のこの態様の適用により、生成された肝細胞の機能性のより細かい制御が可能になりうる。この態様の拡張は、3Dスキャホールドに播種されたhPS細胞またはhPS由来肝臓前駆体(progenitors)への1つ以上の異なる細胞型の追加でありえ、3Dスキャホールドでの細胞系の共培養を可能にする。
とりわけ、細胞は、異なる相対的な密度で3Dスキャホールドに播種されうる。相対的な密度は、標準×1密度(すなわち2D対照表面に播種された細胞と同じ密度)もしくは3倍高い初期密度(×3と表わす)もしくは10倍高い密度またはその間の任意の密度でありうる。図1HおよびIは、コーティングしてないArtelon(Artimplant)を使用したとき、マーカーOATP2、OCT1およびTATの発現が、×1より低い初期密度で播種された細胞においてより高いことを示す。また、ある特定のマーカー(例えばCYP7AI)の発現は、×1で播種された細胞と比較して、×3でコーティングしてないAlvatexに播種された細胞でより低い(図4NおよびO)が、他のマーカー(OCT1など)は、×3でコーティングしてないAlvatexに播種された細胞においてより高い発現を有する(図4IおよびK)。したがって、この特定の実施形態の適用は、この場合もやはり使用者によって求められる肝細胞の所望の表現型に依存する。
分化の制御を可能にするには、細胞が3Dスキャホールドに播種される分化の段階が関連し、すなわち3Dスキャホールドに播種される前により長期間培養されるとより成熟した表現型になる。hPS細胞は、分化の異なる数段階において、例えば、未分化細胞(0日目)として、もしくはアクチビンAで処理して胚体内胚葉に誘導後(4〜7日目)、または3Dスキャホールドでの成熟のための肝臓の前駆体(precursors)(9、11、13、14および15日目)としてスキャホールドに播種できる。そのような前駆細胞(precursor cells)の特徴付けが実施され、両段階に特徴的な定義されたマーカーの発現に基づいて、それら細胞が、スキャホールド(図11)に播種する前に胚体内胚葉系統、またはより進んだ肝細胞前駆体(precursor)(図12)であることを決定することができる。違いはArtelon(Artimplant)で培養された細胞で容易に観察され、例えば14日目に播種した細胞におけるOCT1の発現レベルは、11日目に播種したものと比較してほぼ2倍である(図1F&H)。これとは対照的に、OATP2のレベルは、14日目に播種した細胞において、11日目に播種したものと比較して減少している(図1J&M)。また、この傾向は、Alvatexで培養された細胞にも見ることができ、この場合もやはり、14日目に播種した細胞は、11日目の細胞より低い発現レベルのOATP2を有し、OATP2が、より未成熟肝細胞表現型のマーカーである可能性を示している(図4I&J)。同様の方法では、OCT1のレベルもまた、より成熟した(14日目)よりも、より若い(11日目)ときに播種された細胞のほうが高い(図4N&P)。よって、細胞培養および分化期間の長さは、生成される細胞の最終的な表現型を制御するという点で本発明の重要な因子であり、適宜に変えることができる。図9および下表に概説したように、培養の期間および培地組成は調整され、本明細書において開示される方法によって得られる細胞の成熟度および発達段階を最適化しうる。関連する態様は、細胞がスキャホールドに播種される前に供される分化管理体制(regime)、実施例2で詳しく述べられるように、特に細胞がRhoキナーゼROCKの阻害剤を含有する培地に曝されるか否かに関係し、そのような阻害剤は、2Dおよび3D段階の両方において継代および播種後に細胞の生存および再付着を向上するのに使用される。
従来の2D表面で培養されたものと比較して、3Dスキャホールドに播種された肝細胞では、機能および代謝活性における向上が観察されている。実施例6に従って3Dスキャホールドで成熟したhESC由来の肝細胞は、薬物フェナセチン(APAP)、ミダゾラムまたはジクロフェナクに曝されたとき、2D対照培養と比較して、より大きいCYP活性の誘導を示し(図7および8、10)、AlvatexスキャホールドはUltrawebより大きい誘導を示した。Alvatex(Reinnervate)で培養された細胞のさらなる試験により、それらの細胞は、分化開始後23日目および29日目の両日においてCYP2C9活性によって測定した際、2D表面で培養された細胞と比較して、より一層大きな代謝活性を有することが示された。CYP2C9活性は、3D表面で培養された細胞では既に高かったが、細胞がジクロフェナクで処理されたとき上昇することも観察された(図8)。このことは、3Dスキャホールドで分化された肝細胞がやはり、2D培養された細胞と比較して優れた代謝幹細胞機能を有することを示す。これらの結果は、重要な肝臓のマーカーCYP3Aのレベルもまた、薬物ミダゾラムの代謝分解産物について細胞がアッセイされたとき2D対照と比較してマトリゲルでコーティングされたAlvatex(Reinnervate)で培養された細胞ではより高く、Ultrawebで培養された細胞ではわずかに高いという結果をよって裏付けられている(図8)。よって、本発明は、3Dスキャホールドで培養された細胞における肝臓の代謝活性の向上の幾つかの例を示している。
したがって、上記のように、本発明の態様は、CYP2C9もしくはCYP3Aなどの1つ以上のCYPマーカーの発現の増加、および/またはCYP1A1、CYP1A2、CYP3A4、CYP2C9、CYP3A7、CYP7A1、MRP2、アルブミン、UGT2B7、AAT、TATを含むリストから選択される肝細胞関連遺伝子マーカーレベルの上昇で示されるように、肝細胞または肝細胞前駆体(progenitors)が代謝活性の上昇を見せる方法に関する。
さらに、本発明の態様は、肝細胞または肝細胞前駆体(progenitors)が、BSEP、FABP1、MRP2、NTCP、OATP2、OCT1などの1つ以上のトランスポータータンパク質の発現の増加を見せる方法に関する。
本方法は、上記のように、非肝細胞と比較した肝細胞のまたは肝細胞前駆体(progenitors)の割合が、10%などの、20%などの、30%などの、40%などの、50%などの、60%などの、70%などの、80%などの、90%などの、100%などの、5%より大きいことを促しうる。
前記肝細胞または肝細胞前駆体(progenitors)が、前記3Dスキャホールドで、限定されないが肝星細胞、肝免疫(クッパー(Kuppfer))細胞、肝内皮細胞、胆管上皮細胞または線維芽細胞から選ばれる少なくとも1つの他の細胞型と共培養される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
したがって、上記のように、本発明の態様は、本明細書において記載されている方法によって得ることが可能なhPS由来肝細胞もしくは肝細胞前駆細胞(progenitor cells)、またはhPS由来細胞もしくは肝細胞前駆細胞(progenitor cells)を含む組成物に関する。さらに、本発明の態様は、治療、再生医療における、薬物スクリーニング、毒性テストまたは薬物送達のための、本明細書において記載されている方法によって得らことが可能なhPS由来肝細胞もしくは肝細胞前駆細胞(progenitor cells)またはhPS由来細胞もしくは肝細胞前駆細胞(progenitor cells)を含む組成物の使用に関する。
さらに、組成物は、限定されないが、多孔性アルギン酸塩スポンジ、生物分解性ポリ(ウレタン尿素)(PUUR)ポリマー、エマルジョンテンプレート型ポリスチレンまたは合成ナノ繊維性複合材などの3Dスキャホールドを含みうる。
実施例1
ヒト多能性幹細胞由来の肝細胞の出発材料
hPS細胞(上記で定義された)すべてを、本発明の出発材料として使用することができる。下の例では、肝細胞様細胞を、mEF細胞上で培養した未分化ヒト胚性幹細胞(hESC)からインビトロで生成した(Heins, N. et al. 2004, Stem Cells)。この実験に使用する細胞系は、限定されないがhES細胞系SA002、SA121、SA181、SA461(Cellartis AB、Goteborg、スウェーデン、http://www.cellartis.com)であり、Heins,Nらによる2004年の記載のように増殖させることができる。これらの細胞系は、NIH幹細胞レジストリー(the NIH stem cell registry)、英国幹細胞バンク(the UK Stem Cell bank)および欧州hESCレジストリー(the European hESC registry)に載っており、依頼に応じて入手可能である。hESCから得られるhPSと並んで、hiPS(人工多能性幹細胞)から得られるhPSを本発明の実施例のための肝細胞の誘導に使用している。この場合、「hiPS‐HEP」とは、アルブミン、CYP3A4、UGT2B7、OATP‐2、ADH1A、UGT1A6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP2D6などの成熟した肝臓のマーカーを発現している人工多能性幹細胞に由来する細胞型を意味することを意図する(「定義」も参照されたい)。ゼノフリーiPS細胞またはSA611(Cellartis AB、Goteborg、スウェーデン、http://www.cellartis.com)などのゼノフリー由来hES細胞系を使用することにより、随意に発明全体をゼノフリー状態下で使用してゼノフリー細胞生成物を作製することが可能になりうる。
実施例2
3Dスキャホールドを使用したヒト多能性幹細胞からの肝細胞の誘導
以下に詳しく述べるように、肝細胞をプロトコールa〜eに従ってhES細胞およびヒトhiPS細胞の両方から生成した。分化の開始前に、培養物をPBSで2回洗浄した。異なる培地(表1)を、0日目からそれ以降、プロトコール概説に従って新たに調製して加えた。培地を、初期分化(ID)段階の間は毎日または1日おきに交換し、それ以降は1日おきまたは2日おきに交換した。各実験に対して1つ細胞系のみを使用したが、細胞の共培養が可能な3Dスキャホールド上に第一の細胞系を播種する場合、随意に第二(またはより多くの)細胞系を追加することもできた。
2D培養をゼラチンをコーティングした培養容器に播種した実験114および116以外は、2D培養をマトリゲルでコーティングした培養容器に播種した。2D培養では、150,000〜200,000細胞/cmで播種した。
下表は、種々の実験の概要、どの細胞系を出発材料として使用したか、図9で概説される分化プロトコールの変形、細胞を3Dスキャホールドに播種した分化プロトコールの日(time)、細胞を分析した分化の日(time of differentiation)、およびスキャホールドに播種した時点で10mMのROCK阻害剤を培地に加えたか否か(用いたプロトコールの詳細な図解については図9も参照されたい)を示す。
Figure 0006025715
実施例3 スキャホールド
試験に使用したスキャホールドおよびマトリックスコーティング
Artelon(Artimplant);細孔径<150pm、48ウェルプレート用にフォーマット
Artelon(Artimplant)(Vastra Frolunda、スウェーデン)の厚意により提供(国際公開第0035507号、またBlumenthal, B. et al. (2010)を参照されたい。)
Alvatex;48ウェル用サイズ、Stefan Przyborski Relnnervate(Durham、英国)の厚意により提供(国際公開第07125288号、国際公開第10038013号を参照されたい。)
AlgiMatrix;Invritogen/ギブコ(Gibco)、カタログ番号12684、ロット番号731950、96ウェル(実験088+089)(国際公開第08112904号、またShapiro, L & Cohen, S. (1997)を参照されたい。)
UltraWeb;コーニング(Corning)、カタログ番号3873xx、ロット番号09207043、96ウェル(実験088+089)(国際公開第09032117号、国際公開第10060066号、またPiryaei, A. et al.(2010)を参照されたい。)
Aggrewell;Stem Cell Technologies、カタログ番号27865、およそ300マイクロウェル(国際公開第20081067711号を参照されたい)。
HAC/Porocell;(HacBiomed);(Cell Transplant. 1997 Sep−Oct;6(5):463−8 幹細胞用三次元培養系としての高度に多孔質のポリマーマトックス(Highly polymer matrices as a three−dimensional culture system for hepatocytes.) Kaufmann PM, Heimrath S, Kim BS, Mooney DJ.)
3Dスキャホールドおよび2D培養皿の使用前調製:
Artelon(Artimplant)およびAlvatexスキャホールドを、70%EtOHに浸し、EtOHを取り除き、スキャホールドをDPBSで2回洗浄した。
マトリゲル:BDからの低増殖因子マトリゲル、ロット番号0934を、DPBS中で0.016mg/mLに希釈し、スキャホールドおよび2D培養皿に加え、室温で少なくとも1時間インキュベーションした後、マトリゲルを使用直前に取り除いた。
ゼラチン:製造用ゼラチン(gelatin from production)を、スキャホールドおよび/または2D培養皿にを加え、室温で少なくとも30分間インキュベーションし、次にそのゼラチンを使用直前に取り除いた。
実施例4
hES細胞培養の継代および維持
培養細胞から培地を取り除き、培養物をDPBS−/−(37℃、0.5mL/cm)で2回洗浄した。TrypLE Selectを加え(室温、0.1mL/cm)、37℃にて(未分化細胞またはアクチビンA処理後の細胞については4〜5分間、前記細胞(progenitor)段階にある細胞については10〜45分間)インキュベーションした。次に、p1000で細胞を流して細胞を剥がした。VitroHESを加え(37℃、0.1mL/cm)、細胞懸濁液を遠心分離チューブに移し、330×gで5分間室温にて遠心分離した。細胞ペレットを、培養培地で懸濁して細胞を数え、適切な播種懸濁液に希釈した。幾つかの実験(実験113、114、116、118、119、120)では、播種する日に10mMのRock阻害剤を培養培地に加えた。
実施例5
3Dスキャホールドで培養したhESC由来肝細胞の遺伝子発現分析
図の説明に示したように、mEF層上でDEF培養系またはSA002培養から培養した細胞系SA002、SA121、SA181、SA46からhESC−HEPを生成した。
18、22、24、25および30日目に、キアゲンのRNA単離キットを使用することによってhES‐HEP培養物から全RNAを回収し、単離した。Taqmanプローブを使用することによって、定量逆転写酵素PCR、QrtPCRを以下の肝臓マーカー遺伝子について行った:第1相薬物代謝酵素:CYP(シトクロムP450)1A2、2C9、3A4、7A1、第2相薬物代謝酵素GSTA1(グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(glutation−S−transferas)A1)、UGT2B7(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ2B7)、第3相、トランスポーター、MRP2(多剤耐性タンパク質(multi−drug residence protein)2、ABCC2とも称される)、BSEP(胆汁酸塩排出ポンプ)、NTCP(溶質輸送体、ナトリウム/胆汁酸共トランスポーター)、OCTI(溶質輸送体、有機カチオントランスポーター)、OATP2(溶質輸送体、有機アニオントランスポーター)、FABP1(脂肪酸の取り込み、輸送、および代謝に関与する脂肪酸結合タンパク質)、および一般的な肝臓マーカー:AAT(アルファ‐1抗トリプシン)、ADHIA(アルコールデヒドロゲナーゼ1A)ALB(アルブミン)およびTAT(チロシンアミノトランスフェラーゼ)。他に指示がある場合を除いて、データすべてを、ハウスキーピング遺伝子であるCREBBPに対して正規化した。他に指示がある場合を除いて、2D対照に対する倍率変化(fold change)としてデータを提示する。
データは図1〜4に示され、2Dと比較して3D培養したとき、hESC‐HEPにおいて肝臓の遺伝子が、より高いレベルで発現されることを示している。3D培養における他の肝臓マーカーの発現レベルの上昇は、3D培養がhESCの肝臓への分化に重要であるという発見を支持する。
実施例6
CYPアッセイ
16、18、20、21および25日目に、基質であるフェナセチン、ジクロフェナクおよびミダゾラムを、それぞれ最終濃度、26pM、9pMおよび3pMで、0.1%ペニシリン・ストレプトマイシン、2mM L‐グルタミンおよび25mM Hepesを補充したフェノールレッドを含まないWilliams培地E中でインキュベーションすることによって、hESC由来肝細胞培養をシトクロムP4501A、2Cおよび3A活性について分析した。ウェル表面1cm当たり100μLの容積(例えば48ウェルでは75μL)の希釈した基質を加えた。基質とともに、hESC由来肝細胞培養を一晩インキュベーションした。16時間後、培地を回収し、それに続いて10000gで4℃にて20分間遠心分離した。シトクロムp450酵素CyplA2、1A1(フェナセチン)Cyp2C9、2C8(ジクロフェナク)およびCyp3A4、3A5(ミダゾラム)によって生物学的に変換された(biotransformed)代謝産物であるパラセタモール、4‐OH‐ジクロフェナクおよび1‐OHミダゾラムの存在について、液体クロマトグラフィー‐質量分析(LC‐MS)LCMSにより試料を分析した。
実施例7
Reinnervateスキャホールドで培養した細胞におけるCyp2C9活性の向上およびCYP2C9活性の誘導の向上
実施例1および2、実験083の条件、次いで以下のスキームに従って、細胞系SA461(Cellartis AB)を培養して分化させた。
Figure 0006025715
上で適用した成長培地組成物。
Figure 0006025715
分化は15日目まで実施され、15日目にスキャホールドを24ウェルプレートに合うように小さい円に切った。Alvatex(Relnnervate)スキャホールドを、70%EtOHで洗浄し、EtOHを取り除き、ウェルをPBS+/+で2回洗浄した。マトリゲル:GFRマトリゲル ロット番号6741を、DPBSで0.016mg/mLに希釈し、1ウェル当たり、スキャホールド当たり500uLをスキャホールドに加えた。スキャホールドを、〜1時間室温にてマトリゲルとインキュベーションした。マトリゲルを使用の直前に取り除いた。
目的は、2Dウェルに1.5:1の分割比で播種することであった。Alvatex(Relnnervate)では、5倍多くの細胞を播種し、7.5:1の分割比であった。9.6cmの27ウェル、つまり260cmで開始。
Alvatex(Relnnervate)スキャホールドでは、1cm当たり100uLを播種するために、細胞を(260/7.5×0.1=34.6)3.46mLに懸濁した。
27ウェルの細胞を、DBPS+/+で1回洗浄し、1ウェル当たり2mLのTryple Selectを加え、23分間37℃でインキュベーションした。遠沈した培地を加え、細胞を流して剥離した。細胞を回収し、5分間400×gで遠心した。3.46mLの播種培地に再懸濁した。Alvatex(Relnnervate)スキャホールド当たりこの懸濁液を200μL播種した。600μLの懸濁液を5倍に希釈し、2Dウェル当たりこの200μlを播種した。次に、全ウェルに培地を加えて、1ウェルにつき総量800μlとした。
細胞カウント:27.9×10細胞/mL(生存率87%)、総量3.46mL、合計96x10個の細胞
Figure 0006025715
誘導:
細胞を、1mM フェノバルビタール、10μM デキサメタゾンおよび5μM β‐ナフトフラボンで誘導した。
これらの溶液を得るために、100μLの64mM デキサメタゾン溶液を、540μLのDMSOに希釈し、10mM デキサメタゾン溶液を得た。
11.4mgのβ‐ナフトフラボンを8.446mLのDMSOに溶かし、5mM溶液を得た。
1M フェノバルビタールを、PBSで1:1で希釈した。
35mL M6(Dex含まず)に、35μLの10mM dex、35μLの5mM β‐ナフトフラボンおよび70μLの0.5M フェノバルビタール。
酵素活性をベースライン酵素活性と比較できるように、対照培地(非誘導培地)はDMSOを含有しなかった。
各ウェルに、誘導または対照培地のいずれか(2D培養では400μL/ウェル、Relnnevateスキャホールドでは2000μL/ウェル)を加え、プレートを24時間インキュベーションした。
活性アッセイ:
誘導の24時間後、全ウェルをDPBS+/+で2回洗浄し、活性アッセイ培地を加えた:2D対照では200uL/ウェルおよびRelnnervateスキャホールドでは1000uL/ウェル。活性アッセイ培地:0.1%PEST、2mM L‐グルタミン、25mm HEPESならびに26uM フェナセチン、3uM ミダゾラムおよび9uM ジクロフェナク含有WEからなるフェノールレッドを含まない無タンパク質培地。
37℃で16時間インキュベーションした後、培地をエッペンドルフチューブに移し、20分間4℃にて10000gで遠心した。ジクロフェナクの代謝産物であるOH‐ジクロフェナクの存在について、上澄みをHPLCによって分析した。
実施例8
スキャホールドに播種したときに、細胞が胚体内胚葉または肝臓前駆体(precursors)に分化していることの検証
肝細胞への分化に使用したプロトコールを、「内胚葉誘導」工程後の胚体内胚葉細胞、プロトコールa)に従って培養した細胞の形成について分析した(図11)。分化プロトコール中の7日目に、細胞をRNA用に採取し、リアルタイムPCRで分析し、実験の開始(0日目)からの未分化細胞と比較した。分化プロトコールにより、胚体内胚葉マーカー(FOXA2、SOX17、HHEX、CXCR4、CER1)を発現する細胞が生成されることが示された。さらに、未分化細胞のマーカー(NanogおよびOCT4)が、未分化出発材料に比べて下方制御されていることが確かめられた。くわえて、胚体外内胚葉マーカー(Sox7およびCDX2)は内胚葉誘導の間に増加しないので、細胞がこれらの遺伝子を発現していることを確認した。同様の方法を採用して、スキャホールド「肝前駆体(precursors)」として播種された細胞が実際にこの表現型を保有することを検証した(図12)。
Artelon(Artimplant)で培養したhESC由来肝細胞。 2D培養または3D Artelon(Artimplant)スキャホールドで培養したhESC由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Artelon(Artimplant)をコーティングしないか、またはマトリックス(マトリゲルもしくはゼラチン)でコーティングし、細胞を、×1密度または×3密度のいずれかで播種した。図は、示された実験番号、プロトコールa)およびc)に従って0、5、11、12、14または15日間スキャホールドで培養した細胞と、3つの独立した細胞系(SA461、SA002、SA181)を示す。 図1の分図である。 図1の分図である。 図1の分図である。 図1の分図である。 図1の分図である。 図1の分図である。 図1の分図である。 AlgiMatrix上のhESC由来肝細胞。 2Dまたは3D AlgiMatrixスキャホールドで培養したhESG由来肝細胞での肝臓マーカーの相対的な発現レベル。図は、スキャホールドでそれぞれプロトコールd)、14または13日間培養した細胞と、2つの独立した細胞系(SA002およびSA121)を示す。 AlgiMatrix上のiPS由来肝細胞。 2Dまたは3D AlgiMatrixスキャホールドで培養したiPS由来肝細胞での肝臓マーカーの相対的な発現レベル。細胞を7日間分化させた後、スキャホールドに播種し、32日培養した後に分析した;プロトコールh(実験169a)またはf(実験169b)。 UltraWeb上のhESC由来肝細胞。 2Dまたは3D UltraWebスキャホールドで培養したhESC由来肝細胞での肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Ultrawebを、コーティングしないか、またはマトリックス(マトリゲルもしくはゼラチン)でコーティングする。図は、プロトコールa)、b)、c)、d)、スキャホールドで4、5、7または14日間培養した細胞と、4つの独立した細胞系(SA002、SA461、SA121およびSA181)を示す。 図3の分図である。 図3の分図である。 図3の分図である。 Alvatex(Reinnervate)上のhESC由来肝細胞。 2D培養または3D Alvatex(Reinnervate)スキャホールドで培養されたhESC由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Alvatexを、コーティングしないか、またはマトリックス(マトリゲルもしくはゼラチン)でコーティングし、細胞を、×1密度または×3密度のいずれかで播種する。図は、示された実験番号、プロトコールa)、c)、d)に従って0、4、9、11.13または14日間スキャホールドで培養した細胞と、4つの独立した細胞系(SA461、SA002、SA181およびSA121)を示す。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 図4aの分図である。 Alvatex(Reinnervate)上のiPS由来肝細胞。 2D培養または3D Alvatex(Reinnervate)スキャホールドで培養されたiPS由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Alvatexを、コーティングしないか、またはマトリックス(マトリゲルもしくはフィブロネクチン)でコーティングし、細胞を、7日の2D培養後に採取した2D培養の密度の6倍の密度で播種した。図は、培養プロトコールfで、スキャホールドで分析前に最長29日間培養した細胞と、1つの独立したiPS系(IMR90)を示す。 図4bの分図である。 Aggrewell上のhESC由来肝細胞。 2D培養または3D Aggrewellスキャホールドで培養されたhESC由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Aggrewellを、マトリックス(フィブロネクチン)で予めコーティングした後、プロトコールf)に従って2Dで11日間培養した細胞と播種し、細胞をウェル当たり100または200の凝集体で播種した。図は、スキャホールドで分析前に最長25日間培養した細胞と、1つの独立したhESC系(SA181)を示す。 図5aの分図である。 Aggrewell上のiPS由来肝細胞。 2D培養または3D Aggrewellスキャホールドで培養されたiPS由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。Aggrewellを、マトリックス(フィブロネクチン)で予めコーティングした後、2Dで7日間培養された細胞と播種した。図は、培養プロトコールiで、スキャホールドで分析前に最長29日間培養した細胞と、1つの独立したiPS系(IMR90)を示す。 図5bの分図である。 ポリ‐L‐リジン3Dスキャホールドで培養したhESC由来肝細胞の肝臓マーカーの相対的な発現レベル。細胞を、2Dで7日間部分的に分化させた後、播種し、24日目まで培養してマーカー発現について分析した;プロトコールg)。 3DスキャホールドにおけるhESC由来肝細胞のCYP活性。3Dスキャホールド 左=Alvatex、3Dスキャホールド 右=UltraWeb。実験24、SA001 ECD。 図は、APAP、ミダゾラムまたはジクロフェナクのいずれかを用いて処理し、CYP反応を誘導して肝臓の代謝活性を模倣した細胞と、Alvatex、Ultrawebまたは2D対照のいずれかで培養したhESC由来肝細胞の相対的なCYP活性を示す。 従来の2D培養プレートまたはAlvatexスキャホールドで培養したhESC由来肝細胞におけるCYP誘導。 図は、Alvatex(Reinnervate)または2D対照で培養したhESC由来肝細胞、ジクロフェナクを用いて誘導し、肝臓の肝臓活性を模倣した細胞におけるCYP反応を示す。活性アッセイは、示されたように23日目および29日目に行った。 図8の分図である。 hPS細胞の肝細胞への分化に使用した分化プロトコールの概略図。 プロトコールa〜eおよび対応する実験番号と各実験の期間。 プロトコールa:(実験113、114、118、119、120)。2日間 ID1、5日間 ID2、2日間 P1、2日間 VH1、5日間 VH2、8日間 M1。 プロトコールb:(実験104)。4日間 ID3、3日間 P1、2日間 VH1、3日間 VH2、2日間 VH2B、4日間または8日間 M2(それぞれ18日目および22日目に分析した培養細胞について)。 プロトコールc:(実験098)。5日間 ID3、3日間 P1、7日間 VH1、10日間 M3。 プロトコールd:(実験088、089)。2日間 ID1、2日間 ID2、3日間 P1、7日間 VH1、10日間のM4。 プロトコールe:(実験083)。1日 ID4、5日間 ID5、6日間 P1、8日間 M5、15日間 M6。 プロトコールf:(実験169b、172、175SA181)。1日 1D1、1日 ID6、5日間 ID2、7日間 VH1、その後実験の終りまでM1。 プロトコールg:(実験139、140、148、175SA121、177SA121、CYP3A誘導)。1日 ID7、1日 1D8、5日間 ID9、7日間 VH1、その後実験の終りまでM1。 プロトコールh:(実験l69a、177SA181、CYP3A誘導)。1日 ID7、1日 ID1、5日間 ID2、7日間 VH1、その後実験の終りまでM1。 プロトコールi:(実験153)。1日 ID10、1日 ID11、2日間 ID3、7日間 VH1、その後実験の終りまでM1。 プロトコールa〜eに使用した成長培地組成の詳細。 初期分化(ID)。
Figure 0006025715
肝前駆体(Progenitor)培地。
Figure 0006025715
成熟培地。
Figure 0006025715
図9の分図である。 3DスキャホールドにおけるCYP活性の誘導。 1mM フェノバルビタールおよび10μM デキサメタゾンを用いてまたは用いずに誘導(誘導/非誘導)した24時間後にミダゾラムの代謝産物である4‐OHミダゾラムを測定することによるCYP3AおよびCYP2C9活性の誘導。24時間の誘導の間、デキサメタゾン、DMSOおよびBioを培地組成M1から除外した。誘導後、活性アッセイを他所で記載のように(実施例6を参照されたい)行った。 図10の分図である。 2Dで培養された後に3Dスキャホールドに播種したhESC細胞の胚体内胚葉の運命の検証。 2Dフォーマットで7日間培養した後、3Dスキャホールドに播種したhESC細胞;プロトコールa)に従ってマトリゲルでコーティングされた2D表面で培養した2つの独立した細胞系(SA121およびSA181)における内胚葉マーカー(FoxA2、HHex、CxcR4、CER1)の誘導、および分化万能性マーカー(Sox7、Nanog、Oct4)の下方制御。また、細胞の明視野形状も示す。 図11aの分図である。 2Dで培養された後に3Dスキャホールドに播種したiPS細胞の胚体内胚葉の運命の検証。 2Dフォーマットで7日間培養した後、3Dスキャホールドに播種したiPS細胞;プロトコールh(実験169a)およびf(実験169b)に従って培養した細胞系IMR90における内胚葉マーカー(FoxA2、HHex、CxcR4、CER1)の誘導。 2Dで培養された後に3Dスキャホールドに播種したhESC細胞の肝前駆体(progenitor)の運命の検証。 2Dフォーマットで11日間培養した後、3Dスキャホールドに播種したhESC細胞;プロトコールg)に従って培養した細胞系SA121およびSA181における肝前駆体(progenitor)マーカー(AFP、EpCAM、FOXA2、HNF4‐a、KRT19、KRT8)の誘導。
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Claims (13)

  1. ヒト多能性幹(hPS)細胞を、肝細胞様細胞または成熟肝細胞に分化するインビトロの方法であって:
    i)hPS細胞を胚体内胚葉(DE)細胞(definitive endoderm)へ二次元の表面で播種および分化する工程、
    ii)工程i)の前記DE細胞を、三次元(3D)スキャホールドに移すとともに、該三次元(3D)スキャホールド上に播種された前記DE細胞を肝細胞様細胞または成熟肝細胞へさらに分化する工程を含み、
    前記3Dスキャホールドが以下:
    i)多孔性アルギン酸塩スポンジ
    ii)生物分解性ポリ(ウレタン尿素)(PUUR)ポリマー
    iii)エマルジョンテンプレート型ポリスチレン
    iv)合成ナノ繊維性複合材
    v)ポリ(L‐乳酸)(PLLA)から作られた多孔性スポンジ
    の1つから選択されるインビトロの方法。
  2. 前記細胞が二次元と比べ、より高い密度で三次元に播種される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞が二次元と比べ、3倍、5倍または10倍高い密度で三次元に播種される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記細胞が、細胞生存因子の存在下で播種される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記細胞生存因子は、一つのROCK Rhoキナーゼの阻害剤である請求項4に記載の方法。
  6. 工程i)またはii)の少なくとも1つが、フィーダーフリー(feeder‐free)条件下で行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 工程i)またはii)の少なくとも1つが、ゼノフリー(xeno‐free)条件下で行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記hPS細胞が、ヒト胚性幹(hES)細胞である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記hPS細胞が、人工多能性幹(iPS)細胞である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 前記3Dスキャホールドがコーティングされていない、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  11. 前記3Dスキャホールドが、1つ以上の細胞外マトリックス成分で予めコーティングされる、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  12. 前記1つ以上の細胞外マトリックス成分が、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ポリリシン、ビトロネクチン、ヒアルロン酸、ヒアルロナンヒドロゲル、絹フィブロイン、キトサンまたは前述のいずれかの複合材を含むリストから選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記DE細胞が、前記3Dスキャホールドで、肝星細胞、肝免疫(クッパー(Kuppfer))細胞、肝内皮細胞、胆管上皮細胞または線維芽細胞から選ばれる少なくとも1つの他の細胞型と共培養される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
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