JP6022871B2 - 接着性光硬化組成物及びその製造方法 - Google Patents

接着性光硬化組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車部材、電気・電子機器、航空機部材等の、接着材料、コーティング材料、封止材料、モールド成型材料に用いられる、接着性光硬化組成物及びその製造方法に関するものである。
従来、接着性光硬化組成物として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマ−、(メタ)アクリルイルモルホルリンモノマ−、ポリチ−ル、及び光重合開始剤を含む組成物が公知である(例えば特許文献1参照)。
特開2010−248455号公報
光硬化材料は主に(メタ)アクリレート誘導体が用いられているが、光の届かない非照射部の硬化や肉厚の材料を均一に硬化させる目的で、連鎖移動剤添加の効果が高い事が知られている。特に金属塩や金属錯体を含む含金属連鎖移動剤は高性能で、今後これらが適用された光硬化材料は更に重要となることが予想される。
一方、上記(メタ)アクリレートを用いた光硬化材料は、そのままでは、金属や樹脂等に対する接着性は低く、各種接着付与剤(接着因子となる化合物)を添加して、その接着性を向上させる試みがされている。
しかし、一般に接着付与剤の構造は、非共有電子対を持つものがほとんどで、それ自体が金属と配位し得る構造を有していることが多い。そのため、それらの添加剤を前記含金属連鎖移動剤が含まれる光硬化材料に適用しようとすると、含金属連鎖移動剤の金属化合物が、接着付与剤と反応を起こし、不必要な不溶物や濁り等を生じてしまうため、容易に調製することができず、連鎖移動性を持つ接着性光硬化組成物を得ることができないという問題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消しようとするものであり、連鎖移動剤と接着性付与剤が添加されて硬化性と接着性に優れていると共に、不溶物や濁り等が生じることがない接着性光硬化組成物とその製造方法を提供することにある。
本発明の接着性光硬化組成物は、
少なくとも(A)光硬化性材料と、(B)含金属化合物を含有する連鎖移動剤と、(C)接着性付与剤とを含む接着性光硬化組成物であって、
前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤が予め混合された予備混合物に、前記(C)接着性付与剤が添加された混合物からなることを要旨とするものである。
本発明の接着性光硬化組成物の製造方法は、
少なくとも(A)光硬化性材料と、(B)含金属化合物を含有する連鎖移動剤と、(C)接着性付与剤とを含む接着性光硬化性組成物の製造方法であって、
前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤を予め混合した予備混合物に、前記(C)接着性付与剤を添加して混合を行うことを要旨とするものである。
本発明は、 少なくとも(A)光硬化性材料と、(B)含金属化合物を含有する連鎖移動剤と、(C)接着性付与剤とを含む接着性光硬化組成物であって、
前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤が予め混合された予備混合物に、前記(C)接着性付与剤が添加された混合物からなる構成を有することにより、連鎖移動剤と接着性付与剤が添加されて硬化性と接着性に優れていると共に、不溶物や濁り等が生じることがない接着性光硬化組成物を得ることができる。
図1は光硬化性材料<反応前>と、含金属化合物を含有する連鎖移動剤を光硬化性材料と予備混合した後<反応後>のFT−IRの測定結果を示すチャートである。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本実施例の接着性光硬化組成物は、
(A)光硬化性材料、
(B)含金属化合物を含有する連鎖移動剤(以下、単に連鎖移動剤ということもある)、
(C)接着性付与剤、
(D)光開始剤、
を含むものである。
接着性光硬化組成物は、上記(A)光硬化性材料と上記(B)連鎖移動剤が予め混合された予備混合物に、(C)接着性付与剤が添加されて混合された混合物からなる。以下、各成分について説明する。
(A)光硬化性材料は、(メタ)アクリレート誘導体が用いられる。尚、本発明において「(メタ)アクリレート」の記載は、アクリレート及びメタクリレートの意味である。(メタ)アクリレートとしては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
上記(メタ)アクリレート誘導体は、具体例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、等のモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物又はPO付加物のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタジエン(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(A)光硬化性材料は、メタアクリレート誘導体を光硬化組成物全体の30質量%以上含有することが好ましい。尚、本発明で光硬化組成物全体という場合、光開始剤を除く(A)光硬化性材料、(B)連鎖移動剤、(C)接着性付与剤の合計量のことである。
(B)連鎖移動剤は、光硬化反応時にラジカル種等の活性種を組成物中にスムーズにいきわたらせ、硬化反応効率を高めるためものである。(B)連鎖移動剤は、(a)成分としてウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を分子中に1個以上含む化合物と、(b)成分として含金属化合物を含有している。
上記(a)成分は、下記(式1)で示されるウレタン結合部、下記(式2)で示される尿素結合部、下記(式3)で示されるイソシアネート基から選択される少なくとも1種を1分子中に1個以上含有すれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
(式1)
−NH−COO−
(式2)
−NH−CO−NH−
(式3)
−N=C=O
上記(a)成分の化合物の具体例としては、各種ポリウレタン、各種ポリ尿素、含イソシアネート化合物等が挙げられる。上記各種ポリウレタン、各種ポリ尿素は、それぞれ下記の含イソシアネート化合物と、水酸基(−OH)含有化合物、アミン(−NH)含有化合物等を反応させることで得られるものである。
含イソシアネート化合物は、そのまま上記(式3)のイソシアネート基を含む化合物として用いることができる、また含イソシアネート化合物は、以下に示す水酸基、アミン等と反応させて、各種ポリウレタン、各種ポリ尿素を形成するために用いる事ができる。
上記含イソシアネート化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート。水素添加−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加−キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加−2,4−トリレンジイソシアネート(水添TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族イソシアネート。キシリレ
ンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香脂肪族イソシアネート。1,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4又は4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、O−トリジンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の芳香族イソシアネート等のポリイソシアネート。含イソシアネート化合物としては、更にこれらポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、多価イソシアネートを一部ポリエステルやポリエーテル誘導体と重合させた液状プレポリマー、イソシアヌレート化して得られる多量体等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有化合物は、各種ポリウレタンを得るために含イソシアネート化合物と反応させて用いられる。水酸基含有化合物としては、末端に水酸基を持つ炭素鎖1〜30のアルコール類、末端ジオールの(ポリ)エチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジオールの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)カプロラクトン、末端ジオールの(ポリ)エステル(ポリ)オール、末端ジオールの(ポリ)アミド、末端ジオールの(ポリ)エステル等が挙げられる。
各種ポリウレタンは、最終的に光硬化性組成物中に混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも液状である必要は無いが、混合のし易さから、液状であることが好ましく、この際に用いられる水酸基含有化合物としては、分子量10万以下の液状化合物である事が好ましい。
上記アミン含有化合物は、各種ポリ尿素を得るために含イソシアネート化合物と反応させて用いられる。アミン含有化合物は、末端に1級又は2級のアミノ基を持つ炭素鎖1〜30のアミン類、末端ジアミンの(ポリ)エチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)カプロラクトン、末端ジアミンの(ポリ)エステル(ポリ)オール、末端ジアミンの(ポリ)アミド、末端ジアミンの(ポリ)エステル等が挙げられる。
各種ポリ尿素は、最終的に光硬化性組成物に混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも液状である必要は無いが、混合のし易さから、液状であることが好ましく、この際に用いられるアミン含有化合物としては、分子量10万以下の液状化合物である事が好ましい。
また、ポリウレタン、ポリ尿素化合物は、必要に応じて重合後に末端基を(チオ)エーテル、(チオ)エステル、アミド、(チオ)ウレタン、(チオ)尿素、N−アルキル結合等によって、アルキル基や(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキサゾリル基、カルボニル基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、リン酸(エステル)基、ホスホン酸(エステル)基、カルボン酸(エステル)基等で封止されていても良い。
前記した、ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基は、複数の種類が結合されていても、或いは末端基が組み合わせられること等により分子中に含有されていても良い。
上記(b)成分の金属化合物としては、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルの中から選択される少なくとも1種類の金属を含む含金属化合物が好ましく用いられる。含金属化合物は、複数種の上記金属が金属塩又は金属錯体等の形態で構成分子中に含有されていれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
上記金属塩としては、前記金属種のカルボン酸塩、りん酸塩、スルホン酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、(過)(亜)塩素酸塩等の形態が挙げられる。
上記金属錯体としては、前記金属種と配位結合形成し得る有機配位子と1:1〜1:4(金属:配位子)で配位し安定化されたものであれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
上記含金属化合物として、具体的には、ビス(2,4−ペンタンジオナト)スズ、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチルスズジアセタ−ト、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレアート、フタロシアニンスズ(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスズ、フタロシアニンスズ(II)、トリブチル(2−ピリジル)スズ、トリブチル(2−チエニル)スズ、酢酸トリブチルスズ、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)スズ、トリメチル(2−ピリジル)スズ
、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅、テトラー4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファ−ト、ナフテン酸銅、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファ−ト、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III)クロリド、N,N’−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルト、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(b)成分の含金属化合物の形態は、混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも有機物への溶解性が高い必要は無いが、混合のし易さから、有機酸塩又は金属錯体状であることが好ましい。
上記(a)成分と(b)成分を複合して(B)連鎖移動剤を構成する。上記(a)成分と(b)成分の複合方法は、両成分を常温、又は加温条件で混合すれば良く、特に限定されないが、上記各成分を、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
上記(a)成分と(b)成分の配合比としては、質量比で、(a)成分:(b)成分=100:0.001〜100:10の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、(a)成分:(b)成分=100:0.005〜100:5の範囲内である。(b)成分の含金属化合物の配合量が多過ぎると、含金属化合物が不溶物となり、光硬化性材料と混合した時に照射光の透過を阻害するため、硬化反応を阻害してしまう結果となる虞がある。一方(b)成分の含金属化合物の配合量が少な過ぎると、複合体として作用しきれずに連鎖移動剤としての機能が低下してしまう虞がある。
接着性光硬化組成物に上記(B)連鎖移動剤が含まれていることで、例えば紫外線等の照射光が届かない非照射部分でも硬化させる効果(非照射部硬化性や暗部硬化性ということもある)が得られる。
(B)連鎖移動剤の含有量は、光硬化組成物全体の1〜80質量%であるのが好ましい。
光硬化材料を、接着剤はもとより封止材料やコーティング材料へ適用しようとすると、前記非照射部硬化性に加え、被着体となる金属や樹脂等への接着性も必要不可欠な性能とされる。しかし(メタ)アクリレートを用いた光硬化材料は、そのままでは、金属や樹脂等に対する接着性は低い。そのために(C)接着性付与剤を添加する。(C)接着性付与剤は、(C−1)金属に対する接着性を付与する金属接着性化合物、或いは(C−2)樹脂に対する接着性を付与する樹脂接着性化合物を用いることができる。
上記(C−1)金属接着性化合物は、例えば、有機リン化合物、有機イオウ化合物、カルボニル化合物、有機ハロゲン化合物、またはジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェート(PM−2)等の誘導体、から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
上記(C−1)金属接着性化合物の具体例としては、メタクリロキシエチルホスフェート(ユニケミカル社製、ホスマーM)、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート(共栄社化学社製,ライトエステルP−A)、エチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(日本化薬社製,カヤマ−PM−1)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工社製、カレンズMTPE1)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工社製、TMPB)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学社製、PEMP)、ベンゾチアゾール、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロイルクロライド、2−クロロエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記(C−2)樹脂接着性化合物は、例えば、含窒素有機化合物を用いることができる。上記(C−2)含窒素有機化合物の具体例としては、4−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(ジメチルアミノ)メチルアクリレート、(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等が挙げられる。
上記の各接着性付与剤は、非共有電子対を持ち、その構造自体が金属と配位し得る構造である。そのため、光硬化材料の作成において含金属化合物を含有した連鎖移動剤と上記各種接着性化合物を同時に混合しようとすると、連鎖移動剤の含金属化合物が、先に各種接着性化合物と反応を起こしてしまい、不必要な不溶物や濁り等を生じてしまい、連鎖移動性も接着性も損ねてしまうことになる。
含金属化合物含有連鎖移動剤と接着性付与剤とを含む接着性光硬化組成物を作製する際に、その添加順序を検討した結果、(前記含金属化合物または)含金属化合物を含有する連鎖移動剤を予め20℃以上の温度下で5分間以上光硬化性材料と混合することで、(含金属化合物または)含金属化合物を含有する連鎖移動剤中の金属部分と光硬化性材料に含まれる(メタ)アクリレートのエステル酸素原子が配位体を形成して安定化させることができる。その後、接着性付与剤を加えても不溶物や濁りを生じる事無く、連鎖移動性を持つ接着性光硬化組成物を得ることが可能である。
図1は光硬化性材料<反応前>と、含金属化合物を含有する連鎖移動剤を光硬化性材料と予備混合した後のFT−IRの測定結果を示すチャートである。図1は、含金属化合物の反応前はスペクトルにC=O結合の吸収が見られるが、含金属化合物と光硬化材料を混合した後は、C=O結合の吸収がシフトしていて、配位体を形成していることを示すものである。
(C)接着性付与剤の含有量は、接着性光硬化組成物全体の0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましい。接着性付与剤の含有量が、0.01質量%未満では、接着性向上効果が発揮されず接着性が不十分となる虞がある。また(C)接着性付与剤の含有量が、30質量%を超えると、接着性化合物は一般に極性物質が多いため光硬化性材料或いは光硬化組成物の高分子成分と不均一になりやすくなり、材料物性が低下する虞がある。更に好ましい(C)接着性付与剤の含有量は、接着性光硬化組成物全体の0.5〜25質量%の範囲内である。
上記(D)光開始剤は、光重合を開始させるものであれば用いることができる。(D)光開始剤は具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタ−ル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また(D)光開始剤は、市販品として、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173,LucirinTPO(以上、BASF社の商品名)、ユベクリルP36(UCB社の商品名)等を用いることができる。
(D)光開始剤の含有量は、光硬化組成物全体の0.1〜10質量%の範囲内であるのが好ましい。
また組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて(E)その他各種の添加剤を含有することができる。前記添加剤としては、例えば、安定化剤、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、耐電防止剤、難燃剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤等が挙げられる。
前記安定化剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、脱水剤等が挙げられる。例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物(老化防止剤)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリフェニルフォスフェート等(酸化防止剤)、無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二水物、生石灰、カルボジイミド誘導体、ステアリルクロライド等の酸クロライド(脱水剤)が挙げられる。また少量のメタキノン等の重合禁止剤等も安定化剤として使用することができる。但し、前記安定化剤は、ほとんどのものがフリーラジカルを介した反応に負の影響を与えるので、極微量の添加が好ましい。
前記可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジべンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、フェノール、ラウリル酸、ステアリン酸、ドコサン酸、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等が挙げられる。
前記軟化剤としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料が挙げられる。
前記帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
前記難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
前記増感剤としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、市販品としてユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
前記分散剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル等の界面活性剤が挙げられる。
前記溶剤としては、分子複合体を溶解させ、粘度を下げるもの、相溶性を高めるものであれば良く、具体的にはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの極性溶剤、ジクロロエタン、トリクロロベンゼンなどの塩素系溶剤が挙げられる。
本発明の接着性光硬化組成物の製造方法は、(A)光硬化性材料と、(B)連鎖移動剤を予め混合した予備混合物に、後混合として(C)接着性付与剤を混合するものである。上記(D)光開始剤は、予備混合の際に混合しても、後混合の際に混合しても、いずれでもよい。
予備混合の混合条件は、前述したように、20℃以上の温度で、5分間以上混合を行うのが好ましい。更に好ましい予備混合の条件は、25℃以上で、7分間以上である。
上記予備混合、後混合の混合方法は、特に限定されず、例えば、温度可変式の混合ミキサー、ヘンシェルミキサー等で十分に攪拌する方法を用いることができる。
本発明の接着性光硬化組成物は、紫外線照射装置から紫外線等の光を照射して組成物全体を光架橋させて硬化することができる。光架橋の際の照射光は、紫外線以外に可視光等であってもよい。紫外線照射装置は、従来公知の各種照射装置を用いることができる。また紫外線の照射条件も、接着性光硬化組成物の形状等に応じて、適宜設定することができる。また、光硬化組成物に連鎖移動剤が含まれているので、架橋の際に、照射光が直接届かない影の部分であっても、架橋させて硬化させることが可能である。
本発明の接着性光硬化組成物は、例えば、自動車部材、電気・電子機器、航空機部材等の接着材料、コーティング材料、封止材料、モールド成型材料等に用いることができる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜6
表1に示すように、(A)(メタ)アクリレート成分としてHPA(ヒドロキシプロピルアクリレート)、(B)連鎖移動剤としてCT−1(詳細は下記に示す)、(D)光開始剤としてHCHPK(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を、表1に示す組成(質量部)で、表1に示す予備混合時間、予備混合温度にて攪拌機を用いて調製し、その後ただちに(C)接着性付与剤として無水マレイン酸を表1に示す組成(質量部)加え、再び攪拌機を用いて混合調製した。
〔連鎖移動剤CT−1の合成〕
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80g(200mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート40g(238mmol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。尚、合成を行う際、THFやトルエンなどの溶媒を使用する必要はないが、粘度が高く攪拌が困難な場合は、使用しても構わない。更に上記反応物に2−ヒドロキシエチルアクリレート9.84g(84.8mmol)、ジブチルスズジラウレート0.05g、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]0.02gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量見積り、その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−1とする。UP−1は数分子量約3200、両末端がアクリレートのウレタンアクリレートである。このUP−1、100gを攪拌しながら50℃に加温し、含金属化合物として銅アセチルアセトンを5g加え、50℃を保ったまま30分間攪拌分散させて連鎖移動剤CT−1を得た。
比較例1
実施例1と同じ組成で、予備混合せず、(A)光硬化性材料、(B)連鎖移動剤、(C)接着性付与剤、(D)光開始剤を同時に混合した。
比較例2
(B)連鎖移動剤(CT−1)を添加せず、予備混合を(A)光硬化性材料と(D)光開始剤で行った後、(C)接着性付与剤と混合した以外は、実施例1と同様の組成で混合を行って、比較例2の組成物を得た。
比較例3
(C)接着性付与剤(無水マレイン酸)を添加しなかった以外は、(A)光硬化性材料、(B)連鎖移動剤、(D)光開始剤を実施例1の予備混合と同様に混合して比較例3の光硬化性組成物を得た。
得られた組成物について、沈殿の有無、連鎖移動性、対Cu接着性について試験を行った。試験結果を表1に合わせて示す。各試験方法は下記の通りである。
〔沈殿の有無〕
表1によって調製した接着性光硬化組成物を遮光下室温で10時間静置して、白濁又は沈殿が生じていないかを目視にて確認した。目視の結果、澄明性を維持している場合は沈殿無し(○)とし、沈殿又は白濁が生じている場合は沈殿有り(×)とした。
〔連鎖移動性〕
非照射部硬化距離を測定して連鎖移動性を評価した。光硬化組成物を、内径5mm、高さ50mmのガラス管に、液面の高さが20mmになるように入れ、内容物の上部半分(10mm)をアルミ箔で包み、遮光部分を作成した。その後、側面からUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm)で25秒間紫外線照射を行った。その後、室温まで戻すため20分間室温で放置した後、上部から1.5mm径のガラス棒を挿入し指触にて硬化部の確認を行い、紫外線照射面と遮光面の境界から上部(非照射部)に進んだ硬化部の距離(mm)を非照射部硬化距離として計測した。
〔対Cu接着性〕
表1によって調整した光硬化材料を接着剤とし、Cu板との接着力を下記の方法で評価することで判定した。硬化条件と引張試験機は下記の通りである。光硬化材料の塗布量は、2.5mg/mmであり、光の照射は光硬化材料の上面から行った。接着力の試験は、Cu板上に塗布した光硬化材料を下記硬化条件で硬化させ、光硬化材料を5mm幅×100mm長の帯状に裁断して、Cu板を水平に固定した後、表面の光硬化材料の一端を引張り試験機のチャックで掴み、10mm/minの速度で引き剥がす際の荷重を測定してN/mに換算して接着力を測定した。
硬化条件:UVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm)で10秒間照射を行った。
引張試験機:島津製作所 オートグラフ AG−IS500Nを用いた。
Figure 0006022871
〔評価結果〕
比較例1では、(A)光硬化性材料と(B)連鎖移動剤を予備混合せず、(C)接着性付与剤と同時に混合しているため、(B)連鎖移動剤に含まれる金属が安定化されていないので、(B)連鎖移動剤と(C)接着性付与剤が反応を引き起こした結果、沈殿が生じてしまった。比較例2では、(B)連鎖移動剤を添加していないので、連鎖移動性が得られず、非照射部を硬化させることができなかった。比較例3では、(C)接着性付与剤を添加していないので、金属(Cu)に対する接着性が不十分である。これに対し、実施例1〜6は、接着性光硬化組成物に沈殿や白濁を生じる事無く、連鎖移動性が良好で暗部硬化性を有し、金属に対する接着性に優れた接着性光硬化組成物が得られた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (8)

  1. 少なくとも(A)アクリレートまたはメタアクリレートよりなる光硬化性材料と、(B)(a)ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を分子中に1個以上含む化合物と、(b)含金属化合物を含有する連鎖移動剤と、(C)接着性付与剤とを含む接着性光硬化組成物であって、
    前記(C)接着性付与剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ベンゾチアゾール、アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロイルクロライド、2−クロロエチルビニルエーテル、4−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(ジメチルアミノ)メチルアクリレート、(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドから選択され、前記(A)光硬化性材料に添加することにより、前記(A)光硬化性材料そのままの場合よりも、金属または樹脂に対する接着性を高めることができる物質であり、
    前記接着性光硬化組成物において、前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤中の(b)含金属化合物とが配位体を形成しており、FT−IRスペクトルにおいて前記(A)光硬化材料のC=O結合の吸収が、前記配位体を形成していない場合に比べてシフトしているとともに、不溶物が生じていないことを特徴とする接着性光硬化組成物。
  2. 前記(C)接着性付与剤の含有量が、接着性光硬化組成物全体の0.01〜30質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の接着性光硬化組成物。
  3. 前記(C)接着性付与剤が、金属に対する接着性を付与する金属接着性化合物であることを特徴とする請求項1記載の接着性光硬化組成物。
  4. 前記金属接着性化合物が、有機リン化合物、有機イオウ化合物、カルボニル化合物、有機ハロゲン化合物、これらの誘導体、から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項記載の接着性光硬化組成物。
  5. 前記(C)接着性付与剤が、樹脂に対する接着性を付与する樹脂接着性化合物であることを特徴とする請求項1記載の接着性光硬化組成物。
  6. 前記樹脂接着性化合物が、含窒素有機化合物であることを特徴とする請求項記載の接着性光硬化組成物。
  7. 少なくとも(A)アクリレートまたはメタアクリレートよりなる光硬化性材料と、(B)(a)ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を分子中に1個以上含む化合物と、(b)含金属化合物を含有する連鎖移動剤と、(C)接着性付与剤とを含む接着性光硬化組成物の製造方法であって、
    前記(C)接着性付与剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ベンゾチアゾール、アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロイルクロライド、2−クロロエチルビニルエーテル、4−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(ジメチルアミノ)メチルアクリレート、(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドから選択され、前記(A)光硬化性材料に添加することにより、前記(A)光硬化性材料そのままの場合よりも、金属または樹脂に対する接着性を高めることができる物質であり、
    前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤を予め混合した予備混合物に、前記(C)接着性付与剤を添加して混合を行うことを特徴とする接着性光硬化組成物の製造方法。
  8. 前記予備混合物の混合が、前記(A)光硬化性材料と前記(B)連鎖移動剤を、20℃以上の温度で5分間以上混合を行うことを特徴とする請求項記載の接着性光硬化組成物の製造方法。
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