JP6016112B2 - 斜板式圧縮機 - Google Patents
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Description
収容凹部の周面には、圧縮室と吸入通路の出口とを連通する吸入ポートが形成され、吸入ポートは圧縮室と同数だけ形成されている。ロータリーバルブにおけるテーパ周面にはバイパス溝が形成されている。バイパス溝は、軸方向の接続溝と、周方向の周回溝とからなっている。バイパス溝は、圧縮行程終了付近の状態にある圧縮室の吸入ポートと、圧縮行程開始の状態にある圧縮室の吸入ポートとを連通している。
本発明の実施形態に係る可変容量型斜板式圧縮機(以下、単に圧縮機とする)を図1〜図7に基づいて説明する。
なお、図1における左側を前方とし、右側を後方とする。
図1に示す圧縮機10のハウジング11は、複数のシリンダボア15が形成されたシリンダブロック12と、そのシリンダブロック12の前部側に接合されるフロントハウジング13と、シリンダブロック12の後部側に接合されるリヤハウジング14とから構成されている。
フロントハウジング13からリヤハウジング14まで通される通しボルト16の前後方向の締め付けにより、フロントハウジング13、シリンダブロック12及びリヤハウジング14が一体的に固定され、ハウジング11が形成される。
回転軸18が斜板室17の中央付近を貫通するように備えられており、回転軸18はフロントハウジング13に設けられるラジアル軸受19と、シリンダブロック12に設けられる別のラジアル軸受43により回転可能に支持されている。
回転軸18の前部を支持するラジアル軸受19の前方に、回転軸18の周面に亘って摺接する軸封装置20が備えられている。軸封装置20は、リップシールであり、斜板室17内の冷媒ガスが、フロントハウジング13と回転軸18の間から漏洩することを防止している。
回転軸18の前端は、図示しない動力伝達機構を介して外部駆動源に連結されており、回転軸18は外部駆動源により回転可能となっている。
ラグプレート21の後方における回転軸18には、斜板22が、回転軸18の軸線方向へスライド可能及び傾動可能に支持されている。なお、ラグプレート21とフロントハウジング13との間にはスラスト軸受23が介在されている。
斜板22とラグプレート21との間にはヒンジ機構24が介在されている。ヒンジ機構24は、斜板22から突出して形成された一対の斜板アーム25がラグプレート21から突出して形成された一対のラグアーム26の間に挿入され、結合されることにより構成されている。従って、斜板22はヒンジ機構24によってラグプレート21に連結され、回転軸18との同期回転及び回転軸18の軸方向への傾動が可能となる。
斜板22は、コイルスプリング27の付勢力を受けた筒状体28により常に後方、すなわち、斜板22の傾斜角度が減少する方向(斜板22が立つ方向)へ向けて押圧される。なお、斜板22の傾斜角度とは、ここでは回転軸18と直交する面と斜板22の面により成す角度を意味している。
そして、回転軸18の回転に伴って斜板22が回転運動されるとき、シュー31を介して各ピストン30が往復移動される。なお、ピストン30の構成は後述する。
シリンダボア15内におけるピストン30と弁形成体36間には圧縮室38がそれぞれ区画されている。シリンダボア15A〜15Fに対応する圧縮室をそれぞれ38A、38B、38C、38D、38E、38Fとする。
リヤハウジング14内の中心側には、吸入室37が形成されており、吸入室37はバルブプレート32に設けられる各吸入ポート32Aによりシリンダボア15内の圧縮室38と連通されている。
また、リヤハウジング14の外周側には、吐出室39が形成されており、吐出室39はバルブプレート32に設けられる各吐出ポート32Bによりシリンダボア15内の圧縮室38と連通されている。吐出室39と吸入室37は隔壁14Aにより隔絶されている。
また、吸入室37は吸入通路40を介して図示しない外部冷媒回路と接続されており、吐出室39は吐出通路41を介して外部冷媒回路と接続されている。
圧縮室38A〜38F内に吸入された冷媒ガスは、ピストン30の下死点位置から上死点位置への移動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート32Bを通じて吐出室39へ吐出される。
この容量制御弁42の弁開度に応じて吐出室39から斜板室17に導入される高圧の冷媒ガスの導入量が決定される。吐出室39から斜板室17に導入される高圧の冷媒ガスの導入量と、斜板室17から吸入室37へ導出させる冷媒ガスの導出量とのバランスにより、斜板室17内の斜板室圧力が決定される。
これにより、ピストン30を挟んだ斜板室17内と圧縮室38内の圧力の差が変更されて、斜板22の傾斜角が変更され、斜板22の傾斜角に応じてピストン30のストロークが変えられ、ピストン30のストロークが変えられることにより吐出容量が調整される。
ここで、シリンダボア15A〜15Fと吸入室37を連通させる6個のシリンダボア側連通路47をそれぞれ順に47A、47B、47C、47D、47E、47Fとし、6個の弁形成体側連通孔48をそれぞれ順に48A、48B、48C、48D、48E、48Fとする。連通路は、シリンダボア側連通路47(47A〜47F)と弁形成体側連通孔48(48A〜48F)とを備えている。
ところで、ピストン30のシュー支持部46がシュー31を介して斜板22の外周に係留されており、回転軸18の回転に伴って斜板22がR方向に回転運動されるとき、シュー31を介して各ピストン30が前後方向(図2における図面と直角方向)に往復移動される。
また、図2において、回転軸18の軸心を中心としてピストン30(30A〜30F)の中心を通る円筒面Mを考えたとき、各開口49は、シリンダボア15(15A〜15F)周面と円筒面Mとが交差する部位に設けられている。すなわち、各開口49は、シリンダボア15(15A〜15F)の周面における斜板22の回転方向前方側の領域であって、且つ、シリンダボア15(15A〜15F)周面と円筒面Mとが交差する部位に設けられている。
よって、シリンダボア15(15A〜15F)の周面における斜板22の回転に伴いピストン30(30A〜30F)に作用する荷重により、ピストン30(30A〜30F)の押し付けられる領域に、各開口49は、形成されていることになる。
本実施形態においては、シリンダボア15Aと吸入室37間において、シリンダボア15A内にある直線溝45Bは、シリンダボア側連通路47A及び弁形成体側連通孔48Aを介して吸入室37と連通可能である。よって、圧縮行程にあるシリンダボア15A内のブローバイガスは、環状溝45A、直線溝45B、シリンダボア側連通路47A及び弁形成体側連通孔48Aを経由して吸入室37に流入し回収される。
各シリンダボア15B〜15Fと吸入室37間においてもシリンダボア15Aと吸入室37間と同様にブローバイガスの吸入室37への回収が行われる。
図5(a)〜図5(d)は、圧縮機10が中間容量運転をしている場合において、各回転角度(図7における回転角度d1〜d4)における直線溝45Bとシリンダボア側連通路47Aとの連通の状況を示している。図5では、斜板22の傾斜角度は最小傾斜角位置と最大傾斜角位置の中間的な位置にある。
図5において、図5(a)は、回転角度d1(0°)のときのピストン30Aの直線溝45Bとシリンダボア側連通路47Aとの連通状態(以下、略して連通状態)を示し、図5(b)は、回転角度d2(180°)のときの連通状態を示し、図5(c)は、回転角度d3のときの連通状態を示し、図5(d)は、回転角度d4のときの連通状態を示している。
なお、回転角度がd2より大きくなると、圧縮室38A内の圧力は図7に示すように、次第に上昇し、ブローバイガスは徐々に増加する。
なお、図示しないが、回転角度がd4より大きくなると、吐出弁34Aが開き、圧縮室38A内の高圧の冷媒ガスは、吐出室39へ吐出されるので、ブローバイガスは少なくなる。
なお、最小容量運転時においては、斜板22の傾斜角度は0°ではなく、若干の角度を有している。この場合には、中間容量運転時と同様の作用となる。
図6において、図6(a)は、回転角度d1(0°)のときの連通状態を示し、図6(b)は、回転角度d2(180°)のときの連通状態を示し、図6(c)は、回転角度d3のときの連通状態を示し、図6(d)は、回転角度d4のときの連通状態を示している。
なお、図示しないが、回転角度がd4より大きくなると、吐出弁34Aが開き、圧縮室38A内の高圧の冷媒ガスは、吐出室39へ吐出されるので、ブローバイガスは少なくなる。
なお、各ピストン30B〜30Fの直線溝45Bと、各シリンダボア側連通路47B〜47F及び弁形成体側連通孔48B〜48F間についても、ピストン30Aの直線溝45Bとシリンダボア側連通路47A及び弁形成体側連通孔48Aの場合と同様である。
(1)ピストン30A〜30Fには環状溝45Aと直線溝45Bがそれぞれ形成され、各直線溝45Bは対応するシリンダボア側連通路47A〜47F及び弁形成体側連通孔48A〜48Fを経由して吸入室37と個別に連通可能である。そして、直線溝45Bの軸方向の長さは、最大容量運転時から最小容量運転時において各ピストン30A〜30Fの直線溝45Bと、シリンダボア側連通路47A〜47Fとがそれぞれ連通する長さに設定されている。よって、直線溝45Bを設けることにより、さまざまな吐出容量においてシリンダボア15と吸入室37間を連通させることが可能となり、さまざまな吐出容量において斜板室17側へ漏洩するブローバイガスを効率よく低減できる。
(2)中間容量運転時においては、ピストン30Aが回転角度d2〜d4の範囲にあるとき、直線溝45Bと、シリンダボア側連通路47Aとは連通している。また、最大容量運転時においては、ピストン30Aが回転角度d3〜d4の範囲にあるとき、直線溝45Bと、シリンダボア側連通路47Aとは連通している。このとき、シリンダボア15内の圧力は急激に上昇し、ブローバイガスも急激に多くなる。しかし、直線溝45Bとシリンダボア側連通路47Aとが連通していることにより、ブローバイガスは直線溝45B、シリンダボア側連通路47A及び弁形成体側連通孔48を経由して吸入室37へ効率よく回収することができる。このように幅広い回転角度の範囲でブローバイガスを回収できるので、ブローバイガスの回収効率を向上可能である。なお、各ピストン30B〜30Fの直線溝45Bと、各シリンダボア側連通路47B〜47F及び弁形成体側連通孔48B〜48F間についても、ピストン30Aの直線溝45Bとシリンダボア側連通路47A及び弁形成体側連通孔48Aの場合と同様である。
(3)回転方向前方側の領域にシリンダボア側連通路47のシリンダボア15周面側の開口49は形成されているので、開口49は、ピストン30とシリンダボア15周面との間のクリアランスが小さくなる領域に開口していることになる。よって、吸入室37から斜板室17へのピストン30とシリンダボア15周面との間のクリアランスを介した冷媒ガスの流入を抑制することが可能である。
○ 本発明の実施形態では、ピストン30の環状溝45Aは全周にわたり形成されているとして説明したが、全周にわたり形成されておらず、周方向の一部に未形成の部分があっても良い。
○ 本発明の実施形態では、圧縮機が6気筒(シリンダボア及びピストンが6個)として説明したが、6気筒以外の気筒数であっても構わない。
11 ハウジング
12 シリンダブロック
15(15A〜15F) シリンダボア
17 斜板室
18 回転軸
22 斜板
30(30A〜30F) ピストン
37 吸入室
38(38A〜38F) 圧縮室
39 吐出室
45A 環状溝
45B 直線溝
47(47A〜47F) シリンダボア側連通路
48(48A〜48F) 弁形成体側連通路
49 開口
d1〜d4 回転角度
Claims (2)
- 斜板室と吸入室とシリンダボアが形成されたハウジングと、該ハウジングに回転可能に軸支された回転軸と、該回転軸に一体回転可能かつ傾動可能に連結されるとともに前記斜板室内に収められた斜板と、前記シリンダボアに往復動可能に収容されて前記シリンダボア内に圧縮室を区画するとともに前記斜板に係留されたピストンと、該ハウジングに設けられ、前記シリンダボアと前記吸入室とを連通する吸入ポートと、該吸入ポートを閉塞可能な吸入弁とを備えた可変容量型斜板式圧縮機において、
前記ピストンは、周方向に延在する環状溝と、該環状溝から軸方向に延在する直線溝とを周面上に備え、前記直線溝は、前記環状溝に対して前記圧縮室と反対側に設けられ、
前記ハウジングには、前記シリンダボア周面に開口を備えるとともに前記吸入室と前記シリンダボアとを連通する連通路が、前記吸入ポートに加えてさらに形成され、
前記シリンダボア内での前記ピストンの往復動により発生するブローバイガスは、前記連通路と前記直線溝との対向により、前記環状溝、前記直線溝および前記連通路を介して前記吸入室へと流れることを特徴とする可変容量型斜板式圧縮機。 - 前記連通路の前記開口は、前記シリンダボアの周面における前記斜板の回転方向前方側の領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
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