JP6015169B2 - テトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はテトラヒドロフランの製造方法に関して、より詳しくは、酸触媒を用いて、1,4−ブタンジオールからテトラヒドロフランを加熱条件下で製造する方法に関する。
テトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記することがある)は各種有機化合物の溶剤として使用される他に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールの原料モノマーとしても有用な化合物として知られている。
テトラヒドロフランなどの環状エーテルの工業的な製法としては、従来より様々な製法が知られているが、中でも1,4−ブタンジオール(以下、「1,4BG」と略記することがある)などのジヒドロキシ化合物の脱水環化により製造されることが多い。このジヒドロキシ化合物の脱水環化反応用の触媒としては、高い転化率と選択性の観点から酸触媒が有効であることが知られており、例えば、特許文献1には、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールを、コバルトを含有する触媒、有機スルホン酸及び高沸点アミンの存在下で、脱水素及び脱水してジヒドロフランなどのα,β−環状不飽和エーテルを製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、ヘテロポリ酸触媒上で、2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを含有する1,4BG反応混合物の反応によってTHFを連続的に製造する方法が記載されている。
THF製造に使用される原料1,4−ブタンジオールは、従来から公知である種々の1,4BGの製法によって得ることができるが、それらによって得られる製品1,4BG中には製造工程で発生する副生物が不純物として製品1,4BG中に僅かに混入することがある。この不純物は1,4BGの製造法によって、その種類や量は様々であり、特許文献2には、不純物の一つである2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを含有する1,4BGをTHF製造原料として使用した際、THF製造の反応器内で高沸点成分が副生することが記載されている。また、特許文献3には、1,4−ブチンジオールの水素化により得られる水含有の粗製生成物中に、1,4BG以外にもガンマブチロラクトンが含まれることが記載されており、この粗製生成物から蒸留塔を使ってガンマブチロラクトンを分離することが記載されている。
特開平10−77277号公報 特表2006−503050号公報 特表2010−518174号公報
特許文献3に記載の方法によれば、大部分のガンマブチロラクトンを分離除去された1,4BGを取得することは可能であるが、この方法では十分に分離できない微量のガンマブチロラクトンが1,4−ブタンジオール中に存在した状態で、この1,4BGを原料として脱水環化反応を行い生成物としてTHFを得るにあたり、ガンマブチロラクトン由来の高沸点副生物がTHF製造の反応器内に蓄積し、運転を阻害する問題が判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、酸触媒を用いて1,4−ブタンジ
オールからTHFを製造する方法において、1,4−ブタンジオール中に含まれる不純物による反応選択率の低下、高沸副生物の生成量を低減し、安定的に高い生産性が得られる
工業的に有利なTHFの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ガンマブチロラクトンを含む原料1,4−ブタンジオールをpKaが4以下の酸触媒の存在下で脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを生成する際に、加熱下で気相と液相を有する反応槽から、テトラヒドロフラン、水及びガンマブチロラクトンを含むガスを抜き出し、そのガスを熱交換器に導入し、該熱交換器出口から凝縮液を得る際に、その凝縮液に含まれるガンマブチロラクトンを原料1,4−ブタンジオール中のガンマブチロラクトンに対して、ある一定量となるように反応を制御すれば、該反応槽内へのガンマブチロラクトン由来の高沸副生物の蓄積を回避して、反応選択率の低下を抑制できることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下の[1]〜[5]を要旨とする。
[1]ガンマブチロラクトンを含む原料1,4−ブタンジオールを反応槽に供給し、1,4−ブタンジオールに溶解可能なpKaが4以下の均一系酸触媒の存在下で脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを生成するテトラヒドロフランの製造方法であって、該反応槽内のテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器の出口から凝縮液を得るにあたり、該原料1,4−ブタンジオール中のガンマブチロラクトンの濃度に対する該濃縮液中のガンマブチロラクトンの濃度の比率が20〜100%であるテトラヒドロフランの製造方法。
[2]前記反応槽内の液相部の温度が80〜250℃であることを特徴とする[1]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[3]前記反応槽中の前記均一系酸触媒の濃度が0.01〜20.0重量%の範囲であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[4]前記均一系酸触媒を原料1,4−ブタンジオールに混合し溶解させて、反応槽に供給することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
[5]前記反応槽内のガンマブチロラクトン濃度を20重量ppm以上、1重量%以下に保持することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
本発明により、高沸副生物の生成を低減しながら、且つ反応選択率の低減も回避して、ガンマブチロラクトンを不純物として含有する1,4−ブタンジオールから効率よくテトラヒドロフランを製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
本発明で使用する原料の1,4−ブタンジオールは、公知の方法により得ることができる。例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得た1,4BGを使用することができる。或いは無水マレイン酸の水素化により得た1,4BG、レッペ法によりアセチレンから誘導した1,4BG、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4BG、発酵法により得たコハク酸を水添して得られる1,4BG、発酵法により糖から直接製造される1,4BGなどが使用可能である。
本発明で使用する原料1,4BGはガンマブチロラクトンを含有するが、原料1,4B
G中のガンマブチロラクトンの濃度は20重量ppm以上であり、好ましくは、50重量ppm以上であり、更に好ましくは100重量ppm以上である。この量が多くなるほど、1,4BG製造プロセスにおけるガンマブチロラクトンとの分離負荷を軽減できる傾向にある。一方、原料1,4BG中のガンマブチロラクトンの濃度は10重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。この値が小さくなるほど、THF製造時のガンマブチロラクトンの影響を低減できる傾向にある。なお、ガンマブチロラクトンの濃度が上記範囲の原料1,4BGは、無水マレイン酸の水素化、コハク酸の水素化、レッペ法などのガンマブチロラクトンを副生する1,4BG製法で得ることができる。更に、これら製法において1,4BGからガンマブチロラクトンを蒸留除去するが、この蒸留分離の程度により、1,4BG中に含まれるガンマブチロラクトン量は決定される。また、1,4BGに直接ガンマブチロラクトンを混合して上記範囲にしてもよい。
本発明の反応槽とは、反応器や、反応容器、反応釜、反応塔等と同じ意味内容で用いられるものであって、脱水環化反応を行うことができる容器であれば特に限定されるものではない。脱水環化反応が化学平衡となる場合には、反応生成水を反応槽から取り除くと反応が進行することから、反応槽内に、原料、触媒又は生成物が液相で存在して反応を行う反応部、主に反応で生成する水からなる液相部及び揮発性の低い生成物からなる気相部を有する構造とすることが好ましい。反応槽の液相部は反応の経過に従い、連続的又は間欠的に反応槽外に抜き出すことで反応は進行する。本発明のように、原料1,4BGをpKaが4以下の均一系酸触媒の存在下で脱水環化反応によりTHFを生成する反応では、反応部にpKaが4以下の均一系酸触媒を存在させ原料1,4BGを反応部に供給し、反応による生成する揮発されたTHF、原料1,4BGに含まれるガンマブチロラクトン及び一部の水蒸気が反応部の気相部に含まれ、残りの水や副生物は反応部の液相部に含まれる。
また、この際反応槽を加熱しながら反応を行うが、反応槽の加熱方式は外部ジャケットにスチーム等の熱媒を接触させることによって加熱するものであっても良いし、反応槽の内部にコイル等の伝熱装置を備えていて加熱するものであっても良い。このような反応槽の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、腐食が軽減されるという観点から、好ましくは、SUS304、SUS316、SUS316L、ハステロイ、チタン、ガラスなどが好ましく使用される。
本発明の反応槽は、通常では脱水環化反応を均一に効率よく行うため攪拌機が備えられていてもよい。攪拌機は特に限定されるものではない。攪拌機は通常、電動モーター、軸、攪拌翼から構成されるがその攪拌翼も形状を問わない。
本発明では、反応槽の気相部には、反応槽内の反応部で生成されたTHF、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスが存在する。このガスを熱交換器に導入し、熱交換器内で凝縮液化し、ガンマブチロラクトンを含むテトラヒドロフランの凝縮液を得ることができる。上記熱交換器とは、反応槽で発生するガス(留出物)を凝縮液化させる装置であり、該凝縮液化は、冷却液である外部流体と留出物とを熱交換させることにより行われる。なお、THF、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスには、水溶液の形態で仕込まれる原料からの生成水、必要に応じて生成水と共沸させるために用いられる脱水溶剤などが含まれていても良い。
また、本発明では、上記の凝縮液中のガンマブチロラクトンの留出量を制御することにより、反応槽内の溶液中のガンマブチロラクトン濃度を20重量ppm以上、1重量%以下に保持することが好ましい。凝縮液中のガンマブチロラクトン濃度が少なくなるほど、原料1,4BGのリサイクル量が増加し、ガンマブチロラクトン濃度が多くなるほど反応槽内の高沸生成物量が増加する傾向にある。上記の凝縮液中のガンマブチロラクトンの留
出量を制御するには、留出量が制御できれば、特に限定されないが、熱媒温度、反応温度、反応槽内圧力、還流、窒素などのガス導入量の調整や、反応槽がトレイを有する反応塔であれば、その段数や還流比などのパラメータを調整して制御することが可能である。ガンマブチロラクトンはTHFよりも沸点が高く、原料1,4BGより沸点が低いことから、生成物のTHFを充分に反応槽からガスで留出させ、且つ1,4BGを反応槽内に保持するように反応槽を制御することが好ましい。
尚、THF、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスから、予め沸点が高い成分を分離するための充填塔、棚段塔などの蒸留塔を熱交換器に導入する直前に有してもよい。充填塔、棚段塔などの段数は任意であるが、通常理論段として1段以上、100段以下が好ましく、特に好ましくは3段以上、20段以下である。段数が大きくなるほど分離する蒸留塔が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化してしまう。また段数が小さくなるほど、留出させるTHF、ガンマブチロラクトン及び水と、反応器内に保持する1,4BGとの分離が困難となってしまう。
本発明では、生成するTHF、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスを反応槽の気相部から排出して熱交換器により凝縮して該熱交換器出口から凝縮液を得て、その一部を反応槽内の気相部に戻すことも可能である。凝縮した液の組成はTHF、ガンマブチロラクトン及び水を任意の濃度で含有するが、好ましくはTHF濃度が30重量%〜95重量%であり、特に好ましくは50重量%〜85重量%の範囲である。また、本発明の脱水環化反応は化学量論的に水を生成するため、該凝縮液中の水濃度は通常1重量%〜50重量%であり、好ましくは5重量%〜30重量%であり、特に好ましくは15重量%〜25重量%の範囲である。
本発明では、原料1,4−ブタンジオール中のガンマブチロラクトンの濃度に対する上記濃縮液中のガンマブチロラクトンの濃度の比率(割合とも記載することがある)20〜100%とする必要がある。こうすることで、反応槽中でガンマブチロラクトンの蓄積を回避して、1,4BGとガンマブチロラクトンの2量体のような高沸副生物の生成を低減することができる。上記割合は、好ましくは、30〜95%であり、更に好ましくは40〜90%である。この割合が大きくなるほど、反応槽中でガンマブチロラクトンの蓄積を回避して高沸副生物の生成が低減される傾向にある。また、この割合が20%未満だと反応槽中でガンマブチロラクトンの蓄積が進行し、高沸副生物の生成が増加していく恐れがあり、好ましくない。
この割合を、上記範囲に制御する手段としては、反応槽内のガンマブチロラクトン濃度を20重量ppm以上、1重量ppm以下に保持することが好ましいが、他の反応条件を操作して上記範囲に制御してもよい。
熱交換器出口から得られる凝縮液の一部は反応槽内の気相部に戻し、残りの凝縮液は反応槽外に抜き出す際に、反応槽の気相部に供給する凝縮液の流量と反応槽外に抜き出す凝縮液の流量の比(以下、「還流比」と呼ぶことがある)は、通常は0.001以上30以下であり、好ましくは0.01以上10.00以下の範囲であり、特に好ましくは0.1以上3.0以下の範囲である。尚、還流比が高すぎた場合には、加熱のための熱源コストが増大して経済性が悪化し、還流比が少なすぎた場合には、反応槽内での固形物析出低減の効果が得られず、且つ高沸点成分の分離悪化による凝縮液への混入が進行する。熱交換器に導入されるTHF及び水を含むガスの導入時の温度は10℃〜200℃が好ましく、特に好ましくは60℃〜100℃の範囲である。還流比は、反応温度や反応条件、反応槽の設計条件との関係で最適な値は定められるが、一般的には還流比が高すぎると消費エネルギーが甚大なものとなってしまい、また還流比が低すぎると、ガンマブチロラクトンとともに1,4BGの留出が増大してしまう。
本発明における触媒にはpKaが4以下であり、1,4−ブタンジオールに溶解可能な均一系酸触媒(以下、「酸触媒」と呼ぶことがある)を使用するが、中でも有機スルホン酸が好ましい。具体的には、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、メタトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸誘導体、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸などの鎖状の炭化水素スルホン酸誘導体である。これらは混合物として用いても差し支えなく、また炭素骨格内にスルホン酸以外の官能基を有していても差し支えない。特に好ましくはパラトルエンスルホン酸である。本発明では反応槽内の反応部で原料1,4BGの脱水環化によるTHFの生成反応が進行するが、反応槽中の酸触媒の濃度は、0.01〜20重量%であり、好ましくは0.05〜10重量%以下である。特に好ましくは0.2〜5重量%である。なお、反応槽内の液相部の水分濃度としては、通常、0.1〜5.0重量%であり、好ましくは、0.2〜4.0、更に好ましくは、0.3〜3.0である。この濃度が高くなるほど、材質腐食を促進する傾向にあり、低くなるほど高沸点副生物の量が増加する傾向にある。
尚、酸触媒は反応開始時、原料の1,4BGを供給して反応を開始する前に予め反応槽の反応部に存在させておき、反応を開始することも可能であるが、触媒劣化による反応収率低下を抑制するという観点から、逐次的にpKaが4以下の酸触媒を反応槽に投入することがより効果的である。例えば、原料1,4BGに酸触媒を混合し溶解させ反応槽に間欠的或いは連続的に供給することが好ましい。なお、反応槽内の液相部を反応槽外に間欠的或いは連続的に抜き出してもよい。その際に供給する酸触媒の量としては原料1,4BGの経時投入量に対する濃度として1〜1000重量ppmが好ましく、特に好ましくは5〜50重量ppmである。
反応槽内の液相部の内温である反応温度は、80℃〜250℃が好ましく、より好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは120℃〜180℃の範囲である。この温度が低くなるほど、THFの生産性が著しく低下する傾向にあり、高くなるほど微量副生物の増加、あるいは強酸を使用すると高価材質の使用が必須となってしまう。また、反応温度が高いほど凝縮液中にガンマブチロラクトンが多く含まれる傾向にあるが、1,4BGも同伴するため、1,4BGの濃度も高くなるので、還流比が増加する恐れが有る。
反応圧力は任意の圧力を採用可能であるが、絶対圧として、好ましくは10kPa〜1000kPaであり、特に好ましくは100kPa〜500kPaである。圧力が低すぎると凝縮液中にガンマブチロラクトンが多く含まれる傾向にあるが、1,4BGも同伴するため、1,4BGの濃度も高くなるので、還流比が増加する恐れが有る。一方、圧力が高すぎる場合には、高い反応温度が必要となり、反応器過熱のための熱交換効率が低下してしまう。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法を用いて行った。テトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトン、1,4BG、1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体の分析はガスクロマトグラフィーにより行い、面積百分率により算出した。
尚、100重量%から水分濃度を差し引いた値を算出し、その値から残る成分の割合(重量%)をガスクロマトグラフィーの各成分の面積百分率により計算した。
<実施例1>
留出のためのガラス製の冷却管と、原料導入管、窒素導入管を設置したガラス製の50
0mLフラスコに、ガンマブチロラクトンを0.18重量%含む1,4−ブタンジオール200g、パラトルエンスルホン酸0.4g(0.2重量%)を仕込み、オイルバスを使用して内温度を145℃まで加熱した。反応液に300mL/minで窒素を導入し、内液温度が145℃に安定した後、得られた凝縮液は生成液としてガラス製の貯槽に抜き出した。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を49g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は73.0℃であり、還流比は0.1であった。また、液相量を200mLとなるよう調整し、その後、液相量を一定に保持するために0.18重量%のガンマブチロラクトンを含む1,4−ブタンジオールを52g/hrで連続的に供給した。その際、パラトルエンスルホン酸を0.48mg/hrの量(1,4BG中のパラトルエンスルホン酸濃度:12重量ppm)となるように1,4−ブタンジオール溶液に溶解し、あわせて連続的に添加した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は4hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を5hr継続した。得られた凝縮液の量は281gであり、その組成は、テトラヒドロフラン76.2重量%、水20.9重量%、ガンマブチロラクトン1525重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は85%であった。運転開始から5時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は164gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを1722重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.5%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.08重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.06%であった。
<実施例2>
実施例1において、内液温度を155℃とした以外は全て同様に行った。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を67g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は82.0℃であり、還流比は0.1であった。0.18重量%のガンマブチロラクトン、12重量ppmのパラトルエンスルホン酸を含む1,4−ブタンジオールは65g/hrで連続的に供給した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は3hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を3.8hr継続した。得られた凝縮液の量は287gであり、その組成は、テトラヒドロフラン76.5重量%、水21.1重量%、ガンマブチロラクトン1496重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は85%であった。運転開始から3.8時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は160gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを1646重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.4%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.04重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.03%であった。
<実施例3>
実施例1において、反応液への窒素導入量を200cc/minとした以外は全て同様に行った。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を47g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は73.0℃であり、還流比は0.1であった。0.18重量%のガンマブチロラクトン、12重量ppmのパラトルエンスルホン酸を含む1,4−ブタンジオールは49g/hrで連続的に供給した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は4hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を5.2hr継続した。得られた凝縮液の量は281gであり、その組成は、テトラヒドロフラン78.0重量%、
水20.8重量%、ガンマブチロラクトン1470重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は81%であった。運転開始から5.2時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は163gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを2561重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.9%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.10重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.07%であった。
<実施例4>
実施例1において、反応液への窒素導入量を150mL/minとした以外は全て同様に行った。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を43g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は76.0℃であり、還流比は0.1であった。0.18重量%のガンマブチロラクトン、12重量ppmのパラトルエンスルホン酸を含む1,4−ブタンジオールは34g/hrで連続的に供給した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は5.9hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を5.9hr継続した。得られた凝縮液の量は248gであり、その組成は、テトラヒドロフラン79.6重量%、水21.6重量%、ガンマブチロラクトン813重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は40%であった。運転開始から5.9時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は181gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを2463重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.0%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.11重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.10%であった。
<実施例5>
実施例1において、反応液への窒素導入量を75mL/minとした以外は全て同様に行った。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を36g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は80.0℃であり、還流比は0.1であった。0.18重量%のガンマブチロラクトン、12重量ppmのパラトルエンスルホン酸を含む1,4−ブタンジオールは44g/hrで連続的に供給した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は4.5hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を5.7hr継続した。得られた凝縮液の量は233gであり、その組成は、テトラヒドロフラン77.0重量%、水20.4重量%、ガンマブチロラクトン538重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は24%であった。運転開始から5.7時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は220gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを2275重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.2%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.11重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.12%であった。
<比較例1>
実施例1において、反応液への窒素導入量を5mL/minとした以外は全て同様に行った。フラスコ気相部から生成ガスとして排出され、冷却器で凝縮されたテトラヒドロフランを含む凝縮液を34g/hrで得た。この際の液凝縮部位の温度は78.0℃であり、還流比は0.1であった。0.18重量%のガンマブチロラクトン、12重量ppmの
パラトルエンスルホン酸を含む1,4−ブタンジオールは44g/hrで連続的に供給した。液相部容量に対する原料1,4−ブタンジオールの平均滞留時間は4.5hrであった。加熱による反応及び生成物の気相部からの留出、原料供給を6.0hr継続した。得られた凝縮液の量は217gであり、その組成は、テトラヒドロフラン82.7重量%、水18.3重量%、ガンマブチロラクトン373重量ppmであり、供給されたガンマブチロラクトンに対する留出のガンマブチロラクトン比率は18%であった。運転開始から6.0時間を経過した時点で加熱を停止し、フラスコ反応器内の液を採取した。この間、フラスコ内の液の排出は実施していなかった。採取したフラスコ反応器内の液は229gであり、これを分析した結果、ガンマブチロラクトンを1960重量ppm含有しており、テトラヒドロフランの選択率は99.6%であった。高沸成分の目安となる1,4−ブタンジオールとガンマブチロラクトンの2量体は0.14重量%であった。THF生産量に対する2量体生成量の比率は0.17%であった。

Claims (5)

  1. ガンマブチロラクトンを含む原料1,4−ブタンジオールを反応槽に供給し、1,4−ブタンジオールに溶解可能なpKaが4以下の均一系酸触媒の存在下で脱水環化反応を行うことによりテトラヒドロフランを生成するテトラヒドロフランの製造方法であって、該反応槽内のテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトン及び水を含むガスを熱交換器に導入し、該熱交換器の出口から凝縮液を得るにあたり、該原料1,4−ブタンジオール中のガンマブチロラクトンの濃度に対する該凝縮液中のガンマブチロラクトンの濃度の比率が20〜100%であるテトラヒドロフランの製造方法。
  2. 前記反応槽内の液相部の温度が80〜250℃であることを特徴とする請求項1に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
  3. 前記反応槽中の前記均一系酸触媒の濃度が0.01〜20.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
  4. 前記均一系酸触媒を原料1,4−ブタンジオールに混合し溶解させて、反応槽に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
  5. 前記反応槽内のガンマブチロラクトン濃度を20重量ppm以上、1重量%以下に保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラヒドロフランの製造方法。
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