JP6022920B2 - トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP6022920B2
JP6022920B2 JP2012271470A JP2012271470A JP6022920B2 JP 6022920 B2 JP6022920 B2 JP 6022920B2 JP 2012271470 A JP2012271470 A JP 2012271470A JP 2012271470 A JP2012271470 A JP 2012271470A JP 6022920 B2 JP6022920 B2 JP 6022920B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
parts
rubber
rubber composition
myrcene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012271470A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014114414A (ja
Inventor
顕哉 渡邊
顕哉 渡邊
健介 鷲頭
健介 鷲頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2012271470A priority Critical patent/JP6022920B2/ja
Publication of JP2014114414A publication Critical patent/JP2014114414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6022920B2 publication Critical patent/JP6022920B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、環境問題が重視されるようになり、CO排出の規制が強化されている。また石油資源は有限であり、将来的には、カーボンブラックなどの石油資源由来原料の供給が困難になる可能性があるとともに、供給量が年々減少していることによる石油価格の高騰が予測される。よって、石油資源由来の原料を石油外資源由来の原料に置換していくことが求められている。
現在、一般的に市販されているタイヤは、全質量の半分以上が石油資源由来の原料から構成されている。例えば、一般的な乗用車用タイヤは、合成ゴム約20質量%、カーボンブラック約20質量%、軟化剤、合成繊維などを含んでいるため、タイヤ全体の約50質量%以上が石油資源由来の原料から構成されている。そこで、石油外資源由来の原料である、天然資源由来の原料を用いたタイヤ用ゴムの開発が望まれている。しかし、例えば、タイヤのトレッド部を構成するトレッドゴムには、タイヤの転がり抵抗を低減させつつグリップ性能を維持することが要求される等、天然資源由来の原料を用いる場合においても、石油資源由来の原料を用いる場合と同様に、タイヤ用ゴムには適用部材に応じた基本性能が要求される。
これに対して、石油資源由来の原料の使用量を低減するとともに、走行時の発熱によるゴムのヒステリシスロス、具体的には損失正接(tanδ)の増大に起因するタイヤの転がり抵抗の増大を抑制して低燃費性の向上を図る目的で、補強性充填剤として多量に配合されているカーボンブラックをシリカに置き換えることも提案されている。
カーボンブラックをシリカに置き換えても、耐久性が比較的良好なゴムを得ることができるが、シリカを配合すると、ゴム組成物の調製時に粘度上昇による加工性の低下という問題が生じ易くなる傾向がある。これに対して、加工性の向上のために界面活性剤系のシリカ用加工助剤等を使用する方法もあるが、このような加工助剤は石油資源由来であるという問題がある。
シリカを配合したゴム組成物として、例えば、特許文献1には、天然ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、BET比表面積が150m/g未満のシリカを30質量部以上、カーボンブラックを5質量部以下含有するインナーライナー用ゴム組成物が提案されている。しかしながら、この技術はインナーライナーの低燃費性を向上させることを目的とするものであり、トレッドゴムおよびこれに要求される性能については何ら考慮されていない。また、特許文献2には同様のゴム組成物をトレッド配合に適用した例が示されているが、低燃費性やタイヤに必要な破壊特性の向上という点で改善の余地がある。
特開2006−249147号公報 特開2009−1665号公報
本発明は、前記課題を解決し、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善できるトレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを25〜60質量部、カーボンブラックを5質量部以下、ミルセン重合体を1〜100質量部含むトレッド用ゴム組成物に関する。
上記ミルセン重合体の重量平均分子量が1000〜500000であることが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対して、上記ミルセン重合体を含む軟化剤の合計含有量が1〜30質量部であることが好ましい。
上記トレッド用ゴム組成物は、カーボンブラックを実質的に含有しないことが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを25〜60質量部、カーボンブラックを5質量部以下、ミルセン重合体を1〜100質量部含むトレッド用ゴム組成物であるので、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善でき、グリップ性能、低燃費性、破壊特性に優れた空気入りタイヤを提供できる。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを25〜60質量部、カーボンブラックを5質量部以下、ミルセン重合体を1〜100質量部含む。
本発明では、天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分と、所定量のシリカ及びミルセン重合体を配合することにより、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、良好なグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性(破断強度、破断時伸び)を改善できる。なお、本発明では、石油外資源由来の原料である、天然ゴム及び/又は変性天然ゴム、シリカ、並びにミルセン重合体を含み、石油資源由来の原料であるカーボンブラックの配合量を所定量以下に抑制しているため、石油資源由来の原料の使用量を低減できる。ここで、所定量以下のカーボンブラックとは、カーボンブラックが未配合の場合をも含む概念である。
本発明では、ゴム成分として、天然ゴム(NR)及び/又は変性天然ゴム(変性NR)を使用する。これにより、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善できる。なお、NR、変性NRは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、NRとして、脱蛋白天然ゴム(DPNR)を使用してもよい。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、石油資源由来の原料の使用量を充分に低減できず、また、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を充分に改善できないおそれがある。
変性NRとしては、変性されているNRであれば特に限定されず、例えば、エポキシ化天然ゴム(ENR)、グラフト化天然ゴム、水素添加天然ゴム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果(特に、加工性、ウェットグリップ性能、低燃費性の改善効果)がより好適に得られるという理由から、ENRが好ましい。
ENRとしては、市販のものを用いてもよいし、NRをエポキシ化したものを用いてもよい。NRをエポキシ化する方法としては、特に限定されず、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、たとえば天然ゴムのエマルジョンに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸をエポキシ化剤として反応させる方法を挙げることができる。
ENRのエポキシ化率は、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。エポキシ化率が5モル%未満の場合、ENRのガラス転移温度が低いために、ウェットグリップ性能、破壊特性が低下する傾向がある。また、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。エポキシ化率が60モル%を超える場合、トレッド用ゴム組成物が硬くなり過ぎることによって破壊特性が低下する傾向がある。
ここで、エポキシ化率とは、エポキシ化前の天然ゴム中の炭素間二重結合の全数のうちエポキシ化された数の割合を意味し、たとえば滴定分析や核磁気共鳴(NMR)分析等により求められる。
ゴム成分100質量%中の変性NR(特に、ENR)の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、石油資源由来の原料の使用量を充分に低減できず、また、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を充分に改善できないおそれがある。
ゴム成分100質量%中のNR及び変性NRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。60質量%未満であると、石油資源由来の原料の使用量を充分に低減できず、また、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を充分に改善できないおそれがある。
NR、変性NR以外に本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、ミルセン重合体が使用される。ミルセン重合体とは、ミルセンをモノマー成分として重合して得られた重合体を意味する。ここで、ミルセンは、天然に存在する有機化合物で、モノテルペンに属するオレフィンの一種である。ミルセンには、α−ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)とβ−ミルセン(7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン)の2種の異性体が存在するが、本発明においては、単にミルセンという場合、β−ミルセン(下記構造の化合物)を意味する。
Figure 0006022920
本発明では、ミルセン重合体を軟化剤として配合することにより、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善できる。また、モノマー成分であるミルセンは、天然に存在する有機化合物であるため、ミルセン重合体を配合することにより、石油資源由来の原料の使用量を低減できる。なお、ミルセン重合体は、従来トレッドゴムに配合されているオイル等の軟化剤に置き換えて配合することが好ましい。これにより、石油資源由来の原料の使用量をより低減できると共に、本発明の効果がより好適に得られる。
ミルセン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上、より好ましくは3000以上、更に好ましくは10000以上である。Mwが1000未満では流動性の特に高い液状ポリマーとなる傾向があり重合体の分子鎖末端の運動性が上がることによって低燃費性が悪化する傾向がある。Mwは、好ましくは500000以下、より好ましくは350000以下、更に好ましくは250000以下、特に好ましくは150000以下である。Mwが500000を超えると、ゴム組成物の粘度が上昇して加工性、破壊特性(特に、加工性)が悪化する傾向がある。Mwが上記範囲内のミルセン重合体は、好適に軟化剤として使用でき、本発明の効果がより好適に得られる。
ミルセン重合体の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、好ましくは20.0以下、より好ましくは10.0以下である。Mw/Mnが20.0を超えると、ゴム組成物の硬度低下によりウェットグリップ性能が悪化する傾向がある。一方、Mw/Mnの下限値については、特に制限はなく、例えば、1.0以上であれば特に差し障りはない。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法により測定できる。
ミルセン重合体のムーニー粘度ML1+4(130℃)は、該重合体を構成するミルセンを共役ジエン化合物(例えば、ブタジエン)で置き換えた、同一分子量の重合体との比較において、ムーニー粘度が低いものである限り、加工性が改善するため、特に限定されないが、一般的には、好ましくは15以上、より好ましくは20以上である。ムーニー粘度が15未満では、流動性が高くなりすぎて、ゴム組成物のウェットグリップ性能、破壊特性が低下する傾向がある。一方、ムーニー粘度は、好ましくは160以下、より好ましくは150以下、更に好ましくは100以下、特に好ましくは60以下、最も好ましくは40以下である。ムーニー粘度が160を超えると、加工性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、ムーニー粘度ML1+4(130℃)は、実施例に記載の方法により測定できる。
上記ミルセン重合体は、ミルセンをモノマー成分として重合して得られる。
上記重合において、重合手順は特に限定されず、例えば、すべてのモノマーを一度に重合させてもよいし、逐次、モノマーを加えて重合させてもよい。また、モノマー成分として、ミルセン以外のモノマー成分を併用してもよいが、モノマー成分100質量%中のミルセンの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
上記重合は、常法により実施することができ、例えば、アニオン重合、配位重合等により実施することができる。
重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれをも用いることができるが、このうち、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、バッチ式および連続式のいずれであってもよい。
以下において、アニオン重合、配位重合によりミルセン重合体を調製する方法についてそれぞれ説明する。
<アニオン重合>
該アニオン重合は、アニオン重合開始剤の存在下、適当な溶媒中で実施することができる。アニオン重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に使用することができ、そのようなアニオン重合開始剤としては、例えば、一般式RLix(但し、Rは1個またはそれ以上の炭素原子を含む脂肪族、芳香族または脂環式基であり、xは1〜20の整数である。)を有する有機リチウム化合物があげられる。適当な有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムおよびナフチルリチウムが挙げられる。好ましい有機リチウム化合物はn−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムである。アニオン重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。アニオン重合を行う際の重合開始剤の使用量は特に限定はないが、例えば、重合に供する全モノマー100g当り、約0.05〜35mmol用いるのが好ましく、約0.05〜0.2mmol用いるのがより好ましい。
また、アニオン重合に用いる溶媒としては、アニオン重合開始剤を失活させたり、重合反応を停止させたりしないものであれば、いずれも好適に用いることができ、極性溶媒または非極性溶媒のいずれも使用することができる。極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒があげられ、非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタンなどの鎖式炭化水素、シクロヘキサンなどの環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これら溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
アニオン重合は、さらに極性化合物の存在下に実施するのが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などが挙げられる。極性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。この極性化合物は、重合体のミクロ構造を制御するのに有用である。極性化合物の使用量は、極性化合物の種類および重合条件により異なるが、アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)として0.1以上であることが好ましい。アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)が0.1未満ではミクロ構造を制御することに対する極性物質の効果が十分でない傾向がある。
アニオン重合の際の反応温度は、好適に反応が進行する限り特に限定はないが、通常−10℃〜100℃であることが好ましく、25℃〜70℃であることがより好ましい。また、反応時間は、仕込み量、反応温度、その他条件により異なるが、通常、例えば、3時間程度行えば十分である。
上記アニオン重合は、この分野で通常使用する反応停止剤の添加により、停止させることができる。そのような反応停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは酢酸などの活性プロトンを有する極性溶媒およびこれらの混液、またはそれらの極性溶媒とヘキサン、シクロヘキサンなどの無極性溶媒との混液が挙げられる。反応停止剤の添加量は、通常、アニオン重合開始剤に対し、同モル量もしくは2倍モル量程度で十分である。
重合反応停止後、ミルセン重合体は、重合溶液から常法により溶媒を除去することにより、または、重合溶液をその1倍量以上のアルコールに注ぎ、ミルセン重合体を沈殿させることにより、容易に単離することができる。
<配位重合>
配位重合は、上記アニオン重合におけるアニオン重合開始剤に代えて、配位重合開始剤を用いることにより、実施することができる。配位重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に用いることができ、そのような配位重合開始剤としては、例えば、ランタノイド化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等の遷移金属含有化合物である触媒が挙げられる。また、所望により、さらにアルミニウム化合物、ホウ素化合物を助触媒として使用することができる。
ランタノイド化合物は、原子番号57〜71の元素(ランタノイド)のいずれかを含むものであれば特に限定されないが、これらランタノイドのうち、とりわけネオジムが好ましい。ランタノイド化合物としては、例えば、これら元素のカルボン酸塩、β−ジケトン錯体、アルコキサイド、リン酸塩または亜リン酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの内、取り扱いの容易性から、カルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体が好ましい。チタン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換シクロペンタジエニル基または置換インデニル基を1つを含み、かつハロゲン、アルコキシル基、アルキル基の中から選ばれる置換基を3つ有するチタン含有化合物などが挙げられるが、触媒性能の点から、アルコキシシリル基を1つ有する化合物が好ましい。コバルト化合物としては、例えば、コバルトのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体、有機ホスフィン錯体などが挙げられる。ニッケル化合物としては、例えば、ニッケルのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体などが挙げられる。配位重合開始剤として用いる触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。配位重合を行う際の重合開始剤としての触媒の使用量は特に限定はないが、例えば、好ましい使用量としては、アニオン重合の場合の触媒の使用量と同様である。
助触媒として用いるアルミニウム化合物としては、例えば、有機アルミノキサン類、ハロゲン化有機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、水素化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。有機アルミノキサン類としては、例えば、アルキルアルミノキサン類(メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、オクチルアルミノキサン、へキシルアルミノキサンなど)が、ハロゲン化有機アルミニウム化合物としては、例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物(ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなど)が、有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム化合物(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなど)が、水素化有機アルミニウム化合物としては、例えば、水素化アルキルアルミニウム化合物(ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなど)が挙げられる。また、ホウ素化合物としては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等のアニオン種を含む化合物が挙げられる。これら助触媒も、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
配位重合に関し、溶媒および極性化合物としては、アニオン重合で説明したものを同様に使用することができる。また、反応時間および反応温度もアニオン重合で説明したものと同様である。重合反応の停止およびミルセン重合体の単離も、アニオン重合の場合と同様にして行うことができる。
ミルセン重合体の重量平均分子量(Mw)は、重合時に仕込むミルセンのモノマー量や重合開始剤量を調節することにより制御することができる。例えば、全モノマー/アニオン重合開始剤比や全モノマー/配位重合開始剤比を大きくすればMwを大きくすることができ、逆に小さくすればMwを小さくすることができる。ミルセン重合体の数平均分子量(Mn)についても同様である。
ゴム成分100質量部に対して、ミルセン重合体の含有量は、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。1質量部未満では、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を充分に改善できない。また、ミルセン重合体の含有量は、100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。100質量部を超えると、低燃費性、破壊特性が低下する。
本発明では、ミルセン重合体以外にも軟化剤を配合してもよい。軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、植物油、レジンを用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル(アロマ系プロセスオイル)等が挙げられる。植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。レジンとしては、石油系レジン、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。軟化剤の合計含有量(ミルセン重合体の含有量を含む)は、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましく、12〜20質量部が更に好ましい。
上述のように、本発明では、ミルセン重合体は、従来トレッドゴムに軟化剤として配合されているオイル等の軟化剤の一部又は全量と置き換えて配合することが好ましいため、軟化剤100質量%中のミルセン重合体の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物はシリカを含む。これにより、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、補強性を向上でき、低燃費性も改善でき、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善できる。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。100m/g未満では、破断時伸び、破断強度が低下する傾向がある。該NSAは、好ましくは220m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。220m/gを超えると、低燃費性、加工性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、25質量部以上、好ましくは30
質量部以上である。25質量部未満であると、充分なグリップ性能、低燃費性、破壊特性が得られない。また、シリカの含有量は、60質量部以下、好ましくは50質量部以下である。60質量部を超えると、加工性、低燃費性、破壊特性が低下する。
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。2質量部未満では、破壊特性が大きく低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物はカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を使用できる。
カーボンブラックは、石油資源由来の原料であり、使用量を低減することが望ましく、また、低燃費性の悪化を招くおそれがあるため、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下であり、実質的に配合しない(0質量部である)ことが更に好ましい。
シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有率は、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物は加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、CBSが好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。加硫促進剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物にENRを使用する場合、アルカリ性脂肪酸金属塩を配合してもよい。アルカリ性脂肪酸金属塩は、ENR合成の際に使用される酸を中和するため、ENRの混練りや加硫時の熱による劣化を防ぐことができる。また、リバージョンも防ぐことができる。
アルカリ性脂肪酸金属塩における金属としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられ、なかでも、耐熱性改善効果が大きくなる点とエポキシ化天然ゴムとの相溶性の点から、カルシウム、バリウムが好ましい。アルカリ性脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム等のステアリン酸金属塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バリウム等のオレイン酸金属塩などが挙げられる。なかでも、耐熱性改善効果が大きく、エポキシ化天然ゴムとの相溶性も高く、コストも比較的安価な点から、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウムが好ましい。
アルカリ性脂肪酸金属塩の含有量は、ENR100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、特に好ましくは4.5質量部以上である。1質量部未満であると、耐熱性や耐リバージョン性に関して十分な効果を得ることが難しい。該アルカリ性脂肪酸金属塩の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。10質量部を超えると、破壊強度や耐久性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、粘着付与剤、ワックス、硫黄等の加硫剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤが得られる。
本発明の空気入りタイヤは、地球環境に優しい「エコタイヤ」として、たとえば乗用車用、トラック用、バス用、重車両用など、種々の用途に対して好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
ミルセン:和光純薬工業(株)製のミルセン(天然資源由来のミルセン)
シクロヘキサン:関東化学(株)製のシクロヘキサン(特級)
2−エチルヘキサン酸ネオジム(III):和光純薬工業(株)製の2−エチルヘキサン酸ネオジム(III)
PMAO:東ソーファインケム(株)製のPMAO
水素化ジイソブチルアルミニウム:東京化成工業(株)製の水素化ジイソブチルアルミニウム
塩化ジエチルアルミニウム:東京化成工業(株)製の塩化ジエチルアルミニウム
ヘキサン:関東化学(株)製のノルマルヘキサン(特級)
イソプレン:和光純薬工業(株)製のイソプレン
ジブチルヒドロキシトルエン:東京化成工業(株)製のジブチルヒドロキシトルエン
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール(特級)
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン
<触媒溶液(1)の調製>
50mlガラス容器を窒素置換し、ミルセンのシクロヘキサン溶液(2.0mol/L)8ml、2−エチルヘキサン酸ネオジム(III)/シクロヘキサン溶液(0.2mol/L)1ml、PMAO(Al:6.8質量%)8mlを加え撹絆した。5分後、1M−水素化ジイソブチルアルミニウム/ヘキサン溶液5mlを加え、さらに5分後、1M−塩化ジエチルアルミニウム/ヘキサン溶液2mlを加え、攪拌して、触媒溶液(1)を得た。
<触媒溶液(2)の調製>
上記<触媒溶液(1)の調製>において、ミルセンをイソプレンに代えた点以外は、上記<触媒溶液(1)の調製>と同様に処理して、触媒溶液(2)を得た。
<製造例1(重合体1の合成)>
3Lの耐圧ステンレス容器を窒素置換し、シクロヘキサンを1800ml、ミルセンを100g入れ10分間攪拌した後、触媒溶液(1)を6ml添加し、30℃を保ったまま攪拌を行った。3時間後、0.01M−BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)/イソプロパノール溶液を10ml滴下し、反応を終了させた。反応液を、冷却後、別途用意しておいたメタノール3L中に加え、こうして得られた沈殿物を1晩風乾し、さらに2日間減圧乾燥を行い、重合体1を100g得た。重合転化率(「乾燥重量/仕込量」の百分率)はほぼ100%であった。
<製造例2(重合体2の合成)>
ミルセン100gの代わりにブタジエンを100gとし、触媒溶液(1)を触媒溶液(2)とした点以外は、製造例1と同様に行なって、重合体2を100g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
得られた重合体1、2について、下記の評価を行った。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定)
Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での重合体のムーニー粘度(ML1+4、130℃)を測定した。なお、小数点以下は、四捨五入した。
重合体1のMw、Mw/Mn、ML1+4(130℃)は、それぞれ、56000、3.8、21であった。重合体2のMw、Mw/Mn、ML1+4(130℃)は、それぞれ、57000、3.8、22であった。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
ENR:マレーシアのMRB社製のENR−25(エポキシ化率:25モル%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%、ML1 + 4(100℃):40、25℃における5%トルエン溶液粘度:48cps、Mw/Mn:3.3)
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:125m/g)
シランカップリング剤:テグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
重合体1、2:上記製造例1、2で得られた重合体1、2
植物油:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
オイル:出光興産(株)製のミネラルオイルPW−380
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックスN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼所(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を充填率が58%になるように充填し、回転数80rpmで140℃に到達するまで3分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、80℃で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を下記により評価し、結果を表1に示した。
(ムーニー粘度)
JIS K6300−1に準じて、130℃で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定し、比較例1のムーニー粘度を100として、下記の計算式により指数表示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工が容易である(加工性に優れる)ことを示す。
ムーニー粘度指数=(比較例1のムーニー粘度)/(各例のムーニー粘度)×100
(ウェットグリップ性能)
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。上記加硫ゴム組成物からなる幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合の摩擦係数の最大値)/(比較例1の摩擦係数の最大値)×100
(低燃費性)
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で、上記加硫ゴム組成物のtanδを測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(破壊特性)
上記加硫ゴム組成物から試験片を切り出し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じ、3号ダンベルを用いて引張試験を実施し、各配合の破断強度(TB)、破断時伸び(EB)を測定し、それぞれ比較例1の結果を100として指数表示した。指数が大きいほど、破壊特性に優れることを示す。
Figure 0006022920
天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを25〜60質量部、カーボンブラックを5質量部以下、ミルセン重合体を1〜100質量部含む実施例は、石油資源由来の原料の使用量を低減できると共に、良好なグリップ性能を維持又は改善しつつ、加工性、低燃費性、破壊特性を改善できた。

Claims (6)

  1. 天然ゴム及び/又は変性天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを25〜60質量部、カーボンブラックを5質量部以下、ミルセン重合体を1〜100質量部含み、
    前記ミルセン重合体が、ミルセン単独重合体であるトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記ミルセン重合体の重量平均分子量が1000〜500000である請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記ミルセン重合体を含む軟化剤の合計含有量が1〜30質量部である請求項1又は2記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. カーボンブラックを実質的に含有しない請求項1〜3のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. ゴム成分100質量%中のエポキシ化天然ゴムの含有量が80質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
JP2012271470A 2012-12-12 2012-12-12 トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ Active JP6022920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012271470A JP6022920B2 (ja) 2012-12-12 2012-12-12 トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012271470A JP6022920B2 (ja) 2012-12-12 2012-12-12 トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014114414A JP2014114414A (ja) 2014-06-26
JP6022920B2 true JP6022920B2 (ja) 2016-11-09

Family

ID=51170754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012271470A Active JP6022920B2 (ja) 2012-12-12 2012-12-12 トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6022920B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017132884A (ja) * 2016-01-27 2017-08-03 株式会社クラレ 加硫ゴム、加硫ゴムの製造方法およびタイヤ
CN114347534B (zh) * 2021-12-30 2024-06-25 佛山市霸龙车辆配件科技有限公司 一种修补液及其在真空轮胎自动修补中的应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5239607A (en) * 1975-09-03 1977-03-28 Juntaro Tanaka Direct synthesis of myrcene from isoprene
JPS63179908A (ja) * 1987-01-22 1988-07-23 Japan Synthetic Rubber Co Ltd ミルセン重合体およびその製造方法
JP5198746B2 (ja) * 2005-11-29 2013-05-15 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
US9061900B2 (en) * 2005-12-16 2015-06-23 Bridgestone Corporation Combined use of liquid polymer and polymeric nanoparticles for rubber applications
JP5557125B2 (ja) * 2007-06-08 2014-07-23 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP2008303328A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP5643134B2 (ja) * 2011-02-22 2014-12-17 住友ゴム工業株式会社 サイドウォール用ゴム組成物、トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014114414A (ja) 2014-06-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6381733B2 (ja) 分枝共役ジエン共重合体、ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP6230736B2 (ja) 分枝共役ジエン共重合体、ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP6084873B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5952788B2 (ja) 分枝共役ジエン共重合体、ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP6627295B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7009959B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP2012219224A (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5782423B2 (ja) サイドウォール又はベーストレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
KR102097185B1 (ko) 공액 다이엔 중합용 촉매 및 그것을 이용한 공액 다이엔 중합체, 변성 공액 다이엔 중합체, 그들의 제조 방법, 타이어용 고무 조성물, 및 고무 벨트용 고무 조성물
JP6022920B2 (ja) トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
JP4867268B2 (ja) 防振ゴム組成物
JP5466447B2 (ja) ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
JP6250977B2 (ja) クリンチエイペックス用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6988418B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP6352685B2 (ja) ゴム組成物、空気入りタイヤ及び該ゴム組成物の製造方法
JP5394851B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JPWO2016039003A1 (ja) ゴム組成物
JP2014145064A (ja) クリンチエイペックス用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
JP6939490B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2022134694A (ja) 重合体用変性剤、変性共役ジエン重合体の製造方法、変性共役ジエン重合体、及びゴム用添加物
JP2014240470A (ja) フェランドレン共重合体、タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2014125542A (ja) ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150911

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160510

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6022920

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250