JP6016115B2 - トイレ装置 - Google Patents

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本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関する。
便器をより清潔に保つために、光触媒層が便器の便鉢の表面に形成された便器がある(特許文献1)。特許文献1に開示された防汚設備では、紫外線照射装置から光触媒層に紫外線が照射され、抗菌作用などの活性が上がることにより、便器の清潔な状態を維持している。
便器の清潔性という観点では、便器の使用前に便器のボウル面を濡らしておくことで、便器のボウル面に付着する汚物を抑制する効果を生じさせる技術が知られている(特許文献2)。
光触媒層については、抗菌作用の他に親水性を発揮することが知られている。そこで、便器の清潔状態をより長く維持し、且つ便器の清潔性を向上させることを考えると、特許文献1に開示されたように光触媒層が形成された便器において、特許文献2に開示されたように便器の使用前に便器のボウル面を濡らす技術を用いることが考えられる。
しかし、一般的に、光触媒層に紫外線を照射する光源装置は、光触媒層の活性を維持するために、比較的高い消費電力を有する。そのため、光源装置が紫外線を便器に照射すると、便器は光源装置からの熱により温められる。すると、便器を使用する前に、便器洗浄やミストなどにより予め便器を濡らしておいても、便器の表面の水分が蒸発することがある。この場合には、便器のボウル面に付着する汚物を抑制する効果が低減するという問題がある。
特開2006−316607号公報 特許第4968635号公報
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便器のボウル面に付着する汚物を抑制する効果の低減を抑えつつ、ボウル面の清潔性を維持することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、便器のボウル部であって光触媒層が形成されたボウル部に紫外線を照射する光源装置と、前記便器が使用される前に前記ボウル部の表面を水で濡らすプレ機能部と、トイレルーム内の人体の存在を検知する人体検知部と、使用者の前記便器の洗浄の意思を検知する便器洗浄検知部と、前記光源装置および前記プレ機能部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記人体検知部が前記トイレルーム内において前記人体の存在を検知していない場合に所定の強度の紫外線を前記光源装置から照射させる第1のモードと、前記プレ機能部の駆動が開始してから前記便器洗浄検知部が前記意思を検知するまでの間において前記第1のモードのときの強度よりも弱い強度の紫外線を前記光源装置から照射させる第2のモードと、を実行することを特徴とするトイレ装置である。

このトイレ装置によれば、便器のボウル部の表面に付着する汚物を抑制する効果が低減することを抑えることができる。すなわち、便器のボウル部の表面が光源装置から伝達される熱により温められることを抑え、ボウル部の表面の水分が蒸発することを抑えることができる。そのため、使用者が便器を使用する前に水がボウル部の表面に噴射されることで、光触媒層の親水性によりボウル部の表面に水膜がより確実に形成される。そのため、有機物を含む汚物がボウル部の表面に付着することを抑制することができる。また、メチロバクテリウムなどのトイレ装置に特有の菌がボウル部の表面に付着することを抑制することができる。これにより、紫外線の照射時間を短くし、光源装置の長寿命化を実現することができる。また、長い間にわたって、より清潔なボウル部を有するトイレ装置を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記人体検知部が前記人体の存在を検知した後に前記プレ機能部の駆動を開始し、前記第2のモードにおいて前記光源装置からの照射を停止させることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、制御部は、第2のモードにおいて光源装置からの照射を停止させる。つまり、制御部は、光源装置からの紫外線の照射を停止させる。そのため、ボウル部の表面の水分が蒸発することをより確実に抑えることができる。そのため、便器のボウル部の表面に付着する汚物を抑制する効果が低減することをより確実に抑えることができる。これにより、長い間にわたって、より清潔なボウル部を有するトイレ装置を提供することができる。また、例えば日焼けなどの紫外線による人体への影響を抑制することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1のモードは、前記便器洗浄検知部が前記意思を検知し、前記人体検知部が前記人体の非存在を検知した後に実行されることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、紫外線の照射は、使用者が便器を使用してから比較的早い段階で実行される。そのため、ボウル部の表面に残った菌が繁殖する前に、抗菌を行うことができる。そのため、光源装置の紫外線の照射時間を短くすることができ、光源装置の長寿命化を実現することができる。これにより、長い間にわたって、より清潔なボウル部を有するトイレ装置を提供することができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記制御部は、前記第1のモードを実行した後、前記人体検知部が前記人体の非存在を検知してから所定時間が経過すると、前記第1のモードを再び実行することを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、光触媒層の励起状態を維持し、光触媒層の親水性を維持することができる。すなわち、便器が使用されない時間が所定時間を経過すると、光触媒層の励起状態は低下する。これに対して、制御部は、所定時間後に第1のモードを再び実行するため、光触媒層の親水性を維持することができる。そのため、プレ機能部の効果を発揮させることができ、長い間にわたって、より清潔なボウル部を有するトイレ装置を提供することができる。
本発明の態様によれば、便器のボウル面に付着する汚物を抑制する効果の低減を抑えつつ、ボウル面の清潔性を維持することができるトイレ装置が提供される。
本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す模式的断面図である。 本実施形態にかかるトイレ装置の要部構成を表すブロック図である。 光触媒層の一例を例示する模式的断面図である。 本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示するタイミングチャート図である。 トイレ装置の動作の具体例を例示する模式図である。 便器洗浄検知部の他の具体例を例示する模式的平面図である。 紫外線の照射強度と水膜形成との関係の一例を例示するグラフ図である。 本発明者が光触媒層の親水作用について検討した検討方法を説明する模式的平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す模式的断面図である。
図2は、本実施形態にかかるトイレ装置の要部構成を表すブロック図である。
図3は、光触媒層の一例を例示する模式的断面図である。
なお、図2は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図1に表したトイレ装置10は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。但し、ケーシング400は、必ずしも設けられていなくともよい。例えば、便座200と便蓋300とは、便器800に対して開閉自在にそれぞれ軸支されていてもよい。
便器800は、ボウル部801を有する。便蓋300が閉じている状態では、ボウル部801は、便蓋300により覆われる。ボウル部801の表面には、光触媒層(「光触媒膜」ともいう)803が形成されている。
本願明細書において、「光触媒」とは、光を照射すると、酸化作用および還元作用の少なくともいずれかが促進されるものをいう。その結果、雑菌や細菌や臭気物質などの有機物を分解する分解作用と、表面が水に濡れやすい親水作用と、菌の繁殖を抑制するあるいは菌の活動を停止させる抗菌作用と、を得ることができる。光触媒層803が形成されたボウル部801は、汚物の付着を抑制したり、汚物を分解したり、付着した水垢を容易に除去できるため、便器800の清掃負担を軽減し、きれいな便器800を維持することができる。
具体的には、光触媒層803が形成されたボウル部801の表面に紫外線を照射すると、その紫外線および空気中の水や酸素などにより、ボウル部801の表面に活性酸素が発生する。その活性酸素は、ボウル部801の表面に付着した汚れや雑菌や細菌や臭気物質などを分解する。また、その活性酸素は、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)なども分解する。そのため、光触媒の分解作用により、ボウル部801の表面の抗菌や防汚や防臭を行うことができる。
また、光触媒層803が形成されたボウル部801の表面に紫外線を照射すると、その表面には周囲の水との結合による親水基(−OH)が表出する。これにより、ボウル部801の表面は、水になじむようになり、濡れやすくなる(親水作用)。すなわち、ボウル部801の表面には水滴ができず、水が表面に濡れ広がるようになる。そして、予めボウル部801の表面を親水化することにより、汚れは、ボウル部801の表面に濡れ広がった水の表面に付着することになる。さらに、ボウル部801の洗浄に用いる洗浄水がボウル部801の表面とその表面に付着した汚れとの間に入り込み、汚れを浮かして流す。そのため、光触媒の親水作用により、ボウル部801の表面の防汚や防曇が可能となる。
これらによれば、紫外線の照射と、光触媒の分解作用、親水作用および抗菌作用と、の相乗効果により効果的にボウル部801の抗菌や防汚や防臭を行うことができる。このような「光触媒」の材料としては、例えば、金属の酸化物を用いることができる。そのような酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnOx)、酸化スズ(SnOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)などを挙げることができる。これらのうちでも、特に、酸化チタンは、光触媒として活性であり、また、安定性や安全性などの点でも優れる。
本願明細書において、「紫外線」とは、波長が約388nm以下の光をいう。本実施形態の光触媒層803は、波長が約388nm以下の紫外線をより多く吸収する特性を有する。つまり、本実施形態の光触媒層803は、波長が約388nm以下の紫外線が照射されると励起され、光触媒活性を発現する。
例えば、図3に表したように、光触媒層803は、バリア層803aと、機能層803bと、を有する。例えば、光触媒層803としては、TiO/ZrO系触媒焼成膜が用いられる。例えば、バリア層803aにおけるTiOとZrOとの配合比率は、機能層803bにおけるTiOとZrOとの配合比率とそれぞれ異なる。但し、図3に表した光触媒層803は、一例である。本実施形態の光触媒層803は、これだけに限定されるわけではない。
図1に表したように、便蓋300は、光源装置310を有する。光源装置310は、便蓋300の内部に設けられている。但し、光源装置310の設置形態は、これだけに限定されるわけではない。例えば、光源装置310は、ケーシング400の内部に設けられていてもよいし、ケーシング400の表面に付設されていてもよい。光源装置310は、ボウル部801に紫外線を照射することができる。光源装置310としては、例えば冷陰極管やLED(Light Emitting Diode)などが用いられる。
図2に表したように、例えばケーシング400の内部には、制御部410と、入室検知センサ402(人体検知部)と、人体検知センサ403と、着座検知センサ(便器洗浄検知部)404と、便蓋開閉検知センサ405と、便蓋開閉駆動装置420と、が設けられている。制御部410は、例えば入室検知センサ402、人体検知センサ403あるいは着座検知センサ404から送信される検知信号に基づいて制御信号を送信し、便蓋開閉駆動装置420あるいは光源装置310の動作を制御することができる。
入室検知センサ402は、トイレ室(トイレルーム)のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ402としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
人体検知センサ403は、便器800の前方にいる使用者、すなわち便座200から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ403は、トイレ室に入室して便座200に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ403としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
着座検知センサ404は、使用者が便座200に着座する直前において便座200の上方に存在する人体や、便座200に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者だけではなく、便座200の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
便蓋開閉検知センサ405は、便蓋300の開閉状態を検知することができる。便蓋開閉検知センサ405としては、例えば、ホールICと磁石との組み合わせ、またはマイクロスイッチなどが用いられる。
便蓋開閉駆動装置420は、制御部410から送信された信号に基づいて便蓋300を開いたり閉じたりすることができる。
例えばケーシング400の下部には、便器800のボウル部801の表面に水や殺菌水を噴霧する噴出部(プレ機能部)480が設けられている。噴出部480は、ケーシング400の内部に設けられていてもよいし、ケーシング400の外部に付設されていてもよい。
なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
図2に表したように、本実施形態にかかるトイレ装置10は、水道や貯水タンクなどの給水源から供給された水を噴出部480に導く第1の流路21を有する。第1の流路21の上流側には、電磁弁(プレ機能部)431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部410からの指令に基づいて水の供給を制御する。
電磁弁431の下流には、水勢(流量)の調整を行ったり、噴出部480や図示しない洗浄ノズルなどへの給水の開閉や切替を行う流調・流路切替弁(プレ機能部)471が設けられている。第1の流路21は、流調・流路切替弁471において第2の流路22と第3の流路23とに分岐されている。第2の流路22に導かれた殺菌水や上水は、流調・流路切替弁471を通過した後に第2の流路を通って噴出部480へ導かれる。一方、第3の流路23に導かれた殺菌水や上水は、例えば図示しない洗浄ノズルやノズル洗浄室などへ導かれる。流調・流路切替弁471は、制御部410からの指令に基づいて、殺菌水や上水を第2の流路22へ導く状態と、殺菌水や上水を第3の流路23へ導く状態と、を切り替えることができる。
次に、本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示するタイミングチャート図である。
図5は、トイレ装置の動作の具体例を例示する模式図である。
図5(a)は、本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示する模式図である。図5(b)は、比較例にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示する模式図である。
まず、図5(b)を参照しつつ、比較例にかかるトイレ装置の動作の具体例について説明する。
光源装置310は、光触媒層803に紫外線を照射し、光触媒層803の活性を発現させる。光源装置310の消費電力は、比較的高い。そのため、光源装置310が便器800のボウル部801に対して紫外線を照射すると、便器800のボウル部801の表面は、光源装置310から伝わる熱により温められる。すると、使用者が便器800を使用する前に、噴出部480が水や殺菌水を噴出し便器800のボウル部801の表面を濡らしておいても、ボウル部801の表面の水分が蒸発することがある。例えば、図5(b)に表したように、使用者がトイレルームに入室する前から噴出部480が水や殺菌水の噴出を開始した後にまで、光源装置310が紫外線を照射すると、ボウル部801の表面の水分が光源装置310から伝わる熱により蒸発することがある。この場合には、便器800のボウル部801の表面に付着する汚物を抑制する効果が低減する。
これに対して、図5(a)に表したように、本実施形態にかかるトイレ装置10では、制御部410は、入室検知センサ402がトイレルーム内に使用者(人体)の存在を検知していない場合に、所定の強度の紫外線を光源装置310から便器800のボウル部801に照射させる制御(第1のモード)を実行する。第1のモードにおける紫外線の照射時間は、例えば約1〜2時間程度である。
また、制御部410は、プレ機能部の駆動が開始(例えば電磁弁431の開放が開始)してから便器洗浄検知部(例えば着座検知センサ404)が使用者の便器800の洗浄の意思を検知するまでの間においては、第1のモードのときの強度よりも弱い強度の紫外線を光源装置310から便器800のボウル部801に照射させる制御(第2のモード)を実行する。
「便器洗浄検知部が使用者の便器800の洗浄の意思を検知する」とは、例えば、着座検知センサ404が便座200に着座した使用者を検知しなくなることや、便座200の上に存在していた使用者を検知しなくなることをいう。あるいは、「便器洗浄検知部が使用者の便器800の洗浄の意思を検知する」とは、例えば、リモコン装置に設けられた便器洗浄ボタンが使用者により操作されることをいう。リモコン装置については、後に詳述する。
具体的な動作としては、図4に表したように、例えば使用者がトイレルームに入室すると、入室検知センサ402は、トイレルームに入室した人体を検知し制御部410へ信号を送信する(タイミングt1)。すると、便蓋開閉駆動装置420は、制御部410から送信された信号に基づいて便蓋300を開く。これにより、便蓋開閉検知センサ405は、便蓋300が開いたことを検知する(タイミングt1)。
また、制御部410から送信された信号に基づいて電磁弁431が開く。流調・流路切替弁471は、制御部410から送信された信号に基づいて、水を第2の流路へ導く状態に切り替える。これにより、水が噴出部480からボウル部801の表面に噴射される(タイミングt1〜t2:プレ機能部の駆動)。なお、殺菌水が噴出部480から噴射されてもよい。
このとき、光源装置310が紫外線を照射している場合(第1のモードを実行している場合)には、制御部410は、電磁弁431を開いたとき(タイミングt1:プレ機能部の駆動開始のとき)に、第1のモードのときの強度よりも弱い強度の紫外線を光源装置310から便器800のボウル部801に照射させる制御(第2のモード)を実行する。例えば、制御部410は、光源装置310の動作を停止させ、光源装置310からの紫外線の照射を停止させる(タイミングt1)。
続いて、使用者が便座200に着座すると、着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者を検知する(タイミングt3)。使用者は、排泄行為を終了した後、便座200から離座する。すると、着座検知センサ404は、使用者が便座200に着座していないことを検知し制御部410へ信号を送信する(タイミングt4:便器洗浄の意思の検知)。
ここで、制御部410は、使用者による便器800の使用について、大便の排泄行為の使用と小便の排泄行為の使用との別を判別することができる。つまり、制御部410は、使用者による便器800の使用が大便の排泄行為の使用であるかあるいは小便の排泄行為の使用であるかを判別することができる。例えば、制御部410は、着座検知センサ404の人体検知の有無および着座検知センサ404の検知時間(使用者の着座時間:タイミングt3〜t4)に基づいて、使用者による便器800の使用が大便の排泄行為の使用であるかあるいは小便の排泄行為の使用であるかを判別する。
このように、本具体例では、制御部410は、電磁弁431を開いてから使用者が便座200に着座していないことを着座検知センサ404が検知するまでの間においては、第1のモードのときの強度よりも弱い強度の紫外線を光源装置310から便器800のボウル部801に照射させる制御(第2のモード)を実行する。例えば、制御部410は、電磁弁431を開いてから使用者が便座200に着座していないことを着座検知センサ404が検知するまでの間においては、光源装置310の動作を停止させ、光源装置310からの紫外線の照射を停止させる。
これによれば、便器800のボウル部801の表面に付着する汚物を抑制する効果が低減することを抑えることができる。すなわち、便器800のボウル部801の表面が光源装置310から伝達される熱により温められることを抑え、ボウル部801の表面の水分が蒸発することを抑えることができる。そのため、使用者が便器800を使用する前に水がボウル部801の表面に噴射されることで、光触媒層803の親水性によりボウル部801の表面に水膜がより確実に形成される。そのため、有機物を含む汚物がボウル部801の表面に付着することを抑制することができる。また、メチロバクテリウムなどのトイレ装置に特有の菌がボウル部801の表面に付着することを抑制することができる。これにより、紫外線の照射時間を短くし、光源装置310の長寿命化を実現することができる。また、長い間にわたって、より清潔なボウル部801を有するトイレ装置10を提供することができる。殺菌水がボウル部801の表面に噴射される場合には、ボウル部801の表面を殺菌することができる。
制御部410が光源装置310からの紫外線の照射を停止させる場合には、ボウル部801の表面の水分が蒸発することをより確実に抑えることができる。そのため、便器800のボウル部801の表面に付着する汚物を抑制する効果が低減することをより確実に抑えることができる。これにより、長い間にわたって、より清潔なボウル部801を有するトイレ装置10を提供することができる。また、例えば日焼けなどの紫外線による人体への影響を抑制することができる。
続いて、使用者が便座200に着座していないことを着座検知センサ404が検知してから所定時間が経過すると、制御部410から送信された信号に基づいて電磁弁431が開く。また、流調・流路切替弁471は、制御部410から送信された信号に基づいて、水を第2の流路へ導く状態に切り替える。これにより、水が噴出部480からボウル部801の表面に噴射される(タイミングt5〜t6)。なお、水が噴出部480からボウル部801の表面に噴射されるタイミングは、汚物が便器洗浄によりボウル部801から排出された後のタイミングである。また、殺菌水が噴出部480からボウル部801の表面に噴射されてもよい。
これによれば、使用者が便器800を使用した後に水がボウル部801の表面に噴射されるため、光触媒層803の親水性によりボウル部801の表面に水膜が形成される。また、殺菌水がボウル部801の表面に噴射される場合には、ボウル部801の表面を殺菌することができる。これによれば、より清潔な便器800を維持することができる。
続いて、使用者がトイレルームから退室すると、入室検知センサ402は、トイレルームに人体が存在しないことを検知し制御部410へ信号を送信する(タイミングt7)。入室検知センサ402がトイレルームに人体が存在しないことを検知してから所定時間が経過すると、便蓋開閉駆動装置420は、制御部410から送信された信号に基づいて便蓋300を閉じる。これにより、便蓋開閉検知センサ405は、便蓋300が閉じたことを検知する(タイミングt8)。
使用者による便器800の使用が大便の排泄行為の使用であると制御部410が判断した場合において、便蓋300が閉じたことを便蓋開閉検知センサ405が検知してから所定時間が経過すると、光源装置310は、制御部410から送信された信号に基づいて、紫外線をボウル部801に照射する(第1のモード:タイミングt9〜t10)。タイミングt9〜t10における紫外線の照射時間は、例えば約1〜2時間程度である。
このように、第1のモードは、使用者が便座200に着座していないことを着座検知センサ404が検知(着座検知センサ404が便器洗浄の意思を検知)し、入室検知センサ402がトイレルームに人体が存在しないことを検知した後に実行される。これによれば、紫外線の照射は、使用者が便器800を使用してから比較的早い段階で実行される。そのため、ボウル部801の表面に残った菌が繁殖する前に、抗菌を行うことができる。そのため、光源装置310の紫外線の照射時間を短くすることができ、光源装置310の長寿命化を実現することができる。これにより、長い間にわたって、より清潔なボウル部801を有するトイレ装置10を提供することができる。
続いて、便器800が使用されない時間が所定時間(例えば約8〜10時間程度)を経過すると(タイミングt10〜t11)、光源装置310は、制御部410から送信された信号に基づいて、紫外線をボウル部801に再び照射する(第1のモード:タイミングt11〜t12)。タイミングt11〜t12における紫外線の照射時間は、例えば約1〜2時間程度である。
このように、制御部410は、第1のモードを実行した後、入室検知センサ402が人体を検知しない時間が所定時間を経過すると、第1のモードを再び実行する。これによれば、光触媒層803の励起状態を維持し、光触媒層803の親水性を維持することができる。すなわち、便器800が使用されない時間が所定時間(例えば約8〜10時間程度)を経過すると、光触媒層803の励起状態は低下する。これについては、後に詳述する。これに対して、制御部410は、所定時間後に第1のモードを再び実行するため、光触媒層803の親水性を維持することができる。そのため、プレ機能部の効果を発揮させることができ、長い間にわたって、より清潔なボウル部801を有するトイレ装置10を提供することができる。
次に、便器洗浄検知部の他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、便器洗浄検知部の他の具体例を例示する模式的平面図である。
図6(a)は、本実施形態にかかるリモコン装置を上方から眺めた模式的平面図である。図6(b)は、本実施形態にかかるリモコン装置を前面方向から眺めた模式的平面図である。
図4および図5に関して前述した具体例では、便器洗浄検知部として着座検知センサ404を例に挙げた。本具体例では、便器洗浄検知部としてリモコン装置600を例に挙げる。
本具体例のリモコン装置600は、例えばトイレルームなどの壁面に設置可能とされてなる。なお、本具体例では、リモコン装置600が、便器800に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置のリモコン装置である場合を例に挙げて説明する。
図6(a)に表したように、リモコン装置600の上面部には、操作釦630が設けられている。また、リモコン装置600の前面部には、操作スイッチ640と、液晶表示部650と、が設けられている。
操作釦630は、例えば、便器800に「大洗浄」の洗浄水を流す「大」釦631や、便器800に「小洗浄」の洗浄水を流す「小」釦632や、便座200及び便蓋300を電動で閉じた状態にする「閉じ」釦633や、便座200を電動で閉じた状態にし且つ便蓋300を電動で開いた状態にする「便蓋」釦634や、便座200及び便蓋300を電動で開いた状態にする「便座」釦635などを有する。但し、操作釦630が有する各種釦は、これだけに限定されるわけではない。
操作スイッチ640は、例えば、局部洗浄動作や局部乾燥動作などの動作を停止させる「止」スイッチ(停止スイッチ)641や、「おしり」に向けて吐水させる「おしり」スイッチ642や、吐水に広がりを与える「やわらか」スイッチ643や、ビデ洗浄を実行させる「ビデ」スイッチ644などを有する。また、操作スイッチ640は、例えば、吐水の位置を前後に変更する「洗浄位置」スイッチ645、646や、吐水の水勢を変更する「水勢」スイッチ647、648などを有する。但し、操作スイッチ640が有する各種スイッチは、これだけに限定されるわけではない。
使用者が「大」釦631あるいは「小」釦632を操作すると、リモコン装置600は、赤外線の操作信号(無線信号)を送信する。リモコン装置600から送信された操作信号は、ケーシング400へ送信される。すると、制御部410は、使用者が「大」釦631あるいは「小」釦632を操作したことを判断し、便器洗浄を実行する。これにより、リモコン装置600は、使用者の便器800の洗浄の意思を検知することができる。
次に、発明者が光触媒層の親水性について検討した結果について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、紫外線の照射強度と水膜形成との関係の一例を例示するグラフ図である。
図8は、本発明者が光触媒層の親水作用について検討した検討方法を説明する模式的平面図である。
図7に表したグラフ図の横軸は、経過時間(hr)である。図7に表したグラフ図の縦軸は、接触角(°)を表す。
本発明者は、光触媒層の親水作用の検討にあたり、タイル501および水505を用意した。タイル501の表面には、光触媒層803が形成されている。つまり、本検討のタイル501の表面の性状は、本実施形態のボウル部801の表面の性状と同様である。
続いて、図8に表したように、本発明者は、タイル501の表面に水505を滴下した。このとき、菌が繁殖するための栄養源(栄養素)は、タイル501の表面には付着されていない。そして、本発明者は、タイル501の表面における水505の接触角θを測定した。このときの接触角は、紫外線が照射される前の初期の接触角である。
本願明細書において「接触角」とは、所定の固体表面(本検討ではタイル501の表面)と液体表面(本検討では水505の表面)との界面において、固体表面と液体表面とがなす角度であって液体の側で測定される角度をいうものとする。また、接触角θについては、接触角計「協和界面化学(株)製、自動接触角計DM−500」を用いて測定した。
続いて、本発明者は、タイル501の表面に対して光源装置310から紫外線を照射させた。本検討では、光源装置310として冷陰極管を使用した。本発明者は、タイル501の表面に対して20μW/cm、30μW/cm、100μW/cm、200μW/cmの照射強度を有する紫外線をそれぞれ照射した。図7に表したように、1回目の紫外線の照射時間は、約2時間程度である。2回目の紫外線の照射時間は、約1時間程度である。
本発明者の検討の結果、固体表面における水の接触角θが30度以下である場合には、固体表面において水膜を形成可能であることが分かっている。接触角θの測定結果は、図7に表した通りである。すなわち、紫外線の照射強度が20μW/cmである場合には、紫外線の照射時間が約10時間であっても、接触角が30度以下となることはなかった。つまり、紫外線の照射強度が20μW/cmである場合には、トイレ装置10の使用状況に合わせた現実的な時間内でタイル501の表面に水膜を形成することはできなかった。
一方、紫外線の照射強度が30μW/cm、100μW/cmおよび200μW/cmである場合には、接触角は、紫外線の照射時間が約1時間程度で30度以下となり、紫外線の照射時間が約2時間程度ではさらに低下した。これにより、30μW/cm以上の照射強度を有する紫外線を1時間以上照射すると、光触媒層803が形成されたボウル部801の表面に水膜を形成できることが分かった。
続いて、本発明者は、紫外線の照射を停止したまま、水505が滴下されたタイル501を放置した。すると、紫外線の照射強度が30μW/cm、100μW/cmおよび200μW/cmである場合において、紫外線の照射を停止してから約10時間が経過するまでは、接触角が30度以下の状態を維持できることが分かった。つまり、紫外線の照射強度が30μW/cm以上である場合において、紫外線の照射を停止してから約10時間が経過するまでは、光触媒層803の親水性を維持できることが分かった。
続いて、接触角が30度よりも大きくなった後、30μW/cm以上の照射強度を有する紫外線を再び1時間以上照射した(2回目の照射)。すると、図7に表したように、紫外線の照射強度が30μW/cm、100μW/cmおよび200μW/cmである場合において、接触角は、紫外線の照射時間が約1時間程度で30度以下となった。これにより、光触媒層803の親水性が再び得られることが分かった。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便蓋300およびケーシング400などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや光源装置310の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10 トイレ装置、 21 第1の流路、 22 第2の流路、 23 第3の流路、 100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 310 光源装置、 400 ケーシング、 402 入室検知センサ、 403 人体検知センサ、 404 着座検知センサ、 405 便蓋開閉検知センサ、 410 制御部、 420 便蓋開閉駆動装置、 431 電磁弁、 471 流調・流路切替弁、 480 噴出部、 501 タイル、 505 水、 600 リモコン装置、 630 操作釦、 631 「大」釦、 632 「小」釦、 633 「閉じ」釦、 634 「便蓋」釦、 635 「便座」釦、 640 操作スイッチ、 641 「止」スイッチ、 642 「おしり」スイッチ、 643 「やわらか」スイッチ、 644 「ビデ」スイッチ、 645、646 「洗浄位置」スイッチ、 647、648 「水勢」スイッチ、 650 液晶表示部、 800 便器、 801 ボウル部、 803 光触媒層、 803a バリア層、 803b 機能層

Claims (4)

  1. 便器のボウル部であって光触媒層が形成されたボウル部に紫外線を照射する光源装置と、
    前記便器が使用される前に前記ボウル部の表面を水で濡らすプレ機能部と、
    トイレルーム内の人体の存在を検知する人体検知部と、
    使用者の前記便器の洗浄の意思を検知する便器洗浄検知部と、
    前記光源装置および前記プレ機能部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記人体検知部が前記トイレルーム内において前記人体の存在を検知していない場合に所定の強度の紫外線を前記光源装置から照射させる第1のモードと、
    前記プレ機能部の駆動が開始してから前記便器洗浄検知部が前記意思を検知するまでの間において前記第1のモードのときの強度よりも弱い強度の紫外線を前記光源装置から照射させる第2のモードと、
    を実行することを特徴とするトイレ装置。
  2. 前記制御部は、前記人体検知部が前記人体の存在を検知した後に前記プレ機能部の駆動を開始し、前記第2のモードにおいて前記光源装置からの照射を停止させることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
  3. 前記第1のモードは、前記便器洗浄検知部が前記意思を検知し、前記人体検知部が前記人体の非存在を検知した後に実行されることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
  4. 前記制御部は、前記第1のモードを実行した後、前記人体検知部が前記人体の非存在を検知してから所定時間が経過すると、前記第1のモードを再び実行することを特徴とする請求項3記載のトイレ装置。
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