本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
(面発光レーザユニット)
第1の実施の形態における面発光レーザユニットについて説明する。図1及び図2に示されるように、本実施の形態における面発光レーザユニットは、面発光レーザ素子10及びフォトダイオード等により形成された受光素子20が、パッケージ部30及びキャップ部40により覆われている。尚、図1は、本実施の形態における面発光レーザユニットの内部を側面より見た図であり、図2は、本実施の形態における面発光レーザユニットの内部を上面より見た図、即ち、キャップ部40を取り外した状態の上面図である。
面発光レーザ素子10及び受光素子20は、パッケージ部30の凹状の底面にダイボンド等により実装されて設置されている。パッケージ部30の底面には、配線31が設けられており、面発光レーザ素子10と配線31とはボンディングワイヤ32により接続されており、受光素子20と配線31とはボンディングワイヤ33により接続されている。
キャップ部40は全体が金属材料により形成されているが、面発光レーザ素子10における面発光レーザより出射されたレーザ光が照射される領域には、ガラス等の材料により形成されている透明部材41が設けられている。透明部材41は、面発光レーザから出射されたレーザ光の殆どを透過するものであるが、透明部材41の表面及び裏面において約10%の光が反射される。このように透明部材41において反射された光が受光素子20に入射するように、面発光レーザ素子10の表面に対し角度θの傾きとなるように形成されている。尚、本実施の形態では、角度θは約19°である。また、パッケージ部30とキャップ部40とはシーム溶接にて接合されており、これにより封止されている。
次に、図3に示すように、本実施の形態における面発光レーザユニットの制御について説明する。パッケージ部30に設けられた配線31は、パッケージ部30の外側の不図示の配線と接続されており、パッケージ部30の外側の配線は、書き込み制御回路等を有する書き込み制御部50と接続されている。尚、書き込み制御部50は、後述する光走査装置や画像形成装置等に設けられている。
次に、本実施の形態における面発光レーザユニットにおける受光素子20について説明する。図4に示されるように、受光素子20は複数の受光領域、具体的には、7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gに分割されている。このような7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにより形成される外形は、レーザ光の光スポット61の形状に対応して略円形となるように形成されている。
7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gは、各々の領域に対応した出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gと接続されている。これにより、受光領域21aにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21aに接続されている出力端子22aより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Maが出力される。また、受光領域21bにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21bに接続されている出力端子22bより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mbが出力される。また、受光領域21cにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21cに接続されている出力端子22cより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mcが出力される。また、受光領域21dにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21dに接続されている出力端子22dより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mdが出力される。また、受光領域21eにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21eに接続されている出力端子22eより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Meが出力される。また、受光領域21fにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21fに接続されている出力端子22fより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mfが出力される。また、受光領域21gにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21gに接続されている出力端子22gより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mgが出力される。
これにより、光スポット61が照射された受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて、検出されたレーザ光の光量に対応したモニタ電流が出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gより出力される。図4においては、受光素子20における受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの外形が光スポット61の形状に対応して略円形となる場合について説明したが、これに限られず、図5に示されるように、受光素子20における受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにより形成される外形が略長方形となるように形成してもよい。
尚、図3に示されるように、受光素子20の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて光を検出した場合、出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gよりモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgが出力され、配線等を介し出力モニタ信号として書き込み制御部50に入力される。書き込み制御部50においては、出力モニタ信号に基づき受光素子20に照射されているレーザ光の光強度を検出し、この光強度と基準値とを比較して、面発光レーザ素子10における面発光レーザから出射されるレーザ光の強度が所定の値となるように電流量を調整して出力され、配線等を介し書込信号として面発光レーザ素子10に入力される。この書込信号の値は、次の出力モニタ信号が検出され、出力モニタ信号に基づき面発光レーザ素子10に流される電流量が調整されるまで保持され、面発光レーザ素子10における面発光レーザから出射されるレーザ光の出力を一定に保つことができる。本実施の形態においては、出力モニタ信号は、モニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgの和、即ち、Ma+Mb+Mc+Md+Me+Mf+Mgとなる。
次に、面発光レーザ素子10について説明する。図6に示されるように、面発光レーザ素子10には、複数の面発光レーザ11が2次元状に配置されている面発光レーザアレイが形成されている。例えば、図6に示す場合では、8×5個の面発光レーザ11からなる面発光レーザアレイが形成されている。
ここで、図7に基づき面発光レーザ素子10における面発光レーザ11aを発光させた場合について考える。この場合、面発光レーザ11aより出射されたレーザ光のうち、透明部材41において反射された光が、受光素子20において光スポット61aとして照射される。受光素子20は、受光素子20の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて検出された光量に対応するモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgが出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gより出力され、出力モニタ信号として書き込み制御部50に入力される。書き込み制御部50においては、受光素子20の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの位置とモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgに基づき、FFPビームプロファイル62aを算出し、更には、FFPビームプロファイル62aに基づき、FWHM(Full Width at Half Maximum:半値幅)63aを算出することができる。
同様に、面発光レーザ素子10における面発光レーザ11bを発光させた場合について考える。この場合、面発光レーザ11bより出射されたレーザ光のうち、透明部材41において反射された光が、受光素子20において光スポット61bとして照射される。受光素子20においては、受光素子20の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて検出された光量に対応するモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgが出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gより出力され、出力モニタ信号として書き込み制御部50に入力される。書き込み制御部50においては、受光素子20の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの位置とモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgに基づき、FFPビームプロファイル62bを算出し、更には、FFPビームプロファイル62bに基づき、FWHM(Full Width at Half Maximum:半値幅)63bを算出することができる。尚、図7(a)は、受光素子20において光スポット61a及び61bが照射された状態を示すものであり、図7(b)は、書き込み制御部50において算出されるFFPビームプロファイル及びFWHMを示す。
このように、面発光レーザ素子10において、異なる位置に形成されている面発光レーザ11についても、各々のFFPビームプロファイル及びFWHMを算出することができる。
ところで、前述したように、面発光レーザ素子10における面発光レーザ11を長時間使用した場合、通電経時変化により、FFPビームプロファイルが広がってしまう。具体的には、図8に示すように、通電当初の面発光レーザ11におけるFFPビームプロファイル72aに対し、長時間通電した後の面発光レーザ11におけるFFPビームプロファイル72bは横に広がり、通電当初の面発光レーザ11におけるFFPビームプロファイル72aにおけるFWHM73aよりも、長時間通電した後の面発光レーザ11におけるFFPビームプロファイル72bにおけるFWHM73bの方が長くなる。このように、FWHM73bを検出することにより、面発光レーザ11の劣化の度合いを知ることができる。即ち、FWHM73bにおけるFWHM73aに対する割合が所定の割合以下であるか否かを判断することにより、面発光レーザ11が劣化しているか否かを判断することができる。
(面発光レーザ)
次に、本実施の形態における面発光レーザユニットを形成している面発光レーザ素子10における面発光レーザ11について説明する。この面発光レーザ11は、図9に示されるように、高次横モード抑制フィルタを備えたVCSELである。尚、図9(a)と図9(b)とは、相互に直交する面における面発光レーザ11の断面図である。即ち、本実施の形態においては、レーザ光の出射方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面において、互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向とする。従って、図9(a)はXZ面に平行に切断した断面図であり、図9(b)はYZ面に平行に切断した断面図である。
この面発光レーザ11は、発振波長が780nm帯の面発光レーザであり、基板101、バッファ層102、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109等を有している。
基板101は、表面が鏡面研磨面であり、図10(a)に示されるように、鏡面研磨面(主面)の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度(θ=15度)傾斜したn−GaAs単結晶基板である。即ち、基板101は、いわゆる傾斜基板である。ここでは、図10(b)に示されるように、結晶方位[0 −1 1]方向が+X方向、結晶方位[0 1 −1]方向が−X方向となるように配置されている。尚、基板101に傾斜基板を用いることによって、偏光方向をX軸方向に安定させようとする偏光制御作用が働く。
バッファ層102は、基板101の+Z側の面上に積層され、n−GaAsからなる層である。
下部半導体DBR103は、バッファ層102の+Z側に積層され、n−AlAsからなる低屈折率層と、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを40.5ペア有している。
尚、図11に示されるように、下部半導体DBR103を形成している各屈折率層103a及び103bの間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。各屈折率層103a及び103bはいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学的厚さとなるように設定されている。
また、光学的厚さがλ/4のとき、その層の実際の厚さDは、D=λ/4n(但し、nはその層の媒質の屈折率)である。
下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5Pからなる層である。
図11に示されるように、活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層され、3層の量子井戸層105aと4層の障壁層105bとを有する3重量子井戸構造の活性層である。各量子井戸層105aは、0.7%の圧縮歪みを誘起する組成であるGaInAsPからなり、バンドギャップ波長が約780nmである。また、各障壁層105bは、0.6%の引張歪みを誘起する組成であるGaInPからなる。
上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5Pからなる層である。
また、図11に示されるように、下部スペーサ層104、活性層105及び上部スペーサ層106からなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学厚さとなるように設定されている。尚、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。
上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層され、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを23ペア有している。
尚、図11に示されるように、上部半導体DBR107を形成している各屈折率層107a及び107bの間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた組成傾斜層が設けられている。各屈折率層107a及び107bはいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、λ/4の光学的厚さとなるように設定されている。
上部半導体DBR107における低屈折率層の1つには、p−AlAsからなる電流狭窄層108が厚さ30nmで挿入されている。この電流狭窄層108の挿入位置は、電界の定在波分布において、活性層105から3番目となる節に対応する位置である。尚、本実施の形態においては、電流狭窄層108には、メサの周辺部より酸化することにより形成された選択酸化領域108aが形成されており、この酸化がなされていない領域が電流狭窄領域108bとなる。
コンタクト層109は、上部半導体DBR107の+Z側に積層され、p−GaAsからなる層である。
尚、このように基板101上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」ともいう。
また、この面発光レーザ11には、メサの側面等を覆うように保護膜111が形成されており、更に、メサの上面においてコンタクト層109と接するp側電極113が保護膜111の上に形成されており、基板101の裏面にはn側電極114が形成されている。また、メサの上面には、保護膜111と同一の材料により形成された透明層111a及び111bが形成されている。
(面発光レーザの製造方法)
次に、面発光レーザ11の製造方法について簡単に説明する。尚、本実施の形態においては、所望の偏光方向(所望の偏光方向Pという)は、X軸方向であるものとする。
(1) 最初に、図12(a)に示すように、上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法による結晶成長によって作製する。ここで、MOCVD法の場合には、III族の原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料には、フォスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)を用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr4)、ジメチルジンク(DMZn)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(H2Se)を用いている。
(2) 次に、積層体の表面に一辺が25μmの正方形状のレジストパターンを形成する。
(3) 次に、Cl2ガスを用いたECRエッチング法により、上記レジストパターンをマスクとして四角柱状のメサ構造体(便宜上、「メサ」と記載する場合がある)を形成する。本実施の形態においては、エッチングの底面は下部スペーサ層104中に位置するように形成する。
(4) 次に、図12(b)に示されるように、メサを形成した後、レジストパターンを除去する。
(5) 次に、図13(a)に示されるように、積層体を水蒸気中で熱処理する。これにより、電流狭窄層108中のAl(アルミニウム)が、メサの外周部から選択的に酸化さて選択酸化領域108aが形成される。この際、メサの中央部は酸化されていない領域が残り、この領域が電流狭窄領域108bとなる。これにより、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限することのできる、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。本実施の形態においては、酸化されていない電流狭窄層108における電流狭窄領域108bが電流通過領域(電流注入領域)となる。このようにして、例えば幅4μmから6μm程度の略正方形状の電流通過領域が形成される。
(6) 次に、図13(b)に示されるように、気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる保護層111を形成する。本実施の形態においては、保護層111の光学的厚さがλ/4となるように形成する。具体的には、SiNの屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=λ/4n)が約105nmとなるように形成する。
(7) 次に、レーザ光の射出面となるメサ上部にp側電極コンタクトの窓開けを行うためのエッチングマスク(マスクMという)を形成する。本実施の形態においては、図14に示されるように、メサの周囲、メサ上面の周囲、及びメサ上面の中心部を挟んで所望の偏光方向P(ここでは、X軸方向)に平行な方向に関して対向している2つの小領域(第1の小領域と第2の小領域)がエッチングされないようにマスクMを形成する。具体的には、第1の小領域及び第2の小領域は略長方形状に形成されており、第1の小領域と第2の小領域との間隔L1が5μm、第1の小領域及び第2の小領域の短手方向における長さL2が2μm、長手方向における長さL3が8μmとなるように形成する。尚、図14(a)は上面図であり、図14(b)は、図14(a)におけるメサの部分を示した上面図である。
(8) 次に、BHFにて保護層111をエッチングし、p側電極コンタクトの窓開けを行う。
(9) 次に、図15(a)及び図15(b)に示されるように、マスクMを除去する。これにより、メサの上面には、透明膜111a及び111bが形成される。本実施の形態においては、便宜上、保護層111により形成されている第1の小領域を「透明層111a」とし、保護膜111により形成されている第2の小領域を「透明層111b」と記載する場合がある。尚、図15(a)は本工程における断面図であり、図15(b)は上面図である。
(10) 次に、メサ上部の光射出部(金属層の開口部)となる領域に一辺10μmの正方形状のレジストパターンを形成し、p側電極材料の蒸着を行なう。p側電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
(11) 次に、図16に示されるように、光射出部となる領域(光射出領域)に蒸着された電極材料をリフトオフにより除去し、p側電極113を形成する。本実施の形態においては、メサの上面において、p側電極113により囲まれた領域が射出領域となる。尚、図16(a)は本工程における断面図であり、図16(b)は、本工程においてメサの上面を拡大した上面図である。射出領域の形状は、一辺の長さがL4(ここでは、10μm)の正方形である。本実施の形態においては、射出領域内の2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)として、光学的厚さがλ/4のSiNからなる透明な誘電体膜からなる透明層111aと透明層111bが形成されている。これにより、2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)の反射率は、射出領域の中心部の反射率よりも低くすることができる。
(12) 次に、図17に示されるように、基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側電極114を形成する。ここでは、n側電極114はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。
(13) 次に、アニールによって、p側の電極113とn側の電極114のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。
(14) 次に、チップ毎に切断する。
このようにして製造された面発光レーザは、射出領域の周辺部に設定された2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)における反射率が、これら小領域以外の領域における反射率よりも低くなるように形成されている。よって、基本横モードに対する反射率を低下させることなく、高次横モードの反射率を低下させることができるため、高次横モードの発振を抑制する作用が働く。
尚、上記においては、各小領域の形状が長方形である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図18に示されるように、各小領域の形状は、楕円形状、半円状等の任意の形状に形成してもよい。
(FFPビームプロファイルの検出)
次に、上述したメサの上面が図19に示される構造の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルの通電径時変化について説明する。図19に示される構造の面発光レーザは、メサの上面において透明層111a及び透明層111bが形成されており、透明層111a及び透明層111bは、略長方形状であって、長手方向がY軸方向となるように形成されている。図20は、図19に示される構造の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルの通電径時変化を示す模式図である。尚、上述のとおり、図19に示される構造の面発光レーザにおいて、高次横モード抑制フィルタとして射出領域の周辺部に設定された2つの小領域(透明層111aにより形成される第1の小領域、透明層111bにより形成される第2の小領域)の長手方向に平行な方向がY方向、長手方向に垂直な方向(短手方向)がX方向である。
図20(a)は、発光部より出射された光のX方向におけるFFPビームプロファイルを示し、図20(b)は、発光部より出射された光のY方向におけるFFPビームプロファイルを示す。尚、通電開始時の初期状態におけるFFPビームプロファイルを120aに示し、通電負荷をかけた後の状態におけるFFPビームプロファイルを120bに示す。
図20に基づくならば、FFPビームプロファイルの通電径時変化の大きさはX方向とY方向で異なっており、Y方向(高次横モード抑制フィルタの長手方向、即ち、透明層111a及び111bにおける長手方向)においてビームが広がりやすい傾向にある。従って、透明層111a及び111bと受光素子20における受光領域21a〜21gとの位置関係により、検出の精度等が異なってくる。
次に、図21に高次横モード抑制フィルタの構造を示し、図22(a)に受光素子20の構造を示し、図22(b)に受光素子20において検出されるFFPビームプロファイルを示す。
上述のとおり、高次横モード抑制フィルタの長手方向がY方向の場合、ビームはY方向に通電劣化により広がりやすい。従って、この場合には、受光素子20における複数の受光領域21a〜21gの長手方向をX軸方向とし、受光領域21a〜21gがY軸方向に沿って並ぶように配列させて設置することにより、レーザ光の光スポット81のY軸方向におけるFFPビームプロファイル82を検出することができ、更には、FFPビームプロファイル82に基づきFWHM83も算出することができる。これにより、面発光レーザにおける通電劣化をより正確に早期に検出することができる。
(面発光レーザの劣化検出方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザの劣化検出方法について、図23に基づき説明する。本実施の形態における面発光レーザの劣化検出方法は、本実施の形態における面発光レーザユニットを用いて行なわれるものである。
最初に、ステップ102(S102)において、FFPビームプロファイルを検出する。具体的には、本実施の形態における面発光レーザユニットにおいて、分割された受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gを有する受光素子20を用いて、書き込み制御部50において算出する。
次に、ステップ104(S104)において、検出されたFFPビームプロファイルに基づき、書き込み制御部50においてFWHMを算出する。
次に、ステップ106(S106)において、算出されたFWHMがFWHMの閾値の範囲内であるか否かが、書き込み制御部50において判断される。具体的には、算出されたFWHMが閾値の範囲内にあるものと判断された場合には、ステップ108に移行する。一方、算出されたFWHMが閾値の範囲内にはないものと判断された場合には、ステップ110に移行する。
例えば、面発光レーザにおけるFWHMの仕様範囲が8.0[deg]〜10.0[deg]であって、FWHMの初期値が8.5[deg]であって、劣化検出となるFWHMの閾値を9.5[deg]と設定した場合、検出された光スポットのFWHMの値が9.5[deg]を超えた場合には、閾値の範囲を超えたものと判断される。一方、検出された光スポットのFWHMの値が9.5[deg]以下の場合には、閾値の範囲内にあるものと判断される。
ステップ108(S108)においては、面発光レーザの発光が継続され、画像形成装置等におけるレーザ光による書き込みが継続される。
一方、ステップ110(S110)においては、画像形成装置等において面発光レーザの劣化検出アラームが作動する。具体的には、ステップ106において、算出されたFWHMが閾値の範囲内にはないものと判断されているため、面発光レーザが通電経時変化により劣化しているものと推察される。従って、この場合には、画像形成装置等において面発光レーザの劣化検出アラームが作動する
次に、ステップ112(S112)において、画像形成装置等において、面発光レーザユニットの交換を促す表示を行なう。
本実施の形態においては、ステップ106において、一定のFWHMにおいて閾値を設定しているが、変化率(例えばFWHMが初期値より10%大きくなった場合)に基づき閾値を設定してもよい。尚、本実施の形態においては、ステップ110において、劣化検出アラームが作動した時点では、面発光レーザはFWHMの仕様範囲を超えていないため、所定の期間は画像形成装置等を使用することが可能である。即ち、交換修理が行なわれるまで、画像形成装置等を使用することが可能である。
このように、本実施の形態においては、前もって故障予測を行なうことができるため、ユーザの都合に合わせて、画像形成装置を使用しない時間に交換修理を行なうことができ、画像形成装置を使用することができない時間を短時間にすることができ、ユーザの業務効率の低下を防ぐことができる。
また、別な方法としては、画像形成装置等が外部ネットワークに接続されている場合は、直接画像形成装置のメンテナンス業者に、交換修理が必要な連絡を自動的に通知する方法が考えられる。この場合はユーザがメンテナンス業者に連絡しなくてもよいといったメリットがある。
次に、図24に基づき、Y方向のFFPビームプロファイルにおいて、通電負荷をかけた後の定格出力と高出力時の出力との違いについて説明する。尚、面発光レーザにおける定格出力は0.1mW〜1.0mWであるものとする。定格出力の範囲内にある出力が1.0mWの場合では、通電当初に比べて通電負荷をかけた後では、FFPビームプロファイルが広がる。これに対し、面発光レーザの出力を定格出力以上の2.0mWの場合では、FFPビームプロファイルは、より顕著に広がる。従って、定格出力の範囲内における出力では分かりにくい通電劣化であっても、FFPビームプロファイル確認時において、光出力を定格出力よりも大きくすることにより、面発光レーザの通電劣化を容易に検出することができる。尚、定格出力とは、光走査装置や画像形成装置等において、通常の動作の際の面発光レーザの出力範囲である。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを用いた画像形成装置としてのレーザプリンタ1000である。
図25に基づき、本実施の形態におけるレーザプリンタ1000について説明する。本実施の形態におけるレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060等を備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、矢印Xで示す方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、このトナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、この給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。このレジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、この記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、図26に基づき光走査装置1010について説明する。光走査装置1010は、光源ユニット1100、カップリングレンズ1111、アパーチャ1112、シリンドリカルレンズ1113、ポリゴンミラー1114、fθレンズ1115、トロイダルレンズ1116、2つのミラー(1117、1118)、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置を備えている。尚、光源ユニット1100は、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを含む光源ユニット1100が用いられている。
カップリング1111は、光源ユニット1100における面発光レーザより出射されたレーザ光を略平行光に整形する。
アパーチャ1112は、カップリングレンズ1111からのレーザ光を所定のビーム形状となるように規定する。
シリンドリカルレンズ1113は、光源ユニット1100から出力された光を、ミラー1117を介してポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光する。
ポリゴンミラー1114は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面には6面の偏向反射面が形成されている。 そして、不図示の回転機構により、矢印Yに示す方向に一定の角速度で回転されている。
従って、光源ユニット1100から出射され、シリンドリカルレンズ1113によってポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光された光は、ポリゴンミラー1114の回転により一定の角速度で偏向される。
fθレンズ1115は、ポリゴンミラー1114からの光の入射角に比例した像高をもち、ポリゴンミラー1114により一定の角速度で偏向される光の像面を、主走査方向に関して等速移動させる。 トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115からの光をミラー1118を介して、感光体ドラム1030の表面に結像する。
トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115を介した光束の光路上に配置されている。そして、このトロイダルレンズ1116を介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー1114の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー1114と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施の形態では、走査光学系は、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116とから構成されている。なお、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116の間の光路上、及びトロイダルレンズ1116と感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されてもよい。
本実施の形態におけるレーザプリンタ1000では、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを用いているため、レーザプリンタ1000において、安定的な光による書き込みを行なうことができ、高精細で高画質な画像形成を行なうことができる。
尚、本実施の形態における説明では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であってもよい。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、受光素子を面発光レーザユニットの外に設けた構造の画像形成装置及び光走査装置である。従って、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを用いてもよく、また、第1の実施の形態における面発光レーザユニットより受光素子20を取り除いた構造のものを用いてもよい。
本実施の形態においては、図27に示されるように、第1の実施の形態における面発光レーザユニットにおける受光素子20に相当する受光素子1120が、面発光レーザが含まれている光源ユニット1100の外部に設けられている構造のものである。尚、上記以外の内容については、第2の実施の形態と同様である。
本実施の形態においては、面発光レーザを含む光源ユニット1100から出射されたレーザ光は、カップリングレンズ1111により、光ビームが略平行光となるように整形される。
アパーチャ1112は、光ビームに対して一定の傾きを持って設置されており、カップリングレンズ1111を介した光ビームのビーム径を規定する。アパーチャ1112に設けられた開口部1112aを通過した光は書き込み光として用いられるが、アパーチャ1112の開口部1112aの周囲の外周部1112bは光を反射する部材により形成されているため、レーザ光の外周部1112bにおいて、レーザ光は反射され受光素子1120に入射する。図28には、本実施の形態において用いられる受光素子1120の構造を示すが、上述したように、この受光素子1120は、第1の実施の形態において説明した受光素子20と同様の構造のものであってもよい。
具体的には、図28に示されるように、受光素子1120は複数の受光領域、例えば、7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gに分割されている。また、図28に示す場合では、7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gを形成している外形は、レーザ光の光スポット161の外形の形状に対応して略円形となるように形成されている。
7つの受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gは、各々の領域に対応した出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gと接続されている。これにより、受光領域21aにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21aに接続されている出力端子22aより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Maが出力される。また、受光領域21bにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21bに接続されている出力端子22bより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mbが出力される。また、受光領域21cにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21cに接続されている出力端子22cより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mcが出力される。また、受光領域21dにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21dに接続されている出力端子22dより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mdが出力される。また、受光領域21eにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21eに接続されている出力端子22eより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Meが出力される。また、受光領域21fにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21fに接続されている出力端子22fより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mfが出力される。また、受光領域21gにおいてレーザ光が検出された場合には、受光領域21gに接続されている出力端子22gより、検出されたレーザ光の光量に対応するモニタ電流Mgが出力される。
これにより、光スポット161が照射された受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて、検出されたレーザ光の光量に対応した電流が出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gより出力される。尚、本実施の形態は、受光素子1120には、アパーチャ1112における外周部1112bからの反射光が入射するものである。よって、後述するように、アパーチャ1112に設けられた開口部1112aでは光が反射されることはなく、受光素子1120には入射しない。従って、受光素子1120における中央部161aには光は入射しない。
また、図28においては、受光素子1120における受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの外形が光スポット161の外形の形状に対応して略円形となる場合について説明したが、これに限られず、図29に示されるように、受光素子1120における受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの外形は略長方形となるように形成してもよい。
ここで、図30に基づき光源ユニット1100における面発光レーザを発光させた場合について、より詳細に説明する。この場合、光源ユニット1100における面発光レーザより出射されたレーザ光のうち、アパーチャ1112の周辺部1112bにおいて反射された光が、光スポット161として受光素子1120に照射される。受光素子1120においては、受光素子1120の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gにおいて検出された光量に対応するモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgが出力端子22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gより出力され、書き込み制御部に入力される。書き込み制御部では、受光素子1120の受光領域21a、21b、21c、21d、21e、21f、21gの位置とモニタ電流Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、Mgとの関係に基づき、FFPビームプロファイルを算出し、更には、FFPビームプロファイルに基づき、FWHMを算出する。尚、図30(a)は、受光素子1120において光スポット161が照射された状態を示すものであり、図30(b)は、書き込み制御部において算出されるFFPビームプロファイル及びFWHMを示す。
ところで、前述したように、光源ユニット1100における面発光レーザを長時間使用した場合、通電経時変化により、FFPビームプロファイルが広がってしまう。具体的には、通電当初の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルに対し、長時間通電した後の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルは横に広がり、通電当初の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルにおけるFWHMよりも、長時間通電した後の面発光レーザにおけるFFPビームプロファイルにおけるFWHMの方が長くなる。このように、FWHMを検出することにより、面発光レーザの劣化の度合いを知ることができる。
尚、本実施の形態においては、図30に示されるようにレーザ光における光スポット161内の中央部161aに相当する領域の光は書き込み光に使用されているため、レーザ光の光スポット161における強度分布は、ピーク付近の強度が若干低下する。従って、開口部1112aがない場合のFFPビームプロファイル172aに基づくFWHM173aに比べて、開口部1112aがある場合のFFPビームプロファイル172bに基づくFWHM173bは大きく検出される。しかしながら、この検出誤差については、あらかじめ光走査装置等の内部に補正係数を設定しておき補正を行なうことにより、正確な面発光レーザの通電劣化の検出を行なうことができる。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000である。
図31に基づき、本実施の形態におけるカラープリンタ2000について説明する。本実施の形態におけるカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図31において示される矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転順にそれぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを含む光源ユニットを、各々の色毎に有しており、第2の実施の形態において説明した光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、第2の実施の形態におけるレーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態において、第3の実施の形態を適用することも可能である。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が第1の実施の形態における面発光レーザユニットを含む光源ユニットにより形成されているため、点灯させる面発光レーザを選択することで色ずれを低減することができる。
よって、本実施の形態におけるカラープリンタ2000では、第1の実施の形態における面発光レーザユニットを用いているため、高品質の画像を形成することができる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。