JP2022134694A - 重合体用変性剤、変性共役ジエン重合体の製造方法、変性共役ジエン重合体、及びゴム用添加物 - Google Patents

重合体用変性剤、変性共役ジエン重合体の製造方法、変性共役ジエン重合体、及びゴム用添加物 Download PDF

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晃司 斯波
Koji Shiba
佑季 高橋
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Abstract

【課題】加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を得ることが可能な重合体用変性剤及び変性共役ジエン重合体を提供することを目的とする。【解決手段】下記の一般式(1)で表される化合物を含む、重合体用変性剤。【化1】TIFF2022134694000027.tif3187(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。R1及びR2は、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)【選択図】なし

Description

本発明は、重合体用変性剤、変性共役ジエン重合体の製造方法、変性共役ジエン重合体、及びゴム用添加剤に関するものである。
重合体用変性剤として、芳香族アミンやアルコキシシランなどの化合物が一般的に知られている。高シスジエン系ゴムを変性剤により変性させた例として、シクロペンタジエニル骨格を有するチタン化合物を触媒として、シス-1,4-ポリブタジエンを製造したのち、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを反応させて変性する方法が知られている(特許文献1)。
また、ゴムの特性を有効に活かし、より好ましい性能を得るためにゴムには様々な添加剤が使用されている。代表的な添加剤は硫黄であり、硫黄を加えてゴム分子同士を架橋することにより、ゴム弾性体としての特性を顕著に表すようになる。また、効率的に架橋反応を進行させるために加硫時に加硫助剤が用いられる。一般的な加硫助剤としてはチアゾール系、スルフェンアミド系及びグアニジン系等が知られている(非特許文献1)。
特開2000-86719号公報 ゴム工業便覧<第四版>、pp.412~413、1994年、日本ゴム協会発行
しかしながら、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を得ることが可能な重合体用変性剤及び変性共役ジエン重合体は提案されていなかった。
そこで、本発明は、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合組成物体を得ることが可能な重合体用変性剤及び変性共役ジエン重合体を提供することを目的とする。また、本発明は、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を得ることが可能な変性共役ジエン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
また、ゴムの添加剤については、従来の加硫助剤は加硫促進能力が十分でなかった。加硫速度が遅いと、ゴム組成物を加硫して製品に成型する際にエネルギーがより多く必要となり、製造コストがかかるという問題があった。さらに、従来の加硫助剤は、ゴム組成物の物性を向上させる能力も十分でなかった。
そこで、本発明は、一般的な加硫剤と併用することで、加硫促進能力が高く、ゴム組成物の物性を向上させることができる、ゴム用添加剤を提供することを目的とする。また、物性の優れたゴム組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。本発明は、以下に関する。
[1]下記の一般式(1)で表される化合物を含む、重合体用変性剤。
Figure 2022134694000001
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
[2]前記式(1)のm及びnは1である、[1]の重合体用変性剤。
[3]前記式(1)のR及びR中の複素環の窒素原子はフルオレン骨格の炭素原子と結合している、[1]又は[2]かの重合体用変性剤。
[4]前記式(1)のR及びRは、各々独立に、窒素原子1又は2個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基、窒素原子1個と酸素原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基及び窒素原子1個と硫黄原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基からなる群より選ばれる複素環基である、[1]~[3]のいずれかの重合体用変性剤。
[5]前記式(1)のR及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有し、置換基は各々独立に、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基、窒素原子を1個以上含む3~12員環複素環基、炭素数1~6のアルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される置換基である、[1]~[4]のいずれかの重合体用変性剤。
[6]前記式(1)で示される化合物は、下記の一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[5]の重合体用変性剤。
Figure 2022134694000002
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、フルオレン骨格の炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、一般式(2)では各々独立に0~4の整数であり、一般式(3)、(4)、(5)及び(6)では各々独立に0~3の整数であり、m+n≧1を満たす数値である。)
[7]希土類金属化合物及び/又はアルカリ金属化合物を用いて共役ジエン化合物を重合させて共役ジエン重合体を得る工程と、
前記共役ジエン重合体と[1]~[6]のいずれかの重合体用変性剤とを反応させて変性共役ジエン重合体を得る工程と、を有する、変性共役ジエン重合体の製造方法。
[8]前記希土類金属化合物は、下記の一般式(7)で表される非メタロセン型金属化合物である、[7]の変性共役ジエン重合体の製造方法。
Figure 2022134694000003
(但し、R、Rは炭素数1~12の炭化水素基を表し、Rは水素又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、Oは酸素原子を表し、Mは希土類金属原子を表す。)
[9][7]又は[8]の変性共役ジエン重合体の製造方法により製造される、変性共役ジエン重合体。
[10]共役ジエン重合体の末端に下記一般式(1)で示される化合物由来の構造を有する変性共役ジエン重合体。
Figure 2022134694000004
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
[11][9]又は[10]の変性共役ジエン重合体を含む、ゴム組成物。
[12]下記の一般式(1)で表される化合物を含む、ゴム用添加剤。
Figure 2022134694000005
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
[13]前記式(1)のm及びnは1である[12]のゴム用添加剤。
[14]前記式(1)のR及びR中の複素環の窒素原子はフルオレン骨格の炭素原子と結合している、[12]又は[13]のゴム用添加剤。
[15]前記式(1)のR及びRは、各々独立に、窒素原子1又は2個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基、窒素原子1個と酸素原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基及び窒素原子1個と硫黄原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基からなる群より選ばれる複素環基である、[12]~[14]のいずれかのゴム用添加剤。
[16]前記式(1)のR及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有し、置換基は各々独立に、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基、窒素原子を1個以上含む3~12員環複素環基、炭素数1~6のアルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される置換基である[12]~[15]のいずれかのゴム用添加剤。
[17]前記式(1)で示される化合物は、下記の一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[12]~[16]のゴム用添加剤。
Figure 2022134694000006
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、フルオレン骨格の炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、一般式(2)では各々独立に0~4の整数で、一般式(3)、(4)、(5)及び(6)では各々独立に0~3の整数であり、m+n≧1を満たす数値である。)
[18]共役ジエン重合体と、[12]~[17]のいずれかのゴム用添加剤とを含む、ゴム組成物。
[19]共役ジエン重合体は、天然ゴム、変性天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム及びアクリロニトリル-ブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上含む、[18]のゴム組成物。
[20]共役ジエン重合体100質量部に対して、ゴム用添加剤の添加量は、0.1~5質量部である、[18]又は[19]のゴム組成物。
[21]共役ジエン重合体と、ゴム補強剤と、加硫剤と、[12]~[17]のいずれかのゴム用添加剤とを混練する混練工程と、前記混練物を加硫する加硫工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
[22] 前記混練工程は、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤とを混練する第1混練工程と、第1混練工程で得られた混練物と、加硫剤と、[12]~[17]のいずれかのゴム用添加剤とを混練する第2混練工程とを含む、[21]のゴム組成物の製造方法。
[23] 前記加硫剤と、[12]~[17]のいずれかのゴム用添加剤との配合割合は、1/10~10/1である[21]又は[22]のゴム組成物の製造方法。
[24][11]又は[18~20]のいずれかのゴム組成物を用いたタイヤ。
[25][11]又は[18~20]のいずれかのゴム組成物を用いたゴムベルト。
本発明によれば、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を得ることが可能な重合体用変性剤及び変性共役ジエン重合体を提供することができる。また、本発明によれば、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を得ることが可能な変性共役ジエン重合体の製造方法を提供することができる。
更に、本発明によれば、加硫促進能力が高く、ゴム組成物の物性を向上させることができる、ゴム用添加剤を提供することができる。また、本発明によれば、物性に優れたゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、加硫時間が短く、物性に優れたゴム組成物の製造方法を提供することができる。
<<1.重合体用変性剤>>
「重合体用変性剤」とは、重合体の末端を変性することできる化合物を含み、変性剤に含まれる化合物が重合体の末端と化学結合することで重合体の末端を変性(末端に化合物を導入)することができるものをいう。「重合体」とは、モノマーが重合した化合物であり、重合体としては特に制限されないが、例えば、共役ジエン重合体が挙げられる。
本発明の重合体用変性剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2022134694000007
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示すし、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
前記一般式(1)中にAで示すフルオレン骨格とは、窒素原子を含んでもよい。
重合体用変性剤は式(1)の化合物を95質量%以上含むことが好ましく、98質量%以上含むことが特に好ましい。共役ジエン重合体の変性工程において、共役ジエン重合体の変性度を向上させることができる。更に、重合体用変性剤を用いて変性した変性共役ジエン重合体から得られる変性共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)は、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れたものとなる。
前記化合物は、前記一般式(1)のm及びnが1であることが好ましい。
前記化合物は、前記一般式(1)のR及びR中の窒素原子がA(フルオレン骨格)の炭素原子と結合していることが好ましい。
前記一般式(1)のR及びRは、窒素原子1又は2個を環の構成成分に含む飽和の5~7員環複素環基、窒素原子1個と酸素原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~7員環複素環基及び窒素原子1個と硫黄原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~7員環複素環基からなる群より選ばれる複素環基であることが好ましく、ピロリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、チアゾリジル基、モルホリル基及びチオモルホリル基からなる群より選ばれる飽和の複素環基であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)のR及びRは、前記5~6員環複素環基に芳香環等の他の環が縮合した縮合2環式の複素環基でもよく、ピロリジル基に6員環芳香環基が縮合したインドリル基であることが好ましい。
前記一般式(1)のR及びRは、異なる構造であってもよく、同じ構造であってもよいが、同じ構造であることが好ましい。
また、前記一般式(1)のR及びRは、各々独立に、無置換でもよく、置換基を有していてもよいが、両者が無置換であるか、両者が置換基を有していることが好ましい。
前記一般式(1)のR及びRの置換基は、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基及び窒素原子を1個以上含む3~12員環複素環基、炭素数1~6のアルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される置換基であることが好ましく、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数5~12のシクロアルキル基、炭素数1~3の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基、窒素原子を1個又は2個含む5~12員環複素環基、炭素数1~3のアルコキシ基及びフェニル基からなる群より選択される置換基であることがより好ましい。
及びR上の置換基は、異なる置換基であっても同じ構造の置換基であってもよいが、同じ構造の置換基であることが好ましい。
また、R及びRは、複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基は同一炭素上に存在してもよい。同一炭素上に2個のアルコキシ基を有する場合は、2個のアルコキシ基は環状構造を形成してもよい。
及びRは、具体的には、飽和の複素環基の場合は、ピペリジル基、アゼパン基、1-メチルピペラジル基、3-(ジエチルアミノ)ピロリジル基、4-(1-ピロリジニル)ピペリジル基、4-トリフルオロメチルピペリジル基、ピロリジル基、チオモルホリル基、モルホリル基、3-(ピロリジン-1-イル)ピペリジル基、2-(ピロリジン-1-イル)ピペリジル基、1,4’-ビピペリジル基、1,3’-ビピペリジル基、1,2’-ビピペリジル基、4-(アゼチジン-1-イル))ピペリジル基、3-(アゼチジン-1-イル))ピペリジル基、2-(アゼチジン-1-イル))ピペリジル基、4-(アジリジン-1-イル))ピペリジル基、3-(アジリジン-1-イル))ピペリジル基、2-(アジリジン-1-イル))ピペリジル基、1,3’ビピロリジル基、1,2’ビピロリジル基、N,N-ジエチルピペリジン-4-アミノ基、N,N-ジエチルピペリジン-3-アミノ基、N,N-ジエチルピペリジン-2-アミノ基、3-(アゼチジン-1-イル)ピロリジル基、2-(アゼチジン-1-イル)ピロリジル基、3-(アジリジン-1-イル)ピロリジル基、2-(アジリジン-1-イル)ピロリジル基等が挙げられるが、ピペリジル基、アゼパン基、1-メチルピペラジル基、3-(ジエチルアミノ)ピロリジル基、4-(1-ピロリジニル)ピペリジル基、4-トリフルオロメチルピペリジル基、ピロリジル基、チオモルホリル基、モルホリル基が好ましい。
これにより、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を提供可能な変性共役ジエン重合体を得ることができる。
また、前記化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
前記一般式(1)で示される化合物は、下記の一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(2)の化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022134694000008
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、フルオレン骨格の炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、一般式(2)では各々独立に0~4の整数であり、一般式(3)、(4)、(5)及び(6)では各々独立に0~3の整数であり、m+n≧1を満たす数値である。)
前記一般式(2)の場合は、下記の一般式(8)、(9)、式(10)及び(11)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(9)及び(10)からなる群から選ばれる化合物であることが特に好ましい。このような重合体用変性剤を用いて変性した変性共役ジエン重合体から得られる変性共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)は、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れたものとなる。
Figure 2022134694000009
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
及びR中の窒素原子は、フルオレン骨格の炭素原子と結合している。)
前記一般式(3)の場合、下記の一般式(12)、(13)及び(14)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(13)及び(14)からなる群から選ばれる化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022134694000010
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
及びR中の窒素原子は、フルオレン骨格の炭素原子と結合している。)
前記一般式(4)の場合、下記の一般式(15)、(16)及び(17)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(16)の化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022134694000011
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
及びR中の窒素原子は、フルオレン骨格の炭素原子と結合している。)
前記一般式(5)の場合、下記の一般式(18)、(19)及び(20)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(20)の化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022134694000012

(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
及びR中の窒素原子は、フルオレン骨格の炭素原子と結合している。)
前記一般式(6)の場合、下記の一般式(21)、(22)及び(23)からなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、下記の一般式(21)及び(22)からなる群から選ばれる化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022134694000013
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
及びR中の窒素原子は、フルオレン骨格の炭素原子と結合している。)
これにより、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を提供可能な変性共役ジエン重合体を得ることができる。
また、前記化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(重合体用変性剤の製造方法)
本発明の重合体用変性剤は、原料(A)ジハロ-フルオレン-9-オン化合物、原料(B)飽和の3~12員環複素環化合物、原料(C)周期律表第1族から選ばれる元素の有機金属化合物、触媒成分(D)周期律表第10族、11族から選ばれる元素の有機金属化合物及び配位性化合物により合成されることが好ましい。
原料(A)ジハロ-フルオレン-9-オン化合物としては、例えば1,8-ジクロロ-9Hフルオレン-9-オン、2,7-ジクロロ-9Hフルオレン-9-オン、3,6-ジクロロ-9Hフルオレン-9-オン、4,5-ジクロロ-9Hフルオレン-9-オン、1,8-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン、2,7-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン、3,6-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン、4,5-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン、1,8-ジヨード-9Hフルオレン-9-オン、2,7-ジヨード-9Hフルオレン-9-オン、3,6-ジヨード-9Hフルオレン-9-オン、4,5-ジヨード-9Hフルオレン-9-オン等が挙げられるが2,7-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン、3,6-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オンが好ましい。
原料(B)の飽和の3~12員環複素環化合物としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロ-1H-アゼピン、チオモルホリン、モルホリン等が挙げられるが、ピペリジン、ヘキサヒドロ-1H-アゼピン、1-メチルピペラジン、3-(ジエチルアミノ)ピロリジン、4-(1-ピロリジニル)ピペリジン、4-トリフルオロメチルピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、モルホリンが好ましい。
原料(C)としては、例えば、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられる。
触媒成分(D)としては、例えば、酢酸銅、2-チオフェンカルボン酸銅、塩化ニッケル、ビス(1,5-シクロテオクタジエン)ニッケル、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビピリジン、1,10-フェナントロリン、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル等が挙げられる。
本発明の重合体用変性剤の合成反応は、溶媒の存在下で行っても良く、使用される溶媒としては反応を阻害し難い溶媒ならば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の非極性プロトン溶媒類;ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられるが、好ましくは非極性プロトン溶媒類が使用される。これら溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
重合の反応温度は25~120℃で、好ましくは80~100℃の範囲で行われる。
本発明の重合体用変性剤は、例えば、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製することができる。分離・精製された重合体用変性剤の純度は、95質量%以上が好ましく、98%質量以上が特に好ましい。共役ジエン重合体の変性工程において、共役ジエン重合体の変性度を向上させることができる。
(変性共役ジエン重合体の製造方法)
本発明の変性共役ジエン重合体の製造方法は、希土類金属化合物及び/又はアルカリ金属化合物を用いて共役ジエン化合物を重合させて共役ジエン重合体を得る工程と、得られた共役ジエン重合体と上述した本発明の重合体用変性剤とを反応させて変性共役ジエン重合体を得る工程と、を有することを特徴とする。
このような特徴を有することにより、加工性、機械強度、耐摩耗性や低燃費性等の諸特性に優れた変性共役ジエン重合体組成物を提供可能な共役ジエン重合体を得ることができる。
(共役ジエン化合物の重合工程)
本工程では、希土類金属化合物及び/又はアルカリ金属化合物を用いて共役ジエン化合物を重合させて共役ジエン重合体を得る。
希土類金属化合物は、非極性の有機溶媒に溶解するものであれば、特に限定はなく、非メタロセン型金属化合物(ジケトン型希土類金属錯体)、ケトイミン型希土類金属錯体、ジイミン型希土類金属錯体、希土類金属アルコキシド、希土類金属カルボン酸塩、希土類金属リン酸塩等が挙げられる。また、アルカリ金属化合物としては、非極性の有機溶媒に溶解するものであれば、特に限定はなく、有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。
1,4-シス構造の多いハイシスポリブタジエンが得られるという観点から、アルカリ金属化合物よりも希土類金属化合物を用いるのが好ましい。
希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウムなどを好適に用いることができる。
希土類金属化合物は、下記一般式(7)で表される非メタロセン型金属化合物(ジケトン型希土類金属錯体)であることが好ましい。
Figure 2022134694000014
(但し、R、Rは炭素数1~12の炭化水素基を表し、R4は水素、または炭素数1~12の炭化水素基を表し、Oは酸素原子を表し、Mは希土類金属原子を表す。)
一般式(7)のR~Rにおける炭素数1~12の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基などの飽和炭化水素基、ビニル基、1-プロペニル基、及びアリル基などの不飽和炭化水素基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、及びエチルシクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、並びにフェニル基、ベンジル基、トルイル基、及びフェネチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、及びフェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。中でも、炭素数1~12の飽和炭化水素基が好ましく、特に炭素数1~6の飽和炭化水素基が好ましい。
そして、一般式(7)において、Rは水素又は炭素数1~12の炭化水素基、RとRは炭素数1~12の炭化水素基であるのが好ましい。特に、Rは水素又は炭素数1~6の炭化水素基、RとRは炭素数1~6の炭化水素基であるのが好ましい。
さらに、一般式(7)において、Rは水素又は炭素数1~12の飽和炭化水素基、RとRは炭素数1~12の飽和炭化水素基であるのが好ましい。特に、Rは水素又は炭素数1~6の飽和炭化水素基、RとRは炭素数1~6の飽和炭化水素基であるのが好ましい。
希土類金属化合物が非メタロセン型金属化合物の場合、非メタロセン型金属化合物としては、例えば、ランタン化合物では、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン、トリス(2,2,6-トリメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン、トリス(3,5-ヘプタンジオナト)ランタン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ランタン、トリス(2,4-ヘキサンジオナト)ランタン、トリス(1,5-ジシクロペンチル-2,4-ペンタンジオナト)ランタン、トリス(1,5-ジシクロヘキシル-2,4-ペンタンジオナト)ランタンなどが挙げられる。中でも、好ましくは、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタンである。
また、非メタロセン型金属化合物としては、例えば、ガドリニウム化合物では、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,2,6-トリメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,4-ヘキサンジオナト)ガドリニウム、トリス(1,5-ジシクロペンチル-2,4-ペンタンジオナト)ガドリニウム、トリス(1,5-ジシクロヘキシル-2,4-ペンタンジオナト)ガドリニウムなどが挙げられる。中でも、好ましくは、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウムである。
また、非メタロセン型金属化合物としては、例えば、プラセオジム化合物では、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジム、トリス(2,2,6-トリメチル-3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジム、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジム、トリス(3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジム、トリス(2,4-ペンタンジオナト)プラセオジム、トリス(2,4-ヘキサンジオナト)プラセオジム、トリス(1,5-ジシクロペンチル-2,4-ペンタンジオナト)プラセオジム、トリス(1,5-ジシクロヘキシル-2,4-ペンタンジオナト)プラセオジムなどが挙げられる。中でも、好ましくは、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジム、トリス(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト)プラセオジムである。
非メタロセン型金属化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
希土類金属化合物が希土類金属アルコキシドの場合、希土類金属アルコキシドとしては、例えば、ランタン化合物では、トリメトキシランタン、トリエトキシランタン、トリn-プロポキシランタン、トリイソプロポキシランタン、トリブトキシランタン、トリペントキシランタン、トリヘキシロキシランタン、などが挙げられる。中でも、好ましくは、トリイソプロポキシランタンである。
また、希土類金属アルコキシドとしては、例えば、ガドリニウム化合物では、トリメトキシガドリニウム、トリエトキシガドリニウム、トリn-プロポキシガドリニウム、トリイソプロポキシガドリニウム、トリブトキシガドリニウム、トリペントキシガドリニウム、トリヘキシロキシガドリニウム、などが挙げられる。中でも、好ましくは、トリイソプロポキシガドリニウムである。
また、希土類金属アルコキシドとしては、例えば、プラセオジム化合物では、トリメトキシプラセオジム、トリエトキシプラセオジム、トリn-プロポキシプラセオジム、トリイソプロポキシプラセオジム、トリブトキシプラセオジム、トリペントキシプラセオジム、トリヘキシロキシプラセオジム、などが挙げられる。中でも、好ましくは、トリイソプロポキシプラセオジムである。
希土類金属系アルコキシド化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
希土類金属化合物が希土類金属カルボン酸塩の場合、希土類金属カルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ネオジム、バーサチック酸ネオジム、ナフテン酸ネオジム、ステアリン酸ネオジム、オレイン酸ネオジム、安息香酸ネオジム、ピコリン酸ネオジム、蟻酸ネオジム、酢酸ネオジム、アクリル酸ネオジム、メタクリル酸ネオジム、吉草酸ネオジム、グルコン酸ネオジム、クエン酸ネオジム、フマル酸ネオジム、乳酸ネオジム、マレイン酸ネオジム、シュウ酸ネオジム、などが挙げられる。
希土類金属カルボン酸塩の中でも、好ましくは、2-エチルヘキサン酸ネオジム、バーサチック酸ネオジムが挙げられる。希土類金属カルボン酸塩は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
希土類金属化合物が希土類金属リン酸塩の場合、希土類金属リン酸塩としては、例えば、ネオジムジ(2-エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジムジブチルリン酸塩、ネオジムジペンチルリン酸塩、ネオジムジヘキシルリン酸塩、ネオジムジヘプチルリン酸塩、ネオジムジオクチルリン酸塩、ネオジムジ(1-メチルヘプチル)リン酸塩、ネオジムジデシルリン酸塩、ネオジムジドデシルリン酸塩、ネオジムジオクタデシルリン酸塩、ネオジムジオレイルリン酸塩、ネオジムジフェニルリン酸塩、ネオジムジ(p-ノニルフェニル)リン酸塩、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)リン酸塩、などが挙げられる。
希土類金属リン酸塩の中でも、好ましくは、ネオジムジ(2-エチルヘキシル)リン酸塩が挙げられる。希土類金属リン酸塩(A)は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ金属化合物が有機アルカリ金属化合物の場合、有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、などが挙げられる。中でも、有機アルカリ金属化合物としては、好ましくは、n-ブチルリチウムが挙げられる。有機アルカリ金属化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、希土類金属化合物、アルカリ金属化合物以外の触媒を用いてもよい。
このような触媒としては、例えば、周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物が挙げられる。
周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物としては、例えば、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム等が用いられる。これらの化合物の内で好ましいのは、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムクロライド、アルキルマグネシウムブロマイド、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライドなどである。
また、触媒としてアルモキサンを用いてもよい。
アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(-Al(R)O-)nで示される鎖状アルモキサン、あるいは環状アルモキサンが挙げられる。(Rは炭素数1~10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。Rとして、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルモキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
アルモキサンの中でも、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に上記のトリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオールなどが挙げられる。
周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物は、単独で用いることもできるが、2種類以上併用することも可能である。
また、得られる共役ジエン重合体の分子量調節剤を添加してもよい。
分子量調節剤としては、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることができる。
分子量調節剤の(2)水素化金属化合物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ガリウム、シラン、ゲルマン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、などが挙げられる。
分子量調節剤の(3)水素化有機金属化合物としては、メチルボラン、エチルボラン、プロピルボラン、ブチルボラン、フェニルボランなどのアルキルボラン、ジメチルボラン、ジエチルボラン、ジプロピルボラン、ジブチルボラン、ジフェニルボランなどのジアルキルボラン、メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、ブチルアルミニウムジハイドライド、フェニルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムジハイドライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシランなどのシラン類、メチルゲルマン、エチルゲルマン、プロピルゲルマン、ブチルゲルマン、フェニルゲルマン、ジメチルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジプロピルゲルマン、ジブチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、トリメチルゲルマン、トリエチルゲルマン、トリプロピルゲルマン、トリブチルゲルマン、トリフェニルゲルマンなどのゲルマン類等が挙げられる。
水素化有機金属化合物の中でも、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライドが好ましく、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
触媒系に非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物を添加してもよい。なお、本発明の触媒系が希土類金属化合物のときは必要である。非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
一方、カチオンとしては、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
カルベニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリ置換フェニルカルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルベニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンを挙げることができる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリールホスホニウムカチオンを挙げることができる。
上記のイオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合せたものを好ましく用いることができる
イオン性化合物の中でも、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’-ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒成分の添加順序について、特に制限はない。なお、各触媒成分を無機化合物、又は有機高分子化合物に担持して用いることもできる。
共役ジエン化合物モノマーとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-メチルペンタジエン、4-メチルペンタジエン、2,4-ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、1,3-ブタジエンを主成分とする共役ジエン化合物モノマーが好ましい。これらの共役ジエン化合物モノマー成分は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、共役ジエン化合物モノマーと、α-オレフィン化合物モノマーを併用してもよい。α―オレフィン化合物モノマーとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、スチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。中でも、スチレンと共役ジエン化合物モノマーを併用することが好ましく、スチレンと1,3-ブタジエンを併用することが特に好ましい。これらのα―オレフィン化合物モノマー成分は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合方法は、特に制限はなく、1,3-ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマーそのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス-2-ブテン、トランス-2-ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
前記溶媒の中でも、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス-2-ブテンとトランス-2-ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
重合温度は、-30~150℃の範囲が好ましく、0~80℃の範囲がより好ましく、10~70℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分~12時間の範囲が好ましく、5分~5時間が特に好ましく、10分~1時間がさらに好ましい。
(共役ジエン重合体の変性工程)
本工程では、上記工程で得られた共役ジエン重合体と上述した本発明の重合体用変性剤とを反応させて変性共役ジエン重合体を得る。
本工程において、重合体用変性剤は、上述したような重合体用変性剤の内の一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。
変性反応に使用する有機溶媒としては、それ自身が共役ジエン重合体と反応しないものであれば、自由に使用できる。通常は、共役ジエン重合体の製造に用いた溶媒と同じものが用いられる。その具体例としては、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、n-ヘプタン、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-オクタンなどの炭素原子数5~10の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどの脂環式炭化水素系溶媒などを挙げることができる。
変性反応の反応溶液(有機溶媒に共役ジエン重合体及び重合体用変性剤が分散・溶解した溶液)の温度は、-30~100℃の範囲にあることが好ましく、特に10~90℃の範囲にあることが好ましい。温度が低すぎると変性反応の進行が遅く、温度が高すぎると重合体がゲル化しやすくなる。変性反応の時間には特に制限はないが、1分~5時間の範囲にあることが好ましく、3分~1時間の範囲にあることがさらに好ましい。変性反応時間が短すぎると反応が充分進行せず、時間が長すぎると重合体がゲル化しやすくなる。
変性反応溶液における共役ジエン重合体の量は、溶媒1リットル当り、通常は2~300g、好ましくは10~200gの範囲である。
変性反応における重合体用変性剤の使用量は、共役ジエン重合体100gに対して、通常は0.01~150ミリモル、好ましくは0.1~100ミリモル、更に好ましくは0.2~50ミリモルの範囲にある。使用量が少な過ぎると、変性共役ジエン重合体中に導入される変性基の量が少なくなり、十分な変性効果が得られない。使用量が多すぎると、変性共役ジエン重合体中に未反応変性剤が残存し、その除去に手間がかかるため好ましくない。
変性反応の実施に際しては、重合反応に引き続いて変性剤を添加したのち、重合停止剤を添加し、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去する方法、あるいは、重合停止剤を添加したのち、重合体用変性剤を添加する方法などが挙げられる。重合停止剤の種類によっては、重合体が重合体用変性剤と反応する部位の活性を低下させることがあるため、重合停止前に重合体用変性剤を添加する方法が好ましい。
本発明の重合体用変性剤により共役ジエン重合体が変性されていることを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、あるいはH-NMRを用いて確認する。
特に、未変性の重合体と変性重合体の双方を、GPC測定することで得られるUV/RI値の大小を比較する方法が簡便である。なお、UV/RI値とは、GPC測定におけるポリマーのUV吸光度から得られるピーク面積値UVと、示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値RIの比のことである。
一般に、重合体が変性されるとUV吸収が増加するため、未変性の重合体よりも変性重合体のUV/RI値が大きくなる。
(変性共役ジエン重合体)
変性共役ジエン重合体は、本発明の製造方法により得られ、共役ジエン重合体の末端に下記一般式(1)で示される化合物由来の構造を有する。
Figure 2022134694000015
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
一般式(1)の実施形態について、特に記載がないものは、前記重合体用変性剤の実施形態と同じであってもよい。
「一般式(1)で示される化合物由来の構造」とは、共役ジエン重合体の末端と、一般式(1)で示される化合物との結合基以外の部分構造を示す。一般式(1)で示される化合物由来の構造は、一般式(1)で示される化合物によって、共役ジエン重合体の末端に導入され、変性共役ジエン重合体が得られる。
「一般式(1)で示される化合物由来の構造」は、より具体的には、下記一般式(1’)で示される構造が好ましい。
Figure 2022134694000016
変性共役ジエン重合体は、シス-1,4構造を94mol%以上有しているのが好ましく、シス-1,4-構造を95mol%以上有しているのがより好ましい。また、該変性共役ジエン重合体の[η]は、0.1~10であるのが好ましく、1~7であるのがより好ましく、1.5~5であるのがさらに好ましい。
変性共役ジエン重合体の数平均分子量(Mn)は、10000~1000000であるのが好ましく、30000~700000であるのがより好ましく、50000~550000であるのがさらに好ましい。また、希土類金属化合物を用いた変性共役ジエン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5~10であるのが好ましく、1.5~7であるのがより好ましく、1.5~4であるのがさらに好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内であると、加工性に優れる。
(変性共役ジエン重合体組成物)
本発明の変性共役ジエン重合体組成物(以下、変性共役重合体組成物にはゴム組成物が含まれる)は、本発明の変性共役ジエン重合体を含むものであり、本発明に係る変性共役ジエン重合体と、本発明に係る変性共役ジエン重合体以外のその他の共役ジエン重合体と、ゴム補強剤とを含むことが好ましい。
具体的には、変性共役ジエン重合体は、単独で、または他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックなどのゴム補強材、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ、ホース、ベルト、クローラ、履物部材等の機械的特性、耐摩耗性等が要求されるゴム用途に使用することができる。
変性共役ジエン重合体組成物の混合割合は、好ましくは、変性共役ジエン重合体90~5質量部と、その他の共役ジエン重合体10~95質量部とからなるゴム成分100質量部と、ゴム補強剤20~120質量部である。
(共役ジエン重合体)
その他の共役ジエン重合体としては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的には天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらの中でもNR及びSBRが好ましい。さらにSBRの場合、特に限定されるものではないが、中でも溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S-SBR)が特に好ましい。これらのゴムは単独でも、二種以上組合せて用いても良い。
(ゴム補強剤)
ゴム補強剤とは、ゴムの機械的特性を向上させることを目的としてゴム組成物に配合する化合物等をいう。本発明で用いることができるゴム補強剤としては、各種のカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤が挙げられる。これらの中でも、通常、カーボンブラック及びシリカが好ましい。これらのゴム補強剤は単独でも、二種以上組合せて用いても良い。
また、補強剤としてシリカを使用する場合には、シランカップリング剤を添加剤として使用することができる。ゴムとシリカの親和性を高め、補強効果を向上させることができる。シランカップリング剤は、一般式R SiR 4-nで表わされる有機珪素化合物で、Rは、ビニル基、アシル基、アリル基、アリルオキシ基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基、アルキル基、フェニル基、水素、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基などから選ばれる反応基を有する炭素数1~20の有機基であり、Rは、クロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基などから選ばれる加水分解基であり、nは、1~3の整数を示す。
カーボンブラックとシリカを併用する等、数種の補強剤を組み合わせることも有効であり、タイヤトレッド用ゴム組成物においては、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカの併用が好ましい。
(加硫剤)
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などを用いることができる。中でも硫黄を用いることが好ましい。
硫黄は、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄からなる群より選ばれる少なくとも一種である。硫黄成分は、好ましくは粉末硫黄である。ベルト用部材等の硫黄含量が多いタイヤ部材に用いる場合には、不溶性硫黄が好ましい。
(加硫助剤)
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などを用いることができる。
加硫助剤としては、具体的には、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N-ジシクロへキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及びリン系などが挙げられる。
(プロセスオイル)
プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系などが挙げられる。
(ゴム組成物の用途)
ゴム組成物は、タイヤ・防振ゴム・ベルト・ホース・免震ゴムなどの工業用品や、紳士靴、婦人靴、スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用することができる。また、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることができるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野、包装材料、住宅関連材料、OA機器用材料、工具、日用品等に好適である。例えばテレビ、パソコン、エアコンなどの筐体、複写機やプリンターなど事務機器の外装材、冷凍食品、乳酸飲料、アイスクリームなどの食品容器といった広範な用途に用いることができる。
(タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物)
タイヤ用ゴム組成物の場合には、ゴム組成物は、本発明の本発明の変性共役ジエン重合体と、その他の共役ジエン重合体とからなるゴム成分と、ゴム補強剤とを含み、上記ゴム成分100質量部に対して上記ゴム補強剤を30~80質量部含有することが好ましい。
また、ゴムベルト用ゴム組成物の場合には、ゴム組成物は、本発明の変性共役ジエン重合体と、その他の共役ジエン重合体とからなるゴム成分と、ゴム補強剤とを含み、上記ゴム成分(100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)を20~70質量部含有することが好ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物は、変性共役ジエン重合体以外のジエン系重合体(β)を含み、変性共役ジエン重合体90~5質量部に対して、その他の共役ジエン重合体10~95質量部を配合することが好ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物に配合されるジエン系重合体(β)としては、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及びポリイソプレンのうち少なくとも一種以上であることが好ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物に配合されるゴム補強剤としては、各種のカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム、タルク、マイカ等が挙げられる。中でも、カーボンブラック及びシリカのうち少なくとも一種以上であることが好ましい。
<<2.ゴム用添加剤>>
ゴム用添加剤とは、ゴムと混合又はゴムに添加する化合物をいう。また、ゴムとは室温にてゴム弾性を有する高分子物質であり、特に制限されないが、共役ジエン重合体であることが好ましい。
本発明のゴム用添加剤は、下記の一般式(1)で表される化合物を含む。
Figure 2022134694000017
(Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
なお、前記一般式(1)で示される化合物の実施形態については、<重合体用変性剤>及び<重合体用変性剤の製造方法>の実施形態と同様である。
<ゴム組成物>
ゴム組成物は、共役ジエン重合体と、前記一般式(1)で示される化合物を含むゴム用添加剤とを含む。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム組成物の物性向上の観点から、ゴム補強剤を含むことが好ましい。また、ゴム組成物は、加硫剤を含むことが好ましく、更に加硫助剤を含むことがより好ましい。加硫剤を含むゴム組成物を加硫することでゴム弾性に優れたゴム組成物を得ることができる。また、加硫助剤を含むことで、加硫時の加硫促進効果を高める、ゴム組成物の物性を向上させることができる。
(共役ジエン重合体)
共役ジエン重合体とは、共役ジエン系モノマーを重合させて得られた重合物をいう。共役ジエン重合体は、加硫可能なゴムが好ましく、単独でも、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。共役ジエン系重合体としては、具体的には、天然ゴム(NR)、変性天然ゴム(エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム等)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム及びアクリロニトリル-ブタジエンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことがより好ましい。これらの中でも、加硫促進効果及びゴム組成物の物性向上の観点から、ポリブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)及びポリイソプレン(IR)からなる群から選択される一種以上を含むことがさらに好ましい。
天然ゴムとしては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10~60モル%のものが好ましく、例えばクンプーラン ガスリー社製ENR25及びENR50が挙げられる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。変性天然ゴムとしては、天然ゴムにあらかじめ4-ビニルピリジン、N,N,-ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,-ジエチルアミノエチルアクリレート)、2-ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが挙げられる。
ゴム補強材、加硫剤、加硫助剤、老化防止剤、プロセスオイルの実施形態については、重合体用変性剤の(変性共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物))の実施形態と同様である。
(各成分の割合)
ゴム用添加剤の含有量は、共役ジエン重合体100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましい。前記範囲とすることで、加硫促進効果およびゴム組成物の物性を向上させることができる。
加硫剤の含有量は、共役ジエン重合体100質量部に対して0.3~5質量部であることが好ましく、0.5~3質量部であることがより好ましい。また、加硫助剤の含有量は、共役ジエン重合体100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。前記範囲とすることで、加硫促進効果およびゴム組成物の物性を向上させることができる。
ゴム用添加物と加硫剤の割合は、重量比で10/1~1/10が好ましく、3/1~1/3がより好ましく、2/1~1/2がさらに好ましい。前記範囲とすることで、ゴム組成物の物性を向上させることができる。
ゴム補強剤の含有量は、共役ジエン重合体100質量部に対して5~120質量部の範囲が好ましい。カーボンブラックとシリカを併用する場合、共役ジエン重合体100質量部に対してカーボンブラックを5~50質量部、シリカは0.5~70質量部を配合することが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して0.2~20質量部が好ましく、3~15質量部がより好ましく、5~15質量部がさらに好ましい。0.2質量部以上とすることで、スコーチを低減することができる。また、20質量部以下とすることで、ゴム組成物の物性を向上させることができる。
≪ゴム組成物の製造方法≫
本発明のゴム組成物の製造方法は、共役ジエン重合体と、補強剤と、加硫剤と、前記一般式(1)で示される化合物を含むゴム用添加剤とを混練する混練工程と、前記混練物を加硫する加硫工程を含む。
前記混練工程は、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤とを混練する第1混練工程と、前記第1混練工程で得られた混練物と、加硫剤と、前記一般式(1)で示される化合物を含むゴム用添加剤とを混練する第2混練工程とを有することが好ましい。
(混練工程)
混練工程では、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤と、加硫剤と、前記一般式(1)で示される化合物を含むゴム用添加剤とを混練する。混練工程は、下記の第1混練工程と第2混練工程を含むことが好ましい。
(第1混練工程)
第1混練工程では、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤とを混合して混練することが好ましい。必要に応じて、老化防止剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸などを混合して混練してもよい。
第1混練工程において、バンバリーミキサー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機などを用いることができるが、操作性や運転効率の観点からバンバリーミキサーを用いることが好ましい。
混練する際の材料を投入する順番やタイミングは特に限定されないが、先に共役ジエン重合体をバンバリーミキサーに投入しておいて、後からゴム補強材等をバンバリーミキサーに投入することが好ましい。
混練時間は、1~30分が好ましく、さらに2~10分が好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物にしたときのゴム物性に優れる。
第1混練工程の混練開始時の混練温度は、50~120℃が好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物にしたときのゴム物性が優れる。混練温度を50℃以上とすることで共役ジエン重合体にせん断が加わりすぎることによる分子量低下を抑制し、混練温度を120℃以下とすることで熱による共役ジエン重合体の劣化を抑制することができる。
(第2混練工程)
第2混練工程では、前記第1混練工程で得られた混練物と、加硫剤と本発明のゴム用添加剤とを混練することが好ましい。必要に応じて、加硫助剤を加えて混練してもよい。
第2混練工程において、バンバリーミキサー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機などを用いることができるが、ゴム物性に優れるゴム組成物を得る上でオープンロールを用いることが好ましい。
混練する際の材料を投入する順番やタイミングは特に限定されないが、混練物を投入しておいて、後から加硫剤やゴム用添加剤、加硫助剤を投入したほうが好ましい。
混練時間は、1~30分が好ましく、さらに2~10分が好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物にしたときのゴム物性に優れる。
混練開始時の温度は、20~80℃が好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物にしたときのゴム物性が優れる。温度を20℃以上にすることで、オープンロールへのゴム組成物の巻き付けをし易くすることができるため、適切なロール操作が可能である。また、温度を80℃以下とすることで混練中の加硫反応の進行を抑制することができる。
(加硫工程)
加硫工程では、第2混練工程で得られた混練物を金型に嵌め、混練物を挟んだ金型に圧力をかけて加熱する装置を用いて、加硫成形されたゴム組成物を作製する。
加硫温度は120~200℃が好ましく、さらに140~180℃が好ましい。この温度範囲であれば、効率よく、かつゴム物性に優れるゴム組成物を作製することができる。
加硫時間は、一般的な加硫試験によって求められる。例えば、一般的なゴム用レオメーターを用いて加硫曲線を測定する。加硫曲線からT90(最大トルクに対して90%トルクになるときの時間)を算出する。加硫時間は、T90の1~5倍が好ましく、さらに1.5~4倍が好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物を十分均一に加硫することができ、ゴム物性に優れるゴム組成物を作製することができる。
上記の加硫装置は特に限定されないが、十分な圧力をかけることができ、温度を一定に制御することができるプレス装置が好ましい。また、金型は特に限定されないが、熱伝導率が良く、均一な厚みのゴム組成物を作製できる金型が好ましい。
≪ゴム組成物の用途≫
本発明に係るゴム組成物は、タイヤ、防振ゴム、ゴムベルト、ホース、免震ゴム、ゴルフボール、ゴムローラー及び履物部材(例えば、靴底)に用いることができる。
(タイヤ用ゴム組成物、ゴムベルト用ゴム組成物)
タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物は、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤との混合割合をそれぞれ調整することにより、タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物として好適に用いることができる。
タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物に配合される
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<<1.重合体用変性剤の実施例>>
(重合体用変性剤の合成例)
(合成例1:3,6-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン)
ガラス製反応容器に3,6-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン5.07g(15.0mmol)、4-(1-ピロリジニル)ピペリジン5.78g(37.5mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル895.2mg(3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)686.8mg(0.75mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド4.33g(45.0mmol)、トルエン150mLを入れ、100℃で24時間反応した。トルエンを減圧留去し飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。分液した有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去。
NHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ノルマルヘキサン=8:2)で精製した後、ジイソプロピルエーテルで洗浄することにより、濃オレンジ粉末の重合体用変性剤を得た。
重合体用変性剤である3,6-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オンの物性値は以下の通りであった。
H-NMR(400MHz;CDCl;δ(ppm));1.62-1.69(m、4H)、1.71-1.85(m、8H)、2.01-2.03(m、4H)、2.20-2.27(m、2H)、2.62-2.67(m、4H)、2.93-3.00(m、4H)、3.88-3.92(m、4H)、6.65-6.67(m、2H)、6.99(s、2H)、7.48-7.51(m、2H)
FD-MS;484(M)
(合成例2:2,7-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン)
ガラス製反応容器に2,7-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン5.07g(15.0mmol)、4-(1-ピロリジニル)ピペリジン5.78g(37.5mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル895.2mg(3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)686.8mg(0.75mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド4.33g(45.0mmol)、トルエン150mLを入れ、100℃で21時間反応した。トルエンを減圧留去し飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。分液した有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去。
NHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ノルマルヘキサン=7:3)で精製することにより、濃紫色結晶の重合体用変性剤を得た。
重合体用変性剤である2,7-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オンの物性値は以下の通りであった。
H-NMR(400MHz;CDCl;δ(ppm));1.56-1.65(m、4H)、1.73-1.78(m、8H)、1.96-2.01(m、4H)、2.09-2.16(m、2H)、2.51-2.57(m、4H)、2.77-2.84(m、4H)、3.62-3.67(m、4H)、6.91-6.93(m、2H)、7.15(s、2H)、7.22-7.24(m、2H)
FD-MS;484(M)
(合成例3:3,6-ジ(アゼパン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン)
ガラス製反応容器に3,6-ジブロモ-9Hフルオレン-9-オン5.07g(15.0mmol)、ヘキサヒドロ-1H-アゼピン4.2mL(37.5mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル895.2mg(3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)686.8mg(0.75mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド4.33g(45.0mmol)、トルエン150mLを入れ、100℃で24時間反応した。トルエンを減圧留去し飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。分液した有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去。
NHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ノルマルヘキサン=8:2)で精製した後、トルエン-ジイソプロピルエーテル混合溶媒で再結晶することにより、濃茶色粉末の重合体用変性剤を得た。
重合体用変性剤である3,6-ジ(アゼパン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オンの物性値は以下の通りであった。
H-NMR(400MHz;CDCl;δ(ppm));1.55-1.59(m、8H)、1.80-1.82(m、8H)、6.64-6.66(m、2H)、7.00(s、2H)、7.47-7.52(m、2H)
FD-MS;374(M)
(変性共役ジエン重合体の物性等の測定方法)
(UV/RI(%))
GPC測定におけるポリマーのUV吸光度から得られるピーク面積値UVと、示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値RIの比から求めた。同一の変性剤の場合は、UV/RI(%)が大きい程、変性度が高いことを示している。
(収量)
収量は、重合体溶液の体積1Lに対し、得られる重合体の質量(g)で表される。
(ムーニー粘度(ML1+4、100℃))
JIS-K6300-1に従い株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)を求めた。
(変性共役ジエン重合体のシス、トランス、ビニルの割合(mol%))
赤外吸収スペクトル分析を用いて、シス734cm-1(シス)、967cm-1(トランス)、912cm-1(ビニル)の吸収強度比からシス、トランス、ビニルの割合(mol%)を算出した。
(共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)の評価方法)
(低燃費性(tanδ(3%)))
粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、RPA2000)を用い、温度150℃、周波数1Hz、動歪み3%で測定した。表3の比較例B-1を100として指数で示した。低燃費性(tanδ)は数値が小さいほど特性が優れているが、表3では、指数が大きいほど特性(低ロス性)が優れていることを示すように換算した。
(低燃費性(tanδ(60℃)))
粘弾性測定装置(上島製作所社製、VR-7130)を用い、温度範囲-60℃~80℃、周波数16Hz、動歪み0.5%で測定した。60℃におけるtanδを低燃費性の指標として用いた。表3に記載された比較例B-1を100として指数表示した。低燃費性(tanδ)は数値が小さいほど特性が優れているが、表3では、指数が大きいほど特性(低燃費性)が優れていることを示すように換算した。
(耐摩耗性)
JIS K6264-2に規定されている測定法に従って測定した。表3の比較例B-1を100として指数表示した。指数は大きいほど耐摩耗性(ピコ摩耗)が優れていることを示す。
(反撥弾性)
JIS-K6255に従い、ダンロップ・トリプソメーターを使用して室温で反撥弾性を測定した。表3の比較例B-1を100として指数表示した。指数は大きいほど特性(反撥弾性)が優れていることを示す。
(引張応力(50%、100%、300%))
JIS-K6251に準拠して50%、100%、及び300%引張応力を測定した。表3の比較例B-1を100として指数表示した。指数は大きいほど特性(破断応力)が優れていることを示す。
(フィラー分散性)
貯蔵弾性率(G’)のひずみ依存性(ペイン効果)により、変性共役ジエン重合体組成物中におけるフィラーの分散性を評価した。アルファーテクノロジー社製のゴム加工性解析装置RPA-2000を使い、150℃、1Hzの周波数の条件で動的ひずみ分析を行った。ペイン効果は、ひずみ25%時のG’とひずみ0.5%時のG’の比(G’0.5%/G’25%)で評価した。表3に記載された比較例B-1を100として指数表示した。指数が大きいほど、フィラーの分散性が優れていることを示す。
(低温特性(-30℃貯蔵弾性率(E’))
粘弾性測定装置(上島製作所製、VR-7130)を用いて、温度範囲-60~80℃、周波数16Hz、動的歪み0.5%の条件で測定し、-30℃における貯蔵弾性率(E’)を用いた。表3に記載された比較例B-1を100として指数表示した(指数は大きいほど-30℃における弾性率が低く良好)。
(変性共役ジエン重合体の製造例)
(実施例A-1)
オートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒485ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.8mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)4.0mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)10.0mlを添加した。20℃で25分間重合した後、3,6-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン[変性剤1]のo-ジクロロベンゼン溶液(0.05mol/L)10.0mlを添加し、同温度で30分間変性反応を行った。次いで、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを100℃で2時間真空乾燥した。乾燥後の変性ポリブタジエンの重量は33.84gであった。その他の重合結果を表1に示した。
(実施例A-2)
オートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒485ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.8mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)4.0mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)10.0mlを添加した。20℃で25分間重合した後、2,7-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン[変性剤2]のo-ジクロロベンゼン溶液(0.05mol/L)10.0mlを添加し、同温度で30分間変性反応を行った。次いで、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを100℃で2時間真空乾燥した。乾燥後の変性ポリブタジエンの重量は34.14gであった。その他の重合結果を表1に示した。
(実施例A-3)
オートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒485ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.8mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)4.0mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)10.0mlを添加した。20℃で25分間重合した後、3,6-ジ(アゼパン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン[変性剤3]のo-ジクロロベンゼン溶液(0.05mol/L)10.0mlを添加し、同温度で30分間変性反応を行った。次いで、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを100℃で2時間真空乾燥した。乾燥後の変性ポリブタジエンの重量は33.30gであった。その他の重合結果を表1に示した。
(比較例A-1)
比較例として、宇部興産製UBEPOL(登録商標)BR150L(コバルト系触媒を用いて重合されたポリブタジエン)を使用した。物性値を表1に示した。
Figure 2022134694000018
(変性共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)の製造例)
(実施例B-1)
実施例A-1に従って合成した変性ポリブタジエン(50質量部)を用い、プラストミルで、天然ゴム(50質量部)、カーボンブラック(50質量部)(三菱化学製ダイアブラック)、酸化亜鉛(3質量部)、ステアリン酸(2質量部)、老化防止剤(2質量部)(住友化学製アンチゲン6C)、オイル(3質量部)(H&R製Viva Tec 400)を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤(1質量部)(50質量部)(大内新興化学工業製ノクセラーNS)、硫黄(1.5質量部)を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物の物性測定結果を表2に示した。
(実施例B-2)
実施例A-1に従って合成した変性ポリブタジエンに代えて、実施例A-2に従って合成した変性ポリブタジエンを用いた以外は、実施例B-1と同様にして配合ゴムを作製し、成型、プレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物の物性測定結果を表2に示した。
(実施例B-2)
実施例A-1に従って合成した変性ポリブタジエンに代えて、実施例A-3に従って合成した変性ポリブタジエンを用いた以外は、実施例B-1と同様にして配合ゴムを作製し、成型、プレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物の物性測定結果を表2に示した。
(比較例B-1)
実施例A-1に従って合成した変性ポリブタジエンに代えて、ポリブタジエンとして宇部興産製UBEPOL(登録商標)BR150L(コバルト系触媒を用いて重合されたポリブタジエン)を用いた以外は、実施例B-1と同様にして配合ゴムを作製し、成型、プレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物の物性測定結果を表2に示した。
Figure 2022134694000019
表2の数値は、比較例B-1の各特性値を基準(100)として、各項目について、それぞれ指数表示している。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
表2に示すとおり、実施例A-1、A-2及びA-3の変性共役ジエン重合体を用いた実施例B-1、B-2及びB-3の変性共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)は、比較例B-1の共役ジエン重合体組成物(ゴム組成物)よりも、低燃費性、耐摩耗性、反撥弾性、引張応力、フィラー分散性、低温特性に優れている。
<<2.ゴム用添加剤の実施例>>
(ゴム用添加剤の合成例)
(合成例1:ゴム用添加剤A:3,6-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン)
重合体用変性剤の合成例1と同様の合成方法でゴム用添加剤Aを得た。
(合成例2:ゴム用添加剤B:2,7-ビス(4-(ピロリジン-1-イル)ピぺリジン-1-イル)-9H-フルオレン-9-オン)
重合体用変性剤の合成例2と同様の合成方法でゴム用添加剤Bを得た。
(ゴム組成物の評価方法)
(加硫速度)
ロータレスレオメータRLR-4(東洋精機製作所製)を用いて、加硫曲線を測定した。条件は温度160℃、振動角1.0deg.振動数100cpmを用いた。加硫曲線より、T10(最大トルクに対して10%トルクになるときの時間)およびT90(最大トルクに対して90%トルクになるときの時間)を求めて、加硫速度を式(24)より算出した。この値が小さいほど、加硫し始めてから終了までの時間が短く、加硫ムラもできにくく、良好であることを示す。
加硫速度(分)=T90(分)-T10(分) ・・・式(24)
(低燃費性(tanδ(50℃)))
粘弾性測定装置(上島製作所製DMA VR-7130)を用い、温度範囲-60℃~80℃、周波数16Hz、動歪み0.5%で測定した。50℃におけるtanδを低燃費性の指標として用いた。各比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど特性(低燃費性)が優れていることを示す。
(破断伸び(EB))
JIS-K6251に準拠して引張試験を行い、EBを測定した。各表の比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど、特性(破断伸び)が優れていることを示す。
(ゴム組成物の製造例)
(実施例C-1)
バンバリーミキサー(東洋精機製250ccラボプラストミル)を用いて、混練時間5分、混練開始時の温度90℃の条件で、共役ジエン重合体としてBR(宇部興産製UBEPOL(登録商標)BR150L)50質量部、及びNR(RSS#1)50質量部を先に投入した後、ISAFカーボンブラック(旭カーボン製旭#80)50質量部、オイル(H&R社Viva Tec 400)3質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛3質量部、老化防止剤(N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン(6PPD):住友化学製アンチゲン(登録商標)6C)1質量部を加えて混練し、混練物(1次配合物)を得た。次いでロール設定温度55℃のオープンロール機で、1次配合物を巻き付けた後、加硫剤として硫黄1.5質量部と加硫助剤(大内新興化学工業製ノクセラーNS)1質量部とゴム用添加剤Aを0.5質量部と、を混練配合し、ゴム組成物(未加硫のゴム組成物)を得た。次いで、この配合ゴムの加硫試験を実施した。T90の2倍の時間かけて160℃にてプレス加硫して加硫シート(加硫したゴム組成物)を作製し、物性測定を行った。その結果を表1に示した。
(実施例C-2)
ゴム用添加剤Aを1.0質量部に変更した以外は実施例C-1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫試験及びプレス加硫後に、物性測定を行った。その結果を表1に示した。
(実施例C-3)
ゴム用添加剤Aをゴム用添加剤Bに変更した以外は実施例C-2と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫試験及びプレス加硫後に、物性測定を行った。その結果を表1に示した。
(比較例C-1)
ゴム用添加剤Aを使用しなかった以外は実施例C-1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫試験及びプレス加硫後に、物性測定を行った。その結果を表1に示した。
Figure 2022134694000020
共役ジエン重合体としてBR及びNRを含むゴム組成物において、表3の実施例C-1、C-2及びC-3のゴム用添加物を含むゴム組成物は、比較例C-1のゴム組成物よりも加硫速度を示す指標であるT90-T10が小さくなっており、加硫促進効果があることが分かる。また、破断伸び(EB)や低燃費性(tanδ)も向上しており、加硫促進効果に加えて、ゴム組成物の物性を向上させる効果もあることが分かる。

Claims (25)

  1. 下記の一般式(1)で表される化合物を含む、重合体用変性剤。
    Figure 2022134694000021

    (Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
    及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
    m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
  2. 前記式(1)のm及びnは1である、請求項1に記載の重合体用変性剤。
  3. 前記式(1)のR及びR中の複素環の窒素原子はフルオレン骨格の炭素原子と結合している、請求項1又は2に記載の重合体用変性剤。
  4. 前記式(1)のR及びRは、各々独立に、窒素原子1又は2個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基、窒素原子1個と酸素原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基及び窒素原子1個と硫黄原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基からなる群より選ばれる複素環基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体用変性剤。
  5. 前記式(1)のR及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有し、置換基は各々独立に、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基、窒素原子を1個以上含む3~12員環複素環基、炭素数1~6のアルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される置換基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体用変性剤。
  6. 前記式(1)で示される化合物は、下記の一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の重合体用変性剤。
    Figure 2022134694000022
    (Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
    及びRは、フルオレン骨格の炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
    m及びnは、一般式(2)では各々独立に0~4の整数であり、一般式(3)、(4)、(5)及び(6)では各々独立に0~3の整数であり、m+n≧1を満たす数値である。)
  7. 希土類金属化合物及び/又はアルカリ金属化合物を用いて共役ジエン化合物を重合させて共役ジエン重合体を得る工程と、
    前記共役ジエン重合体と請求項1~6のいずれか一項に記載の重合体用変性剤とを反応させて変性共役ジエン重合体を得る工程と、を有する、変性共役ジエン重合体の製造方法。
  8. 前記希土類金属化合物は、下記の一般式(7)で表される非メタロセン型金属化合物である、請求項7に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
    Figure 2022134694000023
    (但し、R、Rは炭素数1~12の炭化水素基を表し、Rは水素又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、Oは酸素原子を表し、Mは希土類金属原子を表す。)
  9. 請求項7又は8に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法により製造される、変性共役ジエン重合体。
  10. 共役ジエン重合体の末端に下記の一般式(1)で示される化合物由来の構造を有する変性共役ジエン重合体。
    Figure 2022134694000024

    (Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
    及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を環の構成成分として更に含んでもよい。
    m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
  11. 請求項9又は10に記載の変性共役ジエン重合体を含む、ゴム組成物。
  12. 下記の一般式(1)で表される化合物を含む、ゴム用添加剤。
    Figure 2022134694000025

    (Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Aは、フルオレン骨格を示す。
    及びRは、Aの炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
    m及びnは、各々独立に0~4の整数で、m+n≧1を満たす数値である。)
  13. 前記式(1)のm及びnは1である、請求項12に記載のゴム用添加剤。
  14. 前記式(1)のR及びR中の複素環の窒素原子はフルオレン骨格の炭素原子と結合している、請求項12又は13に記載のゴム用添加剤。
  15. 前記式(1)のR及びRは、各々独立に、窒素原子1又は2個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基、窒素原子1個と酸素原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基及び窒素原子1個と硫黄原子1個を環の構成成分に含む飽和の5~6員環複素環基からなる群より選ばれる複素環基である、請求項12~14のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
  16. 前記式(1)のR及びRは、各々独立に、無置換又は置換基を有し、置換基は各々独立に、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されたアミノ基、窒素原子を1個以上含む3~12員環複素環基、炭素数1~6のアルコキシ基及びアリール基からなる群より選択される置換基である、請求項12~15のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
  17. 前記式(1)で示される化合物は、下記の一般式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
    Figure 2022134694000026
    (Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
    及びRは、フルオレン骨格の炭素原子と結合しており、各々独立に、無置換又は置換基を有する飽和の3~12員環複素環基であり、窒素原子1個を複素環の構成元素に含み、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個のヘテロ原子を複素環の構成成分として更に含んでもよい。
    m及びnは、一般式(2)では各々独立に0~4の整数で、一般式(3)、(4)、(5)及び(6)では各々独立に0~3の整数であり、m+n≧1を満たす数値である。)
  18. 共役ジエン重合体と、請求項12~17のいずれか一項に記載のゴム用添加剤とを含む、ゴム組成物。
  19. 共役ジエン重合体は、天然ゴム、変性天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム及びアクリロニトリル-ブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上含む、請求項18に記載のゴム組成物。
  20. 共役ジエン重合体100質量部に対して、ゴム用添加剤の添加量は、0.1~5質量部である、請求項18又は19に記載のゴム組成物。
  21. 共役ジエン重合体と、ゴム補強剤と、加硫剤と、請求項12~17のいずれか一項に記載のゴム用添加剤とを混練する混練工程と、前記混練物を加硫する加硫工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
  22. 前記混練工程は、共役ジエン重合体と、ゴム補強剤とを混練する第1混練工程と、第1混練工程で得られた混練物と、加硫剤と、請求項12~17のいずれか一項に記載のゴム用添加剤とを混練する第2混練工程とを含む、請求項21に記載のゴム組成物の製造方法。
  23. 前記加硫剤と、請求項12~17のいずれか一項に記載のゴム用添加剤との配合割合は、1/10~10/1である、請求項21又は22に記載のゴム組成物の製造方法。
  24. 請求項11又は18~20のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  25. 請求項11又は18~20のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたゴムベルト。
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