JP6015993B2 - タイヤ加硫装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ加硫装置に関する。
被加硫物を収納して加硫する上型及び下型と、これらを各々支持するトップビ−ム及び下部フレ−ムと、前記上型及び下型を開閉し、かつ型締めする開閉型締め機構とを備えたタイヤ等のゴム製品を成型する加硫機において、トップビ−ムと大ギヤとに軸支されて上型を移動しかつ型締めするサイドリンクにあって、トップビ−ムとサイドリンクの軸支部に偏心機構を備え、サイドリンクの偏心機構が、偏心ブッシュと、この偏心ブッシュに取り付けた小リンクと、当該小リンクの一方の作動軸をトップビ−ムに備えた加硫機が知られている(特許文献1)。
特許文献1によれば、サイドリンクの下端部を収容するピットをコンクリ−ト基盤に形成する必要もなく、又、カサ上げベースを敷設することもなくタイヤの排出スペ−スを大きくできる。
特開平7−266342号公報
本発明は、加硫時の加圧力を均一にしつつ、経済性の高いタイヤ加硫装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1記載のタイヤ加硫装置は、
下金型を保持するベース部材と、
上金型を保持するトップビームと、
前記ベース部材から立設し前記トップビームを支持する一対のサイドプレートと、
前記ベース部材と前記トップビームとの間に配置され、前記ベース部材と前記トップビームを連結する連結手段と、
一端を前記サイドプレートの側部に回動可能に軸支され、他端を前記トップビームの側部に回動可能に軸支されて伸縮可能に連結され、前記上金型を前記下金型に向けて押圧する型締め位置と、前記上金型を前記下金型から分離して退避させる退避位置との間で移動させる一対の移動手段と、
前記一対のサイドプレートのそれぞれの一端側に前記トップビームの移動方向に沿って形成された一対のラックと、前記一対のラックに噛合して前記トップビームに回転自在に軸支された一対の第1のピニオンと、前記トップビームに軸支された同調シャフトで回転自在に軸支され前記第1のピニオンに噛合した一対の第2のピニオンからなり、前記移動手段によって前記上金型を保持しながら移動する前記トップビームを左右同調して案内する案内手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
前記課題を解決するために、請求項4記載のタイヤ加硫装置は、
下金型を保持するベース部材と、
上金型を保持するトップビームと、
前記ベース部材から立設し前記トップビームを支持する一対のサイドプレートと、
前記ベース部材と前記トップビームとの間に配置され、前記ベース部材と前記トップビームを連結する連結手段と、
一端を前記サイドプレートの側部に回動可能に軸支され、他端を前記トップビームの側部に回動可能に軸支されて伸縮可能に連結され、前記上金型を前記下金型に向けて押圧する型締め位置と、前記上金型を前記下金型から分離して退避させる退避位置との間で移動させる一対の移動手段と、
前記一対のサイドプレートのそれぞれの一端側に前記トップビームの移動方向に沿って配設された一対のチェーン列と、前記一対のチェーン列に噛合して前記トップビームに回転自在に軸支された一対の第1のスプロケットと、前記第1のスプロケットとチェーンを巻回して前記トップビームに軸支された同調シャフトで回転自在に軸支された一対の第2のスプロケットからなり、前記移動手段によって前記上金型を保持しながら移動する前記トップビームを左右同調して案内する案内手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1又は4に記載のタイヤ加硫装置において、
前記移動手段が、液圧シリンダである、
ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、トップビームを左右同調して案内する案内手段を有しない場合に比して、加硫時の加圧力を均一にしつつ、経済性の高いタイヤ加硫装置を提供することができる。
請求項4の発明によれば、トップビームを左右同調して案内する案内手段を有しない場合に比して、加硫時の加圧力を均一にしつつ、経済性の高いタイヤ加硫装置を提供することができる。
請求項5の発明によれば、経済性の高いタイヤ加硫装置を提供することができる。
図1aは第1実施形態に係るタイヤ加硫装置1の型閉鎖時の側面図、図1bは案内機構におけるレール24とガイドローラ34Aを示す部分拡大図、図1cは案内機構におけるラック25と第1のピニオンギア36、第2の37を示す部分拡大図である。 図2aは第1実施形態に係るタイヤ加硫装置1の型閉鎖時の正面図、図2bは案内機構の要部断面模式図である。 図3は第1実施形態に係るタイヤ加硫装置1の開閉動作を説明するための側面図である。 図4は第2実施形態に係るタイヤ加硫装置1Aの型開時の要部縦断面図である。 図5は第2実施形態に係るタイヤ加硫装置1Aの加硫動作中に各構成部材に作用する力を説明するための要部縦断面模式図である。 図6は比較例のタイヤ加硫装置100の開閉動作を説明するための側面図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
「第1実施形態」
(1)タイヤ加硫装置の構成
図1aは本実施形態に係るタイヤ加硫装置1の型閉鎖時の側面図、図1bは案内機構におけるレール24とガイドローラ34Aを示す部分拡大図、図1cは案内機構におけるラック25と第1のピニオンギア36、第2の37を示す部分拡大図、図2aは第1実施形態に係るタイヤ加硫装置1の型閉鎖時の正面図、図2bは案内機構の要部断面模式図である。以下、図面を参照しながら、タイヤ加硫装置1の全体構成を説明する。
(1.1)タイヤ加硫装置の全体構成
タイヤ加硫装置1は、グリーンタイヤTを下金型M1及び上金型M2からなるタイヤ加硫用の金型M内に入れて加熱及び加圧することで完成タイヤの形状に仕上げる加硫成形を行う装置である。尚、タイヤ加硫装置1には、加硫されるグリーンタイヤTの内方で、加硫用の加熱加圧媒体が導入されるブラダーBと、ブラダーBへ加熱加圧媒体を給排する公知の中心機構(不図示)が備えられている。
タイヤ加硫装置1は、下金型M1を保持するベース部材としてのベースフレーム10と、上金型M2を保持するトップビーム30と、ベースフレーム10の左右両側面から立設し、トップビーム30を支持する一対のサイドプレート20と、ベースフレーム10とトップビーム30との間に配置され、ベースフレーム10とトップビーム30を連結する連結手段としての連結機構と、下金型M1及び上金型M2間に締め付け力を付与する加圧手段としての加圧シリンダ14と、上金型M2を下金型M1に向けて押圧する型締め位置と、上金型M2を下金型M1から分離して退避させる退避位置との間で移動させる移動手段としての移動機構と、移動機構により上金型M2を保持して移動するトップビーム30を案内する案内手段としての案内機構と、を備えて構成されている。
(1.2)下金型保持部
タイヤ加硫装置1は、基礎上に固定されたベースフレーム10に配置されている。ベースフレーム10の上面側には、下プレート11が配設され、下プレート11の上面には断熱板12及び下プラテン13を介して下金型M1が固定されている。
また、下プレート11の下面にはベースフレーム10との間に、加圧シリンダ14が複数固定されている。
(1.3)上金型保持部
ベースフレーム10の上方には、上金型M2を保持するトップビーム30が設けられている。トップビーム30の下面には、上プレート31が金型厚調整機構を介して組みつけられ、上プレート31の下面に断熱板32及び上プラテン33を介して上金型M2が固定されている。
金型厚調整機構は、上プレート31の中央部に設けられた雄ネジ部41及び上プレート31に回転可能に組み込まれたナット42からなる。ナット42が駆動手段(不図示)によって回転されると、ナット42の内周に形成された雌ネジ部が雄ネジ部41に螺合して上下し、取り付けた金型Mの高さに応じて上プレート31と下プレート11の間隔が調整される。
トップビーム30の両側面には、一対のビームシャフト34が設けられ、移動機構としての液圧シリンダ50の一端側が、ビームシャフト34に対してブッシュ(不図示)を介して回動可能に軸支されている。さらに、ビームシャフト34には第1のガイドローラ34Aが回転可能に支持されている。
また、トップビーム30の後端側の両側面には、一対のガイドアーム35が設けられ、ガイドアーム35の一端には第2のガイドローラ35Aが回転自在に設けられている。
(1.4)本体部
ベースフレーム10の左右両側面には、一対のサイドプレート20が固定されて立設されている。サイドプレート20には上方が開放された第1の案内溝部21が設けられている。第1の案内溝部21には第1のガイドローラ34Aが転動自在に嵌挿され、上金型M2を保持するトップビーム30の上下方向の移動を案内する。
サイドプレート20には、トップビーム30に設けられた一対のガイドアーム35を案内する第2の案内溝部22が設けられている。第2の案内溝部22は、略水平方向の溝部22aと、上下方向の溝部22bとからなり、第2のガイドローラ35Aが第2の案内溝部22に嵌挿され、第2のガイドローラ35Aと第2の案内溝部22の規制により、トップビーム30に支持された上金型M2の型締め位置と、退避位置との間での上金型M2の移動を案内する。
(1.5)移動機構
移動機構を構成する液圧シリンダ50は、一端側がビームシャフト34に対してブッシュを介して回動可能に軸支され、他端側は、一対のサイドプレート20にそれぞれ設けられた突軸部23にブッシュ(不図示)を介して回動可能に軸支されている。
(1.6.1)案内機構
図1bに示すように、サイドプレート20の上端側には、上金型M2を保持しながら液圧シリンダ50によって移動するトップビーム30を案内する一対のレール24が設けられている。レール24には、トップビーム30のビームシャフト34に取り付けられた第1のガイドローラ34Aが当接して液圧シリンダ50のシリンダロッド50aの伸縮に伴って転動する。
更に、図1cに示すように、サイドプレート20の上端側には、上金型M2を保持しながら液圧シリンダ50によって移動するトップビーム30を左右同調して案内する案内手段として、一対のラック25とラック25に噛合する一対の第1のピニオンギア36が設けられている。
一対の第1のピニオンギア36は、トップビーム30のビームシャフト34に第1のガイドローラ34Aと同軸に回転自在に軸支されている。
また、第1のピニオンギア36には、第2のピニオンギア37が噛合してトップビーム30に軸支された同調シャフト38で連結され回転自在に軸支されている。
(1.6.2)変形例の案内機構
上金型M2を保持しながら液圧シリンダ50によって移動するトップビーム30を左右同調して案内する案内手段として、サイドプレート20の上端側に一対のチェーン列25Aを配設し、配設された一対のチェーン列25Aに噛合する一対の第1のスプロケット36Aを設けることもできる。
一対の第1のスプロケット36Aは、トップビーム30のビームシャフト34に第1のガイドローラ34Aと同軸に回転可能に軸支され、第1のスプロケット36Aには、第2のスプロケット37Aがチェーンを巻回して回転自在に同調シャフト38で連結され軸支される。
尚、トップビーム30を左右同調して案内するために、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aのロッド位置を検知する検知手段を設け、検知手段の検知結果に基づいて左右の液圧シリンダ50の伸縮を制御することもできる。
また、トップビーム30を左右同調して案内するために、液圧シリンダ50に代えて一対の電動シリンダを設けることもできる。
移動機構として電動シリンダを用いた場合、案内機構としての一対のラック25とラック25に噛合する一対の第1のピニオンギア36及び第2のピニオンギア37を省略することができる。
尚、電動シリンダとしては、軸方向に伸縮して作動するロッドを備えていれば特に限定されず、公知の電動シリンダを用いることができるが、一例として、回転自在なネジ軸と、ネジ軸に螺合されるナット部を備え、ネジ軸が回転することにより軸方向で進退するロッドと、ネジ軸を回転駆動させるモータ等から構成される。
(1.7)連結装置
トップビーム30の四隅には、連結手段としての4本の連結機構がタイヤ加硫装置1の上下方向へ沿って配設され、下プラテン13及び上プラテン33を離接可能に連結している。
連結機構としては、公知の連結装置を用いることができ、例えば、トップビーム30の四隅に上端が固定されたタイロッド61が、下プレート11に設けられた貫通孔を通過して嵌挿され、タイロッド61の下端側に形成された溝部61aにU字形状のロックプレート62が挿入されることにより、切離不能の連結状態となる。また、タイロッド61の溝部61aからロックプレート62が退避すると、切離可能な状態となる。
(1.8)金型
タイヤ加硫装置1の下金型M1及び上金型M2は、従来のタイヤ加硫機における上下金型と同様であり、上下二分割の固定モールド或いは複数のセグメントが拡縮自在に取り付けられた割モールドが用いられる。
下金型M1の中心位置には、金型Mの内部に配設され拡縮可能な略袋状のブラダーBと、ブラダーBを保持し装填された未加硫のグリーンタイヤTを内側から成形・加硫するための加熱加圧媒体を導入する公知の中心機構(不図示)が設けられる。
(2)タイヤ加硫装置の動作
図3は本実施形態に係るタイヤ加硫装置1の開閉動作を説明するための側面図である。
以下、図面を参照しながら、タイヤ加硫装置1のタイヤ加硫時の動作について説明する。
グリーンタイヤTの加硫成型を行うときは、図3のように金型Mが開いた状態で、グリーンタイヤTがタイヤ搬入装置(不図示)により、側方より下金型M1の上方に搬入され、下降して下金型M1上にセットされる。
グリーンタイヤTがセットされ、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aを引き込むと、上金型M2が支持されたトップビーム30のビームシャフト34に回転自在に支持された第1のガイドローラ34Aがサイドプレート20のレール24上を水平方向に転動する。
また、第1のガイドローラ34Aの転動と同時に、サイドプレート20のラック25と、第1のガイドローラ34Aの中心軸を中心として回転する第1のピニオンギア36が噛合して移動する。ラック25と噛合して移動する第1のピニオンギア36には、トップビーム30に軸支された同調シャフト38で連結された一対の第2のピニオンギア37が噛合して回転する。その結果、トップビーム30は左右同調して捩じれることなく移動する。
第1のガイドローラ34Aがレール24上をレール24の水平方向における終端部まで転動すると、第1のガイドローラ34Aは、サイドプレート20に形成された第1の案内溝部21に到達し、上金型M2はベースフレーム10上に固定された下金型M1の上方に位置する。
その後、第1のガイドローラ34Aは液圧シリンダ50の作用によって、第1の案内溝部21に案内されて下降する。
そして、上金型M2を保持したトップビーム30の下降にともなって、ブラダーBが金型M内にセットされる。
更に、上金型M2が液圧シリンダ50の作用によって下降し、グリーンタイヤTのビード部が下金型M1及び上金型M2にセットされた時点で、加熱手段により所定の温度に加熱された、所定圧力のシェーピング用ガスが供給され、ブラダーBをトロイダル状に膨張させてグリーンタイヤTの内面に密着させることにより、グリーンタイヤTを膨張させてシェーピングする。
そして、液圧シリンダ50の作用で金型Mが完全に閉じた状態で、タイロッド61の下端部に形成された溝部61aにU字形状のロックプレート62が駆動装置(不図示)により挿入されて、連結状態となる。
引き続き、シェーピング用ガスの供給を停止し、ブラダーB内に高温・高圧の加熱媒体を供給して、グリーンタイヤTを金型Mの内面に押し付けながら加熱成形する。
この高温・高圧の加熱媒体の作用により、下金型M1と上金型M2との間には、金型Mを開こうとする力が働く。そのために、加圧シリンダ14で型締力を発生させてこの力に抗して金型Mを閉状態に保持する。
成形及び加硫が終了すると、先ず、ブラダーB内の加熱加圧媒体が排出され、ロックプレート62が駆動装置によってタイロッド61の溝部61aから退避して、連結解除状態となる。そして、液圧シリンダ50の作用で第1のガイドローラ34Aが第1の案内溝部21に案内されて上金型M2を保持したトップビーム30が上昇し、金型Mの上方が開いた状態となる。
更に、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aを上昇させると、第1のガイドローラ34Aは第1の案内溝部21の上方開放部に到達する。
その後、レール24上を水平方向に移動し、完成タイヤの取り出し位置に到達して、加硫済みの完成タイヤがタイヤ搬出装置(不図示)により取り出され、新たに、次に加硫されるグリーンタイヤTの搬入を待つ。
(3)タイヤ加硫装置の作用・効果
本実施形態に係るタイヤ加硫装置1の作用について説明する前に、比較例のタイヤ加硫装置100の問題点について説明する。
(3.1)比較例のタイヤ加硫装置の構成及び動作
図6は、比較例のタイヤ加硫装置100の開閉動作を説明するための側面図である。
タイヤ加硫装置100は、上金型M2を保持したトップビーム300の両側面に設けられた一対のビームシャフト340に対して、サイドリンク510の一端側がブッシュ(不図示)を介して回転可能に軸支されている。サイドリンク510の他端側は、ベースフレーム110に軸支されたクランクギア120のクランク軸130に回転可能に軸支されている。
クランクギア120はピニオンギア140と噛合して、駆動装置(不図示)により回転駆動される。
サイドプレート200の上端側には、上方が開放された第1の案内溝部210が設けられ、第1の案内溝部210にはトップビーム300のビームシャフト340に取り付けられた第1のガイドローラ340Aが転動自在に嵌挿され、上金型M2を保持するトップビーム300の上下方向の移動を案内する。
また、サイドプレート200の上端側には一対のレール240が設けられ、第1のガイドローラ340Aが当接して転動する。
このように構成されたタイヤ加硫装置100は、駆動装置(不図示)の回転をピニオンギア140を介してクランクギア120に伝達して、クランクギア120を図中矢印方向に回転させる。そのクランクギア120の回転によって、クランク軸130に連接されたサイドリンク510のクランク運動により、サイドリンク510の一端に支持された第1のガイドローラ340Aは、レール240上を水平方向に転動して第1の案内溝部210へ移動する。
そして、クランクギア120の更なる回転で第1の案内溝部210内を垂直に下降してサイドリンク510が下死点に位置した状態で型締め状態となる。
係る型締め状態では、サイドリンク510を介して下金型M1が固定されているベースフレーム110と、上金型M2を保持しているトップビーム300を撓ませることにより型締め力を発生させている。そのために、ベースフレーム110及びトップビーム300のサイドリンク510で連結された両端部の型締め力が中央部よりも強くなり、不均衡を生じる虞があった。
更に、金型Mの開閉動作と型締め力の付与をベースフレーム110、トップビーム300、サイドリンク510、クランクギア120等の同一構成要素で行うために、特に、サイドリンク510及びクランクギア120が強度を必要とされ、タイヤ加硫装置100の大型化、大重量化、製造コストの増大を招く虞もあった。
(3.2)本実施形態のタイヤ加硫装置
本実施形態に係るタイヤ加硫装置1は、液圧シリンダ50が、一端側がビームシャフト34に対してブッシュを介して回転可能に軸支され、他端側は、サイドプレート20にそれぞれ設けられた突軸部23にブッシュを介して回動可能に軸支されている。
そして、サイドプレート20の上端側には、一対のレール24が設けられ、トップビーム30のビームシャフト34に取り付けられた第1のガイドローラ34Aが当接して液圧シリンダ50のシリンダロッド50aの伸縮に伴って転動する。
サイドプレート20の上端側には、ラック25が設けられ、第1のガイドローラ34Aの転動とともにラック25と噛合して移動する第1のピニオンギア36が回転自在に軸支されている。
係るタイヤ加硫装置1の下金型M1にグリーンタイヤTがセットされ、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aが引き込まれると、第1のガイドローラ34Aがサイドプレート20のレール24上を水平方向に転動する。また、第1のガイドローラ34Aの転動に伴って、同調シャフト38で連結され回転自在に軸支された第2のピニオンギア37が噛合した第1のピニオンギア36が、サイドプレート20のラック25と噛合して移動する。その結果、トップビーム30は左右が同調して捩じれることなく移動する。
その後、第1のガイドローラ34Aは液圧シリンダ50の作用によって、第1の案内溝部21に案内されて下降し、金型Mが完全に閉じた状態で、連結機構の作用で連結状態となり、加圧シリンダ14で型締力を発生させて金型Mを閉状態に保持する。
このように、本実施形態に係るタイヤ加硫装置1においては、金型Mの開閉が移動手段としての液圧シリンダ50のシリンダロッド50aの伸縮によって行われるために、サイドリンク、クランクギア等の大型で大重量の構造物を必要とすることなく、タイヤ加硫装置1の小型化、軽量化が容易となり、製造コストの低減が可能になる。
また、型締め後は連結機構で下プレート11と上プレート31を連結して、下プレート11の下面に配置された加圧手段としての加圧シリンダ14で型締力を発生させるために、金型Mには型締め力が等配分され、加硫精度の向上と安定性が確保される。
「第2実施形態」
(1)タイヤ加硫装置の構成
図4は、本実施形態に係るタイヤ加硫装置1Aの型開時の要部縦断面図である。
タイヤ加硫装置1Aの基本構成は第1実施形態のタイヤ加硫装置1と同様であり、加圧手段としての加圧シリンダを備えていない点で第1実施形態と異なっている。従って、第1実施形態のタイヤ加硫装置1と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、タイヤ加硫装置1Aの差異の部分についてのみ説明する。
(1.1)タイヤ加硫装置の全体構成と金型
タイヤ加硫装置1Aは、タイヤの一対のサイドウォール部からビード部にいたる部分を形成する下金型M1及び上金型M2と、タイヤのトレッド部を形成するための複数のセグメントに分割されたトレッドモールドM3とからなる割モールドタイプの金型Mを備えている。
(1.2)連結装置
トレッドモールドM3の外方側には、アウターリング15が配設され、アウターリング15は、セグメント16のテーパ面16aと係合するテーパ面15aを内周に有し、ベースフレーム10に固定されている。
上プレート31の外方側には、ロックリング17がタイロッドR1を介してベースフレーム10と連結されて配置されている。
セグメント16の上方には、セグメント支持プレート18がタイロッドR2を介して下プレート11と連結されて配置されている。
上プレート31は、外周面にフランジ部31aを有し、ロックリング17は内周面に凹部17aが形成されている。そして、型閉鎖時には、上プレート31の外周面に形成されたフランジ部31aが、ロックリング17の内周面に形成された凹部17aと係合され、ロック状態とされる。
ベースフレーム10の左右両側面には、トップビーム30を支持する一対のサイドプレート20が立設され、サイドプレート20とトップビーム30とは、上金型M2を下金型M1に向けて押圧する型締め位置と、上金型M2を下金型M1から分離して退避させる退避位置との間で往復移動させる移動手段としての液圧シリンダ50により連結されている。
ベースフレーム10の下側には、下金型M1を昇降させるシリンダ52が配置されている。シリンダ52内のシリンダロッド52aはベースフレーム10を上下に貫通して下プレート11の下端面に接触しており、シリンダロッド52aを昇降させることで、下金型M1を昇降させることができる。
(2)タイヤ加硫装置の動作
図5は加硫時に発生する内圧がタイヤ加硫装置1Aの各構成部材に作用する力を説明するための要部縦断面模式図である。
図面を参照しながら、本実施形態に係るタイヤ加硫装置1Aのタイヤ加硫時の動作について説明する。
グリーンタイヤTの加硫成型を行うときは、金型Mが開いた状態で、グリーンタイヤTがタイヤ搬入装置(不図示)により、側方より下金型M1の上方に搬入され、下降して下金型M1上にセットされる。
グリーンタイヤTがセットされ、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aが引き込まれると、第1のガイドローラ34Aがサイドプレート20のレール24上をレール24の終端部まで転動する。また、第1のガイドローラ34Aの転動に伴って、第1のピニオンギア36がサイドプレート20のラック25と噛合して移動する。その結果、トップビーム30は左右が同調して捩じれることなく移動する。
第1のガイドローラ34Aが、サイドプレート20に形成された第1の案内溝部21に到達すると、上金型M2はベースフレーム10上に固定された下金型M1の上方に位置する。
その後、第1のガイドローラ34Aは液圧シリンダ50の作用によって、第1の案内溝部21に案内されて下降する。
そして、トップビーム30に保持された上プレート31の下降とともに、セグメント支持プレート18が押し下げられ、シリンダ52に支持されている下プレート11が、下金型M1及び下プラテン13とともに下降する。
そして、セグメント16のテーパ面16aがアウターリング15のテーパ面15aに押されて、セグメント16が半径方向内側に移動する。
次に、上プレート31のフランジ部31aを回転させ、フランジ部31aがロックリング17の凹部17aとロックのための間隙Gを有して係合しロック状態とされる。上金型M2は、間隙Gに相当する距離だけ、下方(下金型M1側)へ食い込んだ状態となっている(図5中のG寸法参照)。尚、間隙Gは、具体的には3mm〜5mmとされている。
内側に移動したセグメント16は、セグメント16に取り付けられているトレッドモールドM3が環状に一体となってタイヤのトレッドを成形する型を構成すると共に、下金型M1、上金型M2とも一体となり、タイヤを成形する空間を構成する。
そして、上金型M2を保持したトップビーム30の下降にともなって、金型M内にセットされたブラダーBに、加熱手段により所定の温度に加熱された所定圧力のシェーピング用ガスが供給され、ブラダーBをトロイダル状に膨張させてグリーンタイヤTの内面に密着させることにより、グリーンタイヤTを膨張させてシェーピングする。
この高温・高圧の加熱媒体の作用により、下金型M1と上金型M2との間には、その間隔を広げる方向に力が作用する(図5中のF1参照)。
下金型M1は、その下面を下プラテン13及び下プレート11で支持されている。又、トレッドモールドM3が取り付けられたセグメント16は下面が下プラテン13に支持され、上面がセグメント支持プレート18に保持されている。そして、セグメント16はテーパ面16aが、ベースフレーム10に固定されたアウターリング15のテーパ面15aと係合しているために、内方への移動しようとする反力で下金型M1へ圧接される。
上金型M2は、上述したタイヤ加硫内圧(P)で、上プラテン33及び上プレート31とともに上方へ移動し、上プレート31のフランジ部31aの上面と、ロックリング17の内周面に形成された凹部17aの上面とが当接した時点で固定される。
この状態で、上金型M2には、タイヤ加硫内圧(P)が作用し続けることになるが、上プレート31のフランジ部31aの上面と、ロックリング17の内周面に形成された凹部17aの上面との当接部で、ロックリング17には、ロックリング17を上方へ押し上げる力が作用する(図5中のF2参照)。係る押し上げる力は、タイロッドR1を介してベースフレーム10を上方へ持ち上げるように作用し、下プレート11に固定されたアウターリング15にも上方へ持ち上げる反力が作用する。
その結果、アウターリング15のテーパ面15aと係合しているセグメント16は内方へ反力を受けて(図5中のF3参照)、トレッドモールドM3が下金型M1、上金型M2と密着する。
成形及び加硫が終了すると、先ず、ブラダーB内の加熱加圧媒体が排出され、上プレート31のフランジ部31aと、ロックリング17の内周面に形成された凹部17aとのロックが解除される。
そして、液圧シリンダ50の作用で第1のガイドローラ34Aが第1の案内溝部21に案内されて上金型M2を保持したトップビーム30が上昇し、金型Mの上方が開いた状態となる。
更に、液圧シリンダ50のシリンダロッド50aを上昇させると、第1のガイドローラ34Aは第1の案内溝部21の上方開放部に到達する。
そして、シリンダ52のシリンダロッド52aを上昇させると、セグメント16はアウターリング15のテーパ面15aに沿って外周側上方へ移動し、金型Mは開いた状態となる。
その後、レール24上を水平方向に移動し、完成タイヤの取り出し位置に到達して、加硫済みの完成タイヤがタイヤ搬出装置(不図示)により取り出され、新たに、次に加硫されるグリーンタイヤTの搬入を待つ。
(3)タイヤ加硫装置の作用・効果
本実施形態に係るタイヤ加硫装置1Aにおいては、ブラダーBを介してタイヤの内方に供給された加熱加圧媒体により、下金型M1と上金型M2との間には、その間隔を広げる方向に力が作用するが、上金型M2が取り付けられた上プラテン33を保持する上プレート31とベースフレーム10とタイロッドR1で連結されたロックリング17が連結機構を構成している。
そのために、ベースフレーム10と下プレート11との間に従来のタイヤ加硫装置では必要であった高圧高出力の加圧手段としての加圧シリンダを必要とせず、ベースフレーム10に作用する加圧の反力が無くなりベースフレーム10を簡素化し低コストとすることができる。
また、下プラテン13及び上プラテン33を離接可能に連結する連結機構として、上端にロックリング17が設けられたタイロッドR1がベースフレーム10に立設されているために、移動手段としての液圧シリンダ50で移動する上金型M2を保持したトップビーム30が簡素化・軽量化され、その結果、液圧シリンダ50を含めて製作コストの低減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
上述した第1実施形態におけるタイヤ加硫装置1及び第2実施形態におけるタイヤ加硫装置1Aは、グリーンタイヤTの搬入及び完成タイヤの取り出しや金型Mの交換を行う退避位置と、搬入されたグリーンタイヤTの加硫成形を行う型締め位置との間でトップビーム30を傾けることなく、横移動させるスライドバック式である。
一方、本発明に係るタイヤ加硫装置は、型締め位置と退避位置との間でトップビーム30を移動させる一対の移動手段を備え、移動手段としての液圧シリンダ50または電動シリンダが、一端をサイドプレート20の側部に回動可能に軸支され、他端をトップビーム30の側部に回動可能に軸支されて伸縮可能に連結されている。
そのために、トップビーム30の移動を規制する第1のガイドローラ34Aの第1の案内溝部21及び第2のガイドローラ35Aの第2の案内溝部22の溝形状を適宜変更することで、型締め位置と退避位置との間でトップビーム30を傾きながら移動させるチルトバック式のタイヤ加硫装置とすることもできる。
チルトバック式のタイヤ加硫装置とすることで、タイヤ加硫装置の小型化、軽量化及び製造コストの低減を図りつつ、退避位置においてトップビーム30及びこれに保持された上金型M2を回動させて、グリーンタイヤTの搬入及び完成タイヤの取り出しや金型Mの交換を更に容易に行うことができる。
1、1A、100・・・タイヤ加硫装置
10・・・ベースフレーム
11・・・下プレート
12・・・断熱板
13・・・下プラテン
14・・・加圧シリンダ
15・・・アウターリング
16・・・セグメント
17・・・ロックリング
18・・・セグメント支持プレート
20・・・サイドプレート
21・・・第1の案内溝部
22・・・第2の案内溝部
23・・・突軸部
24・・・レール
25・・・ラック
25A・・・チェーン列
30・・・トップビーム
31・・・上プレート
32・・・断熱板
33・・・上プラテン
34・・・ビームシャフト
34A・・・第1のガイドローラ
35・・・ガイドアーム
35A・・・第2のガイドローラ
36・・・第1のピニオンギア
36A・・・第1のスプロケット
37・・・第2のピニオンギア
37A・・・第2のスプロケット
38・・・同調シャフト
41・・・雄ネジ部(金型厚調節機構)
42・・・ナット(金型厚調節機構)
50・・・液圧シリンダ
50a・・・シリンダロッド
52・・・シリンダ
52a・・・シリンダロッド
61・・・タイロッド(連結機構)
61a・・・溝部(タイロッド)
62・・・ロックプレート(連結機構)
M1・・・下金型(サイドモールド)
M2・・・上金型(サイドモールド)
M3・・・トレッドモールド
B・・・ブラダー
T・・・グリーンタイヤ(生タイヤ)

Claims (3)

  1. 下金型を保持するベース部材と、
    上金型を保持するトップビームと、
    前記ベース部材から立設し前記トップビームを支持する一対のサイドプレートと、
    前記ベース部材と前記トップビームとの間に配置され、前記ベース部材と前記トップビームを連結する連結手段と、
    一端を前記サイドプレートの側部に回動可能に軸支され、他端を前記トップビームの側部に回動可能に軸支されて伸縮可能に連結され、前記上金型を前記下金型に向けて押圧する型締め位置と、前記上金型を前記下金型から分離して退避させる退避位置との間で移動させる一対の移動手段と、
    前記一対のサイドプレートのそれぞれの一端側に前記トップビームの移動方向に沿って形成された一対のラックと、前記一対のラックに噛合して前記トップビームに回転自在に軸支された一対の第1のピニオンと、前記トップビームに軸支された同調シャフトで回転自在に軸支され前記第1のピニオンに噛合した一対の第2のピニオンからなり、前記移動手段によって前記上金型を保持しながら移動する前記トップビームを左右同調して案内する案内手段と、を備えた、
    ことを特徴とするタイヤ加硫装置。
  2. 下金型を保持するベース部材と、
    上金型を保持するトップビームと、
    前記ベース部材から立設し前記トップビームを支持する一対のサイドプレートと、
    前記ベース部材と前記トップビームとの間に配置され、前記ベース部材と前記トップビームを連結する連結手段と、
    一端を前記サイドプレートの側部に回動可能に軸支され、他端を前記トップビームの側部に回動可能に軸支されて伸縮可能に連結され、前記上金型を前記下金型に向けて押圧する型締め位置と、前記上金型を前記下金型から分離して退避させる退避位置との間で移動させる一対の移動手段と、
    前記一対のサイドプレートのそれぞれの一端側に前記トップビームの移動方向に沿って配設された一対のチェーン列と、前記一対のチェーン列に噛合して前記トップビームに回転自在に軸支された一対の第1のスプロケットと、前記第1のスプロケットとチェーンを巻回して前記トップビームに軸支された同調シャフトで回転自在に軸支された一対の第2のスプロケットからなり、前記移動手段によって前記上金型を保持しながら移動する前記トップビームを左右同調して案内する案内手段と、を備えた、
    ことを特徴とするタイヤ加硫装置。
  3. 前記移動手段が、液圧シリンダである、
    ことを特徴とする請求項1又は4に記載のタイヤ加硫装置。
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