JP6021499B2 - 引戸任意開扉位置停止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、引戸を任意の開扉位置に保持するための引戸任意開扉位置停止装置に関し、特に、火災発生時などにそれを知らせる警報信号などに応答して、制動機能を解除し引戸が自動的に閉まるようにすることができるようにした引戸任意開扉位置停止装置に関する。
引戸を開扉したときに自動的に閉扉されるようにした引戸装置が知られている。また、そのような引戸装置において、引戸を任意の開扉位置に保持するようにするために閉扉方向に動こうとする引戸を制動して引戸を任意の開扉位置に保持する引戸任意開扉位置停止装置を備えた引戸装置も知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
これに対して、火災発生時において、上記引戸任意開扉位置停止装置の制動機能を解除して、引戸が自動的に閉扉されるようにした引戸装置も知られている(例えば特許文献3及び4参照)。
特許第2741670号 特開2010-248830号 特許第2937828号 特許第4800852号
特許文献1及び2に開示された引戸の引戸任意開扉位置停止装置は、自動的に閉じようとする引戸に対して一定の制動力をかけてこれを停止させるものであり、引戸に該制動力以上の閉扉力をかけることによりそれを閉じることができるようになっている。特許文献1に開示された引戸任意開扉位置停止装置は、引戸を開扉するときも閉扉するときも同じ制動力が引戸に加えられるようになっているため、開扉操作に大きな力が必要となるのに対して、特許文献2は開扉操作のときに必要とされる開扉力を小さくし、開扉された引戸が閉扉方向で動くときには大きな制動力がかかるようにする改良が行われている。
特許文献3に開示された引戸任意開扉位置停止装置は、引戸(8:特許文献3における参照番号)に枢動可能取り付けられた弾性ストッパ片(72)が戸枠に水平に固定されたレール(11)に係合し、制動力を与えるものであり、制動力解除の際には弾性ストッパ片を支持する支持金具(71)を回動することにより、該弾性ストッパ片(72)をレール(11)から離すようにしたものであるが、特許文献1に開示された引戸任意開扉位置停止装置と同様に、通常の開扉及び閉扉においては、引戸に対して同じ制動力がかかるようになっている。また、平常時には支持金具(71)に係合して、該支持金具を引戸に対して静止位置に保持すると共に、火災時には支持金具との係合を解除して、該支持金具が上記のように回動するのを許容する退避手段(78)が設けられているが、この退避手段(78)は、支持金具と係合するストッパ(76)を先端に備えるプランジャ(77)と、該プランジャを火災発生時には引き込めてストッパを支持金具から外すソレノイド装置(ソレノイド75)からなるものであり、支持金具を回動しようとするバネ(74)の付勢力がプランジャ(77)に当該プランジャを横断する方向で掛かるために、プランジャを引き込めるための力はかなり大きいものが必要となり当該ソレノイド装置はかなり大きなものとしなければならない。
特許文献4の引戸任意開扉位置停止装置は、戸枠に取り付けられる制動部材(保持部材37)を有し、該制動部材が引戸に水平方向で固定されるレール(保持レール20)と係合し、開扉時には開扉に対する実質的な抵抗力は加えず、閉扉時に所要の制動力を加えるようになっており、火災時には警報信号に応答して、該制動部材(37)にリンクしている回動アーム(36)を係止しているラッチ部材(レバー部材43)が外されて、制動部材(37)がバネ力により回動されてレール(20)に閉扉方向での力を加え、引戸が閉扉方向で動かされるようにしている。この引戸任意開扉位置停止装置は、火災時に引戸を閉扉させるための機構が上記のようなものであり、構造が複雑になる。
本発明は、このような点に鑑み、開扉した引戸に対する制動力を解除し自動的な開扉を可能とする構造が簡単な引戸任意開扉位置停止装置を提供することを目的とする。また、そのような引戸任意開扉位置停止装置において、開扉するときは比較的小さな力で開扉することができ、閉扉時には確実に引戸を制動して開扉位置に保持することが新たな構造の制動装置を備えた引戸任意開扉位置停止装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
戸枠に対して開扉方向で手によって動かされ、手が離されると自動的に閉扉するように閉扉力がかけられるようにした引戸を任意開扉位置に停止するための引戸任意開扉位置停止装置において、
引戸に取り付けられて、開扉されて閉扉方向に引戸が動こうとするときに、戸枠に引戸の開扉・閉扉方向に延びるように取り付けられたレールとの摩擦により当該引戸に対して制動作用を与えて該引戸の閉扉方向への動きを停止させる閉扉制動装置であって、引戸に対して静止位置とされ該引戸の横断方向に延びる第1枢軸線を中心に枢動可能とされ、前記制動作用が行われる作動位置から前記第1枢軸線の周りで枢動して前記制動作用ができなくなる作動不能位置に変位可能とされた閉扉制動装置と、
前記閉扉制動装置に隣接して引戸に取り付けられて、該閉扉制動装置を前記作動位置に保持すると共に前記閉扉制動装置を前記作動不能位置に変位させて前記制動作用を解除する制動解除装置と、
を備え、
前記制動解除装置が、
前記第1枢軸線に対して平行にされ前記引戸に対して静止位置とされた第2枢軸線の周りで枢動可能とされた制動解除部材であって、前記第2枢軸線から放射線方向に延びる係止突起と保持突起とを有し、係止突起は、前記第1枢軸線と前記第2枢軸線との間で前記閉扉制動装置と係合して該閉扉制動装置を前記作動位置に保持すると共に、当該制動解除部材が前記第2枢軸線の周りで枢動することにより前記閉扉制動装置を、前記第1枢軸線の周りで前記作動不能位置に向けて枢動させるようになされており、前記保持突起は、前記閉扉制動装置が前記係止突起により枢動されたときに該閉扉制動装置に係合して前記作動不能位置に保持するようになされている制動解除部材を有する引戸任意開扉位置停止装置を提供する。
前記制動解除装置は、制動解除部材を第2枢軸線の周りで枢動することにより、閉扉制動装置を作動不能位置に変位・保持するものである。制動解除のためには制動解除部材を第2枢軸線の周りで駆動させればよいので、以下で述べるように、上述した特許文献3のソレノイド作動のプランジャのような技術的問題のない種々の駆動手段を用いることが可能となる。制動解除部材は緊急時に手動で枢動することが出来るようにすることも可能である。
具体的には、
前記制動解除装置は、前記制動解除部材に係合し、前記係止突起が前記閉扉制動装置に係合して前記閉扉制動装置を前記作動位置に維持するとともに、前記制動解除部材との係合を解除して、前記閉扉制動装置が前記作動不能位置に動かされるようにする制動解除起動装置を更に有するようにすることができる。
より具体的には、
前記制動解除起動装置は、
前記制動解除部材に係合して、前記係止突起が前記閉扉制動装置に係合して前記閉扉制動装置を前記作動位置に維持する係止部材と、
外部からの信号を受けて前記係止部材を変位して前記制動解除部材との係合を解除するソレノイド装置と
を有するようにすることができる。
ソレノイド装置は、例えば、火災報知器と連動するようにし、火災報知器が発する警報信号を受けて係止部材を変位するようにすることができる。
より具体的には、前記制動解除装置は、制動解除部材を前記第2枢軸線の周りで枢動させるバネを有し、前記係止突起が該制動解除部材から係合解除されたときに該制動解除部材が該バネにより枢動されるようにすることが出来る。
更に具体的には、前記係止部材は、前記第1枢軸線に平行な第3枢軸線の周りで回動可能とされた梃子とされ、該梃子の一端が前記制動解除部材に係合され、他端が前記ソレノイド装置に接続され、前記ソレノイド装置が外部からの信号を受けた場合に該ソレノイド装置によって前記第3枢軸線の周りで駆動され、前記制動解除部材との係合が外されるようにすることができる。すなわち、梃子を用いることにより、制動解除部材をより小さな力で動かすことが出来るようにするものである。
更にまた具体的には、前記制動解除部材は、その外周面から、前記第2枢軸線の半径方向で内側に延びる係止凹部を有し、前記制動解除起動装置の前記梃子の前記一端は前記係止凹部に係合され、前記ソレノイド装置によって当該係止部材が前記第3枢軸線の周りで回動されたときに半径方向外側に動いて前記係止凹部から外れるようにすることができる。
このようにした場合、制動解除するのに、梃子の一端を制動解除部材の係止凹部に係止しておき、これを外すだけであるためにより小さな力で制動解除部材を動かすことが可能となる。
前記閉扉制動装置は、前記第1枢軸線を中心とする第1の仮想歯車の1つの歯溝の形状をした係止凹部を有し、
前記制動解除部材の前記係止突起は、前記第1枢軸線を中心とする仮想歯車に噛合する、前記第2枢軸線を中心とする第2の仮想歯車の1つの歯の形状を有し、前記歯溝の形状とされた前記係止凹部に係合して該閉扉制動装置を前記作動位置に保持するようにすることができる。
すなわち、制動解除部材が制動装置と係合して作動位置に保持するのに、第1及び第2仮想歯車の歯と歯溝の形状とした係止凹部と係止突起との係合により行うようにしたので、両部材をガタツキのない状態で係合し且つ回動させることが可能となる。
更に具体的には、
前記閉扉制動装置が、
前記第1枢軸線を中心に枢動可能とされた支持フレームであって、前記係止突起によって係止されて当該閉扉制動装置が前記作動位置となるようにする支持フレームと、
前記第1枢軸線に平行とされた第4枢軸線の周りで回動可能とされた回転シャフトと、該回転シャフトの周りに同心状に固定された変形可能な弾性ローラとを有し、前記支持フレームによって支持され、前記レール上に載置されるように設定される制動ローラと、
前記支持フレームに支持され、該支持フレームが前記係止突起によって係止されている状態で、前記レールから間隔をあけて設けられ、前記レールとの間に前記レール上を回転しながら開扉・閉扉方向で変位する制動ローラを通すローラ通路を画定する制動面を有する制動部材であって、前記制動面が前記レール上を回転しながら開扉・閉扉方向で変位する前記制動ローラに係合するようにされており、前記ローラ通路の前記レールとの間の間隔を狭くする狭窄部分と、該狭窄部分から前記閉扉方向側に延びるに従って前記間隔を次第に大きくする閉扉側傾斜部分及び前記狭窄部分から前記開扉方向側に延びるに従って前記間隔を次第に大きくする開扉側傾斜部分を有する制動面を備える制動部材と、
を有し、
前記制動部材は前記支持フレームによって前記開扉・閉扉方向で開扉側位置と閉扉側位置との間で変位可能に支持されており、
前記制動ローラは、前記引戸が閉扉位置にあるときには、前記閉扉側位置にある前記制動部材の前記開扉側傾斜部分に係合し、前記引戸が開扉されると前記レール上及び前記開扉側傾斜部分上を転動しながら前記狭窄部に向かい、前記制動部材を前記レールから離れる方向で変位し、それにより拡大された狭窄部を通り、前記制動部材の前記閉扉側傾斜部分に係合して前記制動部材が前記開扉側位置に変位するようにとなるようにし、開扉された前記引戸が閉扉方向に動かされるときは前記レール上及び前記閉扉側傾斜部分上を転動しながら前記狭窄部に向かうようになされており、
前記支持フレームは、前記開扉側位置にある前記該制動ローラの前記レールから離れる方向での変位を制限するようにされおり、
前記制動ローラと前記制動部材とが前記レールとの前記摩擦を生じさせるようにすることができる。
このようにすることにより、開扉とのときは小さい力で回避することができ、開扉した引戸が閉扉方向へ動こうとした場合には大きな力で制動することが可能となる。
以下、本発明にかかる引戸任意位置停止装置を添付図面に基づき説明する。
引戸の上縁にある戸車取付部材に固定された本発明に係る引戸任意位置停止装置の正面図である。 図1の引戸任意位置停止装置を開扉方向側から見た側面図である。 図1の引戸任意開扉位置停止装置の主要要素である閉扉制動装置と制動解除装置との、引戸が開扉位置にあるときの状態を、それらの縦断側面図として示した図であり、閉扉制動装置及び制動解除装置を戸車取付部材に取り付けるための固定フレームを想像線で示してある。 引戸が閉扉位置から開扉方向に向けて動かされはじめたときの閉扉制動装置と制動解除装置とを示しており、閉扉制動装置の制動部材が制動ローラによって上方に持ち上げられている状態を示している。 引戸が閉扉位置にあるときの閉扉制動装置と制動解除装置を示しており、閉扉制動装置の制動部材が図3と同じ位置にあることを示している。 制動解除装置が作動しはじめた状態を示す図3に類似した図である。 制動解除装置により閉扉制動装置が作動不能位置とされた状態を示す図である。
図1及び図2において2は戸枠、3は引戸、4は戸枠に固定されたレール、5はレール上を転動する戸車、6は戸車を引戸3の上縁に取り付けるための戸車取付部材を示す。
本発明に係る引戸任意開扉位置停止装置10は、戸車取付部材6にビス7によって固定される横断面が逆U字状とされた固定フレーム12と、該固定フレーム12の両側壁12−1間に設定される閉扉制動装置14及び制動解除装置16とを有する。固定フレーム12は、概念的には戸車取付部材6と一体で引戸の一部をなし、戸車5、閉扉制動装置14及び制動解除装置16を引戸3に取り付けるものであり、図3以降の図面では、戸車取付部材6及び固定フレーム12を一体的なものとして想像線で示し、引戸任意開扉位置停止装置10の主要要素である戸車取付部材6及び固定フレーム12の関係を明瞭になるようにしている。
閉扉制動装置14は、固定フレーム12の両側壁12−1にそれぞれ取り付けられて当該固定フレーム12に対して(従って引戸3に対して)静止位置で水平に延びる第1枢軸線18(図3)を画定するビス18−1に枢動可能に取り付けられた逆U字状の支持フレーム20と、支持フレーム20によって支持されレール4上に載置される制動ローラ22と、レール4から上方に間隔をあけて支持フレーム20によって支持された制動部材24とを有する。
制動ローラ22は、図2に示すように、第1枢軸線に平行な(特許請求の範囲の記載における第4枢軸線に相当する)枢軸線22−4の周りで回動可能とされた回転シャフト22−1と、該回転シャフト22−1の周りに取り付けられてレール4上に載置される変形可能な弾性ローラ22−2と、該弾性ローラ22−2を回転シャフト22−1に固定的に取り付ける取付ローラ22−3とを有する。回転シャフト22−1の両端は、支持フレーム20の一対の側壁20−1に設けられた回転シャフト収納溝20−2(図3)内に通されている。回転シャフト収納溝20−2は、レール4と平行に延びるように設けられており、制動ローラ22が支持フレーム20に対して引戸の開扉・閉扉方向で相対的に変位可能とされている。弾性ローラ22−2は、柔軟性を有するゴム材や合成樹脂で作られることが好ましい。
制動部材24は、レール4との間に、レール4上を回転しながら支持フレーム20に対して相対的に開扉・閉扉方向で変位する制動ローラ22を通すローラ通路26を画定する制動面24−1を有する。制動面24−1は、制動ローラ22に係合するようにされており、ローラ通路26のレール4との間の間隔を狭くする狭窄部分24−2と、該狭窄部分24−2から開扉方向側Aに延びるに従ってレール4との間の間隔を次第に大きくする開扉側傾斜部分24−3及び狭窄部分24−2から閉扉方向側Bに延びるに従って同間隔を次第に大きくする閉扉側傾斜部分24−4を有する。制動部材24は、図3に示すように、開扉・閉扉方向で間隔を開けて設けられた一対の逆L字状の開口24−5を有しており、各開口24−5には、後述するように、支持フレーム20の側壁20−1間で上下方向での位置が調節可能なピン30が通されている。各開口24−5は閉扉側部分24−5Bと開扉側部分24−5Aとを有し、開扉側部分24−5Aにはレール4に向けて延びる延長部分24−5Cが設けられ、制動部材24は、開口24−5の閉扉側端部24−6がピン30に略当接する開扉側位置(図3)と、開口24−5の開扉側端部24−7がピン30に略当接する閉扉側位置(図4)との間で支持フレーム20に対して相対的に変位可能であり、閉扉側位置にあるときには、延長部分24−5Cがピン30を収納して当該制動部材24がレール4から離れる方向に変位可能とされている。支持フレーム20は板バネ29を備えており、該板バネ29は制動部材24を図3に示す開扉側位置に向けて付勢するようになっている。
制動ローラ22は、引戸3が閉扉位置にあるときには、図5に示すように、開扉側位置にある制動部材24の開扉側傾斜部分24−3に係合する位置にある。この状態で、引戸3が開扉方向Aに動かされると、開扉側傾斜部分24−3に係合されている制動ローラ22はレール4上を転動しながら狭窄部分24−2に向かい、板バネ29の付勢力に抗して制動部材24を閉扉方向Bに変位させて図4に示す開扉側位置とし、当該制動ローラ22が更にレール4上を転動して開扉方向Aに動かされて狭窄部24‐2に向かうことにより、制動部材24をレール4から離れる方向で変位させ(すなわち閉扉側位置にある制動部材24の開口24−5の開扉側部分24−5Aの延長部分24−5Cがピン30と係合するようになし)、それにより拡大された狭窄部分24−2とレール4との間のローラ通路26を通り、制動部材24の閉扉側傾斜部分24−4に係合する位置となり、それにより制動部材24が板バネ29により前記開扉側位置(図3)に変位されるようにする。
このようにして開扉された引戸3が閉扉方向Bに動かされるときはレール4上を転動しながら狭窄部分24−2に向かうようになされるが、この場合、ピン30は開口24−5の閉扉側部分24−5Bと係合しているために、制動部材24がレール4から離れる方向で変位するのは制限され、制動部材24の狭窄部分24−2とレール4との間のローラ通路26の間隔は大きくならず、制動ローラ22は制動部材24とレール4との間に大きな摩擦力を受け回転が停止され、それにより引戸の閉扉方向での動きが停止され、引戸は実質的に開扉された位置に保持される。このようにして停止された引戸に手で閉扉方向への力を加えると、制動ローラ22は大きく変形しながら制動部材24の狭窄部分24−2とレール4との間を通り、開扉側傾斜部分24−3に係合するようになり、制動部材24は図5に示される位置となる。
ピン30を上下方向で位置調節するには次のような調節部材34である。すなわち、この調節部材34は、図2に示すように、一対の側壁34−1と両側壁を連結する頂壁34−2とを有する全体として逆U字状にされており、図3に示すように、頂壁34−2には支持フレーム20の頂壁20−3に上下方向で延びる軸線の周りで回転可能とされた調節シャフト36のネジ部36−1が貫通して螺合されており、調節シャフト36の上端に取り付けられたノブ36−2を回転することにより、ネジ部36−1に沿って上下動するようになっている。ピン30の両端は支持フレーム20の両側壁20−1に設けた上下方向に延びるスロット20−4内に摺動可能に収納されており、該スロット20−4によって上下方向でガイドされるようになっている。
上述のように、本発明に係る引戸任意開扉位置停止装置10は、上述のような、閉扉しようとする引戸に対して制動を行う閉扉制動装置14の制動作用を解除するための制動解除装置16を備えている。この制動解除装置16は、閉扉制動装置14の支持フレーム20の第1枢軸線18に対して平行にされ引戸3に対して静止位置とされた第2枢軸線40の周りで枢動可能とされた制動解除部材42を有する。制動解除部材42は、第2枢軸線40から放射線方向に延びる係止突起44と保持突起46とを有し、係止突起44は、第1枢軸線18と第2枢軸線40との間で閉扉制動装置14の支持フレーム20に形成された係止凹部20−5と係合して閉扉制動装置14を上述した閉扉制動作用を行う作動位置に保持すると共に、図6及び図7に示すように、当該制動解除部材42が第2枢軸線40の周りで時計方向に枢動することにより閉扉制動装置14を、第1枢軸線18の周りで反時計方向に枢動して上述の制動作用が出来なくなる作動不能位置に向けて枢動させる。すなわち、閉扉制動装置14の支持フレーム20が反時計方向で回動されると、制動部材24が該支持フレーム20と共に第1枢軸線18の周りで枢動されてレール4から離れる方向で変位され、これにより、制動部材24の制動面24‐1とレール4との間のローラ通過路26の幅が拡張され、上述した制動面24‐1とレール4とによる制動ローラ22への制動作用は低減若しくは無くなるようにされて、引戸3はそれに加わる閉扉方向Bでの力により自動的に閉扉するようになる。保持突起46は、閉扉制動装置14が係止突起44により枢動されたときに閉扉制動装置14に係合して上述したような作動不能位置(図7)に保持する。好ましくは、閉扉制動装置14の支持フレーム20の係止凹部20−5は、第1枢軸線18を中心とする第1の仮想歯車の1つの歯溝の形状を有し、制動解除部材42の係止突起44は、第1の仮想歯車に噛合する、第2枢軸線40を中心とする第2の仮想歯車の1つの歯の形状を有するようにされる。
制動解除装置16は、制動解除部材42に係合し係止突起44が閉扉制動装置14の支持フレーム20に係合して閉扉制動装置14を作動位置に維持するとともに、制動解除部材42との係合を解除して、閉扉制動装置14が作動不能位置に動かされるようにする制動解除起動装置50を更に有する。図示の実施形態では、制動解除起動装置50は、制動解除部材42に係合して、係止突起44が閉扉制動装置14の支持フレーム20に係合して閉扉制動装置14を作動位置に維持する係止部材52と、火災警報信号などの外部からの信号を受けて係止部材52を変位して制動解除部材42との係合を解除し、制動解除部材42が第2枢軸線40の周りで巻かれたバネ54により第2枢軸線40の周りを時計方向に回動されるようにするソレノイド装置56とを有する。
係止部材52は、図示の実施形態では、第1枢軸線18に平行で引戸3に対して静止位置とされた第3枢軸線58の周りで回動可能とされたレバーとされ、該レバーの一端には第3枢軸線58と平行なピン60が設けられ、該ピン60の周りで回転可能とされた中空パイプ62が制動解除部材42の係止凹部64に係止され、他端がソレノイド装置56に接続され、ソレノイド装置56が外部からの信号を受けた場合に該ソレノイド装置56によって第3枢軸線58の周りで駆動され、レバーの上記一端に設けられた中空パイプ62が制動解除部材42の係止凹部64から外されるようにされている。この回転可能な中空パイプ62を設けたのは、係止凹部64との摩擦を少なくして該係止凹部64から外し易くし、ソレノイド装置56が小さな力で係止部材(レバー)52を動かすことができるようにするためである。
第2枢軸線40の周りには制動解除部材42と一緒に枢動するスイッチ作動突起68が設けられており、ソレノイド装置が作動して制動解除部材42の係止突起44が閉扉制動装置の支持フレーム20から外れ、支持フレーム20が反時計方向に回動され、保持突起46が該保持フレーム20に係合したしたときに、該スイッチ作動突起68が固定フレーム12に固定されたリミットスイッチ70に係合して、ソレノイド装置56の作動を停止する。ソレノイド装置56の作動停止により、係止部材52は、軸線58の周りに巻かれた捻りバネ72によって反時計方向に戻されるが、制動解除部材42はバネ54により回動した位置に保持される。
以上、本発明に係る引戸任意開扉位置停止装置の実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、図示の制動ローラ22はレール4と係合するものとして示されたが、前述の特許文献2に開示されたように戸車と係合するようにすることも可能である。また、制動解除部材42は手動で回動することができるようにすることも出来る。その他種々の変更が可能である。
戸枠2;引戸3;レール4、戸車5:戸車取付部材6;ビス7;引戸任意開扉位置停止装置10;固定フレーム12;側壁12−1;閉扉制動装置14;制動解除装置16;第1枢軸線18;支持フレーム20;側壁20−1;回転シャフト収納溝20−2;頂壁20−3;スロット20−4;係止凹部20−5;制動ローラ22;回転シャフト22−1;弾性ローラ22−2;取付ローラ22−3;(第4)枢軸線22−4;制動部材24;制動面24−1;狭窄部分24−2;扉側傾斜部分24−3;扉側傾斜部分24−4;開口24−5;開扉側部分24−5A;閉扉側部分24−5B;延長部分24−5C;扉側端部24−6;扉側端部24−7;ローラ通路26;ピン30;板バネ29;調節部材34;側壁34−1;頂壁34−2;調節シャフト36;ネジ部36−1;ノブ36−2;第2枢軸線40;制動解除部材42;係止突起44;保持突起46;制動解除起動装置50;係止部材52;バネ54;ソレノイド装置56;第3枢軸線58;ピン60;中空パイプ62;係止凹部64;スイッチ作動突起68;リミットスイッチ70;扉方向側A;扉方向B

Claims (8)

  1. 戸枠に対して開扉方向で手によって動かされ、手が離されると自動的に閉扉するように閉扉力がかけられるようにした引戸を任意開扉位置に停止するための引戸任意開扉位置停止装置において、
    引戸に取り付けられて、開扉されて閉扉方向に引戸が動こうとするときに、戸枠に引戸の開扉・閉扉方向に延びるように取り付けられたレールとの摩擦により当該引戸に対して制動作用を与えて該引戸の閉扉方向への動きを停止させる閉扉制動装置であって、引戸に対して静止位置とされ該引戸の横断方向に延びる第1枢軸線を中心に枢動可能とされ、前記制動作用が行われる作動位置から前記第1枢軸線の周りで枢動して前記制動作用ができなくなる作動不能位置に変位可能とされた閉扉制動装置と、
    前記閉扉制動装置に隣接して引戸に取り付けられて、該閉扉制動装置を前記作動位置に保持すると共に前記閉扉制動装置を前記作動不能位置に変位させて前記制動作用を解除する制動解除装置と、
    を備え、
    前記制動解除装置が、
    前記第1枢軸線に対して平行にされ前記引戸に対して静止位置とされた第2枢軸線の周りで枢動可能とされた制動解除部材であって、前記第2枢軸線から放射方向に延びる係止突起と保持突起とを有し、係止突起は、前記第1枢軸線と前記第2枢軸線との間で前記閉扉制動装置と係合して該閉扉制動装置を前記作動位置に保持すると共に、当該制動解除部材が前記第2枢軸線の周りで枢動することにより前記閉扉制動装置を、前記第1枢軸線の周りで前記作動不能位置に向けて枢動させるようになされており、前記保持突起は、前記閉扉制動装置が前記係止突起により枢動されたときに該閉扉制動装置に係合して前記作動不能位置に保持するようになされている制動解除部材を有する引戸任意開扉位置停止装置。
  2. 前記制動解除装置は、前記制動解除部材に係合し、前記係止突起が前記閉扉制動装置に係合して前記閉扉制動装置を前記作動位置に維持するとともに、前記制動解除部材との係合を解除して、前記閉扉制動装置が前記作動不能位置に動かされるようにする制動解除起動装置を更に有する請求項1に記載の引戸任意開扉位置停止装置。
  3. 前記制動解除起動装置は、
    前記制動解除部材に係合して、前記係止突起が前記閉扉制動装置に係合して前記閉扉制動装置を前記作動位置に維持する係止部材と、
    外部からの信号を受けて該係止部材を変位して前記制動解除部材との係合を解除するソレノイド装置と
    を有する請求項2に記載の引戸任意開扉位置停止装置。
  4. 前記制動解除装置は、制動解除部材を前記第2枢軸線の周りで枢動させるバネを有し、前記係止部材が該制動解除部材から係合解除されたときに該制動解除部材が該バネにより枢動されるようにした請求項3に記載の引戸任意開扉位置停止装置。
  5. 前記係止部材は、前記第1枢軸線に平行で前記引戸に対して静止位置とされた第3枢軸線の周りで回動可能とされたレバーとされ、該レバーの一端が前記制動解除部材に係合され、他端が前記ソレノイド装置に接続され、前記ソレノイド装置が外部からの信号を受けた場合に該ソレノイド装置によって前記第3枢軸線の周りで駆動され、前記制動解除部材との係合が外されるようにした請求項4に記載の引戸任意開扉位置停止装置。
  6. 前記制動解除部材は、その外周面から、前記第2枢軸線の半径方向で内側に延びる係止凹部を有し、前記制動解除起動装置の前記レバーの前記一端は前記係止凹部に係合され、前記ソレノイド装置によって当該係止部材が前記第3枢軸線の周りで回動されたときに半径方向外側に動いて前記係止凹部から外れるようにした請求項5に記載の引戸任意開扉位置停止装置。
  7. 前記閉扉制動装置は、
    前記第1枢軸線を中心とする第1の仮想歯車の1つの歯溝の形状をした係止凹部を有し、
    前記制動解除部材の前記係止突起は、前記第1の仮想歯車に噛合する、前記第2枢軸線を中心とする第2の仮想歯車の1つの歯の形状を有し、前記歯溝の形状とされた前記係止凹部に係合して該閉扉制動装置を前記作動位置に保持するようにした請求項1乃至6のいずれか一項に記載の引戸任意位置停止装置。
  8. 前記閉扉制動装置が、
    前記第1枢軸線を中心に枢動可能とされた支持フレームであって、前記係止突起によって係止されて当該閉扉制動装置が前記作動位置となるようにする支持フレームと、
    前記第1枢軸線に平行とされた第4枢軸線の周りで回動可能とされた回転シャフトと、該回転シャフトの周りに同心状に固定された変形可能な弾性ローラとを有し、前記支持フレームによって支持され、前記レール上に載置されるように設定される制動ローラと、
    前記支持フレームに支持され、該支持フレームが前記係止突起によって係止されている状態で、前記レールから間隔をあけて設けられ、前記レールとの間に前記レール上を回転しながら開扉・閉扉方向で変位する制動ローラを通すローラ通路を画定する制動面を有する制動部材であって、前記制動面が前記レール上を回転しながら開扉・閉扉方向で変位する前記制動ローラに係合するようにされており、前記ローラ通路の前記レールとの間の間隔を狭くする狭窄部分と、該狭窄部分から前記閉扉方向側に延びるに従って前記間隔を次第に大きくする閉扉側傾斜部分及び前記狭窄部分から前記開扉方向側に延びるに従って前記間隔を次第に大きくする開扉側傾斜部分を有する制動面を備える制動部材と、
    を有し、
    前記制動部材は前記支持フレームによって前記開扉・閉扉方向で開扉側位置と閉扉側位置との間で変位可能に支持されており、
    前記制動ローラは、前記引戸が閉扉位置にあるときには、前記開扉側位置にある前記制動部材の前記開扉側傾斜部分に係合し、前記引戸が開扉されると前記レール上及び前記開扉側傾斜部分上を転動しながら前記狭窄部に向かい、前記制動部材を前記レールから離れる方向で変位し、それにより拡大された狭窄部を通り、前記制動部材の前記閉扉側傾斜部分に係合して前記制動部材が前記開扉側位置に変位するようにとなるようにし、開扉された前記引戸が閉扉方向に動かされるときは前記レール上及び前記閉扉側傾斜部分上を転動しながら前記狭窄部に向かうようになされており、
    前記支持フレームは、前記開扉側位置にある前記該制動ローラの前記レールから離れる方向での変位を制限するようにされおり、
    前記制動ローラと前記制動部材とが前記レールとの前記摩擦を生じさせるようにした請求項1乃至7の何れか一項に記載の引戸任意位置停止装置。
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