JP6018495B2 - オレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

オレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法に関し、特に、高発泡で感触の良いオレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
天然皮革に類似した質感を有する素材として、人工皮革や合成皮革がある。これらは、天然皮革に比べて軽量で耐水性があり、手入れが容易である等のメリットがあるため、従来から多くの需要がある。近年では、高級感があり、ソフトな風合いを有する素材を提供するために、例えば、スエード調の人工皮革の研究が盛んに行われているが、これらのスエード調の人工皮革を得るための方法としては、主に以下の4つの方法が提案されている。
第1の方法は、溶媒に微粒子を混合し、意匠面に塗布して乾燥させることによりスエード調の人工皮革を得る方法である。
このような方法としては、例えば特許文献1に、有機溶剤に粉砕された皮革を混合し、意匠面に塗布した後に、乾燥しバフ研磨することでスエード調にする方法が開示されている。しかし、特許文献1の方法では、有機溶剤を用いるため、作業性及び環境性が良いものとは言えない。
また、特許文献2には、意匠面の濡れ性をコロナ処理、プラズマ処理等を用いて制御した後、ビーズ顔料又は合成樹脂ビーズを含有する塗料をスクリーン印刷することによってスエード調にする方法が開示されている。しかし、特許文献2の方法では、濡れ性を制御する装置の設置コストがかかるだけでなく、表面処理後のポットライフの問題もあるため一定の品質を維持することは容易でない。また、乾燥工程を考慮した場合、有機溶剤を用いると作業性及び環境性の観点で好ましくなく、水溶媒系の場合には乾燥時間が長くなるためサイクルタイムの観点で生産性が低下することは容易に想像することができる。
さらに、特許文献3には、ポリアミノ酸樹脂粉末やシリカ粒子等を混合したポリウレタン系有機溶剤分散体を塗布することでスエード調にする方法が開示されている。しかし、特許文献3の方法では、特許文献1及び2と同様に有機溶剤を用いるため、作業性及び環境性の観点で好ましくない。
第2の方法は、短繊維を集めてバインダで固定化した後に、バフ研磨することによりスエード調の人工皮革を得る方法である。
このような方法としては、例えば特許文献4に、ポリエステルから成る極細繊維を紡糸した後に短くカットし、薄手の織物の両面にカットした極細繊維を積層させ、例えば高圧の水流等を用いて繊維交錯体を作成し、高分子弾性体を含浸させた後にバフ研磨によって起毛させ、染色等の仕上げ作業をする方法が開示されている。しかし、特許文献4の方法では、工程数が多く、複雑であり、結果としてコスト増にもつながる。
第3の方法は、異なる素材で芯鞘構造を作成した後に繊維シートを形成し、鞘材を抽出することによりスエード調の人工皮革を得る方法である。
このような方法としては、例えば特許文献5に、アルカリ水溶液に耐性のある芯材とアルカリ水溶液に溶解する鞘材とから成る繊維から繊維シートを作成し、アルカリ水溶液に含浸して鞘材を抽出することで極細繊維を得て人工スエードとする方法が開示されている。特許文献5のように、芯鞘構造を作成した後に鞘材を抽出する方法を用いると、極細繊維が残存するのと同時に鞘が除去された分、空隙率が上がり素材が柔軟性を有することが予想される。しかし、特許文献5の方法では、廃液処理する必要があり、環境に配慮された製造方法とは言い難い。
第4の方法は、意匠面に接着剤を塗布した後に、短繊維を静電作用等を用いて植毛することによりスエード調の人工皮革を得る方法である。
このような方法としては、例えば特許文献6に、意匠面に接着剤を塗布後、合成繊維フロックを静電植毛することによりスエード調にする方法が開示されている。しかし、特許文献6の方法では、植毛の脱落が容易に想像される。また、特許文献6の方法では接着剤を使用するため、環境性が良いものとは言えない。さらに、植毛加工を施す特別な装置が必要となる。
その他、従来のスエード調の人工皮革素材は、例えば特許文献7に開示されているように、ポリエステル系ファイバーとポリウレタンエラストマーとから構成されている場合が多い。しかし、特許文献7に開示されているような素材では、ポリエステル系ファイバーとポリウレタンエラストマーともに耐光性に劣ることから、使用環境によっては白又は明るく淡い色等は、褪色又は変色することも考えられる。
特許第2930639号公報 特開平10−057882号公報 特許第2966891号公報 特開2003−286663号公報 特許第4644971号公報 特許第2551814号公報 特表2011−523985号公報
以上のように、これまでの人工皮革や合成皮革のような素材では、高級感があり、柔軟性(ソフトな風合い)を有する素材を、作業性、環境性及び生産性等の低下、工程数の増加及び複雑化、並びに、褪色や変色等の耐候性の問題等を引き起こすことなく製造できる技術は未だ提案されていない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業性、環境性及び生産性等の低下、工程数の増加及び複雑化、並びに、褪色及び変色等のこれまでの問題点を解消でき、且つ、高級感と柔軟性を兼ね備える新規な素材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂に、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーと非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーとを混合したオレフィン系樹脂組成物を超臨界発泡させることで、高発泡倍率及び高柔軟性を有する発泡体を得ることができ、この発泡体の少なくとも一方の表面においてセル断面を外部に露出させることにより、作業性、環境性及び生産性等の低下、工程数の増加及び複雑化、並びに、褪色及び変色等の問題を生じることなく、高級感と柔軟性を兼ね備える素材を提供できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合したオレフィン系樹脂組成物に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後に減圧しながら押出し成形することにより得られる、複数のセルを有するシート状のオレフィン系樹脂発泡体であって、前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量が、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下であり、少なくとも一方の表面に、外部に露出したセル断面を有する、オレフィン系樹脂発泡体が提供される。
前記オレフィン系樹脂発泡体の10%圧縮硬度が、0.001MPa以上0.008MPa以下であることが好ましい。
前記オレフィン系樹脂発泡体の動摩擦係数が、2.4以上10以下であることが好ましい。
前記オレフィン系樹脂発泡体の密度が、20kg/m以上70kg/m以下であることが好ましい。
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
さらに、前記ポリプロピレン系樹脂が、ホモポリプロピレンであることが好ましい。
前記オレフィン系樹脂発泡体は、前記オレフィン系樹脂組成物中に、発泡核剤を更に含有していてもよい。
前記不活性ガスが、二酸化炭素であることが好ましい。
前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの合計の配合量が、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して23質量%以上であることが好ましい。
前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーが、直鎖状ポリエチレンをハードセグメントとして有し、エチレン−オクテン共重合体をソフトセグメントとして有するブロック共重合体であることが好ましい。
また、本発明によれば、ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを含有するオレフィン系樹脂組成物が発泡した複数のセルを有するシート状のオレフィン系樹脂発泡体であって、前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量が、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下であり、前記発泡体の表層つまりスキン層をスライサー等を用いて裁断した断面における流れ方向に引いた長さ1mmの仮想直線に接触するセルの数が、10個以上であり、少なくとも一方の表面に、外部に露出したセル断面を有する、オレフィン系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明によれば、ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合し、オレフィン系樹脂組成物を得る工程と、溶融状態の前記オレフィン系樹脂組成物に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後、前記不活性ガスが含浸された前記オレフィン系樹脂組成物を減圧しながら押出し成形することで、複数のセルを有するシート状の発泡体を得る工程と、前記シート状の発泡体の少なくとも一方の表面側のセル断面を外部に露出させる工程と、を含み、前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量を、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下とする、オレフィン系樹脂発泡体の製造方法が提供される。
前記ポリオレフィンとしてポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレンを用いることが好ましい。
前記オレフィン系樹脂組成物中に、発泡核剤を更に添加してもよい。
前記不活性ガスとして二酸化炭素を用いることが好ましい。
前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの合計の配合量を、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して23質量%以上とすることが好ましい。
前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、直鎖状ポリエチレンをハードセグメントとして有し、エチレン−オクテン共重合体をソフトセグメントとして有するブロック共重合体を用いることが好ましい。
本発明によれば、作業性、環境性及び生産性等の低下、工程数の増加及び複雑化、並びに、褪色及び変色等のこれまでの問題点を解消でき、且つ、高級感と柔軟性を兼ね備える新規な素材を提供することが可能となる。
本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の構成を模式的に示す垂直断面図である。 同形態に係る結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの分子構造モデルを模式的に示す説明図である。 同形態に係る結晶性エラストマーに対する示差走査熱量測定(DSC)の測定結果の一例を示すグラフである。 同形態に係る非結晶性エラストマーに対する示差走査熱量測定(DSC)の測定結果の一例を示すグラフである。 同形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の製造方法の流れを模式的に示す説明図である。 同形態に係る発泡体と比較するために、セル径(気泡径)が粗い場合のセル断面を示す説明図である。 実施例及び比較例における気泡数のカウント方法の一例を示す説明図である。 実施例及び比較例における動摩擦係数の測定方法の一例を示す説明図である。 実施例3の発泡シート及び化学発泡剤により発泡させた発泡シートの表層つまりスキン層をスライサー等を用いて裁断した断面の電子顕微鏡写真である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造または機能を有するものとする。
なお、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体については、以下の順序で説明する。
1 オレフィン系樹脂発泡体の構成
2 オレフィン系樹脂発泡体の製造方法
3 オレフィン系樹脂発泡体の作用効果
4 オレフィン系樹脂発泡体の用途
≪オレフィン系樹脂発泡体の構成≫
ここでは、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の構造、オレフィン系樹脂発泡体の発泡方法、オレフィン系樹脂組成物の組成、オレフィン系樹脂発泡体の物性の順に説明する。
<オレフィン系樹脂発泡体の構造>
まず、図1を参照しながら、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の構造について説明する。図1は、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の構成を模式的に示す垂直断面図である。
図1に示すように、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」と記載する。)100は、ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「結晶性エラストマー」と記載する。)及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「非結晶性エラストマー」と記載する。)を含有するオレフィン系樹脂組成物110を発泡させた発泡体である。この発泡体100は、内部に複数のセル(気泡)111を有する。また、発泡体100は、その少なくとも一方の表面(図1では、発泡体100の上面又は下面)に、外部に露出したセル断面120を有する。
(発泡体100)
〔形状〕
発泡体100は、後述するように、超臨界状態の不活性ガスを用いた発泡成形によりシート状に形成されている。このシートの厚みは特に制限されるものではないが、例えば、発泡体100を人工皮革や合成皮革に用いる場合には、0.3mm〜2.0mm程度とすればよい。
〔発泡方法〕
発泡体100は、オレフィン系樹脂組成物110を超臨界状態の不活性ガスを用いた発泡成形によりシート状に成形することにより得られる。より具体的には、溶融状態のオレフィン系樹脂組成物110に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後に減圧しながら押出し成形することにより、シート状の発泡体100を得ることができる。なお、当該発泡方法の詳細、特に、超臨界の条件、不活性ガスの種類、押出し成形の方法等については、後述する。
(オレフィン系樹脂組成物110)
オレフィン系樹脂組成物110は、ポリオレフィンマトリックス中に、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー(結晶性エラストマー)及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを含有する(混合させた)樹脂の混合物である。このように、ポリオレフィンマトリックス中にゴム状の弾性力を有するエラストマー成分を添加することで、これら混合樹脂を発泡させた発泡体100に柔軟性や良好な感触を持たせることができる。ただし、ポリオレフィンマトリックス中に添加されるエラストマー成分が非結晶性エラストマーのみであると、発泡剤として樹脂混合物中に含浸させた不活性ガスによる気泡がすぐに外部に抜けてしまい、高発泡倍率(概ね15倍以上)つまり低密度の発泡体を得ることができない。
そこで、本形態においては、ポリオレフィンマトリックス中に、非結晶性エラストマーだけでなく、結晶性エラストマーを適量添加することにより、オレフィン系樹脂組成物110中から気泡を抜け難くして、高発泡倍率の発泡体を得ている。すなわち、結晶性エラストマーを配合することで、オレフィン系樹脂組成物110の気泡の保持能を向上させることができる。このように、結晶性エラストマーを配合することで気泡が抜け難くなるのは、詳しくは後述するが、結晶性エラストマーは、温度が低下すると急激に粘度が高くなるという挙動を示すことから、オレフィン系樹脂組成物110中に含浸された不活性ガスの気泡が外部に抜けるのを抑制するためである。以下、ポリオレフィンマトリックス、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの順に、これらの詳細を説明する。
〔ポリオレフィンマトリックス〕
ポリオレフィンマトリックスは、オレフィン系樹脂組成物110におけるマトリックス樹脂となる成分である。ポリオレフィンマトリックスとして用いられるポリマーは、特に限定されないが、該ポリマーとしては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、プロピレン−エチレン共重合体、(メタ)アクリル系高分子とエチレンとのアイオノマー等が挙げられる。
また、ここで用いるポリオレフィンマトリックスの主たる成分は、融解温度150℃以上でJIS−K7210に規定される230℃、2.16kgfにおけるMFRが5g/10分以下であることが好適であり、3g/10分以下であることがより好適であり、1g/10分以下であることが更に好適である。一方、融解温度は180℃以下であることが好適である。
本形態におけるポリオレフィンマトリックスの主成分としては、ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。ここでいう「ポリプロピレン系樹脂」とは、構成モノマーの主成分がプロピレンであるポリマーであり、本形態においては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンのいずれでもよい。ポリオレフィンがポリエチレンであると、ポリオレフィン系樹脂組成物110を高発泡倍率で発泡させることができない(具体的には、発泡倍率が15倍未満の低倍率になってしまう)可能性がある。この理由は、発泡させる樹脂のガラス転移温度(Tg)により発泡剤として含浸させた不活性ガスによる気泡の抜け易さが異なるのが一つの要因となる。例えば、一般的にポリプロピレンのTgが−10℃、ポリエチレンのTgが−70〜−100℃付近とされており、ガラス転移温度の高いポリプロピレン系樹脂の方がポリエチレンよりも気泡の保持能が高いためである。以上のような理由を考慮すると、ポリオレフィンマトリックスの全量がポリプロピレン系樹脂であることがより好ましい。なお、ポリオレフィンマトリックスの主成分とは、ポリオレフィンマトリックスの最も多くの割合(質量基準)を占める成分を意味する。
また、ポリオレフィンマトリックスとして用いるポリプロピレン系樹脂の結晶化率は、30〜100%が好適であり、30〜80%がより好適であり、30〜70%が更に好適である。当該範囲とすることにより、発泡成形時により冷却固化しやすく、微細なセル111を有する発泡体100を得ることができる。なお、結晶化率は、JIS−K7121プラスチックの転移温度測定方法を参考に算出する。予め200℃にて融解させ、10℃/分の冷却速度で冷却させた試料を昇温10℃/分にて融解させ、融解エネルギーを得る。比較材料としてJIS−K7210に規定される230℃,2.16kgfで評価されたMFRが40g/10分以上のホモポリプロピレン樹脂を同様に測定し得られた融解エネルギー時の結晶化度を100%として評価したいサンプルの結晶化度を算出する。MFRが40g/10分以上のホモポリプロピレンは、融解エネルギーがほぼ一定になるためサチュレートと判断しMFR40以上の材料を比較材料とする。
また、ポリプロピレン系樹脂の結晶化温度(Tc)は、90〜135℃が好適であり、95〜135℃がより好適であり、100〜135℃が更に好適である。当該範囲とすることにより、発泡成形時により冷却固化しやすく、微細なセルの発泡体を得ることができる。なお、結晶化温度は、JIS−K7121に準じて測定する。
本形態では、上記主成分のポリプロピレン系樹脂に対して、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を添加するのが好適である。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては、200℃における溶融張力が5〜50cNのものが好適である。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の融解温度は、主成分であるポリプロピレン系樹脂の融解温度に対して好ましくは±10℃の範囲、結晶化温度に対して好ましくは±20℃である。融解温度が上記の範囲を外れると、複数の材料を混練する際に分散不良が生じる可能性があり、結晶温度が上記の範囲を外れると、発泡により気泡成長した溶融樹脂が冷却固化される温度が不均一となり微細なセル径が得られない可能性がある。融解温度、結晶化温度はJIS−K7121を参考に算出される。上記高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては市販のものが使用でき、具体的にはサンアロマー社の「HMS−PP」、日本ポリプロ社の「ニューフォーマー」等が挙げられる。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の配合比は、主成分であるポリプロピレン系樹脂に対する質量比で1/5〜1/4であることが好適である。高溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂を使用することで、オレフィン系樹脂組成物110の歪硬化性が増し、成形時の気泡の合一を抑制し、セル111の細かい発泡体が得られる。
また、ポリオレフィンマトリックスとして用いるポリプロピレン系樹脂は、前述のように、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンのいずれでもよい。ただし、細かいセル111(径の小さな気泡)の数を多くするという観点からは、ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンであることが好ましい。この理由を以下に説明する。
発泡させるオレフィン系樹脂組成物110の結晶化温度が高いほど、発泡体100に形成されるセル111が細かく(気泡径が小さく)なる。これは、オレフィン系樹脂組成物110の結晶化温度が高いほど、発泡成形に用いる成形機出口からオレフィン系樹脂組成物110が固化するまでの時間が短くなり、該樹脂混合物中に含浸された不活性ガスの気泡成長が抑えられるためである。ここで、結晶化温度は、ホモポリプロピレンが115℃程度であるのに対し、ランダムポリプロピレンが100℃程度であるため、ホモポリプロピレンの方がセル111が細かく(気泡径が小さく)なるため、ホモポリプロピレンの方が好ましい。なお、成形機出口でのオレフィン系樹脂組成物110の温度は190℃程度である。また、下記構造式(1)で表されるホモポリプロピレンが結晶性が高いのに対し、下記構造式(2)で表されるランダムポリプロピレンには、結晶性を阻害する下記構造(3)が含まれているため、不活性ガスの気泡が外部に抜けるのを防止するという観点からは、ホモポリプロピレンの方が好ましい。
(化1)
−(C(CH)−C)− (1)
(化2)
−(C(CH)−C)−(C−C)− (2)
(化3)
−(C−C)− (3)
以上のようなポリオレフィンマトリックスの含有量は、ポリオレフィン系樹脂組成物110全体を100質量部とした場合に、30質量部以上77質量部以下であることが好適であり、40質量部以上77質量部以下であることがより好適であり、45質量部以上77質量部以下であることが更に好適である。また、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、ポリオレフィンマトリックス全体を100質量部とした場合に、30質量部以上77質量部以下であることが好適であり、35重量部以上77質量部以下であることがより好適であり、70質量部以上77質量部以下であることが更に好適である。
〔結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー〕
次に、図2を参照しながら、本形態に係る結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーに(結晶性エラストマー)ついて説明する。図2は、本形態に係る結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの分子構造モデルを模式的に示す説明図である。
図2に示すように、オレフィン系樹脂組成物110中に混合する本形態に係る結晶性エラストマーは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のハードブロックと、エチレン−オクテン共重合体(EOR)の柔軟なソフトブロックとからなるオレフィン系ブロック共重合体である。LLDPEのハードブロックは、融点が高いブロックであり、結晶性エラストマーの結晶化温度以下では架橋点の役割を有する。LLDPEの密度は、一般的には900〜940kg/mとされている。一方、EORのソフトブロックは、コモノマー含量が多い非晶質のブロックであり、ゴムの性質を示す役割を有する。この結晶性エラストマーは、LLDPEが結晶化温度以下では物理的架橋点として作用することでゴム的性質を示し、融解温度以上では溶融して加工が可能となる材料である。
このような結晶性エラストマーをオレフィン系樹脂組成物110中に含有することにより、前述したように、オレフィン系樹脂組成物110の気泡保持能を高め、該樹脂混合物中から気泡を抜け難くする効果を奏し、これにより、高発泡倍率の発泡体100を得ることができる。
また、本形態に係る結晶性エラストマーのメルトフローレイト(MFR)は、特に限定されないが、押出発泡性で高発泡倍率の発泡体を得る観点から、オレフィン系樹脂組成物の組成物としての粘度が高い方が好ましいため、JISK6922−2に規定される190℃、2.16kgでのMFRが、1.0g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以下であることがより好ましい。一方、上記MFRの下限値については特に規定するものではないが、概ね0.01g/10分以上とすればよい。
さらに、本形態に係る結晶性エラストマーの融解温度は、特に限定されないが、後述のオレフィン系樹脂組成物調製工程においてポリオレフィンマトリックスとの混練から主たるポリオレフィンの融点以下である必要があり、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解温度が100〜180℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましい。
また、本形態に係る結晶性エラストマーの結晶化温度は、特に限定されないが、押出発泡工程で冷却によって速やかにオレフィン系樹脂組成物110を結晶化させる観点から、JIS−K7121に準じて測定した結晶化温度が90〜135℃であることが好ましく、90〜125℃であることがより好ましい。
〔非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー〕
オレフィン系樹脂組成物110中に混合する本形態に係る非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー(非結晶性エラストマー)は、結晶化温度を持たないため、結晶化温度以下での結晶性エラストマーが有するような物理的架橋点(ハードブロック)を有しないポリマーである。このような非結晶性エラストマーとしては、粘度が高くゴム的性質を有するものであれば特に限定されないが、例えば、スチレン系エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
これらの非結晶性エラストマーをオレフィン系樹脂組成物110中に含有することにより、前述したように、発泡体100に柔軟性を付与する効果を奏する。
本形態に係る非結晶性エラストマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、押出発泡性で高発泡倍率の発泡体を得る観点から、オレフィン系樹脂組成物の組成物としての粘度が高い方が好ましいため、25万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましい。一方、重量平均分子量の上限値については特に規定するものではないが、概ね60万以下とすればよい。なお、ここでの重量平均分子量は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いてポリスチレン換算で求めた値とする。
〔結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーとの判別方法〕
次に、図3及び図4を参照しながら、本形態に係る結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーとの判別方法について説明する。図3は、本形態に係る結晶性エラストマーに対する示差走査熱量測定(DSC)の測定結果の一例を示すグラフであり、図4は、本形態に係る非結晶性エラストマーに対する示差走査熱量測定(DSC)の測定結果の一例を示すグラフである。
本形態に係る結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーとは、DSCの測定におけるピークの有無を確認することにより判別することができる。具体的には、DSCの測定において、結晶成分の吸熱及び発熱に起因するピークが出現するものを結晶性エラストマーと判別し、該ピークが出現しないものを非結晶性エラストマーと判別することができる。以下、結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーとを判別するためのDSC測定結果の一例を示しながら、両者の判別方法をより詳細に説明する。
まず、結晶性エラストマーのDSCは、以下の条件で行った。
サンプル質量:12.633mg
昇温条件:10℃/min(25℃〜200℃)
降温条件: 5℃/min(200〜0℃)
図3に示すように、結晶性エラストマーを上記昇温条件で加熱すると、結晶性エラストマーの結晶成分{本形態の場合、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)}が吸熱により融解する。このときに、結晶成分の吸熱に伴うピーク(図3の点線で囲んだ下向きのピーク)が出現する。次いで、結晶性エラストマーを上記降温条件で冷却すると、融解した結晶性エラストマーの結晶成分が発熱により再結晶化し、粘度変化が起こる(急激に粘度が高くなる)。このときに、結晶成分の発熱に伴うピーク(図3の点線で囲んだ上向きのピーク)が出現する。
このように、結晶性エラストマーにおいては、結晶成分の吸熱及び発熱に伴うピークが出現する。また、結晶性エラストマーは、冷却時に結晶化温度付近で急激に粘度が高くなることから、結晶性エラストマーが混合されているオレフィン系樹脂組成物110中では、発泡成長する気泡が外部へ抜けることが抑制され、安定してセル111が形成され易くなる。
次に、非結晶性エラストマーのDSCは、以下の条件で行った。
サンプル質量:12.818mg
昇温条件:10℃/min(25℃〜200℃)
降温条件: 5℃/min(200〜0℃)
図4に示すように、非結晶性エラストマーを上記昇温条件で加熱した場合、非結晶性エラストマーには結晶成分が存在しないため、吸熱による結晶成分の融解が起こらない。そのため、結晶性エラストマーで確認できるような吸熱に伴うピークが出現しない。次いで、非結晶性エラストマーを上記降温条件で冷却した場合、加熱時におけるエラストマーの融解が起こらないため、冷却時にも急激な粘度変化が起こらず、結晶性エラストマーで確認できるような発熱に伴うピークも出現しない(図4の点線で囲んだ部分を参照)。
このように、非結晶性エラストマーにおいては、結晶成分がないため、その吸熱及び発熱に伴うピークは出現しない。また、非結晶性エラストマーは、冷却時に急激に粘度が高くなることもないため、エラストマー成分が非結晶性エラストマーのみで、結晶性エラストマーが混合されていないオレフィン系樹脂組成物中では、発泡成長する気泡が容易に外部へ抜けてしまうため、安定してセル111が形成され難い。また、結晶性エラストマーが混合されていないオレフィン系樹脂組成物中では、気泡が壊れて発泡体100の発泡倍率が低くなることもある。
〔結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーの合計の配合量〕
以上説明した結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーは、その合計の配合量が、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して23質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましい。結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーの合計の配合量を23質量%以上とすることで、発泡体100の柔軟性を向上させることができる。
一方、エラストマー成分(結晶性エラストマー及び非結晶性エラストマー)の量が多過ぎると、オレフィン系樹脂組成物110中に含浸させた不活性ガスの気泡が抜け易くなるおそれがあるため、結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーの合計の配合量は、55質量%以下であることが好ましい。
〔結晶性エラストマーの配合量〕
また、結晶性エラストマーの配合量は、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して3質量%以上32質量%以下とする。結晶性エラストマーの配合量が3質量%未満であると、その添加効果、すなわち、気泡を抜け難くしてセル111を安定して形成される効果が十分でない。一方、押出発泡性で高発泡倍率の発泡体を得る観点から、オレフィン系樹脂組成物の組成物としての粘度が高い方が好ましいため、結晶性エラストマーの配合量を32質量%以下とする。また、結晶性エラストマーの添加効果をより向上させるためには、結晶性エラストマーの配合量が、5質量%以上32質量%以下であることが好ましく、10質量%以上32質量%以下であることがより好ましい。
〔発泡核剤〕
本形態に係るオレフィン系樹脂組成物110は、前述した成分の他に、発泡核剤を更に含有していてもよい。本形態で使用できる発泡核剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、シリカ、ゼオライト、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。
このような発泡核剤をオレフィン系樹脂組成物110中に添加することにより、得られるセル111のサイズ(気泡径)を容易且つ任意に調整することができる。これは、発泡核剤が含まれていると、発泡核剤が不活性ガスによる発泡の起点となるため、細かいセル111(径の小さな気泡)安定的に形成することができるためである。一方、発泡核剤が含有されていないと、発泡が任意の場所で同時多発的に起こるため、集中的に発泡が起こる場所があると、その場所で気泡同士が合一して粗いセル(径の大きな気泡)が形成される可能性がある。
発泡核剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して、3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、3質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。発泡核剤の含有量が3質量%未満であると、その添加効果、すなわち、気泡径を容易且つ任意に調整できるという効果が十分でない可能性があり、発泡核剤の含有量が10質量%を超えると、得られる発泡体の柔軟性が損なわれる可能性があるため好ましくない。
〔他の添加剤〕
その他、オレフィン系樹脂組成物110の中には、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて、結晶核剤、顔料、酸化防止剤、滑剤等の他の添加剤が含まれていてもよい。
〔結晶核剤〕
本形態に係るオレフィン系樹脂組成物110は、必要に応じて、結晶核剤を更に含有していてもよい。本形態で使用できる結晶核剤としては、特に限定されないが、例えば、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ヒドロキシ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、リン酸ビス(4−tブチル−フェニル)ナトリウム、メチレンビス(2,4−ジtブチル−フェニル)ホスフェートナトリウム塩、ロジン酸カリウム、ロジン酸マグネシウム、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’,N”−トリス(2−メチルシクロヘキサン−1−イル)プロパン−1,2,3−トリイルカルボキサミド等が挙げられる。これらの結晶核剤として市販されているものを用いてもよく、市販品としては、新日本理化株式会社のゲルオールや株式会社ADEKAのアデカスタブNA11等が挙げられる。
このような結晶核剤をオレフィン系樹脂組成物110中に添加することにより、ポリオレフィンマトリックスの結晶化温度を高温側にシフトさせ、より細かな気泡の発泡体を得ることができる。
結晶核剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましい。結晶核剤の含有量が0.01質量%未満であると、その添加効果、すなわち、より細かな気泡の発泡体を得るという効果が十分でない可能性があり、発泡核剤の含有量が0.5質量%を超えると、添加量による効果はほとんど変化がないため、0.5質量%含有させれば十分である。
〔顔料〕
本形態に係るオレフィン系樹脂組成物110は、必要に応じて、顔料を更に含有していてもよい。本形態で使用できる顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、イソインドリンイエロー、モノアゾレッド、ガンマキナクリドン、銅フタロシアニンブルー等が挙げられ、発泡体100の発泡倍率を低下させなければ種類および含有量に特に制限はない。
〔酸化防止剤〕
本形態に係るオレフィン系樹脂組成物110は、必要に応じて、酸化防止剤を更に含有していてもよい。本形態で使用できる酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、発泡体100の発泡倍率を低下させなければ特に制限はない。これらの酸化防止剤として市販されているものを用いてもよく、市販品としては、例えば、フェノール系酸化防止剤として株式会社ADEKA社製アデカスタブAO−60やBASFジャパン株式会社製イルガノックス1010等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、一般的な添加量は0.1〜0.2質量部である。
(セル111)
再び図1を参照すると、発泡体100は、その内部に複数のセル111を有する。ここでいう「セル」とは、オレフィン系樹脂組成物を発泡させる際に発泡剤として含浸させた不活性ガスの気泡が残存してできた独立気泡又は連続気泡(空隙部分)である。このセル111は、後述するように、オレフィン系樹脂組成物に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後に減圧することにより形成される。
〔セル111の数〕
また、セル111の数は、以下の指標を用いて評価することができる。
発泡体100の表層つまりスキン層をスライサー等を用いて裁断した断面において、該発泡体100の流れ方向に引いた長さ1mmの仮想直線に接触するセル111の数が、10個以上であることが好ましく、16個以上であることがより好ましく、19個以上であることが更に好ましい。セル111の個数がこの範囲であるということは、発泡体100内にセル111がきめ細かく形成されていることを意味する。従って、セル111の数をこの範囲に設定することで、セル断面120における摩擦係数が高くなるため、しっとり感を有する良好な感触や高級感を実現することができる。尚、セル111の数の上限値は特に規定するものではないが、概ね30個以下とすればよい。
セル111の数は、以下のようにして測定することができる。まず、発泡体100の表層つまりスキン層をスライサー等を用いて裁断する。次いで、裁断後の発泡体100のセル断面を電子顕微鏡を用いて写真撮影し、この撮影画像のコントラストを調整し、最も鮮明な画像に対して、発泡体100の流れ方向に水平になるように1mmの直線(前記「仮想直線」に相当)を引き、当該直線に接触する(かかる)セル数をカウントすることによって、セル111の数を測定することができる。
(セル断面120)
図1に示すように、発泡体100は、シート状の形状を有しており、その少なくとも一方の面に外部に露出したセル断面120を有する。ここでいう「セル断面」とは、発泡体100の少なくとも一方の面の表層が裁断、切断又は剥離等されることで、発泡体100内部のセル111の内壁が外部に露出される部位であって、発泡体100の少なくとも一方の表面に形成されるセル111由来の凹部121のことをいう。
このセル断面120は、凹部121の壁面(セル111の内壁であった面の一部)部が、いわば、スエード調の人工皮革又は合成皮革等における起毛部分に相当する役割を有するものである。本形態に係る発泡体100では、細かい(気泡径の小さい)セル111が高発泡倍率で多数形成されていることから、セル断面120における凹部121の壁面の数(スエード調の人工皮革又は合成皮革等における毛の数に相当)も多く形成されている。従って、本形態に係るセル断面120によれば、発泡体100の表面にしっとりとした感触(しっとり感)や高級感を与えることができる。
なお、本形態では、発泡体100の一方の面にセル断面120が形成された場合を例に挙げて説明しているが、発泡体100の両面にセル断面120が形成されていてもよい。
<オレフィン系樹脂発泡体の物性>
次に、前述した構造を有する本形態に係る発泡体100の物性について説明する。以下では、発泡体100の10%圧縮硬度、動摩擦係数、密度の順に述べる。
(10%圧縮硬度)
本形態において、10%圧縮硬度は、発泡体100の柔軟性を表す指標であり、10%圧縮硬度が小さいほど発泡体100の柔軟性が高くなる。この10%圧縮硬度は、JIS−K6767に準拠して測定される値である。具体的には、本形態の圧縮硬度としては、所定の条件にて、発泡体100の試験片を所定の圧縮速度で連続的に圧縮させ、10%圧縮させた時の荷重から算出される。この10%圧縮硬度の値が大きいと、発泡体100は「底つき」という現象に近づき、柔軟性が低くなる(硬くなる)。
〔好適な範囲〕
本形態では、特に、発泡体100の10%圧縮硬度が、0.008MPa以下であることが好ましく、0.007MPa以下であることがより好ましく、0.006MPa以下であることが更に好ましい。10%圧縮硬度を上記範囲とすることで、発泡体100が優れた柔軟性を有し、質感を良好にすることができる。なお、10%圧縮硬度は、低ければ低いほど好ましく、下限値については特に定めない。
〔測定方法〕
10%圧縮硬度は、例えば、以下のようにして測定する。JIS−K6767を参考し、環境温度23±5℃、環境湿度50(+20、−10)%に管理された測定室にて、静的試験機(商品名:オートグラフAG−X、(株)島津製作所製)を用いて、発泡体100の圧縮強度を評価する。試験片は50mm×50mmとし、圧縮速度1mm/分で連続的に発泡体を圧縮させ、10%圧縮させた時の試験力(荷重)をロードセルで読み取り、試験力から、圧縮硬度(圧縮応力)を算出することができる。n数は例えば3とし、3回の測定値の平均値を10%圧縮硬度として用いる。
(動摩擦係数)
本形態において、動摩擦係数は、発泡体100表面の感触の良さ(特に、しっとり感)や高級感を表す指標であり、発泡体100表面(セル断面120が形成されている側の表面)の動摩擦係数が大きいほど、感触が良く高級感があると評価できる。この動摩擦係数は、JIS−K7312を参考にして測定された値である。
〔好適な範囲〕
本形態では、特に、発泡体100のセル断面120が形成されている側の表面の動摩擦係数が、2.4以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましく、8.0以上であることが更に好ましい。動摩擦係数を上記範囲とすることで、発泡体100に優れた感触(特に、しっとりとした感触)や外観における高級感を付与することができる。なお、動摩擦係数の上限値については特に規定するものではないが、概ね10以下とすればよい。
〔測定方法〕
動摩擦係数は、例えば、以下のようにして測定する。厚みが1mmで、発泡体100の流れ方向が試験片の長手方向に対して直交するような、100mm×200mmのサイズの試験片を準備した。次いで、動摩擦係数測定用の試験片を滑り片に粘着テープで張り付け、JIS−K7312を参考にして、試験環境を23℃、50%RHとし、試験速度150mm/minで同一箇所を3回測定した平均値を、発泡体100の動摩擦係数とする。
(密度)
本形態において、密度は、発泡体100の発泡倍率を表す指標であり、発泡体100の密度が小さいほど、発泡体100が高発泡であると評価できる。この発泡体100の密度は、JIS−K7112に準拠した水中置換法で測定された値である。
〔好適な範囲〕
本形態では、発泡体100の密度が、20kg/m以上70kg/m以下であることが好ましく、30kg/m以上70kg/m以下であることがより好ましく、35kg/m以上70kg/m以下であることが更に好ましい。密度を上記範囲とすることで、発泡体100を高発泡(概ね発泡倍率が15倍以上)とすることができ、発泡体100に柔軟性や優れた感触や高級感を付与することができる。
〔測定方法〕
発泡体100の密度は、例えば、JIS−K7112に準拠し、ミラージュ貿易(株)製の電子比重計MD−200Sを用いて水中置換法にて求めることができる。あるいは、発泡体100の密度を、JIS−K7222に準じて測定してもよい。
≪オレフィン系樹脂発泡体の製造方法≫
以上、本形態に係る発泡体100の構成について詳細に説明したが、続いて、図5を参照しながら、前述した構成を有する発泡体100の製造方法について説明する。図5は、本形態に係るオレフィン系樹脂発泡体の製造方法の流れを模式的に示す説明図である。
本形態に係る発泡体100の製造方法は、主に、オレフィン系樹脂組成物調製工程と、発泡成形工程と、セル断面形成工程と、を含む。これら3つの工程は、便宜的に3つに分けたに過ぎず、厳密に3つに分けられている必要はない。以下、各工程における処理の詳細を順に説明する。
<オレフィン系樹脂組成物調製工程>
オレフィン系樹脂組成物調製工程は、ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー等を混合し、オレフィン系樹脂組成物110(図5(a)を参照)を得る工程である。より詳細には、オレフィン系樹脂組成物110の各成分を単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の樹脂混合機械に投入し、溶融混合によってオレフィン系樹脂組成物110を得る。オレフィン系樹脂組成物110はペレット化したものを用いることが好適である。
(オレフィン系樹脂組成物110の成分)
ここで、本形態では、前述したように、細かい(気泡径の小さな)セル111を形成するという観点から、ポリオレフィンとしてポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、更に、このポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレンを用いることが好ましい。また、オレフィン系樹脂組成物110中から気泡を抜け難くするという観点から、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、直鎖状ポリエチレンをハードセグメントとして有し、エチレン−オクテン共重合体をソフトセグメントとして有するブロック共重合体を用いることが好ましい。更に、細かい(気泡径の小さな)セル111を形成するという観点からは、オレフィン系樹脂組成物110中に、発泡核剤を更に添加することが好ましい。
(エラストマー成分の配合量)
また、本形態では、柔軟性、感触の良さ、高級感等を得るために、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーと非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの合計の配合量を、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して23質量%以上とすることが好ましい。さらに、結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量を、オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下とする。
その他の点については、発泡体100の構成で説明したことと同様であるので、詳細な説明を省略する。
<発泡成形工程>
発泡成形工程は、前述したオレフィン系樹脂組成物調製工程で得られたオレフィン系樹脂組成物110を押出機を用いて溶融可塑化した後に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後(図5(b)、但し発泡剤含浸の様子を破線で示したが、オレフィン系樹脂組成物110に均一に溶解していることを示すものである。)、この不活性ガスが含浸されたオレフィン系樹脂組成物を減圧しながら押出成形することで、複数のセルを有するシート状の発泡体(図5(c)を参照)を得る工程である。
(発泡方法)
一般に、樹脂組成物の発泡方法としては、化学発泡剤を使用する方法、水蒸気発泡、超臨界発泡等があるが、より細かいセルを形成する(気泡径を小さくする)ために、本形態では、超臨界発泡を用いて発泡成形を行う。以下、本発泡成形工程についてより詳細に説明する。
(発泡剤)
本工程では、まず、溶融したオレフィン系樹脂組成物110に対して発泡剤として、超臨界状態の不活性ガスを含浸する。ここで用いる不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素等のガスを用いることができるが、これらのうち二酸化炭素を用いることが好ましい。発泡剤として二酸化炭素の方が好ましいのは、窒素がオレフィン系樹脂組成物110に比較的少量しか含浸できないのに対し、二酸化炭素はオレフィン系樹脂組成物110に多量に含浸することができるからである。発泡剤である不活性ガスをオレフィン系樹脂組成物110に多量に含浸させることができれば、オレフィン系樹脂組成物110の発泡倍率を高めることができるため、高発泡倍率の発泡体100を得ることができるためである。また、二酸化炭素の方が窒素よりも分子の大きさが大きいため、オレフィン系樹脂組成物110から抜け難いという理由もある。
(発泡剤の含浸方法)
発泡剤の含浸方法としては、例えば、オレフィン系樹脂組成物110が溶融可塑化された後、溶融ゾーン付近に設けられたインジェクションノズルよりガス供給機により昇圧され超臨界状態になった不活性ガス(発泡剤)を押出機内に吐出し、溶融されたオレフィン系樹脂組成物110中に溶解させる。このように、超臨界状態の不活性ガスを押出機中に導入して、溶融したオレフィン系樹脂組成物110に溶解させることで発泡剤がオレフィン系樹脂組成物110に溶解した状態とする。(図5(b)、但し、発泡剤含浸の様子を破線で示したが、オレフィン系樹脂組成物110に均一に溶解していることを示すものである。)
(超臨界の条件)
ここで、超臨界状態の不活性ガスを発泡剤として用いることにより、発泡体100のセル111の径を微細化できるが、このようにセル111の径を微細化するための超臨界の条件としては、以下の通りである。不活性ガスが二酸化炭素の場合には、圧力を7.3MPa以上かつ温度を31℃以上としなければならない。圧力に関しては8MPa以上とすることがより好ましく、9MPa以上とすることが更に好ましい。二酸化炭素の圧力上限は特に限定されないが、例えば、20MPa以下とすることが現実的である。二酸化炭素の温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂組成物110が熱分解しない程度の温度を設定することができ、例えば、300℃である。また、不活性ガスが窒素の場合には、圧力を3.4MPa以上かつ温度を−147℃以上とすることで超臨界状態が担保される。
(減圧及び押出し成形)
次に、前記発泡剤を含浸させたオレフィン系樹脂組成物110を減圧して発泡体100を得る。押出機の中で溶融したオレフィン系樹脂組成物110に対して超臨界状態の不活性ガスを導入し、所定の超臨界条件で(例えば、不活性ガスが二酸化炭素の場合、温度31℃以上、かつ圧力7.3MPa以上の状態として)、ダイ口から吐出して大気圧まで急激に減圧し、冷却することにより小さくきめの細かいセル111を有する発泡体100を得ることができる。なお、例えば、不活性ガスが二酸化炭素の場合、温度を31℃以上、かつ圧力を7.3MPa以上とすることにより、二酸化炭素が超臨界状態を保つことができるため、オレフィン系樹脂組成物110と超臨界二酸化炭素とが均一に混合される。
また、オレフィン系樹脂組成物110と超臨界状態の不活性ガスとの混合において、大気解放されて上記の圧力以下とならないように2台以上を連結した押出機(タンデム型押出機)を使用し、混合押出処理する工程ライン長をより長くして、混合物の温度を低下させる等して温度調整を行うことが好適である。発泡直前のオレフィン系樹脂組成物110は、当該組成物の流動点付近の温度を有することが好適である。温度を低く保つことにより、発泡前後での圧力差が大きくなり、気泡成長核が多数発生して、きめの細かいセル111を有する発泡体100を得ることができる。また、発泡後、オレフィン系樹脂組成物110をより速やかに冷却し、固化させることができる。そのため、気泡の成長を早期に止めることができ、セル111の径が小さい発泡体100を得易くなる。
押出機におけるダイ構造は、特に限定されず、Tダイ、サーキュラーダイが挙げられる。これらの中でも、厚みが均一な発泡シート100が得られるため、サーキュラーダイが好適である。サーキュラーダイを用いた場合には円筒状の発泡体100が得られるが、一辺を切開することでシート状に成形できる。このようにして、押出成形の際に、Tダイを選択することにより直接的、又は、サーキュラーダイを選択することにより円筒状の発泡体を経て、長尺シート状発泡体を連続成形することができる。
<セル断面形成工程>
セル断面形成工程は、前述した発泡成形工程に得られたシート状の発泡体100の少なくとも一方の表面側のセル断面120を外部に露出させる工程である。
(セル断面120の露出方法)
セル断面120を外部に露出させる方法としては、特に限定されないが、例えば、発泡体100の少なくとも一方の面の表層を裁断、切断又は剥離等する方法が挙げられる。このような方法でセル断面120を外部に露出させることにより、発泡体100内部のセル111の内壁が外部に露出され、発泡体100の少なくとも一方の表面に、セル111由来の凹部121が形成される(例えば図5(d))。このセル断面120により、発泡体100の表面にしっとりとした感触(しっとり感)や高級感を与えることができる点については、前述のとおりである。
(セル断面120を形成する面)
なお、本形態では、発泡体100の一方の面にセル断面120を形成した場合を例に挙げて説明しているが、発泡体100の両面にセル断面120を形成してもよい。
<まとめ>
以上説明したオレフィン系樹脂組成物調製工程、発泡成形工程及びセル断面形成工程を経ることで、前述した構成を有する発泡体100を得ることができる。
≪オレフィン系樹脂発泡体の作用効果≫
次に、図6を参照しながら、前述した構成を有し、前述した製造方法により得られる、本形態に係る発泡体100が奏する作用効果について説明する。図6は、本形態に係る発泡体と比較するために、セル径(気泡径)が粗い場合のセル断面を示す説明図である。
本形態に係る発泡体100は、溶融状態のオレフィン系樹脂組成物110に対して発泡剤を含浸させた後、減圧することにより得られるセル111を有する発泡体であり、発泡剤として、超臨界状態の不活性ガスを用いたものである。本形態では、化学発泡剤を使用する場合等とは異なり、超臨界状態の不活性ガスを用いることによって、発泡剤が無臭気体となるため、臭いや、黒色異物の原因とはならないだけでなく、高発泡倍率で、セル111のサイズ(気泡径)が小さく、キメの細かい発泡体100を得ることができる。そのため、得られる発泡体100が、柔軟であり、且つ、摩擦係数の高い、感触が良く高級感のある発泡体となる。
(細かいセルを有することによる効果)
ここで、図5(c)、(d)と図6を比較しながら、本形態における発泡体100が、細かいセル111を有することにより奏する効果について説明する。
図5(c)及び(d)に示すように、セル111が細かい(気泡径が小さい)と、裁断、剥離等してセル断面120を外部に露出させた際に、セル111由来の凹部121の内壁の数が細かく多くなるため、スエード調の人工皮革等で施される植毛加工で例えるところの毛の数が多くなり、毛の密集度も高い状態となる。従って、発泡体100のセル断面120が形成されている側の表面の摩擦係数が高くなり、しっとりとした良い感触になるとともに、外観上の高級感も付与される。
一方、図6に示すように、セル511が粗い(気泡径が大きい)発泡体500では、裁断、剥離等してセル断面520を外部に露出させた際に、セル511由来の凹部521の内壁の分布がまばらとなり、植毛加工で例えるところの毛の数が少なく、毛の密集度も低い状態となる。従って、発泡体500のセル断面520が形成されている側の表面の摩擦係数も低く、感触が悪く、高級感も付与され難い。
(高発泡倍率を得るために必要な要素)
前述のように、本形態によれば、高発泡倍率の発泡体100を得ることができるのであるが、このように高発泡倍率の発泡体を得るために必要な構成要素としては、以下の(1−1)が挙げられる。さらに、高発泡倍率の発泡体を得るために好適な構成要素としては、以下の(1−2)及び(1−3)が挙げられる。なお、発泡体の発泡倍率は、未発泡の樹脂組成物の密度を所定密度に設定し(例えば、後述する実施例では、900kg/m)、発泡後の発泡体の密度の値を用いて、(未発泡の樹脂組成物の密度/発泡後の発泡体の密度)の式から算出することができる。すなわち、ここでの発泡倍率は、発泡前の密度に対する発泡後の密度の比の逆数となる。
(1−1)オレフィン系樹脂組成物110中に結晶性のエラストマーを配合すること
(1−2)結晶性エラストマーの配合比率を、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して3質量%以上32質量%以下とすること
(1−3)分散剤(不活性ガス)として二酸化炭素を用いること
(細かいセルを形成するのに必要な要素)
前述のように、本形態によれば、細かいセル111を有する発泡体100を得ることができるのであるが、このように細かいセルを有する発泡体を得るために必要な構成要素としては、以下の(2−1)及び(2−2)が挙げられる。さらに、細かいセルを有する発泡体を得るために好適な構成要素としては、以下の(2−3)〜(2−5)が挙げられる。
(2−1)オレフィン系樹脂組成物110中に結晶性のエラストマーを配合すること
(2−2)超臨界発泡により発泡体100を成形すること
(2−3)結晶性エラストマーの配合比率を、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して3質量%以上32質量%以下とすること
(2−4)ポリオレフィンマトリックスとしてホモポリプロピレンを用いること
(2−5)オレフィン系樹脂組成物110中に発泡核剤を配合すること
(柔軟な発泡体を得るのに必要な要素)
前述のように、本形態によれば、柔軟な発泡体100を得ることができるのであるが、このように柔軟な発泡体を得るために必要な構成要素としては、以下の(3−1)が挙げられる。さらに、柔軟な発泡体を得るために好適な構成要素としては、以下の(3−2)が挙げられる。
(3−1)オレフィン系樹脂組成物110中にエラストマー成分を配合すること
(3−2)結晶性エラストマーと非結晶性エラストマーの合計の配合量を、オレフィン系樹脂組成物110の全体に対して23質量%以上とすること
(その他の効果)
その他、本形態に係る発泡体100は、以下のような作用効果を奏する。
第1に、発泡体100は、セル111が細かいことから、表面の摩擦抵抗が高い。そのため、感触の良さや高級感のある外観が得られることから、発泡体100を服飾雑貨等の高級感や質感が求められる用途に使用できる。
第2に、発泡体100は、ポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることから、従来のポリエステル系の樹脂を使用したものよりも耐光性に優れるため、変色や褪色が起こり難い。
第3に、発泡体100は、オレフィン系樹脂組成物110を発泡させた後に表層を裁断等してセル断面120を得ることにより起毛と同じような形態を得ている。このように、発泡体100では、簡易な工程を用いているため、前記特許文献4の方法に代表されるような長い工程を経ずに、感触が良く高級感のある素材を得ることができる。従って、工程が短縮化されるため、コストダウンにもつながる。
≪オレフィン系樹脂発泡体の用途≫
本形態に係る発泡体100の用途としては、特に限定されないが、例えば、トレイ下敷きの滑り止め、スリーブ、容器表皮等の容器包装用途、バッドやラケットのグリップ等のスポーツ用品用途、コースター、ランチョンマット、壁紙等のインテリア用品用途、ハンドルやシフトノブ等の自動車内装材用途、帽子、衣服、カバン、履物、靴の中敷き等の服飾用途、メイクアップ部材やパフ等の化粧品用途、絆創膏やハップ材、アンダーラップテープ等のメディカル用途、ブックカバーやランプシェード、雨具、マフラー等の雑貨用途等、各種用途に適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
≪試料の作成方法≫
まず、本実施例及び比較例の評価に用いた試料の作成方法について説明する。
<実施例1>
ポリオレフィン系マトリックスとして、所望の溶融張力となるように混合したポリプロピレンAとポリプロピレンBとを合計で100質量部と、非結晶性エラストマーとして熱可塑性エラストマーC 30質量部と、結晶性エラストマーとして熱可塑性エラストマーD 8質量部と、発泡核剤としてシリカE 8質量部と、顔料として酸化チタンF 15質量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤H 0.2質量部と、を混合したオレフィン系樹脂組成物を日本製鋼所製2軸押出機で溶融・調製し、超臨界二酸化炭素を温度31℃以上、圧力7.3MPa以上の条件で含浸させた後、溶融材料を押出して実施例1のシート状の発泡体(以下、「発泡シート」と記載する。)を製造した。なお、ポリプロピレンA、ポリプロピレンB、熱可塑性エラストマーC、熱可塑性エラストマーD、シリカE、酸化チタンF、フェノール系酸化防止剤Hの詳細は、以下の通りである。
(ポリプロピレンA)
ポリプロピレンAは、ホモポリプロピレン(H−PP)であって、JIS−K7210に規定される230℃、2.16kgでのメルトフローレイト(MFR)が0.5g/10分であり、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解温度が172℃であり、結晶化温度が113℃である。
(ポリプロピレンB)
ポリプロピレンBは、ホモポリプロピレン(H−PP)系の高溶融張力ポリプロピレン(PP)であって、JIS−K7210に規定される230℃、2.16kgでのメルトフローレイト(MFR)が2.4g/10分であり、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解温度が164℃であり、結晶化温度が131℃であり、溶融張力が32cNである。
(熱可塑性エラストマーC)
熱可塑性エラストマーCは、結晶成分を有しないエチレン−プロピレン−ジエンの三元共重合体である。この三元共重合体は、オルトジクロロベンゼンをキャリーとした高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算を用いた重量平均分子量が30万以上であって、エチレン含量が67重量%であって、ジエン含量が5重量%である。
(熱可塑性エラストマーD)
熱可塑性エラストマーDは、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)をハードセグメントとして有し、エチレン−オクテン共重合体(EOR)をソフトセグメントとして有するオレフィン系ブロック共重合体である。このブロック共重合体は、JISK6922−2に規定される190℃、2.16kgでのメルトフローレイト(MFR)が0.5g/10分であり、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解温度が119℃であり、結晶化温度が93℃である。
(シリカE)
シリカEは、湿式沈降シリカである。
(酸化チタンF)
酸化チタンFは、色粉として酸化チタンをハンドリングよく使うために、マスターバッチ化したものである。
(フェノール系酸化防止剤H)
フェノール系酸化防止剤Hは、フェノール系酸化防止剤として一般的な「ADEKA アデカスタブAO−60(ADEKA社製)」である。
<実施例2>
熱可塑性エラストマーCの配合量を40質量部、熱可塑性エラストマーDの配合量を15質量部とした点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<実施例3>
熱可塑性エラストマーDの配合量を30質量部とした点を除いては、実施例2と同様にして発泡シートを製造した。
<実施例4>
熱可塑性エラストマーCの配合量を50質量部、熱可塑性エラストマーDの配合量を40質量部とした点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<実施例5>
熱可塑性エラストマーDの配合量を60質量部とした点を除いては、実施例4と同様にして発泡シートを製造した。
<実施例6>
熱可塑性エラストマーCの配合量を55質量部、熱可塑性エラストマーDの配合量を80質量部とした点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<比較例1>
熱可塑性エラストマーDを配合しなかった点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<比較例2>
熱可塑性エラストマーCの配合量を55質量部とし、熱可塑性エラストマーDを配合しなかった点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<比較例3>
熱可塑性エラストマーCを配合せず、熱可塑性エラストマーDの配合量を55質量部とした点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<比較例4>
熱可塑性エラストマーCの配合量を70質量部、熱可塑性エラストマーDの配合量を110質量部とした点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
<比較例5>
熱可塑性エラストマーCの配合量を135質量部とし、熱可塑性エラストマーDを配合しなかった点を除いては、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。
≪試料の評価方法≫
次に、前述のようにして作成した実施例1〜6及び比較例1〜5の試料の評価方法について説明する。また、下記方法により評価した評価結果を下記表1に示した。
<気泡数>
気泡数の測定を以下のようにして行った。まず、得られた発泡シートの表層をスライサーを用いて裁断して剥離させた。次いで、電子顕微鏡((株)キーエンス製 マイクロスコープVHX−D510)を用いて観察倍率200倍で発泡シート表面の写真を撮影した。さらに、図7に示すように、同測定機内で得られた画像のコントラストを調整し、最も鮮明な画像に対して、発泡体の流れ方向に水平になるように1mmの直線(図7に破線で示した。)を引き、直線に接触する気泡数をカウントした(図7の例の場合は8個/1mm)。なお、図7は、実施例及び比較例における気泡数のカウント方法の一例を示す説明図である。
<圧縮硬度>
圧縮硬度の評価を以下のようにして行った。JIS−K6767を参考とし、環境温度 23±5℃、環境湿度 50(+20、−10)%に管理された測定室にて、静的試験機(商品名:オートグラフAG−X、(株)島津製作所製)を用いて、発泡シートの圧縮強度を評価した。試験片は50mm×50mmとし、圧縮速度1mm/分で連続的に発泡シートを圧縮させ、10%圧縮させた時の試験力(荷重)をロードセルで読み取り、試験力から、圧縮硬度(圧縮応力)を算出した。なお、n数は3とし、表1には、3回の測定の平均値を記載している。
<発泡体の密度>
発泡体の密度を以下のようにして求めた。JIS−K7112に準拠し、ミラージュ貿易(株)製の電子比重計MD−200Sを用いて水中置換法にて発泡体の密度を求めた。
<発泡倍率>
発泡倍率を以下のようにして求めた。未発泡の材料(オレフィン系樹脂組成物)の密度を900kg/mとし、上記の方法で求めた発泡体の密度から発泡倍率を算出した。具体的には、未発泡の材料の密度/各発泡シートの密度を求める発泡倍率とした。
<オレフィン系樹脂組成物のMFR>
オレフィン系樹脂組成物のMFRを以下のようにして測定した。発泡前のオレフィン系樹脂組成物110を東洋精機製作所(株)製のラボプラストミル10C100のミキサータイプを用いてジャケット容量に対して約80%の充満率として、180℃、100rpmで8分間混練した試料について、JIS−K7210に規定される230℃、2.16kgでのメルトフローレイト(MFR)を測定した。
<動摩擦係数>
発泡シートの動摩擦係数を以下のようにして測定した。図8(a)に示すように、厚みが1mmで、発泡体100の流れ方向が試験片の長手方向に対して直交するような、100mm×200mmのサイズの試験片を準備した。次いで、図8(b)に示すような摩擦係数の測定器を用いて、動摩擦係数測定用の試験片を滑り片と試料台に粘着テープで張り付け、JIS−K7312を参考にして、試験環境を23℃、50%RHとし、試験速度150mm/minで同一箇所を3回測定した平均値を、発泡シートの動摩擦係数とした。なお、図8は、実施例及び比較例における動摩擦係数の測定方法の一例を示す説明図である。
≪試料の評価結果≫
表1に示すように、実施例1〜6の発泡シートはいずれも、気泡数も多く(適正な数であり)、圧縮硬度も低く(軟らかく)、動摩擦係数も大きく(感触も良く)、密度も適正な範囲であり、発泡倍率も高いものとなった。特に、結晶性エラストマーの配合量が10質量%以上32質量%以下の範囲にある実施例3〜6では、圧縮硬度、動摩擦係数、密度、発泡倍率の評価が非常に良いものとなった。
一方、結晶性エラストマーを配合していない比較例1、2及び5の発泡シートは、圧縮硬度が高く、硬いものとなった。特に、非結晶性エラストマーの配合量の多い比較例2及び5の発泡シートは、密度も高く発泡倍率も低いものとなった。更に、エラストマー成分の量が非常に多い比較例5の発泡シートは、気泡数が31個と多く細かいが、セル(気泡)が細か過ぎるのは発泡が不十分な証拠であり、その結果として、密度が90kg/mと非常に大きく重いものとなった。このような結果から、非結晶性エラストマーの配合量を増やすことで、単に気泡数を多くすることはできるが、結晶性エラストマーを配合しないと、発泡剤として添加したガスが抜けてしまうことから、発泡倍率が低くなり、密度も高いものとなってしまうことが示唆された。
また、非結晶性エラストマーを配合していない比較例3や、結晶性エラストマーの配合量が多すぎる比較例4では、発泡させることができず、発泡シートを製造することができなかった。
<超臨界発泡による効果の検証>
なお、本発明におけるオレフィン系樹脂発泡体では、超臨界発泡を用いて発泡させているが、この超臨界発泡による効果を検証するために、実施例3の発泡シートと、汎用の発泡方法として化学発泡剤による発泡方法を用いた発泡シートの発泡の様子を比較した。化学発泡剤により発泡させた発泡シートとしては、株式会社イノアックコーポレーション製のPEライトA−8を用いた。
次いで、実施例3の発泡シートと化学発泡剤により発泡させた発泡シートの表面をスライサーを用いて裁断して剥離させた。次いで、電子顕微鏡((株)キーエンス製 マイクロスコープVHX−D510)を用いて観察倍率200倍で発泡シート表面の写真を撮影した。このときの写真を図9に示す。図9は、実施例3の発泡シート及び化学発泡剤により発泡させた発泡シートの表層つまりスキン層をスライサー等を用いて裁断した断面の電子顕微鏡写真である。
図9に示すように、実施例3の発泡シートでは、適度に細かいセル(気泡)が形成されているのに対し、化学発泡剤を用いて発泡させた発泡シートでは、非常に粗いセル(仮想直線1mmに乗る気泡数が6個)が形成されていた。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
100 オレフィン系樹脂発泡体
110 オレフィン系樹脂組成物
111 セル(気泡)
120 セル断面
121 (セル由来の)凹部

Claims (12)

  1. ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを含有するオレフィン系樹脂組成物が発泡した複数のセルを有するシート状のオレフィン系樹脂発泡体であって、
    前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量が、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下であり、
    前記発泡体の断面において前記発泡体の流れ方向に引いた長さ1mmの仮想直線に接触するセルの数が、10個以上であり、
    少なくとも一方の表面に、外部に露出したセル断面を有する、オレフィン系樹脂発泡体。
  2. 10%圧縮硬度が、0.008MPa以下である、請求項1に記載のオレフィン系樹脂発泡体。
  3. 動摩擦係数が、2.4以上である、請求項1又は2に記載のオレフィン系樹脂発泡体。
  4. 密度が、20kg/m 以上70kg/m 以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体。
  5. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン系樹脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体。
  6. ポリオレフィンマトリックス中に結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマー及び非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合し、オレフィン系樹脂組成物を得る工程と、
    溶融状態の前記オレフィン系樹脂組成物に、発泡剤として超臨界状態の不活性ガスを含浸させた後、前記不活性ガスが含浸された前記オレフィン系樹脂組成物を減圧しながら押出し成形することで、複数のセルを有するシート状の発泡体を得る工程と、
    前記シート状の発泡体の少なくとも一方の表面側のセル断面を外部に露出させる工程と、
    を含み、
    前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量を、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して3質量%以上32質量%以下とする、オレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  7. 前記ポリオレフィンとしてポリプロピレン系樹脂を用いる、請求項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  8. 前記ポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレンを用いる、請求項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  9. 前記オレフィン系樹脂組成物中に、発泡核剤を更に添加する、請求項のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  10. 前記不活性ガスとして二酸化炭素を用いる、請求項のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  11. 前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記非結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーの合計の配合量を、前記オレフィン系樹脂組成物の全体に対して23質量%以上とする、請求項10のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  12. 前記結晶性オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、直鎖状ポリエチレンをハードセグメントとして有し、エチレン−オクテン共重合体をソフトセグメントとして有するブロック共重合体を用いる、請求項11のいずれか一項に記載のオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
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