JP6018671B1 - 2方向エレベータの群管理制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】利用者の乗降を効率化することができる、2方向エレベータの群管理制御装置を提供する。【解決手段】一実施形態に係る群管理制御装置は、2方向にドアを有するカゴを複数備えた2方向エレベータを群管理制御する。群管理制御装置は、動線評価部と、運行評価部と、割当て決定部と、を備える。動線評価部は、新たに登録された乗場呼びと、カゴに登録されたカゴ呼びと、に基づいて、カゴに乗場呼びを割当てた場合に生じる利用者の動線を評価する動線評価値を、カゴ毎に計算する。運行評価部は、乗場呼びと、カゴの運行状態に基づいて、カゴに乗場呼びを割当てた場合の運行状態を評価する運行評価値をカゴ毎に計算する。割当て決定部は、動線評価値と、運行評価値と、に基づいて、乗場呼びを割当てるカゴを決定する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、2方向エレベータの群管理制御装置に関する。
従来、2方向エレベータの群管理制御装置は、各カゴの積載荷重、位置、運行方向、登録されたカゴ呼び、及び割当てられた乗場呼びなどに基づいて、新たに登録された乗場呼びの割当てを行っていた。しかしながら、上記従来の割当て方法では、利用者を効率的に各カゴに割り振ることのみが考慮されており、利用者の効率的な乗降については考慮されていなかった。このため、各カゴへの乗場呼びの割当ての結果、利用者の乗降に余計な時間がかかってしまうことがあった。
利用者の乗降を効率化することができる、2方向エレベータの群管理制御装置を提供する。
一実施形態に係る群管理制御装置は、2方向にドアを有するカゴを複数備えた2方向エレベータを群管理制御する。群管理制御装置は、動線評価部と、運行評価部と、割当て決定部と、を備える。動線評価部は、新たに登録された乗場呼びと、カゴに登録されたカゴ呼びと、に基づいて、カゴに乗場呼びを割当てた場合に生じる利用者の動線を評価する動線評価値を、カゴ毎に計算する。運行評価部は、乗場呼びと、カゴの運行状態に基づいて、カゴに乗場呼びを割当てた場合の運行状態を評価する運行評価値をカゴ毎に計算する。割当て決定部は、動線評価値と、運行評価値と、に基づいて、乗場呼びを割当てるカゴを決定する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る群管理制御装置について、図1〜図6を参照して説明する。
第1実施形態に係る群管理制御装置について、図1〜図6を参照して説明する。
本実施形態に係る群管理制御装置は、複数のカゴを備える2方向エレベータを群管理制御する。2方向エレベータとは、各カゴが2方向にドアを有するエレベータのことである。カゴの一方側のドアと、他方側のドアと、はカゴの対向する側面に設けられていてもよいし、カゴの直行する側面に設けられていてもよい。
また、2方向エレベータの各階床には、カゴの一方側のドアに対応する乗場(エレベータホール)と、カゴの他方側のドアに対応する乗場と、がそれぞれ設けられてもよい。また、一部の階床には、カゴの一方側及び他方側のドアのいずれかに対応する乗場のみが設けられていてもよい。
以下では、2方向エレベータは、3機のカゴを備え、各カゴは、正面側のドアと、背面側のドアと、を備え、各階床には、カゴの正面側のドアに対応する正面側乗場と、カゴの背面側のドアに対応する背面側乗場と、がそれぞれ設けられているものとする。
しかしながら、上記の通り、2方向エレベータは、これに限られず、2機又は4機以上のカゴを備えてもよいし、カゴは、正面(背面)側のドアと、右(左)側面側のドアと、を備えてもよいし、一部の階床には、一方側のドアに対応する乗場のみが設けられてもよい。
なお、上記の正面側及び背面側とは、建物におけるドアや乗場の位置を特定するために便宜的に設定された方向である。したがって、正面側及び背面側は、利用者の向きに依存せず、建物における一定の方向を示す。
図1は、本実施形態に係る2方向エレベータの一例を示す図である。図1の2方向エレベータは、カゴ1a〜1cと、カゴ制御装置2a〜2cと、正面側乗場3と、背面側乗場4と、群管理制御装置5と、を備える。
カゴ1aは、正面側ドア11aと、背面側ドア12aと、各階床の正面側カゴ呼び釦13aと、各階床の背面側カゴ呼び釦14a、を備える。
正面側ドア11aは、カゴ1aの正面側(一方側)に設けられたカゴドアである。背面側ドア12aは、カゴ1aの背面側(他方側)に設けられたカゴドアである。図1に示すように、正面側ドア11aと、背面側ドア12aとは、カゴ1aの対向する側面に設けられる。
正面側カゴ呼び釦13aは、正面側のカゴ呼びを登録するための釦であり、行先階毎に設けられる。利用者が、ある階床Xの正面側カゴ呼び釦13aを押すと、階床Xへの正面側のカゴ呼びが登録される。階床Xへの正面側のカゴ呼びとは、行先階が階床Xであり、階床Xで正面側ドア11aが戸開するカゴ呼びのことである。
より詳細には、正面側カゴ呼び釦13aは、利用者により押されると、カゴ呼び要求を出力する。正面側カゴ呼び釦13aが出力したカゴ呼び要求は、カゴ制御装置2aに入力され、カゴ呼びが登録される。
図1の例では、正面側カゴ呼び釦13aは、カゴ1aにおける正面側ドア11aと同一の側面に設けられているが、カゴ1aの右側面や左側面に設けられていてもよい。
背面側カゴ呼び釦14aは、背面側のカゴ呼びを登録するための釦であり、行先階毎に設けられる。利用者が、ある階床Xの背面側カゴ呼び釦14aを押すと、階床Xへの背面側のカゴ呼びが登録される。階床Xへの背面側のカゴ呼びとは、行先階が階床Xであり、階床Xで背面側ドア12aが戸開するカゴ呼びのことである。
より詳細には、背面側カゴ呼び釦14aは、利用者により押されると、カゴ呼び要求を出力する。背面側カゴ呼び釦13aが出力したカゴ呼び要求は、カゴ制御装置2aに入力され、カゴ呼びが登録される。
図1の例では、背面側カゴ呼び釦14aは、カゴ1aにおける背面側ドア11aと同一の側面に設けられているが、カゴ1aの右側面や左側面に設けられていてもよい。
カゴ1b,1cは、いずれもカゴ1aと同様の構成を有する。すなわち、カゴ1bは、正面側ドア11bと、背面側ドア12bと、正面側カゴ呼び釦13bと、背面側カゴ呼び釦14b、を備える。また、カゴ1cは、正面側ドア11cと、背面側ドア12cと、正面側カゴ呼び釦13cと、背面側カゴ呼び釦14c、を備える。これらの各構成は、カゴ1aの各構成と同様であるため、説明を省略する。
カゴ制御装置2aは、カゴ1aを個別に制御するコンピュータである。カゴ制御装置2aは、機能構成として、カゴ呼び登録部21aと、運行制御部22aと、運行情報出力部23aと、を備える。これらの機能構成は、カゴ制御装置2を構成するコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。
カゴ呼び登録部21aは、正面側カゴ呼び釦13a及び背面側カゴ呼び登録釦14aから出力されたカゴ呼び要求が入力され、入力されたカゴ呼び要求に応じたカゴ呼びを登録する。
例えば、カゴ呼び登録部21aは、階床Xの正面側カゴ呼び釦13aからカゴ呼び要求を入力された場合、階床Xへの正面側のカゴ呼びを登録する。また、カゴ呼び登録部21aは、階床Xの背面側カゴ呼び釦14aからカゴ呼び要求を入力された場合、階床Xへの背面側のカゴ呼びを登録する。
運行制御部22aは、カゴ1aに登録されたカゴ呼びに応じて、カゴ1aの運行を制御する。具体的には、運行制御部22aは、カゴ呼び登録部21aがカゴ呼びを登録すると、登録されたカゴ呼びに、カゴ1aを応答させる。ここでいう応答とは、カゴ1aが、カゴ呼びにより指定された行先階に移動し、戸開することをいう。
例えば、カゴ呼び登録部21aが階床Xへの正面側のカゴ呼びを登録すると、運行制御部22aは、カゴ1aを階床Xに移動させ、正面側ドア11aを戸開させる。また、カゴ呼び登録部21aが階床Xへの背面側のカゴ呼びを登録すると、運行制御部22aは、カゴ1aを階床Xに移動させ、背面側ドア12aを戸開させる。
また、運行制御部22aは、群管理制御装置5から入力された制御指令に応じて、カゴ1aの運行を制御する。具体的には、運行制御部22aは、群管理制御装置5から乗場呼びを割当てる制御指令(割当て指令)を入力されると、割当てられた乗場呼びに、カゴ1aを応答させる。
例えば、階床Xへの正面側の乗場呼びを割当てる割当て指令を入力されると、運行制御部22aは、カゴ1aを階床Xに移動させ、正面側ドア11aを戸開させる。また、階床Xへの背面側の乗場呼びを割当てる割当て指令を入力されると、運行制御部22aは、カゴ1aを階床Xに移動させ、背面側ドア12aを戸開させる。
なお、運行制御部22aに入力される制御指令は、割当て指令に限られない。例えば、運行制御部22aには、通常運行モードや点検モードなどの、カゴ1aの運行方式を切替える制御指令(切替指令)などが入力されてもよい。
運行情報出力部23aは、カゴ1aの運行情報を出力する。カゴ1aの運行情報には、カゴ1aの積載荷重、位置、運行方向、登録されたカゴ呼び、割当てられた乗場呼び、及び運行方式などの情報が含まれる。運行情報出力部23aから出力された運行情報は、群管理制御装置5に入力される。
カゴ制御装置2b,2cは、いずれもカゴ制御装置2aと同様の構成を有する。すなわち、カゴ制御装置2bは、カゴ呼び登録部21bと、運行制御部22bと、運行情報出力部23bと、を備える。また、カゴ制御装置2cは、カゴ呼び登録部21cと、運行制御部22cと、運行情報出力部23cと、を備える。これらの各構成は、カゴ制御装置2aの各構成と同様であるため、説明を省略する。
なお、カゴ制御装置2a〜2cは、それぞれ異なるコンピュータにより構成されてもよいし、同一のコンピュータにより構成されてもよい。また、カゴ制御装置2a〜2cは、群管理制御装置5と同一のコンピュータにより構成されてもよいし、群管理制御装置5とは異なるコンピュータにより構成されてもよい。
正面側乗場3は、カゴ1a〜1cが停車する各階床に設けられた正面側の乗場である。正面側乗場3は、正面側ドア31a〜31cと、正面側乗場呼び釦32と、を備える。
正面側ドア31aは、カゴ1aの正面側ドア11aと対応する乗場ドアである。正面側ドア31bは、カゴ1bの正面側ドア11bと対応する乗場ドアである。正面側ドア31cは、カゴ1cの正面側ドア11cと対応する乗場ドアである。正面側ドア31a〜31cは、それぞれ正面側ドア11a〜11cと共に開閉する。
正面側乗場呼び釦32は、正面側の乗場呼びを登録するための釦である。利用者が、ある階床Xの正面側乗場3に設けられた正面側乗場呼び釦32を押すと、階床Xへの正面側の乗場呼びが登録される。階床Xへの正面側の乗場呼びとは、行先階が階床Xであり、階床Xでカゴ1a〜1cの正面側ドア11a〜11cが戸開する乗場呼びのことである。
より詳細には、正面側乗場呼び釦32は、利用者により押されると、乗場呼び要求を出力する。正面側乗場呼び釦32が出力した乗場呼び要求は、群管理制御装置5に入力され、呼びが登録される。
図1の例では、正面側乗場呼び釦32は、正面側ドア31a〜31cのそれぞれの間に2つ設けられているが、1つ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
背面側乗場4は、カゴ1a〜1cが停車する各階床に設けられた背面側の乗場である。背面側乗場4は、背面側ドア41a〜41cと、背面側乗場呼び釦42と、を備える。
背面側ドア41aは、カゴ1aの背面側ドア12aと対応する乗場ドアである。背面側ドア41bは、カゴ1bの背面側ドア12bと対応する乗場ドアである。背面側ドア41cは、カゴ1cの背面側ドア12cと対応する乗場ドアである。背面側ドア41a〜41cは、それぞれ背面側ドア12a〜12cと共に開閉する。
背面側乗場呼び釦42は、背面側の乗場呼びを登録するための釦である。利用者が、ある階床Xの背面側乗場4に設けられた背面側乗場呼び釦42を押すと、階床Xへの背面側の乗場呼びが登録される。階床Xへの背面側の乗場呼びとは、行先階が階床Xであり、階床Xでカゴ1a〜1cの背面側ドア12a〜12cが戸開する乗場呼びのことである。
より詳細には、背面側乗場呼び釦42は、利用者により押されると、乗場呼び要求を出力する。背面側乗場呼び釦42が出力した乗場呼び要求は、群管理制御装置5に入力され、呼びが登録される。
図1の例では、背面側乗場呼び釦42は、背面側ドア41a〜41cのそれぞれの間に2つ設けられているが、1つ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
群管理制御装置5は、2方向エレベータを群管理制御するコンピュータである。群管理制御装置5は、2方向エレベータの制御盤により構成されてもよいし、2方向エレベータの中央監視センタに設置されたサーバにより構成されてもよい。群管理制御装置5は、機能構成として、設定情報記憶部51と、情報管理部52と、乗場呼び登録部53と、動線評価部54と、運行評価部55と、割当て決定部56と、制御指令出力部57と、を備える。これらの機能構成は、群管理制御装置5を構成するコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。
設定情報記憶部51は、カゴ1a〜1cの設定情報を記憶する。設定情報には、カゴ1a〜1cの定員、速度、及び用途などの情報が含まれる。これらの設定情報は、予め設定され、設定情報記憶部51に記憶される。
なお、群管理制御装置5が設定情報記憶部51を備えない構成も可能である。この場合、カゴ制御装置2a〜2cが、カゴ1a〜1cの設定情報をそれぞれ記憶し、運行情報出力部23a〜23cが、カゴ1a〜1cの運行情報と共に設定情報を出力すればよい。
情報管理部52は、カゴ制御装置2a〜2cが出力したカゴ1a〜1cの運行情報を入力される。また、情報管理部52は、設定情報記憶部51から、カゴ1a〜1cの設定情報を取得する。情報管理部52は、取得したカゴ1a〜1cに関する情報を統括管理する。
乗場呼び登録部53は、正面側乗場呼び釦32及び背面側乗場呼び登録釦42から出力された乗場呼び要求を入力され、入力された乗場呼び要求に応じた乗場呼びを登録する。
例えば、乗場呼び登録部53は、階床Xの正面側乗場3に設けられた正面側乗場呼び釦31から乗場呼び要求を入力された場合、階床Xへの正面側の乗場呼びを登録する。また、乗場呼び登録部53は、階床Xに設けられた背面側乗場4の背面側乗場呼び釦42から乗場呼び要求を入力された場合、階床Xへの背面側の乗場呼びを登録する。
動線評価部54は、乗場呼び登録部53が新たな乗場呼びを登録すると、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を取得し、情報管理部52から各カゴ1a〜1cの運行情報を取得する。
そして、動線評価部54は、新たな乗場呼びの行先階及び方向(正面側又は背面側)と、各カゴ1a〜1cに登録されたカゴ呼びの行先階及び方向(正面側又は背面側)と、に基づいて、各カゴ1a〜1cの動線評価値を計算する。
動線評価値とは、各カゴ1a〜1cに新たな乗場呼びを割当てた場合の利用者の動線を評価する値である。利用者の動線とは、カゴと乗場との間における利用者の流れのことである。利用者の動線には、カゴから正面側乗場3に降車する動線と、カゴから背面側乗場4に降車する動線と、正面側乗場3からカゴに乗車する動線と、背面側乗場4からカゴに乗車する動線と、の4種類がある。
新たな乗場呼びがカゴに割当てられると、カゴは、新たな乗場呼びの行先階に移動して戸開する。カゴが戸開すると、利用者が乗降するため、利用者の動線が発生する。動線評価値は、こうして発生する動線、すなわち、新たな乗場呼びの行先階で発生する動線を評価する値である。
動線評価値は、新たな乗場呼びの行先階で発生する動線の効率が低いほど低く、効率が高いほど高く計算される。効率が高い動線とは、利用者の乗降に要する時間が短い動線のことであり、効率が低い動線とは、利用者の乗降に要する時間が長い動線のことである。
具体的には、動線評価値は、新たな乗場呼びの行先階において、逆方向の動線が重複する場合に低くなり、逆方向の動線が重複しない場合に高くなるように計算される。逆方向の動線が重複する場合とは、新たな乗場呼びの行先階及び方向(正面側又は背面側)と、カゴに登録されているカゴ呼びの行先階及び方向(正面側又は背面側)と、が一致する場合である。
ここで、図2及び図3を参照して、動線評価値について具体的に説明する。以下では、階床Xへの正面側のカゴ呼びが登録されたカゴ1aを例に説明する。図2及び図3は、カゴ1aを模式的に示した図である。
このカゴ1aに、階床Xへの正面側の乗場呼びが割当てられた場合、図2に示すように、階床Xにおいて、カゴ呼びを登録した利用者U1がカゴ1aから正面側乗場3に降車し、乗場呼びを登録した利用者U2が正面側乗場3からカゴ1aに乗車することになる。
すなわち、カゴ1aから正面側乗場3に降車する動線F1と、正面側乗場3からカゴ1aに乗車する動線F2と、が発生する。これらの動線F1,F2は、逆方向であり、かつ、重複する。
このように、逆方向の重複する動線が発生した場合、階床Xにおいて、利用者の乗降を完了するためには、まず、カゴ1aから正面側乗場3に利用者U1が降車し、その後、正面側乗場3からカゴ1aに利用者U2が乗車する、という2段階の工程が必要になる。したがって、利用者の乗降に要する時間が長くなり、動線の効率が低くなる。このため、階床Xへの正面側の乗場呼びを割当てた場合のカゴ1aの動線評価値は、低く計算される。
一方、上記のカゴ1aに、階床Xへの背面側の乗場呼びが割当てられた場合、図3に示すように、階床Xにおいて、カゴ呼びを登録した利用者U1がカゴ1aから正面側乗場3に降車し、乗場呼びを登録した利用者U3が背面側乗場4からカゴ1aに乗車する。
すなわち、カゴ1aから正面側乗場3へ降車する動線F1と、背面側乗場4からカゴ1aに乗車する動線F3と、が発生する。これらの動線F1,F3は、同一方向であり、かつ、重複しない。
このように、逆方向の重複する動線が発生しない場合、カゴ1aから正面側乗場3への利用者U1の降車と、背面側乗場4からカゴ1aへの利用者U3の乗車と、が同時に実行され、階床Xにおける利用者の乗降は1工程で可能となる。したがって、利用者の乗降に要する時間が短くなり、動線の効率が高くなる。このため、階床Xへの背面側の乗場呼びを割当てた場合のカゴ1aの動線評価値は、高く計算される。
動線評価部54は、乗場呼び登録部53が新たな乗場呼びを登録すると、各カゴ1a〜1cの動線評価値をそれぞれ計算する。計算されたカゴ1a〜1cの動線評価値は、割当て決定部56に入力される。
運行評価部55は、乗場呼び登録部53が新たな乗場呼びを登録すると、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を取得し、情報管理部52から各カゴ1a〜1cの運行情報及び設定情報を取得する。
そして、運行評価部55は、新たな乗場呼びの行先階と、各カゴ1a〜1cの運行状態と、に基づいて、各カゴ1a〜1cの運行評価値を計算する。
運行評価値とは、各カゴ1a〜1cに新たな乗場呼びを割当てた場合の運行状態を評価する値である。運行評価値は、利用者の動線を考慮しない、従来の任意の割当て評価方法を利用して計算すればよい。
例えば、運行評価値は、新たな乗場呼びを割当てた場合の到着予想時間に基づいて計算されてもよい。到着予想時間とは、カゴが乗場呼びの行先階に到着するまでに要すると予想される時間のことである。この場合、運行評価値は、到着予想時間が短いほど高く計算され、到着予想時間が長いほど低く計算される。
また、運行評価値は、新たな乗場呼びを割当てた場合の積載荷重に基づいて計算されてもよい。この場合、運行評価値は、積載荷重が所定値以上の場合に低く評価され、積載荷重が所定値以下の場合に高く評価される。
運行評価値の計算方法は、上記の方法に限られず、到着予想時間と積載荷重とを組み合わせて計算してもよいし、他の方法により計算されてもよい。
運行評価部55は、乗場呼び登録部53が新たな乗場呼びを登録すると、各カゴ1a〜1cの運行評価値をそれぞれ計算する。計算されたカゴ1a〜1cの運行評価値は、割当て決定部56に入力される。
割当て決定部56は、乗場呼び登録部53が新たな乗場呼びを登録すると、動線評価部54から動線評価値を入力され、運行評価部55から運行評価値を入力される。割当て決定部56は、入力された各カゴ1a〜1cの動線評価値及び運行評価値に基づいて、新たな乗場呼びを割当てるカゴを決定する。
より詳細には、割当て決定部56は、各カゴの動線評価値と、各カゴの運行評価値と、から各カゴの割当て評価値を計算する。そして、割当て決定部56は、割当て評価値が最大のカゴに、新たな乗場呼びを割当てる。
割当て評価値は、例えば、動線評価値及び運行評価値にそれぞれ所定の重み付け係数を乗じた値の和として計算される。このとき、割当て評価値は、例えば、以下の式で計算される。
割当て評価値=動線評価値×α+運行評価値×β
割当て評価値=動線評価値×α+運行評価値×β
上記のαは、動線評価値に重み付けする重み付け係数であり、βは、運行評価値に重み付けする重み付け係数である。α=β=1の場合、割当て評価値は、動線評価値と運行評価値との和になる。これらの重み付け係数α,βは、予め設定しておけばよい。なお、重み付け係数α,βは、カゴ、階床、時間帯、積載荷重などに応じて、任意に設定可能である。
割当て決定部56は、新たな乗場呼びを割当てるカゴを決定すると、割当て結果を出力する。出力された割当て結果は、制御指令出力部57に入力される。
制御指令出力部57は、カゴ制御部2a〜2cに制御指令を出力する。出力された制御指令は、上述の通り、運行制御部22a〜22cに入力される。そして、運行制御部22a〜22cは、入力された制御指令に従って、カゴ1a〜1cの運行をそれぞれ制御する。これにより、カゴ1a〜1cの群管理制御が実現される。
制御指令出力部57は、割当て決定部56から割当て結果を入力されると、割当てられたカゴ1を制御するカゴ制御部2の運行制御部22に、割当て指令を出力する。割当て指令を入力された運行制御部22は、割当てられた乗場呼びにカゴ1を応答させる。
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態に係る群管理制御装置5の処理について、具体的に説明する。図4は、本実施形態に係る2方向エレベータの運行状態の一例を示す図である。また、図5は、群管理制御装置5の処理を示すフローチャートである。
以下では、図4に示すように、2方向エレベータは、建物の1F(1階)から6Fに設置されており、カゴ1aは、1Fを上昇中、カゴ1bは2Fを上昇中、カゴ1cは5Fを下降中、であるものとする。また、カゴ1aは、4Fへの背面側のカゴ呼びを登録され、カゴ1bは、4階への正面側のカゴ呼びを登録され、カゴ1cは、2Fへの背面側のカゴ呼びを登録されているものとする。
このとき、4Fの正面側乗場3にいる利用者が、上方向の乗場呼び釦32を押すと、乗場呼び登録部53に乗場呼び要求が入力され、図4に示すように、乗場呼び登録部53が4Fへの正面側の新たな乗場呼びを登録する(ステップS1)。そして、乗場呼び登録部53は、新たな乗場呼びの情報を出力する。出力された新たな乗場呼びの情報は、動線評価部54及び運行評価部55に入力される。
動線評価部54は、新たな乗場呼びの情報を入力されると、新たな乗場呼びの階床及び方向と、各カゴ1a〜1cに登録されたカゴ呼びの階床及び方向と、に基づいて、各カゴ1a〜1cの動線評価値を計算する(ステップS2)。動線評価部54は、カゴ1a〜1cの運行情報を、情報管理部52に要求して取得してもよいし、情報管理部52から定期的に取得してもよい。
ここで、図6は、新たな乗場呼びをカゴ1a〜1cに割当てた場合の、4Fにおける動線を示す図である。図6において、カゴ呼びに応じて発生する動線は実線矢印、乗場呼びに応じて発生する動線は破線矢印で示している。
図6に示すように、カゴ1aに新たな乗場呼びが割当てられた場合、カゴ1aから背面側乗場4に降車する動線と、正面側乗場3からカゴ1aに乗車する動線と、が発生する。また、カゴ1bに新たな乗場呼びが割当てられた場合、カゴ1bから正面側乗場3に降車する動線と、正面側乗場3からカゴ1bに乗車する動線と、が発生する。さらに、カゴ1cに新たな乗場呼びが割当てられた場合、正面側乗場3からカゴ1cに乗車する動線が発生する。
カゴ1a,1cは、4Fにおいて逆方向の重複する動線が発生しないのに対して、カゴ1bは、4Fにおいて逆方向の重複する動線が発生する。このため、カゴ1bの動線評価値は、カゴ1a,1cより低くなるように計算される。
このような動線評価値の計算方法として、新たに登録された乗場呼びを基準にした、カゴ呼びに応じたカゴの配点を予め設定しておく方法が考えられる。この方法では、新たに登録された乗場呼びと階床及び方向が同一のカゴ呼びを登録されたカゴの点数が低くなるように、配点が設定される。
例えば、新たな乗場呼びと行先階及び方向が同一のカゴ呼びはが登録されているカゴは+0点、新たな乗場呼びと行先階及び方向が同一のカゴ呼びが登録されていないカゴは+10点、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されているカゴは+30点、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されていないカゴは+10点、というように予め設定しておけばよい。
上記の配点の場合、カゴ1aの動線評価値は、新たな乗場呼びと行先階及び方向が同一のカゴ呼びが登録されていない(+10点)、かつ、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されている(+30点)ため、40点となる。
また、カゴ1bの動線評価値は、新たな乗場呼びと行先階及び方向が同一のカゴ呼びが登録されている(+0点)、かつ、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されていない(+10点)ため、10点となる。
さらに、カゴ1cの動線評価値は、新たな乗場呼びと行先階及び方向が同一のカゴ呼びが登録されていない(+10点)、かつ、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されていない(+10点)ため、20点となる。
以上まとめると、カゴ1aの評価値は40点、カゴ1bの評価値は10点、カゴ1cの評価値は20点となる。このように、上記の計算方法により、カゴ1bの評価値が、カゴ1a,1cの評価値より低く計算される。
なお、上記の配点において、新たな乗場呼びと行先階が同一で方向が反対のカゴ呼びが登録されているカゴの配点が高く設定されているのは、このようなカゴは、動線の効率が高く、利用者の乗降に要する時間が最短になると考えられるためである。
動線評価部54は、計算した各カゴ1a〜1cの動線評価値を割当て決定部56に入力する。
また、運行評価部55は、新たな乗場呼びの情報を入力されると、新たな乗場呼びの階床と、各カゴ1a〜1cの運行情報及び設定情報と、に基づいて、各カゴ1a〜1cの運行評価値を計算する(ステップS3)。運行評価部55は、カゴ1a〜1cの運行情報及び設定情報を、情報管理部52に要求して取得してもよいし、情報管理部52から定期的に取得してもよい。
運行評価部55は、例えば、新たな乗場呼びの行先階への到着予想時間に基づいて、運行評価値を計算する。この場合、到着予想時間が短いほど、運行評価値は高くなる。図4の例では、カゴ1b、カゴ1a、カゴ1cの順に、到着予想時間は短い。したがって、運行評価部55は、カゴ1bの運行評価値を80点、カゴ1aの運行評価値を70点、カゴ1cの運行評価値を30点、というように、カゴ1b、カゴ1a、カゴ1cの順に運行評価値が高くなるように計算する。
運行評価部55は、計算した各カゴ1a〜1cの運行評価値を割当て決定部56に入力する。なお、本実施形態において、ステップS2とステップS3とは、順番が逆であってもよい。
割当て決定部56は、カゴ1a〜1cの動線評価値及び運行評価値を入力されると、カゴ1a〜1cの割当て評価値を計算する(ステップS4)。動線評価値及び運行評価値の重み付け係数α,βがいずれも1の場合、カゴ1aの割当て評価値は110点(40点+70点)、カゴ1bの割当て評価値は90点(10点+80点)、カゴ1cの割当て評価値は50点(20点+30点)となる。
そして、割当て決定部56は、計算した割当て評価値が最大のカゴを、新たな乗場呼びを割当てるカゴとして決定する(ステップS5)。カゴ1aの割当て評価値が最大であるから、新たな乗場呼びは、カゴ1aに割当てられる。
従来の群管理制御のように、利用者の動線を考慮しなかった場合、新たな乗場呼びは、運行評価値が最大のカゴ1bに割当てられる。これに対して、本実施形態では、利用者の動線を考慮したことにより、カゴ1bより到着予想時間が長いものの、カゴ1bより動線の効率が高いカゴ1aに、新たな乗場呼びが割当てられている。割当て決定部56は、割当て結果を制御指令出力部57に入力する。
割当て結果を入力された制御指令出力部57は、割当て結果に応じた割当て指令を出力する(ステップS6)。これにより、カゴ1aに新たな乗場呼びを割当てる割当て指令が、運行制御部22aに入力される。割当て指令を入力された運行制御部22aは、新たな乗場呼びにカゴ1aを応答させる。
以上説明した通り、本実施形態に係る群管理制御装置3は、動線評価値に基づいて乗場呼びを割当てるカゴを決定する。このように、利用者の動線を考慮して乗場呼びを割当てることにより、利用者の乗降を効率化することができる。
利用者の乗降を効率化することにより、乗降の際の利用者の待ち時間を短縮したり、乗場の混雑を緩和したりすることができる。また、本実施形態に係る群管理制御装置によれば、到着予想時間を計算する際の不確定要素となるカゴの停車時間を短縮できるため、高精度な群管理制御が可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る群管理制御装置5について、図7及び図8を参照して説明する。第1実施形態では、カゴから降車する利用者の動線は考慮されたものの、降車する利用者の人数は考慮されていなかった。このため、降車する利用者が一人の場合も多数の場合も、動線の効率は同様に評価された。本実施形態では、カゴから降車する利用者の人数まで考慮して動線の効率を評価する群管理制御装置5について説明する。
第2実施形態に係る群管理制御装置5について、図7及び図8を参照して説明する。第1実施形態では、カゴから降車する利用者の動線は考慮されたものの、降車する利用者の人数は考慮されていなかった。このため、降車する利用者が一人の場合も多数の場合も、動線の効率は同様に評価された。本実施形態では、カゴから降車する利用者の人数まで考慮して動線の効率を評価する群管理制御装置5について説明する。
図7は、本実施形態に係る2方向エレベータの一例を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係る群管理制御装置5は、降車人数計算部58を備える。他の構成は、第1実施形態と同様である。
降車人数計算部58は、情報管理部52からカゴ1a〜1cの運行情報を入力され、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を入力される。降車人数計算部58は、新たな乗場呼びの情報を入力されると、運行情報に基づいて、新たな乗場呼びの行先階でカゴ1a〜1cから降車する利用者の人数(降車人数)を計算する。
まず、降車人数計算部58は、カゴの積載荷重を利用者の標準体重で除算することにより、カゴに乗車している利用者の人数を計算する。例えば、カゴ1aの積載重量が600kgであり、利用者の標準体重が60kgである場合、カゴ1aに乗車している利用者は10人(600kg/60kg)と計算される。利用者の標準体重は、予め設定しておけばよい。
次に、降車人数計算部58は、カゴに乗車している利用者の人数と、カゴ呼びの登録数と、に基づいて、各階床の降車人数を計算する。例えば、上記のカゴ1aに、異なる階床へのカゴ呼びが2つ登録されていた場合、各階床の降車人数は5人(10人/2)と計算される。また、階床Xへの正面側のカゴ呼び及び背面側のカゴ呼びと、他の階床Yへのカゴ呼びと、の3つのカゴ呼びが登録されている場合には、階床Xの降車人数を6.7人(10人×2/3)、階床Yの降車人数を3.3人(10人×1/3)と計算してもよい。
降車人数計算部58は、新たな乗場呼びの行先階にカゴ呼びが登録されている場合、計算された各階床の降車人数を、新たな乗場呼びの行先階の降車人数として出力する。また、降車人数計算部58は、新たな乗場呼びの行先階にカゴ呼びが登録されていない場合、新たな乗場呼びの行先階の降車人数として0人を出力する。出力された降車人数は、割当て決定部56に入力される。
なお、降車人数の計算方法は、上記の方法に限られない。例えば、降車人数計算部58は、各階床の降車人数のパターンを機械学習することにより、降車人数を計算してもよいし、カゴ内に設置されたカメラの画像を画像解析して降車人数を計算してもよい。
また、降車人数計算部58は、降車人数を計算する代わりに、降車重量を計算してもよい。降車重量とは、カゴから降車する利用者の総重量のことである。この場合、降車人数計算部58は、カゴの積載荷重と、カゴ呼びの登録数と、に基づいて、降車重量を計算すればよい。
本実施形態において、割当て決定部56は、降車人数計算部58から入力された降車人数(又は降車重量)に基づいて、動線評価値の重み付け係数αを補正する。具体的には、重み付け係数αは、乗場呼びの行先階における降車人数が多いほど大きくなるように補正され、乗場呼びの行先階における降車人数が少ないほど小さくなるように補正される。
これは、同一の動線であっても、降車人数が多いほど動線の効率は低下し(利用者の乗降に要する時間が長くなり)、動線の効率の重要度が上昇する一方、降車人数が少ないほど動線の効率は向上し(利用者の乗降に要する時間が短くなる)、動線の効率の重要度が低下する、と考えられるためである。
ここで、図8は、本実施形態に係る群管理制御装置5の処理を示すフローチャートである。図8のステップS1〜S6は、第1実施形態と同様である。図8に示すように、本実施形態では、ステップS3の後、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、降車人数計算部58は、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を入力される。そして、降車人数計算部58は、情報管理部52からカゴ1a〜1cの運行情報取得し、新たな乗場呼びの行先階におけるカゴ1a〜1cの降車人数をそれぞれ計算する。
例えば、図4の例では、階床Xにおけるカゴ1a,1bの降車人数は、カゴ1a,1bにそれぞれ乗車している人数となる。また、階床Xにおけるカゴ1cの降車人数は、0人となる。
降車人数計算部58が計算したカゴ1a〜1cの降車人数は、割当て決定部56に入力される。なお、本実施形態において、ステップS2,S3,S7の順番は任意である。
割当て決定部56は、カゴ1a〜1cの動線評価値、運行評価値、及び降車人数に基づいて、新たな乗場呼びを割当てるカゴを決定する(ステップS5)。割当て決定部56は、例えば、カゴの降車人数が多い場合、重み付け係数αを1.5倍し、カゴの降車人数が少ない場合、重み付け係数αを0.5倍する。そして、割当て決定部56は、補正された重み付け係数α′を用いて、割当て評価値を計算する。割当て評価値は、例えば、以下の式で計算される。
割当て評価値=動線評価値×α′+運行評価値×β
割当て評価値=動線評価値×α′+運行評価値×β
これにより、割当て決定部56は、乗場呼びの行先階における降車人数に基づいて補正された割当て評価値を計算することができる。なお、割当て決定部56は、重み付け係数αを大きくする代わりに、重み付け係数βを小さくし、重み付け係数αを大きくする代わりに、重み付け係数βを小さくすることにより、割当て評価値を補正してもよい。
そして、割当て決定部56は、計算した割当て評価値が最大のカゴを、新たな乗場呼びを割当てるカゴとして決定し、割当て結果を制御指令出力部57に入力する。その後、処理はステップS6に進む。
以上説明したように、本実施形態に係る群管理制御装置5は、カゴからの降車人数に基づいて動線評価値の重み付け係数を補正する。すなわち、群管理制御装置5は、新たな乗場呼びの行先階における降車人数に応じた重み付け係数により、動線評価値及び運行評価値を重み付けして、割当て評価値を計算する。このように、カゴからの降車人数を考慮して動線を評価することにより、動線の効率が重要な場合と重要でない場合とを区別して、乗場呼びをカゴに割当てることができる。これにより、乗場呼びをより効率的にカゴに割当てることが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る群管理制御装置5について、図9及び図10を参照して説明する。本実施形態では、カゴの運行方式に応じて重み付け係数を変化させる群管理制御装置5について説明する。
第3実施形態に係る群管理制御装置5について、図9及び図10を参照して説明する。本実施形態では、カゴの運行方式に応じて重み付け係数を変化させる群管理制御装置5について説明する。
図9は、本実施形態に係る2方向エレベータの一例を示す図である。図9に示すように、本実施形態に係る群管理制御装置5は、係数設定部59を備える。他の構成は、第1実施形態と同様である。
係数設定部59は、カゴの運行方式毎の重み付け係数α,βを記憶している。運行方式には、例えば、カゴが通常運行する通常運行モード、カゴの点検が行われる点検モード、及びラッシュ時におけるラッシュ運行モード、などが含まれる。運行方式毎の重み付け係数α,βは、運行方式に応じて予め設定される。
例えば、通常運行モードの重み付け計数α1は、ラッシュ運行モードの重み付け計数α2より大きく設定され、通常運行モードの重み付け計数β1は、ラッシュ運行モードの重み付け計数β2より小さく設定される。これは、ラッシュ時には、通常時よりも、到着予想時間が短くなるように乗場呼びを割当てることが重要になる、すなわち、動線評価値の重要度が低下する、運行評価値の重要度が上昇する、と考えられるためである。
係数設定部59は、情報管理部52からカゴ1a〜1cの運行情報を取得し、カゴ1a〜1cの運行方式に応じた重み付け係数α,βを出力する。出力された重み付け係数α,βは、割当て決定部56に入力され、割当て評価値の計算に使用される。すなわち、係数設定部59により、運行方式に応じた重み付け係数α,βが設定される。
ここで、図10は、本実施形態に係る群管理制御装置5の処理を示すフローチャートである。図10のステップS1〜S6は、第1実施形態と同様である。図10に示すように、本実施形態では、ステップS3の後、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、係数設定部59は、情報管理部52からカゴ1a〜1cの運行情報を取得し、カゴ1a〜1cの運行方式に応じた重み付け係数α,βを出力する。カゴ1a〜1cの運行方式が異なる場合には、それぞれの運行方式に応じた重み付け係数α,βを出力すればよい。計数設定部59が出力した重み付け係数α,βは、割当て決定部56に入力される。
その後、処理はステップS4に進み、割当て決定部56は、係数設定部59により設定されたカゴ1a〜1cの重み付け計数α,βを使用して、カゴ1a〜1cの割当て評価値をそれぞれ計算する。以降の処理は第1実施形態と同様である。
以上説明した通り、本実施形態に係る群管理制御装置5は、カゴの運行方式に応じた重み付け計数α,βにより、動線評価値及び運行評価値を重み付けして、割当て評価値を計算する。したがって、本実施形態に係る群管理制御装置5は、運行方式に応じたより効率的な乗場呼びのカゴへの割当が可能となる。
なお、以上の説明では、係数設定部59は、カゴの運行方式に応じた重み付け係数α,βを設定したが、重み付け係数α,βの設定方法はこれに限られない。例えば、係数設定部59は、時間帯や曜日に応じた重み付け係数α,βを設定してもよい。また、係数設定部59は、カゴの運行情報に基づいて重み付け係数α,βを計算し、計算された重み付け係数α,βを設定してもよい。
さらに、係数設定部59は、2方向エレベータの設備に応じて重み付け係数α,βを設定してもよい。例えば、正面側乗場3や背面側乗場4に、各カゴの位置を表示するインジケータが設けられている場合の重み付け係数α3を、インジケータが設けられていない場合の重み付け係数α4より小さくし、インジケータが設けられている場合の重み付け係数β3を、インジケータが設けられていない場合の重み付け係数β4より大きくすることが考えられる。理由は以下の通りである。
動線を考慮して乗場呼びの割当を行うと、乗場呼びの行先階に後から到着するカゴに、乗場呼びが割当てられることがある。例えば、図4の例では、4Fへの乗場呼びは、カゴ1bより後から4Fに到着するカゴ1aに割当てられた。正面側乗場3にインジケータが設けられていた場合、4Fの正面側乗場3にいる利用者には、先に到着したカゴ1bが4Fを通過したことがわかってしまうため、利用者に不快感を与える恐れがある。
係数設定部59が、インジケータが設けられている場合の動線評価値の重要度を低下させ、運行評価値の重要度を上昇させることにより、利用者の不快感を与える割当てを抑制することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る群管理制御装置5について、図11及び図12を参照して説明する。第1実施形態では、カゴに乗車する利用者の動線は考慮されたものの、乗車する利用者の人数は考慮されていなかった。このため、乗車する利用者が一人の場合も多数の場合も、動線の効率は同様に評価された。本実施形態では、カゴに乗車する利用者の人数まで考慮して動線の効率を評価する群管理制御装置5について説明する。
第4実施形態に係る群管理制御装置5について、図11及び図12を参照して説明する。第1実施形態では、カゴに乗車する利用者の動線は考慮されたものの、乗車する利用者の人数は考慮されていなかった。このため、乗車する利用者が一人の場合も多数の場合も、動線の効率は同様に評価された。本実施形態では、カゴに乗車する利用者の人数まで考慮して動線の効率を評価する群管理制御装置5について説明する。
図11は、本実施形態に係る2方向エレベータの一例を示す図である。図11に示すように、本実施形態において、正面側乗場3は、正面側カメラ33を備え、背面側乗場4は、背面側カメラ43を備え、群管理制御装置5は、乗車人数計算部60を備える。他の構成は、第1実施形態と同様である。
正面側カメラ33は、正面側乗場3を撮影するカメラである。正面側カメラ33は、正面側乗場3を撮影可能なように、正面側乗場3の天井や壁面に設けられる。図11において、正面側カメラ33は、1つ設けられているが、複数も設けられてもよい。正面側カメラ33が撮影した正面側乗場3の画像(正面側乗場画像)は、群管理制御装置5に入力される。
背面側カメラ43は、背面側乗場4を撮影するカメラである。背面側カメラ43は、背面側乗場4を撮影可能なように、背面側乗場4の天井や壁面に設けられる。図11において、背面側カメラ4は、1つ設けられているが、複数も設けられてもよい。背面側カメラ43が撮影した背面側乗場4の画像(背面側乗場画像)は、群管理制御装置5に入力される。
なお、図11の例では、2方向エレベータは、正面側カメラ33と背面側カメラ43との両方を備えるが、いずれか一方だけ備える構成も可能である。
乗車人数計算部60は、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を入力されると、正面側カメラ33が出力した正面側乗場画像と、背面側カメラ43が出力した背面側乗場画像と、を取得する。そして、乗車人数計算部60は、取得した画像に基づいて、新たな乗場呼びの行先階で乗場から各カゴに乗車する利用者の人数(乗車人数)を計算する。
まず、乗車人数計算部60は、新たな正面側の乗場呼びが登録されると、登録された乗場呼びの行先階Xの正面側乗場3の画像を画像解析することにより、階床Xの正面側乗場3にいる利用者の人数を取得する。乗車人数計算部60は、例えば、顔検出技術を利用することにより、利用者の人数を取得すればよい。
次に、乗車人数計算部60は、取得した利用者の人数と、その階床Xへの正面側の乗場呼びの登録数と、に基づいて、各カゴの乗車人数を計算する。例えば、階床Xの正面側乗場3に10人の利用者がおり、階床Xへの正面側の乗場呼びが上方向又は下方向の1つだけ登録されている場合、各カゴの乗車人数は、10人(10人/1)と計算される。また、階床Xの正面側乗場3に10人の利用者がおり、階床Xへの正面側の乗場呼びが上方向及び下方向の2つ登録されている場合、各カゴの乗車人数は、5人(10人/2)と計算される。
乗車人数計算部60は、計算された各カゴの乗車人数を、新たな乗場呼びの行先階の乗車人数として出力する。出力された乗車人数は、割当て決定部56に入力される。
同様に、乗車人数計算部60は、新たな背面側の乗場呼びが登録されると、登録された乗場呼びの行先階Xの背面側乗場画像を画像解析することにより、階床Xの背面側乗場4にいる利用者の人数を取得する。乗車人数計算部60は、例えば、顔検出技術を利用することにより、利用者の人数を取得すればよい。
次に、乗車人数計算部60は、取得した利用者の人数と、その階床Xへの背面側の乗場呼びの登録数と、に基づいて、各カゴの乗車人数を計算する。例えば、階床Xの背面側乗場4に10人の利用者がおり、階床Xへの背面側の乗場呼びが上方向又は下方向の1つだけ登録されている場合、各カゴの乗車人数は、10人(10人/1)と計算される。また、階床Xの背面側乗場4に10人の利用者がおり、階床Xへの背面側の乗場呼びが上方向及び下方向の2つ登録されている場合、各カゴの乗車人数は、5人(10人/2)と計算される。
乗車人数計算部60は、計算された各カゴの乗車人数を、新たな乗場呼びの行先階の乗車人数として出力する。出力された乗車人数は、割当て決定部56に入力される。
なお、乗車人数の計算方法は、上記の方法に限られない。例えば、乗車人数計算部60は、各階床の乗車人数のパターンを機械学習することにより、乗車人数を計算してもよい。
本実施形態において、割当て決定部56は、乗車人数計算部60から入力された乗車人数に基づいて、動線評価値の重み付け係数αを補正する。具体的には、重み付け係数αは、乗場呼びの行先階における乗車人数が多いほど大きくなるように補正され、乗場呼びの行先階における乗車人数が少ないほど小さくなるように補正される。
これは、同一の動線であっても、乗車人数が多いほど動線の効率は低下し(利用者の乗降に要する時間が長くなり)、動線の効率の重要度が上昇する一方、乗車人数が少ないほど動線の効率は向上し(利用者の乗降に要する時間が短くなる)、動線の効率の重要度が低下する、と考えられるためである。
ここで、図12は、本実施形態に係る群管理制御装置5の処理を示すフローチャートである。図12のステップS1〜S6は、第1実施形態と同様である。図12に示すように、本実施形態では、ステップS3の後、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、乗車人数計算部60は、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を入力される。新たな乗場呼びが階床Xへの正面側の乗場呼びである場合、乗車人数計算部60は、正面側カメラ33から正面側乗場画像を取得し、階床Xの正面側乗場3からカゴに乗車する乗車人数を計算する。
例えば、図4の例では、乗車人数計算部60は、4Fの正面側カメラ33から正面側乗場画像を取得し、4Fの正面側乗場3にいる利用者の人数を計算する。4Fには、正面側の乗場呼びのみが登録されているから、乗車人数は、4Fの正面側乗場3にいる利用者の人数となる。
乗車人数計算部60が計算した乗車人数は、割当て決定部56に入力される。なお、本実施形態において、ステップS2,S3,S9の順番は任意である。
割当て決定部56は、カゴ1a〜1cの動線評価値、運行評価値、及び乗車人数に基づいて、新たな乗場呼びを割当てるカゴを決定する(ステップS5)。割当て決定部56は、例えば、階床Xの乗車人数が多い場合、重み付け係数αを1.5倍し、階床Xの乗車人数が少ない場合、重み付け係数αを0.5倍する。そして、割当て決定部56は、補正された重み付け係数α′を用いて、割当て評価値を計算する。割当て評価値は、例えば、以下の式で計算される。
割当て評価値=動線評価値×α′+運行評価値×β
割当て評価値=動線評価値×α′+運行評価値×β
これにより、割当て決定部56は、乗場呼びの行先階における乗車人数に基づいて補正された割当て評価値を計算することができる。なお、割当て決定部56は、重み付け係数αを大きくする代わりに、重み付け係数βを小さくし、重み付け係数αを大きくする代わりに、重み付け係数βを小さくすることにより、割当て評価値を補正してもよい。
そして、割当て決定部56は、計算した割当て評価値が最大のカゴを、新たな乗場呼びを割当てるカゴとして決定し、割当て結果を制御指令出力部57に入力する。その後、処理はステップS6に進む。
以上説明したように、本実施形態に係る群管理制御装置5は、新たな乗場呼びの行先階における乗車人数に基づいて動線評価値の重み付け係数を補正する。すなわち、群管理制御装置5は、新たな乗場呼びの行先階における乗車人数に応じた重み付け係数により動線評価値及び運行評価値を重み付けして、割当て評価値を計算する。このように、乗場からの乗車人数を考慮して動線を評価することにより、動線の効率が重要な場合と重要でない場合とを区別して、乗場呼びをカゴに割当てることができる。これにより、乗場呼びをより効率的にカゴに割当てることが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る群管理制御装置5について、図13〜図15を参照して説明する。第1実施形態〜第4実施形態の2方向エレベータでは、利用者はカゴ呼びの方向を指定して登録することができた。これに対して、本実施形態では、カゴ呼びの方向を指定できない2方向エレベータについて説明する。
第5実施形態に係る群管理制御装置5について、図13〜図15を参照して説明する。第1実施形態〜第4実施形態の2方向エレベータでは、利用者はカゴ呼びの方向を指定して登録することができた。これに対して、本実施形態では、カゴ呼びの方向を指定できない2方向エレベータについて説明する。
図13は、本実施形態に係る2方向エレベータの一例を示す図である。図13に示すように、本実施形態において、各カゴ1は、正面側カゴ呼び釦13及び背面側カゴ呼び釦14の代わりに、カゴ呼び釦15を備える。また、群管理制御装置5は、動線評価部54の代わりに、戸開方向決定部61を備える。他の構成は、第1実施形態と同様である。
カゴ1aは、正面側カゴ呼び釦13a及び背面側カゴ呼び釦14aの代わりに、各階床のカゴ呼び釦15aを備える。カゴ呼び釦15aは、カゴ呼びを登録するための釦であり、行先階毎に設けられる。利用者が、ある階床Xのカゴ呼び釦15aを押すと、階床Xへのカゴ呼びが登録される。
より詳細には、カゴ呼び釦15aは、利用者により押されると、カゴ呼び要求を出力する。カゴ呼び釦15aが出力したカゴ呼び要求は、カゴ制御装置2aに入力され、カゴ呼びが登録される。
ただし、カゴ呼び釦15aは、正面側カゴ呼び釦13a及び背面側カゴ呼び釦14aとは異なり、カゴ呼びの方向を指定できない。このため、カゴ呼び釦15aによりカゴ呼びが登録された時点では、登録されたカゴ呼びの行先階において、正面側及び背面側のどちらが戸開するかは決まっていない。本実施形態では、カゴ1aの戸開方向は、戸開方向決定部61により決定される。
なお、図1の例では、正面側カゴ呼び釦15aは、右側面にのみ設けられているが、左側面に設けられていてもよいし、両側面に設けられてもよい。
カゴ1b,1cは、いずれもカゴ1aと同様の構成を有する。すなわち、カゴ1bは、正面側カゴ呼び釦13b及び背面側カゴ呼び釦14bの代わりに、各階床のカゴ呼び釦15bを備える。また、カゴ1cは、正面側カゴ呼び釦13c及び背面側カゴ呼び釦14cの代わりに、各階床のカゴ呼び釦15cを備える。カゴ呼び釦15b,15cの構成は、カゴ呼び釦15aの構成と同様であるため、説明を省略する。
戸開方向決定部61は、利用者の動線を考慮して、カゴ呼びの行先階における戸開方向を決定する。戸開方向決定部61は、決定した戸開方向を出力する。出力された戸開方向は、制御指令出力部57に入力される。制御指令出力部57は、戸開方向決定部61により決定された戸開方向を戸開させる制御指令(戸開指令)を出力する。制御指令出力部57から戸開指令を入力されたカゴ制御装置23は、カゴ呼びの行先階において、戸開方向決定部61が決定した方向のカゴ1のドアを戸開させる。
例えば、階床Xへのカゴ呼びがカゴ1aに登録され、戸開方向決定部61が行先階Xにおけるカゴ1aの戸開方向を正面側に決定した場合、決定された戸開方向が制御指令出力部57に入力される。制御指令出力部57は、階床Xにおいて正面側ドア11aを戸開させる戸開指令を、カゴ制御装置23aに入力する。そして、カゴ制御装置23aは、カゴ1aを階床Xに移動させ、正面側ドア11aを戸開させる。
戸開方向決定部61は、情報管理部52から各カゴ1の運行情報を取得し、乗場呼び登録部53から新たな乗場呼びの情報を取得し、割当て決定部56から新たな乗場呼びへのカゴの割当て結果を取得する。戸開方向決定部61は、取得した情報に基づいて、カゴ呼びの行先階における戸開方向を決定する。
ここで、戸開方向の決定方法について説明する。以下では、カゴ1aに階床Xへのカゴ呼びが登録され、戸開方向決定部61は、階床Xにおけるカゴ1aの戸開方向を決定するものとする。
戸開方向決定部61は、カゴ呼びの行先階Xへの乗場呼びが登録されていない場合、任意の方法で戸開方向を決定することができる。例えば、戸開方向決定部61は、予め設定された設定方向を戸開方向として決定する。設定方向は、正面側又は背面側の一方でもよいし、両方でもよい。また、設定方向は、階床毎に設定されてもよいし、時間帯毎に設定されてもよい。さらに、戸開方向決定部61は、階床Xに正面側カメラ33及び背面側カメラ43が設けられている場合、階床Xの正面側乗場画像及び背面側乗場画像を取得し、取得した画像に基づいて各乗場にいる利用者の人数を計算し、人数が少ない乗場の方向を戸開方向として決定してもよい。
戸開方向決定部61は、カゴ呼びの行先階Xへの乗場呼びが登録されているものの、この乗場呼びがカゴ1aに割当てられていない場合、乗場呼びの方向と反対の方向を戸開方向として決定する。すなわち、戸開方向決定部61は、階床Xへの正面側の乗場呼びが登録されている場合には、カゴ1aの階床Xにおける戸開方向を背面側に決定する。また、戸開方向決定部61は、階床Xへの背面側の乗場呼びが登録されている場合には、カゴ1aの階床Xにおける戸開方向を正面側に決定する。
これは、群管理制御の精度の低下を抑制するためである。乗場呼びと同じ方向のドアが戸開すると、カゴ1aに利用者が乗車してしまい、結果として、カゴ1aに乗場呼びが割当てられたのと同じ状態になってしまう。このような意図しない乗場呼びの割当が発生すると、群管理制御の精度が低下する。戸開方向決定部61が、乗場呼びと反対側のドアを戸開方向として決定することにより、このような群管理制御の精度の低下を抑制することができる。
戸開方向決定部61は、カゴ呼びの行先階Xへの乗場呼びが登録され、かつ、この乗場呼びがカゴ1aに割当てられている場合、両側を戸開方向として決定する。これにより、階床Xにおいて生じる動線を効率化することができる。
例えば、カゴ1aに階床Xへの正面側の乗場呼びが割当てられている場合、階床Xの正面側乗場3にいる利用者は、正面側乗場3からカゴ1aに乗車する。この際、カゴ1aの背面側が戸開していないと、カゴ1aの利用者は、カゴ1aから正面側乗場3に降車しなければならないため、逆方向の動線が重複し、動線の効率が低下する。
これに対して、カゴ1aの背面側が戸開していると、カゴ1a内の利用者は、階床Xの背面側乗場4に降車することができる。このため、カゴ1aに乗車する利用者の動線と、カゴ1aから降車する利用者の動線と、が重複しなくなり、動線を効率化することができる。これは、カゴ1aに階床Xへの背面側の乗場呼びが割当てられている場合も同様である。
なお、戸開方向決定部61は、カゴ呼びが登録されたタイミングで、登録されたカゴ呼びの行先階Xにおける戸開方向を決定してもよい。この場合、戸開方向の決定後に、カゴ呼びの行先階Xに、新たな乗場呼びが登録された場合、戸開方向決定部61は、新たな乗場呼びの方向に基づいて、行先階Xにおける戸開方向を決定し直せばよい。
また、戸開方向決定部61は、カゴ呼びが登録された後、登録されたカゴ呼びの行先階Xにカゴ1aが到着する直前に、行先階Xにおける戸開方向を決定してもよい。この場合、戸開方向の再決定は不要となる。
さらに、本実施形態では、動線評価値が計算されないため、割当て決定部56は、運行評価値に基づいて、乗場呼びの割当を決定する。すなわち、本実施形態では、運行評価値が割当て評価値として使用される。
次に、図14及び図15を参照して、本実施形態に係る群管理制御装置5の処理について、具体的に説明する。図14は、本実施形態に係る2方向エレベータの運行状態の一例を示す図である。また、図15は、群管理制御装置5の処理を示すフローチャートである。なお、図15のステップS1,S3,S5,S6は、第1実施形態と同様である。
以下では、図14に示すように、2方向エレベータは、建物の1Fから6Fに設置されており、カゴ1aは、1Fを上昇中、カゴ1bは2Fを上昇中、カゴ1cは5Fを下降中、であるものとする。また、カゴ1aは、4F及び6Fへのカゴ呼びを登録され、カゴ1bは、4Fへのカゴ呼びを登録され、カゴ1cは、2Fへのカゴ呼びを登録されているものとする。さらに、戸開方向決定部61は、新たな乗場呼びに基づいて、戸開方向を決定し直すものとする。
このとき、4Fの正面側乗場3にいる利用者が、上方向の乗場呼び釦32を押すと、乗場呼び登録部53に乗場呼び要求が入力され、図14に示すように、乗場呼び登録53が4Fへの正面側の新たな乗場呼びを登録する(ステップS1)。そして、乗場呼び登録部53は、新たな乗場呼びの情報を出力する。出力された新たな乗場呼びの情報は、運行評価部55及び戸開方向決定部61に入力される。
運行評価部55は、新たな乗場呼びの情報を入力されると、新たな乗場呼びの階床と、各カゴ1a〜1cの運行情報及び設定情報と、に基づいて、各カゴ1a〜1cの運行評価値を計算する(ステップS3)。計算されたカゴ1a〜1cの運行評価値は、割当て決定部56に入力される。
そして、割当て決定部56は、入力された運行評価値に基づいて、新たな乗場呼びを割当てるカゴとして決定する(ステップS5)。
ここでは、新たな乗場呼びは、カゴ1aに割当てられるものとする。これは、カゴ1bの方が4Fへの到着予想時間は短いものの、カゴ1bに新たな乗場呼びを割当てると、カゴ1a,1bが両方とも5F以上に位置することになり、配車が非効率になるためである。カゴ1aは、乗場呼びの割当てに関わらず、6Fへ移動することが決まっているため、新たな乗場呼びをカゴ1aに割当てる方が、配車は効率的になると考えられる。
割当て決定部56は、割当て結果を制御指令出力部57及び戸開方向決定部61に入力する。割当て結果を入力された制御指令出力部57は、運行制御部22bに割当て指令を出力する(ステップS6)。
また、割当て結果を入力された戸開方向決定部61は、情報管理部52から運行情報を取得し、割当て結果と運行情報とに基づいて、4Fにおける戸開方向を決定する。図4の例では、カゴ1a,1bが4Fで停車するため、戸開方向決定部61は、カゴ1a、1bの戸開方向を決定する(ステップS10)。
カゴ1bは、4Fへのカゴ呼びを登録され、かつ、4Fへの乗場呼びを割当てられていないため、戸開方向決定部61は、カゴ1bの戸開方向を、4Fへの乗場呼びと反対の背面側に決定する。
カゴ1aは、4Fへのカゴ呼びを登録され、かつ、4Fへの乗場呼びを割当てられているため、戸開方向決定部61は、カゴ1aの戸開方向を両側に決定する。
戸開方向決定部61は、決定したカゴ1a,1bの戸開方向を制御指令出力部57に入力する。戸開方向を入力された制御指令出力部57は、入力された戸開方向に応じた戸開指令を出力する(ステップS11)。これにより、4Fで背面側を戸開させる戸開指令が運行制御部22aに入力され、4Fで両側を戸開させる戸開指令が運行制御部22bに入力される。
その後、カゴ1aは、4Fへ移動し、背面側ドア12aを戸開する。また、カゴ1bは、4Fへ移動し、正面側ドア11b及び背面側ドア12bを戸開する。
以上説明した通り、本実施形態に係る群管理制御装置5は、利用者がカゴ呼びの方向を指定できない2方向エレベータの戸開方向を、利用者の動線を考慮して決定する。これにより、群管理制御の精度の向上や、カゴの停車時に発生する動線を効率化が可能となる。
本実施形態に係る2方向エレベータは、その施設に不慣れな利用者が多く利用する施設(例えば、大型の商業施設)での使用に好適である。これは、施設に不慣れな利用者にとって、適切な戸開方向を指定してカゴ呼びを登録することは困難なためである。本実施形態に係る2方向エレベータは、利用者が戸開方向を指定する必要が無いため、利用者の負担を軽減することができる。
なお、本実施形態に係る2方向エレベータのカゴは、戸開方向を表示する表示装置や、戸開方向をアナウンスするスピーカを備えるのが好ましい。カゴが行先階に到着する直前に、表示装置やスピーカによって戸開方向をカゴ内の利用者に通知することにより、利用者の利便性を向上させることができる。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1:カゴ、2:カゴ制御装置、3:正面側乗場、4:背面側乗場、5:群管理制御装置、11:正面側ドア、12:背面側ドア、13:正面側カゴ呼び釦、14:背面側カゴ呼び釦、15:カゴ呼び釦、21:カゴ呼び登録部、22:運行制御部、23:運行情報出力部、31:正面側ドア、32:正面側乗場呼び釦、33:正面側乗場カメラ、41:背面側ドア、42:背面側乗場呼び釦、43:背面側乗場カメラ、51:設定情報記憶部、52:情報管理部、53:乗場呼び登録部、54:動線評価部、55:運行評価部、56:割当て決定部、57:制御指令出力部、58:降車人数計算部、59:係数設定部、60:乗車人数計算部、61:戸開方向決定部
Claims (5)
- 2方向にドアを有するカゴを複数備えた2方向エレベータを群管理制御する群管理制御装置であって、
新たに登録された乗場呼びと、前記カゴに登録されたカゴ呼びと、に基づいて、前記カゴに前記乗場呼びを割当てた場合に生じる前記カゴから降車する利用者の動線及び前記カゴへ乗車する利用者の動線を評価する動線評価値を、前記カゴ毎に計算する動線評価部と、
前記乗場呼びと、前記カゴの運行状態に基づいて、前記カゴに前記乗場呼びを割当てた場合の運行状態を評価する運行評価値を、前記カゴ毎に計算する運行評価部と、
前記動線評価値と、前記運行評価値と、に基づいて、前記乗場呼びを割当てる前記カゴを決定する割当て決定部と、
を備える群管理制御装置。 - 前記動線評価部は、前記乗場呼びの行先階及び方向と、前記カゴ呼びの行先階及び方向と、に基づいて前記動線評価値を計算する
請求項1に記載の群管理制御装置。 - 前記乗場呼びの行先階で降車する降車人数を計算する降車人数計算部を備え、
前記割当て決定部は、前記降車人数に応じた重み付け係数により前記動線評価値及び前記運行評価値の少なくとも一方を重み付けする
請求項1又は請求項2に記載の群管理制御装置。 - 前記カゴの運行方式に応じた前記動線評価値及び前記運行評価値の重み付け係数を設定する係数設定部を備え、
前記割当て決定部は、前記係数設定部により設定された前記重み付け係数により前記動線評価値及び前記運行評価値の少なくとも一方を重み付けする
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の群管理制御装置。 - 前記乗場呼びの行先階で乗車する乗車人数を計算する乗車人数計算部を備え、
前記割当て決定部は、前記乗車人数に応じた重み付け係数により前記動線評価値及び前記運行評価値の少なくとも一方を重み付けする
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の群管理制御装置。
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