JP6025505B2 - ガス中のガス成分濃度計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス中のガス成分濃度計測装置に関するものである。
従来、配合ガスに含まれる特定物質の濃度測定を行う装置としてレーザ式ガス分析計が知られている。このレーザ式ガス分析計は、気体状のガス分子がそれぞれ固有の光吸収波長を有するという特性を利用し、特定物質が含まれるガスにレーザ光を照射し、その特定波長の吸光量から特定物質の濃度を測定するものである。
下記特許文献1には、アンモニアを含むガスが流通する配管ユニットからガスを吸引し、吸引したガスをレーザ式ガス分光計に導いてガス中に含まれるアンモニア濃度を測定する技術が開示されている。
特許文献2には、煙道の内部に挿入されて排ガスを採取するサンプリング管と、サンプリング管に対して加熱導管を介して接続されるフローセルユニットと、フローセルユニットに接続されるレーザ式ガス分析計とを備えるアンモニア濃度測定装置が開示されている。特許文献2に開示されているアンモニア濃度測定装置では、サンプリング管の内部に三酸化硫黄(SO)を吸着するがアンモニアを通過させる吸着剤を装填し、排ガスから三酸化硫黄を除去したガスをレーザ式ガス分析計に導入させることで、アンモニアの測定精度を向上させている。
特許文献1、2に開示されているサンプリング方式の濃度測定装置では、以下のような問題点があった。
ガスを吸引して測定用の配管に導く際、測定の高速化が困難である。
ガスを測定用の配管に引き込んだ後に濃度測定を行うことから、配管を流通しているガスと測定管に引き込まれたガスの状態(例えば、温度等)が異なってしまい、測定精度が低下する。
流通ガスを局所的に採取して濃度測定を行うため、局所的なガス濃度測定はできても、濃度分布を取得することができない。また、サンプリング箇所を逐次変えて濃度測定を行えば、濃度分布を取得することは可能であるが、位置毎にガスの吸引、排出が必要となり、作業が煩雑であるとともに時間がかかる。
また、上記のように、ガスを測定用の配管に吸引するのではなく、ガスが流通する管そのものにレーザ式ガス分析計を配置する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3には、ガスが存在する内部空間に突出させた外筒と、外筒内にレーザを透過する光透過性部材によって閉塞された密閉空間を有する内筒とからなる二重管ノズルをレーザ光照射装置とレーザ光受光装置とにそれぞれ設け、この二重管ノズルの間の距離及び突出位置を調節することにより、二重管ノズル間に存在する特定物質の濃度を測定する技術が開示されている。
また、特許文献4には、煙道内に挿入されるレーザ光を反射するプローブと、レーザ光の光路を切り替える光路切替器と、プローブ内に形成された長孔のガス通路でのレーザ光の光強度を計測し、ガス中の硫黄酸化物の濃度を求めることが開示されている。
特開2012−8008号公報 特開2010−236877号公報 特開2011−38877号公報 特開2010−185694号公報
しかしながら、特許文献4のガス濃度測定装置では、レーザ光を切り替える光学系である光切り替え装置が設けられているので、例えばボイラからの燃焼排ガス等における大型プラントでの実機適用においては、操業中における振動による光学系のレーザ光の光軸のズレが生じることがある。
また、ガス計測部では一つの長孔にガスを導入して計測しているが、反射鏡に導入する前のレーザ光も排ガス中に晒されるので、散乱が発生し、適切なビーム形状を維持できなくなり、ノイズ信号が増大するという、問題がある。
よって、ボイラプラントの排ガス中のガス組成を安定して計測ができる排ガス中のガス成分濃度計測装置の出現が切望されている。
本発明は、前記問題に鑑み、排ガス中のガス組成を安定して計測ができるガス中のガス成分濃度計測装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、計測対象ガスが存在する計測場の外部からレーザ光を出射させるレーザ送光器と、前記計測場を通過した前記レーザ光を受光し、受光した前記レーザ光の前記計測対象ガス中のガス成分の光吸収に基づく前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光器と、前記計測場に挿入されるレーザ光用プローブ手段とを具備し、前記レーザ光用プローブ手段が、前記レーザ光を入射する入射口と、90度の角度に対向して設置された一対の反射鏡を有し、入射した前記レーザ光を回帰反射させる回帰反射部と、回帰反射した前記レーザ光を出射する出射口とを備えたコーナ反射部と、前記コーナ反射部の入射口に連結され、前記レーザ送光器から出射されたレーザ光を前記回帰反射部に送光する筒状の入射送光筒と、前記コーナ反射部の出射口に連結され、回帰反射した前記レーザ光を前記レーザ受光器へ送光する筒状の受光送光筒と、前記入射送光筒及び前記受光送光筒内に、前記計測場の外部からパージガスを導入する第1パージガス導入手段とを備えると共に、前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とを、前記計測場の壁面に取り付ける光学系取付フランジと、前記コーナ反射部を取り付ける反射系取付フランジとを備え、前記光学系取付フランジに、前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とを、前記計測場の外側で固定し、前記光学系取付フランジと前記反射系取付フランジとの間に、前記入射送光筒が取り付けられると共に、前記光学系取付フランジと前記反射系取付フランジとを支える支持筒を少なくとも1本以上有し、前記支持筒内に、前記計測場の外部からパージガスを導入する第2パージガス導入手段を有し、前記受光送光筒の一部が所定距離区切られ、前記計測場に晒される計測領域を有することを特徴とするガス中のガス成分濃度計測装置にある。
の発明は、第1の発明において、前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とが、光ファイバを介して接続されていることを特徴とするガス中のガス成分濃度計測装置にある。
本発明によれば、レーザ光用プローブ手段の受光送光筒の一部を所定距離だけ開口させ、計測場の計測領域に晒すことで、この計測領域に存在する計測対象ガス中のガス成分を計測することができる。
図1は、実施例1に係る脱硝装置を備えたボイラ装置の概略図である。 図2は、実施例1に係る脱硝装置のアンモニア注入装置の概略構成例を示す系統図である。 図3は、実施例1に係るガス成分濃度計測装置の概略斜視図である。 図4は、コーナ反射部の概略図である。 図5は、反射鏡の取り付け図である。 図6は、実施例2に係るガス成分濃度計測装置の全体構成を示す概略図である。 図7は、図6のガス成分濃度計測装置の平面図である。 図8は、実施例3に係るガス成分濃度計測装置の全体構成を示す概略図である。 図9は、入射送光筒と送光器との接続構成の一例を示す図である。 図10は、受光送光筒と受光器との接続構成の一例を示す図である。 図11は、吸収分光計測の概念図である。 図12は、吸収分光計測の吸収チャート図である。 図13は、排ガス中の煤塵濃度とレーザ光透過率との関係を示す図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、実施例1に係る脱硝装置を備えたボイラ装置の概略図である。図2は、実施例1に係る脱硝装置のアンモニア注入装置の概略構成例を示す系統図である。図3は、実施例1に係るガス成分濃度計測装置の概略斜視図である。図4は、コーナ反射部の概略図である。図5は、反射鏡の取り付け図である。
本実施例では、ガス成分濃度計測装置を用いて、排ガス中のNOx濃度を計測する場合について説明する。
図1に示すように、実施例1に係るボイラ装置100は、ボイラ101からの燃焼排ガス(以下「排ガス」という)102中に還元剤(例えばアンモニア:NH3)を供給する還元剤供給手段であるアンモニア注入装置104と、還元剤が含まれた排ガス102中のNOxを脱硝する脱硝触媒106を備えた脱硝装置105と、前記脱硝装置105の入口側と出口側とに各々設けられ、前記脱硝装置105のガス流れに直交する区画された面領域における排ガス102中のNOx濃度分布を計測するレーザ計測手段によりガス成分濃度を測定するガス成分濃度計測装置50と、前記ガス成分濃度計測装置50の計測結果より、NOx濃度を求め、求めたNOx濃度より、NOx濃度が所定値以上の場合、アンモニア注入装置104からのアンモニア供給量を調節する制御手段である開度設定部109とを具備するものである。
図1中、符号107は空気予熱器、108は煙突を図示する。
脱硝装置105は、煙道103の直管部に設置されてアンモニアを注入するアンモニア注入装置104と、注入したアンモニアを排ガスと混合させる混合器(不図示)と、窒素酸化物とアンモニアとを反応させた後に水と窒素とに分解する脱硝触媒106と、アンモニア注入量等の制御を行う開度設定部109と、ガス流路に仮想的に設けられた濃度測定領域における脱硝装置105の入口側と出口側とのNOx濃度を測定するガス成分濃度計測装置50を備えている。
アンモニア注入装置104は、例えば図2に示すように、アンモニア供給源に接続された流路配管のアンモニア主系統22に総流量制御弁23を備えている。このアンモニア主系統22は、総流量制御弁23の下流において、ヘッダ24から分岐させた複数本(図示の例では6本)のアンモニア供給系統26を備えている。
アンモニア供給系統26は、各々が流量制御元弁25及び複数個(図示の例では3個)の注入ノズル27を備えており、排ガスを流す流路である煙道103の内部に注入ノズル27が格子状の配置となるように設置されている。注入ノズル27は、流路配管のアンモニア主系統22、ヘッダ24及びアンモニア供給系統26を通ってアンモニア供給源から供給されたアンモニアを煙道103の内部に液滴又はガスの状態で流出させ、排ガス中に還元剤としてのアンモニアを注入するものである。なお、液滴の状態で注入されたアンモニアは、高温の排ガスから吸熱してガス化する。
こうして煙道103の内部に注入されたアンモニアのガスは、混合器を通過することにより排ガスと撹拌混合される。この結果、アンモニアは窒素酸化物と反応して脱硝触媒106を通過するので、水と窒素とに分解されることで窒素酸化物が排ガス中から除去される。
開度設定部109には、ガス成分濃度計測装置50で測定した窒素酸化物(NOx)濃度の測定値が制御装置20を介して入力される。このようなNOx濃度の入力を受けた開度設定部109は、NOx濃度に基づいて総流量制御弁23の開度の設定(開度制御)を行う。
この場合、開度設定部109による流量制御元弁25の開度制御は、予め定めたアンモニア濃度と流量制御元弁25毎の開度との相関関係を定めた制御マップに基づいて行われる。すなわち、脱硝装置105は、ボイラ101毎に諸条件(煙道103の流路系統や流路断面積、燃料の種類等)が異なるため、事前に相関関係のデータを実験等により入手して制作した制御マップを開度設定部109に記憶しておく。
ガス成分濃度計測装置50は、上述したように、脱硝触媒106の入口側と出口側のNOx濃度の差により、脱硝が確実になされたかをその濃度計測により制御装置20で判断できる。
そして、NOx濃度が基準値以上であると判断したら、脱硝不良として、制御装置20から開度設定部109に信号を送り、開度設定部109からアンモニア注入装置104に開度信号をおくって、アンモニアの供給量を調整する。
このような脱硝装置105によれば、ガス成分濃度計測装置50によって、煙道103における脱硝触媒106の入口側と出口側におけるNOx濃度分布が検出され、この検出結果が、制御装置20を介して開度設定部109に出力される。
このとき、流量制御元弁25の開度制御は、予め定めたアンモニア濃度と流量制御元弁25毎の開度とのマップに基づいて行われるので、窒素酸化物濃度により総供給量が規定されたアンモニアは、流量制御元弁25の開度に応じてアンモニア供給系統26に対するアンモニア分配量が調整される。
本実施例では、排ガス中のNOx濃度を計測する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば排ガス中のアンモニア濃度を計測するようにしてもよい。
次に、本実施例で用いるガス成分濃度計測装置50について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、ガス成分濃度計測装置50は、計測対象ガスである例えば排ガス102が存在する計測場の外部からレーザ光70を出射させるレーザ送光器(以下「送光器」という)11と、前記計測場を通過したレーザ光を受光し、レーザ光70の光強度を検出するレーザ受光器(以下「受光器」という)12と、前記計測場に挿入されるレーザ光用プローブ手段51とを具備し、前記レーザ光用プローブ手段51が、前記レーザ光70を入射する入射口52と、90度の角度に対向して設置された一対の反射鏡53、53を有し、入射したレーザ光70を回帰反射させる回帰反射部と、反射したレーザ光71を出射する出射口54とを備えたコーナ反射部55と、前記コーナ反射部55の入射口52に連結され、前記レーザ送光器11から出射されたレーザ光70を送光する筒状の入射送光筒56と、前記コーナ反射部55の出射口54に連結され、前記反射したレーザ光71をレーザ受光器12へ送光する筒状の受光送光筒57とを備えている。
そして、前記受光送光筒57の一部が所定距離区切られ、計測場の排ガス102に晒される計測領域Lを有している。
すなわち、受光送光筒57においては、開口端部57a、57bが所定距離だけ切り取られ、排ガス102が存在する計測場に晒される計測領域Lが形成されている。
また、本実施例では、前記入射送光筒56と、前記受光送光筒57内に、計測場の外部からパージガス60を導入するパージガス導入手段(図示せず)を設けており、入射送光筒56と、前記受光送光筒57内に計測場の排ガス102が内部に侵入することを防止している。パージガス60としては、シールエア、不活性ガス等を例示することができる。
このように、入射送光筒56と受光送光筒57内にパージガス60を入れるのは、例えば石炭焚ボイラ等のように排ガス102中に煤塵が多いような場合、レーザ光70がその煤塵の影響により散乱され、そのビーム径、散乱光ノイズ等の拡大等が生じることを防止するためである。
すなわち、計測領域Lに到達する前に、煤塵の影響でレーザ光70が散乱されるとそのような状態で、レーザ光が反射され、さらに拡散が助長され、計測不能となるからである。
よって、図3に示すように、パージガス60は、入射送光筒56、入射口52、コーナ反射部55及び出射口54と通過させることで、送光するレーザ光70は、送光器11から出射されたままの状態で、反射鏡53、53で反射させて、所定距離だけ開口された計測場の計測領域Lに送るようにしている。
また、本実施例では、図3及び図4に示すように、入射送光筒56内に供給されたパージガス60は、コーナ反射部55の内部も通過するので、レーザ光70を反射する反射鏡53、53も常にパージガス60で反射鏡の汚れを防止している。
ここで、入射送光筒56と、受光送光筒57とは支持具65を介して支持するようにしている。
また、レーザ光用プローブ手段51は、計測場が300℃以上の高温の環境に晒されるので、その材質を、高温耐久性の低膨張合金材質(例えば「スーパーインバー(商品名)」、三菱マテリアル社製)を用いるようにしている。
コーナ反射部55は、図4に示すように、一対の反射鏡53、53の角度が90度となるような回帰反射部としている。このように90度の角度で反射鏡53、53を設定すると、レーザ光は回帰反射となり、入射したレーザ光70に対して、平行な反射レーザ光71が反射して受光器12側に戻ってくることとなる。よって、入射のレーザ光70を合わせることで、戻り光の反射レーザ光71は必ず平行となる。この回帰反射部により、送光レーザ光と反射レーザ光の光軸のズレの問題が生じることがなくなる。
また、反射鏡53のコーナ反射部55への取り付けは、図4及び図5に示すように、反射鏡53を開口55aに合わせ、締結手段であるボルト61、ナット62で取り付けるようにしている。また、熱伸びに対しての緩みを防止するために、締結手段にバネ63を介装して締結するようにしている。
ここで、反射鏡53は、アンモニア測定を目的とする場合、サファイヤ基盤でSiO2、TiO2の多層膜としている。
サファイヤ基盤を用いるのは、サファイヤとSiO2、TiO2の線膨張係数が同等であるため、熱伸びの影響を受けにくく、多層膜の剥がれ等も防止することができるからである。
なお、計測対象のガス成分により、反射膜のコーティングを異なるものとすることができる。
例えば窒素酸化物(NOx)を計測する場合には、例えばアルミニウム(Al)、SiO2多層膜を用いることができる。
例えば酸化硫黄(SO2)、メタン(CH4)を計測する場合には、例えばアルミニウム(Al)膜等の金属膜を用いることができる。
例えば窒素酸化物(NOx)を計測する場合には、量子カスケードレーザ(半導体素子:InGaAs/InAlAsを例示することができる。波長:5〜6μm、出力:1mW程度のものを例示することができる)を用いることができる。
また、例えばアンモニア(NH3)を計測する場合には、半導体レーザ(半導体素子:InGaAsを例示することができる。波長:1.5μm、出力:1mW程度のものを例示することができる)を用いることができる。
例えばアンモニア以外のガス成分として、SO2(酸化硫黄)を計測する場合には、量子カスケードレーザ(波長:7.0〜7.5μmを例示することができる)を用いることができる。
また、ガス成分として、メタン(CH4)を計測する場合には、半導体レーザ(半導体素子:InGaAsを例示することができる。波長:1.6μm、出力:1mW程度のものを例示することができる)を用いることができる。
このように、本発明では、赤外領域で計測しているが、本発明はこれに限定されず、可視・紫外領域での分光計測にも適用できる。
この場合、可視・紫外分光にて計測する場合、それに応じた可視・紫外を効率的に反射できる例えばフッ化カルシウム(CaF2)結晶膜、アルミニウム(Al)膜、金(Au)等の金属を用いることができる。
本実施例では、図1に示すように、レーザ手段を制御するための制御装置20が設置されている。この制御装置20は、例えば、コンピュータであり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)、通信ネットワークに接続するための通信インターフェース、及び外部記憶装置が装着されるアクセス部などを備えている。これら各部は、バスを介して接続されている。更に、制御装置20は、キーボードやマウス等からなる入力部及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部などと接続されていてもよい。
上記CPUが実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROMに限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。なお、本実施形態では、制御装置20を一つのコンピュータによって実現する構成としているが、複数のコンピュータによって実現してもよい。
図11は、吸収分光計測の概念図である。
図12は、吸収分光計測の吸収チャート図である。
そして、排ガス102中のガス成分を計測する場合には、所定濃度の煤塵が含まれる送光点と受光点との間のレーザ経路である計測領域Lを通過した後の受光強度(I0’)を基準とし、この基準から特定のガス組成の吸収による光強度(I)を求める。
そして、(I)/(I0’)によりガス成分(例えばNOx)濃度(TNOx)を求める。なお、受光強度(I0)は、大気中で煤塵がない環境で測定した光透過率の初期データである。
ガス成分(アンモニアや窒素酸化物等)の濃度を求める場合の光透過率は、下記数1に示すランベルト・ベールの式を用いて算出することができる。
Figure 0006025505
ここで、Iは、ガス成分(アンモニアや窒素酸化物等)の吸収による光強度である。
I0’は、煤塵有りガス中の透過後の光強度である。
αは、煤塵による散乱係数(g/m2)である。
cは、煤塵濃度(g/m3)である。
Lは、光路長である。
tは、温度補正値である。
そして、このようなレーザ光用プローブ手段51を有するレーザユニットを、例えば排ガス102を脱硝する脱硝装置105の煙道103の片側の壁103bに取付フランジ79を介して装着することで、煙道103内部の所定箇所において、排ガス102中のガス成分のNOx濃度を計測することができる。
本実施例に係るガス成分濃度計測装置50によれば、コーナ反射部55に一対の反射鏡53,53を設け、このコーナ反射部55に送光器11からのレーザ光を導入する入射送光筒56を設けると共に、反射したレーザ光を受光器12側へ導入する受光送光筒57を設けている。
そして、受光送光筒57の一部を所定距離57a、57bだけ開口させ、計測場の計測領域Lに晒すことで、この計測領域Lに存在する排ガス102中のガス成分を計測するようにしている。
この際、入射送光筒56にパージガス60を導入して、コーナ反射部55の反射鏡を反射するまでの間、排ガスが導入することを防止しているので、レーザ光70がその煤塵に影響されることがなく、散乱が防止され、ビーム径、散乱光ノイズ等の拡大等が生じることを防止している。
この結果、煤塵の影響で散乱された状態で、レーザ光が反射されることを防止されるので、計測精度の低下を防止している。
よって、本実施例によれば、パージガス60が、入射送光筒56、入射口52、コーナ反射部55及び出射口54と通過させているので、送光するレーザ光70は、送光器11から出射されたままの状態で、反射鏡53、53で反射させて、反射レーザ光71は、所定距離57a、57bだけ開口された計測領域Lではじめて煤塵に接触することとなり、散乱が防止される。
なお、ボイラ101からの排ガス102には、煤塵が含まれているので、計測領域Lであるレーザ光の光路長さを長くすると、煤塵の影響により光透過率が減衰することとなる。
図13は、排ガス中の煤塵濃度とレーザ光透過率との関係を示す図である。
図13では、波長が1.5μmの場合、煤塵濃度が6g/Nm3程度の石炭灰中に2mの光路長で計測が可能であることを確認している。
よって、煤塵濃度がそれ以上の場合には、1.5m、より好適には1m前後の光路長で計測することが良好である。
本発明のように、煙道103の一方側から、ガス成分濃度計測装置のプローブ手段51を内部に挿入するだけで、排ガス中のガス成分(例えばアンモニア、窒素酸化物)を計測できるので、装置構成が簡易となる。すなわち、脱硝装置の煙道の片側の壁103aのスペース等が無いような場合でも、片側の壁103bからのみプローブ手段51を有するユニットの挿入固定となるので、計測装置の設置が容易となる。
図6は、実施例2に係るガス成分濃度計測装置の全体構成を示す概略図である。図7は、図6のガス成分濃度計測装置の平面図である。
実施例1のガス成分濃度計測装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
図6及び図7に示すように、ガス成分濃度計測装置50は、前記レーザ送光器11とレーザ受光器12とを、計測場の壁面に取り付ける光学系取付フランジ80と、前記コーナ反射部55を取り付ける反射系取付フランジ81とを備え、光学系取付フランジ80に、レーザ送光器11とレーザ受光器12とを固定している。
そして、前記光学系取付フランジ80と反射系取付フランジ81とを用いて、入射送光筒56が取り付けられると共に、両フランジ80、81を支える第1及び第2の支持筒82、83を2箇所設けている。
なお、図6のガス成分濃度計測装置の全体構成を示す概略図では、第2の支持筒83は図示を省略している。また、図7の図6の平面図では、受光送光筒57、受光器12の図示は省略している。
また、前記光学系取付フランジ80と反射系取付フランジ81との間に、第1及び第2の支持具84、85を設け、トライアングル支持としている。そして、入射送光筒56、受光送光筒57、第1及び第2の支持筒82,83の4本の固定を確実としている。
実施例1では、入射送光筒56が支持筒を兼用していたが、本実施例では入射送光筒56と受光送光筒57とを支持する支持筒82、83を別途設けているので、高温環境においても、これらの支持を確実に行うことができる。
図9は、入射送光筒と送光器との接続構成の一例を示す図である。
本実施例では、図9に示すように送光器11と入射送光筒56とをレーザビーム窓15を介して接続している。このレーザビーム窓15は、図9に示すように、中空部材であり、フランジ16により外壁103b面にそれぞれ固定されている。レーザビーム窓15の内部には、内部と外部との間のガスの出入りを遮断するシール用光学ガラス17が設けられる。シール用光学ガラス17の受光面は、レーザ光の反射を防止するため、レーザ光に対して垂直ではなく斜めに形成されてもよい。
レーザビーム窓15のシール用光学ガラス17の両面側には、それぞれ給気口18が設けられる。給気口18からパージガス60が吹き出すことによって、シール用光学ガラス17への物質の付着を防止できる。なお、パージガス60は、シール用光学ガラス17に対して両面側ではなく、濃度測定領域側のみに吹き出されるとしてもよい。
入射送光筒56を内壁面に設置する場合は、図9に示すように、例えばフランジ16の端部に入射送光筒56の端部が接続される。入射送光筒56の径は、レーザビーム窓15の径よりも大きく、レーザビーム窓15に供給されたパージガス60は、入射送光筒56の内部に供給される。
図10は、受光送光筒と受光器との接続構成の一例を示す図である。
本実施例では、図10に示すように受光器12と受光送光筒57とをレーザビーム窓15を介して接続している。このレーザビーム窓15は、図10に示すように、中空部材であり、フランジ16により外壁103b面にそれぞれ固定されている。レーザビーム窓15の内部には、内部と外部との間のガスの出入りを遮断するシール用光学ガラス17が設けられる。シール用光学ガラス17の受光面は、レーザ光の反射を防止するため、レーザ光に対して垂直ではなく斜めに形成されてもよい。
レーザビーム窓15のシール用光学ガラス17の両面側には、それぞれ給気口18が設けられる。給気口18からパージガス60が吹き出すことによって、シール用光学ガラス17への物質の付着を防止できる。なお、パージガス60は、シール用光学ガラス17に対して両面側ではなく、濃度測定領域側のみに吹き出されるとしてもよい。
受光送光筒57を内壁面に設置する場合は、図10に示すように、例えばフランジ16の端部に受光送光筒57の端部が接続される。受光送光筒57の径は、レーザビーム窓15の径よりも大きく、レーザビーム窓15に供給されたパージガス60は、受光送光筒57の内部に供給される。
そして、このようなレーザ光用プローブ手段51を有するレーザユニットを、例えば排ガス102を脱硝する脱硝装置105の煙道の片側の壁103bに光学系取付フランジ80を介して装着することで、煙道内部の所定箇所において、排ガス102中のガス成分のNOx濃度を計測することができる。
また、脱硝装置の煙道の片側の壁103aのスペース等が無いような場合でも、片側の壁103bからのプローブ手段を有するユニットの挿入固定となるので、計測装置の設置が容易となる。
また窓部と送光器及び受光器を交換するだけで、様々な成分に適用することができる。また、赤外分光だけではなく、可視・紫外分光にも適用でき、計測対象の拡大を図ることができる。
また、コーナ反射部55を用いて回帰反射させているので、送光筒及び受光筒の長さを適宜変更するだけで、計測位置の変更が可能となり、煩雑な光軸調整が不要となる。
本実施例では、従来のような計測場の外部で反射ミラー等の光学系によりレーザ光を導入していないので、装置構成がコンパクトにすることができる。また、例えばボイラ排ガス等における大型プラントでの実機適用においては、操業中における振動による光学系のレーザ光の光軸のズレが生じることが解消される。
また、本実施例では、第1及び第2の支持筒82、83内に、計測場の外部からパージガス60を導入するパージガス導入手段を設けるようにすることで、排ガスの計測等における高温環境における熱伸びを抑制することができる。
本実施例では、送光器と受光器とのレーザの固定を直接行っており、レーザ光用プローブ51のコーナ反射部55で回帰反射させているので、レーザ光の直線性の維持を図ることができる。
また、パージガスをコーナ反射部55の内部まで導入し、計測領域Lまでレーザ光の散乱を防止しているので、レーザ光の散乱がなく、高い計測精度を提供することができる。
図8は、実施例3に係るガス成分濃度計測装置の全体構成を示す概略図である。
実施例1及び2のガス成分濃度計測装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
本実施例に係るガス中のガス成分濃度計測装置50は、実施例2のガス中のガス成分濃度計測装置において、レーザ送光器11とレーザ受光器12とが、光学系取付フランジ80に光ファイバ19、19を介して接続されている。
この接続には、レーザビーム窓15に設けた光ファイバポート(図示せず)を介して行うようにしている。
実施例2のような装置では、レーザ光の送光器11と受光器12とを送光筒56、57に取り付ける場合、取り付けフランジ11a、12aを介して取り付けているので、そのフランジの幅だけ、入射送光筒56と受光送光筒57との距離が広がっている。その結果、反射鏡53、53の距離D1が広がっていた。
これに対し、レーザ光70の入射及び反射レーザ光71の出射を光ファイバ19により行うようにすることで、レーザビーム窓15の幅と狭くすることとなり、入射送光筒56と受光送光筒57との距離が縮まることとなる。この結果、反射鏡53、53の設置距離D2が実施例2の設置距離D1よりも小さくすることができる。
よって、コーナ反射部55の反射鏡53、53の設置距離D2を短くできるので、コーナ反射部55内での光路を短くすることとなり、光軸精度の維持を図ると共に、コーナ反射部55の軽量化を図ることができる。
11 送光器
12 受光器
15 レーザビーム窓
20 制御装置
50 ガス成分濃度計測装置
51 レーザ光用プローブ手段
53 反射鏡
55 コーナ反射部
56 入射送光筒
57 受光送光筒
60 パージガス
70 レーザ光
71 反射レーザ光
101 ボイラ
102 燃焼排ガス(排ガス)
103 煙道
104 アンモニア注入装置
105 脱硝装置
106 脱硝触媒

Claims (2)

  1. 計測対象ガスが存在する計測場の外部からレーザ光を出射させるレーザ送光器と、
    前記計測場を通過した前記レーザ光を受光し、受光した前記レーザ光の前記計測対象ガス中のガス成分の光吸収に基づく前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光器と、
    前記計測場に挿入されるレーザ光用プローブ手段とを具備し、
    前記レーザ光用プローブ手段が、
    前記レーザ光を入射する入射口と、90度の角度に対向して設置された一対の反射鏡を有し、入射した前記レーザ光を回帰反射させる回帰反射部と、回帰反射した前記レーザ光を出射する出射口とを備えたコーナ反射部と、
    前記コーナ反射部の入射口に連結され、前記レーザ送光器から出射されたレーザ光を前記回帰反射部に送光する筒状の入射送光筒と、
    前記コーナ反射部の出射口に連結され、回帰反射した前記レーザ光を前記レーザ受光器へ送光する筒状の受光送光筒と、
    前記入射送光筒及び前記受光送光筒内に、前記計測場の外部からパージガスを導入する第1パージガス導入手段とを備えると共に、
    前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とを、前記計測場の壁面に取り付ける光学系取付フランジと、
    前記コーナ反射部を取り付ける反射系取付フランジとを備え、
    前記光学系取付フランジに、前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とを、前記計測場の外側で固定し、前記光学系取付フランジと前記反射系取付フランジとの間に、前記入射送光筒が取り付けられると共に、
    前記光学系取付フランジと前記反射系取付フランジとを支える支持筒を少なくとも1本以上有し、
    前記支持筒内に、前記計測場の外部からパージガスを導入する第2パージガス導入手段を有し、
    前記受光送光筒の一部が所定距離区切られ、前記計測場に晒される計測領域を有することを特徴とするガス中のガス成分濃度計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記レーザ送光器と前記レーザ受光器とが、光ファイバを介して接続されていることを特徴とするガス中のガス成分濃度計測装置。
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